JP7135644B2 - ガスバリア性フィルム及び積層体 - Google Patents

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Description

本発明はガスバリア性フィルム及び積層体に関する。
食品、医薬品、化粧品、精密電子部品等に用いられる包装材料には、内容物の変質を防止するために高い酸素バリア性や水蒸気バリア性が求められる。
一般に熱可塑性プラスチックフィルムの酸素バリア性はそれほど高いものではないことから、当該フィルムにガスバリア性を付与する手段として、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)層やポリビニルアルコール(PVA)層などの各種ガスバリア層を形成する方法、又は、アルミナ(Al)やシリカ(SiO)などの無機物を蒸着する方法が検討されてきた。
ガスバリア層としてPVDC層を形成したフィルムは、透明でかつ良好なバリア性を発揮する。しかし、一般廃棄物として焼却される際に酸性ガス等の有害ガスを発生するおそれがあるため、環境への配慮の点から他材料への移行が望まれている。PVA層を形成したフィルムは低湿度下においては優れたガスバリア性を発揮するが、吸湿性が高く、相対湿度が70%程度以上になるとガスバリア性が急激に低下するという問題がある。
熱可塑性プラスチックフィルムにアルミナやシリカなどの無機物を蒸着した無機蒸着フィルムは透明でかつ良好なガスバリア性を有しており、上記の問題も生じない。しかしながら無機蒸着フィルムを屈曲させると、無機蒸着層にクラックが発生して著しくガスバリア性が低下するという問題がある。
無機物が蒸着された層を含むガスバリア性フィルム又はガスバリア性積層体の耐屈曲性を改善する方法として、所定のエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を主成分とするエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる層を形成する方法が提案されている。例えば、高いガスバリア性や接着性を有するエポキシ樹脂組成物として、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンと、所定の構造の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との反応生成物であるエポキシ硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献1,2)。
他方、高温での熱処理を行わずに、短時間で優れたガスバリア材を形成する方法が提案されている。例えば特許文献3には、優れたガスバリア性、耐レトルト性、可撓性を有するガスバリア材を形成可能であると共に、より低温短時間での硬化が可能なガスバリア材形成用組成物として、ポリカルボン酸系ポリマー(A)と、窒素との間に二重結合を形成する炭素にエーテル結合が形成され、該エーテル結合中の酸素を含んで成る環構造(b)を少なくとも2個含有する化合物(B)及び脱水剤(C)を含むガスバリア材形成用組成物が提案されている。前記化合物(B)としては、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)等のビスオキサゾリン類が例示されている。
特許文献3以外にも、オキサゾリン基含有材料をガスバリア性フィルムに応用した例が知られている(例えば特許文献4,5を参照)。
特許文献4には、プラスチック基材フィルムの少なくとも片面にオキサゾリン基を有する樹脂を主成分とした平均厚みが5~60nmの被覆層を設け、かつ所定の要件を満たす無機薄膜形成用の積層フィルムが、無機薄膜を形成した積層体としレトルト処理を施した際においても、無機薄膜との間の密着性及びガスバリア性に優れることが開示されている。特許文献5には、ポリエステル基材フィルムの少なくとも片面にオキサゾリン基を有する樹脂を構成成分として含有する被覆層を有し、該被覆層上に無機薄膜層を有すると共に、該無機薄膜層上に所定の保護層を有し、かつ所定の要件を満たす積層フィルムが、常態および湿熱処理を施した後にもガスバリア性及び各層間の接着性に優れ、耐屈曲性、経済性も良好であることが開示されている。
しかしながら特許文献3には、ガスバリア材形成用組成物を、無機薄膜層を有する基材フィルムに適用することは記載されていない。特許文献4,5に開示された積層フィルムは、プラスチック基材フィルムの少なくとも片面にオキサゾリン基を有する樹脂を含有する被覆層を有し、該被覆層の上に無機薄膜層を有する構成である。すなわち、プラスチック基材フィルム-無機薄膜層間の密着性を向上させるために、プラスチック基材フィルムと無機薄膜層との間に上記被覆層を設けたものである。
特開2003-300271号公報 特開2005-28835号公報 特開2008-195787号公報 特開2011-148090号公報 特開2017-148992号公報
ガスバリア性フィルムは前述した包装材料分野だけでなく、光学フィルム分野においても注目されている。例えば、量子ドット(QD)ディスプレイに搭載されている量子ドットや有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイに搭載されている有機EL素子は水分によって劣化しやすいため、ガスバリア性フィルムを量子ドットや有機EL素子の保護フィルムとして用いることも有効であると考えられる。これらの用途においては、画像表示性能を妨げないよう、着色が少なく高い透明性を有する、光学特性に優れるフィルムであることが好ましい。
本発明の課題は、製造が容易であり、優れたガスバリア性及び光学特性を有するガスバリア性フィルム及び積層体を提供することにある。
本発明者らは、無機薄膜層を有する基材フィルムと、バリア性樹脂層とを有するガスバリア性フィルム及び積層体において、基材フィルムの無機薄膜層側の面に前記バリア性樹脂層を有する構成とし、バリア性樹脂層を所定の化合物を含む樹脂組成物で形成することにより上記課題を解決できることを見出した。
本発明は下記[1]~[11]に関する。
[1]無機薄膜層を有する基材フィルムと、バリア性樹脂層とを有するガスバリア性フィルムであって、前記ガスバリア性フィルムは、前記基材フィルムの前記無機薄膜層側の面に前記バリア性樹脂層を有し、前記バリア性樹脂層が、カルボキシ基含有ポリマー(A)と、分子内に下記一般式(1)で示される基及び下記一般式(2)で示される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物(B)(但し、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)を除く)とを含む樹脂組成物から形成された層である、ガスバリア性フィルム。
Figure 0007135644000001

及びRはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基であり、pは0~4、qは0~6の数である。前記(B)成分中にR又はRが複数存在する場合、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
[2]前記(A)成分が(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマーである、上記[1]に記載のガスバリア性フィルム。
[3]前記(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマー中の(メタ)アクリル酸構成単位の含有量が、全構成単位中の50質量%以上である、上記[2]に記載のガスバリア性フィルム。
[4]前記(B)成分が下記一般式(3)で示される化合物及び下記一般式(4)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
Figure 0007135644000002

及びpは前記と同じである。Zは単結合又は炭素数1~22の2価の基である。
Figure 0007135644000003

及びqは前記と同じである。Zは単結合又は炭素数1~22の2価の基である。
[5]前記(B)成分が前記一般式(3)で示される化合物であり、Zがフェニレン基である、上記[4]に記載のガスバリア性フィルム。
[6]前記樹脂組成物中の前記(B)成分の含有量が、前記(A)成分1gに対する、前記(B)成分中の前記一般式(1)で示される基及び前記一般式(2)で示される基の合計モル数として0.01~10mmolである、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
[7]前記無機薄膜層を構成する無機物がケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
[8]前記無機薄膜層を構成する無機物がアルミニウム酸化物である、上記[7]に記載のガスバリア性フィルム。
[9]前記無機薄膜層と前記バリア性樹脂層とが隣接している、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
[10]前記基材フィルムが片面のみに前記無機薄膜層を有し、前記バリア性樹脂層を1層のみ有する、上記[1]~[9]のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
[11]上記[10]に記載のガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂層とを有する積層体。
本発明のガスバリア性フィルム及び積層体はガスバリア性が高く光学特性も良好であり、例えば包装材料用途、画像表示装置用の光学フィルム用途に好適である。
本発明のガスバリア性フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。 本発明の積層体の一実施形態を示す断面模式図である。 比較例6の積層体の層構成を示す断面模式図である。
[ガスバリア性フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムは、無機薄膜層を有する基材フィルム(以下、単に「基材フィルム」ともいう)と、バリア性樹脂層とを有するガスバリア性フィルムであって、該ガスバリア性フィルムは、基材フィルムの無機薄膜層側の面にバリア性樹脂層を有し、該バリア性樹脂層が、カルボキシ基含有ポリマー(A)と、分子内に下記一般式(1)で示される基及び下記一般式(2)で示される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物(B)(但し、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)を除く)とを含む樹脂組成物から形成された層であることを特徴とする。当該ガスバリア性フィルムは前記基材フィルムと、少なくとも1層の前記バリア性樹脂層とを有していればよい。
Figure 0007135644000004

及びRはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基であり、pは0~4、qは0~6の数である。前記(B)成分中にR又はRが複数存在する場合、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは上記構成を有することにより、ガスバリア性が高く、かつ良好な光学特性を有するフィルムとなる。
本発明のガスバリア性フィルムは、基材フィルムの無機薄膜層側の面にバリア性樹脂層を有することで、初期ガスバリア性が向上する。また、無機薄膜層に対するバリア性樹脂層の接着性が良好であるため、層間接着性が高いガスバリア性フィルム及び積層体が得られる。
特に上記バリア性樹脂層は、アルミニウム酸化物からなる無機薄膜層に対する接着性に優れる。そのため、本発明のガスバリア性フィルム及び積層体においてアルミニウム酸化物からなる無機薄膜層を有する基材フィルムを用い、この無機薄膜層側の面にバリア性樹脂層を設けると、ガスバリア性、光学特性、及び層間接着性がより良好なガスバリア性フィルム及び積層体が得られる。
以下、本発明のガスバリア性フィルムを構成する材料について説明する。
<基材フィルム>
本発明のガスバリア性フィルムを構成する基材フィルムは、ベースフィルムと、少なくとも1層の無機薄膜層とから構成されるフィルムである。基材フィルムは少なくとも一方の面に無機薄膜層を有していればよいが、ガスバリア性フィルムの耐屈曲性や生産性の観点から、当該基材フィルムは片面のみに無機薄膜層を有していることが好ましい。
(ベースフィルム)
基材フィルムを構成するベースフィルムとしては、透明プラスチックフィルムが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム;ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシレンアジパミド(N-MXD6)等のポリアミド系フィルム;ポリイミド系フィルム;ポリ乳酸等の生分解性フィルム;ポリアクリロニトリル系フィルム;ポリ(メタ)アクリル系フィルム;ポリスチレン系フィルム;ポリカーボネート系フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム等が挙げられる。これらの中でも、透明性、強度及び耐熱性の点から、ベースフィルムとしてはポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、及びポリイミド系フィルムからなる群から選ばれるフィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがさらに好ましい。
上記フィルムは一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
(無機薄膜層)
無機薄膜層は、ガスバリア性を付与するために設けられる。無機薄膜層は厚みが薄くても高いガスバリア性を発現することができ、透明性も良好である。無機薄膜層は、蒸着法により形成された無機蒸着層であることが好ましい。
無機薄膜層を構成する無機物は、蒸着法によりベースフィルム上にガスバリア性の薄膜を形成しうる無機物であれば特に制限はないが、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、ジルコニウム、炭素、又はこれらの酸化物、炭化物、窒化物、酸窒化物等が挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性の点からはケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ケイ素酸化物がより好ましい。一方で、バリア性樹脂層との良好な接着性を発現する観点からは、アルミニウム酸化物がより好ましい。上記無機物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
無機薄膜層の厚みは、高いガスバリア性を得る観点から、好ましくは5nm以上である。また、透明性及び耐屈曲性の観点からは、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。上記厚みは、無機薄膜層の1層あたりの厚みである。
無機薄膜層の形成方法は特に制限されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、あるいはプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法等の公知の蒸着法が挙げられる。
上記ベースフィルムと少なくとも1層の無機薄膜層とから構成される基材フィルムの厚みは、ガスバリア性や強度の点から、好ましくは5~300μm、より好ましくは5~100μm、さらに好ましくは8~50μm、よりさらに好ましくは10~40μmである。
<バリア性樹脂層>
本発明のガスバリア性フィルムが有するバリア性樹脂層は、カルボキシ基含有ポリマー(A)(以下、単に(A)成分ともいう)と、分子内に下記一般式(1)で示される基及び下記一般式(2)で示される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物(B)(以下、単に化合物(B)、又は(B)成分ともいう)とを含む樹脂組成物から形成された層である。但し化合物(B)には、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)は含まれないものとする。
Figure 0007135644000005

及びRはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基であり、pは0~4、qは0~6の数である。前記(B)成分中にR又はRが複数存在する場合、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
例えば化合物(B)が一般式(1)に包含される基であるオキサゾリン基を有する化合物である場合、当該バリア性樹脂層において、カルボキシ基含有ポリマー(A)中のカルボキシ基と化合物(B)中のオキサゾリン基とが下記式のように反応して、ガスバリア性能が高いアミドエステル結合を形成する。
Figure 0007135644000006

また、化合物(B)は一般式(1)及び一般式(2)で示される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有しているため架橋剤として作用し、(A)成分と(B)成分との反応によりバリア性樹脂層中でアミドエステル結合を含む架橋構造が形成される。この作用により、より優れたガスバリア性が発現する。
(カルボキシ基含有ポリマー(A))
本発明に用いるカルボキシ基含有ポリマー(A)としては、カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を有するポリマー、酸無水物等により変性された酸変性ポリマー等が挙げられる。アミドエステル結合を含む架橋構造を形成してガスバリア性を向上させる観点からは、カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を有するポリマーが好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられ、好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
ガスバリア性向上の観点から、(A)成分としては(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマーが好ましい。(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマーは、アクリル酸構成単位及びメタクリル酸構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有するポリマーであり、さらに、(メタ)アクリル酸構成単位以外の構成単位を有していてもよい。(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマー中の(メタ)アクリル酸構成単位の含有量は、ガスバリア性向上の観点から、該ポリマーを構成する全構成単位中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。
(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマー中の、(メタ)アクリル酸構成単位以外の構成単位としては、(メタ)アクリル酸との共重合が可能なモノマーに由来する構成単位が挙げられ、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、スチレン、α-メチルスチレン等に由来する構成単位が挙げられる。(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
(A)成分の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、アクリル酸-メタクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸-アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸-アルキル(メタ)アクリレート-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸-ポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド又はその誘導体との共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体等の共重合体;が挙げられる。
上記の中でも、優れたガスバリア性を得る観点、及び入手容易性の観点から、(A)成分としてはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸-アルキル(メタ)アクリレート共重合体、及び、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド又はその誘導体との共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
(A)成分として、カルボキシ基含有ポリマー中のカルボキシ基の一部が塩基性化合物により中和された部分中和物を用いることもできる。当該塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、アンモニアが挙げられる。
(A)成分が部分中和物である場合、その中和度は特に限定されないが、優れたガスバリア性を得る観点からは、(A)成分中のカルボキシ基に対するモル比として好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である。
カルボキシ基含有ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは3,000~500万、より好ましくは3,000~200万、さらに好ましくは3,000~500,000、よりさらに好ましくは3,000~300,000、よりさらに好ましくは5,000~250,000、よりさらに好ましくは10,000~100,000の範囲である。Mwが3,000以上であれば、形成されるバリア性樹脂層のガスバリア性、強度、低ブロッキング性の点で有利であり、500万以下であれば、溶剤への溶解性、塗工性、取り扱い性が良好である。
カルボキシ基含有ポリマー(A)のMwは、例えばゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。
(化合物(B))
本発明に用いる(B)成分は、分子内に下記一般式(1)で示される基及び下記一般式(2)で示される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物であり、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)以外の化合物であれば特に制限されない。2,2’-ビス(2-オキサゾリン)は溶剤への溶解性が低く、バリア性樹脂層の形成に不適である。
Figure 0007135644000007

及びRはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基であり、pは0~4、qは0~6の数である。前記(B)成分中にR又はRが複数存在する場合、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式中のR及びRは、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基であり、より好ましくはメチル基である。pは好ましくは0~2、より好ましくは0である。また、qは好ましくは0~4、より好ましくは0~2、さらに好ましくは0である。
バリア性樹脂層中で前述した(A)成分との反応によりアミドエステル結合をより多く形成し、優れたガスバリア性を発現する観点からは、(B)成分は分子量1,000未満、好ましくは分子量800以下、より好ましくは分子量500以下の低分子化合物であることが好ましい。また、(A)成分との反応により適度な架橋密度を有するバリア性樹脂層を形成する観点からは、(B)成分の中でも、分子内に前記一般式(1)で示される基及び前記一般式(2)で示される基からなる群から選ばれる基を2つ有する化合物が好ましい。
好ましい(B)成分としては、例えば下記一般式(3)で示される化合物及び下記一般式(4)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
Figure 0007135644000008

