JP2526131B2 - チップ抵抗器及びその製造方法 - Google Patents

チップ抵抗器及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、プリント基板にチップ状電子部品として装
着するのに適したリードの無いチップ抵抗器及びその製
造方法に関する。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 従来、チップ抵抗器としては、チップ状絶縁板上にス
クリーン印刷法で抵抗膜を設け、さらに端部電極をAg−
Pdペーストの塗布、焼き付け、その後のNi、Pb−Sn(又
はSn)めっき等で形成する厚膜・湿式(端部電極に関し
てはめっき)法によるものが一般的である。
この場合、端部電極形成時のAg−Pdペーストの塗布精
度が問題となり、製品形状の寸法精度が悪化する。
一方、チップ抵抗器の端部電極を薄膜技術で形成する
ことが特開昭63−172401号に提案されている。
この場合には、チップ状絶縁板に対する薄膜の付着強
度の問題やプリント基板にはんだ付けする際のはんだ耐
熱性等が問題となり、これらについての対策を講じる必
要がある。
また、製造工程においても、絶縁基板をチップ状絶縁
板に分割する作業を円滑に実施可能とすることが要望さ
れている。
本発明の第1の目的は、上記の点に鑑み、端部電極の
寸法精度の向上や信頼性の向上を図り得るチップ抵抗器
を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、製造工程が簡単で、抵
抗値シフトが発生せず、絶縁基板を容易かつ確実に所要
の大きさのチップ状絶縁板に分割可能として、歩留り及
び信頼性の向上を図ったチップ抵抗器の製造方法を提供
するにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明のチップ抵抗器
は、チップ状絶縁板と、該チップ状絶縁板の一主面に形
成された抵抗膜と、前記チップ状絶縁板の両方の端部を
それぞれ略コ字状に囲んで前記抵抗膜に接続する一対の
端部電極とを有するチップ抵抗器において、 前記一主面上に一対の一次電極膜を形成し、かつ該一
対の一次電極膜間に前記抵抗膜を形成し、 前記チップ状絶縁板への付着性の低いNiCr薄膜、Ti薄
膜又はCr薄膜であって前記一次電極膜に接続する最下層
の第1の金属薄膜と、該第1の金属薄膜上に形成された
低抵抗のCu薄膜である第2の金属薄膜と、該第2の金属
薄膜上に形成された耐はんだ性のNiめっき膜である第1
の金属めっき膜と、該第1の金属めっき膜上に形成され
たはんだ付着性の良いPb−Snめっき膜又はSnめっき膜で
ある第2の金属めっき膜との積層構造で前記一対の端部
電極をそれぞれ構成している。
また、本発明のチップ抵抗器の製造方法は、複数の棒
状部が一体に形成される如くスリット状穴を設けるとと
もに各棒状部の両主面にチップ状絶縁板に分割するため
の分割溝を形成してなる穴あき絶縁基板の各棒状部の一
主面に、前記分割溝で区分された各区画毎に一対の一次
電極膜を形成し、該一対の一次電極膜間に厚膜技術によ
り抵抗厚膜を形成した後、前記一対の一次電極膜間の抵
抗値を測定しながら前記抵抗厚膜のトリミングを行い、
該トリミング処理後に薄膜技術により前記絶縁基板への
付着性の良いNiCr薄膜、Ti薄膜又はCr薄膜である最下層
の第1の金属薄膜及び該第1の金属薄膜上に低抵抗のCu
薄膜である第2の金属膜を形成し、さらに電気めっきに
より前記第2の金属薄膜上に耐はんだ性のNiめっき膜で
ある第1の金属めっき膜及び該第1の金属めっき膜上に
はんだ付着性の良いPb−Snめっき膜又はSnめっき膜であ
る第2の金属めっき膜を形成して前記棒状部の両方の端
部をそれぞれ略コ字状に囲みかつ前記一対の一次電極膜
にそれぞれ接続するように前記第1及び第2の金属薄膜
と前記第1及び第2の金属めっき膜とからなる積層構造
の一対の端部電極を形成した後、前記棒状部を前記分割
溝に沿って複数個に切断分離することを特徴としてい
る。
(作用) 本発明においては、チップ状絶縁板の端部に形成され
るべき端部電極をAg−Pdペーストの塗布、焼き付けで構
成する必要がなく、厚みの管理が容易な金属薄膜と金属
めっき膜の積層増高で端部電極を構成でき、製品寸法精
度の向上が可能である。また、高価なAg−Pdペーストを
端部電極に使用しないため、原価低減を図る上でも有利
である。
また、端部電極は抵抗膜の抵抗値シフトを防止可能な
低温プロセスで形成でき、端部電極を構成する金属薄膜
と金属めっき膜の積層構造の各材質を工夫することによ
