JP2018172463A - 水蒸気バリア性塗料、水蒸気バリア性積層体の製造方法、および水蒸気バリア性積層体 - Google Patents

水蒸気バリア性塗料、水蒸気バリア性積層体の製造方法、および水蒸気バリア性積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、プラスチックフィルム等の基材に、簡便にコーティングすることができ、従来公知の有機高分子組成物よりも高い水蒸気バリア性と透明性を発現するだけでなく、積層体が高温高湿下に置かれても水蒸気バリア性を維持できる(水蒸気バリア性の安定性に優れる)、水蒸気バリア性塗料、水蒸気バリア性積層体の製造方法、および、前記製造方法によって得られる水蒸気バリア性積層体を提供することを目的とする。【解決手段】 炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(A)、有機金属錯体(B)、および、融点が45〜100℃である炭化水素系ワックス(C)を含む水蒸気バリア性塗料。【選択図】 図1

Description

本発明は、水蒸気バリア性塗料、並びに、これを用いた水蒸気バリア性積層体の製造方法、および、水蒸気バリア性積層体に関する。
近年、OLEDや量子ドットディスプレイ等の新しいフレキシブル表示デバイスが開発されつつある。これらの多くは大気中の酸素や水蒸気等のガスによって劣化してしまう。そこで、ガラス並の高いガスバリア性やバリア性と透明性を有するフィルム基材の開発が求められている。
高いガスバリア性の実現には、蒸着等でプラスチックフィルム上に無機層を形成する手法が主流となりつつあるが、無機層の単層ではクラック等の欠陥に起因する耐性の課題がある。この課題を解決すべく、異なる無機層の多層構成、あるいは、柔軟性を活かした有機高分子層と組み合わせた多層構成等の検討もなされている。このような多層構成に用いられる有機高分子層は、当然、高いガスバリア性と安定性を有していることが好ましい。
有機高分子層のガスバリア性を高めることは、先に述べた新しいフレキシブル表示デバイスの実現に寄与するのはもちろんのこと、太陽電池の周辺部材や、医療品や食品のパッケージングといった幅広い既存製品の信頼性の改善にもつながると考えられる。また、簡便なコーティングによって基材に高いガスバリア性を付与することができれば、無機材料の蒸着する手法に比して大きな製造上のメリットとなる。
有機高分子に水蒸気バリア性を付与する手法はいくつか考えられるが、その1つとして、有機高分子鎖間にイオン結合、すなわち、金属架橋を形成して分子運動を制限し、遮断したい分子の拡散を抑制する手法を挙げることができる(非特許文献1)。
このような金属架橋を応用した技術としては、例えば、成形容器等の分野では、ポリオレフィン樹脂に対し、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物を含むブレンド樹脂を配合した樹脂組成物に、さらに、無機化合物を配合した包装体が開示されている(特許文献1)。また、0.1〜15質量%のカルボキシル基、あるいは、カルボン酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂と金属架橋剤とからなる樹脂組成物が開示されている(特許文献2)。
フィルムや紙へのコーティングの分野では、脂肪族共役ジエン単量体とカルボキシル基含有ビニル系単量体を乳化重合してなる合成樹脂のエマルジョンを金属架橋させてなることを特徴とする防湿加工用樹脂エマルジョン、および、前記組成に、さらに、ワックスを添加した防湿加工用樹脂エマルジョンが開示されている(特許文献3)。また、変性ビニルアルコール系共重合体を含む不飽和カルボン酸化合物多価金属塩の重合体からなることを特徴とするガスバリア性膜が開示されている(特許文献4)。さらに、不飽和炭化水素単量体と不飽和カルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸無水物とを重合させてなる共重合体のカルボン酸基および/または酸無水物基と、有機金属錯体とを反応させてなり、共重合体間に金属架橋を有する水蒸気バリアコート剤も開示されている(特許文献5)。
特開2004−018536号広報 米国特許3267083号明細書 特開2004−300273号広報 特開2007−092052号広報 国際公開2013/108614号パンフレット
「バリアフィルムの高機能化・評価 事例集」(技術情報協会発行)
しかしながら、特許文献1および2に開示されている方法は、成形容器等向けに設計されたもので、基材へのコーティング適性を有さないだけでなく、薄膜化した際の透明性とガスバリア性も十分に高いとはいえない。
特許文献3に記載の方法で得られる防湿材は、実施例によれば、水蒸気透過度が20g/(m2・day)程度にとどまり、得られる膜の透明性も十分とは言えない。また、特許文献4に記載の方法で得られるコーティング膜も、バインダーの親水性が高すぎるため、高い水蒸気バリア性を発現することができない。特許文献5に記載の方法で得られるコーティング膜は、簡便に高い水蒸気バリア性が得られるため最も有望であるが、高温高湿下に保管すると水蒸気バリア性が低下してしまうという、信頼性の問題があった。
本発明は、プラスチックフィルム等の基材に、簡便にコーティングすることができ、従来公知の有機高分子組成物よりも高い水蒸気バリア性と透明性を発現するだけでなく、積層体が高温高湿下に置かれても水蒸気バリア性を維持できる(水蒸気バリア性の安定性に優れる)、水蒸気バリア性塗料、水蒸気バリア性積層体の製造方法、および、前記製造方法によって得られる水蒸気バリア性積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する高分子を金属架橋する際に炭化水素系ワックスを共存させることで、水蒸気バリア性、透明性、および、湿熱安定性を著しく高い水準まで改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(A)、有機金属錯体(B)、および、融点が45〜100℃である炭化水素系ワックス(C)を含む水蒸気バリア性塗料である。