及びpは前記と同じである。Zは単結合又は炭素数1~22の2価の基である。
Figure 0007135644000009

及びqは前記と同じである。Zは単結合又は炭素数1~22の2価の基である。
前記一般式(3)におけるZは、好ましくは炭素数2~16の2価の基、より好ましくは単結合又は炭素数2~12の2価の基である。また、前記一般式(4)におけるZは、好ましくは単結合又は炭素数2~16の2価の基、より好ましくは単結合又は炭素数2~12の2価の基である。
、Zにおける2価の基は、-CO-、-COO-、-SO-、又は-O-を含んでもよいが、炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アルキリデン基、又はアリーレン基であることがより好ましく、アルキレン基又はアリーレン基がさらに好ましい。よりさらに好ましくはアリーレン基、よりさらに好ましくはフェニレン基である。
は、好ましくはフェニレン基、より好ましくは1,3-フェニレン基である。Zは、好ましくは単結合又はフェニレン基、より好ましくはフェニレン基、さらに好ましくは1,3-フェニレン基である。
上記の中でも、(B)成分としては前記一般式(3)で示される化合物であり、Zがフェニレン基であるものが好ましい。
(B)成分の具体例としては、前記一般式(3)で示される化合物である、2,2’-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(5-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(5,5’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4,4’,4’-テトラメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-(1,2-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)[1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン]、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-デカメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-3,3’-ジフェノキシエタンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-シクロヘキシレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ジフェニレンビス(2-オキサゾリン)等のビスオキサゾリン類;前記一般式(4)で示される化合物である、2,2’-ビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-メチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-エチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-プロピレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ブチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-m-フェニレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-p-フェニレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)、2,2’-p/p’-ジフェニレンビス(5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン)等のビスオキサジン類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、(B)成分としてはビスオキサゾリン類が好ましく、2,2’-(1,2-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)[1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン]、及び2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)、及び2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)がよりさらに好ましい。
バリア性樹脂層を形成する樹脂組成物中、(B)成分の含有量は、(A)成分1gに対する、(B)成分中の前記一般式(1)で示される基及び前記一般式(2)で示される基の合計モル数として、好ましくは0.01~10mmol、より好ましくは0.1~8mmol、さらに好ましくは0.5~7mmol、よりさらに好ましくは1~7mmol、よりさらに好ましくは1.5~5mmol、よりさらに好ましくは2~5mmolである。(A)成分1gに対する、(B)成分中の前記一般式(1)で示される基及び前記一般式(2)で示される基の合計モル数が0.01mmol以上であるとガスバリア性が良好であり、10mmol以下であると組成物中の溶解性が良好である。また、(A)成分1gに対する、(B)成分中の前記一般式(1)で示される基及び前記一般式(2)で示される基の合計モル数が0.1mmol以上、好ましくは0.5mmol以上、より好ましくは1mmol以上、さらに好ましくは1.5mmol以上、よりさらに好ましくは2mmol以上であると、ガスバリア性が良好で、特に無機薄膜層がアルミニウム酸化物である場合の水蒸気バリア性が向上する。
(無機粒子)
バリア性樹脂層及びこれを形成する樹脂組成物は、さらに、無機粒子を含有することができる。無機粒子を含有すると、無機薄膜層を有するガスバリア性フィルムの耐屈曲性等を向上させることができる。
無機粒子は、球状無機粒子でも非球状無機粒子でもよく、ガスバリア性を発揮しやすい観点から、好ましくは非球状無機粒子である。非球状無機粒子の形状は、球状(略真円球状)以外の三次元形状であればよく、例えば、板状、鱗片状、柱状、鎖状、繊維状等が挙げられる。板状、鱗片状の無機粒子は複数積層されて層状になっていてもよい。これらの中でも、ガスバリア性及び耐屈曲性向上の観点からは、板状、鱗片状、柱状、又は鎖状の無機粒子が好ましく、板状、鱗片状、又は柱状の無機粒子がより好ましく、板状又は鱗片状の無機粒子がさらに好ましい。
無機粒子を構成する無機物としては、シリカ、アルミナ、雲母(マイカ)、タルク、アルミニウム、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性及び耐屈曲性を向上させる観点からはシリカ、アルミナ、及び雲母からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、シリカ及びアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
上記無機粒子は、樹脂組成物への分散性を高め、得られるガスバリア性フィルムの透明性を向上させることを目的として、必要に応じ表面処理されていてもよい。中でも、無機粒子は有機系材料でコーティングされていることが好ましく、ガスバリア性及び耐屈曲性、透明性を向上させる観点からは有機系材料でコーティングされたシリカ及びアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。ガスバリア性及び耐屈曲性の観点からは、有機系材料でコーティングされたシリカがさらに好ましく、透明性の観点からは、有機系材料でコーティングされたアルミナがさらに好ましい。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは1~2,000nm、より好ましくは1~1,500nm、さらに好ましくは1~1,000nm、よりさらに好ましくは1~800nm、よりさらに好ましくは1~500nm、よりさらに好ましくは5~300nm、よりさらに好ましくは5~200nm、よりさらに好ましくは5~100nm、よりさらに好ましくは8~70nmの範囲である。当該平均粒径が1nm以上であれば無機粒子の調製が容易であり、2,000nm以下であればガスバリア性、耐屈曲性、及び透明性がいずれも良好になる。なお、当該平均粒径は一次粒子の平均粒径である。
無機粒子が板状、鱗片状、柱状、又は繊維状の非球状無機粒子である場合、アスペクト比は好ましくは2~700、より好ましくは3~500である。当該アスペクト比が2以上であると良好なガスバリア性が発現しやすい。
