JP2003009282A - スピーカ用振動板及びその製造方法 - Google Patents

スピーカ用振動板及びその製造方法

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JP2003009282A
JP2003009282A JP2001187673A JP2001187673A JP2003009282A JP 2003009282 A JP2003009282 A JP 2003009282A JP 2001187673 A JP2001187673 A JP 2001187673A JP 2001187673 A JP2001187673 A JP 2001187673A JP 2003009282 A JP2003009282 A JP 2003009282A
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diaphragm
speaker
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foaming
fibers
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JP2001187673A
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English (en)
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Tadasumi Hashimoto
忠純 橋本
Shigeo Shibata
繁男 柴田
Manabu Aso
学 阿曽
Kazuharu Kawada
一春 川田
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Mogami Denki Corp
Pioneer Corp
Original Assignee
Mogami Denki Corp
Pioneer Electronic Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐環境性を向上させ、更には低密度化と適度
な内部損失値を得て、しかも高パワーの機械的振動に耐
え得る強度を備えたスピーカ用振動板を提供する。 【解決手段】 スピーカ用振動板1は、ガラス繊維又は
セラミックス繊維等からなる無機質繊維2を主体とする
振動板基材と、その振動板基材内の空間を埋めるように
全体に充填された無機質系発泡材3から構成されてい
る。また、必要に応じて耐熱性化学繊維4、及び木材パ
ルプ系有機質繊維5を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高パワーの機械的
振動に耐え得る、軽量、高剛性で、かつ耐熱性、耐光性
に優れたスピーカ用振動板とその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、スピーカ装置は、高感度で、再
生周波数帯域が広く、高調波歪が少ない等の音響特性を
有するほど高性能といわれ、従って、スピーカ装置の主
要構成部品において、とりわけ上述の特性に大きな影響
を及ぼすスピーカ用振動板は、材料の密度が小さく、ヤ
ング率が高く、適度な内部損失を有することなどが望ま
しい。さらに、スピーカの使用形態が飛躍的に広がり、
例えば車載用や屋外で使用されるスピーカのように、耐
環境性、特に耐熱性および耐光性を有するスピーカ用振
動板が求められている。
【0003】しかし、これらの条件は、スピーカ用振動
板を単一の材料によって形成する場合に、当該スピーカ
振動板の材料に対し、相矛盾した物理特性を同時に強い
るものであり、その結果、スピーカ用振動板はこれらの
条件を共に高度に兼ね備えることが極めて困難となる。
【0004】そのため、上記のような物理特性をある程
度満足する材料として例えば、ポリオレフィン系の樹脂
成形による振動板などが従来から一般的に使用されてい
るが、通常100℃以下の耐熱性しか得られず、またそ
の軽量化の為に、低密度のガラスビーズなどを取り入れ
たものなどもあるが、多量の充填物の配合は樹脂成形を
困難とするため、振動板の軽量化は困難であった。
