JP2580706B2 - カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸エステルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、工業的に重要な化合物であるカルボン酸エ
ステルを、カルボン酸アミドとギ酸エステルより効率よ
く製造する方法に関する。
(従来の技術) カルボン酸エステルは、工業的に重要な化合物であ
り、カルボン酸アミドからカルボン酸エステルを製造す
る例として、酢酸アミドから酢酸メチル、メタクリル酸
アミドからメタクリル酸メチル、アクリル酸アミドから
アクリル酸メチル、又はα−ヒドロキシイソ酪酸アミド
からα−ヒドロキシイソ酪酸メチル等がある。カルボン
酸アミドからカルボン酸エステルを製造する方法として
は、従来硫酸の存在下でカルボン酸アミドとアルコール
を反応させる方法が知られており、メタクリル酸メチル
の工業的製造法として広く実施されている。しかしこの
方法では、膨大な量の酸性硫安が副生し、その処理に多
大の費用を要すると共に、耐蝕性の高価な製造装置を要
する。
これらの欠点を解消する為、硫酸を使用することな
く、カルボン酸アミドとアルコールを反応させてカルボ
ン酸エステルを製造する方法が提案されている。特開昭
52−3015、特開昭53−141216、特開昭53−144524では、
金属塩、金属アルコラート等の存在下において液相で反
応を実施している。特開昭57−67534、特開昭58−49338
では、固体酸触媒の存在下において、気相で反応を実施
している。
これらの公知の方法では、目的とするカルボン酸エス
テルの収率、或いは選択率が低く、工業的には満足でき
るものではない。
又更に公知の方法においては、反応が高温下に行われ
ること、液相の場合には高圧を要すること、本反応では
多量のアンモニアが生成しその回収分離が必要なこと、
及び副生するカルボン酸との反応によりアンモニウム塩
を生ずること等、工業的には種々の難点を有している。
一方、カルボン酸アミドとギ酸エステルの反応によ
り、カルボン酸エステルとホルムアミドを製造する方法
が、特開昭58−55444、特開昭60−78937に提案されてい
る。
特開昭58−55444では、有機酸又は無機酸の金属塩、
或いは金属キレート化合物等の主触媒と窒素又はリンを
含む有機化合物の促進剤を併用するものである。
実施例によれば、反応温度150〜250℃、反応時間2〜
5hrの条件にて、カルボン酸エステル収率8.7〜78.9%で
あり、充分な収率とは言えず、又触媒系も高価であると
言う欠点がある。
特開昭60−78937では、アミジンや第三級アミンに、
更に金属カルボニルを組合わせた触媒系を使用し、反応
を実施している。この方法では、カルボン酸エステルの
選択率は比較的良好であるが、反応に高圧を要するこ
と、毒性の強い一酸化炭素と金属カルボニルを使用する
こと、触媒系が高価であること等の欠点がある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、カルボン酸アミドとギ酸エステルより
カルボン酸エステルとホルムアミドを製造する場合の改
良法について鋭意検討し、本発明に到達し完成させた。
即ち、アルカリ金属アルコラートを触媒とすることに
より、従来法に比較して極めて温和な条件で反応は効率
良く進行し、目的物のカルボン酸エステルとホルムアミ
ドが高選択率で得ることができることを見出した。
本発明で使用されるカルボン酸アミドは、脂肪族及び
芳香族カルボン酸のアミド、α−ヒドロキシ或いはα−
アミノカルボン酸アミドであり、ニトリルの水和、アミ
ンと一酸化炭素の反応等で合成されるものであり、例え
ばアセトアミド、乳酸アミド、アクリル酸アミド、メタ
クリル酸アミド、α−ヒドロキシイソ酪酸アミド、ベン
ズアミド、アラニンアミド等がある。
本発明に使用されるギ酸エステルは、炭素数1〜10の
脂肪族アルコールのギ酸エステルであり、脂肪族アルコ
ールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、オクタノール、シクロヘキサノール
等がある。
本発明で使用されるアルカリ金属アルコラートは、リ
チウム、ナトリウム、或いはカリウムと低級脂肪族アル
コールから合成されるものである。その代表例として
は、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナ
トリウムブチラート、カリウムメチラート、リチウムメ
チラート等が挙げられる。
本発明の方法におけるアルカリ金属アルコラートの使
用量は、カルボン酸アミドの1モル当り、0.001〜0.3モ
ルが適当であり、特に0.003〜0.2モルの範囲が好まし
い。
本発明の反応は平衡反応であり、反応率はカルボン酸
アミドとギ酸エステルとの仕込みモル比により大きく左
右される。工業的なカルボン酸エステルの製造という見
地からは、カルボン酸アミドの1モル当りのギ酸エステ
