JP2528796B2 - 防湿性フィルムと成形用シ―ト並びに防湿性樹脂組成物 - Google Patents

防湿性フィルムと成形用シ―ト並びに防湿性樹脂組成物

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JP2528796B2 JP63266631A JP26663188A JP2528796B2 JP 2528796 B2 JP2528796 B2 JP 2528796B2 JP 63266631 A JP63266631 A JP 63266631A JP 26663188 A JP26663188 A JP 26663188A JP 2528796 B2 JP2528796 B2 JP 2528796B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は防湿性フィルムと成形用シート並びに防湿性
樹脂組成物に関し、より詳細には、特に防湿性などに優
れ、包装用フィルム等として好適な防湿性フィルムと成
形用シート、並びに優れた防湿性を付与する防湿性樹脂
組成物に関するものである。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 従来、アイソタクチックポリプロピレンやポリエチレ
ンテレフタレート等の二軸延伸フィルムなどが包装用フ
ィルム等として汎用されている。上記包装用フィルム等
には、通常、優れた機械的特性、透明性、ヒートシール
性、離形性、耐ブロッキング性や印刷適性等の他、優れ
た防湿性、酸素ガスバリア性が要求される。上記フィル
ムは機械的強度及び透明性に優れているものの、ポリプ
ロピレンフィルムは特に酸素ガスバリア性が十分でな
く、ポリエチレンテレフタレートフィルムは特に防湿
性、すなわち水蒸気バリア性が十分でない。
一方、水蒸気バリア性の大きなフィルムとして、特開
昭60−90734号公報及び特開昭60−210647号公報には、
石油樹脂またはテルペン樹脂を含有し、特定のガラス転
移温度を有するポリプロピレン延伸フィルムやさらに特
定の配向度を有するポリプロピレンフィルムが開示さ
れ、特開昭61−228053号公報には、石油樹脂及び無機フ
ィラーを含有するフィラー充填ポリプロピレンフィルム
が開示されている。また特開昭61−227046号公報には、
ポリプロピレンと石油樹脂とテルペン樹脂とを含有する
基材フィルムに、上記樹脂を含有するポリプロピレンフ
ィルムが積層され、さらに該ポリプロピレンフィルム上
にポリ塩化ビニリデン系樹脂が積層された超防湿フィル
ムが開示されている。
これらフィルムは、石油樹脂を含有するのでポリプロ
ピレンフィルムに或る程度の防湿性を付与できるもの
の、未だ防湿性などが十分でないばかりか、耐ブロッキ
ング性が低下する。また上記フィルムは、ポリプロピレ
ンと石油樹脂などとを均一に混合し、フィルム化した
り、基材フィルムとポリプロピレンフィルムとポリ塩化
ビニリデン系樹脂を順次積層する必要があるため、製造
工程が複雑化し、生産性に欠けるという問題がある。
ポリプロピレンフィルムの防湿性などを高める方法と
して、特公昭43−16316号公報には、塩化ビニリデン樹
脂と塩素化ポリプロピレンとを含有する塗布液でポリプ
ロピレンフィルムを被覆する方法が開示され、特公昭47
−8400号公報には、スチレン系モノマーをグラフト重合
させた塩素化ポリプロピレンと塩化ビニリデン樹脂とを
含有する塗布液で被覆する方法が開示されている。また
特公昭49−9099号公報には、塩化ビニルまたは塩化ビニ
リデンモノマーをグラフト重合させた塩素化ポリプロピ
レンを主体とする下塗り剤と塩化ビニリデン樹脂を主体
とする上塗り剤とで順次被覆するか、両者の混合物を主
体とする組成物で被覆する方法が開示されている。
これらの方法によれば、塩化ビニリデン樹脂等を含有
する塗布液で被覆するので、或る程度の防湿性及び酸素
ガスバリア性を付与することができる。しかしながら、
ポリプロピレンフィルムにおいて、水蒸気透過率を3g/m
2/24時間/20μm以下とするには、約5g/m2以上の塗布量
を必要とする。また水蒸気透過率を1.75g/m2/24時間/20
μm以下とするには、約8g/m2以上の塗布量を必要とす
る。一方、1回の塗布で得られる塗布量は、通常1〜5g
/m2程度である。このことは、1回の塗布では、十分な
防湿性が保障されないことを意味する。また塗布液を複
数回塗布すると、経済性及び生産性が低下する。
特に、ポリプロピレンフィルムよりも水蒸気透過率の
大きなポリエチレンテレフタレートフィルムにおいて
は、少ない塗布量で十分な防湿性を確保することが極め
て困難である。
また上記の方法では、塩素化ポリプロピレンとモノマ
ーとをグラフト重合させる必要があるため、生産性が十
分でないという問題がある。
このように、従来のフィルムや塗布液等では、基材フ
ィルムの種類により防湿性及び酸素ガスバリア性などが
大きく左右されると共に、少ない塗布量で防湿性及び酸
素ガスバリア性を高めることが困難である。また防湿性
が十分でないため、フィルムの利用分野が著しく制限さ
れる。例えば、食品等を収容する容器等の成形用シート
