JP2020100014A - ガスバリア性積層体およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食品、医薬品等の包装分野に用いられるガスバリア性積層体を提供することを目的とする。【解決手段】熱可塑性樹脂を含む基材の少なくとも片面に、ポリカルボン酸からなる層(A)と、前記層(A)の上に、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B)が接して積層され、かつ湿熱処理を施したガスバリア性積層体であって、湿熱処理を施したガスバリア性積層体および、湿熱処理前のガスバリア性積層体を紫外可視吸光度法によって測定したとき、下記関係式(1)および(2)を満たすガスバリア性積層体。(1)x=b×(α−β−α´+β´)/(a×(α−β))(2)0.05≦x≦0.8【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性積層体およびその製造方法に関する。
ガスバリア性積層体とは、酸素などのガスを透過させない性質(ガスバリア性)を備えている積層体である。このため、ガスバリア性積層体で遮蔽された部位に保持された部材は、外部のガスに起因する劣化/変質などを抑制することができる。近年、このようなガスバリア性積層体は、様々な分野で活用されている。このようなガスバリア性積層体は、例えば、食品などの包装に用いられる包装材料として活用されている。食品などの包装用途では、内容物の変質を防止することが求められている。具体的には、タンパク質や油脂等の酸化や変質を抑制し、更に風味や鮮度を保持できることが求められる。このため、好適にガスバリア性積層体が用いられる。
また、このようなガスバリア性積層体は、例えば、医薬品などの包装に用いられる包装材料として活用されている。医薬品などの包装用途では、内容物の変質を防止することが求められている。具体的には、無菌状態を保持し、内容物の有効成分の変質を抑制し、その効能を保持できることが求められている。このため、好適にガスバリア性積層体が用いられる。
また、このようなガスバリア性積層体は、例えば、半導体ウェハなどの電子部品や精密部品の包装に用いられる包装材料として活用されている。精密部品は、外部のガスに暴露されると、外部のガスが異物として働き不良品となる恐れがあることから、外部のガスを遮蔽することが求められている。このため、好適にガスバリア性積層体が用いられる。また、このようなガスバリア性積層体は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの部材や、照明やバックライトなどの光源、光取り出し用の部材としても活用されている。光関連の用途では、画素素子など内部部材の劣化を防止することが求められている。このため、好適にガスバリア性積層体が用いられる。
また、このようなガスバリア性積層体は、例えば、真空断熱材などの包装に用いられる包装材料として活用されている。真空断熱材などの包装用途では、内部の真空状態を長時間保持すると共に、外部からのガス侵入を防止することが求められている。このため、好適にガスバリア性積層体が用いられる。
以上述べたように、ガスバリア性積層体は、種々の広範な用途への対応が求められている。従来、ガスバリア性積層体として、酸化亜鉛等の多価金属化合物を含有するコーティング液を、ポリアクリル酸を含有する層の上に塗工してなるガスバリア性フィルムが知られている(例えば特許文献1)。
国際公開第2003/091317号
しかしながら、酸素バリア性の発現には加熱殺菌処理が必須であり、その用途としては、例えば、食品や医薬品等の加熱殺菌処理が必要なものに限られる。また、このガスバリア性フィルムは加熱殺菌処理後の、測定条件30℃、70%RHにおける酸素透過度が5cm/m・day・MPa以上であるが、用途の拡大に伴い、さらなるガスバリア性の向上が求められている。本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、食品、医薬品等の包装分野に用いられるガスバリア性積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の湿熱処理を施すことにより、優れたガスバリア性を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下の態様を有する。
<1>熱可塑性樹脂を含む基材の少なくとも片面に、ポリカルボン酸からなる層(A)と、前記層(A)の上に、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B)が接して積層され、かつ湿熱処理を施したガスバリア性積層体であって、湿熱処理を施したガスバリア性積層体および、湿熱処理前のガスバリア性積層体を紫外可視吸光度法によって測定したとき、下記関係式(1)および(2)を満たすガスバリア性積層体である。