さらに、本発明は、共重合体(A)の酸価が5〜500mgKOH/gである、前記の水蒸気バリア性塗料である。
また、本発明は、共重合体(A)と炭化水素系ワックス(C)との合計100質量%中、炭化水素系ワックス(C)が0.1〜30質量%である、前記の本発明の水蒸気バリア性塗料に関する。
さらに、本発明は、炭化水素系ワックス(C)がパラフィンワックスである、前記の本発明の水蒸気バリア性塗料に関する。
さらにまた、本発明は、共重合体(A)の酸価に対し、有機金属錯体(B)が0.3〜2.0当量含まれる、前記の本発明の水蒸気バリア性塗料に関する。
また、本発明は、基材層(D)の少なくとも片面に、前記の水蒸気バリア性塗料を塗工した後、共重合体(A)と有機金属錯体(B)とを架橋させることを特徴とする、水蒸気バリア性積層体の製造方法である。
さらに、本発明は、前記の製造方法で得られる、水蒸気バリア性積層体である。
また、本発明は、基材層(D)と水蒸気バリア層(E)とを有する水蒸気バリア性積層体であって、前記水蒸気バリア層(E)が、炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(A)と有機金属錯体(B)との反応生成物、および、融点が45〜100℃である炭化水素系ワックス(C)を含む、水蒸気バリア性積層体である。
本発明により、プラスチックフィルム等のフィルム基材に、簡便にコーティングすることができ、従来公知の有機高分子組成物よりも高い水蒸気バリア性と透明性を発現するだけでなく、積層体が高温高湿下に置かれても水蒸気バリア性を維持できる(水蒸気バリア性の安定性に優れる)、水蒸気バリア性塗料、水蒸気バリア性積層体の製造方法、および、前記製造方法によって得られる水蒸気バリア性積層体を提供することが可能となる。
実施例1における水蒸気バリア層の断面のAFM位相差像 実施例9における水蒸気バリア層の断面AFMの位相差像 比較例1における水蒸気バリア層の断面のAFM位相差像
(炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(A))
共重合体(A)は、側鎖に適切な長さのアルキル基と、金属架橋構造の起点となる高密度の酸無水物基を併せ持ち、本発明の塗料および積層体のメインバインダーとなるもので、詳細に後述する有機金属錯体(B)と反応して架橋を形成し、反応生成物に変化する。
共重合体(A)中の適切な長さのアルキル基は、共重合体(A)と有機金属錯体(B)との反応生成物に疎水性を付与することで水蒸気の溶解を抑制し、高密度の架橋点は、共重合体(A)と有機金属錯体(B)との反応生成物の分子運動を著しく制限することで、高い水蒸気バリア性を発現することが可能となる。
さらに、本発明においては、炭化水素系ワックス(C)と共重合体(A)中の適切な長さのアルキル基とが、後述の相互作用をすることで、飛躍的に水蒸気バリア性と湿度や熱に対する耐性を改善することが可能となっている。
本発明の共重合体(A)の側鎖である適切な長さのアルキル基は、α−オレフィンを原料モノマーの1つとして用いることによってもたらされるもので、共重合の結果としてα−オレフィンより炭素数が2つ少ないアルキル基を形成する。
α−オレフィンの炭素数は8−80であれば本発明に記載の効果を得ることができるが、最も好ましい炭素数は、後述する炭化水素系ワックス(C)と良好な相互作用が得られる点で、14〜60である。
本発明における、α−オレフィンとは分子の末端に二重結合を有する直鎖状あるいは分岐鎖状の炭化水素からなるモノマーを意味し、本発明の共重合体(A)の原料としては、炭素数が8〜80のα−オレフィンを使用する。
炭素数が8〜80のα−オレフィンは、無水マレイン酸と共重合する際に1種または2種以上混合して用いてよい。また、炭素数8〜80の間であれば、炭素数に分布のあるα−オレフィンの組成物を用いてもよい。
本発明に用いることができる製品としては、出光興産株式会社性のリニアレン8、リニアレン10、リニアレン12、リニアレン14、リニアレン16、リニアレン18、リニアレン124、リニアレン148、リニアレン168、リニアレン2024を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、東京化成社等からも、試薬として、様々な炭素数のα−オレフィンを入手することが可能である。
炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(A)を得るための方法は、特に限定されないが、溶液重合法もしくは塊状重合法等を挙げることができる。好ましくは、炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸とを含む複数種の単量体成分を、重合開始剤の存在下、不活性ガス気流下で反応させる。この共重合反応は、溶剤存在下で行ってもよい。重合温度、重合時間、および重合濃度は、使用する単量体成分の種類および比率、目標とするポリマーの分子量等によって適宜調整してよいが、好ましくは、重合温度50〜250℃、重合時間2 〜10時間、重合濃度30 % 以上である。ここで、「重合濃度」は下記式により定義される。
重合濃度( %) =[ 単量体成分の全質量/( 単量体成分の全質量+ 溶剤質量)]×100
共重合体(A)の合成に用いられる溶剤としては、水、水混和性有機溶剤、酢酸エステル、ケトン類、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン等が挙げられる。水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびn−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤;およびエチレングリコールおよびジエチレングリコール等のモノまたはジアルキルエーテル等が挙げられる。酢酸エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。ケトン類としては、シクロヘキサノン、およびメチルイソブチルケトン等が挙げられる。