無機粒子の平均粒径及びアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、3箇所以上の測定値の平均から求められる。なお、バリア性樹脂層中に存在する無機粒子の平均粒径及びアスペクト比については、例えばガスバリア性フィルムをエポキシ樹脂で包埋した後、イオンミリング装置を用いてフィルム断面のイオンミリングを行って断面観察用試料を作製し、得られた試料の断面を上記と同様の方法で観察、測定することにより求めることができる。
無機粒子の平均粒径が100nm未満であって上記方法による平均粒径の測定が困難である場合は、当該平均粒径は例えばBET法により測定することもできる。
無機粒子の製造方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
無機粒子の調製しやすさ、樹脂組成物への配合容易性並びに分散性の観点から、本発明においては無機粒子の分散液を調製し、該分散液を樹脂組成物に配合することが好ましい。無機粒子分散液の分散媒には特に制限はなく、水又は有機溶剤のいずれも用いることができる。有機溶剤としては無機粒子の分散性の観点から極性溶剤が好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール等のプロトン性極性溶剤、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。
無機粒子の分散性の観点からは、分散媒は水及びプロトン性極性溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、粒子の分散性、並びに分散液と樹脂組成物との混和性の観点からはプロトン性極性溶剤がより好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
無機粒子を用いる場合、バリア性樹脂層を形成する樹脂組成物中の無機粒子の含有量は、前記(A)成分100質量部に対し、好ましくは0.5~10.0質量部、より好ましくは1.0~8.0質量部、さらに好ましくは1.5~6.0質量部である。樹脂組成物中の無機粒子の含有量が前記(A)成分100質量部に対し0.5質量部以上であれば、得られるガスバリア性フィルムの耐屈曲性向上効果が良好である。また、当該含有量が10.0質量部以下であると得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性及び透明性が良好な範囲に維持される。
<その他の成分>
バリア性樹脂層を形成する樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて熱硬化性樹脂、湿潤剤、粘着付与剤、消泡剤、硬化促進剤、防錆添加剤、顔料、酸素捕捉剤等の添加剤を配合してもよい。樹脂組成物中のこれら添加剤の合計含有量は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.001~5質量%である。
本発明の効果を得る観点から、バリア性樹脂層及びこれを形成する樹脂組成物の固形分中の前記(A)成分及び前記(B)成分の合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上であり、上限は100質量%である。「樹脂組成物の固形分」とは、樹脂組成物中の水及び溶剤を除いた成分を意味する。
バリア性樹脂層を形成する樹脂組成物は、例えば前記(A)成分、前記(B)成分、及び、必要に応じ用いられる無機粒子又はその分散液、添加剤並びに溶剤をそれぞれ所定量配合した後、公知の方法及び装置を用いて攪拌、混合することにより調製できる。各成分を混合する順序は特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分をそれぞれ溶剤に溶解させた溶液を調製し、次いで、(A)成分の溶液と(B)成分の溶液とを混合することが好ましい。
上記溶液に用いる溶剤としては、各成分を溶解しうる溶剤であれば特に制限されないが、無機粒子分散液の分散媒として例示した極性溶剤が好ましく、プロトン性極性溶剤がより好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
バリア性樹脂層の厚みは、ガスバリア性及び耐屈曲性の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、よりさらに好ましくは0.8μm以上である。また、ガスバリア性フィルムの透明性の観点からは、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8.0μm以下、よりさらに好ましくは5.0μm以下、よりさらに好ましくは3.5μm以下である。上記厚みは、バリア性樹脂層の1層あたりの厚みである。
<ガスバリア性フィルムの層構成>
本発明のガスバリア性フィルムは、無機薄膜層を有する前記基材フィルムと、少なくとも1層のバリア性樹脂層とを有し、かつ、該基材フィルムの無機薄膜層側の面にバリア性樹脂層を有する構成であればよい。本発明の効果を得る観点からは、本発明のガスバリア性フィルムは前記基材フィルムが片面のみに無機薄膜層を有し、バリア性樹脂層を1層のみ有する構成が好ましい。また、無機薄膜層とバリア性樹脂層とは隣接していることが好ましい。
ガスバリア性フィルムの好ましい層構成として、例えば図1の構成が挙げられる。図1は本発明のガスバリア性フィルムの一実施形態を示す断面模式図であり、ガスバリア性フィルム100は、片面に無機薄膜層12を有する基材フィルム1と、その無機薄膜層12側の面にバリア性樹脂層2が設けられた構成である。基材フィルム1は、ベースフィルム11の片面に無機薄膜層12が形成されたものである。図1においては、無機薄膜層12とバリア性樹脂層2とが隣接している。また図1に示すように、本発明のガスバリア性フィルムは基材フィルム以外のフィルムを有さないことが好ましい。
但し本発明のガスバリア性フィルムは図1の層構成のものに限定されず、例えばバリア性樹脂層を2層以上有してもよい。また、例えば図1のガスバリア性フィルムにおいて、基材フィルム1とバリア性樹脂層2との間、又は、バリア性樹脂層2の上面(基材フィルム1と隣接していない面)側に、プライマー層や保護層等を有する構成でもよい。
<ガスバリア性フィルムの製造方法>
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば図1の構成のガスバリア性フィルムの製造方法としては、ベースフィルムの片面に無機薄膜層が形成された基材フィルムの無機薄膜層側の面に、バリア性樹脂層形成用の樹脂組成物を所望の厚みとなるよう塗布し、次いで、加熱してバリア性樹脂層を形成する方法が挙げられる。
樹脂組成物を塗布する際の塗布方法としては、例えば、バーコート、メイヤーバーコート、エアナイフコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、マイクログラビアコート、マイクロリバースグラビアコート、ダイコート、スロットダイコート、バキュームダイコート、ディップコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、はけ塗り等が挙げられる。これらの中でもバーコート、ロールコート又はスプレーコートが好ましく、工業的にはグラビアコート、リバースグラビアコート、マイクログラビアコート、又はマイクロリバースグラビアコートが好ましい。
樹脂組成物を塗布した後、加熱を行い、(A)成分と(B)成分とを反応させるとともに樹脂組成物中の水及び溶剤を揮発させる。加熱条件は適宜選択できるが、例えば、加熱温度60~180℃、加熱時間5~180秒の条件で行うことができる。
<ガスバリア性フィルムの特性>
本発明のガスバリア性フィルムは優れたガスバリア性を有する。例えば、使用する基材フィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率(cc/m・day・atm)を、ガスバリア性フィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率(cc/m・day・atm)で除した値(以下「OTR改善率」ともいう)が、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。
また、使用する基材フィルムの40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率(g/m・day)を、ガスバリア性フィルムの40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率(g/m・day)で除した値(以下「WVTR改善率」ともいう)が、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上、よりさらに好ましくは2.5以上である。
