JP3931926B2 - メタクリルアミドの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、メタクリルアミドの液相における製造方法に関する。より詳しくは、メチルメタクリレートを液相下、強塩基性触媒を用いてホルムアミドと反応を行う事を特徴とするメタクリルアミドの製造方法に関する。
メタクリルアミドは、樹脂や塗料の改質剤、或はバインダー等として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
メタクリルアミドはメチルメタクリレート(以下、MMAと略記)と過剰のアンモニアを室温下、無触媒、或はアルコキシドやアンモニウム塩等の塩基性触媒を用いて製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の製造法では収率向上の為には大過剰のアンモニアが必要である事、しかも長時間の反応時間を要し選択率が低く不純物が多い事、アンモニアを用いる為加圧容器が必要な事等の様々な問題点を抱えている。これらの課題を解決する試みとして、例えば特開平2−22255号に記載の方法の様にアンモニウム塩を触媒に用いると、幾分収率の向上、及び不純物の低減が見られるがメタクリル酸が5から10%程度生成しており充分とは言えない。
本発明者等は、前述の課題を解決する方法について鋭意検討を重ね、アンモニアに代えてホルムアミドを用いてアミド化を行うと、常圧、室温近辺の温和な条件下に於て反応が進行し、メタクリル酸やMMAの二重結合部が副反応した不純物を低減出来る事を見出し、更に該アミド化において生成する蟻酸メチルは容易に回収可能であり、引き続きアンモニアと反応させてホルムアミドに変換出来るので、経済性に優れた方法となり得る事を見出し本発明を成すに至った。
【0004】
【課題を解決する為の手段】
即ち、本発明は、メタクリルアミドの液相における製造方法であり、より詳しくは、メチルメタクリレートを液相下、強塩基性触媒を用いてホルムアミドと反応させる事を特徴とするメタクリルアミドの製造方法である。更にはメチルメタクリレートとホルムアミドの反応によって生成する蟻酸メチルをアンモニアと反応させてホルムアミドとする工程を組み合わせてなる事を特徴とするメタクリルアミドの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に必須のMMAとホルムアミドの反応は所謂、アミド−エステル交換反応であり、強塩基性触媒によって円滑に下式の様に進行する。この反応に用いる
【化1】
強塩基性触媒は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムブトキシド等の様な金属アルコキシド類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、或は市販の強塩基性イオン交換樹脂、代表的なものとしてスチレン−ジビニルベンゼン共重合のアルキルアンモニウム塩型があり、例えば、商品名ダイヤイオンPA−306、SA−12、アンバーリストA−27等が挙げられる。
この塩基性触媒の使用量は原料組成、即ちMMAとホルムアミドの使用量によって異なるが、通常、MMAに対して0.5重量%以上用いる事が好ましく、1から20重量%の範囲が特に好ましい。
【0006】
原料のMMAとホルムアミドの組成に特に制限は無いが、メタクリルアミドの収率はホルムアミド過剰の場合高くなるので、ホルムアミドをMMAに対して、1から8倍モルの範囲で用いる事が好ましく、特に3から5倍モルが好ましい。反応温度は室温から80℃が好ましく、特に30から60℃で行うのが好ましく、加圧下でも行う事が出来るが常圧下に反応を行う事が好ましい。
上記反応はMMAの重合を防止する為、メトキノンやヒドロキノン等の重合防止剤をMMAに対して、好ましくは100から1000ppm添加して行う。反応はバッチセミバッチ、或は連続流通方式の中、いずれの方式を用いても良い。
上記、アミド−エステル交換反応に於て、未反応のMMAが生じた場合は、例えばメタノール等と共沸混合物を形成させて回収する事が出来る。当該反応では理論上、MMAに対して当量の蟻酸メチルが生成するがこれは沸点が低く容易に回収可能である。回収した蟻酸メチルはアンモニアと反応させてホルムアミドにする事で無駄を省く事が出来る。蟻酸メチルとアンモニアの反応でホルムアミドを得る方法は、既に公知であり、アルコール存在下に無触媒、或は塩基性触媒等を用いて製造される。文献としては、例えば、ウルマンエンチクロペディ(1976年11巻704頁)やBASF社特許(DE 2、623、173 :76/05/22)等が挙げられる。
【0007】