共重合体(A)の合成に用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物およびアゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、およびt−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。また、アゾ化合物としては、2,2’,−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤は、α−オレフィン100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部の範囲で使用される。
本発明における共重合体(A)は、少なくとも、炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合させてなる共重合体であり、重合の際、上記成分以外の単量体を重合成分として加えてもよい。
共重合体(A)の酸価は特に限定されないが、5〜500mgKOH/gとすることが好ましい。これは、共重合体(A)の酸価を5mgKOH/g以上とすることで、十分に高い架橋密度が得られるため高い水蒸気バリア性を発現することが可能となり、500mgKOH/g以下とすることで、溶解性の確保とゲル化の抑制が可能となり、塗工性が向上するためである。さらに好ましい酸価の範囲は、100〜470mg/KOH/gであり、最も好ましい範囲は、100〜400mgKOH/gである。
なお、本明細書における「酸価」とは、JISK0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
共重合体(A)の分子量は特に限定されないが、好ましくは、質量平均分子量Mw5000〜100000である。分子量をこの範囲とすることで、本発明の水蒸気バリア性塗料の塗工性が良好になると同時に、水蒸気バリア性積層体の強度を向上させることが可能となる。
本発明の水蒸気バリア性塗料においては、共重合体(A)は1種でもよいし、原料のα−オレフィンの炭素鎖長や分子量が異なる2種以上を併用してもよい。その場合の酸価は、それらの比率を考慮した共重合体(A)全体の総酸価を採用する。例えば、酸価が379mgKOH/g共重合体(A)と酸価が101mgKOH/gの共重合体(A)を質量比1:1で混合する場合、共重合体(A)の総酸価は240mgKOH/gとなる。
( 有機金属錯体(B))
本発明においては、共重合体(A)と有機金属錯体(B)とを架橋させることで優れた特性を発現するが、ここでいう架橋とは、共重合体(A)中の無水マレイン酸に由来する酸無水物基が加水分解して生成したカルボキシル基と、有機金属錯体(B)から遊離した金属とが、イオン結合、配位結合、または共有結合を形成することを意味する。また、少なくとも1部に前記の架橋を形成したものを、共重合体(A)と有機金属錯体(B)との反応生成物と呼ぶ。この架橋は、1つの共重合体(A)分子内で形成されてもよいし、2つ以上の共重合体(A)分子間で形成されていてもよい。
カルボキシル基や酸無水物基を有する高分子を、金属を介して架橋する方法としては、金属炭酸塩および水酸化物等の無機化合物を用いた中和法が一般に知られている。しかしながら、これらの無機化合物は共重合体(A)や後述する溶媒(F)に対する相溶性が悪く、充分な金属架橋が得られないだけでなく、析出によって良好な膜を形成することができず、水蒸気バリア性の低下を起こしてしまう。よって、本発明においては、共重合体(A)および必要に応じて用いる溶剤(F)との相溶性がよい有機金属錯体(B)を使用することが好ましい。一方、有機金属錯体(B)として共重合体(A)や溶剤(F)との相溶性がよいものを用いると、塗料中でも共重合体(A)と有機金属錯体(B)との架橋が進行し易くなる。従って、有機金属錯体(B)は塗料としての安定性とのバランスを考慮しながら選択することができる。
有機金属錯体(B)は、1族〜13族に所属する金属元素と任意の配位子からなる。充分な金属架橋を得るためには、有機金属錯体(B)中の金属元素としては、1族〜13族に所属する2価以上の金属元素が好ましく、具体的には、マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛、アルミニウム、およびチタン等を挙げることができる。
有機金属錯体(B)の配位子としては、アセチルアセトンキレート、ヘキサフルオロアセチルアセトンキレート、トリフルオロアセチルアセトンキレート、アセト酢酸エチルキレート、オクチレングリコールキレート、トリエタノールアミンキレート、乳酸キレート、乳酸アンモニウムキレート、ジアルキルカルバミン酸キレート、およびエチレンジアミン等が挙げられる。入手の容易性および共重合体(A)との相溶性の観点から、アセチルアセトンキレートが特に好ましい。
有機金属錯体(B)は水和物であっても本発明に好適に用いることができ、水和水が共重合体(A)の酸無水物の開環反応を促進するため、好ましい。
また、有機金属錯体(B)は1種もしくは2種以上を組合せて用いることができる。
有機金属錯体(B)の添加量は特に限定されないが、共重合体(A)の総酸価(mg/KOH/g)に対し、0.3〜2.0当量、さらに好ましくは、0.5〜1.0当量、最も好ましくは1.0当量である。この範囲であれば、共重合体(A)を十分に金属架橋することができると同時に、塗料や積層体中で均一に相溶することが可能であるため、優れた水蒸気バリア性と透明性を積層体に付与することが可能となる。なお、当量の計算には、有機金属錯体(B)のモル数と中心金属の価数とを考慮する。
有機金属錯体(B)の添加量の計算例について述べる。例えば、酸価が379mgKOH/gの共重合体(A)100質量部に対して、有機金属錯体(B)として亜鉛のアセチルアセトンキレート錯体(すなわち、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、分子量:263.6)を用いる場合の1当量は89質量部、0.5当量は44.5質量部に相当する。
(炭化水素系ワックス(C))
本発明の水蒸気バリア性塗料や積層体においては、融点が45〜100℃である炭化水素系ワックス(C)が必須成分であり、先に述べた共重合体(A)の側鎖に存在する適切な長さのアルキルと相互作用することで、積層体の水蒸気バリア性(初期、高温高湿度下保存後)を飛躍的に向上することが可能となっている。