として上記フィルムを使用しても、十分な防湿性を確保
できず、食品などを長期に亘り新鮮な状態で保存するこ
とが困難である。
本発明の目的は、基材フィルムの如何に拘らず、塗布
量が少なくても、防湿性及び酸素ガスバリア性に優れた
防湿性フィルムを提供することにある。
また本発明の他の目的は、耐ブロッキング性、透明性
及び密着性に優れた防湿性フィルムを提供することにあ
る。
本発明のさらに他の目的は、経済性及び生産性に優れ
た防湿性フィルムを提供することにある。
さらには、本発明の他の目的は、基材フィルムの如何
に拘らず、優れた防湿性などを付与する防湿性樹脂組成
物を提供することにある。
本発明の他の目的は、特に防湿性が必要とされる分野
で有利に使用される成形用シートを提供することにあ
る。
[発明の構成] 本発明は、基材フィルムの少なくとも片面に、塩化ビ
ニリデン系樹脂を主体とする樹脂とワックスと石油樹脂
とを少なくとも含有する防湿性樹脂組成物からなる塗布
剤が塗布されたフィルムであって、塗布量3g/m2、温度4
0℃における水蒸気透過率が35g/m2/24時間/μm以下で
ある防湿性フィルムにより、上記課題を解決するもので
ある。
また本発明は、塩化ビニリデン系樹脂を主体とする樹
脂ワックスと石油樹脂とを少なくとも含有する防湿性樹
脂組成物により、上記課題を解決するものである。
さらには、本発明は、基材フィルムのうち少なくとも
片面が、防湿性樹脂組成物で被覆されている防湿性フィ
ルムにより、上記課題を解決するものである。
また、本発明は、少なくとも1層が前記の何れかの防
湿性フィルムで形成されている単層または積層フィルム
からなる成形用シートシートにより、上記課題を解決す
るものである。
なお、本明細書において、塗布量とは乾燥後の塗布量
を意味する。またフィルムとは、当該技術分野でシート
等と呼ばれることのある比較的薄く、実質的に平らな構
造物全てを含む意味に用いる。また水蒸気透過率及び酸
素ガス透過率は、特に断りのない限り、基材フィルム1
μm当りの値、すなわち、基材フィルムの膜厚をt(μ
m)とし、防湿性フィルムの水蒸気透過率及び酸素ガス
透過率をpとするとき、値(t×p)/1を意味する。
基材フィルムとしては、特に限定されず、種々のフィ
ルム、例えば、ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エ
チル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−
4−メチルペンテン−1などのオレフィン系樹脂;ポリ
塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩
化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル
共重合体などの塩化ビニリデン系樹脂;ポリスチレン、
スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アク
リロニトリル−ブダジエン共重合体などのスチレン系樹
脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートなどのポリエステル;ポリカーボネート、ポリ
アミド、ポリイミド、セロハン、酢酸セルロース、塩酸
ゴムなどを素材とする種々のフィルムが使用できる。上
記基材フィルムのうち機械的特性、透明性及び包装適性
などに優れるポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテ
レフタレートフィルムが好ましい。なお、上記ポリプロ
ピレンは、エチレン、ブテン、ヘキセン、無水マレイン
酸などの重合性モノマーとの共重合体であってもよい。
また基材フィルムは、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延
伸、テンター延伸、チューブ延伸などの延伸手段によ
り、適宜の倍率に一軸または二軸延伸されていてもよ
い。
また上記基材フィルムは単層フィルムであってもよ
く、フィルムの機能性を高めるため、二種以上の上記フ
ィルムが積層された複合フィルムであってもよく、表面
処理されていてもよい。該表面処理としては、コロナ放
電処理、高周波処理、火炎処理、クロム酸処理、溶剤処
理などが例示される。
なお、上記フィルムは酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、結晶造核剤、ブロッキング防止剤、滑剤、染
料顔料などの種々の添加剤を含有していてもよい。
そして、防湿性フィルムは、前記基材フィルムの少な
くとも片面に、塩化ビニリデン系樹脂を主体とする樹脂
とワックスと石油樹脂とを少なくとも含有する防湿性樹
脂組成物からなる塗布剤を塗布することにより形成され
ている。前記塗布剤は、防湿性フィルムが、塗布量3g/m
2において、温度40℃における水蒸気透過率が35g/m2/24
時間/μm以下となるような塗布剤であればよい。この
ような塗布剤では、透明性などが損なわれず、基材フィ
ルムとの密着性などに優れると共に、ガスバリア性、特
に防湿性を付与できる。塗布剤は、少なくとも前記三成
