JP2006062258A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂の基材フィルム層の少なくとも片面にアンカーコート剤層を介してポリカルボン酸系重合体を主体としてなるガスバリア層(A)が積層されてなる層構成を有する積層フィルムからなり、該ポリプロピレン系樹脂の基材フィルム層と該アンカーコート剤層の間の接着強度が100gf/15mm以上であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂フィルムを含むガスバリア性積層フィルムを用い製袋した包装体で優れた耐圧強度と高度なガスバリア性兼ね備えた積層フィルムの出現は現在に至っても待望されている。
本発明の第2は、ガスバリア層(A)の基材フィルム層とは反対側の面にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層を配した前記発明の積層フィルムを提供する。
本発明の第3は、アンカーコート剤がポリエステル系ポリウレタンである前記第1又は第2の発明の積層フィルムを提供する。
本発明の第4は、ガスバリア層(A)がポリカルボン酸系重合体からなる層(a)と多価金属化合物からなる層(b)とが隣接する層構成を少なくとも1単位有する前記第1〜第3のいずれかの発明の積層フィルムを提供する。
本発明の第5は、ガスバリア層(A)がポリカルボン酸系重合体と多価金属化合物とを含む混合物からなる前記第1〜第3のいずれかの発明の積層フィルムを提供する。
本発明の第6は、最内層同士をヒートシールして袋にしたときの耐圧強度が100kgf/袋以上である前記第2〜第5のいずれかの発明の積層フィルムを提供する。
本発明の第7は、非加熱ガスパック用である前記第1〜第6のいずれかの発明の積層フィルムを提供する。
本発明のフィルムを構成する重合体として、ポリカルボン酸系重合体以外にもフィルムのガスバリア性を損なわない範囲で他の重合体を混合して用いることが可能であるが、ポリカルボン酸系重合体のみを単独で用いることが好ましい。
また、ガスバリア層(A)のガスバリア性を損なわない範囲で、一価の金属からなる金属化合物、例えばポリカルボン酸系重合体の一価金属塩を混合して、又は含まれたまま用いることができる。一価の金属化合物の好ましい添加量は、前記ガスバリア層(A)のガスバリア性、及び高温水蒸気や熱水に対する耐性の観点で、ポリカルボン酸系重合体の、カルボキシ基に対して、0.2化学当量以下である。一価の金属化合物は、部分的にポリカルボン酸系重合体の多価金属塩の分子中に含まれていてもよい。
従って、ガスバリア層(A)中にカルボン酸塩形成に関与しない多価金属化合物が存在する場合、または、フィルムがポリカルボン酸系重合体からなる層(a)と多価金属化合物からなる層(b)が隣接した層構成単位からなる場合には、フィルムの透明性の観点で多価金属化合物は、粒状で、その粒径が小さい方が好ましい。また、後述するガスバリア層(A)を作製するための塗工用混合物を調製する上でも、調製時の効率化、及びより均一なコーティング混合物を得る観点で多価金属化合物は粒状で、その粒径は小さい方が好ましい。多価金属化合物の平均粒径としては、好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.1μm以下である。
即ち、カルボン酸塩(-COO-)に帰属されるC=O伸縮振動は、1600cm-1〜1500cm-1の赤外光波数領域に1560cm-1付近に吸収極大を有する吸収ピークを与える。また、カルボキシ基(-COOH)に帰属されるC=O伸縮振動は、1800cm-1〜1600cm-1の赤外光波数領域に1700cm-1付近に吸収極大を有する吸収ピークを与える。
試料フィルムの赤外線吸収スペクトルを透過法、ATR法(減衰全反射法)、KBrペレット法、拡散反射法、光音響法(PAS法)等で測定できる。測定は、簡便性の観点から透過法、及びATR法が好ましい。
尚、前記のヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層は、実際にヒートシールの機能を奏する層の他に積層フィルムの内側に、接着性、及びコシ(弾力性)を維持するために、他の樹脂からなる層を積層した複層の構成であってもよい。例えば、ガスバリア層(A)に接着剤層を介し、或いは介することなしにLDPE層/VLDPE層をこの順序で積層する。この場合、実際にヒートシールの機能を奏するのはVLDPE層である。
