JPS6348240Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば自動車のセンターアームレス
ト等のように、断面略四角形状の長尺なるパツド
に袋状のトリムカバーを被せるためのコーナ部位
のトリム構造に関する。

従来、自動車のアームレストにあつては、第１
図に示すように、断面略四角形状の長尺に形成さ
れたパツド１に、袋状に縫製されたトリムカバー
２がパツド１の長手方向から被せられている。と
ころで、このトリムカバー２はトリムカバー２の
被せ方向に沿つて延長するコーナ部位においてト
リムカバー２を構成する各表皮片３，３…に分割
され、この各表皮片３，３…間に玉縁４を介在さ
せた状態で袋状に縫製される。このために、トリ
ムカバー２をパツド１に被せたとき、玉縁４が配
置されるコーナ部位においては、第２図示のよう
に、トリムカバー２の縫い合せ部５が玉縁４の足
６に沿つて帯状に膨んでしまい、非常に見栄えが
悪い。

本考案の目的は、前述した従来の欠点を解消す
るためにトリムカバーの縫製や被せ作業を変更せ
ずに、トリムカバーの縫い合せ部がトリムカバー
の一般面と滑めらかに連続した状態をかもしだす
ことができるトリムカバーにおけるコーナ部位の
トリム構造を提供するものである。

以下、第３図、第４図について本考案の施され
たアームレストの実施例の詳細を説明する。この
実施例においてはアームレストを例示したけれど
も、本考案はこれに限定されるものではなく、車
両のシートやヘツドレスト等にも適用可能であ
る。

第３図は第２図に相当する断面図であつて、こ
のアームレストは断面略四角形状の長尺なるパツ
ド１１を備え、このパツド１１には袋状に縫製さ
れたトリムカバー１２がパツド１１の長手方向か
ら被せられている。このトリムカバー１２はトリ
ムカバー１２の被せ方向に沿つて延長する各コー
ナ部位においてトリムカバー１２を構成する各表
皮片１３，１３…に分割されており、これらの各
表皮片１３，１３…は玉縁１４を介在させた状態
で袋状に縫製かれている。即ち、トリムカバー１
２の縫い合せ部１５は、隣り合う表皮片１３，１
３が玉縁１４の足１６を挾んだ状態で図示しない
縫糸にて縫い付けられており、一方の表皮片１３
がパツド１１に接触させられかつ他方の表皮片１
３が足１６や縫糸を包み込むように逆方向へ折り
返えされて玉縁１４の頭１７が縫い合せ部１５に
露出される。

一方、前記パツド１１の各コーナ部位には面取
り１８，１８…がそれぞれ平面に形成されてい
る。これらの面取り１８，１８…は、第４図の仮
想線示のように不等辺直三角形の直角に対向する
対角斜辺になつていると共にトリムカバー１２の
被せ方向に沿つて延長されている。前記各面取り
１８，１８…におけるパツド１１の一方の表面１
１ａから他方の表面１１ｂまでの幅員Ｌは前記縫
い合せ部１５の幅員即ち玉縁１４の足１６の長さ
よりも大きい。

他方、前記縫い合せ部１５において、第４図示
のように、玉縁１４の頭１７はパツド１１の一方
の表面１１ａと面取り１８とによる小さな挾み角
α₁の隅部側に位置され、玉縁１４の足１６はパツ
ド１１の他方の表面１１ｂと面取り１８とによる
大きな挾み角α₂の隅部側に延ばされている。

以上のように構成された前記実施例によれば、
各コーナ部に面取り１８，１８…を備えたパツド
１１に縫製されたトリムカバー１２を被せるとき
に、縫い合せ部１５を第４図示の状態にさせた後
トリムカバー１２を従来と同様にパツド１１の長
手方向に引張ることによつてトリムカバー１２が
パツド１１に被せられる。このとき、縫い合せ部
１５は面取り１８によつて第４図示の姿勢を強制
されているので、玉縁１４の足１６の向きが反転
されることがなく、縫い合せ部１５が面取り１８
に的確に位置される。この結果、パツド１１の他
方の表面１１ｂに配された表皮片１３は大きな挾
み角α₂によつて滑らかな円弧を描いて一般面とな
り、またパツド１１の一方の表面１１ａに配され
た表皮片１３は小さな挾み角α₁にて折れ曲がるけ
れども、この折れ曲りは玉縁１４の頭１７によつ
て隠されるので、かかるコーナ部位の外観はその
両側に位置する一般面と滑らかに連続した状態に
視覚され、縫い合せ部１５が角張つたり、張出し
たりせずに装飾的な見栄を著しく向上できる。し
かも、パツド１１に施される面取り１８，１８…
は平面で形成されているので、これらの面取り１
８，１８…をパツド１１の成形によつて同時形成
する場合には、凸状または凹状の面取りに比べて
成形型の構造が簡単になり、また面取り１８，１
８…をパツド１１の成形後に切削形成する場合に
あつても、凸状または凹状の面取りに比べて切削
作業が簡単にできる。

以上説明したように本考案によれば、面取りが
小さな挾み角と大きな挾み角を有する状態の平面
にてトリムカバーの被せ方向に沿つて延長され、
かつ面取りの幅員が玉縁の足の長さよりも大きい
と共に、玉縁の頭が小さな挾み角の隅部側に位置
されかつ玉縁の足が大きな挾み角の隅部側に向け
た状態で面取りに沿わされるので、従来のトリム
カバーの縫製や被せ作業を変更せずに、トリムカ
バーの縫い合せ部がトリムカバーの一般面と滑ら
かに連続され、装飾的な見栄えを著しく向上させ
ることができる。しかも、面取りが平面であるの
で、凸状または凹状の面取り形成に比べて面取り
の形成が簡単となり、見栄えの良好なトリム構造
を安価に得ることができる等の実用的効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のアームレストの一部を切除した
斜視図、第２図は第１図の−線断面図、第３
図は本考案の施されたアームレストの第２図に相
当する断面図、第４図は第３図の符号部分の拡
大図である。 １１……パツド、１２……トリムカバー、１３
……表皮片、１４……玉縁、１５……縫い合せ
部、１６……玉縁の足、１７……玉縁の頭、１８
……面取り、α₁……小さな挾み角、α₂……大きな
挾み角。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面略四角形状の長尺なるパツドに、袋状に縫
   製されたトリムカバーを被せると共に、このトリ
   ムカバーのコーナ部位には玉縁がトリムカバーの
   被せ方向に沿つて添設されている車両部品のトリ
   ム構造において、前記パツドの各コーナ部位には
   面取りをトリムカバーの被せ方向に沿つて延長
   し、これらの面取りがパツドの一般面との間に小
   さな挾み角と大きな挾み角を有する状態の平面で
   かつ面取りの幅員が玉縁の足の長さよりも大きく
   形成されると共に、前記トリムカバーをパツドに
   被せるとき玉縁の頭を小さな挾み角の隅部側に位
   置させかつ玉縁の足を大きな挾み角の隅部側に向
   けた状態で面取りに沿わせたことを特徴とする車
   両部品のトリム構造。