JP7272520B1 - ガスバリアフィルム、および包装材料 - Google Patents

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Abstract

脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体を含む樹脂(A)を含有するガスバリアフィルム、前記ガスバリアフィルムを含む包装材料及び加熱殺菌用包装材料に関する。前記樹脂層(A)と、多価金属化合物を含む樹脂層(B)を隣接して有し、樹脂層(B)を形成する樹脂が、エチルセルロース樹脂、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂及びポリウレタンポリオール樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましい。

Description

本発明は、ガスバリア性を有するフィルムを提供するものである。また、本発明のガスバリアフィルムはラミネート加工時にラミネート層との密着強度向上作用を有するものである。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質、特に酸素による酸化を防止する事が求められている。この要求に対し、従来、比較的酸素バリア性が高いとされる樹脂で構成されるバリア性フィルムや、当該バリア性フィルムをフィルム基材として用いた積層体(積層フィルム、ラミネートフィルムともいう)が用いられている。
これらバリア性フィルムには、ガスバリア性向上や表面耐久性の向上を目的としてAlOxフィルム、SiOxフィルム、アルミニウム蒸着フィルムやアルミ箔をラミネートすることが広く行われている。しかしながらこれらのバリア性フィルムをフィルム基材としたラミネートフィルムは剥離する場合があり、密着強度の向上が求められている。
これらの問題を解決する為、フィルム基材上にポリカルボン酸系重合体層と多価金属化合物含有層を隣接させて積層し、2層間で反応させる事によりポリカルボン酸の多価金属塩を生成し、ガスバリア性包装材料を調整する方法が知られている(特許文献1)。しかし、この様なガスバリア性包装材料は製造に際し、複数種の塗液が必要で、塗工を複数回行う必要があり、手間が必要となる。
特開2007-112114号公報
本発明の課題は、フィルム基材とした場合であっても高い密着強度が得られるガスバリア性フィルムを提供することにあり、当該ガスバリア性フィルムを含む、包装材料に適用可能な積層体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体を含む樹脂(A)を含有することを特徴とするガスバリアフィルムにより、前記課題を解決可能であることを見い出した。
[1]本発明は、脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体とを含む樹脂層(A)を有することを特徴とするガスバリアフィルムを提供するものである。
[2]本発明は、さらに前記樹脂層(A)と、多価金属化合物を含む樹脂層(B)を隣接して有し、樹脂層(B)を形成する樹脂が、エチルセルロース樹脂、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂及びポリウレタンポリオール樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とする[1]に記載のガスバリアフィルムを提供するものである。
[3]本発明は、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物およびシリコン窒化物からなる群から選択された化合物を含む層(C)を、前記樹脂層(A)に隣接して有することを特徴とする[1]に記載のガスバリアフィルムを提供する。
[4]本発明は、前記カルボキシル基を有する重合体が、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の重合体であることを特徴とする[1]に記載のガスバリアフィルムを提供する。
[5]本発明は、前記脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物が、りん酸、硫酸および硝酸からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする[1]に記載のガスバリアフィルムを提供する。
[6]本発明は、前記多価金属化合物が、亜鉛、マグネシウム及びカルシウムから選ばれる多価金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする[2]に記載のガスバリアフィルムを提供する。
[7]本発明は、前記多価金属化合物が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[2]~[6]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを提供する。
[8]本発明は、前記[1]~[7]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを含む積層体を提供する。
[9]本発明は、前記[1]~[7]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを含む包装材料を提供する。
[10]本発明は、前記[1]~[7]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを含む加熱殺菌用包装材料を提供する。
本発明のガスバリアフィルムは、脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体とを含む樹脂層(A)を含むものである。ここにおいて脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物は、水酸基を有する化合物と接触した際に脱水縮合を起こすことにより密着性を向上させる。一方カルボキシル基を有する重合体は、多価金属化合物と接触した際にイオン結合を形成し密着性を向上させる作用を発揮する。これらの作用により、積層体の構成中に本発明のガスバリアフィルムを含む場合、構成するフィルムの層間の密着性が向上し堅牢なものとすることが出来る。