ル仕込量は、1〜6モルが適切である。
カルボン酸アミドは、一般に常温で固体であり、ギ酸
エステルに対する溶解度が低い場合が多い為、適当な溶
媒を使用するのが望ましい。溶媒としては、ギ酸エステ
ルを構成しているアルコールを使用するのが特に好まし
い。
反応温度と反応時間は、原料の種類及び触媒の仕込
量、更には目標反応率によって広い範囲を選び得るが、
一般的な反応条件としては、反応温度は0〜120℃の範
囲、特に20〜100℃が好ましい。反応時間は0.2〜10hrの
範囲、特に0.5〜10hrが好ましい。
〔実施例〕
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定され
るものではない。
実施例1 内容積120mlのステンレス製オートクレーブにα−ヒ
ドロキシイソ酪酸アミド10.3g(0.1モル)、ギ酸メチル
18g(0.3モル)、メタノール9.6g(0.3モル)、及びナ
トリウムメチラート0.27g(0.005モル)を仕込み、30℃
で3hr反応させた。生成物を10℃まで冷却後、オートク
レーブより取出し、ガスクロマトグラフ分析を行った。
その結果、α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの反応率は65
%であり、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルへの選択率は
95.2%であった。α−ヒドロキシイソ酪酸アミド基準の
ホルムアミドへの選択率は92.8%であった。
実施例2 仕込カルボン酸アミドを酢酸アミド5.9g(0.1モル)
に代えた他は、実施例1と同様の手法で反応させた。
酢酸アミドの反応率は58.5%であり、酢酸メチルへの
選択率は97.5%であり、ホルムアミドへの選択率は94.8
%であつた。
実施例3 仕込カルボン酸アミドをメタクリル酸アミド8.5g(0.
1モル)に代えた他は、実施例1と同様の手法で反応さ
せた。
メタクリル酸アミドの反応率は68.5%であり、メタク
リル酸メチルへの選択率は93.8%であり、ホルムアミド
への選択率は93.2%であつた。
実施例4 仕込カルボン酸アミドをバリンアミド11.6g(0.1モ
ル)に代えた他は、実施例1と同様の手法で反応させ
た。
バリンアミドの反応率は72%であり、メチルエステル
への選択率は92.4%、及びホルムアミドへの選択率は9
3.5%であつた。
実施例5 仕込カルボン酸アミドをニコチン酸アミド12.2g(0.1
モル)に代えた他は、実施例1と同様の手法で反応させ
た。
ニコチン酸アミドの反応率は64.8%であり、ニコチン
酸メチルへの選択率は91.9%、及びホルムアミドへの選
択率は92.8%であつた。
実施例6 仕込ギ酸メチルをギ酸ブチル51g(0.5モル)に、アル
コールをブタノール22.2g(0.3モル)に代えた他は、実
施例1と同様の手法で反応させた。
α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの反応率は75.5%であ
り、α−ヒドロキシイソ酪酸ブチルへの選択率は94.7%
であり、ホルムアミドへの選択率は92.2%であつた。
実施例7 ナトリウムメチラートの仕込量を0.077g(0.0015モ
ル)とし、30℃で5hr反応させた他は、実施例1と同様
に実施した。
α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの反応率は58.6%であ
り、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルへの選択率は92.6%
であり、ホルムアミドへの選択率は84.9%であつた。
実施例8 ナトリウムメチラートの仕込量を0.077g(0.0015モ
ル)とし、70℃に代えて反応させた他は、実施例1と同
様に実施した。
α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの反応率は62.4%であ
り、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルへの選択率は93.5%
であり、ホルムアミドへの選択率は94.2%であつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/54 9546−4H C07C 69/54 69/675 9546−4H 69/675 213/08 7457−4H 213/08 219/06 7457−4H 219/06 C07D 213/803 C07D 213/803

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属アルコラートの存在下に、カ
    ルボン酸アミドとギ酸エステルを反応させることを特徴
    とするカルボン酸エステルの製造方法。
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