JP2521645Y2 - ロール成形機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、連続する金属薄板を連
続的に曲げ加工するロール成形機において、成形材の厚
さ及び幅径の設定変更に応じて行う成形ロールの設定位
置の変更を迅速且つ容易に行うことのできるロール成形
機に関する。

【０００２】

【従来の技術】ロール成形機は、金属コイルを複数の回
転する上下１対の成形ロール間に通しながら連続的に曲
げ加工を施して、各種の形状を有する連続した長尺な成
形材を成形する。そして例えばその高さ、幅径、厚さが
それぞれ変化する複数種の断面コ字形状の溝形鋼を順次
成形する場合には、各品種を成形する際の段取りにおい
てその都度成形ロール（実際には成形ロールと支持スタ
ンドを含むロール成形ユニット）を交換するという多大
な労苦と時間を必要としないように、予め上下の成形ロ
ールをそれぞれ左右に移動自在に２分割しておき、そし
て非駆動側の支持スタンドを溝形鋼の外幅径に対応して
ロール軸の軸方向に移動させ、その移動分の幅径を有す
るスペーサをロール軸に配設していた。更に、１対の成
形ロールの内の成形体の内径を設定する側（通常は上
側）の成形ロールは、成形体の外幅径を設定する側（通
常は下側）の成形ロールとの間を成形体の厚さに設定す
る必要があることから、前記上側の成形ロールを微動さ
せるべくそのロール軸に薄いスペーサであるシムを介在
させていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のスペーサとシムを用いた段取り設定作業にあっ
ては、多種のスペーサとシムを製造・保管する手間や、
ロール軸を支持スタンドに固定するナットを脱着し、重
いスペーサを運搬・固定する多大な労苦による長時間に
亘る段取り作業を余儀なくされていた。更に、この段取
り作業は、１つのロール成形ユニットだけでなく板厚の
設定を要する数個の成形ロールユニットにて行う必要が
あることから、現代のニーズである多品種少量生産に対
応すべくこの段取り作業の簡素化が待たれていた。

【０００４】そこで、本考案にあっては、成形材の厚さ
及び幅径の設定変更に応じて行う成形ロールの設定位置
の変更を迅速且つ容易に行うことのできるロール成形機
を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成すべ
く、本考案のロール成形機は、基台上に設置された１対
の支持スタンドを貫通して回転自在に軸支された上下１
対のロール軸にそれぞれ２分割された成形ロールを装着
し、この上下の２分割成形ロール間に連続する金属板体
を圧接しつつ通過させることで連続的に曲げ加工された
成形体を成形するロール成形機において、ロール軸駆動
側の支持スタンドは軸支するロール軸を保持しつつ基台
上に固定され、また前記ロール軸の非駆動側の支持スタ
ンドは各２分割成形ロールにおける非駆動側の一方成形
ロールを保持しつつ基台上をロール軸の軸方向に移動自
在とするとともに、前記１対の非駆動側の成形ロールの
うち成形体の内径を設定する２分割成形ロールの左方成
形ロール及び右方成形ロールをロール軸の軸方向に左右
対称に移動させる移動手段を前記ロール軸と成形ロール
間に設けたことを特徴とするものである。

【０００６】また、成形体の内径を設定する２分割成形
ロールの左方成形ロール及び右方成形ロールをロール軸
の軸方向に左右対称に移動させる移動手段は、前記成形
ロールを固定し前記ロール軸に対して回転方向には固定
されるとともにロール軸外周を軸方向に移動自在とする
スリーブと前記ロール軸を軸支する支持スタンドとの間
に配設され、前記スリーブ外周を枢支しつつ前記支持ス
タンドに対して前記スリーブをロール軸の軸方向に移動
させるものとしてもよい。

【０００７】

【作用】基台上に設置された１対の支持スタンドを貫通
して回転自在に軸支された上下１対のロール軸にそれぞ
れ２分割された成形ロールを装着し、この上下の２分割
成形ロール間に連続する金属板体を圧接しつつ通過させ
ることで連続的に曲げ加工された成形体を成形するロー
ル成形機において、ロール軸駆動側の支持スタンドは軸
支するロール軸を保持しつつ基台上に固定され、また前
記ロール軸の非駆動側の支持スタンドは各２分割成形ロ
ールにおける非駆動側の一方成形ロールを保持しつつ基
台上をロール軸の軸方向に移動自在とするとともに、前
記１対の非駆動側の成形ロールのうち成形体の内径を設
定する２分割成形ロールの左方成形ロール及び右方成形
ロールをロール軸の軸方向に左右対称に移動させる移動
手段を前記ロール軸と成形ロール間に設けたことで、非
駆動側の支持スタンドをロール軸の軸方向に移動させる
ことにより、成形体の外幅径を設定する成形ロールにお
ける左方成形ロールと右方成形ロールとの間を成形体の
外幅径とすることができ、また成形体の内径を設定する
成形ロールの左方成形ロールと右方成形ロールをロール
軸の軸方向に左右対称に移動させることにより、前記成
形体の外幅径を設定する成形ロールとの隙間を成形体の
厚さに設定することができる。

