JP4138975B2 - 二輪車の前輪懸架装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は二輪車の前輪懸架装置、特にボトムリンク式サスペンションの改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車のフロントサスペンションは、現在テレスコピック式サスペンション又はボトムリンク式サスペンションが主流となっている。
テレスコピック式サスペンションは、文字通り望遠鏡のように伸縮する構造のものであり、キャスター角(鉛直線とフロントフォークとのなす角)の比較的小さいもの適している。
【0003】
一方、いわゆるアメリカンバイクと称するキャスター角の大きな自動二輪車では、フロントフォークが寝ているためテレスコピック式サスペンションで前輪の上下移動量を吸収するには角度的に無理がある。ボトムリンク式サスペンションはキャスター角の影響を受けにくいので、キャスター角の大きな自動二輪車にはボトムリンク式サスペンションが適していると言える。
【0004】
ボトムリンク式サスペンションに関する技術として、例えば実公昭60−15744号「二輪車の前車輪懸架装置」が提案されており、この懸架装置は同公報の第1図及び第2図に示されるとおり、平行リンク(符号3,8,6,Fからなる。)及び懸架コイルばね(14)で前輪を懸架するというものである。なお、前記第1図は前輪(W)の車軸(5)が懸架装置より前にあるためリーディング式サスペンション、前記第2図は前輪(W)の車軸(5)が懸架装置より後にあるためトレーリング式サスペンションと呼ばれている。前記第2図を簡略化したものを次図で説明する。
【0005】
図15は従来の代表的なボトムリンク式サスペンションの原理図である。ただし、符号は新規に振り直した。
フロントフォーク101の下端に前輪支持アーム102の一端をスイング可能に取付け、この前輪支持アーム102の先端に前輪103の車軸104を取付け、前輪支持アーム102の途中からプッシュロッド105を立て、このプッシュロッド105の上部をフロントフォーク101の上部から延ばした別のリンク106に連結し、このリンク106の先端を懸架ばね107並びに図示せぬ油圧ダンパの下端に連結することにより、前輪103を平行リンク構造で懸架したものであり、前輪103の上昇,下降により、車軸104が▲1▼から▲2▼へ又は▲1▼から▲3▼へ移動することを示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記平行リンク構造によれば、前輪支持アーム102の挙動にリンク106が良好に倣い、このリンク106の先端を懸架ばね107で押えることで車軸104を支えることができる。
反面、車軸104の上昇動作と懸架ばね107の圧縮動作とが単純に対応しているため、車軸104の挙動に懸架ばね107の特性を単純に合せなければならず、懸架ばね107の設計の自由度が乏しくなる。
【0007】
さらには、平行リンク構造であるからプッシュロッド105をフロントフォーク101にほぼ平行に、且つなるべく離して配置しなければならない。この結果、車体を側方から見たときにプッシュロッド105が目立って見栄えが良くない。そこで、止むを得ずフロントフォーク101の上部前部に張出し108(図15)を設け、少しでもプッシュロッド105をフロントフォーク101に近づけるという構造にせざるを得ない。
この結果、上記公報の第2図に示されるとおり、フロントフォークを三角形で複雑な構造のものとしなければならない。
そこで、本発明の目的はリンク構造を工夫してフロントフォーク廻りを複雑な構造にすることなく、見栄え良くすること並びに懸架ばねの設計の自由度を拡大することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、フロントフォークに前輪支持アームをスイング可能に取付け、この前輪支持アームの先端に前輪の車軸を取付け、前輪支持アームの途中からプッシュロッドを立て、このプッシュロッドの上端をボトムブリッジ付近に配置したアッパリンクの一端又はその近傍に連結し、このアッパリンクの他端をボトムブリッジにスイング可能に取付け、アッパリンクを緩衝器の下端に連結し、車体を側面から見たときに前記アッパリンクの一端をフロントフォークとほぼ重なる位置まで延ばすことで、前輪支持アームとプッシュロッドとアッパリンクとでZ字リンクを構成した二輪車の前輪懸架装置において、前記フロントフォークに前輪支持アームを止めるピボット軸を、フロントフォークの中心より後輪側へオフセットさせたことを特徴とする。
