JP2024026226A - アンジオポエチン様4抗体および使用法 - Google Patents

アンジオポエチン様4抗体および使用法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒトアンジオポエチン様4タンパク質(ANGPTL4)に結合する単離抗体または断片、ならびに該単離抗体または断片を含む医薬組成物を提供する。【解決手段】単離抗ANGPTL4抗体またはその断片であって、LPLのANGPTL4タンパク質への結合を遮断する、または、ForteBio動態結合アッセイにより測定される45pM以下のKDまたは溶液平衡滴定アッセイにより測定される24pM以下のKDで、ヒトANGPTL4タンパク質に結合する、単離抗体または断片、ならびに、該単離抗体または断片を含む医薬組成物を提供する。【選択図】なし

Description

発明の背景
アンジオポエチン様4タンパク質(ANGPTL4)とは、分泌タンパク質のアンジオ
ポエチン様ファミリーのメンバーである。ANGPTL4は、二量体および四量体を形成
することが可能なホモオリゴマータンパク質であって、マクロファージ、脂肪、筋肉、お
よび肝細胞を含む細胞型によって発現するホモオリゴマータンパク質である。ANGPT
L4はまた、肝臓フィブリノーゲン/アンジオポエチン関連タンパク質(HFARP)(
Kim et al. (2000) Biochem. J. 346:603-610)、PPARガンマアンジオポエチン関連
タンパク質(PGAR)(Yoon, et al. (2000) Mol. Cell Biol., 20:5343-5349)、お
よび空腹誘導性脂肪細胞因子(FIAF)(Kerten et al. (2000) J. Biol. Chem., 275
:28488-28493)としても公知である。ANGPTL4は、N末端のコイルドコイルドメイ
ンと、C末端のフィブリノーゲン(FBN)様ドメインとを含有する(Kim et al. (2000
) Biochem. J. 346:603-610)。
リポタンパク質リパーゼ(LPL)は、血中のリポタンパク質レベルの維持を含み、そ
の活性の組織特異的調節を介するリポタンパク質代謝において、中心的な役割を果たす。
ANGPTL4のコイルドコイル領域は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)に媒介され
るトリグリセリド(TG)クリアランスを阻害することが公知である。したがって、AN
GPTL4の機能喪失突然変異(例えば、ヒト対象において見られる)、遺伝子の欠失(
例えば、トランスジェニックマウスにおいて見られる)、および抗体による阻害(例えば
、マウスおよびカニクイザルにおいて見られる)は全て、血漿トリグリセリドを減少させ
ることが観察されている。さらに、ANGPTL4抗体はまた、LPLを活性化させるこ
とが公知でもある。逆に、ANGPTL4の、マウスへの注射は、循環トリグリセリドの
急速な増大をもたらし、この速度は、アンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3
)を注射した場合より大きい(Yoshida et al. (2002) J Lipid Res 43:1770-1772)。
本発明で記載される抗ANGPTL4抗体および抗原結合性断片は、例えば、ANGP
TL4によるLPLの阻害を遮断し、これにより、血漿トリグリセリドを減少させること
により、LPLの活性化を開始、促進、または増強する。これらの抗体は、トリグリセリ
ドレベルの上昇を特徴とする疾患、例えば、原発性脂質異常症(primary dyslipidemia)
、高トリグリセリド血症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病などの、急性症状お
よび慢性症状を防止および改善することが期待される。
発明の要旨
本発明は、ヒトアンジオポエチン様4タンパク質(以下、場合によって、「ANGPT
L4」と称する)に結合するモノクローナル抗体、ならびにこれを含む医薬組成物および
処置方法に関する。
本明細書で記載される単離抗ANGPTL4抗体または抗原結合性断片は、100pM
以下の平衡解離定数(K)で、ANGPTL4に結合する。例えば、本明細書で記載さ
れる単離抗体または抗原結合性断片は、150nM以下、50nM以下、10nM以下、
750pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、
200pM以下、100pM以下、75pM以下、65pM以下、60pM以下、55p
M以下のKで、ヒトANGPTL4に結合しうる。より具体的には、本明細書で記載さ
れる単離抗体または抗原結合性断片はまた、ForteBio動態結合アッセイにより測
定される45pM以下のK、または溶液平衡滴定アッセイ(SET)により測定される
24pM以下のKで、ヒトANGPTL4に結合することも可能であり、また、For
teBio動態結合アッセイにより測定される87pM以下のK、またはSETにより
測定される22pM以下のKで、カニクイザルANGPTL4にも結合しうる。
本発明は、ヒトANGPTL4に結合する、単離抗体またはその抗原結合性断片に関す
る。本発明はまた、ANGPTL4に結合し、表1に記載されている抗体との結合につい
てさらに競合する、単離抗体またはその抗原結合性断片にも関する。本発明はまた、表1
に記載されている抗体と同じエピトープに結合する単離抗体またはその抗原結合性断片に
もさらに関する。
本明細書で記載される単離抗体および抗原結合性断片の結合アフィニティーは、溶解平
衡滴定(SET)により決定することができる。当技術分野では、SET法が知られてお
り、以下でさらに詳細に記載される。代替的に、本明細書で記載される単離抗体または断
片の結合アフィニティーは、Biacoreアッセイにより決定することもできる。当技
術分野では、Biacore反応速度アッセイ法が知られており、以下でさらに詳細に記
載される。
本明細書で記載される単離抗ANGPTL4抗体および抗原結合性断片を使用して、1
00nM以下、50nM以下、35nM以下、25nM以下、10nM以下、または3n
M以下のEC50で、ANGPTL4の、リポタンパク質リパーゼ(LPL)への結合を
阻害することができる。
単離抗ANGPTL4抗体またはその抗原結合性断片を使用して、循環トリグリセリド
(TG)レベルを低減することができる。
本明細書で記載される単離抗ANGPTL4抗体またはそれらの抗原結合性断片は、モ
ノクローナル抗体、ヒト抗体またはヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F
v断片、F(ab’)2断片、またはscFv断片、および/またはIgGアイソタイプ
でありうる。
本明細書で記載される単離抗ANGPTL4抗体またはそれらの抗原結合性断片はまた
、アミノ酸が、ヒトVH生殖細胞系列配列またはヒトVL生殖細胞系列配列のそれぞれに
由来する抗体フレームワークへと置換されたフレームワークも含みうる。
本発明の別の態様は、表1に記載されているヒト化抗体の完全重鎖および軽鎖配列を有
する単離抗体またはその抗原結合性断片を含む。より具体的には、単離抗体またはその抗
原結合性断片は、NEG276、NEG276-LALA、NEG278、NEG310
、NEG313、NEG315、NEG318、NEG319の重鎖および軽鎖配列を有
しうる。
本発明のさらなる態様は、表1に記載されているヒト化抗体の重鎖および軽鎖可変ドメ
イン配列を有する単離抗体またはその抗原結合性断片を含む。より具体的には、単離抗体
またはその抗原結合性断片は、NEG276、NEG276-LALA、NEG278、
NEG310、NEG313、NEG315、NEG318、NEG319の重鎖および
軽鎖可変ドメイン配列を有しうる。
本発明はまた、配列番号7、32、52、72、92、112、および132からなる
群から選択される重鎖CDR1、配列番号8、33、53、73、93、113、および
133からなる群から選択される重鎖CDR2、ならびに配列番号9、34、54、74
、94、114、および134からなる群から選択される重鎖CDR3を含み、ヒトAN
GPTL4に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片にも関する。別の態様では、こ
のような単離抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17、42、62、82、10
2、122、および142からなる群から選択される軽鎖CDR1、配列番号18、43
、63、83、103、123、および143からなる群から選択される軽鎖CDR2、
ならびに配列番号19、44、64、84、104、124、および144からなる群か
ら選択される軽鎖CDR3をさらに含む。
本発明はまた、配列番号17、42、62、82、102、122、および142から
なる群から選択される軽鎖CDR1、配列番号18、43、63、83、103、123
、および143からなる群から選択される軽鎖CDR2、ならびに配列番号19、44、
64、84、104、124、および144からなる群から選択される軽鎖CDR3を含
み、ヒトANGPTL4に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片にも関する。
本発明はまた、ANGPTL4に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって
、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3、ならびにLCDR1、LCDR2、およ
びLCDR3を有し、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3が、配列番号7、8、
および9を含み、LCDR1、LCDR2、LCDR3が、配列番号17、18、および
19を含むか;またはHCDR1、HCDR2、およびHCDR3が、配列番号32、3
3、および34を含み、LCDR1、LCDR2、LCDR3が、配列番号42、43、
および44を含むか;またはHCDR1、HCDR2、およびHCDR3が、配列番号5
2、53、および54を含み、LCDR1、LCDR2、LCDR3が、配列番号62、
63、および64を含むか;またはHCDR1、HCDR2、およびHCDR3が、配列
番号72、73、および74を含み、LCDR1、LCDR2、LCDR3が、配列番号
82、83、および84を含むか;またはHCDR1、HCDR2、およびHCDR3が
、配列番号92、93、および94を含み、LCDR1、LCDR2、LCDR3が、配
列番号102、103、および104を含むか;またはHCDR1、HCDR2、および
HCDR3が、配列番号112、113、および114を含み、LCDR1、LCDR2
、LCDR3が、配列番号122、123、および124を含むか;またはHCDR1、
HCDR2、およびHCDR3が、配列番号132、133、および134を含み、LC
DR1、LCDR2、LCDR3が、配列番号142、143、および144を含む、単
離抗体またはその抗原結合性断片にも関する。
本発明はまた、Chothiaにより規定される、配列番号13、38、58、78、
98、118、および138の重鎖可変ドメインのHCDR1、HCDR2、およびHC
DR3、ならびに配列番号23、48、68、88、108、128、および148の軽
鎖可変ドメインのLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有する抗体または抗原結
合性断片にも関する。本発明の別の態様では、抗体または抗原結合性断片は、Kabat
により規定される、配列番号13、38、58、78、98、118、および138の重
鎖可変ドメイン配列のHCDR1、HCDR2、およびHCDR3、ならびに配列番号2
3、48、68、88、108、128、および148の軽鎖可変ドメイン配列のLCD
R1、LCDR2、およびLCDR3を有しうる。
本発明の一態様では、単離抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号13、38、5
8、78、98、118、および138からなる群から選択される重鎖可変ドメイン配列
を含む。単離抗体または抗原結合性断片は、軽鎖可変ドメイン配列をさらに含むことが可
能であり、この場合、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとは、組み合わさって、AN
GPTL4に対する抗原結合性部位を形成する。特に、軽鎖可変ドメイン配列は、配列番
号23、48、68、88、108、128、および148から選択することができ、こ
の場合、前記単離抗体またはその抗原結合性断片は、ANGPTL4に結合する。
本発明はまた、配列番号23、48、68、88、108、128、および148から
なる群から選択される軽鎖可変ドメイン配列を含み、ANGPTL4に結合する単離抗体
またはその抗原結合性断片にも関する。単離抗体または抗原結合性断片は、重鎖可変ドメ
イン配列をさらに含むことが可能であり、この場合、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメイ
ンとは、組み合わさって、ANGPTL4に対する抗原結合性部位を形成する。
特に、ANGPTL4に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号13
および23;38および48;58および68;78および88;98および108;1
18および128;または138および148、の配列をそれぞれ含む、重鎖および軽鎖
可変ドメインを有しうる。
本発明はさらに、配列番号13、38、58、78、98、118、および138から
