JP2023150747A - 水系分散体およびドライラミネート用接着剤組成物 - Google Patents

水系分散体およびドライラミネート用接着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)を有する水系分散体およびドライラミネート用接着剤組成物を提供すること。【解決手段】水系分散体は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを含む。エポキシ化合物(B)が、2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)とを有する。【選択図】なし

Description

本発明は、水系分散体およびドライラミネート用接着剤組成物に関する。
従来、接着剤の分野では、ポリオレフィン樹脂の水性分散体が、使用されている。ポリオレフィン樹脂の水性分散体として、例えば、以下のエチレン系樹脂分散液が提案されている。このエチレン系樹脂水性分散液は、エチレン/アクリル酸共重合体の水性分散液(樹脂分濃度28質量%)50gと、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル1.4gとを含んでいる(例えば、特許文献1(実施例1)参照。)。
特開2001-49054号公報
一方、接着剤組成物には、用途に応じて、各種要求物性を満足することが要求される。例えば、接着剤組成物を、ドライラミネート用接着剤組成物として用いる場合、優れた耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)が要求される。しかし、上記のエチレン系樹脂水性分散液を、ドライラミネート用接着剤組成物として用いると、十分な耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)が得られないという不具合がある。
本発明は、優れた耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)を有する水系分散体およびドライラミネート用接着剤組成物である。
本発明[1]は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを含み、前記エポキシ化合物(B)が、2つ以上のエポキシ基(b1)と、前記エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)とを有する、水系分散体を、含んでいる。
本発明[2]は、前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル共重合体を含む、上記[1]に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[3]は、前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有割合が、前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、2質量%以上10質量%以下である、上記[1]または[2]に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[4]は、前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシ基に対する、前記エポキシ化合物(B)中のエポキシ基の当量比(エポキシ基/カルボキシ基)が、0を超過し1.0以下である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[5]は、前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の融点が、90℃以下である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[6]は、前記シランカップリング剤(C)が、エポキシシランおよび/またはアミノシランを含む、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[7]は、前記エポキシ化合物(B)が、単一の環状炭化水素基(b3)を含み、前記環状炭化水素基(b3)が、ベンゼン環である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[8]は、前記エポキシ化合物(B)の前記ヘテロ原子(b2)が、窒素原子である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[9]は、前記エポキシ化合物(B)が、4つの前記エポキシ基(b1)を有している、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の水系分散体を、含んでいる。
本発明[10]は、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の水系分散体を含む、ドライラミネート用接着剤組成物を、含んでいる。
本発明の水系分散体およびドライラミネート用接着剤組成物は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを含み、エポキシ化合物(B)が、2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)とを含む。そのため、上記の水系分散体および上記のドライラミネート用接着剤組成物は、優れた耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)を有する。
1.水系分散体
本発明の分散体は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを含んでいる。
(1)不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、水系分散体のベースポリマーである。不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、原料モノマー成分の共重合により得られる。原料モノマー成分は、少なくとも、オレフィンと、不飽和カルボン酸とを含んでいる。
オレフィンとしては、例えば、α-オレフィンが挙げられる。α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および、1-エイコセンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。オレフィンとして、好ましくは、炭素数2~3のオレフィンが挙げられ、より好ましくは、エチレンおよび/またはプロピレンが挙げられ、さらに好ましくは、エチレンが挙げられる。
オレフィンの含有割合は、原料モノマー成分の総量に対して、例えば、60質量%以上、好ましくは、65質量%以上、より好ましくは、70質量%以上である。また、オレフィンの含有割合は、原料モノマー成分の総量に対して、例えば、99質量%以下、好ましくは、97質量%以下、より好ましくは、95質量%以下、さらに好ましくは、93質量%以下、とりわけ好ましくは、90質量%以下である。
原料モノマー成分中のオレフィンの含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のオレフィンに由来する構成単位の含有割合と、実質的に同義である。
すなわち、オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、例えば、60質量%以上、好ましくは、65質量%以上、より好ましくは、70質量%以上である。また、オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、例えば、99質量%以下、好ましくは、97質量%以下、より好ましくは、95質量%以下、さらに好ましくは、93質量%以下、とりわけ好ましくは、90質量%以下である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸が挙げられる。不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸およびイソクロトン酸が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびノルボルネンジカルボン酸、および、これらの酸無水物が挙げられる。不飽和カルボン酸は、単独使用または2種類以上併用できる。接着強度および耐薬品性の観点から、不飽和カルボン酸として、好ましくは、不飽和モノカルボン酸、および、不飽和ジカルボン酸の酸無水物が挙げられ、より好ましくは、(メタ)アクリル酸および無水マレイン酸が挙げられる。
(メタ)アクリル酸は、アクリル酸および/またはメタクリル酸である。なお、後述する(メタ)アクリル酸エステルについても、同様である。(メタ)アクリル酸として、好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
不飽和カルボン酸の含有割合は、例えば、接着強度および耐薬品性と、水系溶剤に対する不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散性とのバランスを図るために、適宜調整される。