【0009】
基本的にボトムリンク式サスペンションであるが、前輪支持アームとプッシュロッドとアッパリンクとでZ字リンクにすることで、プッシュロッドの上部をフロントフォークに近接させる。この結果、フロントフォーク廻りが複雑な構造にすることなく、見栄え良くなる。
更に、Z字リンクであるから、構成部材の長さ、取付け姿勢、相対角度を自由に選ぶことができ、懸架ばねの設計の自由度を増すことができる。
加えて、フロントフォークのピボット軸を後輪側へ寄せることにより、プッシュロッドの下部をフロントフォークから離し、懸架装置を構成する部品の収納スペースを確保する。
【0010】
請求項2は、前輪支持アームは、下に凸のV字アームであり、このV字アームの屈曲部分にプッシュロッドの下端を連結している連結ピンが備えられ、この連結ピンは、前輪に路面からの反力が作用することにより、ピボット軸を中心とした円弧に沿って移動するようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る自動二輪車の前半部の側面図である。
自動二輪車1は、車体フレーム2のヘッドパイプ3に縦向きのステアリングステム4を左右回転可能に取付け、このステアリングステム4の上部に後述するトップブリッジ11を取付け、このトップブリッジ11にバーハンドル5を取付け、さらに、ステアリングステム4にボトムリンク式の前輪懸架装置10を取付けたものである。
自動二輪車1のフロントブレーキ50は、前輪32の側部に取付けたブレーキディスク51と、ブレーキディスク51を制動制御するためのキャリパ56とからなる、液圧式ディスクブレーキである。61はヘッドランプである。
【0012】
図2は本発明に係る前輪懸架装置の側面図である。
前輪懸架装置10は、ステアリングステム4の上部に取付けたトップブリッジ11と、ステアリングステム4の下部に取付けたボトムブリッジ12と、これらのトップ・ボトムブリッジ11,12に上端部を取付けたフロントフォーク13と、前下方へ延びたフロントフォーク13の下端部に前端部を上下スイング可能に連結した前輪支持アーム14と、後下方へ延びた前輪支持アーム14の途中に下端部を前後スイング可能に連結したプッシュロッド15と、上方へ延びたプッシュロッド15の上端部をロッドハンガ16を介して連結するべく、ボトムブリッジ12から前方へ上下スイング可能に延びたアッパリンク17と、アッパリンク17に下端部を連結した緩衝器18と、上方へ延びた緩衝器18の上端部を連結するべく、フロントフォーク13の上部に取付けたアッパブラケット19とからなる、トレーリングアーム方式の懸架装置である。図中、21〜25は連結ピンである。
【0013】
トレーリングアーム方式なので、前輪支持アーム14の後端部に前輪用車軸31を取付け、この車軸31に前輪32を回転可能に取付けることになる。
なお、前輪支持アーム14は、車軸31を緩みなく取付けるために、「割り締め」と称するボルト止め方法を採用している。割り締めとは、前輪支持アーム14に、車軸31を嵌合する孔まで延びる割り溝(スリット)14aを形成し、割り溝14aの部分をボルト27にて締め込む方法である。この図では、左の前輪支持アーム14を割り締めで取付けたことを示しているが、図示せぬ右の前輪支持アームについても、同様である。
【0014】
上記前輪懸架装置10は、(1)側面視で、ステアリングステム4の前方にフロントフォーク13を配置するとともに、ステアリングステム4の傾斜角よりもフロントフォーク13の傾斜角を緩く設定したこと、及び、(2)側面視で、フロントフォーク13の中心O1に緩衝器18の中心O2をほぼ一致させたことを特徴とする。