(1)x=b×(α−β−α´+β´)/(a×(α−β))
(2)0.05≦x≦0.8
〔式中、湿熱処理前のガスバリア性積層体の波長350nmでの吸光度をα、波長500nmでの吸光度をβとし、湿熱処理を施したガスバリア性積層体の波長350nmでの吸光度をα´、波長500nmでの吸光度をβ´とする。また、ポリカルボン酸からなる層(A)の厚みをa、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B)の厚みをbとする。〕
<2>ポリカルボン酸としてポリ(メタ)アクリル酸を使用することを特徴とする前記<1>に記載のガスバリア性積層体である。
<3>ポリカルボン酸の分子量は10,000〜1,000,000であることを特徴とする前記<1>に記載のガスバリア性積層体である。
<4>前記酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)との質量比(酸化亜鉛(B1)/ポリエステル系樹脂(B2))が35/65〜92/8の範囲内であることを特徴とする前記<1>に記載のガスバリア性積層体である。
<5>前記<1>〜<4>に記載のガスバリア性積層体の製造方法であって、50%RH以上100%RH未満の相対湿度、且つ0.09MPa以上0.50MPa以下の圧力下で30秒以上湿熱処理を施す工程を有するガスバリア性積層体の製造方法である。
本発明によれば、食品、医薬品等の包装分野に用いられる優れたガスバリア性をもつガスバリア性積層体を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るガスバリア性積層体を示す断面図である。
<熱可塑性樹脂を含む基材>
本発明にかかる熱可塑性樹脂を含む基材1は、後述するアンカーコート層5、バリア層2を順次積層させるための支持体となるものである。このような熱可塑性樹脂を含む基材1の材料としては、特に限定されないが、包装材料として使用するという観点から、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体が好ましい。
また、このような熱可塑性樹脂を含む基材1の形態としては、特に限定されないが、例えば、未延伸シート、未延伸フィルム等の形態で用いることができる。さらに、このような基材の厚さは特に限定されないが、厚みが5〜500μmの範囲であることが好ましく、10〜300μmの範囲であることがより好ましい。基材の厚みが前記下限未満では、基材が切れ易くなる等の塗工性の問題が生ずる傾向にあり、他方、前記上限を超えると基材の剛性が高すぎるために二次加工や内容物の充填におけるハンドリング性に問題が生ずる傾向にある。
<アンカーコート層>
前記熱可塑性樹脂を含む基材1と後述するバリア層2との層間接着強度を高めるために、前記基材の少なくとも片面にアンカーコート層5を介してガスバリア性積層体10が形成されていてもよい。
アンカーコート層5を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらのアンカーコート層5を構成する材料の中でも、耐熱性及び層間接着強度の観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
また、このようなアンカーコート層5の厚さは特に限定されないが、この厚みが0.01〜5μmの範囲であることが好ましく、0.03〜3μmの範囲であることがより好ましく、0.05〜2μmの範囲であることが特に好ましい。アンカーコート層の厚みが前記下限未満では、層間接着強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると所望のガスバリア性が発現しない傾向にある。
<バリア層>
本発明にかかるバリア層2は、ポリカルボン酸からなる層(A)3と、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B)4とを備える層である。
〔ポリカルボン酸からなる層(A)〕
本発明にかかる層(A)3は、ポリカルボン酸からなる層である。
〔ポリカルボン酸〕
本発明にかかるポリカルボン酸とは、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物をいい、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などが例示される。とりわけ、ポリ(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