例えば、不飽和カルボン酸の含有割合は、分散性の観点から、原料モノマー成分の総量に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、さらに好ましくは、5質量%以上である。また、不飽和カルボン酸の含有割合は、接着強度および耐薬品性の観点から、原料モノマー成分の総量に対して、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、9質量%以下である。
原料モノマー成分中の不飽和カルボン酸の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有割合と、実質的に同義である。
すなわち、不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有割合が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、さらに好ましくは、5質量%以上である。また、不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有割合が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、9質量%以下である。
原料モノマー成分は、必要に応じて、共重合性モノマーを、適宜の割合で含むことができる。原料モノマー成分は、好ましくは、共重合性モノマーを含む。
共重合性モノマーは、オレフィンおよび/または不飽和カルボン酸と共重合可能なモノマーである。共重合性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸エステル、水酸基含有ビニルモノマー、アミノ基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマー、アセトアセトキシ基含有ビニルモノマー、リン酸基含有ビニルモノマー、アミド基含有ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマー、N-置換不飽和カルボン酸アミド、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α-オレフィン類、ジエン類およびビニルエステル類が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。共重合性モノマーとして、接着強度および耐薬品性の観点から、好ましくは、不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、上記した不飽和カルボン酸のアルキルエステルが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数1~12のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、および、(メタ)アクリル酸ラウリルが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用される。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、好ましくは、炭素数1~4のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルおよび(メタ)アクリル酸イソブチルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、さらに好ましくは、炭素数2~4のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルおよび(メタ)アクリル酸イソブチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、さらに好ましくは、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸イソブチルが挙げられ、とりわけ好ましくは、アクリル酸イソブチルが挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルの含有割合は、原料モノマー成分の総量に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、10質量%以上、とりわけ好ましくは、15質量%以上である。また、不飽和カルボン酸エステルの含有割合は、原料モノマー成分の総量に対して、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下、より好ましくは、20質量%以下である。
原料モノマー成分中の不飽和カルボン酸エステルの含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中の不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有割合と、実質的に同義である。
すなわち、不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有割合が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、10質量%以上、とりわけ好ましくは、15質量%以上である。また、不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有割合が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下、より好ましくは、20質量%以下である。
原料モノマー成分として、好ましくは、エチレンと、不飽和カルボン酸と、不飽和カルボン酸エステルとからなる3元系モノマー成分が挙げられる。また、原料モノマー成分として、好ましくは、エチレンと、不飽和カルボン酸とからなる2元系モノマー成分も挙げられる。
換言すると、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、好ましくは、エチレンと、不飽和カルボン酸と、不飽和カルボン酸エステルとからなる3成分共重合体(以下、エチレン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル共重合体)が挙げられる。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、好ましくは、エチレンと、不飽和カルボン酸とからなる2成分共重合体(以下、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体)も挙げられる。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、接着強度および耐薬品性の観点から、さらに好ましくは、エチレン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル共重合体が挙げられ、とりわけ好ましくは、エチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が挙げられる。
原料モノマー成分の重合方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。例えば、上記の原料モノマー成分と、公知の重合開始剤(過酸化物など)とを、高温および高圧の条件で接触させる。これにより、原料モノマー成分の重合生成物として、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が得られる。
また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、必要に応じて、中和されていてもよい。例えば、原料モノマー成分の重合後、任意のタイミングで、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と中和剤とを接触させ、不飽和カルボン酸に由来するカルボキシ基を中和させる。中和剤としては、例えば、塩基性化合物が挙げられ、より具体的には、無機塩基性化合物および有機塩基性化合物が挙げられる。無機塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。有機塩基性化合物としては、例えば、アミン類が挙げられる。アミン類としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン(TEA)、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン(DEA)およびN,N-ジメチルエタノールアミンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。中和剤の添加量は、原料モノマー成分中の不飽和カルボン酸の含有割合に応じて、適宜設定される。
また、必要に応じて、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)に、溶剤(希釈溶剤)を配合できる。溶剤(希釈溶剤)としては、例えば、水性溶剤(D)として後述する水およびアルコールが挙げられる。