また、当該ガスバリアフィルムを構成中に含む積層体は、堅牢でありガスバリア性に優れることから、包装材料、特に食品・日用品・電子材料・医療用等のバリア性を必要とする包装材料として好適に使用可能である。
さらには耐熱性・耐湿熱性にも優れることから、ボイルやレトルトといった加熱殺菌用の包装材料としても好適に使用可能である。
本発明は、脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体を含む樹脂(A)を含有することを特徴とするガスバリアフィルムに関する。また、本明細書において「~」は「~」という記載の前の値以上、「~」という記載の後の値以下を意味するものである。
<脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物>
本発明のガスバリアフィルムにおいて用いる脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物とは、水酸基を有する化合物に接触した際に脱水縮合を生じさせる化合物であって、その構造中にヘテロ原子を有する化合物である。これら脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物としてはりん酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。これらりん酸、硫酸、硝酸は、単独で使用してもよいし複数を併用してもよい。
本発明のガスバリアフィルムにおいて、脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物の添加量は本発明の効果が得られる範囲において特に制限されないが、ガスバリアフィルム中に10質量部以下で含まれることが好ましく、4~6質量部で含まれると組成中に水酸基を有する化合物と接触した際の密着性が更に向上することから特に好ましい。
<カルボキシル基を有する重合体>
本発明のガスバリアフィルムにおいて用いるカルボキシル基を有する重合体とは、カルボキシル基を構造中に有する重合性不飽和単量体(以下「重合性不飽和単量体」を「単量体」と称するを重合原料とする重合体である。カルボキシル基を構造中に有する単量体の具体例としては(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。また、本発明におけるカルボキシル基としては、無水カルボン酸のように2分子のカルボン酸からHO分子が失われた構造を含んでも良い。尚、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の一方または両方を指すものとし、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方または両方を指すものとする。
本発明におけるカルボキシル基を有する重合体の酸価としては、本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないが、酸価が50~800mgKOH/gであると、バリア性能が向上するため好ましい。また、酸価が80~800mgKOH/gであることがより好ましく、80mgKOH/g以上の酸価のものであればイオン結合が十分進み高いバリア性能が得られる。
(酸価測定方法)
酸価とは、試料1g中に存在する酸分を、中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数である。具体的には、秤量した試料を試料が溶解する適当な溶媒、例えば体積比でトルエン/メタノール=70/30の溶媒に溶かし、1%フェノールフタレインアルコール溶液を数滴滴下しておき、そこに0.1mol/Lの水酸化カリウムアルコール溶液を滴下して、変色点を確認する方法により測定することができ、下記の計算式で求めることができる。
(酸価測定方法-1)
酸価(mgKOH/g)=(V×F×5.61)/S
V:0.1mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の使用量(mL)
F:0.1mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の力価
S:試料の採取量(g)
5.61:0.1mol/L水酸化カリウムアルコール溶液1mL中の水酸化カリウム相当量(mg)
試料が樹脂溶液の場合は、下記の計算式で樹脂酸価(mgKOH/g)を求めることができる。
樹脂酸価(mgKOH/g)=樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)/NV(%)×100
NV:不揮発分(%)
また、有機溶媒への試料の溶解性が低く、析出などをして、測定困難な場合は、以下の方法でも酸価を測定することができる。
(酸価測定方法-2)
酸価(mgKOH/g-resin)とは、FT-IR(日本分光社製、FT-IR4200)を使用し、無水マレイン酸のクロロホルム溶液によって作成した検量線から得られる係数(f)、無水マレイン酸変性ポリオレフィン溶液における無水マレイン酸の無水環の伸縮ピーク(1780cm-1)の吸光度(I)とマレイン酸のカルボニル基の伸縮ピーク(1720cm-1)の吸光度(II)を用いて下記式により算出した値である。
酸価(mgKOH/g-regin)=[(吸光度(I)×(f)×2×水酸化カリウムの分子量×1000(mg)+吸光度(II)×(f)×水酸化カリウムの分子量×1000(mg))/無水マレイン酸の分子量]
無水マレイン酸の分子量:98.06、水酸化カリウムの分子量:56.11
本発明のカルボキシル基を有する重合体としては、分子量に特に限定はないが重量平均分子量が300~1,000,000であると塗膜成形性が良好となる観点から好ましい。特に好ましくは500~500,000である。
本発明のカルボキシル基を有する重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)の方法で測定を行うことで算出することができる。