分を含む樹脂組成物からなり、且つ防湿性フィルムの水
蒸気透過率が前記の範囲となるようなものである限り、
基材フィルムの特性との関係で種々のものが使用でき
る。塗布剤として、防湿性フィルムの水蒸気透過率が、
塗布量3g/m2、温度40℃において、30g/m2/24時間/μm
以下、なかでも27.5g/m2/24時間/μm以下、特に25g/m
2/24時間/μm以下となるような塗布剤が好ましい。
このような特性を示す塗布剤として、特に、塩化ビニ
リデン系樹脂を主体とする樹脂とパラフィン系ワックス
と石油樹脂とを少なくとも含有する防湿性樹脂組成物か
らなる塗布剤が好ましい。上記塗布剤は基材フィルムの
如何に拘らず、塗布量が少なくても基材フィルムに優れ
た水蒸気バリア性及び酸素ガスバリア性を付与するの
で、塗布剤は、基材フィルムの少なくとも片面に塗布さ
れていればよい。また塗布剤は、ワックスと石油樹脂と
を含有しているので、透明性、耐ブロッキング性、基材
フィルムとの密着性にも優れている。
また防湿性フィルムは、基材フィルムの少なくとも片
面が前記防湿性樹脂組成物で被覆されていればよい。す
なわち、塗布手段による被覆に限らず、ラミネート手段
により上記防湿性樹脂組成物で積層され被覆されていて
もよい。ラミネート手段としては、例えば、前記基材フ
ィルム用素材と共に共押出しするエキストルージョンラ
ミネートや、基材フィルムと防湿性樹脂組成物からなる
フィルムとを接着剤で接着させるドライラミネート等が
例示される。例えば、エキストルージョンラミネートで
は、前記防湿性樹脂組成物を加熱溶融し、基材フィルム
を構成する樹脂と共押出しすることにより、基材フィル
ムが前記防湿性樹脂組成物で積層、被覆された防湿性フ
ィルムを製造できる。また、ドライラミネートでは、加
熱溶融した前記防湿性樹脂組成物を押出してフィルムを
成形し、得られたフィルムと基材フィルムとを接着剤で
貼合わせることにより、基材フィルムが前記防湿性樹脂
組成物で積層、被覆された防湿性フィルムを製造するこ
とができる。ラミネート手段により防湿性樹脂組成物か
らなるフィルムで積層し被覆する場合、防湿性樹脂組成
物からなるフィルムは、積層フィルムとして35g/m2/24
時間/μm以下の水蒸気透過率を示す膜厚を有していれ
ばよい。
上記塩化ビニリデン系樹脂は、ポリ塩化ビニリデン単
独重合体であってもよいが、耐熱安定性、耐候安定性及
び皮膜の柔軟性などの点から、塩化ビニリデンと、他の
重合性モノマーとの共重合体が好ましい。重合性モノマ
ーとしては、例えば、アクリロニトリル、塩化ビニル、
酢酸ビニル、クロトン酸、アクリル酸、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イ
ソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブ
チルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチ
ルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアク
リレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレートなどの各種アクリレート、メタクリル酸、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピ
ルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−
ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキ
シルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチ
ルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート
などが例示され、重合性モノマーは一種または二種以上
使用される。上記共重合体のうち塩化ビニリデン−アク
リロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共
重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニリデン−アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタ
クリル酸共重合体、塩化ビニリデン−アクリレート共重
合体及び塩化ビニリデン−メタクリレート共重合体など
の共重合体が好ましい。
上記塩化ビニリデン系樹脂を主体とする樹脂は、防湿
性などに悪影響を及さない樹脂を含有していてもよい。
この樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、アク
リル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポ
リアミド、ポリウレタン、ポリカーボネートなどが例示
され、一種または二種以上混合して使用される。上記樹
脂のうち塩素化ポリプロピレンが好ましい。
上記塩素化ポリプロピレンは、塩素化ポリプロピレン
