JP2011148475A - トラックおよびトラック用の荷台スライド傾斜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】荷台長が3300mm以下のトラックに好適な荷台スライド傾斜装置およびその荷台スライド傾斜装置を搭載したトラックを提供する。
【解決手段】荷台スライド傾斜装置5が搭載されたトラックでは、荷台の下面に、複数のラックギヤ29が車幅方向に互いに間隔を空けて固定されている。各ラックギヤ29は、前後方向に荷台のほぼ全長にわたって延びている。各ラックギヤ29には、ピニオンギヤ30が噛合している。ピニオンギヤ30は、シャシ2の後端部に回転自在に設けられる回動軸21により連結されている。回動軸21には、スプロケット22が取り付けられており、このスプロケット22と電動モータ23の出力軸に取り付けられたプーリ24との間には、チェーン25が巻回されている。
【選択図】図3
【解決手段】荷台スライド傾斜装置5が搭載されたトラックでは、荷台の下面に、複数のラックギヤ29が車幅方向に互いに間隔を空けて固定されている。各ラックギヤ29は、前後方向に荷台のほぼ全長にわたって延びている。各ラックギヤ29には、ピニオンギヤ30が噛合している。ピニオンギヤ30は、シャシ2の後端部に回転自在に設けられる回動軸21により連結されている。回動軸21には、スプロケット22が取り付けられており、このスプロケット22と電動モータ23の出力軸に取り付けられたプーリ24との間には、チェーン25が巻回されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、荷台長が3300mm以下のトラックおよびそのトラック用の荷台スライド傾斜装置に関し、とくに軽自動車規格のトラック(軽トラック)およびその軽トラックに好適な荷台スライド傾斜装置に関する。
軽トラックや最大積載量が1000kg以下の小型トラック(以下、単に「小型トラック」という。)は、たとえば、田植機などの農耕機の運搬に広く使用されている。
軽トラックおよび小型トラックでは、荷台がシャシ(フレーム)に固定されている。そのため、荷台への農耕機の積み降ろしは、荷台の後端と地面との間に歩み板を架設して、農耕機を歩み板上を移動させることにより行われる。
歩み板の長さが大きいほど、歩み板が荷台と地面との間に架設されたときに、その歩み板の傾斜角度が小さくなり、農耕機を安全かつ容易に積み降ろしすることができる。その一方で、歩み板の長さが大きいほど、歩み板の重量が増し、歩み板の取り扱いが困難になる。したがって、歩み板には、ある程度楽に取り扱うことができながら、農耕機の積み降ろしに必要最低限の安全性が確保される長さの木板または金属が用いられる。
しかしながら、とくに高齢の農作業者にとっては、歩み板の取り扱いは決して楽ではない。また、荷台と地面との間に架設された歩み板の傾斜角度が大きく、農耕機の積み降ろしには、歩み板上からの農耕機の転落などの危険が伴う。
そこで、規模の大きい農家の中には、農耕機の運搬用に、荷台上に小型乗用車などを積載して運搬可能なキャリアカーを購入している農家もある。キャリアカーは、荷台をシャシの後方にスライドさせて傾斜させるための装置(機構)を搭載している。この荷台スライド傾斜装置は、たとえば、荷台のスライドを案内するためのガイドレールと、荷台をスライドさせるための動力源である油圧シリンダとを備えている。油圧シリンダは、本体がシャシに対して揺動可能に取り付けられ、ロッドの先端部が荷台の後端部に枢着されている。油圧シリンダのロッドが伸長(進出)されると、荷台がガイドレールに沿って後方にスライドしつつ、その後端部が下がるように傾斜する。そして、ロッドが最も伸長した状態になると、荷台の後端部が接地し、農耕機などの被運搬物を荷台に積み降ろしすることができる。
このようなキャリアカーを農耕機の運搬に使用すれば、荷台を降ろした状態で、荷台の傾斜角度は約30°以下となり、農耕機を荷台に安全かつ容易に積み降ろしすることができる。
ところが、キャリアカーの荷台長は、4000mmを超えるため、荷台を降ろすには、キャリアカーの後方に十分なスペースが必要となる。また、キャリアカーは、軽トラックおよび小型トラックと比べると、その車幅も大きい。しかし、農道には、キャリアカーの荷台を降ろすのに十分なスペースがなかったり、車幅の大きいキャリアカーを停車させるスペースさえもなかったりし、農耕機の運搬用として、キャリアカーは必ずしも好適ではない。
本願発明者は、このような背景の下、キャリアカーに搭載されている荷台スライド傾斜装置を軽トラックや小型トラックに転用し、軽トラックや小型トラックの荷台をシャシの後方にスライドさせて傾斜させることを考えたが、その転用は、次の理由1〜3から不可能であることが判明した。