MMAとホルムアミドのアミド−エステル交換反応をホルムアミド過剰で行う際の未反応のホルムアミドは減圧下に回収する事で、生成物のメタクリルアミドを容易に分離可能である。この為、当該製造法は工業的な観点から見て、原料の損失が少なく、常圧下の温和な条件で不純物の少ないメタクリルアミドが得られる非常に優れた方法である。
【0008】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例は、撹拌機、蒸留用側管、温度計等を備えた4つ口フラスコを精密に温度制御して、常圧下に反応を行った。結果の一覧を表1に示した。尚、本発明を実施する際の典型的な製造工程を図1に例示する。
【0009】
実施例1
MMA(1モル)、ホルムアミド(5モル)、28%ナトリウムメトキシド溶液を40g(ホルムアミドに対して5重量%)、更にメトキノンをMMAに対して100ppm加え、50℃で2時間反応させた。反応終了後ガスクロクロマトグラフ分析を行った結果、MMAの添加率は75%、選択率99%、メタクリルアミドの収率74%であった。又、メタノールとの共沸によって未反応のMMAが22%回収された。
【0010】
実施例2
実施例1に於て、触媒として13%水酸化ナトリウムのメタノール溶液86gを用いた以外は同様とした。分析の結果、MMAの添加率は45%、選択率95%、メタクリルアミドの収率は43%であった。又、メタノールとの共沸によって未反応のMMAが49%回収された。
【0011】
実施例3
実施例1に於て、触媒としてダイヤイオンPA−308(三菱化学、商品名)を、11g(ホルムアミドに対して10重量%)用いた以外は同様とした。分析の結果、MMAの添加率は9.5%、選択率89%、メタクリルアミドの収率は8.5%であった。
【0012】
実施例4
MMA(1モル)、ホルムアミド(1モル)、触媒としてダイヤイオンSA−12A(三菱化学、商品名)を4.5g(ホルムアミドに対して10重量%)用い、更にメトキノンをMMAに対して500ppm加え、50℃で2時間反応させた。分析の結果、MMAの添加率は4.5%、選択率89%、メタクリルアミドの収率は4%であった。
【0013】
実施例5
MMA(1モル)、ホルムアミド(8モル)、28%ナトリウムメトキシド溶液を64g(ホルムアミドに対して5重量%)、更にメトキノンをMMAに対して100ppm加え、65℃で4時間反応させた。分析の結果、MMAの添加率は99.5%、選択率99.5%、メタクリルアミドの収率99%であった。
【0014】
比較例1
MMA 20g(0.2モル)、28重量%のアンモニア水95g(1.6モル)メトキノン 0.004gをガラス製オートクレーブに仕込み、50℃で3時間反応を行った。分析の結果、MMAの添加率は83%、選択率63%、メタクリルアミドの収率は52%であった。
【0015】
比較例2
比較例1に於、硫酸アンモニウム10.6g(0.08モル)を触媒に用いた以外は同様とした。分析の結果、MMAの添加率は89%、選択率86%、メタクリルアミドの収率は76%であった。
【0016】
【発明の効果】
以上、実施例、比較例を用いた説明から明らかな様に本発明によれば、常圧、室温付近の穏やかな条件でアミド化反応が円滑に進行する。原料のMMAに対して理論上生成する当モルの蟻酸メチルはアンモニアと反応させてホルムアミドとして再生可能であり、原料の損失が殆ど無く、しかも生成したメタクリルアミドは不純物が少なく工業的に優れた方法であり、その意義は非常に大きい。
【0017】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の態様を示す製造プロセス。
【符号の説明】
1;反応器
Claims (1)
- メチルメタクリレートからメタクリルアミドを製造する方法であって、(a)強塩基性触媒存在下、メチルメタクリレートとホルムアミドをアミド化反応させてメタクリルアミドを製造する工程と、(b)該アミド化反応において生成する蟻酸メチルをアンモニアと反応させてホルムアミドとする工程と、 ( c ) 前記工程(b)で得られたホルムアミドを前記工程(a)に循環使用する工程とを含むことを特徴とするメタクリルアミドの製造方法。
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JP21866896A JP3931926B2 (ja) | 1996-08-20 | 1996-08-20 | メタクリルアミドの製造方法 |
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- 1996-08-20 JP JP21866896A patent/JP3931926B2/ja not_active Expired - Fee Related
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