単独であってもよいが、スチレン系モノマーやビニル系
モノマーがグラフト重合したグラフトポリマーであるの
が好ましい。上記スチレン系モノマーとしては、スチレ
ンや、置換スチレン、例えば、α−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチ
ルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、o−クロロスチ
レン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4
−ジクロロスチレン、2,5−ジクロロスチレン、o−ブ
ロモスチレン及びp−ヨードスチレンなどが例示され
る。上記スチレン系モノマーは一種または二種以上用い
られる。上記スチレン系モノマーのうちスチレン及びα
−メチルスチレンが好ましい。またビニル系モノマーと
しては、塩化ビニル及び塩化ビニリデンなどが例示され
る。なお、グラフト化された塩素化ポリプロピレンは、
上記スチレン系モノマー及び/又はビニル系モノマーが
グラフト化していればよい。また上記モノマーは、他の
重合可能なモノマー、例えば、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、アクロレイン、各種アクリレート、各
種メタクリレート等との混合モノマーとして用いてもよ
い。
上記グラフト化された塩素化ポリプロピレンにおい
て、塩素化プロピレンは、成膜性及び作業性等を損わな
い範囲で適宜の極限粘度及び適宜量の塩素を含有してい
てもよいが、135℃におけるデカリン希釈溶液の極限粘
度0.3〜3dl/g、好ましくは0.5〜1.5dl/gのポリプロピレ
ンを、塩素含有量15〜55重量%となるように塩素化した
ものが好ましい。またスチレン系モノマー及び/又はビ
ニル系モノマーのグラフト化率は2〜30重量%であるの
が好ましい。塩素化プロピレンの極限粘度が0.3dl/g未
満であると成膜性が十分でなく、3dl/gを越えると溶液
粘度が大きくなりグラフト重合時の作業性が低下すると
共に、ヒートシール性が低下する。また塩素含有量が15
重量%未満であると有機溶剤などに対する溶解性が低下
し、55重量%を越えるとヒートシール性が低下する。さ
らには、グラフト化率が上記範囲を外れるとヒートシー
ル性が十分でない。
なお、塩基ビニリデン系樹脂を主体とする樹脂におい
て塩化ビニリデン系樹脂と他の樹脂との割合は、通常、
塩化ビニリデン系樹脂100〜80重量部に対して他の樹脂
0〜20重量部である。
ワックスとしてはガスバリア性などを損わないもので
あればいずれも使用でき、例えば、モンタンワックス、
カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パ
ラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピ
レンワックスなどが例示され、一種または二種以上使用
できる。上記ワックスのうちパラフィンワックス、ポリ
エチレンワックスなどのノルマルパラフィン系ワックス
が好ましい。またイソパラフィン成分の含有量が大きく
なると酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性が低下する
ので、できるだけ高純度のノルマルパラフィン系ワック
ス、例えば、純度80%以上、好ましくは90%以上、より
好ましくは99%以上の高純度のノルマルパラフィン系ワ
ックスを用いるのが好ましい。なお、ワックスを含有す
る防湿性樹脂組成物や、該防湿性樹脂組成物を含有する
塗布剤で基材フィルムを被覆すると、ワックスがブリー
ドアウトし、基材フィルムに適度の離型性を付与し、耐
ブロッキング性を高めることができる。
ワックスは、ガスバリア性等を損わない範囲で適宜の
分子量を有していてもよいが、平均炭素数15〜50、好ま
しくは平均炭素数25〜50である。ワックスの平均炭素数
が15未満では防湿性が十分でなく、平均炭素数が50を越
えると溶解性が低下する。なお、一般に、ワックスの分
子量が大きくなるにつれて防湿性が大きくなる傾向を示
す。
石油樹脂は、ガスバリア性や密着性などを損わないも
のであれば、ナフサなどの熱分解油中に存在する重合性
不飽和炭化水素、例えばオレフィン、ジオレフィン、ア
ルケニル芳香族炭化水素などを重合することにより得ら
れるオレフィン系石油樹脂及び芳香族系樹脂のいずれも
使用できる。該石油樹脂は、極性基を有していてもよい
が、前記ワックスとの相溶性を高めるため、極性基を有
しない樹脂、例えばシクロペンタジエン系炭化水素や高
級オレフィン系炭化水素を原料とする石油樹脂が好まし
い。
さらには、相溶性を高めるため、上記石油樹脂のうち
水素添加された水添石油樹脂が好ましい。上記水添石油
樹脂の水添率は、前記ワックスなどとの所望する相溶性
に応じて適宜設定することができるが、水添率80%以
上、好ましくは95%以上である。水添率が80%未満であ
ると前記ワックスとの相溶性が十分でなく、ワックス添
加によるフィルムの白濁化を抑制するのが困難である。
また上記石油樹脂は不飽和結合を有していてもよいが、