1.軽トラックや小型トラックの荷台を約30°以下の小さい傾斜角度で降ろすことができるストロークを有し、かつ、その全長が荷台長以内(3300mm以下)に収まるような油圧シリンダが実在しない。
2.油圧シリンダや油圧ポンプを含む荷台スライド傾斜装置が大型であり、軽トラックなどには、それを収容するスペースがなく、そのスペースを確保するためには、シャシと荷台との間の間隔を大きくしなければならない。その結果、荷台の位置が高くなり、荷台をその前端部がシャシの後端部上に位置するまでスライドさせたとしても、荷台の傾斜角度が大きくなりすぎて、農耕機を荷台に安全かつ容易に積み降ろしすることができない。
3.油圧シリンダを備える荷台スライド傾斜装置は、油圧ポンプなども含み、その重量が大きいため、これを軽トラックなどに搭載すると、最大積載量が減り、軽トラックなどの実用性が著しく損なわれる。
本発明の目的は、荷台長が3300mm以下のトラック、とくに軽トラックに好適な荷台スライド傾斜装置およびその荷台スライド傾斜装置を搭載したトラックを提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る荷台スライド傾斜装置は、荷台長が3300mm以下のトラックに搭載され、前記トラックの荷台を前記トラックのシャシに対して後方にスライドさせ、前記荷台の後端部を接地させて、前記荷台を傾斜した状態にするための荷台スライド傾斜装置であって、前記シャシに固定され、前記荷台のスライドを案内するためのガイドレールと、車幅方向に延び、前記シャシの後端部に回転自在に設けられる回動軸と、前記回動軸に取り付けられたスプロケットと、前記シャシに保持されたモータと、前記モータの出力軸に取り付けられたプーリと、前記スプロケットと前記プーリとの間に巻回されたチェーンと、前記荷台の下面に車幅方向に互いに間隔を空けて固定され、それぞれ前後方向に前記荷台の全長にわたって延びる複数のラックギヤと、前記回動軸に取り付けられ、各ラックギヤと噛合するピニオンギヤとを含む。
この荷台スライド傾斜装置が搭載されたトラックでは、荷台の下面に、複数のラックギヤが車幅方向に互いに間隔を空けて固定されている。各ラックギヤは、前後方向に荷台の全長にわたって延びている。各ラックギヤには、ピニオンギヤが噛合している。ピニオンギヤは、シャシの後端部に回転自在に設けられる回動軸により連結されている。回動軸には、スプロケットが取り付けられており、このスプロケットとモータの出力軸に取り付けられたプーリとの間には、チェーンが巻回されている。
モータが所定方向に回転駆動されると、その駆動力がプーリ、チェーンおよびスプロケットを介して回動軸に伝達され、回動軸が回転する。回動軸の回転は、ピニオンギヤを介してラックギヤに伝達される。これにより、荷台は、シャシ上に収納された状態から、ラックギヤとともに後方へ移動する。荷台の移動は、ガイドレールに案内される。この案内によって、荷台は、シャシに対して後方に移動しつつ、その前端部が持ち上がるように(後端部が下がるように)傾斜していく。荷台が最後方までスライドされると、ラックギヤの前端部がピニオンギヤと噛合する位置に達し、モータの回転駆動が停止されて、荷台がシャシの後端部と地面との間に傾斜して架設された状態(荷台の前端部がシャシの後端部上に残り、荷台の後端部が接地した状態)となる。
また、荷台から被運搬物が積み降ろしされた後、モータが所定方向と逆方向に回転駆動されると、その駆動力がプーリ、チェーン、スプロケット、回動軸およびピニオンギヤを介してラックギヤに伝達され、荷台がラックギヤとともに前方へ移動する。荷台の移動は、ガイドレールに案内される。この案内によって、荷台は、シャシに対して前方に移動しつつ、その前端部が下がるように(後端部が持ち上がるように)傾斜していく。荷台が最前方までスライドされると、ラックギヤの後端部がピニオンギヤと噛合する位置に達し、モータの回転駆動が停止されて、荷台がシャシ上に収納された状態に戻る。
そして、シャシの間やガイドレールの間などに、モータ、プーリ、スプロケットおよびチェーンを配置することができるので、シャシと荷台との間に大きな間隔を必要とせず、メーカから市販されている改造等されていないノーマルのトラックから荷台の地上高を変更する必要がない。
したがって、荷台がシャシの後端部と地面との間に傾斜して架設された状態で、地面に対する荷台の傾斜角度が約30°以下となる。たとえば、軽トラックの場合、荷台長が1900mm程度であり、荷台の床面の地上高が650mm程度であるので、荷台がシャシの後端部と地面との間に傾斜して架設された状態で、地面に対する荷台の傾斜角度が30°以下(具体的には、約20°)となる。よって、農耕機などの被運搬物を荷台に安全かつ容易に積み降ろしすることができる。