予め基材フィルムに、前記の条件を満たすアンカーコート剤を塗工乾燥しアンカーコート剤層を調製しておく。アンカーコート剤の量は乾燥重量0.01〜5g/m2、更には0.05〜0.2g/m2が好ましい。ポリカルボン酸系重合体、または多価金属化合物と溶媒からなる塗工液を基材フィルムのアンカーコート剤層上に塗工する場合には、ディッピング法やスプレー、及びコーター、印刷機を用いる。コーター、印刷機の種類、塗工方式としては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式などのグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、エアナイフコーター、デイップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いることができる。
機械適性、及び流通時の耐ピンホール性の観点から、フィルムの硬さを評価するループスティフネス値がある。ループスティフネス値は特に限定されるものではないが、好ましくは2gf/20mm以下、更に好ましくは0.1〜1.1gf/20mm、特に好ましくは0.1〜0.8gf/20mmである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、本発明の評価のための測定は以下のように行った。
ヤング率
バリア層のヤング率は、万能材料試験装置(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロンRTM−100型)を用い、23℃、相対湿度(RH)50%の条件下において、クロスヘッドスピードは10mm/分、試料長は100mm、試料巾は20mmとした。JIS K−7127に準拠した。
酸素ガス透過度
フィルムの酸素透過度は、酸素透過度測定装置(Modern Control社製、酸素透過度試験器、OXTRANTM2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度(RH)80%の条件下で測定した。測定方法は、JIS K−7126、B法(等圧法)、及びASTM D3985−81に準拠した。測定値は、単位cm3(STP)/(m2・day・MPa)で表記した。ここで、(STP)は酸素ガスの体積を規定するための標準条件(0℃、1気圧)を意味する。
接着強度(剥離強度)
積層フィルムの剥離強度測定は、万能材料試験装置(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロンRTM−100型)を用い、23℃、50%RHの条件下において行った。測定方法は、JIS Z−0238に準拠した。積層フィルムのポリプロピレン系樹脂基材フィルム層/アンカーコート剤層/ガスバリア層(A)の間のポリプロピレン系樹脂基材フィルム層とガスバリア層(A)の間の剥離強度を測定した。剥離は、総て基材フィルム層とアンカーコート剤層の間で発生するので、実質的には、ポリプロピレン系樹脂基材フィルム層とアンカーコート剤層間の接着強度を測定したことになる。クロスヘッドスピードは200mm/分とし、試験長は50mm、試料巾は15mmとした。単位は、gf/15mmである。
耐圧強度
耐圧強度の測定は、110×250mmのガゼットピロー袋を作製し、これに胴部の厚みが40mmになるように空気を入れシールした後、耐圧試験機(大成ラミック株式会社製、プレスチェッカー)を用いて測定した。耐圧強度は袋が破袋したときの荷重を記録した。
ループスティフネス値
ループスティフネス値は、測定する試料を20×250mmに切り出し、ループスティフネス(東洋精機(株)製)を用い、23℃、50%RHの条件下において測定した。
下記構成の塗液1、2、及び3を調製又は準備した。塗液1は、基材とポリカルボン酸系重合体層との接着性を向上させるためのポリエステル系アンカーコート剤(AC1)塗液である。塗液2は、ポリカルボン酸系重合体(PAA1)層を形成するためのポリアクリル酸塗液、塗液3は、ポリカルボン酸系重合体層上に酸化亜鉛(ZnO)微粒子を配するための酸化亜鉛含有樹脂塗液である。
実施例1で用いたドライラミネート用ポリエステル系接着剤(AD1)層とLLDPE1層フィルムに換えて、酸化亜鉛含有樹脂層(ZnO層)の上に接着剤(AD1層)(大日本インキ(株)製、ディックドライLX−747A)を塗工後、タンデム押出コート機を用いて、厚さ20μmのLDPE1層及び厚さ25μmのVLDPE1(DOWケミカル社製、アフィニティーP1450)層からなるヒートシール層を形成した以外は、実施例1と同様にして、層構成がOPP1層/AC1層/PAA1層/ZnO層/AD1層/LDPE1層/VLDPE1層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