これにより、溶剤(希釈溶剤)に対して、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を、溶解および/または分散させることができる。すなわち、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液が得られる。
なお、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液に含まれる溶剤(希釈溶剤)は、必要に応じて、後述の水性溶剤(D)として兼用される。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液において、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の固形分濃度は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上である。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の固形分濃度は、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液の粘度(25℃)は、例えば、5mPa・s以上、好ましくは、10mPa・s以上、より好ましくは、20mPa・s以上である。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液の粘度(25℃)は、例えば、500mPa・s以下、好ましくは、400mPa・s以下、より好ましくは、300mPa・s以下である。なお、粘度は、後述する実施例に準拠して測定される(以下同様)。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液において、平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、0.001μm以上、好ましくは、0.01μm以上である。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液において、平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、1.0μm以下、好ましくは、0.1μm以下である。なお、平均粒子径は、後述する実施例に準拠して測定される(以下同様)。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の融点は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、より好ましくは、70℃以上である。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の融点は、接着強度および耐薬品性の観点から、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下、より好ましくは、85℃以下である。なお、融点は、後述する実施例に準拠して測定される。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量に対して、例えば、70質量%以上、好ましくは、85質量%以上である。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量に対して、例えば、99質量%以下、好ましくは、98質量%以下である。
(2)エポキシ化合物(B)
エポキシ化合物(B)は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を架橋する架橋剤である。エポキシ化合物(B)として、接着強度および耐薬品性の観点から、特定構造を有するエポキシ化合物が、用いられる。
特定構造を有するエポキシ化合物(B)は、より具体的には、1分子中に2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)とを有する。
つまり、エポキシ化合物(B)は、1分子中に2つ以上のエポキシ基(b1)を有している。エポキシ基(b1)の数は、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、2以上、好ましくは、3以上、より好ましくは、4以上である。また、エポキシ基(b1)の数は、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、例えば、8以下、好ましくは、6以下である。
1分子のエポキシ化合物(B)が有するエポキシ基(b1)の数は、とりわけ好ましくは、4である。すなわち、1分子のエポキシ化合物(B)は、とりわけ好ましくは、4つのエポキシ基(b1)を有している。
また、エポキシ化合物(B)は、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)を有している。すなわち、1分子のエポキシ化合物(B)は、ヘテロ原子として、エポキシ基に含まれる酸素原子(O)を有しており、かつ、そのエポキシ基に含まれる酸素原子(O)の他に、ヘテロ原子(b2)を有している。以下、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)を、単に、ヘテロ原子(b2)と称する場合がある。
ヘテロ原子(b2)としては、例えば、窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、および、リン原子(P)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。ヘテロ原子(b2)として、接着強度および耐薬品性の観点から、好ましくは、窒素原子(N)および酸素原子(O)が挙げられ、より好ましくは、窒素原子(N)が挙げられる。
ヘテロ原子(b2)の数は、特に制限されないが、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、例えば、1以上、好ましくは、2以上である。また、ヘテロ原子(b2)の数は、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、例えば、8以下、好ましくは、6以下、より好ましくは、4以下である。
ヘテロ原子(b2)の数は、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、とりわけ好ましくは、2である。すなわち、1分子のエポキシ化合物(B)は、とりわけ好ましくは、ヘテロ原子(b2)を、2つ有している。
さらに、エポキシ化合物(B)は、単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)を有している。すなわち、エポキシ化合物(B)は、上記のエポキシ基(b1)と、ヘテロ原子(b2)とを有し、かつ、環状炭化水素基(b3)および/または4置換炭素基(b4)を有している。
環状炭化水素基(b3)としては、例えば、芳香族および脂環が挙げられる。芳香環としては、例えば、炭素数6~24の芳香族単環および芳香族多環が挙げられ、より具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、アントラセン環、および、フェナントレン環が挙げられる。なお、芳香族多環は、複数の芳香環の縮合環である。つまり、縮合環全体が、単一の芳香環を形成している。
脂環としては、例えば、炭素数3~24の脂環族単環および脂環族多環が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロデカン環状、水添ナフタレン環、水添インデン環、水添アズレン環、水添フルオレン環、水添アントラセン環、および、水添フェナントレン環が挙げられる。なお、脂環族多環は、複数の脂環の縮合環である。つまり、縮合環全体が、単一の脂環を形成している。
環状炭化水素基(b3)は、単独使用または2種類以上併用できる。環状炭化水素基(b3)として、好ましくは、炭素数6~10の芳香族単環、および、炭素数3~12の脂環族単環が挙げられ、より好ましくは、ベンゼン環およびシクロヘキサン環が挙げられ、さらに好ましくは、ベンゼン環が挙げられる。
エポキシ化合物(B)が、環状炭化水素基(b3)を有する場合、環状炭化水素基(b3)の数は、接着強度および耐薬品性の観点から、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、1つである。換言すると、エポキシ化合物(B)は、2つ以上の環状炭化水素基(b3)を有していない。
4置換炭素基(b4)は、例えば、4級炭素基である。すなわち、水素原子以外の4つの置換基が、炭素原子の4つの結合手に対して、それぞれ単結合することにより、4置換炭素基(b4)が形成される。炭素原子に単結合される4つの置換基は、互いに同一種類であってもよく、また、異なる種類であってもよい。
エポキシ化合物(B)が、4置換炭素基(b4)を有する場合、4置換炭素基(b4)の数は、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、例えば、1つ以上である。また、4置換炭素基(b4)の数は、接着強度および耐薬品性の観点から、1分子のエポキシ化合物(B)に対して、例えば、4つ以下、好ましくは、3つ以下、より好ましくは、2つ以下である。エポキシ化合物(B)が、4置換炭素基(b4)を有する場合、4置換炭素基(b4)の数は、とりわけ好ましくは、1つである。