ここでいうポリ(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸の単独重合体の他、アクリル酸および/またはメタクリル酸に、クロトン酸、ビニル乳酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸のような、(メタ)アクリル酸以外のエチレン性不飽和カルボン酸を共重合させたものであってもよい。さらには、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物を共重合させたものでもよく、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートのような、C3〜C5エチレン性不飽和カルボン酸のアミド、ニトリルもしくはエステル類、または、酢酸ビニル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、エチレン、プロピレン、スチレン、α−メチルスチレン、核メチル置換スチレンなどを共重合させることもできる。
(メタ)アクリル酸以外の不飽和カルボン酸を共重合させる場合は、かかる不飽和カルボン酸を任意の割合で用いることができるが、カルボキシル基を有しないモノマーを共重合成分とする場合は、ポリ(メタ)アクリル酸の水溶性を阻害しない範囲で、好ましくは(メタ)アクリル酸を含むモノマーの全重量を基準として20重量%以下で用いることができる。
ポリ(メタ)アクリル酸は、塊状重合、水溶液重合、有機溶媒中での重合、照射重合、ポリ(メタ)アクリル酸エステルのケン化などの方法で合成することができる。いずれの方法で合成されたものであっても本発明に適用できるが、本発明では通常水溶液として用いるため、水溶液重合が工業的に有利である。
また、本発明にかかるポリカルボン酸は、1価及び/又は2価の金属化合物で部分的に中和されていてもよい。このような金属化合物に含有される金属としては、ナトリウム、カルシウム、亜鉛等が挙げられる。そして、このような金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの金属化合物の添加量は、延伸成形性を損なうことのない量であればよく特に限定されないが、ポリカルボン酸のカルボキシル基の含有量に対して0.3化学当量以下であることが好ましい。
ポリカルボン酸の数平均分子量については、有機薄膜の形成性の観点から、10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、更に50,000〜1,000,000であることが好ましい。前記下限未満では、得られる積層体の成形性が乏しくなる傾向にあり、前記上限を超えると、薄膜の形成性が損なわれる傾向にある。
ポリカルボン酸は多価金属イオンと部分的に中和をしてもよい。
層(A)には、グリセリン及びその重合体、グリコール類から選択される少なくとも1つの混合物および前記組成物からなる多価アルコールを含んでいてもよい。
層(A)には、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
(酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B))
本発明にかかる層(B)は、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層である。
〔酸化亜鉛(B1)〕
本発明にかかる層(B)4を形成させる場合には塗工液を用いることが好ましいが、ガスバリア性の観点から酸化亜鉛は粒状で、その粒径は小さい方が好ましい。このような酸化亜鉛の平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。
〔ポリエステル系樹脂(B2)〕
本発明にかかるポリエステル系樹脂(B2)としては、塗料用に用いられている樹脂を好適に使用することができる。
本発明にかかる層(B)4においては、前記酸化亜鉛(B1)と前記ポリエステル系樹脂(B2)との質量比(B1/B2)が35/65〜92/8の範囲であることが好ましく、50/50〜90/10の範囲であることがより好ましく、60/40〜90/10の
範囲であることが特に好ましい。層(B)中にポリエステル系樹脂(B2)が存在することにより、層(B)に成形性を付与することができる。質量比における酸化亜鉛(B1)が前記下限未満では、ガスバリア性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる積層体の成形性が乏しくなる傾向にある。
なお、本発明にかかる層(B)4においては、このような酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の他に必要に応じて硬化剤やアンチブロッキング剤を含有していてもよい。このような硬化剤としては、ポリイソシアネート等の公知の樹脂を挙げることができる。
また、このような層(B)4の厚さは、厚みが0.05〜50μmの範囲であることが好ましく、0.1〜10μmの範囲であることがより好ましく、0.2〜5μmの範囲であることが特に好ましい。層(B)の厚みが前記下限未満では、ガスバリア性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成形性が乏しくなる傾向にある。