実施例2で用いたVLDPE1の厚さを20μmにした以外は、実施例2と同様にして、層構成がOPP1層/AC1層/PAA1層/ZnO層/AD1層/LDPE1層/VLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
(実施例4)
実施例3の東亜合成製ポリアクリル酸アロンTMA−10Hに換えて、ポリアクリル酸(PAA2)(日本合性(株)製、ポリアクリル酸ジュリマーTM、AC−10SH、数平均分子量1,000,000、10重量%水溶液)を用いた以外は、実施例3と同様にして、層構成がOPP1層/AC1層/PAA2層(0.5g/m2)/ZnO層/AD1層/LDPE1層/VLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
実施例3のポリアクリル酸アロンTMA−10Hに換えてポリマレイン酸(PMA)(POLYMER,INC.製、試薬、平均分子量5,000)を用いた以外は、実施例3と同様に塗工し、層構成がOPP1層/AC1層/PMA層(1.0g/m2)/ZnO層/AD1層/LDPE1層/VLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
実施例3のポリアクリル酸アロンTMA−10Hに換えて、同ポリアクリル酸の水酸化ナトリウムによる部分中和物(中和度10%)(PAA1n)を用いた以外、実施例3と同様に塗工し、層構成が、OPP1層/AC1層/PAA1n層(0.5g/m2)/ZnO層/AD1層/LDPE1層/VLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。ポリアクリル酸の部分中和物は、実施例1で調製したポリアクリル酸10重量%水溶液に対して、水酸化ナトリウムを添加溶解し調製した。水酸化ナトリウムは、ナトリウムイオン換算量がポリアクリル酸水溶液中のカルボキシ基のモル数に対して、10モル%になるように計算して添加した。
(実施例7)
実施例3の酸化亜鉛含有樹脂層に換えて、微粒子酸化マグネシウム(MgO)塗液からなる酸化マグネシウム(MgO)層を用いた以外は、実施例3と同様に塗工し、層構成が、OPP1層/AC1層/PAA1層/MgO層(0.7g/m2)/AD1層/LDPE1層/VLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。した。酸化マグネシウム層は、和光純薬工業(株)製、試薬(平均粒径0.01μm)酸化マグネシウムをエタノール中に超音波ホモジナイザーを用いて分散させ、MgO含量10重量%の分散液を調製し、これを塗工乾燥して得た。
(実施例8)
実施例2で用いたVLDPE1層に換えて、LLDPE2層(厚さ25μm)を使用した以外は、実施例2と同様にして、層構成が、OPP1層/AC1層/PAA1層/ZnO層/AD1層/LDPE1層/LLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
実施例1で用いたポリアクリル酸(東亞合成(株)製、アロンTMA−10H、数平均分子量200,000、25重量%水溶液)水溶液に対して、揮発性塩基としてアンモニア水(和光純薬工業(株)製、試薬アンモニア28重量%水溶液)酸化亜鉛(和光純薬工業(株)製、試薬)、蒸留水を下記組成で順次添加し超音波ホモジナイザーで混合し、塗工液を得た。揮発性塩基(アンモニア)による亜鉛の錯体形成性を利用し、酸化亜鉛は完全に溶解し、均一な透明溶液を得た。
実施例9と同様な方法で得られたラミネートOPP層/AC1層(0.3g/m2)/PAA−亜鉛塩層(厚さ1μm)に実施例2と同様な方法を用いヒートシール層を押出コートし、層構成が、OPP1層/AC1層(0.3g/m2)/PAA−亜鉛塩層(厚さ1μm)/AD1層/LDPE1層/VLDPE1層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
(実施例11)
実施例10で用いたVLDPE1層に換えて、LLDPE2層とした以外は実施例10と同様にして、層構成が、OPP1層/AC1層(0.3g/m2)/PAA−亜鉛塩層(厚さ1μm)/AD1層/LDPE1層/LLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