【0005】また、熱硬化性樹脂の成形などによる振動
板の場合には、ある程度の耐熱性は得られるものの、物
理特性的には、充分な内部損失値を得ることが困難であ
り、また直射日光を連続的に受けた場合などのように長
時間紫外線に曝されることにより、基材を形成する樹脂
が紫外線のエネルギーによって活性化され、酸素の存在
する雰囲気では酸化劣化されるために、耐光性が悪く変
色するなど樹脂の劣化が避けられなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点に鑑みてなされたものであり、耐環境性、特に、耐
熱性、耐光性を向上させ、更には低密度化と適度な内部
損失値を得て、しかも高パワーの機械的振動に耐え得る
強度を備えたスピーカ用振動板を提供することを目的と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明のスピーカ用振動板は以下の構成を備える
ものである。
【0008】請求項1に係る発明では、ガラス繊維又は
セラミックス繊維からなる無機質繊維を主体とする振動
板基材と、該基材内の空間を埋める無機質系発泡材とか
らなる発泡性セラミックス成形体により構成されること
を特徴とする。
【0009】請求項2に係る発明では、請求項1のスピ
ーカ用振動板を前提として、前記無機質系発泡材は珪酸
ナトリウムを加熱発泡させてなることを特徴とする。
【0010】請求項3に係る発明では、請求項1又は2
のスピーカ用振動板を前提として、前記振動板基材を形
成する材料には、20%以下の耐熱性化学繊維が含まれ
ることを特徴とする。
【0011】請求項4に係る発明では、請求項1〜3の
いずれか1項のスピーカ用振動板を前提として、前記振
動板基材を形成する材料には、5%以下の木材パルプ系
有機質繊維が含まれることを特徴とする。
【0012】請求項5に係る発明では、発泡性セラミッ
クス成形体より構成されるスピーカ用振動板の製造方法
であって、ガラス繊維又はセラミックス繊維からなる無
機質繊維を主体として、これを抄造して振動板基材とす
る工程と、該基材に対して、加熱することにより発泡性
を示す無機質系発泡材料を付着する工程と、該工程の
後、加熱により発泡させ発泡性セラミックス成形体を形
成する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】請求項6に係る発明では、発泡性セラミッ
クス成形体より構成されるスピーカ用振動板の製造方法
であって、ガラス繊維又はセラミックス繊維からなる織
布又は不織布により振動板基材を成形する工程と、該基
材に対して、加熱することにより発泡性を示す無機質系
発泡材料を付着する工程と、該工程の後、加熱により発
泡させ発泡性セラミックス成形体を形成する工程とを含
むことを特徴とする。
【0014】請求項7に係る発明では、請求項5又は6
に記載のスピーカ用振動板の製造方法を前提として、前
記無機質系発泡材料は、珪酸ナトリウム水溶液からなる
ことを特徴とする。
【0015】請求項8に係る発明では、請求項5〜7の
いずれか1項記載のスピーカ用振動板の製造方法を前提
として、前記加熱により発泡させる工程は、所望とする
クリアランスを有し前記振動板基材と同形状の金型を用
いてなされることを特徴とする。
【0016】請求項9に係る発明では、請求項5〜7の
いずれか1項記載のスピーカ用振動板の製造方法を前提
として、前記加熱により発泡させる工程において、振動
板の必要な部分にのみ金型を接触させて、部分的に発泡
させることを特徴とする。
【0017】請求項10に係る発明では、請求項5〜7
のいずれか1項記載のスピーカ用振動板の製造方法を前
提として、前記振動板基材には、5%以下の木材パルプ
系有機質繊維が含まれており、前記加熱により発泡させ
る工程において、振動板の必要な部分にのみ金型を接触
させて、部分的な発泡と部分的な炭化処理を施すことを
特徴とする。
【0018】上述の構成を備えた各請求項に係る発明
は、以下の作用をなすものである。
【0019】請求項1に係る発明によると、紫外線の反
射率が高く且つ高強度のガラス繊維又はセラミックス繊
維からなる無機質繊維を主体とする基材を用い、その内
部空間に軽量の無機質系発泡材を充填したものであり、
樹脂成分を用いない完全な無機系材料とすることで、耐
