JP2503304Y2 - 小型車両用スイングア―ム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動二輪車等のスイングアームに関する。

（従来の技術） 車体に対し左右一対のアームからなるスイングアーム
にて後輪を支持するようにした自動二輪車として特開昭
63−166679号公報及び実開昭64−55194号公報に開示さ
れるものが知られている。

上記公報に開示されるスイングアームはいずれも左右
一対のアームのうち一方のアーム内に動力伝達用のドラ
イブシャフトを配し、これら一対のアームの前端部間を
ピボットスリーブで連結し、この部分でスイングアーム
を車体に対し揺動自在に支持し、また両アーム後端にて
後輪を回転自在に軸支し、更にピボットスリーブの後方
のアーム間に１つのクロスメンバーを架設している。

（考案が解決しようとする課題） 上述した従来のスイングアームにあっては、クロスメ
ンバーの数を１本としているため、大型の自動二輪車の
場合等では、剛性を高めるためクロスメンバーの構造を
内部容積の大きいボックス状としている。

しかしながらクロスメンバーの構造を中空状とし且つ
容積を大きくすると共鳴によって騒音が発生する。また
これを防止しようとすると防振ラバー及びこのラバーを
押えるプレート、更にはプレートを取付けるためのリベ
ット等も必要となり部品点数及び重量の増加を招いてい
る。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決すべく本考案は、左右一対のアームの
前端をピボットスリーブで連結し、後端にて後輪を軸支
する小型車両用スイングアームにおいて、前記ピボット
スリーブよりも後方の左右のアーム間には複数のクロス
メンバーを架設し、前記ピボットスリーブと前側のクロ
スメンバーとの間、および前後のクロスメンバー間を離
間させ、かつ、両クロスメンバーの断面をアームの高さ
寸法より大なる縦長形状としてその下端を前記アームの
下面よりも下方に突出させた。

（作用） 上記構成により、先ず、ピボットスリーブと前側のク
ロスメンバーの間および両クロスメンバー間を離間させ
たことから、各クロスメンバーを左右のアームに溶接す
る際の縦方向の溶接線の作業性が確保され、かつ、アー
ムの長手方向に分散して剛性が確保されるので応力集中
が回避され、次に、上記両クロスメンバーの断面をアー
ムの高さ寸法より大なる縦長形状としてその下端を前記
アームの下面よりも下方に突出させたことから、クロス
メンバーの剛性とアームに対する溶接長さが確保され、
かつ、アーム上方のスペースも確保される。

（実施例） 以下に本考案の実施例を添付図面に基いて説明する。

第１図は本考案に係るスイングアームを適用した自動
二輪車の全体斜視図、第２図はスイングアームの平面
図、第３図はスイングアームの部分を車体左側から見た
側面図、第４図はスイングアームの部分を車体右側から
見た側面図である。

自動二輪車１はクランクシャフトを車体前後方向に沿
って配置した縦置きのＶ型４気筒エンジン２を搭載した
大型の自動二輪車であり、前輪３及び後輪４の部分を除
き略全体が複数に分割されたカウリング５によって覆わ
れ、車体後部上面には２人用のシート６を設け、車体後
部の左右にはダイナミックダンパを兼ねるサイドトラン
ク７を吊り下げ、車体の左右下部にはブラケット８を取
付け、このブラケット８にフートステップ９を折りたた
み自在に取付けている。

一方、車体に対して後輪４を支持するスイングアーム
10は左右一対のアーム11,12からなり、左側のアーム11
には第２図に示すようにブレーキディスク13を挟み込む
キャリパー14を取付け、右側のアーム12内には動力伝達
機構15を組込んでいる。

動力伝達機構15はドライブシャフト16の後端にジョイン
トインナー17を嵌着 し、このジョイントインナー17に
ジョイントアウター18を前後方向に摺動可能にスプライ
ン嵌合し、このジョイントアウター18をギヤケース19内
に収めたギヤ20の軸に外嵌し、ギヤ20と車軸21に嵌合す
るギヤ22とを噛合せしめ、ドライブシャフト16の回転を
車軸21に伝達するようにしている。また、ドライブシャ
フト16の先端にはユニバーサルジョイント31を介してエ
ンジン側の出力軸32が結合し、このユニバーサルジョイ
ント31はスプリング33にて付勢されるカム式ダンパー34
を備えている。更にドライブシャフト16の後部外周には
ジョイントインナー17を後方に付勢するスプリング35を
設け、このスプリング35によってジョイントインナー17
の後端に設けたキャップ36をギヤ20の軸に当接すること
によりジョイントインナー17を位置決めする。ここでギ
ヤケース19の前寄りの上面には第４図に示すようにブラ
ケット23を設け、このブラケット23に緩衝器24の下端を
支持し、緩衝器24の上端は車体フレーム25に支持せしめ
ている。

また、左右のアーム11,12の前端部はビボットスリー
ブ26にて連結され、このピボットスリーブ26の後方のア
ーム11,12間に補強用のクロスメンバー27,28を架設して
いる。

クロスメンバー27,28はいずれも内部を中空としたボ
ックス状をなし、その内部容積は共振によって騒音を発
生しない程度とし、更にいずれもその下端をアーム11,1
2の下面よりも下方に突出させることで、共振を防止し
つつ剛性アップを図っている。そして、前方のクロスメ
ンバー27については第２図に示すように、その中間部を
プレート29を介してピボットスリーブ26に連結し、後方
のクロスメンバー28については左右のアーム11,12に沿
って更にプレート30を延出している。

（考案の効果） 以上に説明した如く本考案によれば、先ず、ピボット
スリーブと前側のクロスメンバーの間および両クロスメ
ンバー間を離間させたことから、各クロスメンバーを左
右のアームに溶接する際の縦方向の溶接線の作業性が確
保され、かつ、アームの長手方向に分散して剛性が確保
されるので応力集中が回避され、次に、上記両クロスメ
ンバーの断面をアームの高さ寸法より大なる縦長形状と
してその下端を前記アームの下面よりも下方に突出させ
たことから、クロスメンバーの剛性とアームに対する溶
接長さが確保され、かつ、アーム上方のスペースも確保
される。

したがって、本考案の小型車両用スイングアームは、
共振防止の複雑な構造を要することなく簡易な構成によ
り共振空間の形成を回避し、かつ、アーム上方のスペー
スを損なうことなく、アームの長手方向にわたりその剛
性を確保することができるという顕著な作用効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るスイングアームを適用した自動二
輪車の全体斜視図、第２図はスイングアームの平面図、
第３図はスイングアームの部分を車体左側から見た側面
図、第４図はスイングアームの部分を車体右側から見た
側面図である。 尚、図面中、10はスイングアーム、11,12はアーム、15
は動力伝達機構、16はドライブシャフト、19はギヤケー
ス、24は緩衝器、26はピボットスリーブ、27,28はクロ
スメンバーである。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右一対のアームの前端をピボットスリー
   ブで連結し、後端にて後輪を軸支する小型車両用スイン
   グアームにおいて、前記ピボットスリーブよりも後方の
   左右のアーム間には複数のクロスメンバーを架設し、前
   記ピボットスリーブと前側のクロスメンバーとの間、お
   よび前後のクロスメンバー間を離間させ、かつ、両クロ
   スメンバーの断面をアームの高さ寸法より大なる縦長形
   状としてその下端を前記アームの下面よりも下方に突出
   させたことを特徴とする小型車両用スイングアーム。