1分子のエポキシ化合物(B)は、環状炭化水素基(b3)および4置換炭素基(b4)の両方を有していてもよく、また、いずれか一方のみを有していてもよい。好ましくは、1分子のエポキシ化合物(B)は、環状炭化水素基(b3)および4置換炭素基(b4)のうち、いずれか一方のみを有している。
エポキシ化合物(B)として、好ましくは、2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)とを有し、4置換炭素基(b4)を有していないエポキシ化合物が挙げられる。
このようなエポキシ化合物(B)として、より具体的には、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N-[2-メチル-4-(オキシラニルメトキシ)フェニル]-N-オキシラニルメチルオキシランメタンアミン、および、レゾルシノールグリシジルエーテルが挙げられる。
なお、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンは、エポキシ基を4つ有し、そのエポキシ基の酸素原子以外に窒素原子を2つ有し、ベンゼン環を1つ有している。
また、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンは、エポキシ基を4つ有し、そのエポキシ基の酸素原子以外に窒素原子を2つ有し、シクロヘキサン環を1つ有している。
また、N-[2-メチル-4-(オキシラニルメトキシ)フェニル]-N-オキシラニルメチルオキシランメタンアミンは、エポキシ基を3つ有し、そのエポキシ基の酸素原子以外に窒素原子を1つ有し、エポキシ基の酸素原子以外に酸素原子を1つ有し、ベンゼン環を1つ有している。
また、レゾルシノールグリシジルエーテルは、エポキシ基を2つ有し、そのエポキシ基の酸素原子以外に酸素原子を2つ有し、ベンゼン環を1つ有している。
また、エポキシ化合物(B)として、好ましくは、2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、4置換炭素基(b4)とを有し、環状炭化水素基(b3)を有していないエポキシ化合物が挙げられる。
このようなエポキシ化合物(B)としては、例えば、トリメチロールプロパンに由来するエポキシ化合物が挙げられ、より具体的には、トリメチロールプロパンポリ(ジおよび/またはトリ)グリシジルエーテルが挙げられる。
なお、トリメチロールプロパンポリ(ジおよび/またはトリ)グリシジルエーテルは、エポキシ基を2つおよび/または3つ有し、そのエポキシ基の酸素原子以外に酸素原子を3つ有し、4置換炭素基を1つ有している。
これらエポキシ化合物(B)は、単独使用または2種類以上併用できる。エポキシ化合物(B)として、接着強度および耐薬品性の観点から、より好ましくは、2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)とを有し、4置換炭素基(b4)を有していないエポキシ化合物が挙げられる。エポキシ化合物(B)として、さらに好ましくは、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンが挙げられる。
エポキシ化合物(B)の含有割合は、例えば、上記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のカルボキシ基の含有量に応じて、調整される。
つまり、架橋構造を形成し、優れた接着強度および耐薬品性を得る観点から、好ましくは、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のカルボキシ基に対する、エポキシ化合物(B)の架橋性反応基(エポキシ基)の当量比(エポキシ基/カルボキシ基)に基づいて、エポキシ化合物(B)の含有割合が、調整される。
より具体的には、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシ基に対する、エポキシ化合物(B)中のエポキシ基の当量比(エポキシ基/カルボキシ基)は、例えば、0を超過し、好ましくは、0.01以上、より好ましくは、0.10以上、さらに好ましくは、0.15以上である。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシ基に対する、エポキシ化合物(B)中のエポキシ基の当量比(エポキシ基/カルボキシ基)は、例えば、1.5以下、好ましくは、1.0以下、より好ましくは、0.8以下、さらに好ましくは、0.5以下、とりわけ好ましくは、0.3以下である。
また、エポキシ化合物(B)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、1質量%以上である。また、エポキシ化合物(B)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量に対して、例えば、15質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
また、エポキシ化合物(B)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上である。また、エポキシ化合物(B)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
(3)シランカップリング剤(C)
シランカップリング剤(C)としては、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、クロロシラン、ビニルシランおよびイソシアナトシランが挙げられる。エポキシシランとしては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、および、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。アミノシランとしては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、および、3-アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。クロロシランとしては、例えば、ビニルトリクロルシランが挙げられる。ビニルシランとしては、例えば、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。イソシアナトシランとしては、例えば、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
シランカップリング剤(C)として、接着強度および耐薬品性の観点から、好ましくは、エポキシシランおよびアミノシランが挙げられる。すなわち、シランカップリング剤(C)は、好ましくは、エポキシシランおよび/またはアミノシランを含む。シランカップリング剤(C)として、より好ましくは、エポキシシランが挙げられ、さらに好ましくは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤(C)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量(固形分)に応じて、調整される。
より具体的には、シランカップリング剤(C)の含有割合は、接着強度および耐薬品性の観点から、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量(固形分)100質量部に対して、例えば、0.01質量部(phr)以上、好ましくは、0.05質量部(phr)以上、より好ましくは、0.1質量部(phr)以上、さらに好ましくは、0.5質量部(phr)以上、とりわけ好ましくは、0.8質量部(phr)以上である。また、シランカップリング剤(C)の含有割合は、接着強度および耐薬品性の観点から、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量(固形分)100質量部に対して、例えば、20質量部(phr)以下、好ましくは、15質量部(phr)以下、より好ましくは、10質量部(phr)以下、さらに好ましくは、5質量部(phr)以下、とりわけ好ましくは、2質量部(phr)以下である。
また、シランカップリング剤(C)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量に対して、例えば、0.005質量%以上、好ましくは、0.001質量%以上である。また、シランカップリング剤(C)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量に対して、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
(4)水性溶剤(D)
水性溶剤(D)は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)とを分散させる分散媒である。