【０００８】

【実施例】図１は、本考案のロール成形機の部分断面図
であり、図２は本考案のロール成形機の要部部分断面図
である。

【０００９】図中１は本考案のロール成形機であり、上
下２本のロール軸２，３を貫通して軸支する左右２つの
支持スタンド４，５を基台６上に載置するロール成形ユ
ニット７と、ロール軸２，３を回転させる回転駆動装置
（図示せず）の反対側の非駆動側の左支持スタンド４を
ロール軸２，３の軸方向に移動させる幅調整用移動装置
８と、成形体９の内径を設定する側となる上成形ロール
１０を上ロール軸２に対して軸方向に移動させる板厚調
整用移動装置１１とからなる。

【００１０】図示しない回転駆動装置から爪クラッチ１
２を介して下ロール軸３に回転が伝えられる駆動側の右
支持スタンド５はユニットベース１３に固定されるとと
もに、このユニットベース１３は、基台６の突当て６ａ
に当接した状態で位置決めされ固定されている。非駆動
側である左支持スタンド４は、ユニットベース１３に固
定されたレール１４上をロール軸の軸方向に摺動・移動
自在に配設されている。幅調整用移動装置８は、モータ
１５が回転駆動するボールネジ１６がレール１４上に配
設された左支持スタンド４と螺合することで、左支持ス
タンド４を左右の軸方向に移動自在としている。そし
て、特に図示しないが、操作パネル等のキーボードに所
望する成形体９の左右幅径値を入力することで、幅調整
用移動装置８内に配設された位置制御用エンコーダを用
いて、モータ１５とボールネジ１６等により自動的に所
定の位置に左支持スタンド４を移動設定するものであ
る。

【００１１】ロール軸２，３は、支持スタンド４，５を
貫通し軸受部材により軸支され、下ロール軸３の回転は
歯車を介して上ロール軸２に伝達される。上ロール軸２
には、上成形ロール１０を構成する２分割状の上左方成
形ロール１０ａと上右方成形ロール１０ｂを固定したス
リーブ１７，１７が、それぞれキー（図示せず）とキー
溝２ａにより回転方向は固定されつつ軸方向には移動自
在に係合している。また、下ロール軸３には、下右方成
形ロール１８ｂとともに下成形ロール１８を２分割状に
構成する下左方成形ロール１８ａを固定したスリーブ１
９が、キー（図示せず）とキー溝３ａにより回転方向は
固定されつつ軸方向には移動自在に係合している。そし
て、この上成形ロール１０と下成形ロール１８とのコ字
形状の隙間に、成形体９を通過させて所望の形状に成形
するものであり、断面コ字形状の溝形鋼を成形する際に
重要なのは角部であって、成形体９の中央部分には力を
作用させないことから、成形ロールを左右に２分割しそ
の間に隙間を設けてあっても何等問題はない。

【００１２】下ロール軸３のスリーブ１９は、左支持ス
タンド４の軸受部２０にナットにより固定されている。
上ロール軸２のスリーブ１７，１７は、軸方向には固定
されるとともに回転方向には軸受２１を用いて回転自在
に係合し、更に支持スタンドの軸受部２２に対して螺進
退自在に螺合する螺進部材２３により、ロール軸２に対
して軸方向に移動自在に係合している。この左支持スタ
ンド４側の螺進部材２３は、ハンドル２４ａを備えた回
転板２４と歯車（図示せず）を介して連結している。

【００１３】右支持スタンド５側の螺進部材２３は、前
記回転板２４から延出する連結杆（図２における上ロー
ル軸２の裏面に位置するため図示せず）により連結され
ている。そして、左支持スタンド４側と右支持スタンド
５における軸受部２２及び螺進部材２３の螺子構造は、
ハンドル２４ａにより回転板２４を回転させると、スリ
ーブ１７，１７がそれぞれ左右反対方向に移動するよう
な左右対称な構造となっている。

【００１４】図１における支持スタンド４，５の上方に
は、下成形ロール１８に対して上成形ロール１０の上下
方向の位置を移動させることで、成形体９の上下方向の
厚さ調整を行うための上下板厚調整用移動装置２５であ
り、ハンドル２６ａを備えた回転板２６を回転させる
と、ギヤボックス２７内の歯車により支持スタンド４，
５の軸受部２２，２２ごとロール軸２，３を上下方向に
移動させるものである。右支持スタンド４が左右方向に
移動することから、左右のギヤボックス２７，２７を接
続する連結杆２８は、前述した回転板２４から延出する
図示しない連結杆も同様であるが、キーとキー溝の如く
回転方向には固定されつつも左右方向には移動自在に係
合している。