共重合体(A)と炭化水素系ワックス(C)との間の相互作用の推定機構について詳細に説明する。
本発明の水蒸気バリア性塗料は、後述する基材フィルム(D)に塗工され、必要に応じて加熱等が加えられて、「膜」、すなわち、水蒸気バリア層(E)を形成するが、炭化水素系ワックス(C)は結晶性を有しているため、膜中で炭化水素基が整列する起点になると考えられる。その際、共重合体(A)の側鎖として存在するアルキル基をも巻き込んで整列することとなり、膜中に炭化水素基が集合かつ整列したドメインを形成することとなる。同時に、酸無水物基、酸無水物基が開環して生成したカルボキシル基、有機金属錯体(B)、および、それらの反応物が集中するドメインも形成され、膜中にナノレベルで相分離した微細構造を形成すると考えられる。
その結果、膜中に、疎水性かつ高結晶性の水蒸気を透過し難い部位、および、高密度に架橋することで水蒸気の拡散を抑制する部位が、機能分離して存在することで優れた水蒸気バリア性を発現していると考えられる。また、このようにして形成された膜中の相分離構造は、湿度や熱に対しても崩れ難く、優れた湿熱耐性が発現すると推察している。
共重合体(A)の側鎖に存在するアルキル基と、炭化水素系ワックス(C)との良好な相互作用を発現させるためには、共重合体(A)の側鎖に存在するアルキル基が炭化水素系ワックス(C)との類似骨格、すなわち、適切な長さの炭素数を有する必要がある。そのため、共重合体(A)の原料として用いるα−オレフィンの炭素数は8〜80が好ましく、さらに好ましくは、14〜60である。
図1〜3に示すAFM位相差像に基づき、共重合体(A)と炭化水素系ワックス(C)との間の相互作用についてさらに説明する。
AFMとは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)の意であり、先端の尖った探針で試料表面をなぞることにより表面形状を計測し画像化する一種の触針顕微鏡である。試料−探針間に働く力を検出することで,試料形状像(凹凸像)取得と同時に,電流や電位,硬さや粘弾性といった試料表面の物性情報を反映した信号の画像を取得することができる。
図1は、後述する実施例1で得た水蒸気バリア性積層体の断面のAFM位相差像である。図中の濃淡は硬さを示しており、色が濃いほど硬い。図1では、硬さの異なる2種類の薄層状のドメインが交互に積層した相分離構造を形成していることが確認できる。
図2に実施例9で得た水蒸気バリア性積層体の断面のAFM位相差像を示す。図1とは相分離構造が異なるが、硬さの異なる2種類の粒状のドメインが混在していることが確認できる。
図3に比較例1で得た水蒸気バリア性積層体の断面のAFM位相差像を示す。比較例1の塗料は、実施例1の水蒸気バリア性塗料から炭化水素系ワックス(C)を除いたものであり、実施例1とは異なり、相分離構造のない均一な断面を形成することが確認できる。なお、わずかに確認できる縦筋状の濃淡は、断面形成時の切削痕である。
以上のことから、炭化水素系ワックス(C)の存在が水蒸気バリア層(E)中に相分離構造の形成を促進し、初期の水蒸気バリア性を向上すると共に高温高湿度下保存後にも水蒸気バリア性を高レベルで維持していると推察される。
通常、塗料へのワックスの添加は表面への単純な疎水性や滑性の付与等を目的とするが、本発明における炭化水素系ワックス(C)の機能は全く異なるものであり、先に述べた機構に基づいた機能を発現することは、当業者であっても容易には想到しえないものである。
先に述べた相分離構造を形成するには、水蒸気バリア性塗料が塗工、さらに必要に応じて加熱乾燥等をされる際に、他の成分と一度、均一に相溶し、その後、相分離構造形成のための起点として析出をする必要がある。そのために、炭化水素系ワックス(C)は適切な融点を持つ必要があり、その範囲は45〜100℃であり、好ましくは、50〜90℃である。
なお、本発明における炭化水素系ワックスの融点とは、示差走査熱量計(DSC)において測定される吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度を意味する。昇温速度は、10℃/分にて実施する。
本発明における炭化水素系ワックス(C)とは、長鎖アルキル基骨格を主体とし、常温で固体、かつ、加熱すると液体となる有機物を意味し、その骨格中に酸基、エステル基、ヒドロキシル基等を含んでいてもよい。炭化水素系ワックスの具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋、木蝋、ライスワックス等の天然ワックスを挙げることができる。さらに、これらを加工した酸化ワックスや、これらを配合した配合ワックスも、本発明の炭化水素系ワックス(C)に含まれる。
また、常温で固体であって、融点が45〜100℃の同様の性質を示す炭化水素系材料として、分子内に二重結合を有するワックス状のオレフィン類も本発明の炭化水素系ワックス(C)に包含され、具体的には、炭素数30以上のα−オレフィンや、これらの混合物を挙げることができる。
上記した炭化水素系ワックス(C)の中では、パラフィンワックスと炭素数30以上のα−オレフィンが好ましく、最も好ましくは、パラフィンワックスである。これらは、結晶性に優れるため、本発明の積層体における相分離構造の形成を特に促進することができる。
炭化水素系ワックス(C)は、共重合体(A)と炭化水素系ワックス(C)との合計を100質量%とした場合、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましい。この範囲であることにより、本発明の水蒸気バリア性塗料において他の成分と混和性が向上し、水蒸気バリア性積層体においてより優れた水蒸気バリア性と透明性を発現することが可能である。
共重合体(A)、有機金属錯体(B)、および、炭化水素系ワックス(C)を含有する本発明の水蒸気バリア性塗料を得る方法について説明する。
