JP2587303Y2 - バンパの取り付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願考案は、バンパの取り付け構
造に関し、詳しくは、バンパを車体に対して仮止めして
位置決めした後に、固定することのできる、バンパの取
り付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両が他の車両や物体に衝突等した場合
に、車体、ランプ類等の機能部品を保護することを主目
的として、車体の前部および後部にバンパが設けられ
る。しかも、上記バンパは、車体の前後端部において全
幅にわたって設けられるため、車体の意匠に大きな影響
を与えるばかりでなく、車体の空力特性にも大きく関係
している。

【０００３】上記バンパは、車体前端部あるいは後端部
に掛け渡し状に設けられるフロントクロスメンバあるい
はリヤクロスメンバに対してネジ手段等を用いて連結固
定される。

【０００４】上記バンパは、上述したように、車両の全
幅にわたって設けられる大型部品であり、これを車体の
所定位置に精度高く取付けるのは困難である。

【０００５】上記問題を解決するため、たとえば、発明
協会公開技報９２−２６５４７号に記載されている考案
のように、バンパを車体に対して仮止めしたのちに、ボ
ルトを締めつけて、所定の位置に精度高く取付ける取り
付けることのできる取り付け構造が提案されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上記公開技報に記載さ
れている考案は、車体側に設けられる取付けブラケット
の上縁部に仮止め凸部を設ける一方、上記ブラケットの
外面に、上記仮止め凸部に係合させられる係合穴を備え
る係合突起を設けて構成されている。上記バンパは、上
記仮止め凸部と係合穴とを係合させることにより車体に
対して仮止めされ、その後、上記バンパに設けたボルト
通挿孔に通挿された固定ボルトを上記ブラケットに螺合
させることによって車体に連結固定される。

【０００７】上記バンパの取り付け構造においては、上
記係合穴と仮止め凸部とを係合させるには、上記係合突
起が上記仮止め凸部の上方に位置するまでバンパを持ち
上げなければならない。

【０００８】ところが、上記バンパの上方には、ランプ
等が配置されている。したがって、上記ランプ等との間
に、上記バンパを車体に取り付けるための取付けすきま
を確保しなければならない。この結果、車体に取り付け
られたバンパの上縁部と、上記ランプ類の下縁部との間
のすきまが大きくなり、車体の見栄えが大きく低下し
て、意匠上の問題が生じる。

【０００９】また、上記取付け構造においては、上記係
合突起を、上記仮止め凸部の上方に正確に位置させなけ
れば、上記仮止め凸部と係合穴とを係合させることはで
きない。

【００１０】このため、上記バンパを車体に対して仮止
めする作業に精度が要求され、作業能率が低下するとい
った問題もある。

【００１１】本願考案は、上述の事情のもとで考え出さ
れたものであって、仮止めに要する上下方向の取り付け
すきまを小さく設定することができるとともに、バンパ
を所定位置にきわめて容易に仮止めすることのできるバ
ンパの取付け構造を提供しようとするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願考案では、次の技術的手段を講じている。

【００１３】すなわち、本願考案は、バンパを車体に対
して取り付けるバンパの取り付け構造であって、車体
に、上方に向かって幅方向寸法が縮小する正面視略台形
状の板状仮止め凸部を備えるブラケットを設ける一方、
上記バンパに、上記仮止め凸部を両側から挟むようにし
て係合させられる仮止め凹部を備える係合突起を車体前
後方向突出状に設け、上記仮止め凹部の開口端の両側
に、先端どうしの間隔が上記仮止め凸部の最上部の幅方
向寸法にほぼ対応するようになされて対向状に突出する
係合爪部をそれぞれ形成するとともに、上記両係合爪部
の外側に、上記仮止め凸部を上記仮止め凹部に案内する
テーパ状の案内部をそれぞれ形成し、 上記仮止め凸部の
前面に上記係合突起の先端部を当接させると上記仮止め
凸部が上記テーパ状の案内部に案内されて上記係合突起
の幅方向中心軸上に案内され、この状態で上記バンパを
車体に対して持ち上げつつ車体に向けて押圧すると上記
仮止め凸部が上記仮決め凹部に進入させられるとともに
上記係合爪部が上記仮止め凸部の幅方向両側に係合し
て、上記バンパが車体に対して所定位置に仮止めされる
ように構成したことを特徴とする。

【００１４】

【考案の作用および効果】本願考案に係るバンパの取付
け構造においては、車体に設けられるブラケットに、上
方に向かって幅方向寸法が縮小する略台形状の仮止め凸
部が形成されている。