なる群から選択される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを
含む単離抗体またはその抗原結合性断片にも関し、この場合、前記抗体は、ANGPTL
4に結合する。一態様では、単離抗体またはその抗原結合性断片はまた、配列番号23、
48、68、88、108、128、および148からなる群から選択される配列と少な
くとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインも含む。本発明のさらなる態様では
、単離抗体または抗原結合性断片は、Kabatにより規定され、表1に記載されている
、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を
有する。
本発明はまた、配列番号23、48、68、88、108、128、および148から
なる群から選択される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを
有する単離抗体またはその抗原結合性断片にも関し、この場合、前記抗体は、ANGPT
L4に結合する。
本発明の別の態様では、ANGPTL4に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片
は、配列番号15、28、40、60、80、100、120、および140の配列を含
む重鎖を有しうる。単離抗体はまた、重鎖と組み合わさって、ヒトANGPTL4に対す
る抗原結合性部位を形成しうる軽鎖も含みうる。特に、軽鎖は、配列番号25、50、7
0、90、110、130、および150を含む配列を有しうる。特に、ANGPTL4
に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号15および25;28および
25;40および50;60および70;80および90;100および110;120
および130;または140および150、のそれぞれの配列を含む重鎖および軽鎖を有
しうる。
本発明はなおさらに、配列番号15、28、40、60、80、100、120、およ
び140からなる群から選択される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖を
含む単離抗体またはその抗原結合性断片にも関し、この場合、前記抗体は、ANGPTL
4に結合する。一態様では、単離抗体またはその抗原結合性断片はまた、配列番号25、
50、70、90、110、130、および150からなる群から選択される配列と少な
くとも90%の配列同一性を有する軽鎖も含む。
本発明はなおさらに、配列番号25、50、70、90、110、130、および15
0からなる群から選択される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖を含む単
離抗体またはその抗原結合性断片にも関し、この場合、前記抗体は、ANGPTL4に結
合する。
本発明はなおさらに、結合について、本明細書で記載される抗体または抗原結合性断片
、例えば、ヒト化抗体であるNEG276、NEG276-LALA、NEG278、N
EG310、NEG313、NEG315、NEG318、およびNEG319と競合す
る、単離抗体または抗原結合性断片にも関する。一実施形態では、2つの抗体または抗原
結合性断片が、等モル濃度で存在する場合、本発明の単離抗体または抗原結合性断片は、
NEG276、NEG276-LALA、NEG278、NEG310、NEG313、
NEG315、NEG318、およびNEG319から選択されるヒト化抗体によるAN
GPTL4の結合を、50%を超えて阻害することが可能である。
別の実施形態では、2つの抗体または抗原結合性断片が、等モル濃度で存在する場合、
本発明の単離抗体または抗原結合性断片は、NEG276、NEG276-LALA、N
EG278、NEG310、NEG313、NEG315、NEG318、およびNEG
319から選択されるヒト化抗体によるANGPTL4の結合を、80%を超えて阻害す
ることが可能である。さらに他の実施形態では、2つの抗体または抗原結合性断片が、等
モル濃度で存在する場合、本発明の単離抗体または抗原結合性断片は、NEG276、N
EG276-LALA、NEG278、NEG310、NEG313、NEG315、N
EG318、およびNEG319から選択されるヒト化抗体によるANGPTL4の結合
を、85%(または90%、95%、98%、または99%)を超えて阻害することが可
能である。
本発明はまた、本明細書で記載される単離抗体またはその抗原結合性断片を含む組成物
にも関する。本発明は同様に、医薬的に許容される担体と組み合わせた抗体組成物にも関
する。具体的に、本発明はさらに、例えば、ヒト化抗体であるNEG276、NEG27
6-LALA、NEG278、NEG310、NEG313、NEG315、NEG31
8、NEG319など、表1の抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を含む。
本発明はまた、表1の単離抗体またはそれらの抗原結合性断片のうちの2つ以上の組合せ
を含む医薬組成物にも関する。
本発明はまた、配列番号13、38、58、78、98、118、および138から選
択される配列を有する、重鎖可変ドメインをコードする単離核酸配列にも関する。特に、
核酸は、配列番号14、27、39、59、79、99、119、および139からなる
群から選択される配列と少なくとも90%の配列同一性の配列(a sequence at least 90
% sequence identity)を有する。本発明のさらなる態様では、配列は、配列番号14、
27、39、59、79、99、119、または139である。
本発明はまた、配列番号23、48、68、88、108、128、および148から
選択される配列を有する軽鎖可変ドメインをコードする単離核酸配列にも関する。特に、
核酸は、配列番号24、31、49、69、89、109、129、および149からな
る群から選択される配列と少なくとも90%の配列同一性の配列(a sequence at least
90% sequence identity)を有する。本発明のさらなる態様では、配列は、配列番号24
、31、49、69、89、109、129、または149である。
本発明はまた、配列番号23、48、68、88、108、128、および148から
なる群から選択される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを
含むポリペプチドをコードする配列を含む単離核酸にも関する。
本発明はまた、本明細書で記載される核酸分子のうちの1つまたは複数を含むベクター
にも関する。
本発明はまた、上記で記載した抗体の重鎖をコードする組換えDNA配列と、上記で記
載した抗体の軽鎖をコードする第2の組換えDNA配列とを含む単離宿主細胞にも関し、
この場合、前記DNA配列は、プロモーターに作動可能に連結され、宿主細胞内で発現す
ることが可能である。抗体は、ヒト化抗体でありうることが企図される。また、宿主細胞
は、非ヒト哺乳動物細胞であることも企図される。
細胞は、ヒト細胞であることが企図される。細胞は、対象中にあることがさらに企図さ
れる。一実施形態では、細胞は、内皮細胞であることが企図される。他の実施形態では、
細胞は、脂肪、筋肉、および肝細胞のうちの1つまたは複数でありうる。対象は、ヒトで
あることがなおさらに企図される。
本発明はまた、患者におけるANGPTL4関連障害を処置、改善、または防止する方
法であって、患者へと、有効量の、本明細書で記載される抗体またはその抗原結合性断片
を含む組成物を投与するステップを含む、方法にも関する。一態様では、ANGPTL4
関連障害は、高トリグリセリド血症(例えば、重度の高トリグリセリド血症(例えば、血
漿トリグリセリド濃度が>500mg/dLである)、肥満と関連する高トリグリセリド
血症、およびV型高トリグリセリド血症)と関連する。他の態様では、ANGPTL4関
連障害は、原発性脂質異常症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病と関連する。患
者は、ヒトであることも企図される。
前出の単離抗体またはそれらの抗原結合性断片のうちのいずれも、モノクローナル抗体
またはその抗原結合性断片でありうる。
定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本
発明が関する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
「ANGPTL4タンパク質」または「ANGPTL4抗原」または「ANGPTL4
」という用語は、互換的に使用され、異なる種におけるアンジオポエチン様4(ANGP
TL4)タンパク質を指す。例えば、ヒトANGPTL4は、表1(配列番号1)に示さ
れる配列を有し、先行の報告および文献(Nature, Vol. 386, p. 73-77, 1997;Genomics
, Vol. 54, No. 2, p. 191-199, 1998;Biochem. J., Vol. 339, Part 1, P. 177-184, 1
999;Genbank受託番号:NP002534)において記載されている。ANGP
TL4は、N末端のコイルドコイルドメインと、C末端のフィブリノーゲン(FBN)様
ドメインとを含有する(Kim et al. (2000) Biochem. J. 346:603-610)。ANGPTL
4は、二量体および四量体を形成することが可能なホモオリゴマータンパク質であって、
マクロファージ、脂肪、筋肉、および肝細胞を含む細胞型によって発現し、リポタンパク
質リパーゼ(LPL)に媒介されるトリグリセリド(TG)クリアランスを阻害すること
が公知の、ホモオリゴマータンパク質である。
加えて、本発明の文脈では、「ANGPTL4」という用語は、天然のアンジオポエチ
ン様4(ANGPTL4)タンパク質の突然変異体であって、上述の報告において記載さ
れている、天然の一次構造(アミノ酸配列)のアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列
を有する、突然変異体を含む。本明細書では、「実質的に同じアミノ酸配列を有する、天
然のヒトアンジオポエチン様4(ANGPTL4)タンパク質の突然変異体」という用語
は、このような突然変異体のタンパク質を指す。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、全抗体および任意の抗原結合性断片(す
なわち、「抗原結合性部分」)またはそれらの単鎖体を意味する。全抗体は、ジスルフィ
ド結合により相互接続される少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む
糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、VHと略記する)および
重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメインであるCH1、CH2、およびC
H3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、VLと略記する)および軽鎖定常
領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメインであるCLを含む。VH領域およびVL領
域は、フレームワーク領域(FR)と称するより保存的な領域を散在させた、相補性決定
領域(CDR)と称する超可変性の領域へとさらに細分することができる。各VHおよび
各VLは、アミノ末端からカルボキシ末端へと、以下の順序で配置される3つのCDRお
よび4つのFR:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4から
なる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合性ドメインを含有する。抗
体の定常領域は、免疫グロブリンの、宿主組織または免疫系の多様な細胞(例えば、エフ
ェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(Clq)を含む因子への結合を媒介し
うる。
本明細書で使用される、抗体の「抗原結合性部分」または「抗原結合性断片」という用
語は、所与の抗原(例えば、ヒト酸化LDL受容体(ANGPTL4))に特異的に結合
する能力を保持する、インタクトな抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合
性機能は、インタクトな抗体の断片により果たされうる。抗体の抗原結合性部分または抗
原結合性断片という用語内に包含される結合性断片の例は、Fab断片、VLドメイン、
VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる一価断片;ヒンジ領域にお
いてジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab
断片;VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームの
VLドメインおよびVHドメインからなるFv断片;VHドメインまたはVLドメインか
らなる単一ドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al., 1989 Nature 341:544-546);な
らびに単離相補性決定領域(CDR)を含む。
さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLドメインおよびVHドメインは、個別の
遺伝子によりコードされるが、組換え法を使用して、それらを単一のタンパク質鎖として
作製することを可能とする人工のペプチドリンカーにより付着することができ、この場合