カルボキシル基を有する重合体としては本発明の効果が得られる範囲においてその樹脂骨格は特に限定されるものではなく、カルボキシル基を有する重合性不飽和単量体の単独重合体であってもよいし、カルボキシル基を有する重合性不飽和単量体を複数使用した共重合体であってもよい。また、カルボキシル基を有する重合性不飽和単量体と共重合可能なその他の単量体との共重合体であってもよい。本発明において用いるカルボキシル基を有する重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の重合体が好ましい。
((メタ)アクリル酸重合体)
(メタ)アクリル酸重合体としては(メタ)アクリル酸モノマーの重合物であればよく、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、エチレンオキサイド変性4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のポリエーテル類、エチレングリコールジグリシジルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレート、等が用いられる。
(カルボキシル基含有ビニル重合体)
カルボキシル基含有ビニル重合体樹脂としては、例えばカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体の重合体が挙げられる。カルボキシル基を有する重合性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸等の不飽和カルボン酸類;
イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ-n-ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ-n-ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ-n-ブチル等の各種の不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);
アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニル等の各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;
無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸または無水トリメリット酸等の各種の、飽和ポリカルボン酸の無水物類と、各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られるような種々の単量体類などが挙げられる。
前記カルボキシル基を有する重合性不飽和単量体と共重合可能な単量体としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドコシル等の炭素数1~22のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;
(2)(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等の脂式のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
(3)(メタ)アクリル酸ベンゾイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
(4)(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリセロール;ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール基を有する(メタ)アクリル酸エステル等のヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸エステル類;
(5)フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル類;
(6)スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体類;
(7)ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエンなどのジエン系化合物類;
(8)塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニルやハロゲン化ビニリデン類;
(9)メチルビニルケトン、ブチルビニルケトンなどの不飽和ケトン類;
(10)酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;
(11)メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
(12)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル類;
(13)アクリルアミドやそのアルキド置換アミド類;
(14)N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどのN-置換マレイミド類;
(15)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン若しくはヘキサフルオロプロピレンの如きフッ素含有α-オレフィン類;またはトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル若しくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテル類;2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート若しくはパーフルオロエチルオキシエチル(メタ)アクリレートの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート類等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体類;
(16)γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート類;