ガスバリア性フィルムの酸素透過率及び水蒸気透過率は、具体的には実施例に記載の方法で求められる。
本発明のガスバリア性フィルムは、着色が少なくかつ高い透明性を有することが好ましい。特に量子ドットディスプレイにおける量子ドットの保護フィルムや有機ELディスプレイにおける有機EL素子の保護フィルム等、画像表示装置用の光学フィルムとして用いる場合は、低着色で高透明性であることが求められる。
上記観点から、本発明のガスバリア性フィルムのYI値は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。YI値は、JIS K7373:2006に準拠して測定することができる。
本発明のガスバリア性フィルムのHazeは、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。Hazeは、JIS K7136:2000に準拠して測定することができる。
また本発明のガスバリア性フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上である。全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に準拠して測定することができる。
[積層体]
本発明の積層体は、前述した本発明のガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂層とを有するものである。その好ましい構成としては例えば、本発明のガスバリア性フィルムにおけるバリア性樹脂層側の面(図1のガスバリア性フィルム100におけるバリア性樹脂層2側の面(上面))、又はその反対面(図1のガスバリア性フィルム100におけるベースフィルム11側の面(下面))に熱可塑性樹脂層を積層した構成が挙げられる。
当該積層体は、ガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂層との間にさらにプライマー層やインキ層、接着剤層、表面保護層、蒸着層等の任意の層が積層されていてもよい。また本発明の積層体は、本発明のガスバリア性フィルム、及び熱可塑性樹脂層を、それぞれ2層以上有していてもよい。
熱可塑性樹脂層としては、熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。当該熱可塑性樹脂フィルムとしては、前記基材フィルムを構成するベースフィルムにおいて例示した透明プラスチックフィルムが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの表面処理が施されていてもよい。また熱可塑性樹脂フィルムとして、紫外線吸収剤や着色剤等を含むフィルムや、表面にプライマー層、インキ層、表面保護層、蒸着層等を有するフィルムを用いることもできる。
熱可塑性樹脂層の厚みは、好ましくは10~300μm、より好ましくは10~100μmである。
本発明の積層体の好ましい層構成としては、例えば、前記ガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとが直接積層された構成や、前記ガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとが接着剤層を介して積層された構成等が挙げられる。中でも、ガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとが接着剤層を介して積層された構成が好ましい。
ガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとが接着剤層を介して積層された構成である場合、ガスバリア性フィルムにおけるバリア性樹脂層側の面と熱可塑性樹脂フィルムとを対向させて積層することが好ましい。この場合、積層体の層構成は図2に示す構成となる。図2は本発明の積層体の一実施形態を示す断面模式図である。図2において、積層体200はガスバリア性フィルム100におけるバリア性樹脂層2側の面と熱可塑性樹脂フィルム3とを対向させて、接着剤層4を介して積層したものであり、ベースフィルム11、無機薄膜層12、バリア性樹脂層2、接着剤層4、及び熱可塑性樹脂フィルム3がこの順に積層された構成である。
積層体の製造方法については特に制限されない。例えば、ガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとが直接積層された積層体の製造方法としては、ガスバリア性フィルムを構成する基材フィルムの無機薄膜層側の面に前述したバリア性樹脂層形成用の樹脂組成物を塗布した後、直ちにその塗布面に熱可塑性樹脂フィルムをニップロール等により貼り合わせ、次いで、前述の方法で樹脂組成物を加熱する方法が挙げられる。この場合、バリア性樹脂層を構成する樹脂組成物が、ガスバリア性フィルムにおける基材フィルムと上記熱可塑性樹脂フィルムとを接着させる役割も果たす。
ガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとが接着剤層を介して積層された積層体の製造方法としては、前述の方法で製造したガスバリア性フィルムの片面、又は、熱可塑性樹脂フィルムの片面に接着剤層を構成する接着剤を塗布し、次いで他方のフィルムを貼付して積層する方法が挙げられる。
接着剤層を構成する接着剤としては、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等の公知の接着剤を用いることができる。また接着剤層の厚みは特に限定されないが、接着性と透明性とを両立させる観点からは、好ましくは0.1~30μm、より好ましくは1~20μm、さらに好ましくは2~20μmである。
<用途>
本発明のガスバリア性フィルム及び積層体は、ガスバリア性及び光学特性に優れるため、食品、医薬品、化粧品、精密電子部品等を保護するための包装材料用途に好適である。包装材料として使用する場合には、本発明のガスバリア性フィルム及び積層体をそのまま包装材料として用いてもよく、他の層やフィルムをさらに積層して用いてもよい。
また、特に水蒸気バリア性及び光学特性が良好なガスバリア性フィルム及び積層体は、例えば量子ドットディスプレイにおける量子ドットの保護フィルムや有機ELディスプレイにおける有機EL素子の保護フィルム等、画像表示装置用の光学フィルムとしても好適である。当該保護フィルムとしての態様は、例えば、有機EL素子の保護フィルムであれば、有機EL表示装置において、有機EL素子の形成面であってかつ表示装置の観察者側となる面に本発明のガスバリア性フィルムを設ける態様が挙げられる。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
本実施例における測定及び評価は以下の方法で行った。
<バリア性樹脂層の厚み>
多層膜厚測定装置(グンゼ(株)製「DC-8200」)を用いて測定した。
<フィルムの酸素透過率(cc/m・day・atm)>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製「OX-TRAN2/21」)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下で酸素透過率(OTR)を測定した。
<フィルムの水蒸気透過率(g/m・day)>
水蒸気透過率測定装置(MOCON社製「PERMATRAN-W 1/50」)を用いて、40℃、相対湿度90%の条件下で継続して測定し、24時間後の測定値を水蒸気透過率(WVTR)とした。
<YI>
JIS K7373:2006に準拠し、色彩・濁度同時測定器(日本電色工業(株)製「COH400」)を用いて測定した。
<Haze>
JIS K7136:2000に準拠し、色彩・濁度同時測定器(日本電色工業(株)製「COH400」)を用いて測定した。
<全光線透過率>
JIS K7361-1:1997に準拠し、色彩・濁度同時測定器(日本電色工業(株)製「COH400」)を用いて測定した。
<剥離強度(g/15mm)>
JIS K6854-3:1999に指定されている方法に従い、T型剥離試験により300mm/minの剥離速度で積層体の剥離強度を測定した。
<剥離界面>
積層体の剥離強度測定において、積層体がどの層の界面で剥離しているかを目視観察した。
製造例1(樹脂組成物Aの製造)