り、チップ状絶縁板への付着強度やはんだ耐熱性に優れ
た構成とすることができる。
さらに、複数の棒状部が一体に形成される如くスリッ
ト状穴を設けるとともに各棒状部の両主面にチップ状絶
縁板に分割するための分割溝を形成してなる穴あき絶縁
基板を採用することにより、各チップ状絶縁板に切断、
分割する際のばりの発生を極力防止することができる。
(実施例) 以下、本発明に係るチップ抵抗器及びその製造方法の
実施例を図面に従って説明する。
まず、完成状態のチップ抵抗器の第1実施例を第1図
で説明する。アルミナ等のチップ状絶縁板1の一主面
(上面)にはAg−Pdペーストのスクリーン印刷による塗
布焼き付け等の厚膜技術によって一対の一次電極厚膜2
が形成される。チップ状絶縁板1上の一次電極厚膜2間
には例えばRuO2系抵抗ペーストスクリーン印刷による塗
布焼き付け等の厚膜技術によりRuO2系の抵抗厚膜3が形
成される。該抵抗厚膜3の両端部は前記一次電極厚膜2
に重なって電気的に接続されている。
前記抵抗厚膜3の上には低融点鉛ガラス等の保護コー
ト4が被着形成され、抵抗厚膜3を全面的に覆ってい
る。但し、一次電極厚膜2の大半は外部に露出してい
る。
前記抵抗厚膜3に一次電極厚膜2を介して接続する端
部電極7は、チップ状絶縁板1の両方の端部を略コ字状
に囲むようにスパッタ、イオンプレーティング、P−CV
D等の薄膜技術により形成される第1及び第2の金属薄
膜5A,5Bと、電気めっきにより形成される第1及び第2
の金属めっき膜6A,6Bとの4層構造である。
ここで、最下層の金属薄膜5Aはチップ状絶縁板1への
付着性の良いNiCrスパッタ膜、Tiスパッタ膜又はCrスパ
ッタ膜であり、この金属薄膜5A上に被着される金属薄膜
5Bは低抵抗のCuスパッタ膜である。
また、金属薄膜5B上に被着される金属めっき膜6Aは耐
はんだ性(はんだの拡散防止及びはんだ耐熱性)のNiめ
っき膜であり、この金属めっき膜6A上に被着される金属
めっき膜6BはPb−Snめっき膜又はめっき膜である。
上記第1図に示したチップ抵抗器の製造は、次の順序
で行う。まず、第2図のようにスリット状穴11によって
区画された複数の棒状部12を一体に有するアルミナ等の
穴あき絶縁基板10を受け入れ、表面の洗浄しておく。こ
こで、第3図の如く各棒状部12の上下主面にはチップ状
絶縁板に分割するための分割溝13が形成されている。
次に第4図のように、Ag−Pdペーストをスクリーン印
刷し、乾燥、焼成(焼成温度850℃)する等の厚膜技術
で一対の一次電極厚膜2を分割溝13で区分されたチップ
状絶縁板となるべき棒状部2の各区画14上に独立的にそ
れぞれ形成する。
それから第5図のように、例えばRuO2系の抵抗ペース
トをスクリーン印刷し、乾燥、焼成(焼成温度850℃)
する等の厚膜技術でRuO2系抵抗厚膜3を棒状部12の各区
画14上に独立的に設ける。このとき抵抗厚膜3の端部は
一次電極厚膜2に重なっている。
前記一対の一次電極厚膜2間にプローブを立てて抵抗
値を測定しながら抵抗厚膜3のトリミング(抵抗値調
整)を行う。このトリミングは例えばトーザートリマー
により第6図のように抵抗厚膜3に切り込み溝15を形成
することにより実行できる。
それから、第7図の如く、低融点鉛ガラス等の保護コ
ート4をガラスペーストのスクリーン印刷、乾燥、焼成
等による厚膜技術でトリミング後の抵抗厚膜3上に全面
的に設け、抵抗厚膜3の表面を包み込んで保護する。
穴あき絶縁基板の状態のままでスパッタ、イオンプレ
ーティング、P−CVD等の薄膜技術による金属薄膜を5A,
5Bの順に設け、さらに電気めっき法により金属めっき膜
を6A,6Bの順で設けて、4層構造の端部電極7を第8図
の如く前記一次電極厚膜2上の一部を含む棒状部12の両
端部を略コ字状に囲むように当該棒状部裏面の一部にま
で延長して形成する。
抵抗厚膜3及び端部電極7を形成した穴あき絶縁基板
10を各棒状部12の分割溝12を利用して複数個のチップ状
絶縁板1に切断分離する。切断分離作業は、棒状部12の
両主面に分割溝13が形成されていることから、手作業で
実施でき、必要に応じてダイシングソー等で第8図1点
鎖線Xに沿って(分割溝13に沿って)切断することもで
きる。いずれにしても、分割溝13があるため、切断時に
ばりの発生が少なく、チップ状絶縁板1の後加工を不要
にできる。
このような穴あき絶縁基板10の分離によりチップ状絶
縁板1上に抵抗厚膜と端部電極とが形成された第1図に
示した如き個々のチップ抵抗器が得られる。
上記第1実施例の場合、端部電極7をチップ状絶縁板
