JP2597480Y2 - シート表皮の縁取り構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、所定形状に裁断された
複数枚の表皮材を所定の立体形状に縫着成形する際、そ
の表皮材の縫合せ個所を所定の縁取り形状に形状出しす
るのに適用されるシート表皮の縁取り構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、複数枚の表皮材を端末間で縫い合
せてシート表皮を立体形に縫着成形するのに際し、玉部
を表皮材の縫合せ個所に露出位置すると共に、帯板部を
表皮材の端末間に挟み込んで帯板部を表皮材の端末と共
縫いすることにより、玉縁を表皮材の縫合せ個所に沿っ
て縫着することが行なわれている。

【０００３】その玉縁は表皮材の縫合せ個所を玉部で隠
し、また、表皮材の縫合せ個所を帯板部で形状保持する
ものとして取り付けられている。唯、この玉縁は帯板部
を表皮材の端末間に挟み込んで縫着するものであるか
ら、その縫合せ個所の形状出しはステッチラインに依存
せざるを得ない。然し、これでは縫製技術如何で縫合せ
個所の形状がバラ付いてしまう。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、縫製技術に
拘りなく、表皮材の縫合せ個所を所望通りに縁取りでき
ると共に、その縁取り形状にメリハリや質感を持たせて
高級感を醸し出せるシート表皮の縁取り構造を提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案に係るシート表皮
の縁取り構造においては、縫い代となる帯板部と、その
帯板部より膨出する張出し縁部とからなる細幅な軸線状
の芯材を備え、この芯材を表皮材の所望な縫合せ個所の
内側に巻き込んで表皮材の端末と帯板部で共縫いし、そ
の芯材の張出し縁部で他の縫い合わされた表皮材の面よ
りも高位な段差を付けて当該芯材を巻き込んだ表皮材の
縁辺を所定の縁取り形状に形状出することにより構成さ
れている。

【０００６】

【作用】このシート表皮の縁取り構造では、芯材を表皮
材の所望な縫合せ個所の内側に巻き込んで表皮材の端末
と帯板部で共縫いし、その芯材の張出し縁部で当該芯材
を巻き込んだ表皮材の縁辺を所定の縁取り形状に形状出
しするものであるから、熟練した縫製技術に頼らなくて
も、表皮材の縫合せ個所を所定の縁取り形状に形状出し
することができる。また、その縁取り形状は芯材の張出
し縁部で他の縫い合わされた表皮材の面よりも高位な段
差を付けることによりメリハリや質感を持たせて高級感
を醸し出すことができる。

【０００７】

【実施例】以下、添付図面を参照して説明すれば、図１
は立体形に縫着成形されたシート表皮１をクッションパ
ッドＰに被着した状態で示す部分断面図である。そのシ
ート表皮１は、所定形状に裁断された複数枚の表皮材１
ａ，１ｂ…を端末間で縫い合せることにより立体形の袋
状に形成されている。また、この表皮材１ａ，１ｂ…に
は細幅軸状の芯材２が所望位置の縫い合せ個所の内側に
巻き込まれて共縫いされている。

【０００８】その細幅な軸線状の芯材２としては、縫い
代となる帯板部２ａと、帯板部２ａより大きく膨出する
張出し縁部である玉部２ｂとからなるプラスチック製の
玉縁が用いられている。この芯材２は、表皮材の所望な
縫合せ個所に対応させて所定の軸線形状を呈するよう成
形されている。その軸線形状としては、図２で示す門形
のような形状出しする個所の曲線や直線に合わせること
ができる。この芯材２は、帯板部２ａを表皮材１ａ，１
ｂの端末と共縫いすることにより、表皮材１ａの内側に
巻き込むよう取り付けられる。

【０００９】上述した門形の芯材２を用いる場合には、
図３で示すように自動車シートのシートバック用とし、
バックボードの輪郭形状に相応する縁取りライン３をシ
ート表皮１の縫製時に形成することができる。この縁取
りライン３を形成するには背当て部として裁断された表
皮材１ａと、背抜き状に裁断された表皮材１ｂとを裏返
しにさせて端末間を重ね合せ、玉部２ｂを表皮材１ａの
端末より内方に位置させて芯材２を表皮材１ａの端末内
側に沿って組み付けた後、帯板部２ａを表皮材１ａ，１
ｂの端末と共に縫い合せればよい。