環境性、特に耐光性が向上され、しかも低密度化と適度
な内部損失を得ることができ、更には高パワーの機械的
振動に耐え得るだけの高剛性を得ることができる。
【0020】請求項2に係る発明によると、上述の作用
と併せて、取り扱い性(塗布性)が良く、低コストの珪
酸ナトリウムを用いることにより、生産性の高いスピー
カ用振動板を得ることができる。
【0021】請求項3に係る発明によると、上述の作用
と併せて、適度の耐熱性化学繊維を含有させることによ
り、耐熱性を維持しながら、柔軟性を向上させることが
できる。
【0022】請求項4に係る発明によると、上述の作用
と併せて、木材パルプ系有機質繊維の混入により、振動
板基材の形成性及び音響特性(特に内部損失)を改善す
ることが可能になる。木材パルプ系有機質繊維の混入量
が高まると、上述した耐熱性,耐光性等の低下もみられ
るので、目標とする性能に合わせて5%以下の範囲で設
定する。
【0023】請求項5に係る発明によると、上述の作用
を有するスピーカ用振動板を製造する製造方法であっ
て、特に、抄造工程により振動板基材を形成し、この振
動板基材に無機質系発泡材料を塗布,含浸等により付着
させ、それを加熱により発泡させる。抄造工程、付着工
程,加熱発泡工程と少ない工程で簡易に製造可能で量産
に適する。
【0024】請求項6に係る発明によると、上述の製造
方法において、振動板基材を形成する工程を織布又は不
織布から成形加工するようにしたものであって、請求項
5と同様の作用をなす。
【0025】請求項7に係る発明によると、上述の製造
方法において、無機質系発泡材料の基材への付着を珪酸
ナトリウム水溶液を塗布又は含浸させることにより行う
ものである。珪酸ナトリウムは、塗布等の加工性に富み
且つ低コストであるから、生産性の向上を図れる。
【0026】請求項8に係る発明によると、上述の製造
方法において、振動板基材全体を発泡成形する工程を含
むものである。振動板基材と同形状の金型を用い、金型
のクリアランスに見合った発泡倍率の振動板を形成でき
る。
【0027】請求項9に係る発明によると、上述の製造
方法において、振動板基材の必要な箇所を部分的に発泡
させる工程を含むものである。この工程により、振動板
の形状設定の自由度を向上させて、要求に応じた音響特
性を得ることができる。
【0028】請求項10に係る発明によると、木材パル
プ系有機質繊維を混入して振動板基材の構造特性を改善
した場合の製造方法であり、振動板基材の部分的な発泡
と共に部分的な炭化処理を行うことにより、内部損失を
向上させ、音響特性を大幅に改善することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形
態について図をもとに説明する。
【0030】[構成材及び基本構造]図1は、本発明に
よるスピーカ用振動板の断面を詳細に説明する概念図で
ある。同図に示すように、スピーカ用振動板1は、ガラ
ス繊維又はセラミックス繊維等からなる無機質繊維2を
主体とする振動板基材と、その振動板基材内の空間を埋
めるように全体に充填された無機質系発泡材3から構成
されている。また、必要に応じて耐熱性化学繊維4、及
び木材パルプ系有機質繊維5を含むものである。
【0031】ここで、ガラス繊維又はセラミックス繊維
等の無機質繊維2は、紫外線劣化に対する耐性(耐光
性)を有すると共に、耐熱性にも優れており、要求され
る耐環境性を満足するのに適当な材料である。また、充
分な強度を有しているので高剛性の振動板を形成するた
めの基材としても適している。
【0032】無機質系発泡材3は、加熱によって発泡性
を示す無機質系材料であって、酸化金属の水和物で、加
熱により脱水縮合する際に水蒸気を放出し、ガラス質を
膨らませることのできる材料である。これには、例え
ば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの珪酸塩や、ア
ルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどのアルミ
ン酸塩および、チタン酸塩などの水和物がある。その中
でも、塗布等の加工性に富み、かつ低コストである、珪
酸ナトリウムが実施形態として特に適する。このような
無機質系の発泡材を基材の空間に充填させることによ
