JP2578384Y2 - 建築用半厚パネル製作治具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、建築用半厚パネル製作
治具、特に２枚が積層されることによって１つの壁部を
構成する界壁や間仕切用の半厚パネルの製作工程中に用
いられる治具の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】いわゆるパネル工法において、床パネル
上に複数の壁パネルを連結して１つの部屋をユニット化
した状態で設置する場合、そのユニット相互が当接され
る部分の壁部が壁パネル２枚が重なって通常の壁部の２
倍の厚さになることを防止するため、そのようなユニッ
トルームの当接部の壁部は通常の半分の厚さに構成され
る。このような半分の厚さの壁部を壁パネルにて構成す
るため、２分の１の厚さを有するいわゆる半厚パネルが
必要となる。

【０００３】図４（Ａ）及び（Ｂ）は上記のような半厚
パネルの構成を示す分解斜視図及びそのような半厚パネ
ルを組み合わせて形成された界壁パネルの縦断面図であ
る。図示のように、半厚パネル１０は方形状に組まれた
外枠芯材１２及びその外枠芯材１２の対向する２辺間に
架設された補助芯材１４にて枠体を構成し、その一方の
面にパネル面材１６を固着するようにしている。

【０００４】外枠芯材１２及び補助芯材１４は、通常の
壁パネルの厚さの半分の厚さに形成され、補助芯材１４
は一方の対向する２辺間にその中心からやや偏位させた
位置に１本のみ設置されている。また、補助芯材１４に
直交する方向の芯材は設けられていない。

【０００５】このような半厚パネル１０をパネル面材１
６を固着していない面を対向させて２つ組み合わせた界
壁パネル１８が同図（Ｂ）に示されており、図示のよう
に補助芯材１４が互いに対向しないように上下を反対に
して組み合わされている。このように界壁パネル１８を
構成することにより、補助芯材１４はこの界壁パネル１
８を補強する機能を奏するが、互いに連続していないの
で、この界壁パネル１８によって仕切られた一方の部屋
から他方の部屋へ補助芯材１４を通して音が伝達するこ
とが有効に防止されている。

【０００６】なお、界壁パネルではなく、間仕切パネル
の場合には、補助芯材を中心から偏位させる必要はな
く、中心位置に設置するようにしている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】一般に、壁パネルを製
造する場合、予め枠部分の組付け作業が行われる。すな
わち、外枠芯材１２及び補助芯材１４を仮組し、これら
を正確に位置合わせすると共にしっかりと組み付ける作
業が行われる。この組付け作業では、仮組された枠部材
を所定の台に設置し、これに対し側方及び上方から圧力
を加えるボディープレス作業が行われて、接着がなされ
る。

【０００８】このような半厚パネルへのボディープレス
作業を通常の厚さを有し、かつ補助芯材１４と直交する
方向にも補助芯材が設けられているような壁パネルと同
様に行うと、上記図４（Ａ）に示したような半厚パネル
の枠部材では補助芯材１４と平行に伸長する外枠芯材の
枠部材１２−１及び１２−２の部分はそれ自体厚さが薄
くかつ直交する方向に芯材がないので、内方へ撓んでし
まうおそれがある。

【０００９】従って、これを防止するため半厚パネルの
枠部材を２つ積層し、通常の壁パネルの枠部材と同様の
厚さとして設置し、さらにこれをステープルなどで仮固
定し、さらに補助芯材１４とこれに平行に伸長する外枠
芯材１２の枠部材１２−１及び１２−２とのそれぞれと
の間に撓みを防止するためのスペーサ部材を設置し、そ
のスペーサ部材をステープルなどで仮止めした状態とし
てボディープレス作業を行う必要がある。

【００１０】しかしながら、このような準備をしてボデ
ィープレス作業を行うことは、各スペーサ部材の設置に
も時間がかかり、またボディープレス作業の終了後に２
つの枠部材を分離する作業だけでなく、仮止めされてい
るスペーサ部材を取り除くための面倒な作業が生ずるこ
ととなる。

【００１１】本考案は、上記問題点を解決することを課
題としてなされたものであり、その目的は、半厚パネル
の製造時における芯材の枠組工程において枠部材が撓む
ことを有効に防止することのできる着脱容易な建築用半
厚パネル製作治具を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案に係る建築用半厚パネル製作治具は、通常の
建築用パネルの半分の厚さで方形状に枠組みされる外枠
芯材と、前記外枠芯材の一対の対向辺間に平行に組こま
れる補助芯材と、前記外枠芯材および補助芯材の片側目
に取付けられる面材とを圧縮接着する際に前記外枠芯材
の圧締による撓みを防止する建築用半厚パネル製作治具
であって、前記補助芯材と、これに平行に伸長する外枠
芯材との間の間隔よりやや短い長さの治具本体と、該治
具本体の両端に取り付けられ、端部外方へ突出する位置
保持用の弾性体と、を有し、前記治具本体を補強芯材と
外枠芯材との間に直交させて挿入し、弾性部材を補強芯
材及び外枠芯材により圧縮させ、その圧力により治具本
体を位置保持することを特徴とする。