また、この荷台スライド傾斜装置は、駆動源としてモータを採用した簡素かつ軽量な構成であり、軽トラックや最大積載量が1000kg以下の小型トラックに荷台スライド傾斜装置が搭載されても、最大積載量が減ることがなく、軽トラックや小型トラックの実用性が損なわれることがない。
モータは、電動モータであってもよいし、油圧モータであってもよい。
荷台が最後方までスライドされたことは、ガイドレールの後端部にリミットスイッチが設けられて、荷台のガイドレールに案内される部分がリミットスイッチのアクチュエータに当接することにより検出されてもよい。
また、荷台が最前方までスライドされたことは、ガイドレールの前端部にリミットスイッチが設けられて、荷台のガイドレールに案内される部分がリミットスイッチのアクチュエータに当接することにより検出されてもよい。
この場合に、たとえば、トラックの車内に報知ランプが設けられて、リミットスイッチのアクチュエータに荷台のガイドレールに案内される部分が当接していないときに、その報知ランプが点灯されるようにしてもよい。これにより、荷台が収納されていないことを作業者(トラックの運転者)に認識させることができ、荷台が収納されていない状態でトラックが走行されるのを防止することができる。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る荷台スライド傾斜装置が搭載されたトラックの側面図であり、荷台がシャシ上に収納された状態を示す。図2は、図1に示すトラックと同じトラックの側面図であり、荷台がシャシ上から降ろされた状態を示す。図3は、図1,2に示すトラックの背面図である。
トラック1は、平ボディの軽トラックであり、図1,2に示すように、シャシ(フレーム)2と、シャシ2の前端部に設けられたキャビン3と、キャビン3の後方において、シャシ2上に設けられた荷台4と、シャシ2と荷台4との間に設けられた荷台スライド傾斜装置5とを備えている。すなわち、トラック1は、一般に市販されている軽トラックを改造して、シャシ2と荷台4との間に荷台スライド傾斜装置5を搭載したものである。
荷台4の車幅方向の両側縁部には、側あおり6が設けられている。各側あおり6は、前後方向に荷台4の全長にわたって延び、その下端縁が複数のヒンジ7を介して荷台4に連結されている。これにより、各側あおり6は、荷台4の車幅方向の縁部上で荷台4の底板に対して垂直に起立した状態と、その状態からヒンジ7を支点に外側に展開(回動)して、荷台4の外側下方に垂れ下がった状態とに変位可能となっている。また、各側あおり6の前端部には、掛金8が設けられており、側あおり6を起立させた状態で掛金8を荷台4の前端部に係止させることにより、その側あおり6が起立した状態を保持することができるようになっている。
図3に示すように、荷台4の後縁部には、後あおり9が設けられている。後あおり9は、車幅方向に荷台4の全幅にわたって延び、その下端縁が複数のヒンジ10を介して荷台4に連結されている。これにより、後あおり9は、荷台4の後縁部上で荷台4の底板に対して垂直に起立した状態と、その状態からヒンジ7を支点に外側に展開(回動)して、荷台4の外側下方に垂れ下がった状態とに変位可能となっている。そして、後あおり9は、側あおり6よりも高く形成されており、後述するように荷台4をシャシ2の後方に降ろして傾斜させた状態で、ヒンジ7を支点に外側に展開(傾倒)させると、荷台4と地面との間に架設されて、その上面が荷台4の底板の上面とほぼ面一をなして延びるようなあおり高さを有している。また、後あおり9の車幅方向の両側の上端部には、掛金11が設けられており、後あおり9を起立させた状態で両方の掛金11をそれぞれ側あおり6の後上端部に係止させることにより、その後あおりが起立した状態を保持することができるようになっている。
荷台4の下面の後端部には、2つの接地ローラ支持部材12が車幅方向に間隔を空けて取り付けられている。各接地ローラ支持部材12は、荷台4の底板に対して垂直に延び、その先端部(下端部)に接地ローラ13を回動自在に保持している。
図4は、図1に示す荷台スライド傾斜装置の平面図である。
トラック1では、荷台スライド傾斜装置5が搭載されていることにより、荷台4を前後方向にスライドさせて、シャシ2上に収納された状態(図1に示す状態)とシャシ2の後方に降ろして傾斜させた状態とに変位させることができるようになっている。