<ガスバリア性積層体を製造する方法>
次に、本発明のガスバリア性積層体を製造する方法について説明する。本発明のガスバリア性積層体を製造する方法としては、前記アンカーコート層、前記層(A)及び前記層(B)を形成するための塗工液を調製する工程と、前記基材の少なくとも片面に前記アンカーコート層を介して前記ガスバリア層前駆体が形成されるように、前記基材に順次調製した塗工液を塗工及び乾燥する工程とを含む方法を挙げることができる。
このような塗工液を調製する工程においては、前記アンカーコート層、前記層(A)及び前記層(B)を形成するための塗工液を調製する。このような塗工液を調製する方法としては、前記アンカーコート層、前記層(A)及び前記層(B)の材料を溶媒又は分散媒に溶解又は分散せしめる方法を挙げることができる。このような溶媒又は分散媒としては、特に限定されないが、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を挙げることができる。また、このような塗工液の固形分濃度としては、塗工適性の観点から、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、2〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
このような塗工液を塗工及び乾燥する工程においては、上記のようにして調製された塗工液を前記基材に順次塗工及び乾燥することにより、前記基材の少なくとも片面に前記アンカーコート層を介して前記ガスバリア性積層体を形成させる。より具体的には、前記基材の少なくとも片面に前記アンカーコート層用の塗工液を塗工及び乾燥してアンカーコート層を形成させることができる。そして、前記アンカーコート層の表面に前記層(A)用の塗工液を塗工及び乾燥して層(A)を形成させた後に、前記層(B)用の塗工液を塗工及び乾燥して層(B)を形成させることによって、前記層(A)と前記層(B)とが接して積層されているガスバリア性積層体を形成させることができる。
このように塗工液を塗工する方法としては、公知の塗工方法が特に制限なく使用可能であり、浸漬法(ディッピング法);スプレー、コーター、印刷機、刷毛等を用いる方法が挙げられる。また、これらの方法に用いられるコーター及び印刷機の種類並びにそれらの塗工方式としては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式等のグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、エアナイフコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター等を挙げることができる。
また、塗工液の塗布量としては、所望する層の厚みにより異なり特に限定されないが、塗工液を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が0.01〜5g/mであることが好ましく、0.03〜3g/mであることがより好ましい。このように塗工液を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が前記下限未満では、成膜が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると乾燥が不十分で溶剤が残留しやすくなる傾向にある。
さらに、このように塗工液を乾燥させる方法としては、特に限定されないが、自然乾燥による方法や、所定の温度に設定したオーブン中で乾燥させる方法、前記コーター付属の乾燥機、例えばアーチドライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤー等を用いる方法を挙げることができる。さらに、乾燥の条件としては、乾燥させる方法により適宜選択することできるが、例えばオーブン中で乾燥させる方法においては、温度60〜120℃にて、1秒間〜5分間程度乾燥することが好ましい。
<湿熱処理>
湿熱処理の条件について説明する。湿熱処理とは、密閉容器内で適正な湿度、温度、圧力の条件下で、対象物に対し加熱処理を施すことである。本発明のガスバリア性積層体は、所定条件の湿熱処理を施すと、層(B)に生じた亜鉛イオンが、カルボン酸系樹脂層である層(A)に移行し、樹脂を架橋させることによりガスバリア性を発現する。
湿熱処理の時間については、樹脂基材の材質によって異なるが、具体的には、短くて30秒、長くて4時間の湿熱処理が行われる。30秒以上処理することで、層(B)中に含まれる亜鉛イオンが層(A)に移行することで、ガスバリア性を発現する。前記下限未満では、湿熱処理の効果が現れにくく、層(B)中に含まれる亜鉛イオンの反応が十分に進まないため十分なガスバリア性が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると膜に割れが生じやすくなり、十分なガスバリア性が得られない傾向にある。