【００１５】このような構成からなる本考案のロール成
形機１の動作を以下に説明する。まず、設定すべき溝形
鋼の外幅径に合わせて幅調整用移動装置８により左支持
スタンド４を左右方向に移動し、上左方成形ロール１０
ａと上右方成形ロール１０ｂの間隔、及び下左方成形ロ
ール１８ａと下右方成形ロール１８ｂの間隔を可変す
る。次に、上成形ロール１０と下成形ロール１８の左右
方向の間隔が溝形鋼の板厚となるように、ハンドル２４
ａを回して上左方成形ロール１０ａと上右方成形ロール
１０ｂの間隔を微動させる。そして、上成形ロール１０
と下成形ロール１８の上下方向の間隔が溝形鋼の板厚と
なるように、ハンドル２６ａを回して上ロール軸２を上
下方向に移動させる。

【００１６】尚、本考案のロール成形機１は、特に図示
しないものの、前述した幅調整用移動装置８のみなら
ず、板厚調整用移動装置１１と上下板厚調整用移動装置
２５も数値制御コンピュータを利用して、所望する数値
を入力するだけで自動的に位置設定する構成としてもよ
いものである。

【００１７】

【考案の効果】以上詳述した如く、本考案のロール成形
機によれば、ロール軸駆動側の支持スタンドは軸支する
ロール軸を保持しつつ基台上に固定され、また前記ロー
ル軸の非駆動側の支持スタンドは各２分割成形ロールに
おける非駆動側の一方成形ロールを保持しつつ基台上を
ロール軸の軸方向に移動自在とするとともに、前記１対
の非駆動側の成形ロールのうち成形体の内径を設定する
２分割成形ロールの左方成形ロール及び右方成形ロール
をロール軸の軸方向に左右対称に移動させる移動手段を
前記ロール軸と成形ロール間に設けたことで、非駆動側
の支持スタンドをロール軸の軸方向に移動させることに
より、成形体の外幅径を設定する成形ロールにおける左
方成形ロールと右方成形ロールとの間を成形体の外幅径
とすることができ、また成形体の内径を設定する成形ロ
ールの左方成形ロールと右方成形ロールをロール軸の軸
方向に左右対称に移動させることにより、前記成形体の
外幅径を設定する成形ロールとの隙間を成形体の厚さに
設定することができることから、成形ロールの設定位置
の変更を迅速且つ容易に行うことができる。

【００１８】これにより本考案によれば、従来のロール
成形機の如く、重いスペーサやシムを用いての多大な労
苦と時間を要していた段取り作業が極めて簡素化される
こととなり、段取り作業時間の占める比率が高くなる多
品種少量生産にあっても極めて優れた生産性を実現でき
るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のロール成形機の部分断面図である。

【図２】本考案のロール成形機の要部部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ロール成形ユニット ２ 上ロール軸 ３ 下ロール軸 ４ 左支持スタンド ５ 右支持スタンド ６ 基台 ７ ロール成形ユニット ８ 幅調整用移動装置 ９ 成形体 １０ 上成形ロール １０ａ 上左方成形ロール １０ｂ 上右方成形ロール １１ 板厚調整用移動装置 １７ スリーブ １８ 下成形ロール １８ａ 下左方成形ロール １８ｂ 下右方成形ロール １９ スリーブ ２１ 軸受 ２２ 軸受部 ２３ 螺進部材 ２４ 回転板 ２４ａ ハンドル ２５ 上下板厚調整用移動装置

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台上に設置された１対の支持スタンド
   を貫通して回転自在に軸支された上下１対のロール軸に
   それぞれ２分割された成形ロールを装着し、この上下の
   ２分割成形ロール間に連続する金属板体を圧接しつつ通
   過させることで連続的に曲げ加工された成形体を成形す
   るロール成形機において、ロール軸駆動側の支持スタン
   ドは軸支するロール軸を保持しつつ基台上に固定され、
   また前記ロール軸の非駆動側の支持スタンドは各２分割
   成形ロールにおける非駆動側の一方成形ロールを保持し
   つつ基台上をロール軸の軸方向に移動自在とするととも
   に、前記１対の非駆動側の成形ロールのうち成形体の内
   径を設定する２分割成形ロールの左方成形ロール及び右
   方成形ロールをロール軸の軸方向に左右対称に移動させ
   る移動手段を前記ロール軸と成形ロール間に設けたこと
   を特徴とするロール成形機。
2. 【請求項２】 成形体の内径を設定する２分割成形ロー
   ルの左方成形ロール及び右方成形ロールをロール軸の軸
   方向に左右対称に移動させる移動手段は、前記成形ロー
   ルを固定し前記ロール軸に対して回転方向には固定され
   るとともにロール軸外周を軸方向に移動自在とするスリ
   ーブと前記ロール軸を軸支する支持スタンドとの間に配
   設され、前記スリーブ外周を枢支しつつ前記支持スタン
   ドに対して前記スリーブをロール軸の軸方向に移動させ
   ることを特徴とする請求項１記載のロール成形機。