【００１５】一方、バンパに設けられる上記係合突起に
は、上記仮止め凸部を両側から挟むようにして係合させ
られる仮止め凹部が形成されている。

【００１６】上記仮止め凹部の開口端の両側には、上記
仮止め凸部の最上部の幅方向寸法に対応する間隔をあけ
て対向する係合爪部が形成されている。したがって、上
記係合突起を上記仮止め凸部の上端部近傍まで持ち上げ
るだけで、上記仮止め凸部と上記仮止め凹部とが係合し
合う。そして、上記バンパが下方に変位することによ
り、上記係合爪部が上記仮止め凸部の両側部に確実に係
合させられる。これにより、上記バンパが車体に対して
確実に係合させられる。

【００１７】したがって、従来のように、上記係合突起
が上記仮止め凸部の上方に位置するまで、バンパを持ち
上げる必要がなくなる。このため、バンパを仮止めする
ために必要な上下方向すきまが大幅に小さくなる。この
結果、バンパ上方に設けられるライト等の部品との間の
すきまが小さくなり、外観の見栄えを大幅に向上させる
ことができる。また、空力特性等も向上する。

【００１８】しかも、本願考案においては、上記係合爪
部の外側に、上記仮止め凸部を上記仮止め凹部に導入す
る案内部が形成されている。

【００１９】上記案内部を設けることによって、上記係
合突起を、上記仮止め凸部に当接させれば、上記係合突
起が上記係合凹部の所定の係合位置まで案内され、上記
仮止め凸部と上記仮止め凹部とが自動的に係合させられ
る。

【００２０】上記仮止め凸部と上記仮止め凹部との係合
位置が自動的に決まるので、バンパを車体に対して仮止
めする際の作業が格段に容易となり、作業能率を大幅に
向上させることができる。また、上記案内部に上記係合
突起を案内させることによって、必要な高さにまで持ち
上げられたときに、上記仮止め凸部と仮止め凹部と係合
しあう。このため、バンパの上方への移動量を必要最小
限に止めることができる。したがって、仮止めに必要な
すきまをさらに縮小することができる。

【００２１】

【実施例の説明】以下、本願考案に係る実施例を図１な
いし図３に基づいて、具体的に説明する。

【００２２】本実施例は、本願考案を車体前方に設けら
れるフロントバンパ１の取付け構造に適用したものであ
る。

【００２３】車体２の前端部には、車幅方向に延びるフ
ロントクロスメンバ３が設けられている。本実施例に係
るフロントバンパ１は、上記フロントクロスメンバ３
に、取付けボルト４，４によって連結固定される。

【００２４】上記フロントクロスメンバ３の前面には、
上記取付けボルト４，４が螺合されるブラケット５，５
が溶接されており、フロントバンパ１は、取付け孔６，
６に通挿される上記取付けボルト４，４を、上記ブラケ
ット５に螺合させることにより、車体に対して連結固定
される。

【００２５】上記ブラケット５は、図２に示すように、
フロントクロスメンバ３の前面から所定距離をあけて位
置させられる前壁部８と、この前壁部８の両側から車体
に向かって延出する一対の脚部９，９と、上記脚部９，
９から、上記フロントクロスメンバ３の前面に沿って曲
折形成された接合部１０，１０とを備える。

【００２６】上記前壁部８には、ボルト通挿孔１１が設
けられており、このボルト通挿孔１１の後方周縁部にウ
ェルドナット７が溶接されている。

【００２７】上記前壁部８の上縁部には、図２に示すよ
うに、上方に向かって幅方向寸法が縮小する略台形状の
仮止め凸部１２が延出形成されている。

【００２８】一方、本実施例に係るフロントバンパ１は
樹脂で一体形成されており、裏面における上記取付け孔
６の上方に、仮止め凹部１３を備える係合突起１４が一
体形成されている。

【００２９】上記係合突起１４は、上記フロントクロス
メンバ３に向かって略水平に延出形成されるとともに、
上記仮止め凹部１３の開口端に、上記仮止め凸部１２を
両側から挟むようにして係合させられる一対の係合爪部
１５，１５が形成されている。

【００３０】上記係合爪部１５，１５の内端部の対向間
隔Ａは、上記仮止め凸部１２の最上部の幅方向寸法ａに
ほぼ等しく設定されている。

【００３１】一方、上記係合爪部１５，１５の車体に対
向する外側部には、上記係合爪部１５，１５の内端部か
ら幅方向外方へ向かって切り欠き形成された案内部１
６，１６がそれぞれ形成されている。

【００３２】上記案内部１６，１６の先端部における対
向間隔Ｂは、上記仮止め凸部１２の基端部の幅ｂより大
きく設定されている。

【００３３】以下、上記構成のバンパの取付け手順を説
明する。図３に示すように、フロントバンパ１を上記フ
ロントクロスメンバ３に近接させ、上記仮止め凸部１２
の前面に上記係合突起１４，１４の先端部を当接させる
と、上記仮止め凸部１２が、上記案内部１６，１６に案
内されるようにして上記係合突起１４の幅方向中心軸上
に案内される。この状態で上記バンパ１を車体に対して
持ち上げつつ押圧すると、上記係合突起１４が、上記仮
止め凸部１２の上端部まで変位するとともに、上記仮止
め凸部が仮止め凹部１３内に進入させられる。