相溶性を高めるため、臭素価10以下、好ましくは5以
下、さらに好ましくは1以下のものが好ましい。
防湿性や酸素ガスバリア性は石油樹脂の分子量により
大きく左右されないので、石油樹脂は適宜の分子量を有
していてもよいが、通常、分子量10000以下の石油樹脂
が使用される。前記塩化ビニリデン系樹脂を主体とする
樹脂とワックスとからなる皮膜は、相溶性が十分でない
ためか、通常、白濁の程度が大きいものの、石油樹脂、
特に分子量の小さな石油樹脂をさらに併用することによ
り皮膜の透明性が著しく向上する。従って、一般に、前
記塩化ビニリデン系樹脂を主体とする樹脂との相溶性に
欠けるワックス、特にパラフィン系ワックスを用いて
も、石油樹脂と併用することにより、透明性に優れた皮
膜を形成することができる。また石油樹脂は基材フィル
ムとの密着性を著しく高める。
なお、代表的な石油樹脂としては、例えば下記一般式 (式中、nは整数を示す) で表される樹脂を主成分とする水添脂環族石油樹脂、例
えばエッソ化学社製、商品名エスコレッツが例示され
る。
前記塩化ビニリデン系樹脂を主体とする樹脂とワック
スと石油樹脂との割合は、所望する防湿性、酸素ガスバ
リア性及び透明性などに応じて適宜設定することができ
るが、塩化ビニリデン系樹脂を主体とする樹脂100重量
部に対してワックス1〜30重量部、好ましくは2〜15重
量部、更に好ましくは3〜12.5重量部、石油樹脂0.5〜4
0重量部、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは1
〜15重量部の割合で最適値が存在する。ワックス及び石
油樹脂の量が上記範囲を外れると水蒸気バリア性及び酸
素ガスバリア性のうちいずれか一方の特性が低下し、双
方の特性をバランスよく付与するのが困難である。また
ワックスの量が30重量部を越えると皮膜の透明性も低下
する。また石油樹脂の量が40重量部を越えると酸素ガス
バリア性だけでなく水蒸気バリア性も低下する。
なお、防湿性及び酸素ガスバリア性は、石油樹脂の量
に関係なく、主にワックスの種類とその量により支配さ
れる。
ワックスと石油樹脂との割合は上記の範囲内で適宜設
定することができるが、ワックス100重量部に対して石
油樹脂20〜250重量部、好ましくは40〜200重量部、更に
好ましくは60〜150重量部である。石油樹脂の量が上記
範囲を外れると防湿性などが低下する。
なお、防湿性樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止
剤、充填剤、粘度調整剤などの添加剤を含有していても
よい。また防湿性樹脂組成物が塗布剤として使用される
場合、塗布剤は、通常、有機溶媒を含有している。この
有機溶媒としては、前記材料を溶解ないし分散しうるも
の、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル類、メチレンクロライド、エチレン
クロライドなどのハロゲン化炭化水素など、適宜の有機
溶媒が使用される。
なお、防湿性樹脂組成物がガスバリア性に優れている
ので、塗布剤の塗布量は、特に限定されず、塗布剤の塗
布量は基材フィルム自体のガスバリア性や所望するガス
バリア性などに応じて適宜設定することができる。通
常、塗布量0.2〜10g/m2、好ましくは0.5〜7.5g/m2、よ
り好ましくは1〜5g/m2程度で十分な防湿性が得られ
る。より具体的には、基材フィルムとして膜厚12μmの
ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合、温
度40℃における水蒸気透過率を約2.9g/m2/24時間/12μ
m以下、すなわち、膜厚1μm当りの水蒸気透過率を35
g/m2/24時間/μm以下とするには、塩化ビニリデン系
樹脂を塗布した防湿性フィルムでは、約3.5g/m2以上の
塗布量必要であるのに対して、上記塗布剤を塗布した防
湿性フィルムでは、0.5g/m2程度の塗布量で十分であ
る。また膜厚20μmのポリプロピレンフィルムに塗布剤
と塩化ビニリデン系樹脂とをそれぞれ3g/m2塗布した防
湿性フィルムの水蒸気透過率を比較すると、上記塗布剤
を塗布した防湿性フィルムは、塩化ビニリデン系樹脂を
塗布した防湿性フィルムよりも水蒸気透過率が約3倍小
さく、防湿性に優れている。従って、上記の塗布剤を基
材フィルムに1回塗布するだけで、十分な防湿性が得ら
れる。
なお、前記のように塗布剤の塗布量が大きくなるにつ
れて防湿性などが大きくなるが、温度40℃において、通
常、次のような水蒸気透過率を示す。
基材フィルムが膜厚12μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルムである場合、塗布量0.5〜10g/m2におい
て、通常、約0.5〜2.9g/m2/24時間/12μm程度の水蒸気
透過率を示す。この値は、基材フィルムの膜厚1μm当
りの水蒸気透過率に換算すると約5〜35g/m2/24時間/
μm程度に相当する。塗布量3g/m2では、通常10〜35g/m
2/24時間/μm程度の水蒸気透過率を示し、好ましい系
では30g/m2/24時間/μm以下、更に好ましい系では27.