水性溶剤(D)としては、例えば、水、アルコール、エーテルおよびエーテルアルコールが挙げられる。アルコールとしては、例えば、炭素数1~4の1~2価アルコールが挙げられる。炭素数1~4の1~2価アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。エーテルとしては、例えば、炭素数2~5のエーテルが挙げられる。炭素数2~4のエーテルとしては、例えば、ジメトキシエタン、および、テトラヒドロフランが挙げられる。エーテルアルコールとしては、例えば、炭素数2~4のエーテルアルコールが挙げられる。炭素数2~4のエーテルアルコールとしては、例えば、メチルセロソルブが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
水性溶剤(D)として、好ましくは、水およびアルコールが挙げられ、より好ましくは、水および炭素数1~4の1~2価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、水および炭素数2~4の1価アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、水と、炭素数3の1価アルコールとの併用が挙げられる。
水と、炭素数1~4の1価アルコールとが併用される場合、これらの併用割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。例えば、水と、炭素数1~4の1価アルコールとの総量に対して、水が、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上である。また、水と、炭素数1~4の1価アルコールとの総量に対して、水が、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。水と、炭素数1~4の1価アルコールとの総量に対して、炭素数1~4の1価アルコールが、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上である。また、水と、炭素数1~4の1価アルコールとの総量に対して、炭素数1~4の1価アルコールが、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
水性溶剤(D)の含有割合は、例えば、水系分散体の固形分濃度が後述する範囲となるように、調整される。
また、水性溶剤(D)として、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の希釈溶剤を、そのまま使用してもよい。また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の希釈溶剤に、さらに、水性溶剤(D)を追加してもよい。
水性溶剤(D)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量100質量部に対して、例えば、150質量部以上、好ましくは、230質量部以上である。また、水性溶剤(D)の含有割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)との固形分総量100質量部に対して、例えば、9900質量部以下、好ましくは、1900質量部以下である。
(5)水系分散体の製造方法
水系分散体は、例えば、以下の方法で、製造される。すなわち、この方法では、まず、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを、それぞれ準備する(準備工程)。
次いで、この方法では、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを、上記の割合で混合する(混合工程)。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とは、順次配合されてもよく、また、一括配合されてもよい。順次配合における配合順序は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
例えば、予め、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、水性溶剤(D)の一部または全部とが混合され、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液が調製されていてもよい。このような場合、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、必要に応じて水性溶剤(D)の残部とが混合される。
また、例えば、予め、エポキシ化合物(B)と、水性溶剤(D)の一部または全部とが混合され、エポキシ化合物(B)の溶液および/または分散液が調製されていてもよい。このような場合、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)の溶液および/または分散液と、シランカップリング剤(C)と、必要に応じて水性溶剤(D)の残部とが混合される。
また、例えば、予め、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)の一部または全部とが混合され、シランカップリング剤(C)の溶液および/または分散液が調製されてもよい。このような場合、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)の溶液および/または分散液と、必要に応じて水性溶剤(D)の残部とが混合される。
また、これらは、必要に応じて、適宜組み合わされてもよい。例えば、予め、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、水性溶剤(D)の一部または全部とが混合され、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液が調製されていてもよい。また、上記とともに、予め、エポキシ化合物(B)と、水性溶剤(D)の一部または全部とが混合され、エポキシ化合物(B)の溶液および/または分散液が調製されていてもよい。このような場合、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の溶液および/または分散液と、エポキシ化合物(B)の溶液および/または分散液と、シランカップリング剤(C)と、必要に応じて水性溶剤(D)の残部とが混合される。
これにより、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)とが、水性溶剤(D)中に分散される。その結果、水系分散体が得られる。
水系分散体の固形分濃度は、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上である。また、水系分散体の固形分濃度は、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、20質量部以下である。
水系分散体の平均粒子径は、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.02μm以上である。また、水系分散体の平均粒子径は、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、10μm以下、さらに好ましくは、1μm以下、とりわけ好ましくは、0.1μm以下である。
また、水系分散体は、必要に応じて、添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、上記エポキシ化合物(B)を除く架橋剤、接着助剤、減粘剤(粘度調整剤)、集束剤、帯電防止剤、潤滑剤、平滑剤、消泡剤、増粘剤(粘度調整剤)、粘着付与剤、硬度付与剤、防腐剤、凍結防止剤、分散剤、顔料および染料が挙げられる。
添加剤として、好ましくは、接着助剤が挙げられる。接着助剤としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、および、アクリルエマルションが挙げられる。接着助剤は、単独使用または2種類以上併用される。接着助剤として、好ましくは、スチレンブタジエンゴム(SBR)が挙げられる。
添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。添加剤の配合割合および配合のタイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
例えば、添加剤として接着助剤が使用される場合、接着助剤の配合割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と接着助剤との固形分総量100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、40質量部以上である。また、接着助剤の配合割合は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と接着助剤との固形分総量100質量部に対して、例えば、80質量部以下、好ましくは、70質量部以下、より好ましくは、60質量部以下である。
上記の水系分散体の製造方法によれば、上記の分散体を、効率よく得られる。