【００３４】その後、上記持ち上げ力を解除すると、上
記フロントバンパ１が下方へ変位するとともに上記係合
突起１４が下方へ変位して、上記仮止め凸部１２の両側
部に係合爪部１５，１５が係止される。これにより、上
記仮止め凹部１３が、上記仮止め凸部１２を両側から挟
むようにして係合させられ、フロントバンパ１が車体に
対して仮止めされる。

【００３５】上記状態で、図３に示すように、上記ブラ
ケット５に設けたボルト通挿孔１１およびウェルドナッ
ト７の軸心と、上記フロントバンパ１に設けた取付け孔
６との軸心が一致させられており、上記取付け孔６に通
挿される取付けボルト４を、上記ボルト通挿孔１１を介
して上記ウェルドナット７に螺合させ、上記バンパ１が
上記フロントクロスメンバ３に対して連結固定される。

【００３６】本実施例に係る上記バンパの取付け構造に
おいては、上記係合突起１４を、上記仮止め凸部１２の
最上部近傍まで持ち上げるだけで、上記仮止め凸部１２
と上記仮止め凹部１３とが係合させられる。

【００３７】このため、フロントバンパ１を仮止めする
ための持ち上げ量が格段に小さくなる。このため、上記
バンパの上方に設けられるライト等とのすきまを小さく
設定することが可能となる。この結果、車体前部の見栄
えが大幅に向上する。

【００３８】しかも、本実施例においては、上記仮止め
凸部１２を上記仮止め凹部１３に対する係合位置まで案
内するテーパ状の案内部１６，１６が設けられている。
このため、上記係合突起１４を上記仮止め凸部１２に当
接させるだけで、上記フロントバンパ１を所定の取付け
位置に位置決めすることができる。意図的にフロントバ
ンパ１を所定の位置にまで動かす必要がないので、取付
け作業が格段に容易となり、作業能率を大幅に向上させ
ることができる。

【００３９】さらに、上記フロントバンパ１と、このフ
ロントバンパの上方に設けられるライト類との間のすき
まを小さく設定することができるため、空力特性等を向
上させることもできる。

【００４０】本願考案の範囲は、上述の実施例に限定さ
れることはない。実施例においては、フロントバンパ１
の取付け構造に本願考案を適用したが、リヤバンパの取
付け構造に適用することもできる。

【００４１】また、実施例においては、係合突起１４
を、バンパ１の裏面から一体的に突出形成したが、別途
他の部品をバンパの裏面に取付けて構成することもでき
る。

【００４２】また、実施例においては、取付けボルト４
が螺合されるブラケット５を利用して仮止め構造を構成
したが、仮止めのみを行うために別途ブラケットを形成
することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案が適用されるバンパの取り付け構造の
分解斜視図である。

【図２】本願考案に係るパンパの取り付け構造の要部の
分解斜視図である。

【図３】バンパを取り付けた状態を示す要部の断面図で
ある。

【符号の説明】

１ フロントバンパ ２ 車体 ５ ブラケット １２ 仮止め凸部 １３ 仮止め凹部 １４ 係合突起 １５ 係合爪部 １６ 案内部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バンパを車体に対して取り付けるバンパ
   の取り付け構造であって、 車体に、上方に向かって幅方向寸法が縮小する正面視略
   台形状の板状仮止め凸部を備えるブラケットを設ける一
   方、 上記バンパに、上記仮止め凸部を両側から挟むようにし
   て係合させられる仮止め凹部を備える係合突起を車体前
   後方向突出状に設け、 上記仮止め凹部の開口端の両側に、先端どうしの間隔が
   上記仮止め凸部の最上部の幅方向寸法にほぼ対応するよ
   うになされて対向状に突出する係合爪部をそれぞれ形成
   するとともに、上記両係合爪部の外側に、上記仮止め凸
   部を上記仮止め凹部に案内するテーパ状の案内部をそれ
   ぞれ形成し、 上記仮止め凸部の前面に上記係合突起の先端部を当接さ
   せると上記仮止め凸部が上記テーパ状の案内部に案内さ
   れて上記係合突起の幅方向中心軸上に案内され、この状
   態で上記バンパを車体に対して持ち上げつつ車体に向け
   て押圧すると上記仮止め凸部が上記仮決め凹部に進入さ
   せられるとともに上記係合爪部が上記仮止め凸部の幅方
   向両側に係合して、上記バンパが車体に対して所定位置
   に仮止めされるように構成した ことを特徴とする、バン
   パの取り付け構造。