り、必要な弾性又は耐衝撃性と適度の内部損失を確保す
ることができると共に、高感度を得るための低密度化を
達成することができ、更には、完全無機系材料の振動板
とすることで、樹脂劣化のない耐久性の高い振動板を形
成できる。
【0033】付加的な構成材として、耐熱性を維持しな
がら更に特性改善を要求する場合に耐熱性化学繊維4を
混入する。通常ガラス繊維、セラミックス繊維などを高
配合にした振動板基材では、高ヤング率は期待出来るも
のの、硬く脆い状態となり、高パワーの振動などによ
り、割れなどの発生が懸念される。そこで、耐熱性の化
学繊維として例えば、全芳香族ポリアミド繊維であるコ
ーネックス繊維で、繊維長3mm程度、繊維径2デニー
ル程度のものを配合することにより、振動板基材に柔軟
性を与え、高パワーの振動に耐え得る基材が得られる。
しかし、これらの耐熱性繊維の配合量が多過ぎると、基
材のヤング率を大幅に低下させる為、20%以下の配合
とする。この耐熱性化学繊維4としては、その他に、ア
ラミド繊維やポリエステル系繊維でもよい。
【0034】更に付加的な構成材として、木材パルプ系
有機質繊維5を混入する。木材パルプ系有機質繊維5の
配合は、バインダー的な働きから特にガラス繊維やセラ
ミックス繊維の抄造性又は成形性を容易にするものであ
るが、耐熱性、耐光性などの低下も起こる為に、5%程
度の配合とする。例としては、NBKPを叩解度20°
SR程度に叩解したものを配合する。この場合には、そ
の繊維結合により基材の抄造時における強度を向上させ
ることができる。他の材料としては、靭皮繊維やそれら
を高度にフィブリル化した微細繊維などを配合してもよ
く、これによれば抄造時にさらに高いバインダーとして
の働きが期待できる。これらは目的とする音作りに合わ
せて任意に配合できる。
【0035】また、上述した構成材からなるスピーカ用
振動板1に対して、塗布等により防水性付与などの表面
改質処理や振動板のカラー化も容易に行なうことができ
る。
【0036】[部分発泡構造]上述した構成材からなる
スピーカ用振動板1は、基材全体を均一発泡させること
によって、上述した作用、特に耐環境性,低密度,適度
の内部損失を全体的に備えたスピーカ用振動板を得るこ
とができるが、必要な箇所に対して、部分的な加熱を施
し部分発泡構造にすることにより、スピーカ性能の設計
にあった適度の内部損失を部分的に実現することが可能
になり、設計の自由度を大幅に拡大することができる。
特に、上述した木材パルプ系有機質繊維5を配合したも
のでは、加熱発泡箇所に炭化処理が施され、それにより
内部損失の大幅な増加を得ることができる。
【0037】[製造工程]上述したスピーカ用振動板1
は、図2に示すように、基材成形工程、発泡性材付着工
程、加熱発泡工程により製造される。
【0038】基材成形工程;スピーカ用振動板1の基材
は、ガラス繊維やセラミックス繊維などの無機質繊維の
抄造によるか、それらの織布、不織布の成形加工などに
より、要求されるスピーカ形状に成形される。この成形
工程において、上述した付加的な構成材が必要に応じて
配合される。この際に、上述した木材パルプ系有機質繊
維5を適量配合することによって、抄造時の強度を向上
させることができる。
【0039】発泡性材付着工程;上述の工程で成形され
た基材に対して、珪酸ナトリウム等の水溶液を塗布、ス
プレー塗布、含浸等によって付着させ、必要に応じて乾
燥させる。
【0040】加熱発泡工程;上述の工程で、珪酸ナトリ
ウム等の水溶液を付着せしめた基材を加熱加圧により乾
燥させ、その後、その基材を金型内で加熱することによ
り発泡させる。
【0041】図3は、基材全体を発泡させる場合の工程
を示す説明図である。同図(a)において、金型6を開
放し、金型6の下型6a上に珪酸ナトリウム等の水溶液
を付着した基材10を設置する。同図(b)において、
発泡倍率に見合ったスペーサ7を配置し、上型6bを下
型6a上に重ねる。これによって同図(c)に示すよう
に、金型6内に所望の発泡倍率が得られるようなクリア
ランス6cが形成される。この状態で加熱・加圧するこ
とにより基材10全体をほぼ均等に発泡させる。そし
て、同図(d)に示すように、金型6を開いて、発泡成
形後の振動板1を金型から取り出す。