(17)N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する重合体は、公知の方法を用いた重合、共重合により得られ、その重合形態は特に制限されない。また、触媒(重合開始剤)の存在下に、付加重合により製造することができ、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれによる重合体であってもよい。また共重合方法も塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法が使用できる。
<脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体とを含む樹脂層(A)>
前記脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体とを含む樹脂層(A)は、本発明の効果が得られる範囲において脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、カルボキシル基を有する重合体以外の化合物を含有することができる。これら付加的添加成分としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等のアルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の溶剤、カップリング剤、シラン化合物、リン酸化合物、有機フィラー、無機フィラー、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤、酸素捕捉剤(酸素捕捉機能を有する化合物)、粘着付与剤等の添加剤を用いることができる。
<ガスバリアフィルム>
本発明はガスバリアフィルムに関する。ここでいうガスバリアとは酸素など空気の透過を遮蔽する作用を意味する。また、本発明におけるガスバリアフィルムとは酸素透過率が1cc/m・atm・da以下のガスバリア性を有するフィルムを意味する。
<多価金属化合物を含む樹脂層(B)>
本発明のガスバリアフィルムは、更に多価金属化合物を含む樹脂層(B)を前記樹脂層(A)に隣接して設けても良い。ここにおいて「隣接する」とは樹脂層(A)と樹脂層(B)が直接接触する部分が少なくとも一部分存在することを意味する。
樹脂層(B)に含まれる多価金属化合物とは、2価以上の金属化合物であり、水溶性高分子等と混合して樹脂層(B)を形成する。このような多価金属化合物としては、亜鉛化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、マンガン化合物、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、銅化合物等が挙げられ、特に好ましくは亜鉛化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物である。これらの金属化合物は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明で用いても良い多価金属化合物としては、2価金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩であることが好ましく、これらの混合物であっても構わない。これら2価金属化合物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが好ましく、酸化亜鉛、酸化マグネシウムが特に好ましい。
前記多価金属化合物としては、粒子状であることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒子径が500nm以下10nm以上の微粒子である。特に好ましくは20nm~300nmの微粒子である。ここでの平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置、例えばLB-500(堀場製作所製)を用いて測定したものである。
これら多価金属化合物は、多価金属化合物を含む樹脂層(B)中に40~90質量部の範囲で含まれることが好ましく、60~80質量部の範囲で含まれるとガスバリア性の向上が見られるため特に好ましい。
多価金属化合物を含む樹脂層(B)には前記多価金属化合物に加え、多価金属化合物を安定に塗工するために樹脂を添加する。具体的には、例えば、セルロース系樹脂、エチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド系樹脂等、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂及びポリウレタンポリオール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で使用してもよいし複数を併用してもよい。中でも、エチルセルロース樹脂、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が好ましい。
前記樹脂は、多価金属化合物を含む樹脂層(B)中に10~60質量部の範囲で含まれることが好ましく、20~40質量部の範囲であると樹脂層(B)の塗工性が良好なものとなるため特に好ましい。
<アルミニウム酸化物、シリコン酸化物およびシリコン窒化物からなる群から選択された化合物を含む層(C)>
本発明のガスバリアフィルムは、更にアルミニウム酸化物、シリコン酸化物およびシリコン窒化物からなる群から選択された化合物を含む層(C)を前記樹脂層(A)に隣接して設けても良い。ここにおいて「隣接する」とは樹脂層(A)と層(C)が直接接触する部分が少なくとも一部分存在することを意味する。
本発明において樹脂層(A)に隣接して設けられる層(C)はアルミニウム酸化物、シリコン酸化物およびシリコン窒化物からなる群から選択された化合物を蒸着、スパッタリング、CVD等の処理により成膜した層である。これら(C)層はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂フィルム、ナイロン(NY)樹脂フィルム、バイオマスフィルム等の基材フィルム上に成膜されたものであって良く、これら基材フィルムとしては二軸延伸フィルム、延伸フィルム、無延伸フィルム等公知の各種処理により製造されたフィルムや、必要に応じて各種表面処理を施したフィルムを用いても良い。
<積層体>