5g/m2/24時間/μm以下、特に好ましい系では、25g/m2
/24時間/μm以下の水蒸気透過率を示す。
また基材フィルムが膜厚20μmのポリプロピレンフィ
ルムである場合、塗布量0.5〜10g/m2において、通常、
0.5〜1.75g/m2/24時間/20μm程度の水蒸気透過率を示
す。この値は、基材フィルムの膜厚1μm当りの水蒸気
透過率に換算すると、10〜35g/m2/24時間/μm程度に
相当する。塗布量3g/m2では、通常、10〜35g/m2/24時間
/μm程度の水蒸気透過率を示し、好ましい系では30g/
m2/24時間/μm以下、より好ましい系では25g/m2/24時
間/μm以下の水蒸気透過率を示す。
また塗布剤が塗布された防湿性フィルムは酸素ガスバ
リアー性にも優れており、例えば、塗布量0.5〜10g/
m2、温度20℃において、通常、次のような酸素ガスバリ
ア性を示す。
上記膜厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの場
合、塗布量0.5〜10g/m2において、通常、約1〜5cc/m2/
24時間/12μm程度、すなわち、10〜60cc/m2/24時間/
μm程度の酸素ガス透過率を示す。塗布量3g/m2では、
通常、20〜50cc/m2/24時間/μm程度の酸素ガス透過率
を示す。
上記膜厚のポリプロピレンフィルムの場合、塗布量0.
5〜10g/m2において、通常1〜5cc/m2/24時間/20μm程
度、すなわち、20〜100cc/m2/24時間/μm程度の酸素
ガス透過率を示す。塗布量3g/m2では、通常35〜70cc/m2
/24時間/μm程度の酸素ガス透過率を示す。
なお、他の基材フィルム、例えば前記ポリエチレンフ
ィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアミドフィル
ム、酢酸セルロースフィルムなどにあっても、前記防湿
性樹脂組成物を含有する塗布剤を塗布したり、防湿性樹
脂組成物で被覆することにより、水蒸気透過率及び酸素
ガス透過率を著しく小さくすることができる。
さらには、前記防湿性フィルムは、透明性、耐ブロッ
キング性、基材フィルムとの密着性にも優れている。
上記防湿性フィルムは、防湿性樹脂組成物を含有する
塗布剤を用いる場合、従来慣用の塗布手段、例えば、デ
ップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、エ
アーナイフコーターなどの塗布手段を用いて前記基材フ
ィルムに塗布剤を塗布し、乾燥させることにより形成す
ることができる。その際、前記のように、塗布剤の塗布
量が少なくても防湿性や酸素ガスバリア性などに優れて
いるので、複数回に亘り塗布剤を塗布、乾燥させる必要
がなく、一回の塗布、乾燥工程により、優れた特性を有
する防湿性フィルムを効率的に製造することができる。
また基材フィルムと防湿性樹脂組成物からなるフィル
ムとをラミネートする場合、慣用の溶融押出し装置、ラ
ミネート装置が使用される。
上記のように本発明の防湿性フイルムは、優れた特性
を有するため、包装用フィルムなどの他、成形用シート
としても有用である。この成形用シートは、例えば、防
湿性が要求される新鮮野菜、魚介類等の種々の食品や、
骨董品、美術品等を保存する容器やケース等の成形材料
として利用できる。成形用シートで形成された成形品
は、防湿性に優れるため、収容、保存された食品等を長
期に亘り保存することができる。
なお、成形用シートとして使用される場合、成形用シ
ートは、本発明の防湿性フィルム単独で構成されていて
もよく、また、本発明の防湿性フィルムと他のフィルム
またはシートとが積層された積層フィルムで構成されて
いてもよい。
[発明の効果] 以上のように、本発明によれば、防湿性フィルムが、
塗布量3g/m2、温度40℃の条件下における24時間後の水
蒸気透過率35g/m2/μm以下であるので、塗布量が少な
くても、防湿性に優れているだけでなく、酸素ガスバリ
ア性などのガスバリア性、耐ブロッキング性、透明性及
び密着性にも優れている。また少ない塗布量で優れた防
湿性が得られるので、防湿性フィルムは生産性に優れて
いる。
また上記防湿性フィルムを所定形状に成形した成形品
によれば、劣化を防止しつつ食品等を長期に亘り新鮮な
状態で保存することができる。
また防湿性樹脂組成物によれば、基材フィルムの如何
に拘らず、酸素ガスバリア性、耐ブロッキング性、透明
性及び密着性の外、特に優れた防湿性を付与することが
できる。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
なお、防湿性フィルムの性能試験は、以下の方法に準
拠した。
基材フィルムとの密着性:24mm×200mmの大きさの粘着テ
ープ(住友スリーエム社製、商品名スコッチテープ)を
防湿性フィルムの塗布面に貼着し、次いで該粘着テープ