実施例1の塗液1(AC1剤)に換えて、下記構成の通り調製した塗液4を用いた以外は、実施例1と同様に塗工し、層構成が、OPP1層/AC2層/PAA1層/ZnO層/AD1層/LLDPE1のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、評価を行った。
実施例8の塗液1(AC1)を塗液4(AC2)に換えた以外は、実施例8と同様にして、層構成が、OPP1層/AC2層/PAA1層/ZnO層/AD1層/LDPE1層/LLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
OPP1を基材フィルムとし、この上に順に塗液4(AC2)、及び下記塗液5をグラビアコーター機を用いて、塗工し、乾燥することによりOPP1層/AC2層(0.3g/m2)/PVA層(1.8g/m2)からなる積層体を得た。括弧内に乾燥塗布量を示した。得られた積層体にヒートシール性を付与する目的で、PVA塗工面に対して、ドライラミネート用ポリエステル系接着剤(AD1)(大日本インキ(株)製、ディックドライTMLX−747A)を介して、LLDPE1(東セロ(株)製、TUX−TCS、厚さ60μm)をドライラミネートし、層構成がOPP1層/AC2層/PVA層/AD1層/LDPE1層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
塗液5は、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液であり、以下のように調製した。ポリビニルアルコール樹脂(クラレ(株)製、ポバール205)を80℃の温水に溶解させ、樹脂濃度15重量%の水溶液とした。
比較例3で用いたLDPE1に換えて、AD1層の上にLDPE1層/LLDPE2層を使用した以外、比較例3と同様に塗工し、層構成がOPP1層/AC2層/PVA層/AD1層/LDPE1層/LLDPE2層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
(比較例5)
OPP1のフィルムに接着剤AD1を介して、LLDPE1をドライラミネートして、層構成が、OPP1層/AD1層/LLDPE1層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
(比較例6)
塩化ビニリデンコートポリプロピレンフィルム(K−OP)(東洋紡(株)製、PVDCコート「ハーデン」N8100、厚さ25μm)基材に、ヒートシール性を付与する目的で、ドライラミネート用接着剤AD1を介してLLDPE1をドライラミネートして、層構成が、K−OP層/AD1層/LLDPE1層のラミネートフィルムを作製し、水充填処理、及び評価を行った。
Claims (7)
- ポリプロピレン系樹脂の基材フィルム層の少なくとも片面にアンカーコート剤層を介してポリカルボン酸系重合体を主体としてなるガスバリア層(A)が積層されてなる層構成を有する積層フィルムからなり、該ポリプロピレン系樹脂の基材フィルム層と該アンカーコート剤層の間の接着強度が100gf/15mm以上であることを特徴とする積層フィルム。
- ガスバリア層(A)の基材フィルム層とは反対側の面にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層を配したこと特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
- アンカーコート剤がポリエステル系ポリウレタンである請求項1又は2記載の積層フィルム。
- ガスバリア層(A)がポリカルボン酸系重合体からなる層(a)と多価金属化合物からなる層(b)とが隣接する層構成を少なくとも1単位有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- ガスバリア層(A)がポリカルボン酸系重合体と多価金属化合物とを含む混合物からなる請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 最内層同士をヒートシールして袋にしたときの耐圧強度が100kgf/袋以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 非加熱ガスパック用である請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
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