本発明のガスバリアフィルムは、脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体とを含む樹脂層(A)と、樹脂層(B)や層(C)及びその他の基材、フィルム、コーティング剤等の添加剤によるコート層等を各種組み合わせることで積層体として良い。
<その他の基材>
その他用いられる基材の材質は特に限定はなく、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば木材、金属、金属酸化物、プラスチック、紙、シリコン又は変性シリコン等が挙げられ、異なる素材を接合して得られた基材であってもよい。基材の形状は特に制限はなく、平板、シート状、又は3次元形状全面に、若しくは一部に、曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。また、本発明に係る積層体を包装材料として用いる場合、紙、プラスチック、金属、金属酸化物等を基材として用いてもよい。
コーティング剤を用いて本発明に係る積層体を製造する場合に、コーティング剤の塗工方法としては特に限定はなく、公知慣用の塗工方法を用いることができる。例えばスプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンス法等が挙げられる。
コーティング剤を塗工することで得られるコート層は、塗工後に乾燥させることでよりコート層内のイオン結合が密になる。よって、塗工後に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥工程としては、常温乾燥でもよく、加熱、減圧、送風といった強制乾燥を行ってもよい。
<添加剤>
本発明のガスバリアフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、カップリング剤、シラン化合物、リン酸化合物、有機フィラー、無機フィラー、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤、酸素捕捉剤(酸素捕捉機能を有する化合物)、粘着付与剤等が例示できる。これらの各種添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用される。
カップリング剤としては公知慣用のものが挙げられ、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミカップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては公知慣用のものを用いればよく、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
ジルコニウムカップリング剤としては、例えば、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、フッ化ジルコニウム等が挙げられる。
アルミカップリグ剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
シラン化合物としては、アルコキシシラン、シラザン、シロキサン等が挙げられる。アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。シラザンとしてはヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。シロキサンとしては加水分解性基含有シロキサン等が挙げられる。
添加剤のうち、無機フィラーとしては、金属、金属酸化物、樹脂、鉱物等の無機物及びこれらの複合物が挙げられる。無機フィラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、チタン、ジルコニア、銅、鉄、銀、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、粘土鉱物等が挙げられる。
酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
粘着付与剤としては、キシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂等が挙げられる。粘着付与剤を添加することで塗布直後の各種基材に対する粘着性を向上させることができる。粘着性付与剤の添加量は樹脂組成物全量100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましい。
本発明に係る積層体は、基材、コート層の上に、さらに上層部を積層した多層積層体としてもよい。この時、コーティング剤を乾燥させる前に積層してもよいし、乾燥後に積層してもよい。上層部としては特に限定がなく、木材、金属、金属酸化物、プラスチック、紙、シリコン又は変性シリコン等を積層してよい。また、未硬化の樹脂溶液をコート層の上から塗布し、硬化あるいは乾燥して上層部を形成してもよい。
本発明のガスバリアフィルムや積層体が遮断できるガスとしては、酸素や、二酸化炭素、窒素、アルゴン等の不活性ガス、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール成分、フェノール、クレゾール等のフェノール類、低分子化合物からなる香気成分類、例えば、醤油、ソース、味噌、リモネン、メントール、サリチル酸メチル、コーヒー、ココアシャンプー、リンス等に含有される香気成分等を例示することができる。
<包装材料、および加熱殺菌用包装材料>
本発明のガスバリアフィルム及び積層体は、ガスバリア性に優れることから、ガスバリア性が要求される包装材料として好適に使用可能である。特に食品・日用品・電子材料・医療用等は高いバリア性を必要とすることから、本発明の包装材料を好適に使用可能である。さらには耐熱性・耐湿熱性にも優れることから、ボイルやレトルトといった加熱殺菌用の包装材料としても好適に使用可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の説明において、本願における樹脂層(A)をMC層、本願における樹脂層(B)をTC層と呼称する。
(調整液1:PAA溶液の作製)
フラスコにて数平均分子量20万のポリアクリル酸(以下、PAAと略することがある)(東亜合成社製、アロンA-10H)30gをイソプロピルアルコール(以下、IPAと略することがある)中で撹拌、沸騰させながら溶解し、固形分濃度3%のPAA溶液を得た。
(調整液2:PVA溶液の作製)