、VL領域およびVH領域は、対合して一価分子(単鎖Fv(scFv)として公知であ
り、例えば、Bird et al., 1988 Science 242:423-426;およびHuston et al., 1988 Pro
c. Natl. Acad. Sci. 85:5879-5883を参照されたい)を形成する。このような単鎖抗体は
、抗体の1つまたは複数の抗原結合性部分または抗原結合性断片を含む。これらの抗体断
片は、当業者に公知の従来の技法を使用して得られ、断片も、インタクトな抗体と同じ形
で有用性についてスクリーニングされる。
抗原結合性断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボデ
ィ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR、およびbis-scFv
(例えば、Hollinger and Hudson, 2005, Nature Biotechnology, 23, 9, 1126-1136を参
照されたい)へと組み込むこともできる。抗体の抗原結合性部分は、III型フィブロネ
クチン(Fn3)などのポリペプチド(フィブロネクチンポリペプチドモノボディについ
て記載する米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)に基づく足場へとグ
ラフトすることができる。
抗原結合性断片は、相補的な軽鎖ポリペプチドと併せて抗原結合性領域の対を形成する
、タンデムFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)の対を含む単鎖分子へと組み
込むことができる(Zapata et al., 1995 Protein Eng. 8(10):1057-1062;および米国特
許第5,641,870号明細書)。
本明細書で使用される「アフィニティー」という用語は、単一の抗原性部位における抗
体と抗原との間の相互作用の強度を指す。各抗原性部位内では、抗体「アーム」の可変領
域は、多数の部位において、弱い非共有結合的力を介して抗原と相互作用し、相互作用が
大きいほど、アフィニティーは強くなる。抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fa
b断片)について本明細書で使用される「高アフィニティー」という用語は一般に、KD
が10-9M以下の抗体または抗原結合性断片を指す。
「アミノ酸」という用語は、自然発生のアミノ酸および合成アミノ酸のほか、自然発生
のアミノ酸と同様の形で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体も指す。自然発生
のアミノ酸とは、遺伝子コードによりコードされるアミノ酸のほか、後で修飾されたアミ
ノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセ
リンでもある。アミノ酸類似体とは、自然発生のアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわ
ち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基、例えば、ホモセリン、ノルロイシン
、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムに結合したアルファ炭素を有
する化合物を指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾
ペプチド骨格を有するが、自然発生のアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ
酸模倣体とは、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、自然発生のアミノ
酸と同様の形で機能する化学化合物を指す。
本明細書で使用される「結合特異性」という用語は、1つの抗原決定基だけと反応する
個別の抗原結合部位の能力を指す。
抗体(例えば、ANGPTL4結合性抗体)に「特異的に(または選択的に)結合する
」という語句は、タンパク質および他の生体物質の異質な集団内のコグネイト抗原(例え
ば、ヒトANGPTL4またはカニクイザルANGPTL4)の存在を決定する結合反応
を指す。本明細書では、「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」という語
句が、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と互換的に使用される。
「ANGPTL4に媒介された」という用語は、ANGPTL4は、リポタンパク質リ
パーゼ(LPL)に媒介されるトリグリセリド(TG)クリアランスを阻害し、これによ
り、トリグリセリドレベルを上昇させることが公知であるという事実を指す。
本明細書で使用される「ANGPTL4関連障害」、「ANGPTL4関連状態」、ま
たは類似の用語は、ANGPTL4ANGPTL4 ANGPTL4に媒介されるL
PLの阻害の低減およびリポタンパク質のモジュレーションが求められる、任意の数の状
態または疾患を指す(any number of conditions or diseases in which ANGPTL4ANGPTL4
a reduction of ANGPTL4-mediated LPL inhibition and lipoprotein modulation is so
ught)。これらの状態は、高脂血症、高リポタンパク血症、および脂質異常症など、脂質
代謝に関与する状態であって、アテローム性脂質異常症、糖尿病性脂質異常症、高トリグ
リセリド血症(例えば、重度の高トリグリセリド血症(例えば、血漿トリグリセリド濃度
が>500mg/dLである)、肥満と関連する高トリグリセリド血症、およびV型高ト
リグリセリド血症)、高コレステロール血症、カイロミクロン血症、混合型脂質異常症(
肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病など)、リポジストロフィー、脂肪萎縮症、な
らびに、例えば、LPL活性の低下および/またはLPLの欠損、LDL受容体の活性の
低下および/またはLDL受容体の欠損、ApoC2の改変、ApoEの欠損、ApoB
の増大、極低密度リポタンパク質(VLDL)の産生の増大および/またはVLDLの消
失の減少、ある種の薬物処置(例えば、グルココルチコイド処置に誘導される脂質異常症
)、任意の遺伝的素因、食餌、生活様式などにより引き起こされる他の状態を含む、状態
を含むがこれらに限定されない。
高脂血症、高リポタンパク血症、および/または脂質異常症と関連するか、またはこれ
らから生じる、他のANGPTL4関連疾患または障害は、アテローム性動脈硬化、動脈
瘤、高血圧症、狭心症、脳卒中、脳血管疾患、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、
末梢血管疾患などの心血管疾患または障害;急性膵炎;非アルコール性脂肪性肝炎(NA
SH);糖尿病などの血糖障害;肥満などを含むがこれらに限定されない。
「キメラ抗体」という用語は、(a)抗原結合性部位(可変領域)を、クラス、エフェ
クター機能、および/もしくは種が異なるか、またはクラス、エフェクター機能、および
/もしくは種を改変された定常領域、あるいはキメラ抗体に新たな特性を付与する全く異
なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などへと連結するように、定
常領域またはその一部を、改変するか、置きかえるか、または交換した抗体分子;あるい
は(b)可変領域またはその一部を、抗原特異性が異なるか、または抗原特異性を改変さ
れた可変領域により改変するか、置きかえるか、またはこれと交換した抗体分子である。
例えば、マウス抗体は、その定常領域を、ヒト免疫グロブリンに由来する定常領域で置き
かえることにより修飾することができる。ヒト定常領域による置きかえに起因して、キメ
ラ抗体は、ヒトにおける抗原性を、元のマウス抗体と比較して低減しながら、抗原の認識
におけるその特異性を保持しうる。
「保存的に修飾された変異体」という用語は、アミノ酸配列および核酸配列のいずれに
も適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体とは、同一なアミノ
酸配列もしくは本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配
列をコードしない場合は、本質的に同一な配列を指す。遺伝子コードの縮重性のために、
多数の機能的に同一な核酸が、所与の任意のタンパク質をコードする。例えば、コドンで
あるGCA、GCC、GCG、およびGCUのいずれも、アミノ酸であるアラニンをコー
ドする。したがって、アラニンがコドンにより指定されるあらゆる位置で、コードされる
ポリペプチドを改変せずに、コドンを、記載された対応するコドンのうちのいずれかへと
改変することができる。このような核酸変異は、保存的に修飾された変異のうちの1種で
ある「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする、本明細書のあらゆる核酸配
列はまた、核酸のあらゆる可能なサイレント変異についても記載する。当業者は、核酸内
の各コドン(通常メチオニンだけのコドンであるAUG、および通常トリプトファンだけ
のコドンであるTGGを除く)を修飾して、機能的に同一な分子をもたらしうることを認
識するであろう。したがって、記載される各配列内では、ポリペプチドをコードする核酸
の各サイレント変異が含意されている。
ポリペプチド配列では、「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸の、化学的に類似
するアミノ酸による置換を結果としてもたらす、ポリペプチド配列への個別の置換、欠失
、または付加を含む。当技術分野では、機能的に類似するアミノ酸を提示する保存的置換
表が周知である。このような保存的に修飾された変異体は、本発明の多型変異体、種間相
同体、および対立遺伝子に追加されるものであり、これらを除外するものではない。以下
の8つの群:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタ
ミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リ
シン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V
);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン
(S)、トレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)は、互いに
対して保存的置換であるアミノ酸を含有する(例えば、Creighton, Proteins(1984)を参
照されたい)。いくつかの実施形態では、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配
列を含有する抗体の結合特徴にそれほど大きな影響を及ぼしたりこれを改変したりしない
アミノ酸修飾を指すのに使用する。
「エピトープ」という用語は、抗体への特異的な結合が可能なタンパク質決定基を意味
する。エピトープは通例、アミノ酸または糖側鎖など、化学的に活性な表面分子群からな
り、通例、特異的な三次元構造特徴のほか、特異的な電荷特徴も有する。コンフォメーシ
ョナルエピトープと非コンフォメーショナルエピトープとは、前者への結合は、変性溶媒
の存在下で失われるが、後者への結合は失われないという点で区別される。
本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク領域およびCDR領
域のいずれもが、ヒト由来の配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図する
。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もまた、このようなヒト配列、例え
ば、ヒト生殖細胞系列配列またはヒト生殖細胞系列配列の突然変異させたバージョンに由
来する。本発明のヒト抗体は、ヒト配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、i
n vitroにおけるランダム突然変異誘発もしくは部位特異的突然変異誘発により導
入された突然変異、またはin vivoにおける体細胞突然変異により導入された突然
変異)を含みうる。
「ヒト化」抗体とは、例えば、マウスモノクローナル抗体、ヒトにおいて治療剤として
投与される場合の免疫原性は小さいが、非ヒト抗体の抗原特異的反応性を保持する抗体で
ある。例えば、Robello et al., Transplantation, 68: 1417-1420を参照されたい。これ
は、例えば、非ヒト抗原結合性領域を保持し、抗体の残りの部分を、それらのヒト対応物
(すなわち、定常領域、ならびに可変領域の結合に関与しない部分)で置きかえることに
より達成することができる。例えば、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 8
1:6851-6855, 1984;Morrison and Oi、Adv. Immunol., 44:65-92, 1989;Verhoeyen et
al., Science, 239:1534-1536, 1988;Padlan, Molec. Immun., 28:489-498, 1991;およ
びPadlan, Molec. Immun., 31:169-217, 1994を参照されたい。ヒト操作技術の他の例は
、米国特許第5,766,886号明細書において開示されているXoma技術を含むが