緩衝器18は、油圧式ダンパ41とダンパ41の周囲に巻いた懸架ばね42とからなる、ばね外装式緩衝器である。この図2から明らかなように、緩衝器18の最大径である懸架ばね42の外径は、フロントフォーク13の径と概ね等しい。
【0015】
車軸31は、この車軸31に直交するブラケット52を上下スイング可能に取付けたものである。ブラケット52は、車軸31に取付ける第1ブラケット53と、第1ブラケット53の先端に取付ける第2ブラケット54とからなる。第2ブラケット54は、その先端側をトルク伝達リンク55を介して、フロントフォーク13の長手途中の中間部に連結するとともに、キャリパ56並びにフロントフェンダ62を取付ける部材である。トルク伝達リンク55は、その両端を連結ピン57,58にて上下スイング可能に連結した、リンク部材、例えばブラケット52の回転止めをなす回転止めリンクである。
【0016】
図3は本発明に係る前輪懸架装置の分解側面図であり、前輪懸架装置10における各部材の連結関係を示す。
この図は、特に、ボトムブリッジ12の下端に連結部12aを設け、この連結部12aにアッパリンク17(「クランク」とも言う。)の後端連結部17aを上下スイング可能に連結し、アッパリンク17の前端連結部17bに緩衝器18の下端部18aを上下スイング可能に連結し、アッパリンク17の中間連結部17cにロッドハンガ16の上部連結部16bを上下スイング可能に連結したことを示す。中間連結部17cは、アッパリンク17の長手方向途中に且つ前端連結部17bより上位に設けたものである。
この図はまた、前輪支持アーム14の割り溝14aが、前輪用車軸を嵌合するための嵌合孔14bまで切り欠かれていることを示す。
【0017】
図4は本発明に係る前輪懸架装置の斜視図であり、前輪懸架装置10の構成部材であるフロントフォーク13のパイプ(フロントフォークパイプ)13a、前輪支持アーム14、プッシュロッド15及び緩衝器18が、左右1個ずつであることを示す。トップ・ボトムブリッジ11,12は、左右の緩衝器18,18に干渉しないように、平面視略コ字形を呈する。また、第1・第2ブラケット53,54及びトルク伝達リンク55も左右1個ずつ備える。左右のトルク伝達リンク55,55は、プッシュロッド15,15に干渉しないように、車体中心側へ若干湾曲したものである。なお、トルク伝達リンク55,55は、プッシュロッド15,15に干渉しなければ、ストレート構造としてもよい。
【0018】
図5は本発明に係る前輪懸架装置の要部を断面した正面図であり、車体中心CLに対し左右対称形の前輪懸架装置10であることを示す。
ロッドハンガ16は、各プッシュロッド15,15の上端部をねじ込む左右のロッド取付部16a,16aと、アッパリンク17に連結する中央の上部連結部16bとを一体に形成した、正面視略逆Y字状の部材である。
アッパリンク17は、左右の緩衝器18,18の下端部18a,18aを連結した1個の部材である。
アッパブラケット19は、トップブリッジ11の下方で左右のフロントフォークパイプ13a,13a間に掛け渡した部材である。アッパブラケット19に、ラバー等の上クッション部材43,43並びに下クッション部材44,44を介して、緩衝器18,18の上端部であるダンパロッド45,45を平面視全方位にスイング可能に吊下げることにより、緩衝器18,18をトップブリッジ11側に連結することができる。すなわち、緩衝器18,18は、トップブリッジ11に直接連結するのではなく、アッパブラケット19を介してトップブリッジ11に連結したものである。なお、緩衝器18,18を、トップブリッジ11に直接連結してもよい。
【0019】
図6は本発明に係る前輪支持アームの平面断面図であり、各連結部分を基準に展開して示す。
この図は、フロントフォーク13,13に前輪支持アーム14,14の前端部(一端部)を連結ピン21,21にて連結し、前輪支持アーム14,14の中間部にプッシュロッド15,15を連結ピン22,22にて連結し、前輪支持アーム14,14の後端部(他端部)間に車軸31を掛け渡し、車軸31に第1ブラケット53,53を取付けたことを示す。
【0020】