共重合体(A)、有機金属錯体(B)、および、炭化水素系ワックス(C)から水蒸気バリア性塗料を得るための方法は特に限定されず、これらの成分が、均一に混合できれば、いかなる方法を用いることも可能である。また、これらを均一に溶解、もしくは分散し、次工程の塗工性を改善する目的で、必要に応じて溶剤(F)を添加してもよい。分散の場合、厳密には分散媒というべきであるが、溶剤(F)と略記する。
水蒸気バリア性は、共重合体(A)、有機金属錯体(B)、および、炭化水素系ワックス(C)の組合せによって生じるものであるから、溶剤(F)は、特に限定されない。また、前記の各成分を添加する順番は特に限定されない。
溶剤(F)としては、例えば、水、水混和性有機溶剤、酢酸エステル、ケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン等を用いることができる。
さらに具体的には、水混和性有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびn − プロピルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールおよびジエチレングリコール等のモノまたはジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4ージオキサン等が挙げられる。酢酸エステルとしては、酢酸エチル、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、およびメチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組合せて溶剤(F)として用いることも可能である。
溶剤(F)を使用する際の質量は特に限定されないが、共重合体(A)、有機金属錯体(B)、および、炭化水素系ワックス(C)の質量の総和が、溶剤(F)をも含んだ質量の総和の5〜50%となることが好ましい。
共重合体(A)、有機金属錯体(B)、炭化水素系ワックス(C)、および、必要に応じて添加する溶剤(F)を均一に混合するための方法としては、例えば、プラネタリーミキサーやディスパー等の公知の撹拌装置を使用してもよいし、ペイントコンディショナー、ボールミル、ビーズミル等の公知の分散処理を実施してもよい。短時間で、均一な塗料が得られる面で、分散処理を実施することがより好ましい。
なお、上記の撹拌、分散工程において、炭化水素系ワックス(C)は必ずしも完全に溶解していなくてもよく、微粒子状のエマルジョンを形成していてもよい。
前記原料を分散処理して、本発明の水蒸気バリア性塗料と得る手順としては、例えば、共重合体(A)、有機金属錯体(B)、炭化水素系ワックス(C)、および、必要に応じて添加する溶剤(F)からなる混合物に、さらに、ビーズを添加し、ペイントシェーカー等を用い、1〜20 時間程度激しく振り混ぜる方法等を挙げることができる。
上記、分散処理において、ビーズの材質は特に限定されないが、ガラスビーズ、スチールビーズ、ジルコニアビーズ等を挙げることができる。前記、ビーズの粒径は特に限定されないが、0.05〜5mm程度が好ましい。ビーズの添加量は、特に限定されないが、前記原料の合計量100質量部に対し、10〜500質量部程度が好ましい。分散工程で用いたビーズは、ナイロンやスチール性の適切な網目を有するメッシュを用いれば、塗料中から簡単に除去することができる。
本発明の積層体における架橋について詳細に説明する。
前述したように、本発明においては、共重合体(A)と有機金属錯体(B)とを架橋させることで水蒸気バリア性積層体を形成するが、ここでいう架橋とは、共重合体(A)中の無水マレイン酸に由来する酸無水物基が加水分解して生成したカルボキシル基と、有機金属錯体(B)から遊離した金属とが反応して反応生成物を形成し、その反応物に中にイオン結合、配位結合、または共有結合を形成することを意味する。この架橋は、塗料の混合、分散、保管、塗工、乾燥、あるいは、積層体のエージング工程といった各工程で進行する。特に、基材フィルム(D)への塗工後の、乾燥やエージング工程において進行が顕著である。
上記、架橋においては、共重合体(A)中に存在する酸無水物基を開環してカルボキシル基に変化させるための水が必要となるが、通常は、各工程における大気中の湿度として十分に供給される。そのため、水は必ずしも必須成分として添加する必要はないが、確実に架橋を進行させたい場合は、積極的に水を利用してもよい。
水の積極的な利用方法としては、例えば、溶剤(F)として水を積極的に塗料に含ませる方法、不純物として水を含む溶剤(F)を塗料に用いる方法が挙げられる。あるいは、有機金属錯体(B)に結合している水和水を利用することもできる。
また、水は、加湿下に塗料を製造したり、保管したりすることによって、塗料中に導入することができる。あるいは、加湿下に塗料を塗工したり、塗工後積層体のエージング工程時に、積極的に加湿することにより、形成途中の水蒸気バリア層(E)に導入してもよい。さらに、架橋反応を促進する目的で水の供給時に併せて加熱をしてもよい。
前記、水の利用方法の中で、共重合体(A)中の酸無水物基を開環させ確実に有機金属錯体(B)との架橋反応を進行させることができる点で、溶剤(F)として水を用いる方法、不純物として水を含む溶剤(F)を用いる方法、有機金属錯体(B)に結合している水和水を利用する方法、および、積層体のエージング工程時に積極的に加湿をする方法を挙げることができる。
なお、ここで、不純物として水を含有する溶剤(F)としては、アルコール系、ケトン系、テトラヒドロフラン等の極性溶剤を挙げることができる。
本発明の水蒸気バリア性積層体は、本発明の水蒸気バリア性塗料は、基材フィルム(D)の少なくとも片面に塗工し、必要に応じて加熱乾燥をおこない、基材フィルム(D)上に水蒸気バリア層(E)を形成することにより得ることができる。
本発明の水蒸気バリア性積層体の優れた水蒸気バリア性は、共重合体(A)と有機金属錯体(B)との反応生成物、および、炭化水素系ワックス(C)によって生じるものであるから、基材フィルム(D)は特に限定されないが、好ましくは熱可塑性樹脂フィルムである。さらに、基材フィルム(D)は、二軸延伸フィルムが好ましい。