これらに限定されない。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈における「同一な」または「同一性
」パーセントという用語は、2つ以上の配列または部分配列が同じであることを指す。以
下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用して、または手作業のアライメントおよび
目視により測定される比較域または指定領域にわたり、最大の対応性について比較され、
配列決定された場合の、2つの配列の、指定された百分率のアミノ酸残基またはヌクレオ
チドが同じであれば(すなわち、指定される領域にわたる、または、指定されない場合は
、配列全体にわたる、60%の同一性、任意選択で、65%、70%、75%、80%、
85%、90%、95%、または99%の同一性を有すれば)、2つの配列は「実質的に
同一」である。任意選択で、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド(または10アミ
ノ酸)の長さの領域にわたり、またはより好ましくは、100~500、または1000
ヌクレオチド以上(または20、50、または200アミノ酸以上)の長さの領域にわた
り存在する。
配列比較では、1つの配列が、それに照らして被験配列を比較する基準配列として働く
ことが典型的である。配列比較アルゴリズムを使用する場合、被験配列および基準配列を
コンピュータへと入力し、必要な場合は、部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプロ
グラムパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータを使用することもでき
、代替的なパラメータを指定することもできる。次いで、配列比較アルゴリズムにより、
プログラムパラメータに基づき、被験配列について、基準配列と比べた配列同一性パーセ
ントを計算する。
本明細書で使用される「比較域」は、2つの配列を最適に配列決定した後で、配列を、
同じ数の連続的な位置による基準配列と比較しうる、20~600、通例約50~約20
0、より通例では、約100~約150からなる群から選択される連続的な位置の数のう
ちのいずれか1つによるセグメントに対する言及を含む。当技術分野では、比較のための
配列アライメント法が周知である。比較のための最適な配列アライメントは、例えば、Sm
ith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cによる局所相同性アルゴリズムによ
り行うこともでき、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970による相同性ア
ライメントアルゴリズムにより行うこともでき、Pearson and Lipman, Proc. Nat'l. Aca
d. Sci. USA 85:2444, 1988による類似性の方法の検索(search for similarity method
)により行うこともでき、これらアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisco
nsin Genetics Software Package、Genetics
Computer Group、575 Science Dr.、Madison、W
IにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により行うこと
もでき、手作業のアライメントおよび目視(例えば、Brent et al., Current Protocols
in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.(Ringbou ed., 2003)を参照されたい
)により行うこともできる。
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するのに適するアルゴリズム
の2つの例は、それぞれ、Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402, 1977;お
よびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410, 1990において記載されている、BL
ASTアルゴリズムおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST解析を実
施するためのソフトウェアは、National Center for Biotec
hnology Informationにより公表されている。このアルゴリズムは、
データベース配列内の同じ長さのワードで配列決定したときに、ある正の値の閾値スコア
Tにマッチするかまたはこれを満たす、クエリー配列内の短いワード長Wを同定すること
により、高スコア配列対(HSP)をまず同定することを伴う。Tを、隣接ワードスコア
閾値(Altschul et al.,前出)と称する。これらの初期の隣接ワードヒットが、これらを
含有するより長いHSPを見出す検索を開始するためのシードとして働く。累積アライメ
ントスコアが増大しうる限りにおいて、ワードヒットを、各配列に沿っていずれの方向に
も拡張する。累積スコアは、ヌクレオチド配列では、パラメータM(マッチする残基の対
についてのリウォードスコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルテ
ィースコア;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列では、スコアリングマトリッ
クスを使用して、累積スコアを計算する。累積アライメントスコアが、達成されたその最
大値から量Xだけ低下した場合;1つまたは複数の負スコア残基のアライメントの累積の
ために、累積スコアが、ゼロ以下に低下した場合;または配列のいずれかの末端に達した
場合は、各方向へのワードヒットの拡張を停止させる。BLASTアルゴリズムパラメー
タであるW、T、およびXにより、アライメントの感度および速度が決定される。BLA
STNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)では、11のワード長(W)、10の期待
値(E)、M=5、N=-4をデフォルトとして使用し、両方の鎖の比較を行う。アミノ
酸配列のためのBLASTPプログラムでは、3のワード長、および10の期待値(E)
、および50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff, P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915, 1989を参照されたい)アライメント(B)、10
の期待値(E)、M=5、N=-4をデフォルトとして使用し、両方の鎖の比較を行う。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列の間の類似性についての統計学的解析(例
えば、Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787, 1993を参照さ
れたい)も実施する。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、
2つのヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間のマッチングが偶然に生じる確率の指標
をもたらす最小合計確率(P(N))である。例えば、被験核酸を基準核酸に照らして比
較したときの最小合計確率が約0.2未満であり、より好ましくは、約0.01未満であ
り、最も好ましくは、約0.001未満であれば、核酸は基準配列と類似すると考えられ
る。
2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントはまた、PAM120重みづけ残基表、1
2のギャップ長ペナルティー、および4のギャップペナルティーを使用するALIGNプ
ログラム(バージョン2.0)へと組み込まれた、E. Meyers and W. Miller(Comput. A
ppl. Biosci., 4:11-17, 1988)によるアルゴリズムを使用しても決定することができる
。加えて、2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、Blossom 62マトリ
ックスまたはPAM250マトリックス、および16、14、12、10、8、6、また
は4のギャップ重みづけ、および1、2、3、4、5、または6の長さ重みづけを使用す
る、GCGソフトウェアパッケージ(インターネット上のgcg.comで入手可能である)内
のGAPプログラムへと組み込まれた、Needleman and Wunsch(J. Mol, Biol. 48:444-4
53, 1970)によるアルゴリズムを使用しても決定することができる。
上記で言及した配列同一性百分率以外の、2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的
に同一であることの別の指標は、下記で記載される通り、第1の核酸によりコードされる
ポリペプチドが、第2の核酸によりコードされるポリペプチドに対する抗体と免疫学的に
交差反応性であることである。したがって、例えば、2つのペプチドが保存的置換だけに
よって異なる場合、ポリペプチドは、第2のポリペプチドと実質的に同一なことが典型的
である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、下記で記載される通り
、2つの分子またはそれらの相補体が、厳密な条件下で、互いとハイブリダイズすること
である。2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらに別の指標は、同じプライマー
を使用して配列を増幅しうることである。
「単離抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗
体を指す(例えば、ANGPTL4に特異的に結合する単離抗体は、ANGPTL4以外
の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、ANGPTL4に特異的
に結合する単離抗体は、他の抗原に対する交差反応性を有しうる。さらに、単離抗体は、
他の細胞内物質および/または化学物質を実質的に含まない場合もある。
「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によりもたらされる抗体クラス(
例えば、IgM、IgE、IgG1またはIgG4などのIgG)を指す。アイソタイプ
はまた、これらのクラスのうちの1つの修飾バージョンも含み、その修飾は、Fc機能を
改変する、例えば、エフェクター機能またはFc受容体への結合を増強または低減するよ
うに施されている。
本明細書で使用される「Kassoc」または「K」という用語が、特定の抗体-抗
原間相互作用の会合速度を指すことを意図するのに対し、本明細書で使用される「Kdi
」または「K」という用語は、特定の抗体-抗原間相互作用の解離速度を指すことを
意図する。本明細書で使用される「K」という用語は、KのKに対する比(すなわ
ち、K/K)から得られる解離定数を指すことを意図し、モル濃度(M)として表す
。抗体のK値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる
。抗体のKを決定するための方法は、Biacore(登録商標)システムなどのバイ
オセンサーシステムを使用して表面プラズモン共鳴を測定するか、または溶液平衡滴定(
SET)により溶液中のアフィニティーを測定するステップを含む。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」と
いう用語は、単一の分子組成による抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物
は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性およびアフィニティーを提示する。
本明細書では、「核酸」という用語が、「ポリヌクレオチド」という用語と互換的に使
用され、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらの一本鎖形態ま
たは二本鎖形態におけるポリマーを指す。「核酸」という用語は、公知のヌクレオチド類
似体または修飾骨格残基もしくは修飾連結を含有する核酸であって、合成の核酸、自然発
生の核酸、および非自然発生の核酸であり、基準核酸と同様の結合特性を有し、基準ヌク
レオチドと同様の形で代謝される核酸を包含する。このような類似体の例は、限定なしに
述べると、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチ
ルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)を含む。
別段に指し示されない限りにおいて、特定の核酸配列はまた、保存的に修飾されたその
変異体(例えば、縮重コドン置換)および相補的配列も暗示的に包含するほか、明示的に
指し示される配列も包含する。とりわけ、下記で詳述される通り、縮重コドン置換は、1
つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの第3の位置が、混合塩基および/ま
たはデオキシイノシン残基で置換された配列を作り出すことにより達成することができる
(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081, 1991;Ohtsuka et al., J. Biol. Chem.
