JP2506498Y2 - 電気音響変換器用振動板 - Google Patents

電気音響変換器用振動板

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JP2506498Y2
JP2506498Y2 JP13877589U JP13877589U JP2506498Y2 JP 2506498 Y2 JP2506498 Y2 JP 2506498Y2 JP 13877589 U JP13877589 U JP 13877589U JP 13877589 U JP13877589 U JP 13877589U JP 2506498 Y2 JP2506498 Y2 JP 2506498Y2
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resin
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睦雄 武者
清司 森田
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案はスピーカやマイクロホンの如き電気音響変換
器用振動板に関する。
(従来の技術) 従来、スピーカのような電気音響変換器の振動板はプ
ラスチックフィルム、金属板、織布等を成形加工して作
るか、あるいは天然繊維、合成繊維を抄造成形処理して
作られるものが多く用いられている。しかし、これらは
弾性率が低いため、良好な音圧周波数特性を得ることが
できなかった。
これらを改良するため、アルミナ、炭素、炭化ケイ
素、などの高弾性無機繊維、またはアラミドポリエチレ
ンなどの高弾性有機高分子繊維を用い、さらにこれらを
結合樹脂により固定し、所定の形状に成形して振動板の
弾性を向上させることが試みられている。
(考案が解決しようとする課題) しかし、これら繊維は高弾性である反面、内部損失が
小さいため、良好な音圧周波数特性を得ることが困難で
あった。そこで、これをさらに改良するため、結合樹脂
を軟質化させた上、樹脂量を多くしたり、制動材を付帯
させて高弾性を保持させながら、内部損失を大きくする
ことが試みられている。
しかしながら、これらの方法は、結局、振動板自体の
重量を著しく増加させることになり、能率面で不利とな
り、過渡特性をも悪くするなどの課題があった。
本考案は上記のことに鑑み提案されたもので、その目
的とするところは、耐湿、耐水性に優れ、高能率で、か
つ高弾性率、高損失を有し、それぞれのバランスのとれ
た電気音響変換器用振動板を安価に提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明は上記目的を達成するために、低弾性、高損失
のフェノール繊維と、アルミナ、炭素、炭化ケイ素など
の高弾性無機繊維、もしくはアラミド、ポリエチレンな
どの高弾性有機高分子繊維の単体またはこれらの複合体
の高弾性繊維との複合体からなる織布または不織布を振
動板の強化基材とし、不飽和ポリエステル、エポキシ、
フェノール、もしくは発泡可能なフェノール樹脂などの
熱硬化性樹脂、あるいはポリプロピレン、アクリル、ポ
リビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂を結合材として
所定の振動板形状にしたことに特徴を有している。
(作用) 本考案では、上記のように構成し、強化基材として低
弾性,高損失のフェノール繊維をベースにし、高弾性繊
維を振動板として比弾性率と内部損失のバランスがはか
れるよう適当量を組み合わせているため、比弾性率と内
部損失の向上と軽量化とを同時に可能ならしめ、かつ高
耐湿熱性,耐水性をも有するものとなっている。
また、結合材に、発泡フェノール樹脂を用いることに
より上記作用に加えさらに軽量化がはかれるものとなっ
ている。
さらに、上記フェノール繊維に対し高弾性繊維の配合
比を自由に変えることができ、これにより、振動板とし
ての物性が種々コントロールすることができる。
以下、本考案の実施例を説明するが、実施例説明にの
みに限定されるものではなく、本考案の精神を逸脱しな
い範囲で、種々の変更あるいは改良を行うことは言うま
でもない。
(実施例1) フェノールレジンを溶融紡糸し、3次元構造をなした
フェノール繊維〔商品名:カイノール群栄化学工業
(株)製〕を70重量部、芳香族ポリアミド繊維〔商品
名:ケブラー49〕の3mm短繊維を30重量部の配合にて乾
式法により200g/m2となる不織布(A)を作成し、ノボ
ラック型フェノール樹脂に硬化剤としてヘキサメチレン
テトラミンを用い、さらにジニトロペンタンメチレンテ
トラミンを用いて発泡倍率24倍程度に調合した発泡フェ
ノール樹脂〔商品名:PGA-4404群栄化学工業(株)製〕
を結合樹脂(B)とし、この結合樹脂(B)を上記不織
布(A)の片面に200g/m2を予めコーティングし所定の
形状の金型を用いて150℃3分、型圧力600kgの条件にて
加熱成形する。
本実施例により作成した振動板径160mmのコーン型ス