【００１０】このシート表皮１をクッションパッドＰに
被せると、シートバックＢの背面側には芯材２の軸線形
状で形状出しされたバックボード様の縁取りライン３と
して所定形状に付形成形することができる。それに加え
て、このシート表皮１では表皮材１ａが表皮材１ｂで形
成する一般面よりも玉部２ｂの径分だけ高位な段差ｈを
持って被着できるため、メリハリや質感をシートバック
Ｂの背面側に持たせて高級感を醸し出せ、バックボード
をシートバックＢの背面側に組み付けるのを省略するこ
とができる。また、その芯材２を含む表皮材１ａ，１ｂ
の縫合せ個所か芯材２の内側寄りに位置することから、
ステッチラインが外部に露出することもない。

【００１１】その芯材２としては、上述した玉縁に代え
て、図４で示すような横断面略つ字状やＵ字状のトリム
部材も用いることができる。また、上述した実施例はシ
ートバックＢの背面側にバックボード状の縁取りライン
３を付形する場合で説明したが、この他に、図５，６で
示すように段差ｈをシートクッションＣの下部側に設け
て座ぶとん様の外観形状を呈するにも適用できる。ま
た、シートバックの肩部を直線状に形状出しする場合や
シート各部の輪郭形状を形状出しするのにも広く適用す
ることができる。

【００１２】なお、芯材２を表皮材１ａ，１ｂと共縫い
するのにあたって、図６で示すように表皮材１ａ，１ｂ
のいずれかに予め仮縫いすることができる。また、玉縁
状の芯材２を用いる場合には図７で示すように表皮材１
ａを芯材２の内縁辺に沿って芯材２の帯板部２ａに更に
縫着するようにできる。この縁取り構造では芯材２が反
転するのを確実に防止できるばかりでなく、芯材２の玉
部２ｂを表皮材１ａで包み込むことから縁取りラインを
刻明に描出できてシート各部の輪部形状を美麗に形状出
しすることができる。

【００１３】

【考案の効果】以上の如く、本考案に係るシート表皮の
縁取り構造に依れば、表皮材の縫合せ個所を共縫いされ
る所定な軸線形状の芯材で形状出しするため、熟練した
縫製技術に頼らなくても、縁取りラインを所望通りに形
状出しでき、また、その縁取り形状は芯材の張出し縁部
で他の縫い合わされた表皮材の面よりも高位な段差を付
けることによりメリハリや質感を持たせて高級感を醸し
出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の縁取り構造を適用したシート表皮をク
ッションパッドに被着させて示す部分断面図である。

【図２】本考案の縁取り構造で用いられる一例の芯材を
示す斜視図である。

【図３】同縁取り構造を適用したシート表皮を被着させ
て示すシートバックの斜視図である。

【図４】本考案の縁取り構造で用いられる別の芯材を示
す横断面図である。

【図５】本考案に係る縁取り構造を適用したシート表皮
をシートクッションに被着させて示すシートの斜視図で
ある。

【図６】図５のＡ−Ａ線個所で示すシートクッションの
部分断面図である。

【図７】本考案の別の縁取り構造を適用したシート表皮
をクッションパッドに被着させて示す部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ… 表皮材 ２ 芯材 ２ａ 芯材の帯板部 ２ｂ 芯材の張出し縁部 ３ 縁取りライン

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定形状に裁断された複数枚の表皮材を
   端末間で縫い合せて、立体形に縫着成形するシート表皮
   において、縫い代となる帯板部と、その帯板部より膨出
   する張出し縁部とからなる細幅な軸線状の芯材を備え、
   この芯材を表皮材の所望な縫合せ個所の内側に巻き込ん
   で表皮材の端末と帯板部で共縫いし、その芯材の張出し
   縁部で他の縫い合わされた表皮材の面よりも高位な段差
   を付けて当該芯材を巻き込んだ表皮材の縁辺を所定の縁
   取り形状に形状出したことを特徴とするシート表皮の縁
   取り構造。