260:2605-2608, 1985;およびRossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98, 1994)
「作動可能に連結された」という用語は、2つ以上のポリヌクレオチド(例えば、DN
A)セグメントの間の機能的関係を指す。「作動可能に連結された」という用語は、転写
調節配列の、転写される配列に対する機能的関係を指すことが典型的である。例えば、プ
ロモーター配列またはエンハンサー配列は、それが、適切な宿主細胞内または他の発現系
内のコード配列の転写を刺激またはモジュレートするとき、コード配列に作動可能に連結
されている。一般に、転写される配列に作動可能に連結されたプロモーター転写調節配列
は、転写される配列と物理的に隣接する、すなわち、シス作用型である。しかし、エンハ
ンサーなど、一部の転写調節配列は、その転写をそれらが増強するコード配列に物理的に
隣接する必要も、近接して配置される必要もない。
本明細書で使用される「最適化された」という用語は、ヌクレオチド配列を、産生細胞
または産生生物、一般に、真核細胞、例えば、ピキア(Pichia)属細胞、チャイニーズハ
ムスター卵巣細胞(CHO)、またはヒト細胞において好ましいコドンを使用してアミノ
酸配列をコードするように改変していることを意味する。最適化されたヌクレオチド配列
は、「親」配列としてもまた公知の出発ヌクレオチド配列により本来コードされるアミノ
酸配列を、完全に、または可能な限り多く保持するように操作する。本明細書の最適化さ
れた配列は、哺乳動物細胞において好ましいコドンを有するように操作されている。しか
し、本明細書ではまた、他の真核細胞または原核細胞におけるこれらの配列の最適化され
た発現も企図される。最適化されたヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列も
また、最適化されていると称する。
本明細書では、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語が、アミノ酸残基の
ポリマーを指すように互換的に使用される。「ポリペプチド」および「タンパク質」とい
う用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する自然発生のアミノ酸の人工の化学
的模倣体であるアミノ酸ポリマーのほか、自然発生のアミノ酸ポリマーおよび非自然発生
のアミノ酸ポリマーにも適用される。別段に指し示されない限りにおいて、特定のポリペ
プチド配列はまた、保存的に修飾されたその変異体も暗示的に包含する。
本明細書で使用される「組換えヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン遺伝子に
ついてトランスジェニックまたはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウス)
またはこれにより調製されるハイブリドーマから単離される抗体、ヒト抗体を発現させる
ように形質転換された宿主細胞、例えば、トランスフェクトーマから単離される抗体、組
換えのコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体、およびヒト免疫グロ
ブリン遺伝子 配列の全部または一部の、他のDNA配列へのスプライシングを伴う、他
の任意の手段により調製されるか、発現させるか、創出されるか、または単離される抗体
など、組換え手段により調製されるか、発現させるか、創出されるか、または単離される
、全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域およびCD
R領域が、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかし
、ある種の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、in vitroの突然変異誘
発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を使用する場合は、i
n vivoの体細胞突然変異誘発)にかけることができ、したがって、組換え抗体のV
H領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH配列およびVL配列に
由来し、これらに関連するが、in vivoのヒト抗体の生殖細胞系列レパートリー内
で天然には存在しない可能性がある配列である。
「組換え宿主細胞」(または、簡単に、「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベク
ターを導入した細胞を指す。このような用語は、特定の対象細胞だけを指すことを意図す
るものではなく、このような細胞の子孫細胞も指すことを意図するものであることを理解
されたい。後続する世代では、突然変異または環境的影響に起因して、ある種の修飾が生
じうるため、このような子孫細胞は、実のところ、親細胞と同一ではない可能性もあるが
、やはり本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含む。非ヒト動物は、非ヒト霊長動物
(例えば、カニクイザル)、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、および爬虫類など
、全ての脊椎動物(例えば、哺乳動物および非哺乳動物)を含む。特記される場合を除き
、本明細書では、「患者」または「対象」という用語が互換的に使用される。本明細書で
使用される「カニクイザル(cyno)」または「カニクイザル(cynomolgus)」という用語
は、カニクイザル(cynomolgus monkey)(カニクイザル(Macaca fascicularis))を指
す。
一実施形態では、本明細書で使用される、任意の疾患または障害(例えば、ANGPT
L4関連障害)「~を処置すること」またはこれらの「処置」という用語は、疾患または
障害を改善すること(すなわち、疾患またはその臨床症状のうちの少なくとも1つの発症
を緩徐化するか、停止させるか、または軽減すること)を指す。別の実施形態では、「~
を処置すること」または「処置」とは、患者により識別可能でない可能性があるパラメー
タを含む少なくとも1つの物理的パラメータを緩和または改善することを指す。さらに別
の実施形態では、「~を処置すること」または「処置」とは、疾患または障害を、物理的
にモジュレートする(例えば、識別可能な症状の安定化)か、生理学的にモジュレートす
る(例えば、物理的(physical)パラメータの安定化)か、または物理的かつ生理学的に
モジュレートすることを指す。さらに別の実施形態では、「~を処置すること」または「
処置」とは、疾患または障害の発生または発症または進行を防止するかまたは遅延させる
ことを指す。
例えばANGPTL4関連障害を含む、本明細書で記載される適応に関する場合の「防
止」とは、例えば、前記悪化の危険性がある患者における、下記で記載される、ANGP
TL4関連疾患パラメータの悪化を防止または緩徐化する任意の作用を意味する。
「ベクター」という用語は、それが連結された別のポリヌクレオチドを輸送することが
可能なポリヌクレオチド分子を指すことを意図する。ベクターのうちの1つの種類は、さ
らなるDNAセグメントをライゲーションしうる、環状の二本鎖DNAループを指す「プ
ラスミド」である。ベクターの別の種類は、さらなるDNAセグメントを、ウイルスゲノ
ムへとライゲーションしうる、アデノ随伴ウイルスベクター(AAVまたはAAV2)な
どのウイルスベクターである。ある種のベクター(例えば、細菌の複製起点を有する細菌
ベクターおよび哺乳動物のエピソームベクター)は、それらが導入された宿主細胞におけ
る自己複製が可能である。他のベクター(例えば、非哺乳動物のエピソームベクター)は
、宿主細胞へと導入すると、宿主細胞のゲノムへと組み込むことができ、これにより、宿
主ゲノムと共に複製する。さらに、ある種のベクターは、それらが作動的に連結された遺
伝子の発現を方向付けることが可能である。本明細書では、このようなベクターを、「組
換え発現ベクター」(または簡単に、「発現ベクター」)と称する。一般に、組換えDN
A法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。プラスミドは
ベクターの最も一般的に使用される形態であるので、本明細書では、「プラスミド」と「
ベクター」とを互換的に使用することができる。しかし、本発明は、同等な機能をもたら
すウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ
随伴ウイルス)など、発現ベクターの他の形態も含むことを意図する。
図1A~1Dは、本発明の、選択されたANGPTL4抗体による、ANGPTL4に媒介される、ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)タンパク質の阻害の逆転を描示する図である。 図1A~1Dは、本発明の、選択されたANGPTL4抗体による、ANGPTL4に媒介される、ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)タンパク質の阻害の逆転を描示する図である。 図2は、本発明の、選択された抗体の、全長ヒトANGPTL4およびヒトANGPTL4のN末端のコイルドコイルドメインへの結合と、ヒト全長ANGPTL3への結合の非存在とを描示する図である。ANGPTL3 Ab=ANGPTL3特異的基準抗体(reference antibody)である。 図3A~3Bは、本発明の、選択されたANGPTL4抗体の投与の後の、ヒトANGPTL4トランスジェニックマウスにおける、血漿トリグリセリドレベルの変化を描示する図である。 図4は、本発明の1つのANGPTL4抗体(NEG276-LALA)の投与の後の、肥満した、糖尿病のカニクイザルにおける、血漿総ヒト抗体濃度を描示する図である。 図5は、本発明の1つのANGPTL4抗体(NEG276-LALA)の投与の後の、肥満した、糖尿病のカニクイザルにおける、血漿トリグリセリド(TG)濃度の変化を描示する図である。 図6は、本発明の1つのANGPTL4抗体(NEG276-LALA)の投与の後の、肥満した、糖尿病のカニクイザルにおける、血漿総コレステロール濃度の変化を描示する図である。 図7は、本発明の1つのANGPTL4抗体(NEG276-LALA)の投与の後の、肥満した、糖尿病のカニクイザルにおける、血漿高密度リポタンパク質(HDL)濃度の変化を描示する図である。 図8は、本発明の1つのANGPTL4抗体(NEG276-LALA)の投与の後の、肥満した、糖尿病のカニクイザルにおける、血漿総アポリポタンパク質B(ApoB)濃度の変化を描示する図である。 図9は、本発明の1つのANGPTL4抗体(NEG276-LALA)の投与の後の、肥満した、糖尿病のカニクイザルにおける、血漿アポリポタンパク質C-III(ApoC-III)濃度の変化を描示する図である。 図10は、本発明の1つのANGPTL4抗体の投与の後の、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)による血漿リポタンパク質の分離により評価される、血漿リポタンパク質関連コレステロールレベルの変化を描示する図である。1匹のサルからのデータを示す(NEG276-LALA、サル6296)。略号:TRL=トリグリセリドに富むリポタンパク質;LDL=低密度リポタンパク質;HDL=高密度リポタンパク質。 図11は、本発明の1つのANGPTL4抗体の投与の後の、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)による血漿リポタンパク質の分離により評価される、血漿リポタンパク質関連トリグリセリド(TG)レベルの変化を描示する図である。1匹のサルからのデータを示す(NEG276-LALA、サル6296)。略号:TRL=トリグリセリドに富むリポタンパク質;LDL=低密度リポタンパク質;HDL=高密度リポタンパク質。
詳細な説明
本発明は部分的に、ANGPTL4に特異的に結合し、その生物学的活性を阻害する抗
体分子の発見に基づく。本発明は、完全IgGフォーマットの抗体(例えば、ヒト化抗体
であるNEG276、NEG276-LALA、NEG278、NEG310、NEG3
13、NEG315、NEG318、NEG319)、ならびにFab断片など、これら
の抗原結合性断片の両方に関する。
したがって、本発明は、ANGPTL4(例えば、ヒトANGPTL4)に特異的に結
合する抗体、医薬組成物、このような抗体および組成物の作製法および使用法を提供する
ANGPTL4タンパク質
本発明は、ANGPTL4に特異的に結合し、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活
性化する能力を含む、その生物学的活性を阻害する抗体を提供する。
逆に(conversely)、
アンジオポエチン様4タンパク質(ANGPTL4)とは、分泌タンパク質のアンジオ