ピーカの音圧周波数特性は第1図に示す曲線1であり、
同一形状でカーボン繊維クロスを基材とし、結合樹脂に
エポキシ樹脂を用いた従来の振動板の音圧周波数特性は
曲線2であり、本考案によるものが周波数特性にデイッ
プがなく、かつ高域特性が向上していることがわかる。
しかして、この実施例では、強化基材となる不織布
は、フェノール繊維と高弾性有機高分子繊維からなるた
め、高耐湿熱性や耐水性に優れたものになっている。
また、結合樹脂として発泡状態が独立気泡となり、か
つ発泡倍率が24倍程度に調合され、高耐湿熱性の発泡フ
ェノール樹脂を包有してなるものを用い、発泡作用によ
り軽量化を計るとともに基材そのものの性質を活かすよ
うにしたため、比弾性率、内部損失などを向上させ、周
波数特性を改善させている。
なお、上記実施例ではフェノール繊維と高弾性有機高
分子繊維の組み合わせからなる不織布を強化基材とした
場合を例示したが、その他、フェノール繊維とアルミ
ナ、炭素、炭化ケイ素などの、高弾性無機繊維などを組
み合わせた不織布や織布を強化基材とした振動板であっ
ても実質的に同様の周波数特性を得ることができる。
(実施例2) 実施例1と同様のフェノール繊維を60重量部、炭素繊
維の3mm短繊維を40重量部の配合にて乾式法により70g/m
2となる不織布(C)を作成し、結合材としてエポキシ
樹脂を35g/m2前記不織布(C)にコーティングさせ所定
の形状の金型を用いて、180℃5分、型圧力1,500kgの条
件にて加熱成形して振動板を製造した。結合材としては
エポキシ樹脂以外に不飽和ポリエステル、フェノールな
どの熱硬化性樹脂やポリプロピレン、アクリル、ポリビ
ニルアルコールなどの熱可塑性樹脂を用いても良い。
本実施例により作成した振動板径30mmのドーム型スピ
ーカの音圧周波数特性は第2図に示す曲線1であり、同
一形状でアラミド繊維クロスを基材とし、フェノール樹
脂含浸風乾させ、加熱成形した後、繊維間の隙間をアク
リル樹脂で充填した振動板の音圧周波数特性を曲線2で
示す。この比較からも明らかなように本考案においては
特性が全てにわたって向上していることがわかる。
なお、これら各実施例は乾式法により作られた不織布
について述べたが、その他湿式法や植毛法によるものも
用いることができる。
(考案の効果) 以上のように本考案による電気音響変換器用振動板
は、低弾性、高損失のフェノール繊維と、アルミナ、炭
素、炭化ケイ素などの高弾性無機繊維、もしくはアラミ
ド、ポリエチレンなどの高弾性有機高分子繊維の単体ま
たはこれらの複合体の高弾性繊維との複合体からなる織
布または不織布を振動板の強化基材とし、不飽和ポリエ
ステル、エポキシ、フェノール、もしくは発泡可能なフ
ェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいはポリプロピ
レン、アクリル、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性
樹脂を結合材として用いて構成したため、 (イ)高比弾性率、高内部損失を有し、音圧周波数特性
上においてピーク、ディップの平坦化が図られる。
(ロ)高内部損失を保持させても軽量化が図られ、高能
率のスピーカをつくることができる。
(ハ)実施例1および2で示したように,フェノール繊
維に組み合わせる繊維に高耐熱性の繊維を選び、かつ結
合樹脂も高耐熱性の樹脂を選ぶことにより、耐高温高湿
試験(70℃、95%RH、1500時間)によっても何ら変化す
ることのない耐湿熱性、耐水性を有する。
等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の第1実施例による振動板と従来例とを
比較した音圧周波数特性図、第2図は本考案の第2実施
例と従来例とを比較した音圧周波数特性図である。 1……本考案 2……従来例

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】低弾性、高損失のフェノール繊維と、アル
    ミナ、炭素、炭化ケイ素などの高弾性無機繊維、もしく
    はアラミド、ポリエチレンなどの高弾性有機高分子繊維
    の単体またはこれらの複合体の高弾性繊維との複合体か
    らなる織布または不織布を振動板の強化基材とし、不飽
    和ポリエステル、エポキシ、フェノール、もしくは発泡
    可能なフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいはポ
    リプロピレン、アクリル、ポリビニルアルコールなどの
    熱可塑性樹脂を結合材として所定の振動板形状にしたこ
    とを特徴とする電気音響変換器用振動板。
JP13877589U 1989-11-30 1989-11-30 電気音響変換器用振動板 Expired - Lifetime JP2506498Y2 (ja)

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