を90゜の角度で一端より瞬間的に引き剥し、塗膜の剥離
状態を目視観察し、以下の基準で密着性を評価した。
優……塗膜の剥離なし 良……塗膜の剥離面積10%以下 可……塗膜の剥離面積10〜20% 不可…塗膜の剥離面積20%以上 水蒸気透過率:JIS Z 0208に準拠し、温度40℃、相対
湿度90%RHの条件で測定した。単位はg/m2/24時間であ
る。なお、表中、換算値は、塗布量3g/m2、基材フィル
ムの膜厚1μm当りの水蒸気透過率を示す。上記換算値
は、基材フィルムの膜厚をt(μm)、塗布量3.0g/m2
における水蒸気透過率をp(g/m2/24時間)とすると
き、下記式に基づき算出した値である。
(t×p)/1 また塗布量が3.0g/m2でない場合、予め測定した塗布
量と水蒸気透過率との関係に基づき、外挿法による外挿
値を水蒸気透過率pとした採用した。
酸素ガス透過率:クロマト法(測定器Lyssy Gas Permea
blity Testing Apparatus L−66)により、湿度0%の
酸素ガスと、補償ガスとしてのヘリウムガスとを用い
て、温度20℃で測定した。単位はcc/m2/24時間である。
なお、表中、換算値は、塗布量3g/m2、基材フィルムの
膜厚1μm当りの酸素ガス透過率を示し、上記水蒸気透
過率と同様にして算出した値である。
透明性:目視により、以下の基準で評価した。
優……二軸延伸ポリプロピレンフィルムと同等 良……二軸延伸ポリプロピレンフィルムより極く僅に劣
る 可……二軸延伸ポリプロピレンフィルムよりかなり劣
り、低密度ポリエチレンより少し良い 不可…低密度ポリエチレンと同等またはそれ以下 耐ブロッキング性:100mm×100mmの大きさの複数の防湿
性フィルムを2枚のガラス板の間に挾み、温度40℃、加
重0.5kg/cm2の条件で8時間放置した後、室温まで冷却
した。そして、耐ブロッキング性を以下の基準で評価し
た。
優……力を加えなくともフィルム毎に分れる 良……少し力を加えるとフィルム毎に分れる 可……力を加えるとフィルム毎に分れるが、塗膜が部分
的に剥れる 不可…フィルムの破壊なしにフィルム毎に分けることが
できない 実施例1 塩化ビニリデン90重量%、塩化ビニリデンと共重合可
能な単量体10重量%からなる塩化ビニリデン系共重合体
(旭化成(株)製、商品名R−204)100重量部と、平均
炭素数36のパラフィンワックス(日本精蝋(株)製、商
品名HNP−9)10重量部と、石油樹脂(エッソ社製、商
品名エスコレッツ5300)8重量部及び所定量のテトラヒ
ドロフランからなる塗布剤を調製した。そして、温度20
℃の水に対する接触角が65゜となるように予めコロナ放
電処理された膜厚20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムの片面に、乾燥後の塗布量3.0g/m2となるように塗
布剤をグラビアコーターを用いて一回塗布し、温度90℃
のオーブン中で5分間乾燥させた。
比較例1〜3 比較例として、膜厚25μmの二軸延伸ポリプロピレン
フィルム(比較例1)、上記実施例1の石油樹脂を15重
量%含有するポリプロピレンを二軸延伸することにより
作製した膜厚25μmのポリプロピレンフィルム(比較例
2)、上記実施例1の二軸延伸ポリプロピレンフィルム
の片面に、上記塩化ビニリデン系樹脂のみを含有する塗
布液を塗布量3g/m2で塗布したポリプロピレンフィルム
(比較例3)を用いた。
上記実施例1及び比較例1〜3の防湿性フィルムの性
能を表1に示す。
表1より明らかなように、比較例1〜3のフィルムに
比べて、実施例1のフィルムは、防湿性、酸素ガスバリ
ア性や耐ブロッキング性等に優れている。
実施例2〜6、比較例4及び5 実施例1の塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対し
て、実施例1のパラフィンワックス6重量部添加すると
共に、実施例1の石油樹脂を表2に示す割合で添加し、
上記実施例1と同様にして、塗布剤を調製した。
また基材フィルムとして、実施例1のポリプロピレン
フィルムと膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムとを用い、乾燥後の塗布量2g/m2となる
ように上記塗布剤をこれら基材フィルムの片面にテーブ
ルコーターを用いて一回塗布し、温度105℃のオーブン
中で1分間乾燥させた後、室温で40時間エージングさ
せ、防湿性フィルムを作製した。そして、上記と同様に
して、防湿性フィルムの性能を調べたところ、表2に示
す結果を得た。
また参考までに、上記塗布剤を塗布しない膜厚12μm
の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(比較
例5)の水蒸気透過率を表2に示した。
なお、水蒸気透過率の測定には、ポリエチレンテレフ
タレートフィルムを基材フィルムとする防湿性フィルム
を用い、他の試験項目については、ポリプロピレンフィ