ポエチンファミリーのメンバーである。ANGPTL4は、二量体および四量体を形成す
ることが可能なホモオリゴマータンパク質であって、マクロファージ、脂肪、筋肉、およ
び肝細胞を含む細胞型によって発現するホモオリゴマータンパク質である。ANGPTL
4はまた、肝臓フィブリノーゲン/アンジオポエチン関連タンパク質(HFARP)(Ki
m et al. (2000) Biochem. J. 346:603-610)、PPARガンマアンジオポエチン関連タ
ンパク質(PGAR)(Yoon, et al. (2000) Mol. Cell Biol., 20:5343-5349)、およ
び空腹誘導性脂肪細胞因子(FIAF)(Kerten et al. (2000) J. Biol. Chem., 275:2
8488-28493)としても公知である。ANGPTL4は、N末端のコイルドコイルドメイン
と、C末端のフィブリノーゲン(FBN)様ドメインとを含有する(Kim et al. (2000)
Biochem. J. 346:603-610)。
リポタンパク質リパーゼ(LPL)は、リポタンパク質代謝において、血中の正常なリ
ポタンパク質レベルを維持し、その活性の組織特異的調節を介して、いつ、どの組織に、
トリグリセリド(TG)が取り込まれるのかを決定する、中心的な役割を果たす。ANG
PTL4のコイルドコイル領域は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)に媒介されるトリ
グリセリド(TG)クリアランスを阻害することが公知である。したがって、ANGPT
L4の機能喪失突然変異(例えば、ヒト対象において見られる)、遺伝子の欠失(例えば
、トランスジェニックマウスにおいて見られる)、および抗体による阻害(例えば、マウ
スおよびカニクイザルにおいて見られる)は全て、血漿トリグリセリドを減少させること
が観察されている。さらに、ANGPTL4抗体はまた、LPLを活性化させることが公
知でもある。逆に、ANGPTL4の、マウスへの注射は、循環トリグリセリドの急速な
増大をもたらし、この速度は、アンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)を注
射した場合より大きい(Yoshida et al. (2002) J Lipid Res 43:1770-1772)。
本発明で記載される抗ANGPTL4抗体および抗原結合性断片は、例えば、ANGP
TL4によるLPLの阻害を遮断し、これにより、血漿トリグリセリドを減少させること
により、LPLの活性化を開始、促進、または増強する。これらの抗体は、トリグリセリ
ドレベルの上昇を特徴とする疾患、例えば、原発性脂質異常症、高トリグリセリド血症、
メタボリックシンドローム、II型糖尿病などの、急性症状および慢性症状を防止および
改善することが期待される。
本発明で記載される抗ANGPTL4抗体および抗原結合性断片は、例えば、ANGP
TL4によるLPLの阻害を遮断し、これにより、血漿トリグリセリドを減少させること
により、LPLの活性化を開始、促進、または増強する。これらの抗体は、トリグリセリ
ドレベルの上昇を特徴とする疾患、例えば、原発性脂質異常症、高トリグリセリド血症、
メタボリックシンドローム、II型糖尿病などの、急性症状および慢性症状を防止および
改善することが期待される。
ANGPTL4抗体および抗原結合性断片
本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態で
は、本発明は、ヒト、およびカニクイザルANGPTL4にも特異的に結合する抗体を提
供する。本発明の抗体は、実施例で記載される通りに単離されたヒト化抗体およびFab
を含むがこれらに限定されない。
本発明は、ANGPTL4タンパク質(例えば、ヒト、およびカニクイザルANGPT
L4)に特異的に結合する抗体であって、配列番号13、38、58、78、98、11
8、および138のアミノ酸配列を有するVHドメインを含む抗体を提供する。本発明は
また、ANGPTL4タンパク質に特異的に結合する抗体であって、以下の表1に列挙さ
れるVH CDRのうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDRを含む抗体
も提供する。特に、本発明は、ANGPTL4タンパク質(例えば、ヒト、およびカニク
イザルANGPTL4)に特異的に結合する抗体であって、以下の表1に列挙されるVH
CDRのうちのいずれかのアミノ酸配列を有する、1つ、2つ、3つ以上のVH CD
Rを含む(または、代替的に、これらからなる)抗体を提供する。
本発明は、ANGPTL4タンパク質に特異的に結合する抗体であって、配列番号23
、48、68、88、108、128、および148のアミノ酸配列を有するVLドメイ
ンを含む抗体を提供する。本発明はまた、ANGPTL4タンパク質(例えば、ヒト、お
よびカニクイザルANGPTL4)に特異的に結合する抗体であって、以下の表2に列挙
されるVL CDRのうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDRを含む抗
体も提供する。特に、本発明は、ANGPTL4タンパク質(例えば、ヒト、およびカニ
クイザルANGPTL4)に特異的に結合する抗体であって、以下の表1に列挙されるV
L CDRのうちのいずれかのアミノ酸配列を有する、1つ、2つ、3つ以上のVL C
DRを含む(または、代替的に、これらからなる)抗体を提供する。
本発明の他の抗体は、突然変異させているが、なお、CDR領域内で、表1に記載され
ている配列内で描示されるCDR領域と、少なくとも60、70、80、85、90、ま
たは95パーセントの同一性を有するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、本発明
の他の抗体は、CDR領域内で、表1に記載されている配列内で描示されるCDR領域と
比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以下のアミノ酸を突然変異させた、突然
変異体のアミノ酸配列を含む。
本発明はまた、ANGPTL4タンパク質(例えば、ヒト、およびカニクイザルANG
PTL4)に特異的に結合する抗体のVH、VL、全長重鎖、および全長軽鎖をコードす
る核酸配列も提供する。このような核酸配列は、哺乳動物細胞における発現について最適
化することができる(例えば、表1は、本発明の抗体の重鎖および軽鎖に最適化された核
酸配列を示す)。
表1:ANGPTL4抗体、Fab、およびANGPTL4タンパク質の例
本発明の他の抗体は、アミノ酸またはアミノ酸をコードする核酸を突然変異させている
が、表1に記載されている配列となお少なくとも60、65、70、75、80、85、
90、または95パーセントの同一性を有する抗体を含む。いくつかの実施形態は、可変
領域内で、実質的に同じ抗原結合活性を保持しながら、表1に記載されている配列内で描
示された可変領域と比較した場合に、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以下のアミノ
酸を突然変異させている、突然変異体のアミノ酸配列を含む。
これらの抗体の各々は、ANGPTL4に結合しうるので、VH配列、VL配列、全長
軽鎖配列、および全長重鎖配列(アミノ酸配列と、アミノ酸配列をコードするヌクレオチ
ド配列と)を「混合し、マッチさせて」、本発明の他のANGPTL4結合性抗体を創出
することができる。このような「混合し、マッチさせた」ANGPTL4結合性抗体は、
当技術分野で公知の結合アッセイ(例えば、ELISAおよび実施例節で記載される他の
アッセイ)を使用して調べることができる。これらの鎖を混合し、マッチさせる場合、特
定のVH/VL対合に由来するVH配列を、構造的に類似するVH配列で置きかえるもの
とする。同様に、特定の全長重鎖/全長軽鎖対合に由来する全長重鎖配列を、構造的に類
似する全長重鎖配列で置きかえるものとする。同様に、特定のVH/VL対合に由来する
VL配列を、構造的に類似するVL配列で置きかえるものとする。同様に、特定の全長重
鎖/全長軽鎖対合に由来する全長軽鎖配列を、構造的に類似する全長軽鎖配列で置きかえ
るものとする。
したがって、一態様では、本発明は、配列番号13、38、58、78、98、118
、および138からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、ならび
に配列番号23、48、68、88、108、128、および148からなる群から選択
されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する単離抗体またはその抗原結合性領域
を提供し、この場合、抗体は、ANGPTL4(例えば、ヒトANGPTL4)に特異的
に結合する。
より具体的に、ある種の態様では、本発明は、配列番号13および23;38および4
8;58および68;78および88;98および108;118および128;または
138および148、のそれぞれから選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインお
よび軽鎖可変ドメインを有する、単離抗体またはその抗原結合性領域を提供する。
別の態様では、本発明は、(i)哺乳動物細胞における発現について最適化されたアミ
ノ酸配列であって、配列番号15、28、40、60、80、100、120、および1
40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む全長重鎖、ならびに哺乳動物細胞にお
ける発現について最適化されたアミノ酸配列であって、配列番号25、50、70、90
、110、130、および150からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む全長軽鎖
を有する単離抗体、または(ii)その抗原結合性部分を含む機能的タンパク質を提供す
る。より具体的に、ある種の態様では、本発明は、配列番号15および25;28および
25;40および50;60および70;80および90;100および110;120
および130;または140および150、のそれぞれから選択されるアミノ酸配列を含
む重鎖および軽鎖を有する単離抗体またはその抗原結合性領域を提供する。
本明細書で使用される「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、抗原特異性
および抗原結合アフィニティーを付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。一
般に、各重鎖可変領域(HCDR1、HCDR2、HCDR3)内には、3つのCDRが
あり、各軽鎖可変領域(LCDR1、LCDR2、LCDR3)内には、3つのCDRが
ある。
所与のCDRの正確なアミノ酸配列の境界は、Kabat et al.,(1991), "Sequences of
Proteins of Immunological Interest," 5th Ed. Public Health Service, National In
stitutes of Health、Bethesda, MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani
et al.,(1997) JMB 273, 927-948(「Chothia」番号付けスキーム)により記載
されているスキームを含む、周知の多数のスキームのうちのいずれかを使用して、たやす
く決定することができる。
例えば、Kabatによれば、重鎖可変ドメイン(VH)内の抗体であるFF1のCD
Rアミノ酸残基は、31~35(HCDR1)、50~66(HCDR2)、および99
~104(HCDR3)と番号付けされており、軽鎖可変ドメイン(VL)内のCDRア
ミノ酸残基は、24~34(LCDR1)、50~55(LCDR2)、および89~9
7(LCDR3)と番号付けされている。Chothiaによれば、VH内のCDRアミ
ノ酸は、26~32(HCDR1)、52~57(HCDR2)、および99~104(
HCDR3)と番号付けされており、VL内のアミノ酸残基は、26~32(LCDR1
)、50~52(LCDR2)、および91~96(LCDR3)と番号付けされている
。KabatおよびChothia両方のCDR定義を組み合わせることにより、CDR
は、ヒトVH内のアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~66(HCDR2)、
および90~104(HCDR3)、ならびにヒトVL内のアミノ酸残基24~34(L
CDR1)、50~55(LCDR2)、および89~97(LCDR3)からなる。
別の態様では、本発明は、表1に記載されている重鎖および軽鎖のCDR1、CDR2
、およびCDR3、またはこれらの組合せを含むANGPTL4結合性抗体を提供する。
抗体のVH CDR1のアミノ酸配列は、配列番号7、32、52、72、92、112