次に、上記構成の前輪懸架装置10の作用を、図7〜図9に基づき説明する。図7は本発明に係る前輪懸架装置の作用図(その1)であり、前輪32に下向き荷重が作用していないときの前輪懸架装置10の状態を示す。
前輪32は下限レベルにあり、このときのアッパリンク17は、図に示す下限位置Dにある。この結果、緩衝器18は最も伸張した状態である。緩衝器18の前側面は、フロントフォーク13の前側面とほぼ同一面である。
【0021】
図8は本発明に係る前輪懸架装置の作用図(その2)であり、前輪32が中間レベルにあるときの前輪懸架装置10の状態、すなわち、緩衝器18が図7の状態からある程度収縮したことを示す。
車体フレーム2に自動二輪車1の自重程度の下向き軽荷重が作用すると、この軽荷重は、ヘッドパイプ3→ステアリングステム4→トップ・ボトムブリッジ11,12→フロントフォーク13→前輪支持アーム14→車軸31→前輪32の経路で、路面Fに伝わる。これに対する路面Fからの反力は、前輪32→車軸31→プッシュロッド15→ロッドハンガ16→アッパリンク17の経路で、緩衝器18に伝わる。
この結果、前輪支持アーム14が上記図7の状態から若干上方へスイングし、プッシュロッド15とロッドハンガ16が上昇することによって、アッパリンク17の前端部が上方へスイングするので、緩衝器18は軽荷重に応じたストロークだけ収縮する。このときの緩衝器18の前側面は、フロントフォーク13の前側面とほぼ同一面である。
【0022】
図9は本発明に係る前輪懸架装置の作用図(その3)であり、前輪32が上限レベルにあるときの前輪懸架装置10の状態、すなわち、緩衝器18が最も収縮した状態を示す。
車体フレーム2に下向き重荷重が作用すると、この重荷重は上記図8に示す経路と同じ経路で、路面Fに伝わる。これに対する路面Fからの反力は、前輪32から緩衝器18へ伝わる。この結果、前輪支持アーム14の後部がさらに上方へスイングし、プッシュロッド15とロッドハンガ16が上昇することによって、アッパリンク17の前端部が上限位置Uまで上方へスイングするので、緩衝器18は重荷重に応じたストロークだけ収縮する。このときの緩衝器18の前側面は、フロントフォーク13の前側面とほぼ同一面である。
【0023】
以上の説明から明らかなように、前輪懸架装置10は側面視でボトムブリッジ12から前方へアッパリンク17を上下スイング可能に延ばし、アッパリンク17に緩衝器18の下端部を連結し、緩衝器18の上端部をトップブリッジ1側のアッパブラケット19に連結したものである。この図9において、アッパリンク17は、想像線にて示す下限位置Dと実線にて示す上限位置Uとの範囲で、スイング角度θだけ上下スイングする。アッパリンク17がスイングすると、緩衝器18はアッパブラケット19を基準に前後スイングする。
【0024】
ところで、緩衝器18の中心は、フロントフォーク13の中心にほぼ一致するように設定したものである。しかも、緩衝器18の最大径である懸架ばね42の外径は、フロントフォーク13の径と概ね等しく設定したものである。さらに、緩衝器18が最も収縮した状態において、側面視でアッパリンク17はフロントフォーク13とほぼ直交する向きの上限位置Uにある。従って、アッパリンク17のスイング角度θ範囲において、すなわち、前輪32の昇降範囲において、緩衝器18がフロントフォーク13の前方へ張り出すことはない。
【0025】
図10は本発明のリンク構造がZ字リンクであることの説明図であり、フロントフォーク13に前輪支持アーム14をスイング可能に取付け、この前輪支持アーム14の先端(図右端)に前輪32の車軸31を取付け、前輪支持アーム14の途中からプッシュロッド15を立て、このプッシュロッド15の上端をアッパリンク17の一端又はその近傍に連結し、このアッパリンク17の他端(右端)をボトムブリッジ12にスイング可能に取付け、アッパリンク17を懸架ばね42の下端に連結し、車体を側面から見たときにアッパリンク17の一端をフロントフォーク13とほぼ重なる位置まで延ばすことで、太線で示したように前輪支持アーム14とプッシュロッド15とアッパリンク17とでZ字リンクを構成したことを特徴とする。
【0026】