【0042】図4は、基材を部分的に発泡させる場合の
工程を示す説明図である。同図(a)において、金型6
を開放し、金型6の下型6a上に珪酸ナトリウム等の水
溶液を付着した基材10を設置する。同図(b)におい
て、スペーサ7を配置し、上型6bを下型6a上に重ね
る。この上型6aには、設定された箇所に突起部6eが
設けられており、これによって同図(c)に示すよう
に、基材10の設定箇所に突起部6eが接触する。この
状態で加熱・加圧することにより基材10の設定部分の
みを発泡させることができる。そして、同図(d)に示
すように、金型6を開いて、発泡成形後の振動板1を金
型から取り出すと、振動板1の設定部分には発泡箇所1
aが形成されている。基材10に木材パルプ等を混入さ
せたものでは、この発泡箇所が同時に炭化処理され、さ
らに内部損失の増大を図ることができる。
【0043】[実施例]以下に、本発明の実施例を示
す。
【0044】実施例1−1:先ず、平均繊維径が3μm
で比重が2.6程度のセラミックス繊維を用い、離解機
にて分散して抄紙機によりコーン形状に抄造して基材と
する(基材成形工程)。次に、この基材に、比重1.5
程度の水溶液に調整した珪酸ナトリウム水溶液を基材重
量に対して60wt%程度、スプレーにて付着させる
(発泡性材付着工程)。さらに、この振動板基材と同形
状の金型において、0.5mmのクリアランスを設け、
温度260℃程度に加熱し、圧力0.2Pa程度にて6
0秒間クランプして、乾燥および発泡させる(加熱発泡
工程)。
【0045】本実施例においては約150℃程度の加熱
から振動板基材の面に対して垂直方向に発泡が発生し、
250℃程度から水平方向にも伸長することを確認し
た。
【0046】実施例1−2:平均繊維長10mm,嵩比
重0.25程度で厚さが1.0mm程度のセラミックス
繊維不織布を基材に成形したものに、実施例1−1と同
様に珪酸ナトリウム水溶液をスプレーにて付着せしめ、
180℃程度に加熱したコーン形状の金型で、30秒間
程度成形の後、1.2mm程度のクリアランスを設けた
コーン形状の金型にて、温度260℃、圧力0.2Pa
程度にて60秒間加熱プレスすることにより、同様の振
動板基材を得た。
【0047】実施例2:実施例1−1の基材において、
繊維長3mm程度で、繊維径2デニール程度のコーネッ
クス繊維(耐熱性化学繊維)を20%以下(10%,2
0%)配合させた。以下の工程は、実施例1−1と同
じ。
【0048】実施例3:セラミックス繊維85%,コー
ネックス繊維10%,木材パルプ系有機質繊維5%の基
材を成形した。木材パルプ系有機質繊維は、NBKPを
叩解度20°SR程度に叩解したものを用いた。上述の
実施例と同様の発泡性材付着工程を経た後、加熱発泡工
程において、300℃程度に加熱した金型において、所
望とする部分にのみ金型を接触させて、部分的に発泡さ
せると同時に部分的に炭化処理させて振動板を得た。
【0049】このようにして得られたスピーカ用振動板
の物性値を表1、表2、表3に示す。表1は、実施例1
−1において、発泡倍率を1倍、1.3倍、1.6倍と
した場合の物性値を表し、表2は、実施例2において、
コーネックス繊維を10%、20%と配合した場合の物
性値であり、表3は、実施例3における物性値である。
【0050】
【表1】実施例1−1:セラミックス繊維100%
【0051】
【表2】実施例2:セラミックス繊維+コーネックス繊
【0052】
【表3】実施例3:セラミックス繊維+コーネックス繊
維+NBKP
【0053】実施例1−1において、発泡倍率について
は、1倍、1.3倍、1.6倍と変化させることによ
り、密度の低下を実現した。このことは、金型に所望の
クリアランスを設けることにより任意に設定できるが、
発泡倍率が1.6倍以上になると、発泡性を示す無機質
系材料の単独での発泡がおこり、表面の平滑度をしだい
に損なうため、本実施例においては1.6倍までとし
た。また、発泡倍率が高くなるにつれて、内部損失値が
高くなることを確認した。
【0054】実施例2においては、耐熱性化学繊維の多
量の配合は、セラミックス繊維との繊維間結合を持たな
いために基材の剛性を低下させる恐れがある。そこで、
本実施例においては、表2に示すように、耐熱性化学繊
維を20%程度までの配合とし、基材の物性変化を微小