、および132に示されている。抗体のVH CDR2のアミノ酸配列は、配列番号8、
33、53、73、93、113、および133に示されている。抗体のVH CDR3
のアミノ酸配列は、配列番号9、34、54、74、94、114、および134に示さ
れている。抗体のVL CDR1のアミノ酸配列は、配列番号17、42、62、82、
102、122、および142に示されている。抗体のVL CDR2のアミノ酸配列は
、配列番号18、43、63、83、103、123、および143に示されている。抗
体のVL CDR3のアミノ酸配列は、配列番号19、44、64、84、104、12
4、および144に示されている。これらのCDR領域は、Kabatシステムを使用し
て表される。
代替的に、Chothiaシステム(Al-Lazikani et al.,(1997), JMB 273 927-948
)を使用して規定される通り、抗体のVH CDR1のアミノ酸配列は、配列番号10、
35、55、75、95、115、および135に示されている。抗体のVH CDR2
のアミノ酸配列は、配列番号11、36、56、76、96、116、および136に示
されている。抗体のVH CDR3のアミノ酸配列は、配列番号12、37、57、77
、97、117、および137に示されている。抗体のVL CDR1のアミノ酸配列は
、配列番号20、45、65、85、105、125、および145に示されている。抗
体のVL CDR2のアミノ酸配列は、配列番号21、46、66、86、106、12
6、および146に示されている。抗体のVL CDR3のアミノ酸配列は、配列番号2
2、47、67、87、107、127、および147に示されている。
これらの抗体の各々は、ANGPTL4に結合することが可能であり、抗原結合特異性
は主に、CDR1領域、CDR2領域、およびCDR3領域によりもたらされることを踏
まえれば、各抗体は、本発明の他のANGPTL4結合性分子を創出するのに、VH C
DR1、VH CDR2、およびVH CDR3、ならびにVL CDR1、VL CD
R2、およびVL CDR3を含有することが好ましいが、VH CDR1配列、VH
CDR2配列、およびVH CDR3配列、ならびにVL CDR1配列、VL CDR
2配列、およびVL CDR3配列を、「混合し、マッチさせる」ことができる(すなわ
ち、異なる抗体に由来するCDRを、混合し、マッチさせることができる)。このような
「混合し、マッチさせた」ANGPTL4結合性抗体は、当技術分野で公知の結合アッセ
イおよび実施例で記載される結合アッセイ(例えば、ELISA、SET、Biacor
e)を使用して調べることができる。VH CDR配列を混合し、マッチさせる場合は、
特定のVH配列に由来するCDR1配列、CDR2配列、および/またはCDR3配列を
、構造的に類似するCDR配列で置きかえるものとする。同様に、VL CDR配列を混
合し、マッチさせる場合は、特定のVL配列に由来するCDR1配列、CDR2配列、お
よび/またはCDR3配列を、構造的に類似するCDR配列で置きかえるものとする。当
業者には、新規のVH配列およびVL配列を、1つまたは複数のVH CDR領域配列お
よび/またはVL CDR領域配列を、本発明のモノクローナル抗体のための、本明細書
で示されるCDR配列に由来する、構造的に類似する配列で置換することにより創出しう
ることがたやすく明らかであろう。前出に加えて、一実施形態では、本明細書で記載され
る抗体の抗原結合性断片は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3、
またはVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むことが可能であり
、この場合、断片は、ANGPTL4に、単一の可変ドメインとして結合する。
本発明のある種の実施形態では、抗体またはそれらの抗原結合性断片は、表1に記載さ
れているヒト化抗体の重鎖および軽鎖配列を有しうる。より具体的には、抗体またはその
抗原結合性断片は、NEG276、NEG276-LALA、NEG278、NEG31
0、NEG313、NEG315、NEG318、およびNEG319の重鎖および軽鎖
配列を有しうる。
本発明の他の実施形態では、ANGPTL4に特異的に結合する抗体または抗原結合性
断片は、Kabatにより規定され、表1に記載されている、重鎖可変領域のCDR1、
重鎖可変領域のCDR2、重鎖可変領域のCDR3、軽鎖可変領域のCDR1、軽鎖可変
領域のCDR2、および軽鎖可変領域のCDR3を含む。本発明のさらに他の実施形態で
は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体または抗原結合性断片は、Chothiaに
より規定され、表1に記載されている、重鎖可変領域のCDR1、重鎖可変領域のCDR
2、重鎖可変領域のCDR3、軽鎖可変領域のCDR1、軽鎖可変領域のCDR2、およ
び軽鎖可変領域のCDR3を含む。
具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であって、
配列番号7の重鎖可変領域のCDR1、配列番号8の重鎖可変領域のCDR2、配列番号
9の重鎖可変領域のCDR3、配列番号17の軽鎖可変領域のCDR1、配列番号18の
軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号19の軽鎖可変領域のCDR3を含む抗体を含
む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号32の重鎖可変領域のCDR1、配列番号33の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号34の重鎖可変領域のCDR3、配列番号42の軽鎖可変領域のCDR1、配列
番号43の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号44の軽鎖可変領域のCDR3を含
む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号52の重鎖可変領域のCDR1、配列番号53の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号54の重鎖可変領域のCDR3、配列番号62の軽鎖可変領域のCDR1、配列
番号63の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号64の軽鎖可変領域のCDR3を含
む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号72の重鎖可変領域のCDR1、配列番号73の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号74の重鎖可変領域のCDR3、配列番号82の軽鎖可変領域のCDR1、配列
番号83の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号84の軽鎖可変領域のCDR3を含
む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号92の重鎖可変領域のCDR1、配列番号93の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号94の重鎖可変領域のCDR3、配列番号102の軽鎖可変領域のCDR1、配
列番号103の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号104の軽鎖可変領域のCDR
3を含む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号112の重鎖可変領域のCDR1、配列番号113の重鎖可変領域のCDR
2、配列番号114の重鎖可変領域のCDR3、配列番号122の軽鎖可変領域のCDR
1、配列番号123の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号124の軽鎖可変領域の
CDR3を含む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号132の重鎖可変領域のCDR1、配列番号133の重鎖可変領域のCDR
2、配列番号134の重鎖可変領域のCDR3、配列番号142の軽鎖可変領域のCDR
1、配列番号143の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号144の軽鎖可変領域の
CDR3を含む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号10の重鎖可変領域のCDR1、配列番号11の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号12の重鎖可変領域のCDR3、配列番号20の軽鎖可変領域のCDR1、配列
番号21の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号22の軽鎖可変領域のCDR3を含
む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号35の重鎖可変領域のCDR1、配列番号36の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号37の重鎖可変領域のCDR3、配列番号45の軽鎖可変領域のCDR1、配列
番号46の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号47の軽鎖可変領域のCDR3を含
む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号55の重鎖可変領域のCDR1、配列番号56の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号57の重鎖可変領域のCDR3、配列番号65の軽鎖可変領域のCDR1、配列
番号66の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号67の軽鎖可変領域のCDR3を含
む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号75の重鎖可変領域のCDR1、配列番号76の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号77の重鎖可変領域のCDR3、配列番号85の軽鎖可変領域のCDR1、配列
番号86の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号87の軽鎖可変領域のCDR3を含
む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号95の重鎖可変領域のCDR1、配列番号96の重鎖可変領域のCDR2、
配列番号97の重鎖可変領域のCDR3、配列番号105の軽鎖可変領域のCDR1、配
列番号106の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号107の軽鎖可変領域のCDR
3を含む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号115の重鎖可変領域のCDR1、配列番号116の重鎖可変領域のCDR
2、配列番号117の重鎖可変領域のCDR3、配列番号125の軽鎖可変領域のCDR
1、配列番号126の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号127の軽鎖可変領域の
CDR3を含む抗体を含む。
別の具体的な実施形態では、本発明は、ANGPTL4に特異的に結合する抗体であっ
て、配列番号135の重鎖可変領域のCDR1、配列番号136の重鎖可変領域のCDR
2、配列番号137の重鎖可変領域のCDR3、配列番号145の軽鎖可変領域のCDR
1、配列番号146の軽鎖可変領域のCDR2、および配列番号147の軽鎖可変領域の
CDR3を含む抗体を含む。
ある種の実施形態では、本発明は、表1に記載されている、ANGPTL4に特異的に
結合する抗体または抗原結合性断片を含む。好ましい実施形態では、ANGPTL4に結
合する抗体または抗原結合性断片は、NEG276、NEG276-LALA、NEG2
78、NEG310、NEG313、NEG315、NEG318、NEG319である
相同抗体
さらに別の実施形態では、本発明は、表1に記載されている配列と相同なアミノ酸配列
を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供するが、抗体は、ANGPTL4タンパク
質(例えば、ヒト、およびカニクイザルANGPTL4)に結合し、表1に記載されてい
る抗体の所望の機能的特性を保持する。
例えば、本発明は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含む、単離抗体または