ルムを基材フィルムとする防湿性フィルムを用いた。
表2より明らかなように、比較例4の防湿性フィルム
や比較例5のポリエチレンテレフタレートフィルムに比
べて、実施例2〜6の防湿性フイルムは、いずれも水蒸
気透過率が低減していることが判明した。なお、比較例
4の防湿性フィルムは著しく白濁していた。
実施例7〜9及び比較例6 実施例1の塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対し
て、実施例1のパラフィンワックス及び石油樹脂を表3
に示す割合で添加し、上記実施例1と同様にして、塗布
剤を調製した。塗布剤を、上記実施例2〜6と同様にし
て、実施例2のポリプロピレンフィルムとポリエチレン
テレフタレートフィルムに塗布し、防湿性フィルムを作
製した。
そして、実施例2〜6と同様にして、ポリエチレンテ
レフタレートフィルムを基材フィルムとする防湿性フィ
ルムを用いて水蒸気透過率を測定し、ポリプロピレンフ
ィルムを基材フィルムとする防湿性フィルムを用いて他
の試験項目についてフィルムの性能を調べたところ、表
3に示す結果を得た。
表3より明らかなように、比較例6の防湿性フィルム
は、水蒸気透過率が大きく耐ブロッキング性が劣るのに
対して、実施例7〜9の防湿性フィルムは、いずれも水
蒸気透過率が著しく小さく、他の性能も優れていること
が判明した。
実施例10〜12 実施例1の塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して
石油樹脂10重量部添加すると共に、実施例1のパラフィ
ンワックスに代えて、平均炭素数34.5(実施例10)を有
する一般タイプのパラフィンワックスと、平均炭素数が
25(実施例11)及び平均炭素数37(実施例12)を有する
高純度タイプのパラフィンワックスとをそれぞれ10重量
部添加し、上記実施例1と同様にして塗布剤を調製し
た。得られた塗布剤を実施例2のポリエチレンテレフタ
レートフィルムの片面に乾燥後の塗布量が3.3g/m2とな
るように塗布し、防湿性フィルムを作製した。なお、上
記一般タイプのパラフィンワックスはイソパラフィン成
分を約15重量%含有し、高純度タイプのパラフィンワッ
クスはイソパラフィン成分を約1重量%含有していた。
そして、ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材
フィルムとする防湿性フィルムの性能を調べたところ、
表4に示す結果を得た。
表4より明らかなように、パラフィンワックスの純度
や平均炭素数により水蒸気透過率が若干変化するもの
の、いずれも水蒸気透過率を効果的に低減できることが
判明した。
実施例13及び比較例7 実施例1で調製した塗布剤を、前記実施例2で用いた
ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗布し、
塗布量の異なる防湿性フィルムを作製した。
また比較例7として、上記塗布剤に代えて、比較例3
で用いた塩化ビニリデン系樹脂のみを含有する塗布液を
用い、上記と同様にして塗布量の異なる防湿性フィルム
を作製した。なお、塗布量は塗布回数を変えることによ
り調整した。
そして、防湿性フィルムの性能を調べたところ、図に
示す結果を得た。
図より明らかなように、実施例14の防湿性フィルム
は、比較例7の防湿性フィルムに比べて水蒸気透過率が
著しく低減しており、防湿性が劣るポリエチレンテレフ
タレートフィルムであっても、1回の塗布で防湿性を著
しく高めることができることが判明した。
【図面の簡単な説明】
図は実施例13及び比較例7における塗布量と水蒸気透過
率との関係を示す図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材フィルムの少なくとも片面に、塩化ビ
    ニリデン系樹脂を主体とする樹脂とワックスと石油樹脂
    とを少なくとも含有する防湿性樹脂組成物からなる塗布
    剤が塗布されたフィルムであって、塗布量3g/m2、温度4
    0℃における水蒸気透過率が35g/m2/24時間/μm以下で
    あることを特徴とする防湿性フィルム。
  2. 【請求項2】塩化ビニリデン系樹脂を主体とする樹脂ワ
    ックスと石油樹脂とを少なくとも含有することを特徴と
    する防湿性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】基材フィルムのうち少なくとも片面が、請
    求項2記載の防湿性樹脂組成物で被覆されていることを
    特徴とする防湿性フィルム。
  4. 【請求項4】少なくとも1層が請求項1または請求項3
    記載の防湿性フィルムで形成されている単層または積層
    フィルムからなる成形用シート。
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