【００１３】

【作用】上記構成の建築用半厚パネル製作治具によれ
ば、補助芯材とこれにほぼ平行に伸長する外枠芯材との
間に治具本体を設置すると、その治具本体は両端に取り
付けられた弾性体の圧縮反力によって補助芯材とこれに
対向する外枠芯材の間に挾まれて位置保持される。すな
わち、ステープルなどの仮止め部材を用いて治具本体を
仮固定することなく治具本体を押込むという作業のみに
よって仮止めされた状態とすることができる。このよう
な治具を補助芯材の両側面にそれぞれ対向させて設置す
ることにより、外方からボディープレスによる圧力が加
えられた場合でも外枠芯材の補助芯材と平行な枠部材の
撓みを有効に防止することができる。

【００１４】また、このような建築用半厚パネル製作治
具を補助芯材の伸長方向に複数個、所定間隔をおいて設
置することにより、より良好な撓み防止機能を発揮する
ことができる。

【００１５】そして、その設置作業は仮止め部材などを
用いることなく押し込むという簡単な作業のみによって
行うことができるので、枠組作業の迅速化が図られるこ
ととなる。

【００１６】さらに、ボディープレス作業終了後におい
ては、仮止め部材を取り外すなどの面倒な作業を行うこ
となく治具本体をそのまま引き抜くことによって簡単に
取り除くことができ、ボディープレス後の作業の迅速性
にも寄与することができる。

【００１７】

【実施例】以下、図面に基づいて本考案の実施例につい
て詳細に説明する。

【００１８】図１は、本考案に係る建築用半厚パネルの
製作治具の構成を示す図であり、同図（Ａ）は一部省略
平面図、同図（Ｂ）は一部省略側面図、同図（Ｃ）は弾
性体の構成を示す斜視図である。

【００１９】図示のように、治具本体２０は、所定長さ
を有する木製の柱状体に形成されている。この治具本体
２０の長さは、補助芯材１４とこれにほぼ平行に伸長す
る外枠芯材１２の枠部材との間の間隔よりもやや短い長
さとされている。

【００２０】そして、治具本体２０の両端には弾性体２
２−１及び２２−２がそれぞれ取り付けられている。こ
の弾性体２２は、同図（Ｃ）に示したように金属製のプ
レートを屈曲させて形成されており、固定部２２ａ及び
押圧部２２ｂとからなっている。押圧部２２ｂは固定部
２２ａより下方へほぼ直角に屈曲させ、その屈曲部分を
さらに上方へ折り曲げ所定角度傾斜した状態として形成
している。従って、図上矢印１００で示した方向に押し
曲げることが可能であり、その押し曲げ動作に対して矢
印２００方向へ反力を発揮する。

【００２１】この弾性体２２の取付は、同図（Ａ）及び
（Ｂ）に示したように治具本体２０の両端に形成された
切欠２４の部分に押圧部２２ｂが位置するようにして行
われる。すなわち、固定部２２ａを治具本体２０の上面
に設置し、ねじ２６を固定部２２ａの取付孔２８から貫
通させて螺入することによって取り付けている。この状
態で、押圧部２２ｂは治具本体２０の両端より外方へ突
出しており、この突出状態での両端の長さは、補助芯材
１４と外枠芯材１２との間の間隔よりも長くなってい
る。すなわち、このように形成された建築用半厚パネル
製作治具を補助芯材１４と外枠芯材１２との間に押圧部
２２ｂを押し曲げるようにして押込み設置すると、治具
本体２０は弾性体２２によって両側に押圧力を加えつつ
安定して保持されることとなる。

【００２２】図２はこのような実施例に係る治具を設置
している状態を示している。外枠芯材１２が２つそれぞ
れの補助芯材１４を重ねるようにして積層されている。
そして実施例に係る建築用半厚パネル製作治具３０が４
個設置されている。その設置動作は治具本体２０を付勢
部２２ｂを押し曲げつつ上方から押込むという簡単な動
作によって行われている。

【００２３】図示のように、４個の治具３０をそれぞれ
２個ずつ対向する位置に設置することにより、補助芯材
１４を中心にして両側の外枠芯材１２の枠部材１２−１
及び１２−２が内方へ湾曲することを確実に防止するこ
とができる。なお、補助芯材１４は、外枠芯材１２の中
心位置からやや偏位した状態に設置されているので、そ
の補助芯材１４の両側に設置される建築用半厚パネル製
作治具３０は、それぞれその長さが異なるものである。