(A)成分として(A-1)ポリアクリル酸(Mw25,000、富士フィルム和光純薬(株)製「ポリアクリル酸 25,000」)、(B)成分として(B-1)2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)(1,3-PBO、東京化成工業(株)製「1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン」)を使用した。
ポリアクリル酸の10質量%メタノール溶液と、1,3-PBOの10質量%メタノール溶液をそれぞれ調製し、得られたポリアクリル酸溶液10gと1,3-PBO溶液3gとを混合して樹脂組成物Aを得た。
製造例2(樹脂組成物Bの製造)
製造例1と同様にして調製したポリアクリル酸溶液10g及び1,3-PBO溶液3g、並びに、板状アルミナ粒子の10質量%エタノール分散液(川研ファインケミカル(株)製「KOS-A2EOK5-10」、アルミナ粒子の平均一次粒子径:20nm)0.2gを混合して樹脂組成物Bを得た。
製造例3~6(樹脂組成物C~Fの製造)
製造例1と同様にして調製したポリアクリル酸の10質量%メタノール溶液、1,3-PBOの10質量%メタノール溶液、及び、製造例2で使用した板状アルミナ粒子の10質量%エタノール分散液をそれぞれ表1に示す割合で混合し、樹脂組成物C~Fを得た。
製造例7(比較樹脂組成物Aの製造)
製造例1で使用したポリアクリル酸(Mw25,000、富士フィルム和光純薬(株)製「ポリアクリル酸 25,000」)の10質量%メタノール溶液を調製し、これを比較樹脂組成物Aとした。
製造例8(比較樹脂組成物Bの製造)
製造例1と同様にして調製したポリアクリル酸の10質量%メタノール溶液10gと、板状アルミナ粒子の10質量%エタノール分散液(川研ファインケミカル(株)製「KOS-A2EOK5-10」)0.5gとを混合して比較樹脂組成物Bを得た。
製造例9~11(樹脂組成物G~Iの製造)
製造例1と同様にして調製したポリアクリル酸の10質量%メタノール溶液、及び、1,3-PBOの10質量%メタノール溶液を表1に示す割合で混合し、樹脂組成物G~Iを得た。
製造例12,13(樹脂組成物J,Kの製造)
(A)成分として(A-2)ポリアクリル酸(Mw5,000、富士フィルム和光純薬(株)製「ポリアクリル酸 5,000」)を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてポリアクリル酸の10質量%メタノール溶液を調製した。この溶液と、1,3-PBOの10質量%メタノール溶液を表1に示す割合で混合し、樹脂組成物J,Kを得た。
製造例14,15(樹脂組成物L,Mの製造)
(A)成分として(A-3)ポリアクリル酸(Mw250,000、富士フィルム和光純薬(株)製「ポリアクリル酸250,000」)を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてポリアクリル酸の10質量%メタノール溶液を調製した。この溶液と、1,3-PBOの10質量%メタノール溶液を表1に示す割合で混合し、樹脂組成物L,Mを得た。
配合組成を表1に示す。
Figure 0007135644000010
製造例16
(B)’成分として2,2’-ビス(2-オキサゾリン)を用い、10質量%メタノール溶液の調製を試みたが、メタノールへの溶解性が低く、溶液を調製することができなかった。
[ガスバリア性フィルムの作製及び評価]
実施例1
基材フィルムとして、PETの片面にケイ素酸化物(シリカ)が蒸着されたシリカ蒸着PET(三菱樹脂(株)製「テックバリアL」、厚み:12μm)を用いた。このシリカ蒸着面に、製造例1で得られた樹脂組成物AをバーコーターNo.8を使用して塗布し、100℃で60秒乾燥させ、基材フィルムのシリカ蒸着面に厚み1.65μmのバリア性樹脂層を有する、図1に示す構成のガスバリア性フィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、前記方法で各種評価を行った。結果を表2に示す。
実施例2~6、比較例1~2
使用する樹脂組成物及びバリア性樹脂層の厚みを表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性フィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1~6及び比較例1~2で使用した基材フィルムであるシリカ蒸着PETを用いて、前記方法で各種評価を行った。結果を表2に示す。
実施例7~17、比較例4
使用する基材フィルムを、PETの片面にアルミニウム酸化物(アルミナ)が蒸着されたアルミナ蒸着PET(東レフィルム加工(株)製「バリアロックス1011HG(コート無し)」、厚み:12μm)に変更し、及び使用する樹脂組成物並びにバリア性樹脂層の厚みを表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性フィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5
実施例7~17及び比較例4で使用した基材フィルムであるアルミナ蒸着PETを用いて、前記方法で各種評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007135644000011
表2に示すように、本発明のガスバリア性フィルムはガスバリア性に優れるとともに、YI値及びHaze値が低くかつ全光線透過率が高いことから光学特性も良好である。
[積層体の作製及び層間接着性評価]
実施例18
基材フィルムとして、PETの片面にケイ素酸化物(シリカ)が蒸着されたシリカ蒸着PET(三菱樹脂(株)製「テックバリアL」、厚み:12μm)を用いた。このシリカ蒸着面に、製造例1で得られた樹脂組成物AをバーコーターNo.8を使用して塗布し、100℃で60秒間加熱して乾燥させ、基材フィルムのシリカ蒸着面にバリア性樹脂層を有する、図1に示す構成のガスバリア性フィルムを得た。
得られたガスバリア性フィルムのバリア性樹脂層上に、ウレタン系接着剤として、ポリエステル系樹脂成分(東洋モートン(株)製「AD-502」)を15質量部、ポリイソシアネート成分(東洋モートン(株)製「CAT-RT85」)1.05質量部含む酢酸エチル溶液(固形分濃度:20質量%)をバーコーターNo.12を使用して塗布し、80℃で10秒乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、三井化学東セロ(株)製「T.U.X MC-S」)をニップロールにより貼り合わせて、図2に示す構成の積層体を得た。
得られた積層体を用いて、前記方法で剥離強度の測定及び剥離界面の観察を行った。結果を表3に示す。
実施例19~21
使用する樹脂組成物を表3に示すとおりに変更したこと以外は、実施例18と同様の方法で積層体を作製し、剥離強度の測定及び剥離界面の観察を行った。結果を表3に示す。
実施例22
基材フィルムとして、PETの片面にアルミニウム酸化物(アルミナ)が蒸着されたアルミナ蒸着PET(東レフィルム加工(株)製「バリアロックス1011HG(コート無し)」、厚み:12μm)を用いたこと以外は、実施例18と同様の方法で積層体を作製し、剥離強度の測定及び剥離界面の観察を行った。結果を表3に示す。
実施例23~25
使用する樹脂組成物を表3に示すとおりに変更したこと以外は、実施例22と同様の方法で積層体を作製し、剥離強度の測定及び剥離界面の観察を行った。結果を表3に示す。
比較例6
バリア性樹脂層を形成しなかったこと以外は、実施例22と同様の方法でアルミナ蒸着PET、接着剤層、及びLLDPEを順に積層して図3に示す構成の積層体200’を作製し、剥離強度の測定及び剥離界面の観察を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007135644000012
表3に示すように、基材フィルムとしてアルミナ蒸着PETを用いた実施例22~25の積層体は、剥離強度の値が大きく、かつ、剥離界面が接着剤層-LLDPE間であったことから、アルミナ蒸着層-バリア性樹脂層間の接着性が高いことがわかる。基材フィルムとしてシリカ蒸着PETを用いた実施例18~21の積層体は、実施例22~25と比較して蒸着層-バリア性樹脂層間の接着性が低かった。
本発明のガスバリア性フィルム及び積層体はガスバリア性が高く光学特性も良好であるので、例えば包装材料用途、画像表示装置用の光学フィルム用途に好適である。
100 ガスバリア性フィルム
1 基材フィルム
11 ベースフィルム
12 無機薄膜層
2 バリア性樹脂層
3 熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂層)
4 接着剤層
200 積層体
200’ 比較例6の積層体