フラスコにポリビニルアルコール(以下、PVAと略することがある)の粉末(クラレ株式会社製、クラレポバール)30gを水中で撹拌、60℃で加温しながら溶解し、固形分濃度3%のPVA溶液を得た
(調整液3:りん酸IPA溶液の作製)
濃りん酸水溶液(東京化成工業社製、固形分86%)溶液をIPAで希釈し、固形分5%のりん酸IPA溶液を作製した。
(調整液4:硫酸IPA溶液の作製)
濃硫酸水溶液(東京化成工業社製、固形分95%)をIPAで希釈し、固形分5%の硫酸IPA溶液を作製した。
(調整例5:硝酸IPA溶液の作製)
濃硝酸水溶液(東京化成工業社製、1N規定)をIPAで希釈し、固形分5%の硝酸IPA溶液を作製した。
(調整例6:塩酸IPA溶液の作製)
濃塩酸水溶液(東京化成工業社製、1N規定)をIPAで希釈し、固形分5%%の塩酸IPA溶液を作製した。
(樹脂層(A)用のMC溶液の作製)
前記作成した調整例1~6の溶液を表1に従って配合し、MC溶液1~6を作製した。
(樹脂層(B)用の調整液7:TC7溶液の作製)
一次粒径200nmの酸化亜鉛(以下、ZnOと略することがある)(堺化学工業株式会社製、FINEX-50)300gと、IPA700gとを混合し、ビーズミル(寿化学株式会社、ウルトラアスペックミルUAM-015)中で直径0.3mmのジルコニアビーズを使用して1時間分散処理した後、ビーズをふるいに分け、固形分濃度30%のZnO溶液を得た。この分散液中のZnOの一次粒径は88nmであった。この溶液をIPAに溶解させた固形分:5%のエチルセルロース樹脂(製品名:エトセル、日清化成株式会社製)溶液、IPA溶液と混合・撹拌し、ZnO分散液を得た。混合時の比率は、ZnO溶液:20g、エチルセルロース樹脂溶液:20g、IPA:60gであった。予め200mlのビーカーにエチルセルロース樹脂、IPA溶液、撹拌子を投入し、撹拌子を回転数200rpmで回転させ、エチルセルロース樹脂とIPAが均一になった事を確認した上でZnO溶液を投入し、ZnOを分散させたTC7溶液を得た。固形分は7%であった。
(樹脂層(B)用の調整液8:TC8溶液の作製)
一次粒径200nmのZnO:240gと、メチルエチルケトン(以下MEKと略すことがある)760gとを混合し、ビーズミル中で直径0.3mmのジルコニアビーズを使用して1時間分散処理した後、ビーズをふるいに分け、固形分濃度24%のZnO溶液を得た。この分散液中のZnOの一次粒径は150nmであった。この溶液:39gをポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂溶液A:1g、MEK:60gと混合し、マグネチックスターラーで撹拌し、ZnOを分散させたTC8溶液を得た。固形分は10%であった。
使用したポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂溶液Aは次のように得た。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管を備えた反応容器に、2官能で分子量400のポリプロピレングリコール(以下PPGと省略することがある)213.7部、2官能で分子量700のPPG225.2部、2官能で分子量2000のPPG69.0部と3官能で分子量430のPPG41.1部を仕込み、撹拌しながらトリレンジイソシアネート152.6部を投入し、90℃到達後、酢酸エチル306.0部を投入し、反応温度を90℃に維持して合成した。NCO(%)が0.1%以下で、B型粘度計での粘度が2000~3000mPaに収まった事を確認し、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂溶液Aを得た。
(樹脂層(B)用の調整液9:TC9溶液の作製)
調整液8において、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂溶液Aをポリエステルポリオール樹脂溶液Bに変更する以外は全て同様にして、ZnOを分散させたTC9溶液を得た。
使用したポリエステルポリオール樹脂溶液Bは次のように得た。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、無水フタル酸1850部、エチレングリコール352.4部、グリセロール731.9部、チタニウムテトライソプロポキシド0.34部及び酢酸エチル1956.2部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱し、内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が2mgKOH/g以下でエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオール樹脂溶液Bを得た。
(樹脂層(B)用の調整液10:TC10溶液の作製)
調整液8において、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂溶液Aをポリウレタンポリオール樹脂溶液Cに変更する以外は全て同様にして、ZnOを分散させたTC10溶液を得た。
ポリウレタンポリオール樹脂溶液Cは次のように得た。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、無水フタル酸252.8部、エチレングリコール62.0部、ネオペンチルグリコール128.6部、1.6ヘキサンジオール105.8部及び酢酸エチル298.6部を仕込み、エステル化を行った。エステル化が終了した後、イソホロンジイソシアネート18.2g及び酢酸エチル109.6部を仕込んでウレタン化を進行させ、酸価が1mgKOH/g以下になったところでウレタン化反応を終了し、ポリウレタンポリオール樹脂溶液Cを得た。
(樹脂層(A)であるMC層の形成)
前記得られたMC溶液1~6を、ジンダル社製AlOx-OPPフィルム(16μm厚。製品番号:16O894)のAlOx側に塗工した。塗工は巴工業社株式会社製バーコーター10番を用いて行った。塗工後、乾燥機で85℃1分の条件で乾燥させ、MC層を形成したフィルムを得た。MC溶液の塗布量は0.3~0.5g/mであった。
ここで、AlOx-OPPフィルムとは、OPPフィルム上に、アルミニウム酸化物(AlOx)を蒸着したフィルムである。
(TC層/MC層/AlOx-OPPフィルムの作製)