【００２４】図３は、実施例に係る建築用半厚パネル製
作治具３０を用いて界壁用半厚パネルの製造を行う場合
の工程図を示している。

【００２５】まず、同図（Ａ）に示すように、２つの仮
組された外枠芯材１２及び補助芯材１４を２つ積層しス
テープル３２によって複数箇所で仮固定する。

【００２６】次に、同図（Ｂ）に示すように、本実施例
に係る建築用半厚パネル製作治具３０を補助芯材１４の
両側に設置する。このとき、半厚パネル製作治具３０は
積層された２つの外枠芯材１２及び補助芯材１４の双方
に跨る位置に設置される。

【００２７】この状態で、ボディープレス作業が行われ
る。その作業中における圧力に対しては半厚パネル製作
治具３０が２つの外枠芯材１２の双方をしっかりと内側
から支持しているので、内方への撓みが有効に防止され
る。

【００２８】そして、同図（Ｃ）に示すように、外枠芯
材１２の表面にパネル面材１６を固着する作業が行われ
る。

【００２９】さらに、同図（Ｄ）に示したように、２つ
の半厚パネル１０を分離する作業を行う。この分離作業
は、仮止めしているステープル３２の固定力に抗して２
つを引き離す力を加えることによって行うものである。

【００３０】以上のように、本実施例によれば、仮組さ
れた枠部材に上方から簡単に押込み作業を行うことによ
ってスペーサとしての半厚パネル製作治具３０を設置す
ることができ、外枠芯材のボディープレス時における内
方への撓みを有効に防止することができる。さらに、半
厚パネル製造終了後において使用者が他の部材を用いる
ことなく簡単に引き抜いて取り除くことができる。

【００３１】なお、本考案は、上記実施例に限定される
ものではなく、考案の要旨の範囲内で種々の変更が可能
である。

【００３２】例えば、治具本体２０は木製の柱状体を用
いたが、これに限られず、十分な強度を有するものであ
れば樹脂製の筒体などを用いて形成することも可能であ
る。

【００３３】また、弾性体２２についても実施例のよう
な金属製プレート体を用いて構成するものに限られず、
治具本体２０の両端外方へ付勢力を発揮することができ
るものであれば他の構成とすることも可能である。但
し、装着の容易性という点においては上記実施例のよう
な下方から上方へ向けてやや広がるようにテーパを付け
た押圧部２２ｂの構成が好適である。

【００３４】さらに、半厚パネルは実施例のような界壁
用の場合に限らず、間仕切パネルにも適用し得るもので
ある。

【００３５】

【考案の効果】以上説明したように、本考案に係る建築
用半厚パネル製作治具によれば、半厚パネルの製作工程
における仮組された枠部材のボディープレス作業時にお
いて、簡単な取付動作によって外枠芯材内に取り付ける
ことができ枠部材の内方への撓みを有効に防止すること
ができる。

【００３６】また、枠部材の組付け作業終了後において
も簡単に取り外すことができるので、半厚パネル製造作
業の迅速化並びに簡略化を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）はそれぞれ実施例に
係る建築用半厚パネル製作治具の一部省略平面図、一部
省略側面図及び弾性体の斜視図である。

【図２】実施例に係る建築用半厚パネル製作治具の取付
状態を示す斜視図である。

【図３】（Ａ）〜（Ｄ）は実施例に係る建築用半厚パネ
ル製作治具を用いて半厚パネルを構成する工程図であ
る。

【図４】（Ａ）及び（Ｂ）は従来の一般的な半厚パネル
の構成を示す分解斜視図及び半厚パネルを用いて形成し
た界壁パネルの縦断面図である。

【符号の説明】

１２ 外枠芯材 １４ 補助芯材 ２０ 治具本体 ２２ 弾性体 ２２ａ 固定部 ２２ｂ 押圧部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 通常の建築用パネルの半分の厚さで方形
   状に枠組みされる外枠芯材と、 前記外枠芯材の一対の対向辺間に平行に組こまれる補助
   芯材と、 前記外枠芯材および補助芯材の片側目に取付けられる面
   材とを圧縮接着する際に前記外枠芯材の圧締による撓み
   を防止する建築用半厚パネル製作治具であって、 前記補助芯材と、これに平行に伸長する外枠芯材との間
   の間隔よりやや短い長さの治具本体と、 該治具本体の両端に取り付けられ、端部外方へ突出する
   位置保持用の弾性体と、を有し、 前記治具本体を補強芯材と外枠芯材との間に直交させて
   挿入し、弾性部材を補強芯材及び外枠芯材により圧縮さ
   せ、その圧力により治具本体を位置保持することを特徴
   とする建築用半厚パネル製作治具。