1への付着性の良い第1の金属薄膜5Aと、低抵抗の第2
の金属薄膜5Bと、耐はんだ性の第1の金属めっき膜6A
と、はんだ付着性の良い第2の金属めっき膜6Bとの4層
構造としたので、端部電極をAg−Pdペーストの塗布、焼
き付けで構成したものよりも、寸法精度を向上させるこ
とができ、しかも材料費を低減することができる。ま
た、抵抗厚膜3の形成後は、焼成(焼き付け)を必要と
しない低温プロセスであり、抵抗値のシフトを防止でき
る。また、端部電極7ははんだ付着性が良好で、しかも
はんだ耐熱性も良好であり、はんだ付け時に端部電極7
が劣化しないので信頼性が高い。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、製品の寸法精
度の向上や端部電極の信頼性の向上(絶縁板への付着強
度や耐はんだ性の向上)を図ることができ、さらに、製
法上においても穴あき絶縁基板の各棒状部の両主面に分
割溝を形成しておくことにより、チップ状絶縁板に分割
する作業を容易かつ確実とし、ばり等の発生を未然に防
止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例を示す正断面図、第2図は
第1実施例における製造工程で使用する穴あき絶縁基板
の平面図、第3図は穴あき絶縁基板の要部側面図、第4
図乃至第8図は第1実施例のおける製造工程を説明する
斜視図である。 1……チップ状絶縁板、2……一次電極厚膜、3……抵
抗厚膜、4……保護コート、5A,5B……金属薄膜、6A,6B
……金属めっき膜、7……端部電極、10……穴あき絶縁
基板、11……スリット状穴、12……棒状部、13……分割
溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 昭夫 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 宮内 栄作 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チップ状絶縁板と、該チップ状絶縁板の一
    主面に形成された抵抗膜と、前記チップ状絶縁板の両方
    の端部をそれぞれ略コ字状に囲んで前記抵抗膜に接続す
    る一対の端部電極とを有するチップ抵抗器において、 前記一主面上に一対の一次電極膜を形成し、かつ該一対
    の一次電極膜間に前記抵抗膜を形成し、 前記チップ状絶縁板への付着性の良いNiCr薄膜、Ti薄膜
    又はCr薄膜であって前記一次電極膜に接続する最下層の
    第1の金属薄膜と、該第1の金属薄膜上に形成された低
    抵抗のCu薄膜である第2の金属薄膜と、該第2の金属薄
    膜上に形成された耐はんだ性のNiめっき膜である第1の
    金属めっき膜と、該第1の金属めっき膜上に形成された
    はんだ付着性の良いPb−Snめっき膜又はSnめっき膜であ
    る第2の金属めっき膜との積層構造で前記一対の端部電
    極をそれぞれ構成したことを特徴とするチップ抵抗器。
  2. 【請求項2】複数の棒状部が一体に形成される如くスリ
    ット状穴を設けるとともに各棒状部の両主面にチップ状
    絶縁板に分割するための分割溝を形成してなる穴あき絶
    縁基板の各棒状部の一主面に、前記分割溝で区分された
    各区画毎に一対の一次電極膜を形成し、該一対の一次電
    極膜間に厚膜技術により抵抗厚膜を形成した後、前記一
    対の一次電極膜間の抵抗値を測定しながら前記抵抗厚膜
    のトリミングを行い、該トリミング処理後に薄膜技術に
    より前記絶縁基板への付着性の良いNiCr薄膜、Ti薄膜又
    はCr薄膜である最下層の第1の金属薄膜及び該第1の金
    属薄膜上に低抵抗のCu薄膜である第2の金属膜を形成
    し、さらに電気めっきにより前記第2の金属薄膜上に耐
    はんだ性のNiめっき膜である第1の金属めっき膜及び該
    第1の金属めっき膜上にはんだ付着性の良いPb−Snめっ
    き膜又はSnめっき膜である第2の金属めっき膜を形成し
    て前記棒状部の両方の端部をそれぞれ略コ字状に囲みか
    つ前記一対の一次電極膜にそれぞれ接続するように前記
    第1及び第2の金属薄膜と前記第1及び第2の金属めっ
    き膜とからなる積層構造の一対の端部電極を形成した
    後、前記棒状部を前記分割溝に沿って複数個に切断分離
    することを特徴とするチップ抵抗器の製造方法。
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