そして、上記の水系分散体は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを含み、エポキシ化合物(B)が、2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)とを含む。そのため、上記の水系分散体は、優れた耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)を有する。
そのため、上記の水系分散体は、ドライラミネート用接着剤組成物として、好適に使用される。
2.ドライラミネート用接着剤組成物
ドライラミネート用接着剤組成物は、上記の水系分散体を含んでいる。例えば、ドライラミネート用接着剤組成物は、上記の水系分散体からなることができる。
また、接着剤組成物は、上記の水系分散体と、希釈剤とを含むことができる。換言すると、接着剤組成物は、上記の水系分散体の希釈液であってもよい。希釈剤としては、特に制限されないが、例えば、上記の水性溶剤(D)が挙げられる。なお、希釈剤の配合割合は、特に制限されず、接着剤組成物の固形分濃度が所定範囲となるように、適宜設定される。
ドライラミネート用接着剤組成物の固形分濃度は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上である。また、ドライラミネート用接着剤組成物の固形分濃度は、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
また、ドライラミネート用接着剤組成物は、必要に応じて、添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、上記エポキシ化合物(B)を除く架橋剤、接着助剤、減粘剤(粘度調整剤)、集束剤、帯電防止剤、潤滑剤、平滑剤、消泡剤、増粘剤(粘度調整剤)、粘着付与剤、硬度付与剤、防腐剤、凍結防止剤、分散剤、顔料および染料が挙げられる。これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。添加剤の配合割合および配合のタイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
このようなドライラミネート用接着剤組成物は上記の水系分散体を含んでいる。すなわち、ドライラミネート用接着剤組成物は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを含み、エポキシ化合物(B)が、2つ以上のエポキシ基(b1)と、エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)とを含む。そのため、上記のドライラミネート用接着剤組成物は、優れた耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)を有する。
ドライラミネート用接着剤組成物は、公知の方法で使用される。例えば、ドライラミネート用接着剤組成物は、公知のラミネーターによって、基材(以下、第1基材)の表面に塗布される。
第1基材としては、例えば、樹脂基材、金属基材、複合基材および繊維基材が挙げられる。樹脂基材としては、例えば、樹脂材料からなるプラスチックフィルムが挙げられる。樹脂材料としては、例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリアクリロニトリル共重合体が挙げられる。金属基材としては、例えば、金属板および金属箔が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛、チタン、コバルト、インジウムおよびクロムが挙げられる。複合基材としては、例えば、上記プラスチックフィルムと上記金属箔との積層フィルムが挙げられる。また、複合基材としては、例えば、プラスチックフィルム上に、金属および/またはその酸化物を蒸着した蒸着フィルムも挙げられる。繊維基材としては、例えば、紙、織布、不織布、ガラス繊維フィルムおよび炭素繊維フィルムが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。第1基材として、好ましくは、複合基材が挙げられ、より好ましくは、プラスチックフィルムと金属箔との積層フィルム、および、蒸着フィルムが挙げられる。
第1基材の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上である。また、第1基材の厚みは、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。
また、ドライラミネート用接着剤組成物の塗布量(固形分)は、例えば、1.0g/m以上、好ましくは、2.0g/m以上である。また、ドライラミネート用接着剤組成物の塗布量(固形分)は、例えば、10.0g/m以下、好ましくは、5.0g/m以下である。
次いで、ドライラミネート用接着剤組成物を、乾燥させる。乾燥条件は、特に制限されず、適宜設定される。例えば、乾燥温度は、例えば、20℃以上、好ましくは、40℃以上である。また、乾燥温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、乾燥時間は、例えば、2秒以上、好ましくは、5秒以上である。また、乾燥時間は、例えば、180秒以下、好ましくは、120秒以下である。
これにより、ドライラミネート用接着剤組成物の乾燥物からなる接着剤層が、第1基材の表面に、形成される。
その後、第1基材と、別の基材(以下、第2基材)とを、接着剤層を介して貼り合わせる(ドライラミネート)。第2基材としては、例えば、上記の樹脂基材、上記の金属基材、上記の複合基材、および、上記の繊維基材が挙げられる。第2基材として、好ましくは、樹脂基材が挙げられる。
第2基材の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上である。また、第2基材の厚みは、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。
ドライラミネート条件は、特に制限されないが、例えば、ラミネート温度は、例えば、40℃以上、好ましくは、60℃以上である。また、ラミネート温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、ラミネート圧力(ゲージ圧)は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.2MPa以上である。また、また、ラミネート圧力(ゲージ圧)は、例えば、5.0MPa以下、好ましくは、3.0MPa以下である。また、ラミネート速度は、例えば、1m/min以上、好ましくは、5m/min以上である。また、ラミネート速度は、例えば、200m/min以下、好ましくは、150m/min以下である。
これにより、ラミネートフィルムが得られる。また、必要に応じて、ラミネートフィルムをエージングすることもできる。エージング条件は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
このようなラミネートフィルムは、上記のドライラミネート用接着剤組成物を用いて得られるため、優れた耐薬品性(耐溶剤性および耐酸性)を有する。
そのため、上記のラミネートフィルムは、例えば、耐内容物性が要求される各種産業分野において、好適に用いられる。そのような産業分野としては、例えば、食品包装分野および薬品包装分野が挙げられる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.ポリオレフィン樹脂(A)およびポリオレフィン樹脂分散体(a)
準備例a1~a5
以下の方法で、表1に記載の不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散液(以下、ポリオレフィン樹脂分散体)a1~a5を、準備した。
より具体的には、市販の不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)(以下、ポリオレフィン樹脂(A))A1~A4を準備した。ポリオレフィン樹脂A1~A4の原料モノマー成分の比率を下記する。
A1;エチレン82質量%、アクリル酸18質量%
A2;エチレン80.2質量%、アクリル酸エチル17質量%、無水マレイン酸2.8質量%
A3;エチレン75質量%、アクリル酸イソブチル17質量%、メタクリル酸8質量%
A4;エチレン80質量%、アクリル酸イソブチル10質量%、メタクリル酸10質量%
次いで、表1に記載の処方で、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂A1~A4と、中和剤と、希釈溶剤とを加熱機能を有する耐圧撹拌容器(オートクレーブ(容量1.5L))に投入した。次いで、容器を密閉し、容器の内容物を、回転数800rpm、および、表1に記載の分散温度で、4時間混合した。その後、容器を室温まで空冷し、内容物を取り出した。これにより、ポリオレフィン樹脂分散体(a)を得た。なお、希釈溶剤は、水性溶剤(D)として兼用可能な溶剤であった。
ポリオレフィン樹脂分散体(a)の物性を、以下の通り測定した。
(1)固形分濃度
アルミ皿にガラスろ紙を載せて、ガラスろ紙の上で、約1gのポリオレフィン樹脂分散体(a)を秤量した。次いで、ポリオレフィン樹脂分散体(a)を、150℃で45分乾燥させた。その後、乾燥後の残留固形分を、上記と同様に秤量した。そして、これらの結果に基づいて、ポリオレフィン樹脂分散体(a)の固形分濃度を算出した。