基材フィルム(D)の熱可塑性樹脂フィルムとしては例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、およびポリブテン等);環状オレフィンポリマー;ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等);ポリアミド( ナイロン−6、ナイロン−66、およびポリメタキシレンアジパミド等);ポリイミド(カプトンフィルム(東レ・デュポン社製)等);ポリフェニレンスルフィド、およびこれらの積層フィルム等が挙げられる。
前記基材フィルム(D)の中で、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、およびポリアミド等が、延伸性、透光性、および剛性が良好な積層体が得られるので好ましい。
基材フィルム(D)の具体例としては、ニ軸延伸ポリエステルフィルム、ニ軸延伸ポリプロピレンフィルム、およびニ軸延伸ポリアミドフィルム等が挙げられる。中でも、ニ軸延伸ポリエステルフィルムおよびニ軸延伸ポリプロピレンフィルムが、耐酸性、剛性、および透光性等に優れているので好ましい。
基材フィルム(D)は、必要に応じて、クロム、亜鉛、コバルト、アルミニウム、錫および珪素等の金属、あるいはこれら金属の酸化物、窒化物、窒酸化物、硫化物、およびリン化物等が蒸着やラミネート等の手法で積層されていてもよい。
基材フィルム(D)は、本発明の効果を損ねない範囲で、1種または2種以上の任意成分を含有してもよい。基材フィルムは、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、および蛍光増白剤等を含有してもよい。基材フィルムは、シリカ、炭酸カルシウム、または酸化チタン等を含む無機粒子、あるいは、アクリル樹脂またはスチレン樹脂等を含む有機粒子を含有してもよい。
基材フィルム(D)上に、本発明の水蒸気バリア性塗料を塗工して、積層体を形成する方法は特に限定されず、公知の塗工方法を活用することができる。公知の塗工方法としては、例えば、ロットまたはワイヤーバーなどの塗布用部材を用いる方法;マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、カーテンコーティング、スロットコーティング、キャストコーティング、ディップコーティングまたはスピンコーティングなどの各種コーティング方法を挙げることができる。
水蒸気バリア性塗料は、基材フィルム(D)への塗工後、溶剤(F)を除去したり、架橋を促進する目的で、必要に応じて加熱乾燥したり、減圧乾燥したりしてもよい。乾燥の温度は、基材フィルム(D)が劣化しない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは70〜220℃、さらに好ましくは、80〜150℃である。
また、先に述べたように、水蒸気バリア層(E)の架橋をさらに促進する目的で、水蒸気バリア性積層体を加湿環境下でエージングしてもよい。この際の温度や湿度は特に限定されないが、25〜60℃、湿度60〜100%の環境が好ましい。このような環境は、恒温恒湿室や市販の環境試験器にて容易に実現することができる。
水蒸気バリア性塗料から形成される水蒸気バリア層(E)の厚みは特に限定されないが、折り曲げ時のクラック等を抑止する目的で薄膜であることが好ましく、具体的には、0.2〜10μm程度であることが好ましい。
水蒸気バリア層(E)は、基材フィルムの1つの面に対して、1層または複数層を積層してもよい。複数層の水蒸気バリア層(E)を設ける場合は、それらの組成が同一であっても、異なっていても良い。
水蒸気バリア性積層体は、基材フィルム(D)と水蒸気バリア層以外に、任意の有機層または無機層を設けることができる。これらの層は、1層または複数層含むことができる。
有機層または無機層の成膜方法としては、蒸着法またはコーティング法が挙げられる。有機層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、およびポリブテン等)、環状オレフィンポリマー、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等 、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、およびポリメタキシレンアジパミド等)、ポリフェニレンスルフィド、およびポリイミド等を挙げることができる。これらは単独で使用しても2種以上使用してもよい。無機層の材料としては、クロム、亜鉛、コバルト、アルミニウム、錫および珪素等の金属、あるいはこれら金属の酸化物、窒化物、窒酸化物、硫化物、およびリン化物等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上使用してもよい。これらの中でも、酸化アルミニウムおよびシリカ( 酸化珪素) 等の酸化物、および珪素窒酸化物が好ましい。
基材フィルム(D)の1つの面に対して、1層または複数層の水蒸気バリア膜と1層または複数層の有機層または無機層とを含む場合、これらの積層順序は任意である。
さらに本発明の水蒸気バリア性積層体は、熱ラミネート等により他のフィルムに積層して用いることも可能である。
本発明の水蒸気バリア性塗料、および、水蒸気バリア層(E)は、上記以外の任意成分を含むことができ、このような成分としては、基材フィルム(D)の項で述べた任意成分を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。なお、特に断らない限り、以下「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をいうものとする。
(共重合体(A)の製造)
以下に、本発明の共重合体(A)の製造手順を示した。質量平均分子量(Mw)は、ShodexGPC−101(昭和電工社製)を用いて測定した。
( 製造例1)
メカニカルスターラーおよび窒素導入管を装備した300mlフラスコに、81.49gのリニアレン14(出光興産社製、炭素数14のα−オレフィン)、52.90gの無水マレイン酸を入れ、窒素下、150℃で溶液状態にした。その後、0.61gのジ−t−ブチルパーオキサイドを少量ずつ加え、160℃で5時間反応させた。放冷後、得られた生成物をメチルエチルケトン(MEK)200gに溶解して取り出し、エバポレーターで溶剤を除去した。得られた個体を80℃の真空乾燥機で一晩乾燥し、共重合体(A1)を得た。この共重合体の酸価は379mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)は26000であった。