図から明らかなように、太線で示すZ字リンクは角度αと角度βが互いに異なる非平行リンクであり、これらの角度α,βを必要に応じて自由に設定し、前輪支持アーム14やアッパリンク17の寸法(長さ)を自由に設定することができるので、懸架ばね42の設計の自由度を増すことができる。
また、フロントフォーク13にプッシュロッド15の上部を交差させることができるので、フロントフォーク13にプッシュロッド15の上部を近接させることができ、フロントフォーク13廻りを複雑な構造にすることなく、見栄え良くすることができるとともに、フロントフォーク13廻りの慣性モーメントを小さくして、操舵性を高めることができる。
【0027】
次に、フロントフォーク13に前輪支持アーム14を止めるピボット軸21を、フロントフォーク13の中心より後輪側へδだけオフセットさせたことを特徴とする。この結果、フロントフォーク13とプッシュロッド15下部とのスペースSを適性に確保することができ、トルク伝達リンク55などの懸架部品を楽に配置することができる。
【0028】
次に、前輪支持アーム14の形状及び作用について図11〜図13に基づいて述べる。
図11は下に凸の前輪支持アームを備えた前輪懸架装置の略図であり、前記図10をベースとした図面であって、前輪支持アーム14は下に凸のV字アームである。図でフロントフォーク13とプッシュロッド15との間に十分に大きなスペースSが存在する。この状態から前輪32が相対的に上昇すると、連結ピン22はピボット軸21を中心とした円弧に沿ってA点まで移動する。この結果、スペースSは増加する。従って、このスペースSに部品を配置することに困難さはない。
【0029】
図12は棒状の前輪支持アームを備えた前輪懸架装置の略図であり、この前輪支持アーム14Bは、ピボット軸21、連結ピン22並びに車軸31がほぼ一直線に並んだ単純な棒状アームである。図でフロントフォーク13とプッシュロッド15との間にスペースS1が存在しており、この状態から前輪32が相対的に上昇すると、連結ピン22はピボット軸21を中心とした円弧に沿ってB点まで移動する。この結果、スペースS1は狭くなる。従って、このスペースS1に部品を配置するには注意を要する。
【0030】
図13は上に凸の前輪支持アームを備えた前輪懸架装置の略図であり、この前輪支持アーム14Cは上に凸のへ字状アームである。図でフロントフォーク13とプッシュロッド15との間にスペースS2が存在しており、この状態から前輪32が相対的に上昇すると、連結ピン22はピボット軸21を中心とした円弧に沿ってC点まで移動する。この結果、スペースS2は極端に狭くなる。従って、このスペースS2に部品を配置するには格別に注意を要する。
【0031】
以上の図11〜図13を考察すると、十分に大きなスペースを確保できると言う点では、上に凸のへ字状アーム形前輪支持アーム14C(図13)に比較して、下に凸のV字アーム形前輪支持アーム14(図11)がより好適であり、棒状前輪支持アーム14B(図12)は両者の中間であることが分かる。
【0032】
図14は図2の変更実施例を示す図であり、この前輪懸架装置10では、プッシュロッド15は非ストレート、具体的にはヘの字形状の湾曲プッシュロッドとしたことを特徴とする。他の構成は図2と同一であるから、符号を流用して詳細な説明は省略する。
湾曲プッシュロッドを採用したにもかかわらず、ピボット軸21、プッシュロット15の下端の連結ピン22、プッシュロッド15の上端の連結ピン25及びアッパリンク17基部の連結ピン23を結んだ線分(太線)が図示するごとく、Z字リンクを構成する。
【0033】
従って、請求項1での「前輪支持アームとプッシュロッドとアッパリンクとでZ字リンクを構成した」は、ピボット軸21、プッシュロット15の下端の連結ピン22、プッシュロッド15の上端の連結ピン25及びアッパリンク17基部の連結ピン23を結ぶことでZ字リンクを構成したことを含む。
【0034】
尚、本実施例ではトレーリング式サスペンションを例に説明したが、本発明のZ字リンク構造並びにδだけオフセットさせることをリーディング式サスペンションに適用することは差支えない。