Claims (10)

  1. 無機薄膜層を有する基材フィルムと、バリア性樹脂層とを有するガスバリア性フィルムであって、
    前記ガスバリア性フィルムは、前記基材フィルムの前記無機薄膜層側の面に前記バリア性樹脂層を有し、前記バリア性樹脂層が、カルボキシ基含有ポリマー(A)と、下記一般式(3)で示される化合物及び下記一般式(4)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)(但し、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)を除く)とを含む樹脂組成物から形成された層である、ガスバリア性フィルム。
    Figure 0007135644000013

    Figure 0007135644000014

    及びRはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基であり、pは0~4、qは0~6の数である。 は単結合又は炭素数1~22の2価の基であり、Z は単結合又は炭素数1~22の2価の基である。前記(B)成分中にR又はRが複数存在する場合、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
  2. 前記(A)成分が(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマーである、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記(メタ)アクリル酸構成単位を有するポリマー中の(メタ)アクリル酸構成単位の含有量が、全構成単位中の50質量%以上である、請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記(B)成分が前記一般式(3)で示される化合物であり、Zがフェニレン基である、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記樹脂組成物中の前記(B)成分の含有量が、前記(A)成分1gに対する、前記(B)成分中の前記一般式(1)で示される基及び前記一般式(2)で示される基の合計モル数として0.01~10mmolである、請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記無機薄膜層を構成する無機物がケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記無機薄膜層を構成する無機物がアルミニウム酸化物である、請求項に記載のガスバリア性フィルム。
  8. 前記無機薄膜層と前記バリア性樹脂層とが隣接している、請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  9. 前記基材フィルムが片面のみに前記無機薄膜層を有し、前記バリア性樹脂層を1層のみ有する、請求項1~のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  10. 請求項に記載のガスバリア性フィルムと熱可塑性樹脂層とを有する積層体。
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