(製造例2)
リニアレン14の代わりに、62.75gのリニアレン8(出光興産社製、炭素数8のα−オレフィン)を用い、71.43gの無水マレイン酸、0.82gのジ−t−ブチルパーオキサイドを用いた以外は、製造例1と同様にして共重合体(A2)を得た。この共重合体の酸価は、467mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)は31000であった。
( 製造例3)
リニアレン14の代わりに、89.36gのリニアレン18(出光興産社製、炭素数18のα−オレフィン)を用い、45.12gの無水マレイン酸、0.52gのジ−t−ブチルパーオキサイドを用いた以外は、製造例1と同様にして共重合体(A3)を得た。この共重合体の酸価は、319mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)は9600であった。
( 製造例4)
リニアレン14の代わりに、99.74gの1−ヘキサコセン(炭素数26のα−オレフィン)を用い、34.86gの無水マレイン酸、0.40gのジ−t−ブチルパーオキサイドを用いた以外は、製造例1と同様にして共重合体(A4)を得た。この共重合体の酸価は、262mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)は8500であった。
( 製造例5)
リニアレン14の代わりに、79.08gのリニアレン124(出光興産社製、炭素数12〜14のα−オレフィン)を用い、55.29gの無水マレイン酸、0.63gのジ−t−ブチルパーオキサイドを用いた以外は、製造例1と同様にして共重合体(A5)を得た。この共重合体の酸価は、391mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)は34000であった。
( 製造例6)
リニアレン14の代わりに、93.90gのリニアレン2024(出光興産社製、炭素数18〜24のα−オレフィン)を用い、40.64gの無水マレイン酸、0.47gのジ−t−ブチルパーオキサイドを用いた以外は、製造例1と同様にして共重合体(A6)を得た。この共重合体の酸価は、274mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)は8700であった。
(製造例7)
リニアレン14の代わりに、112.65gのワックス状α−オレフィン混合物(炭素数28〜60)を用い、22.09の無水マレイン酸、0.25gのジ−t−ブチルパーオキサイドを用いた以外は、製造例1と同様にして共重合体(A7)を得た。この共重合体の酸価は、101mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)は8000であった。
(市販の共重合体)
また、比較例用の共重合体(G)として、下記市販品を用意した。
(G1): トーヨーケム社製「リオフレックス4188H−C」(無水マレイン酸とプロピレンの共重合体、酸価:7mgKOH/g)
(G2): クラレ社製「イソバン600」(無水マレイン酸とイソブテンの共重合体、酸価:248mgKOH/g、Mw:6000)
(有機金属錯体(B))
有機金属錯体(B)としては、以下の化合物を用意した。特に製造メーカーの記載のないものは東京化成社製である。
(B1):ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)
(B2):ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)・1水和物
(B3):ビス(2,4−ペンタンジオナト)カルシウム(II)
(B4):トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)
(B5):テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)チタニウム(IV)
(B6):ビス(2,4−ペンタンジオナト)マグネシウム(II)
(B7):(エチレンジアミン四酢酸)の亜鉛塩(ナガセケムテックス社製、クレワットZn)
(B8):トリス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)
(炭化水素系ワックス(C))
実施例で用いる炭化水素系ワックス(C)として、以下に示す材料を用意した。
(C1):パラフィンワックス#140(日本精蝋社製)
(C2):パラフィンワックス#115(日本精蝋社製)
(C3):パラフィンワックス#120(日本精蝋社製)
(C4):パラフィンワックス#130(日本精蝋社製)
(C5):パラフィンワックス#155(日本精蝋社製)
(C6):Hi−Mic−1070(日本精蝋社製、マイクロクリスタリンワックス)
(C7):Hi−Mic−1090(日本精蝋社製、マイクロクリスタリンワックス)
(C8):Hi−Mic−2095(日本精蝋社製、マイクロクリスタリンワックス)
(C9):カルナバワックス(東亜化成社製)
(C10):ワックス状α−オレフィン混合物(炭素数28−60)
比較例で用いるワックスや炭化水素系材料として、以下の材料を準備した。
(H1)1−オクタデセン(東京化成社製、液状の炭化水素系化合物)
(H2)ハイワックス110P(三井化学社製、ポリエチレンワックス)
これらの融点は、示差走査熱量計(セイコーインスルメンツ社製、DSC6200)にて、昇温速度10℃/分にて測定した。
(基材フィルム(D))
実施例および比較例で用いる基材フィルムとして、下記の材料を用意した。
(D1):100μmPETフィルム(東洋紡社製、A4100)
(D2):シリカ蒸着100μmPETフィルム(三菱化学樹脂社製、テックバリアLX)
(D3):25μmポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン100H)
有機溶剤(F)