湿熱処理の湿度については、50%RH以上100%RH未満(相対湿度50%以上100%未満)が望ましい。前記下限未満では、湿熱処理の効果が現れにくい傾向がある。前記上限を超えると水分が過剰になり、架橋反応が進む前に層が膨潤し、十分なバリア性が得られない可能性がある。
湿熱処理の圧力については、0.09MPa以上0.50MPa以下であることが望ましい。前記下限未満では、湿熱処理の効果が現れにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、加圧によりフィルムが変形し、十分なガスバリア性が得られない傾向にある。本発明のガスバリア性積層体は、レトルト処理やボイル処理などの加熱殺菌処理を施してもバリア性の低下は起きない。
<ガスバリア性の評価方法>
本発明の積層体のガスバリア性の評価方法について説明する。下記の関係式(1)で求められるxの値は、ガスバリア性を示す指標となる。
(1)x=b×(α−β−α´+β´)/(a×(α−β))
(2)0.05≦x≦0.8
〔式中、湿熱処理前のガスバリア性積層体の波長350nmでの吸光度をα、波長500nmでの吸光度をβとし、湿熱処理を施したガスバリア性積層体の波長350nmでの吸光度をα´、波長500nmでの吸光度をβ´とする。また、請求項1に記載のポリカルボン酸からなる層(A)の厚みをa、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B)の厚みをbとする。〕
次に、関係式(1)のxの値について説明する。酸化亜鉛は、紫外領域である、波長3
50nmに固有の吸収ピークをもち、波長500nmは基礎吸収帯である。また、ガスバリア性積層体の他の層では両波長で吸収量に差はない。従って、ガスバリア性積層体の波長350nmの吸光度と波長500nmの吸光度の差(α−β)は、酸化亜鉛の量に相当する値である。また、式(1)の分子中の(α−β)−(α´−β´)は、湿熱処理をした後に、酸化亜鉛が架橋反応を起こしたことで消費した量を表すので、(α−β−(α´−β´))/(α−β)は、湿熱処理前後での酸化亜鉛消費量の割合であり、xは、層(A)と層(B)の厚み補正後の酸化亜鉛消費量の割合ということになる。従って、xは、ガスバリア性を示す指標となり、本発明では、xの値が式(2)を満たすように湿熱処理条件を決定する。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
以下、本発明のガスバリア性積層体の実施例について詳細に説明する。ただし、本発明のガスバリア性積層体は、実施例で示した様態に限定されるものではない。
(実施例1)
<コーティング液の調整>
ポリアクリル酸(商品名:アロンA−10H、数平均分子量200,000、25質量%水溶液、東亞合成株式会社製)のカルボキシ基を100molとした時の中和度が20mol%になるように酸化亜鉛(和光純薬株式会社製)を加えた混合物を蒸留水とIPAと混合させることによりコーティング液(a)を調製した。酸化亜鉛分散液とポリエステル系樹脂とを質量比80:20になるように混合し、コーティング液(b)を調製した。
<積層体の作製>
まず、ポリエステル系主剤(三井化学株式会社製 タケラック A525:固形分濃度50質量%)と硬化剤(三井化学株式会社製 タケネート A52:固形分濃度75%)とを質量比9/1となるようにして溶媒(酢酸エチル)に溶解させて、固形分濃度5質量%のアンカーコート層用コーティング液を得た。得られたアンカーコート層用コーティング液を、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製 ルミラーP60:厚さ12μm)上に、乾燥後の単位面積当たりの質量が0.20g/m、厚さが0.2μmとなるようにバーコーター(RK Print−Coat Instruments製 K303 バー)を用いて塗工し、ドライヤーで乾燥してアンカーコート層を形成した。
形成されたアンカーコート層上に、前記コーティング液(a)を、前記バーコーターを用いて、乾燥後の単位面積あたりの質量が0.40g/m、厚さが0.30μmとなるように塗工し、乾燥して層を形成した。次いで、コーティング液(a)から形成された層上に、コーティング液(b)を、前記バーコーターを用いて、乾燥後の単位面積当たりの質量が0.60g/m、厚さが0.45μmとなるように塗工し乾燥して層を形成した。このようにして、ポリエステルフィルム上にアンカーコート層、コーティング液(a)から形成された層(層(A))、コーティング液(b)から形成された層(層(B))が、この順で積層された積層体を得た。
