JP2529126Y2 - 貨物自動車の荷台傾斜移動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、荷台床高に比べて荷台長の短かい貨物自
動車の荷台傾斜移動装置に関する。

〔従来の技術〕

貨物自動車の荷台傾斜移動装置として、後車輪近傍の
シャシに軸止され、複数個のコロを有する荷台のスライ
ド用ガイドレールと、荷台の前方下部のシャシ上に設け
られ、荷台の後方に向かってせり上がる状態に傾斜する
荷台傾斜用ガイドレールと、荷台の前端下部に支持部材
を介して取付けられ、荷台傾斜用ガイドレールに沿って
回転移動するコロと、荷台に一端が連結されている油圧
装置とから成り、荷台が該油圧装置の働きにより、荷台
傾斜用ガイドレールの規制を受けながら荷台スライド用
ガイドレール上を前後に移動するもの（実公昭55-10176
号）が提案されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、このような荷台傾斜移動装置は、例えば軽自
動車のように、荷台床高に比べて荷台長が短い車両で
は、荷台を後端が接地する状態まで傾斜させたとき、荷
台の傾斜角度が大きくなる。従って自走式の機械等を積
込む場合自力登板できず積込が困難であるため、荷台傾
斜移動装置をこのような車輌に設けるのは不適当だと考
えられていた。

この考案は荷台傾斜装置におけるかかる問題を解決す
るものであって、荷台床高に比べて荷台長の短かい車輌
において、荷台傾斜時に荷台の傾斜角度を小さくでき、
自走式の機械等が荷台床板を容易に登板できる荷台傾斜
移動装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この考案の貨物用自動車の荷台傾斜移動装置では、シ
ャシフレームに荷台傾斜用ガイドレールを設け、荷台床
板下側に断面Ｉ型の荷台支持レールを設け、この荷台支
持レールの内側に荷台摺動用ガイドレールを前後摺動可
能に嵌装し、この荷台摺動用ガイドレールの前端下方に
荷台傾斜用ガイドレールに係合するガイドローラを取付
け、シャシフレームの後端荷台支持レールの外側に係合
する荷台支持ローラを設けると共に、シャシフレームと
荷台との間に荷台移動用シリンダ装置を設けることによ
り、上記課題を解決している。

〔作用〕

荷台移動用シリンダのピストンロッドを伸長すると、
荷台は後方に押され、荷台支持レールが荷台支持ローラ
上を滑って後方へ移動する。このとき荷台傾斜用ガイド
レールに係合して転動するガイドローラと荷台傾斜用ガ
イドレールとの間の摩擦は転がり摩擦であり、荷台支持
レールと荷台摺動用レールとの間の摩擦は滑り摩擦であ
るので、ガイドローラと荷台傾斜用ガイドレールとの間
の静止摩擦力より荷台支持レールと荷台摺動用レールと
の間の静止摩擦力の方がはるかに大きい。そこで、荷台
支持レール内に荷台摺動用レールが収納された状態で摺
動が生ずる前にまずガイドローラが転動を開始するの
で、荷台摺動用レールも荷台支持レールと共に後方へ移
動するが、ガイドローラが荷台傾斜用ガイドレールに案
内されながら移動するため、荷台には傾斜が与えられ
る。ガイドローラが荷台傾斜用ガイドレールの後端に達
した後は荷台傾斜角は変らず、更にピストンロッドを伸
長すると、荷台支持レールは、荷台摺動用レールに沿っ
て荷台後端が接地するまで後方へ移動する。

〔実施例〕

図面を参照しこの考案の実施例を説明する。

第１図は、この考案の一実施例である貨物自動車の荷
台傾斜移動装置の荷台の傾斜した状態を示す側面図、第
２図は、荷台を格納した状態を示す側面図、第３図は荷
台傾斜移動装置の説明図、第４図、第５図は第３図のIV
-IV線、Ｖ−Ｖ線断面図である。

図において、１は貨物自動車の運転席、２はシャシフ
レームであり、このシャシフレーム２には後方（図上右
方）が昇り傾斜となる荷台傾斜用ガイドレール３が設け
られている。４は荷台であり、この荷台４の荷台床板５
の下側には断面Ｉ型の荷台支持レール６が設けられてい
る。この荷台支持レール６の外側には、シャシフレーム
２の後端に取付けられた荷台支持ローラ７が係合されて
おり、この荷台支持ローラ７上を荷台支持レール６が滑
動することにより荷台４が前後に移動できる。荷台支持
レール６の内側には荷台摺動用レール８が前後摺動可能
に嵌装されている。その摺動長は、自走式の機械19が容
易に自力で荷台床板５上を登板することができる程度に
荷台傾斜角度θを小さくできる長さに設定されている。
この荷台摺動用レール８は前端の支腕8a下端にガイドロ
ーラ９が取付けられている。このガイドローラ９は、荷
台傾斜用ガイドレール３に係合されている。シャシフレ
ーム３と荷台４との間には、荷台移動用シリンダ10が設
けられている。この荷台移動用シリンダ10はシリンダチ
ューブ10aと、２段に伸縮する、ピストンロッド10b、10
cとを備えており、シリンダチューブ10aが、シリンダ支
持ピン11でシャシフレーム２の後端部に支持されてお
り、ピストンロッド10cの先端がピストンロッド支持ピ
ン12で荷台床板５の後端部に取付けられている。13は荷
台後端に回動可能に設けられた導板であり、積込作業時
は後方へ倒して接地させ、走行時は、荷台４側に固定す
る。14はシャシフレーム２の後端に設けられた支持脚で
あり、積込作業時には、伸長して接地させ支持脚固定ピ
ン15で固定して車輌の安定を保持する。16は荷台４後端
の支点、17は貨物自動車の後輪、18は前輪である。