に抑え、これにより無機質系の材料を主体としながら、
柔軟性が付与でき、例えば、振動板基材の割れ防止など
に大きく貢献できるものとした。
【0055】実施例3においては、表3に示すように、
木材パルプ系有機質繊維を配合し、加熱により発泡させ
る工程で、振動板基材の所望とする部分的にのみ、加熱
した金型を接触させ、部分的な発泡と木材パルプの炭化
を得たものであり、それにより内部損失の大幅な増加を
得た。このことは、振動板を構成する材料において、部
分的にその内部損失値を変化させることができるという
点で画期的なものである。
【0056】なお、上述の実施例においては耐熱性を有
する無機質繊維としてセラミックス繊維を使用したが、
例えば、平均繊維長3mm程度で、繊維径10μm程度
のガラス繊維や、繊維長0.3mm程度で、繊維径4μ
m程度のロックウール繊維でも同様のことが実施でき
る。また、耐熱性を有する化学繊維においても、コーネ
ックス繊維に換えて、アラミド繊維やポリエステル系繊
維などを用いても同様のものが実施できる。木材パルプ
系有機質繊維の配合についても、NBKPに換えて、靭
皮繊維やそれらを高度にフィブリル化した微細繊維など
を配合することにより同様の実施が可能であり、特にこ
れによれば、抄造時にさらに高いバインダーとしての働
きが期待できる。
【0057】このように上述の実施例によると、振動板
の発泡および部分的な炭化などにより低密度化を実現
し、かつ内部損失の大幅な増加を得た。また、加熱によ
る発泡時に金型のクリアランスの設定により任意の発泡
倍率が得られた。さらに、耐熱性の化学繊維の配合によ
り振動板基材に柔軟性を与え、耐衝撃性の高い振動板が
得られた。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、剛性が高く耐熱性も高
いガラス繊維、セラミックス繊維等の無機質繊維を主体
とし、加熱することにより発泡性を示す無機質系材料を
付着せしめ、さらに加熱して発泡させることにより得ら
れる発泡性セラミックス成形体により構成され、低密
度、軽量でかつ、適度な内部損失を有するなど、優れた
物性を得ると共に、耐環境性の高い無機質系材料を主体
とするため、高い耐熱性および耐光性も同時に兼ね備え
た、優れたスピーカ用振動板を提供することができる。
また、耐熱性の化学繊維の配合により高い耐熱性を維持
した上で、通常のセラミックス系振動板に特有の耐衝撃
性の低さを解消できる。
【0059】さらに、振動板を部分的に発泡させること
をも可能にし、部分的な発泡と部分的な有機質の炭化に
より、振動板基材に対し適度な内部損失が得られる。ま
た、本発明における加熱により発泡させる工程は、密閉
系の金型内で行われるために、高い寸法精度が得られ
る。
【0060】これらのことは、スピーカ設計上、音響特
性を任意に改良できるなど、その自由度を大幅に拡大す
るものである。
【0061】また、その製造工程において、人体や環境
に有害な有機溶剤などを必要としない、優れた製造方法
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスピーカ用振動板の断面を詳細に
説明する概念図である。
【図2】本発明の製造方法の概要を示す説明図である。
【図3】基材全体を発泡させる場合の工程を示す説明図
である。
【図4】基材を部分的に発泡させる場合の工程を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 スピーカ用振動板 2 無機質繊維 3 無機質系発泡材 4 耐熱性化学繊維 5 木材パルプ系有機質繊維5 6 金型 7 スペーサ 10 基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04R 31/00 H04R 31/00 A (72)発明者 柴田 繁男 山形県最上郡真室川町大字新町塩野954番 の1 最上電機株式会社内 (72)発明者 阿曽 学 山形県最上郡真室川町大字新町塩野954番 の1 最上電機株式会社内 (72)発明者 川田 一春 山形県最上郡真室川町大字新町塩野954番 の1 最上電機株式会社内 Fターム(参考) 4L055 AA02 AC06 AF04 AF05 AF30 AG05 AH34 AJ10 EA32 FA19 FA30 GA01 GA38 5D016 CA02 CA03 EA07 EA08 EA10 HA06 JA03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維又はセラミックス繊維からな