(2)粘度
ポリオレフィン樹脂分散体(a)の粘度を、B型回転粘度計TVB-10M(東機産業製)により測定した。なお、測定条件を下記する。
測定温度;25℃、回転数;6rpm、ローター番号;No.1
(3)平均粒子径
ポリオレフィン樹脂分散体(a)の平均粒子径(体積平均粒子径)を、粒子分布径測定装置マイクロトラックMT3300EXII(マイクロトラック・ベル製、光散乱測定法)により測定した。
なお、上記の装置では平均粒子径を測定できなかった場合、ポリオレフィン樹脂分散体(a)の平均粒子径(体積平均粒子径)を、ナノ粒子径測定装置ナノトラック・ウェーブII-EX150(マイクロトラック・ベル製)により測定した。
(4)融点
ポリオレフィン樹脂分散体(a)に含まれるポリオレフィン樹脂(A)の融点を、以下の方法で求めた。すなわち、ポリオレフィン樹脂(A)を、示差走査熱量測定(DSC測定)した。そして、吸熱ピークのピークトップ温度を、融点とした。なお、測定条件を下記する。
測定装置;DSC7000X 熱流速型DSC、日立ハイテクサイエンス製
対照サンプル;アルミナ
窒素流量;30mL/分
測定温度;―20℃から200℃
昇温速度;10℃/分
(5)酸含量
ポリオレフィン樹脂分散体(a)に含まれるポリオレフィン樹脂(A)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有割合(酸含量)を、下記式により算出した。
酸含量(質量%)=[不飽和カルボン酸の質量/原料モノマーの総質量]×100
表中の略号の詳細を下記する。
E;エチレン
EA;アクリル酸エチル
iBA;アクリル酸イソブチル
MAH;無水マレイン酸
MAA;メタクリル酸
TEA;トリエチルアミン
DEA;ジエチルアミン
IPA;イソプロピルアルコール
NPA;ノルマルプロピルアルコール
2.架橋剤(B)
準備例B1~B9
下記のエポキシ化合物B1~B9を準備した。また、以下の非エポキシ化合物B10~B11を準備した。
B1;エポキシ化合物、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、商品名TetradX、三菱ガス化学社製、エポキシ当量98g/mol
B2;エポキシ化合物、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、商品名TetradC、三菱ガス化学社製、エポキシ当量98g/mol
B3;エポキシ化合物、4-(2,3-エポキシプロパン-1-イルオキシ)-N,N-ビス(2,3-エポキシプロパン-1-イル)-2-メチルアニリン、商品名スミエポキシEM-100、住友化学社製、エポキシ当量107g/mol
B4;エポキシ化合物、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、商品名デナコールEX-321、ナガセケムテックス社製、エポキシ当量140g/mol
B5;エポキシ化合物、レゾルシノールグリシジルエーテル、商品名デナコールEX-201、ナガセケムテックス社製、エポキシ当量117g/mol
B6;エポキシ化合物、グリセロールポリグリシジルエーテル、商品名デナコールEX-313、ナガセケムテックス社製、エポキシ当量141g/mol
B7;エポキシ化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、商品名デナコールEX-810、ナガセケムテックス社製、エポキシ当量113g/mol
B8;エポキシ化合物、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、商品名デナコールEX-920、ナガセケムテックス社製、エポキシ当量176g/mol
B9;エポキシ化合物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、商品名スミエポキシEM-434、住友化学社製、エポキシ当量119g/mol
B10;非エポキシ化合物(水分散性イソシアネート化合物)、商品名タケネートWD-725、三井化学社製
B11;非エポキシ化合物(カルボジイミド化合物)、商品名カルボジライトV-02-L2、日清紡ケミカル社製
3.シランカップリング剤(C)
準備例C1~C2
下記のシランカップリング剤C1~C2を準備した。
C1;シランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名KBM-403、エポキシシラン、信越化学工業製
C2;シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名KBM-903、アミノシラン、信越化学工業製
4.水性溶剤(D)
準備例D1~D3
下記の水性媒体D1~D3を準備した。
D1;イソプロピルアルコール
D2:水
D3:ノルマルプロピルアルコール
5.水系分散体およびラミネートフィルム
実施例1~26および比較例1~10
(1)水系分散体
表2~表5の組み合わせで、ポリオレフィン樹脂分散体(a)と、架橋剤(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを準備した。なお、ポリオレフィン樹脂分散体(a)における分散媒を、水性溶剤(D)としても兼用した。
そして、D1(イソプロピルアルコール)およびD2(水)の混合溶媒(イソプロピルアルコール:水=2:1(質量比))に、架橋剤(B)を添加した。これにより、固形分濃度6.25質量%の架橋剤(B)の溶液を得た。ただし、架橋剤B10~B11は、水系溶剤(D)と混合せずに、そのまま使用した。
別途、D1(イソプロピルアルコール)およびD2(水)の混合溶媒(イソプロピルアルコール:水=1:1(質量比))と、ポリオレフィン樹脂分散体(a)とを混合した。なお、水系分散体の固形分濃度が表2~表5の値(質量%)となるように、D1(イソプロピルアルコール)およびD2(水)の配合量を、調整した。
さらに、添加剤として、SR-152(スチレンブタジエンゴム(SBR、粘着助剤)、商品名ナルスターSBR系SR-152、日本エイアンドエル社製、タイプカルボキシ変性、全固形分48.0%、pH7.0、粘度300mPa・s、粒子径160nm、ゲル分率85%、Tg-1℃)を準備した。
そして、表2~表5の処方で、ポリオレフィン樹脂分散体(a)および水性溶剤(D)と、架橋剤(B)の溶液と、シランカップリング剤(C)とを混合した。また、必要に応じて、添加剤(SBR)を添加した。
すなわち、ポリオレフィン樹脂分散体(a)中のカルボキシ基に対する架橋剤(B)中の架橋性反応基の当量比(架橋性反応基/カルボキシ基)が表2~表5の値となるように、架橋剤(B)の配合割合を調整した。なお、エポキシ化合物の架橋性反応基は、エポキシ基である。水分散イソシアネート化合物の架橋性反応基は、イソシアネート基である。カルボジイミド化合物の架橋性反応基は、カルボジイミド基である。
また、ポリオレフィン樹脂分散体(a)の固形分に対するシランカップリング剤(C)の質量割合が表2~表5の値(phr)となるように、シランカップリング剤(C)の配合割合を調整した。
また、ポリオレフィン樹脂分散体(a)の固形分と、添加剤(SBR)の固形分との質量割合が表2~表5の値(ポリオレフィン樹脂(A)の固形分/SBRの固形分)となるように、添加剤(SBR)の配合割合を調整した。
これにより、水系分散体を調製した。得られた水系分散体を、ドライラミネート用接着剤組成物とした。
(2)ラミネートフィルム1
第1基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)とアルミニウム箔(AL)との複合フィルムI(PET-AL)を準備した。
すなわち、下記ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)と、下記アルミニウム箔(AL)とを、市販の接着剤(主剤タケラックA-626(三井化学製)/硬化剤タケネートA-50(三井化学製品))でラミネートおよびエージングした。接着剤の塗布量は、固形分基準で、3.3g/mであった。エージング条件は、40℃および3日であった。これにより、複合フィルム(PET-AL)を得た。
ポリエチレンテレフタレートフィルム;商品名エステルフィルムE5102、厚み12μm、東洋紡株式会社製
アルミニウム箔;商品名アルミニウム箔1N30-O、厚み9μm、UACJ製箔社製
また、第2基材として、下記低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)を準備した。
低密度ポリエチレンフィルム;商品名TUX-FCS、40μm、三井化学東セロ社製
そして、複合フィルム(PET-AL)のアルミニウム面に、上記の各ドライラミネート用接着剤組成物を、バーコーターで塗布した。なお、ドライラミネート用接着剤組成物の塗布量は、固形分基準で、3.3g/m(固形分)であった。そして、ドライラミネート用接着剤組成物の塗膜を、オーブンで乾燥させた。なお、乾燥温度は90℃であり、乾燥時間は、90秒であった。これにより、接着剤層(Ad)を形成した。