荷台スライド傾斜装置5は、荷台4のスライドを案内するための1対のガイドレール15を備えている。1対のガイドレール15は、シャシ2上に車幅方向に互いに間隔を空けて取り付けられており、それぞれ前後方向に延びている。
図5は、図4に示すガイドレールの側面図である。
1対のガイドレール15は、それぞれ互いに対向する側(車幅方向の内側)が開放された断面コ字状をなしている。そして、図5に示すように、各ガイドレール15は、後上がりに傾斜する傾斜案内部16と、傾斜案内部16の後端からシャシ2上に収納された荷台4の底板と平行な方向(以下「水平方向」という。)に延びる前後案内部17とを一体的に備えている。
各ガイドレール15の内側には、ガイドローラ18が転動可能に設けられている。荷台4の前端部には、ガイドローラ支持部材19が固定されている。各ガイドローラ支持部材19の先端部(下端部)は、ガイドレール15に対して車幅方向の内側から対向しており、その先端部(下端部)には、ガイドレール15の内側に向けて延びるローラ軸20が形成されている。ガイドローラ18は、ローラ軸20に回転自在に支持されている。
また、荷台スライド傾斜装置5は、図6に示すように、車幅方向に延び、シャシ2の後端部に回動自在に設けられた回動軸21と、回動軸21に取り付けられたスプロケット22と、シャシ2に保持された電動モータ23と、電動モータ23の出力軸に取り付けられたプーリ24と、スプロケット22とプーリ24との間に巻回されたチェーン25とを備えている。スプロケット22、電動モータ23、プーリ24およびチェーン25は、1対のガイドレール15の間に配置されている。
図4に示すように、電動モータ23には、トランスなどを含む電源回路26が電気的に接続されている。電源回路26には、トラック1に搭載されている車載12Vバッテリ27が電気的に接続されている。電源回路26には、電動モータ23の正転、逆転および停止を切り替えるための手動スイッチ28が付随されている。電源回路26および手動スイッチ28は、たとえば、キャビン3と荷台4との間に設けられている鳥居(図示せず)に取り付けられている。
さらに、荷台スライド傾斜装置5は、荷台4の下面に車幅方向に互いに間隔を空けて固定され、それぞれ前後方向に荷台4のほぼ全長にわたって延びる複数のラックギヤ29と、回動軸21に取り付けられ、各ラックギヤ29と噛合するピニオンギヤ30とを備えている。
荷台4がシャシ2上に水平方向に延びる姿勢で収納された状態から、手動スイッチ28が操作されて、電動モータ23が正転駆動されると、電動モータ23の駆動力がプーリ24、チェーン25およびスプロケット22を介して回動軸21に伝達され、回動軸21が回転する。回動軸21の回転は、ピニオンギヤ30を介してラックギヤ29に伝達される。これにより、荷台4がラックギヤ29とともに後方へ移動する。
荷台4の移動は、ガイドレール15に案内され、これにより荷台4の姿勢が変えられる。すなわち、荷台4の移動に伴って、ガイドレール15内をガイドローラ18が後方に向かって転動する。ガイドレール15の傾斜案内部16が後上がりに傾斜しているので、傾斜案内部16内をガイドローラ18が後方に向かって転動することにより、ピニオンギヤ30を支点として、荷台4の前端部が徐々に持ち上げられていく。そして、ガイドローラ18がガイドレール15の前後案内部17に達すると、その後は、ガイドローラ18が前後案内部17内を後方に向かって転動し、これに伴って、荷台4が後斜め下方に向けてスライドする。
ガイドローラ18がガイドレール15の後端部に達すると、その後端部に設けられたりミットスイッチ(図示せず)にガイドローラ18が当接し、電動モータ23が停止される。この時点で、ラックギヤ29の前端部がピニオンギヤ30と噛合する位置に達し、荷台4は、図2に示すように、最後方までスライドされて、その前端部がシャシ2の後端部上に残り、後端部の接地ローラ13が接地して、シャシ2の後端部と地面との間に水平方向に対して約20°の傾斜角度で傾斜した姿勢で架設された状態となる。
この状態で、掛金11を外して、後あおり9をヒンジ7を支点に外側に展開(傾倒)させると、後あおり9が荷台4と地面との間に架設されて、その上面が荷台4の底板の上面とほぼ面一をなして延びる。したがって、後あおり9を歩み板として利用することができ、農耕機などの被運搬物を、後あおり9上を移動させて、荷台4に安全かつ容易に積み降ろしすることができる。
また、荷台4から被運搬物が積み降ろしされた後、手動スイッチ28が操作されて、電動モータ23が逆転駆動されると、電動モータ23の駆動力がプーリ24、チェーン25、スプロケット22、回動軸21およびピニオンギヤ30を介してラックギヤ29に伝達され、荷台4がラックギヤ29とともに前方へ移動する。