    る無機質繊維を主体とする振動板基材と、該基材内の空
    間を埋める無機質系発泡材とからなる発泡性セラミック
    ス成形体により構成されることを特徴とするスピーカ用
    振動板。
  2. 【請求項2】 前記無機質系発泡材は珪酸ナトリウムを
    加熱発泡させてなることを特徴とする請求項1記載のス
    ピーカ用振動板。
  3. 【請求項3】 前記振動板基材を形成する材料には、2
    0%以下の耐熱性化学繊維が含まれることを特徴とする
    請求項1又は2に記載のスピーカ用振動板。
  4. 【請求項4】 前記振動板基材を形成する材料には、5
    %以下の木材パルプ系有機質繊維が含まれることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスピーカ用
    振動板。
  5. 【請求項5】 発泡性セラミックス成形体より構成され
    るスピーカ用振動板の製造方法であって、 ガラス繊維又はセラミックス繊維からなる無機質繊維を
    主体として、これを抄造して振動板基材とする工程と、
    該基材に対して、加熱することにより発泡性を示す無機
    質系発泡材料を付着する工程と、該工程の後、加熱によ
    り発泡させ発泡性セラミックス成形体を形成する工程と
    を含むことを特徴とするスピーカ用振動板の製造方法。
  6. 【請求項6】 発泡性セラミックス成形体より構成され
    るスピーカ用振動板の製造方法であって、 ガラス繊維又はセラミックス繊維からなる織布又は不織
    布により振動板基材を成形する工程と、該基材に対し
    て、加熱することにより発泡性を示す無機質系発泡材料
    を付着する工程と、該工程の後、加熱により発泡させ発
    泡性セラミックス成形体を形成する工程とを含むことを
    特徴とするスピーカ用振動板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記無機質系発泡材料は、珪酸ナトリウ
    ム水溶液からなることを特徴とする請求項5又は6に記
    載のスピーカ用振動板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記加熱により発泡させる工程は、所望
    とするクリアランスを有し前記振動板基材と同形状の金
    型を用いてなされることを特徴とする請求項5〜7のい
    ずれか1項記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記加熱により発泡させる工程におい
    て、振動板の必要な部分にのみ金型を接触させて、部分
    的に発泡させることを特徴とする請求項5〜7のいずれ
    か1項記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記振動板基材には、5%以下の木材
    パルプ系有機質繊維が含まれており、前記加熱により発
    泡させる工程において、振動板の必要な部分にのみ金型
    を接触させて、部分的な発泡と部分的な炭化処理を施す
    ことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載のス
    ピーカ用振動板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006054572A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Foster Electric Co Ltd 電気音響変換器用振動板およびその製造方法
JP2006303971A (ja) * 2005-04-21 2006-11-02 Pioneer Electronic Corp スピーカー装置用振動系部品及びその製造方法

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