前記MC層を形成したフィルムに対して、前記調整したTC溶液(TC7~10)を、形成したMC層上に塗工した。TC溶液の塗工は松尾産業株式会社社製バーコーター、黄色(ウェット膜厚:4μm)を用いて行った。塗工後、乾燥機で85℃1分の条件で乾燥させ、前記MC層とTC層とを隣接して有するフィルムFを得た。フィルムFの層構成は、TC層/MC層/AlOx-OPPフィルムの順であり「/」は隣接することを示す。
TC溶液の塗布量は0.3~0.5g/mの範囲であった。
(ラミネートフィルムの作製)
前記工程で得たフィルムFのTC層側にラミネート接着剤を塗工し、CPPフィルム(東洋紡エステルフィルム社製。パイレンP1128。30μm厚)を貼り合わせラミネートフィルムを作製した。ラミネート接着剤にはDIC株式会社製:ディックドライ:LX-401A(ポリオール材料)、ディックドライ:KW-75(ポリイソシアネート材料)を所定の比率で混合した物を用い、塗布量が1.5~2.0g/mの範囲となるように塗工した。ラミネートフィルムのエージングは40℃3日間行った。
(ラミネートフィルムの評価1:接着強度の測定)
JIS K 6854-3:1999「接着剤-はく離接着強さ試験方法-第3部:T形はく離」試験に基づき、ラミネートフィルムの接着強度を評価した。引張試験機はAND社製(品番:STD-1225S)を用い、引張速度は300mm/minで行った。接着強度の単位はN/15mmである。評価は以下の5段階評価で行った。
〔評価基準〕
5:1.5(N/15mm)以上又はフィルム破断
4:1.0(N/15mm)以上、1.5(N/15mm)未満
3:0.7(N/15mm)以上、1.0(N/15mm)未満
2:0.3(N/15mm)以上、0.7(N/15mm)未満
1:~0.3(N/15mm)未満
(ラミネートフィルムの評価2:酸素透過率の評価)
JIS K 7126-2「プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法」に基づき、23℃、相対湿度0%及び90%の各条件で酸素透過率測定した。測定装置にはMOCON社製:OXTRAN2/21を用いた。酸素透過率の単位はcc/m・atm・dayである。評価は以下の5段階評価で行った。
5:0.5cc/m・atm・day以下
4:0.5cc/m・atm・dayより大きく1.0cc/m・atm・day以下
3:1.0cc/m・atm・dayより大きく5.0cc/m・atm・day以下
2:5.0cc/m・atm・dayより大きく10.0cc/m・atm・day以下
1:10.0cc/m・atm・dayより大きい
表1に、MC溶液の配合、TC層の金属化合物名と樹脂名、ラミネートフィルムの作製により得たラミネートフィルムの接着強度と酸素透過率を示した。なお表中の数字は部、空欄は未配合を表す。
Figure 0007272520000001

実施例の結果から、PAA溶液とりん酸、硫酸または硝酸を配合したMC層を有するフィルムは、ラミネート後の良好な接着強度が得られ、且つ、得られたラミネートフィルムは優れた酸素透過率を発現する事が分かった。酸素透過率については、MC層のPAA樹脂とTC層のZnOの架橋反応が進行した結果であると考えられる。実施例4~6において、TC層に使用する樹脂材料を変更した場合も、良好な接着強度と優れた酸素透過率を確認する事が出来た。
一方、比較例1~3では良好な接着強度は得られなかった。比較例1については、MC層がPAAのみの為、接着強度向上効果が十分でなかったと推測される。比較例2については、ヘテロ原子含有化合物として塩酸を使用しており、塩素自体が一価の陰イオンでAlOx層と共有結合を形成出来なかった為と推測する。比較例3については樹脂にPVAを使用しており、AlOx層との脱水縮合は起こらない為、接着強度が低く、更に、MC層とTC層間で架橋反応が進行しない為、90%湿度でのバリア性も悪い結果となった。

Claims (9)

  1. 脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物、およびカルボキシル基を有する重合体とを含む樹脂層(A)と、多価金属化合物を含む樹脂層(B)を隣接して有し、樹脂層(B)を形成する樹脂が、エチルセルロース樹脂、ポリエーテルポリウレタンポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂及びポリウレタンポリオール樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. アルミニウム酸化物、シリコン酸化物およびシリコン窒化物からなる群から選択された化合物を含む層(C)を、前記樹脂層(A)に隣接して有することを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記カルボキシル基を有する重合体が、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上の重合体であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記脱水縮合性を有するヘテロ原子化合物が、りん酸、硫酸および硝酸からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記多価金属化合物が、亜鉛、マグネシウム、カルシウム及びカルシウムから選ばれる多価金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項に記載のガスバリアフィルム。
  6. 前記多価金属化合物が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のガスバリアフィルム。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムを含む積層体。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムを含む包装材料。
  9. 請求項1~のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムを含む加熱殺菌用包装材料。
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