積込作業時には、支持脚14を伸長して接地させ支持脚
固定ピン15で固定した後、荷台移動用シリンダ10のピス
トンロッド10b、10cを伸長させる。そこで荷台４は後方
へ押され、荷台支持レール６が荷台支持ローラ７上を滑
って後方へ移動する。このとき、荷台傾斜用ガイドレー
ル３に係合して転動するガイドローラ９と荷台傾斜用ガ
イドレール３との間の摩擦は転がり摩擦であり、荷台支
持レール６と荷台摺動用レール８との間の摩擦は滑り摩
擦であるので、ガイドローラ９と荷台傾斜用ガイドレー
ル３との間の静止摩擦力より荷台支持レール６と荷台摺
動用レール８との間の静止摩擦力の方がはるかに大き
い。そこで、荷台支持レール６内に荷台摺動用レール８
が収納された状態で摺動が生ずる前にまずガイドローラ
９が転動を開始するので、荷台摺動用レール８も荷台支
持レール６と共に後方へ移動するが、ガイドローラ９が
荷台傾斜用ガイドレール３に案内されながら移動するた
め、後方へ行くに従って、ガイドローラ９が上昇し、荷
台傾斜角度θが増加する。ガイドローラ９が上昇し、荷
台傾斜用ガイドレール３の後端に達するとその後、荷台
傾斜角度θは一定となり、更にピストンロッド10b、10c
を伸ばすと、荷台支持レール６は荷台摺動用レール８に
沿って荷台４の後端の支点16が接地するまで後方へ摺動
する。従って、荷台傾斜角度θを小さく保つことができ
る。支点16が接地したら導板13を後方へ倒して接地さ
せ、貨物を荷台４へ積込む。このとき、荷台傾斜角度θ
が小さいため、自走式の機械19は容易に自力で荷台床板
５上を登板することができる。

貨物を積込んだ後、荷台４を格納する場合には、まず
導板13を上げて荷台４側に固定し、次に荷台移動用シリ
ンダ10を短縮させる。すると荷台４は前方へ引かれ、荷
台摺動用レール８が荷台支持レール６から伸びだしたま
まの状態で前方へ移動する。ガイドローラ９が荷台傾斜
用ガイドレール３の前端に達してから更に荷台移動用シ
リンダ10を短縮させると、荷台支持レール６は荷台摺動
用レール８に沿って前方へ移動し、荷台４は第２図の格
納位置へ戻る。それから支持脚14を縮め、支持脚固定ピ
ン15で固定した後、貨物自動車を走行させる。

〔考案の効果〕 この考案の貨物自動車の荷台傾斜移動装置は、上記の
如く構成されているため、荷台傾斜時に荷台の傾斜角度
を小さくすることができ、自走式の機械等が荷台床面を
容易に登坂できるため、積込作業の能率が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例である貨物自動車の荷台傾
斜移動装置の荷台が傾斜した状態を示す側面図、第２図
は荷台を格納した状態を示す側面図、第３図は荷台傾斜
移動装置の説明図、第４図は第３図のIV-IV線断面図、
第５図は、第３図のＶ−Ｖ線断面図である。 ２……シャシフレーム、３……荷台傾斜用ガイドレー
ル、４……荷台、５……荷台床板、６……荷台支持レー
ル、７……荷台支持ローラ、８……荷台摺動用レール、
９……ガイドローラ、10……荷台移動用シリンダ。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャシフレーム上に設けた荷台傾斜用ガイ
   ドレールと、荷台床板下側に設けた、断面Ｉ型の荷台支
   持レールと、該荷台支持レールの内側に前後摺動可能に
   嵌装した荷台摺動用レールと、該荷台摺動用レールの前
   端下方に取付けられ前記荷台傾斜用ガイドレールに係合
   するガイドローラと、前記シャシフレームの後端に取付
   けられ前記荷台支持レールの外側に係合する荷台支持ロ
   ーラと、前記シャシフレームと荷台との間に設けた荷台
   移動用シリンダとからなる貨物自動車の荷台傾斜移動装
   置。