高度加速寿命試験装置(エスペック株式会社製)を使用して、作製した積層体を温度130℃、湿度95%、圧力0.26MPaの環境下で20分間湿熱処理し、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例2)
温度110℃、湿度90%、圧力0.15MPaの環境下で5分間湿熱処理を行ったこ
と以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(実施例3)
温度135℃、湿度95%、圧力0.30MPaの環境下で60分間湿熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例1)
湿熱処理を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例2)
温度130℃、湿度95%、圧力0.26MPaの環境下で0.2分間湿熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
(比較例3)
オーブン(エスペック株式会社製)を使用して、作製した積層体を温度135℃、湿度30%、圧力0.10MPaの環境下で60分間加熱処理し、ガスバリア性積層体を得た。
実施例1〜3および比較例1〜3により得られた、湿熱処理を施したガスバリア性積層体および、実施例1〜3および比較例1〜3の湿熱処理前のガスバリア性積層体前駆体を紫外可視吸光度法によって測定し、関係式(1)におけるxの値を算出した。結果を表1に示す。
(1)x=b×(α−β−α´+β´)/(a×(α−β))
このとき、比較例1では湿熱処理を施していないため、湿熱処理前後の吸光度は同じ(α=α´、β=β´)とする。
実施例1〜3および比較例1〜3により得られたガスバリア性積層体について、酸素透過試験器(OXTRAN2/20、Modern Control社製)を用いて、温度30℃、相対湿度70%とした場合の酸素透過度を測定した。得られた測定値は、JIS K−7126「B法(等圧法)」、および、ASTM D3985−81に準拠して、酸素濃度100%、表面積1mにおける酸素透過度〔単位:cm(STP)/(m・day・MPa)〕で表記した。測定結果を表1に示す。
Figure 2020100014
表1の、xの値および酸素透過度の値を見てわかるように、比較例1〜3を用いると、酸素バリア性が大幅に低下することが確認された。
一方、実施例1〜3のガスバリア性積層体のガスバリア性は、優れたガスバリア性を得ることができることが確認された。
本発明によれば、優れたガスバリア性積層体を提供することが可能となる。
1・・・基材
2・・・バリア層
3・・・層(A)
4・・・層(B)
5・・・アンカーコート層
10・・・ガスバリア性積層体

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を含む基材の少なくとも片面に、ポリカルボン酸からなる層(A)と、前記層(A)の上に、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B)が接して積層され、かつ湿熱処理を施したガスバリア性積層体であって、湿熱処理を施したガスバリア性積層体および、湿熱処理前のガスバリア性積層体を紫外可視吸光度法によって測定したとき、下記関係式(1)および(2)を満たすガスバリア性積層体。
    (1)x=b×(α−β−α´+β´)/(a×(α−β))
    (2)0.05≦x≦0.8
    〔式中、湿熱処理前のガスバリア性積層体の波長350nmでの吸光度をα、波長500nmでの吸光度をβとし、湿熱処理を施したガスバリア性積層体の波長350nmでの吸光度をα´、波長500nmでの吸光度をβ´とする。また、ポリカルボン酸からなる層(A)の厚みをa、酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)の混合物からなる層(B)の厚みをbとする。〕
  2. ポリカルボン酸としてポリ(メタ)アクリル酸を使用することを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. ポリカルボン酸の分子量は10,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  4. 前記酸化亜鉛(B1)及びポリエステル系樹脂(B2)との質量比(酸化亜鉛(B1)/ポリエステル系樹脂(B2))が35/65〜92/8の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層体の製造方法であって、50%RH以上100%RH未満の相対湿度、且つ0.09MPa以上0.50MPa以下の圧力下で30秒以上湿熱処理を施す工程を有するガスバリア性積層体の製造方法。
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