その後、加熱圧着ロール(温度80℃、ゲージ圧0.4MPa)に、接着剤層を備えた複合フィルム(PET-AL)と、上記低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)とを通過させ、さらに、これらを60℃および5日でエージングした。これにより、複合フィルム(PET-AL)と、上記低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)とを、接着剤層(Ad)を介してラミネートし、ラミネートフィルム1(PET-AL/Ad/LLDPE)を得た。
(3)ラミネートフィルム2
第1基材として、下記の透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(蒸着フィルム、GL)を準備した。
透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム;商品名GL-RD、厚み12μm、基材ポリエチレンテレフタレート、蒸着層、凸版印刷製
複合フィルム(PET-AL)に代えて、透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(GL)を使用した。これ以外は、上記(2)と同じ方法で、透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(GL)と、上記低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)とを、接着剤層(Ad)を介してラミネートし、ラミネートフィルム2(GL/Ad/LLDPE)を得た。
6.評価
(1)初期強度
ラミネートフィルム1(PET-AL/Ad/LLDPE)およびラミネートフィルム2(GL/LLDPE)を、長さ150mm×幅15mmに裁断し、サンプルを得た。次いで、万能引張測定装置を用いたT型剥離試験(クロスヘッド速度300mm/分、24℃)により、試験片サンプルの初期接着強度を、測定した。
なお、剥離強度は、各サンプルの剥離挙動が平坦になる領域で、測定した。また、各サンプルの剥離挙動が平坦にならず、剥離挙動がパルス的になる場合には、最大値および最小値を測定した(以下同様)。
なお、試験片サンプルの初期接着強度が2N/15mm以上であれば、ドライラミネート用接着剤組成物が優れた接着性を有すると判断した。また、剥離後のサンプルの外観を観察した。
(2)耐溶剤性試験
99.5質量%エタノール(富士フィルム和光純薬製、試薬特級)を精製水(富士フィルム和光純薬製)で希釈した。これにより、80質量%のエタノール(80%エタノール)を調製した。
ラミネートフィルム1(PET-AL/Ad/LLDPE)を、長さ150mm×幅100mmに裁断し、サンプルを得た。次いで、サンプルを半分に折り、両端をヒートシールした。これにより、三方パウチ(75mm×100mm)を作成した。その後、三方パウチに、80%エタノール10gを封入し、50℃で1週間保存した。その後、三方パウチを開封し、サンプルを水で洗浄した。その後、万能引張測定装置を用いたT型剥離試験(クロスヘッド速度300mm/分、24℃)により、サンプルの耐薬品(耐溶剤)試験後の接着強度を、測定した。また、剥離後のサンプルの外観を観察した。
(3)耐酸性試験
ラミネートフィルム2(GL/Ad/LLDPE)を、長さ150mm×幅15mmに裁断し、サンプルを得た。次いで、万能引張測定装置を用いたT型剥離試験(クロスヘッド速度300mm/分、24℃)により、サンプルの初期接着強度を、測定した。また、剥離後のサンプルの外観を観察した。
また、ラミネートフィルム2(GL/Ad/LLDPE)を、長さ150mm×幅100mmに裁断し、サンプルを得た。次いで、サンプルを半分に折り、両端をヒートシールした。これにより、三方パウチ(75mm×100mm)を作成した。その後、三方パウチに、酢酸(富士フィルム和光純薬製、試薬特級)10gを封入し、50℃で1週間保存した。その後、三方パウチを開封し、サンプルを水で洗浄した。その後、万能引張測定装置を用いたT型剥離試験(クロスヘッド速度300mm/分、24℃)により、サンプルの耐薬品(耐酸)試験後の接着強度を、測定した。また、剥離後のサンプルの外観を観察した。
評価基準
耐薬品試験(耐溶剤性試験および耐酸性試験)後、接着強度の測定の前に、基材と接着剤層との間にデラミネーションが生じていた場合、薬品の浸透により接着剤層が脆化しており、接着剤層の耐薬品性が十分ではないと判断した。
また、耐薬品試験後、接着強度の測定において、接着剤層の凝集破壊が生じた場合にも、薬品の浸透により接着剤層が脆化しており、接着剤層の耐薬品性が十分ではないと判断した。
一方、耐薬品試験後、接着強度の測定において、接着剤層が破壊されず、基材破壊(フィルム破断、または、フィルム層間剥離)が生じた場合には、薬品の浸透による接着剤層の脆化が抑制されており、接着剤層が優れた耐薬品性を有していると判断した。なお、基材破壊のうち、フィルム層間剥離が生じた場合には、接着強度を測定できた。一方、フィルム破断が生じた場合、接着強度を測定できなかった。
また、耐薬品試験後、接着強度の測定において、接着剤層と基材との間の界面剥離が生じた場合にも、薬品の浸透による接着剤層の脆化が抑制されており、接着剤層が優れた耐薬品性を有していると判断した。
なお、表中の略号の詳細を下記する。
Ad/LL;接着剤層と低密度ポリエチレンフィルムとの間の界面剥離
AL/Ad;複合フィルムのアルミニウム面と接着剤層との間の界面剥離
GL/Ad;透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムと接着剤層との間の界面剥離
デラミ;第1基材(PET-ALまたはGL)および第2基材(LLDPE)の少なくともいずれか一方と、接着剤層との間に、デラミネーションが生じている状態。
凝集破壊;接着剤層が破壊され、接着剤層の断片が第1基材(PET-ALまたはGL)および第2基材(LLDPE)に付着している状態。
基材破壊;接着剤層が破壊されず、第1基材(PET-ALまたはGL)および第2基材(LLDPE)の少なくともいずれか一方に、フィルム破断またはフィルム層間剥離が生じている状態。

Claims (10)

  1. 不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、エポキシ化合物(B)と、シランカップリング剤(C)と、水性溶剤(D)とを含み、
    前記エポキシ化合物(B)が、
    2つ以上のエポキシ基(b1)と、
    前記エポキシ基に含まれる酸素原子以外のヘテロ原子(b2)と、
    単一の環状炭化水素基(b3)、および/または、4置換炭素基(b4)と
    を有する、水系分散体。
  2. 前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、
    エチレン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル共重合体を含む、請求項1に記載の水系分散体。
  3. 前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有割合が、
    前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の総量に対して、2質量%以上10質量%以下である、請求項1または2に記載の水系分散体。
  4. 前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシ基に対する、前記エポキシ化合物(B)中のエポキシ基の当量比(エポキシ基/カルボキシ基)が、0を超過し1.0以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水系分散体。
  5. 前記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の融点が、90℃以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水系分散体。
  6. 前記シランカップリング剤(C)が、エポキシシランおよび/またはアミノシランを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の水系分散体。
  7. 前記エポキシ化合物(B)が、単一の環状炭化水素基(b3)を含み、
    前記環状炭化水素基(b3)が、ベンゼン環である、請求項1~6のいずれか一項に記載の水系分散体。
  8. 前記エポキシ化合物(B)の前記ヘテロ原子(b2)が、窒素原子である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水系分散体。
  9. 前記エポキシ化合物(B)が、4つの前記エポキシ基(b1)を有している、請求項1~8のいずれか一項に記載の水系分散体。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の水系分散体を含む、ドライラミネート用接着剤組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024048444A1 (ja) * 2022-08-30 2024-03-07 ユニチカ株式会社 塗工剤、塗膜および積層体

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