また、本発明の前輪懸架装置は、自動二輪車に好適であるが、エンジンを搭載しない二輪車(自転車)に採用することもできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の前輪懸架装置は、基本的にボトムリンク式サスペンションであるが、前輪支持アームとプッシュロッドとアッパリンクとでZ字リンクにすることで、プッシュロッドの上部をフロントフォークに近接させることができ、フロントフォーク廻りを複雑な構造にすることなく、見栄え良くすることができる。
更に、Z字リンクであるから、構成部材の長さ、取付け姿勢、相対角度を自由に選ぶことができ、懸架ばねの設計の自由度を増すことができる。
加えて、フロントフォークに前輪支持アームを止めるピボット軸を、フロントフォークの中心より後輪側へオフセットさせたことを特徴とし、フロントフォークのピボット軸を後輪側へ寄せることにより、プッシュロッドの下部をフロントフォークから離し、懸架装置を構成する部品の収納スペースを確保することができる。
【0036】
請求項2は、V字アームの屈曲部分にプッシュロッドの下端を連結している連結ピンが備えられているので、フロントフォークとプッシュロッドとの間に十分に大きなスペースが存在する。この状態から前輪に路面からの反力が作用することにより、連結ピンはピボット軸を中心とした円弧に沿って移動するので、フロントフォークとプッシュロッドとの間のスペースが増加する。従って、このスペースに部品を配置することに困難さはない。そのため、スペースをより好適に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の前半部の側面図
【図2】本発明に係る前輪懸架装置の側面図
【図3】本発明に係る前輪懸架装置の分解側面図
【図4】本発明に係る前輪懸架装置の斜視図
【図5】本発明に係る前輪懸架装置の要部を断面した正面図
【図6】本発明に係る前輪支持アームの平面断面図
【図7】本発明に係る前輪懸架装置の作用図(その1)
【図8】本発明に係る前輪懸架装置の作用図(その2)
【図9】本発明に係る前輪懸架装置の作用図(その3)
【図10】本発明のリンク構造がZ字リンクであることの説明図
【図11】下に凸の前輪支持アームを備えた前輪懸架装置の略図
【図12】棒状の前輪支持アームを備えた前輪懸架装置の略図
【図13】上に凸の前輪支持アームを備えた前輪懸架装置の略図
【図14】図2の変更実施例を示す図
【図15】従来の代表的なボトムリンク式サスペンションの原理図
【符号の説明】
1…二輪車(自動二輪車)、2…車体フレーム、10…前輪懸架装置、13…フロントフォーク、14…前輪支持アーム、15…プッシュロッド、17…アッパリンク、21…ピボット軸、31…車軸(前輪用車軸)、32…前輪、42…懸架ばね、δ…オフセット量。

Claims (2)

  1. フロントフォークに前輪支持アームをスイング可能に取付け、この前輪支持アームの先端に前輪の車軸を取付け、前輪支持アームの途中からプッシュロッドを立て、このプッシュロッドの上端をボトムブリッジ付近に配置したアッパリンクの一端又はその近傍に連結し、このアッパリンクの他端をボトムブリッジにスイング可能に取付け、アッパリンクを緩衝器の下端に連結し、車体を側面から見たときに前記アッパリンクの一端をフロントフォークとほぼ重なる位置まで延ばすことで、前輪支持アームとプッシュロッドとアッパリンクとでZ字リンクを構成した二輪車の前輪懸架装置において、
    前記フロントフォークに前輪支持アームを止めるピボット軸を、フロントフォークの中心より後輪側へオフセットさせたことを特徴とする二輪車の前輪懸架装置。
  2. 前記前輪支持アームは、下に凸のV字アームであり、このV字アームの屈曲部分に前記プッシュロッドの下端を連結している連結ピンが備えられ、
    この連結ピンは、前記前輪に路面からの反力が作用することにより、前記ピボット軸を中心とした円弧に沿って移動するようにしたことを特徴とする請求項1記載の二輪車の前輪懸架装置。
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