(F1):トルエン/イソプロピルアルコール=4/1(質量比)
(F2):トルエン/テトラヒドロフラン=4/1(質量比)
(F3):トルエン/イソプロピルアルコール/水=4/1/0.1(質量比)
(F4):トルエン/エタノール=4/1(質量比)
(F5):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(実施例1)水蒸気バリア性塗料の調製と積層体の製造
70mlのガラス瓶に、1.996gの共重合体(A1)、1.899gの有機金属錯体(B2)、0.105gの炭化水素系ワックス(C1)、および、溶剤(F)として16gのトルエン/イソプロピルアルコールの混合溶媒(質量比4/1)を入れた。この混合物に、さらに、1mm径のガラスビーズ20gを加えて密閉した後、ペイントシェーカー(Fast&FluidManagement社製、スキャンデックスSK450)で4時間振り混ぜた。
得られた混合物を#200のナイロンメッシュを通すことでガラスビーズを除去し、水蒸気バリア性塗料を得た。この塗料は均一なもので、析出物が沈降することはなかった。
得られた塗料を基材フィルム(D1)上に、バーコーターを用いて塗工し、140℃の熱風オーブンで2分間乾燥し、水蒸気バリア性積層体を得た。乾燥後の水蒸気バリア層の厚みは3μmであった。この積層体を40℃、湿度90%に設定した恒温恒湿器中に24時間保管(エージング)した後、下記の方法に従って、透明性(ヘイズ)、水蒸気バリア性(初期、湿熱試験後)を評価し、結果を表2に示す。
透明性(ヘイズ)
水蒸気バリア性積層体の透明性を評価するため、ヘイズメーター(日本電色工業社性、NDH2000)を用いてヘイズを測定した。評価は下記の4段階評価とした。
◎:ヘイズが、3未満
○:ヘイズが、3以上、7未満
△:ヘイズが、7以上、15未満
×:ヘイズが、15以上
水蒸気バリア性(初期、湿熱試験後)
85℃/湿度85%の条件の環境試験器中に2日間保管する前(初期)、保管した後(湿熱試験後)の水蒸気バリア性積層体について、それぞれ水蒸気透過度を以下の方法で求めた。
即ち、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製Permatran)を使用し、40℃、湿度100%(飽和水蒸気圧)、窒素流量10sccmの条件において測定した。得られた水蒸気透過度から、基材の水蒸気透過度の寄与を除去し、水蒸気バリア層単独での水蒸気透過度を、100μm厚当たりの水蒸気透過度(g/(m2・day))に換算した数値を算出し、下記の5段階で評価した。
◎:水蒸気透過度が、0.03g未満
○:水蒸気透過度が、0.03g以上、0.1g未満
□:水蒸気透過度が、0.1g以上、0.3g未満
△:水蒸気透過度が、0.3g以上、1g未満
×:水蒸気透過度が、1g以上
(実施例2〜41、および、比較例1〜8)
先に述べた実施例1における各材料を、表2〜5に示した材料と質量に置き換え、実施例1と同様の手順で塗料を作成した。これらの塗料から、実施例1と同様の手順で、基材フィルムを適宜変更して積層体を製造し、実施例1と同様の手順で評価した結果を表2〜5に示した。なお、これらの積層体における水蒸気バリア層の厚みは、いずれも、1〜10μmの間に入っていた。
なお、見やすさのために表2〜5にも実施例1を転記した。
(実施例42、43)
実施例1、実施例39において、塗工および乾燥で得られた積層体を、40℃、湿度90%に設定した恒温恒湿器中に24時間保管する工程(エージング)を実施しないで得た積層体を、それぞれ、実施例42、43として評価したが、評価結果はエージング工程の有無によらず、同一のものであった。
上記の実施例より、本発明の水蒸気バリア性塗料から製造される水蒸気バリア性積層体は、透明性に優れ、初期において優れた水蒸気バリア性を有するだけでなく、高温高湿度下に置いても劣化し難いことが示された。また、その優れた特性は、側鎖に特定の長さのアルキル基を有する共重合体(A)と特定の融点を有する炭化水素系ワックスの組合せによる相互作用によってもたらされることも示された。
本発明の水蒸気バリア性塗料から製造される水蒸気バリア性積層体は、優れた水蒸気バリア性、透明性、および、信頼性を併せ持つため、OLEDや量子ドットディスプレイ等のフレキシブル表示デバイスや、太陽電池等の各種デバイスに好適に利用することができる。また、食品や医薬品のパッケージ等にも好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(A)、有機金属錯体(B)、および、融点が45〜100℃である炭化水素系ワックス(C)を含む水蒸気バリア性塗料。
  2. 共重合体(A)の酸価が5〜500mgKOH/gである、請求項1に記載の水蒸気バリア性塗料。
  3. 共重合体(A)と炭化水素系ワックス(C)との合計100質量%中、炭化水素系ワックス(C)が0.1〜30質量%である、請求項1または2記載の水蒸気バリア性塗料。
  4. 炭化水素系ワックス(C)がパラフィンワックスである、請求項1〜3いずれか1項に記載の水蒸気バリア性塗料。
  5. 共重合体(A)の酸価に対し、有機金属錯体(B)が0.3〜2.0当量含まれる、請求項1〜4いずれか1項に記載の水蒸気バリア性塗料。
  6. 基材フィルム(D)の少なくとも片面に、請求項1〜5いずれか1項に記載の水蒸気バリア性塗料を塗工した後、共重合体(A)と有機金属錯体(B)とを架橋させることを特徴とする、水蒸気バリア性積層体の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法で得られる、水蒸気バリア性積層体。
  8. 基材フィルム(D)と水蒸気バリア層(E)とを有する水蒸気バリア性積層体であって、
    前記水蒸気バリア層(E)が、炭素数が8〜80のα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(A)と有機金属錯体(B)との反応生成物、および、融点が45〜100℃である炭化水素系ワックス(C)を含む、
    水蒸気バリア性積層体。
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