荷台4の移動は、ガイドレール15に案内され、これにより荷台4の姿勢が変えられる。すなわち、荷台4の移動に伴って、ガイドレール15内をガイドローラ18が前方に向かって転動する。ガイドレール15の前後案内部17が水平方向に延びているので、前後案内部17内をガイドローラ18が前方に向かって転動することにより、荷台4が前斜め上方に向けてスライドする。ガイドローラ18がガイドレール15の傾斜案内部16に達すると、傾斜案内部16が前下がりに傾斜しているので、傾斜案内部16内をガイドローラ18が前方に向かって転動することにより、ピニオンギヤ30を支点として、荷台4の前端部が徐々に下げられていく。
そして、ガイドローラ18がガイドレール15の前端部に達すると、その前端部に設けられたリミットスイッチ(図示せず)にガイドローラ18が当接し、電動モータ23が停止される。この時点で、ラックギヤ29の後端部がピニオンギヤ30と噛合する位置に達し、荷台4は、図1に示すように、最前方までスライドされて、シャシ2上に水平方向に延びる姿勢で収納された状態に戻る。
荷台スライド傾斜装置5では、スプロケット22、電動モータ23、プーリ24およびチェーン25は、1対のガイドレール15の間に配置されているので、シャシ2と荷台4との間に大きな間隔を必要とせず、メーカから市販されている改造等されていないノーマルの軽トラックから荷台の地上高を変更する必要がない。
したがって、荷台4がシャシ2の後端部と地面との間に傾斜して架設された状態で、地面に対する荷台の傾斜角度が約30°以下(具体的には、約20°)となる。よって、農耕機などの被運搬物を荷台4に安全かつ容易に積み降ろしすることができる。
また、荷台スライド傾斜装置5は、駆動源として電動モータ23を採用した簡素かつ軽量な構成であり、軽トラックに荷台スライド傾斜装置5が搭載されても、最大積載量が減ることがなく、軽トラックの実用性が損なわれることがない。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、荷台スライド傾斜装置5の駆動源として、電動モータ23を採用しているが、油圧モータが採用されてもよい。
また、キャビン3内に報知ランプが設けられて、ガイドレール15の前端部に設けられているリミットスイッチのアクチュエータにガイドローラ18が当接していないときに、その報知ランプが点灯されるようにしてもよい。これにより、荷台4が収納されていないことを作業者(トラックの運転者)に認識させることができ、荷台4が収納されていない状態でトラックが走行されるのを防止することができる。
トラック1の被運搬物として、農耕機を例示したが、農耕機以外に、セニアカー、二輪車などの運搬に、トラック1を使用することができる。
また、平ボディの軽トラックに荷台スライド傾斜装置5を搭載した例を取り上げたが、荷台スライド傾斜装置5は、平ボディの軽トラックに限らず、荷台長が3300mm以下で最大積載量が1000kg以下の小型トラックに搭載することもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:トラック、2:シャシ、4:荷台、5:荷台スライド傾斜装置、15:ガイドレール、21:回動軸、22:スプロケット、23:電動モータ、24:プーリ、25:チェーン、29:ラックギヤ、30:ピニオンギヤ
Claims (3)
- 荷台長が3300mm以下のトラックに搭載され、前記トラックの荷台を前記トラックのシャシに対して後方にスライドさせ、前記荷台の後端部を接地させて、前記荷台を傾斜した状態にするための荷台スライド傾斜装置であって、
前記シャシに固定され、前記荷台のスライドを案内するためのガイドレールと、
車幅方向に延び、前記シャシの後端部に回転自在に設けられる回動軸と、
前記回動軸に取り付けられたスプロケットと、
前記シャシに保持されたモータと、
前記モータの出力軸に取り付けられたプーリと、
前記スプロケットと前記プーリとの間に巻回されたチェーンと、
前記荷台の下面に車幅方向に互いに間隔を空けて固定され、それぞれ前後方向に前記荷台の全長にわたって延びる複数のラックギヤと、
前記回動軸に取り付けられ、各ラックギヤと噛合するピニオンギヤとを含む、荷台スライド傾斜装置。 - 前記モータが電動モータである、請求項1に記載の荷台スライド傾斜装置。
- シャシと、
前記シャシ上に設けられ、3300mm以下の荷台長を有する荷台と、
請求項1または2に記載の荷台スライド傾斜装置とを備えている、トラック。
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