その機能的抗原結合性断片を提供し、この場合、重鎖可変ドメインは、配列番号13、3
8、58、78、98、118、および138からなる群から選択されるアミノ酸配列と
少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含
み;軽鎖可変ドメインは、配列番号23、23、48、68、88、108、128、1
48からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、ま
たは少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み;抗体は、ANGPTL4(例えば、ヒ
ト、およびカニクイザルANGPTL4)に特異的に結合する。本発明のある種の態様で
は、重鎖および軽鎖配列は、Kabatにより規定される、HCDR1配列、HCDR2
配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列、およびLCDR3配列、例え
ば、それぞれ、配列番号7、8、9、17、18、および19をさらに含む。本発明のあ
る種の他の態様では、重鎖および軽鎖配列は、Chothiaにより規定される、HCD
R1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列、および
LCDR3配列、例えば、それぞれ、配列番号10、11、12、20、21、および2
2をさらに含む。
他の実施形態では、VHアミノ酸配列および/またはVLアミノ酸配列は、表1に示さ
れる配列と、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98
%、または99%同一でありうる。他の実施形態では、VHアミノ酸配列および/または
VLアミノ酸配列は、1、2、3、4、または5カ所以下のアミノ酸位置におけるアミノ
酸置換を除き同一でありうる。表1に記載されている抗体のVH領域およびVL領域と大
きな(すなわち、80%以上の)同一性を有するVH領域およびVL領域を有する抗体は
、配列番号13、38、58、78、98、118、118、または138、および配列
番号23、48、68、88、108、128、または148、のそれぞれをコードする
核酸分子の突然変異誘発(例えば、部位特異的突然変異誘発またはPCR媒介突然変異誘
発)の後、本明細書で記載される機能アッセイを使用して、コードされる改変抗体を、機
能の保持について調べることにより得ることができる。
他の実施形態では、全長重鎖アミノ酸配列および/または全長軽鎖アミノ酸配列は、表
1に示される配列と、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97
%、98%、または99%同一でありうる。配列番号15、28、40、60、80、1
00、120、または140のうちのいずれかの全長重鎖、および配列番号25、25、
50、70、90、110、130、または150、のうちのいずれかの全長軽鎖と大き
な(すなわち、80%以上の)同一性を有する全長重鎖および全長軽鎖を有する抗体は、
このようなポリペプチドをコードする核酸分子の突然変異誘発(例えば、部位特異的突然
変異誘発またはPCR媒介突然変異誘発)の後、本明細書で記載される機能アッセイを使
用して、コードされる改変抗体を、機能の保持について調べることにより得ることができ
る。
他の実施形態では、全長重鎖ヌクレオチド配列および/または全長軽鎖ヌクレオチド配
列は、表1に示される配列と、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97
%、98%、または99%同一でありうる。
他の実施形態では、重鎖可変領域のヌクレオチド配列および/または軽鎖可変領域のヌ
クレオチド配列は、表1に示される配列と、60%、70%、80%、90%、95%、
96%、97%、98%、または99%同一でありうる。
本明細書で使用される、2つの配列の間の同一性パーセントとは、2つの配列の最適な
アライメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮
する配列により共有される、同一な位置の数の関数(すなわち、同一性%=同一な位置の
数/位置の総数×100)である。2つの配列の間の配列の比較および同一性パーセント
の決定は、下記の非限定的な例で記載されている、数学的アルゴリズムを使用して達成す
ることができる。
加えて、または代替的に、本発明のタンパク質配列は、公表されたデータベースに照ら
して検索を実施する、例えば、関連の配列を同定するための「クエリー配列」としてさら
に使用することもできる。例えば、このような検索は、Altschul et al., 1990 J. Mol.
Biol. 215:403-10によるBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施する
ことができる。
保存的修飾を伴う抗体
ある種の実施形態では、本発明の抗体は、CDR1配列、CDR2配列、およびCDR
3配列を含む重鎖可変領域、ならびにCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列
を含む軽鎖可変領域を有し、この場合、これらのCDR配列のうちの1つまたは複数は、
本明細書で記載される抗体またはそれらの保存的修飾に基づき指定されたアミノ酸配列を
有し、抗体は、本発明のANGPTL4結合性抗体の所望の機能的特性を保持する。
したがって、本発明は、CDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を含む重鎖
可変領域、ならびにCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領
域からなる単離抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域のCDR1アミノ
酸配列が、配列番号7、32、52、72、92、112、および132、ならびにそれ
らの保存的修飾からなる群から選択され、重鎖可変領域のCDR2アミノ酸配列が、配列
番号8、33、53、73、93、113、および133、ならびにそれらの保存的修飾
からなる群から選択され、重鎖可変領域のCDR3アミノ酸配列が、配列番号9、34、
54、74、94、114、および134、ならびにそれらの保存的修飾からなる群から
選択され、軽鎖可変領域のCDR1アミノ酸配列が、配列番号17、42、62、82、
102、122、および142、ならびにそれらの保存的修飾からなる群から選択され、
軽鎖可変領域のCDR2アミノ酸配列が、配列番号18、43、63、83、103、1
23、および143、ならびにそれらの保存的修飾からなる群から選択され、軽鎖可変領
域のCDR3アミノ酸配列が、配列番号19、44、64、84、104、124、およ
び144、ならびにそれらの保存的修飾からなる群から選択され、ANGPTL4に特異
的に結合する、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、哺乳動物細胞における発現について最適化されて
おり、全長重鎖配列および全長軽鎖配列を有し、これらの配列のうちの1つまたは複数は
、本明細書で記載される抗体またはそれらの保存的修飾に基づき指定されたアミノ酸配列
を有し、抗体は、本発明のANGPTL4結合性抗体の所望の機能的特性を保持する。し
たがって、本発明は、全長重鎖および全長軽鎖からなる、哺乳動物細胞における発現につ
いて最適化された単離抗体であって、全長重鎖が、配列番号15、28、40、60、8
0、100、120、および140、ならびにそれらの保存的修飾の群から選択されるア
ミノ酸配列を有し、全長軽鎖が、配列番号25、50、70、90、110、130、お
よび150、ならびにそれらの保存的修飾の群から選択されるアミノ酸配列を有し、AN
GPTL4(例えば、ヒト、およびカニクイザルANGPTL4)に特異的に結合する抗
体を提供する。
同じエピトープに結合する抗体
本発明は、表1に記載されているANGPTL4結合性抗体と同じエピトープに結合す
る抗体を提供する。したがって、ANGPTL4結合アッセイ(実施例で記載されるAN
GPTL4結合アッセイなど)において、本発明の他の抗体と競合する(例えば、本発明
の他の抗体の結合を、統計学的に有意な形で競合的に阻害する)それらの能力に基づき、
さらなる抗体を同定することができる。本発明の抗体の、ANGPTL4タンパク質への
結合を阻害する被験抗体の能力により、被験抗体が、その抗体と、ANGPTL4への結
合について競合することが可能であり、このような抗体は、非限定的な理論によれば、A
NGPTL4タンパク質上の、それが競合する抗体と同じであるかまたは関連の(例えば
、構造的に類似するか、または空間的に近接した)エピトープに結合しうることが裏付け
られる。ある種の実施形態では、本発明の抗体と同じANGPTL4上のエピトープに結
合する抗体は、ヒト化抗体である。このようなヒト化抗体は、本明細書で記載される通り
に、調製および単離することができる。本明細書で使用される通り、等モル濃度の競合抗
体の存在下で、競合抗体が、本発明の抗体または抗原結合性断片のANGPTL4との結
合を、50%を超えて(例えば、80%、85%、90%、95%、98%、または99
%)阻害するとき、抗体は、結合について「競合する」。
他の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性断片は、ANGPTL4の1つまた
は複数のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、本抗体または本抗原結合性断
片が結合するエピトープは、直鎖状エピトープである。他の実施形態では、本抗体または
本抗原結合性断片が結合するエピトープは、非直鎖状のコンフォメーショナルエピトープ
である。
操作抗体および修飾抗体
出発抗体から特性を改変した修飾抗体を操作する出発材料として、本明細書で示される
VH配列および/またはVL配列のうちの1つまたは複数を有する抗体を使用して、本発
明の抗体をさらに調製することができる。抗体は、一方または両方の可変領域(すなわち
、VHおよび/またはVL)内、例えば、1つもしくは複数のCDR領域内、および/ま
たは1つもしくは複数のフレームワーク領域内の1つまたは複数の残基を修飾することに
より操作することができる。加えて、または代替的に、抗体は、定常領域内の残基を修飾
して、例えば、抗体のエフェクター機能を改変することによっても操作することができる
実施しうる可変領域操作のうちの1つの種類は、CDRグラフティングである。抗体は
、主に6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)内に位置するアミノ酸残基を介し
て、標的抗原と相互作用する。この理由で、CDR内のアミノ酸配列は、個別の抗体の間
の多様性が、CDRの外部の配列より大きい。CDR配列は、大半の抗体-抗原間相互作
用の一因となるため、異なる特性を伴う異なる抗体に由来するフレームワーク配列へとグ
ラフトされた特異的自然発生抗体に由来するCDR配列を含む発現ベクターを構築するこ
とにより、特異的自然発生抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能であ
る(例えば、Riechmann, L. et al., 1998 Nature 332:323-327;Jones, P. et al., 198
6 Nature 321:522-525;Queen, C. et al., 1989 Proc. Natl. Acad. U.S.A. 86:10029-1
0033;Winterによる米国特許第5,225,539号明細書、ならびにQueen
らによる米国特許第5,530,101号明細書;同第5,585,089号明細書;同
第5,693,762号明細書;および同第6,180,370号明細書を参照されたい
)。
したがって、本発明の別の実施形態は、配列番号7、32、52、72、92、112
、および132からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCDR1配列、配列番号
8、33、53、73、93、113、および133からなる群から選択されるアミノ酸
配列を有するCDR2配列、配列番号9、34、54、74、94、114、および13
4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3配列のそれぞれを含む重鎖可
変領域と、配列番号17、42、62、82、102、122、および142からなる群
から選択されるアミノ酸配列を有するCDR1配列、配列番号18、43、63、83、
103、123、および143からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCDR2
配列、ならびに配列番号19、44、64、84、104、124、および144からな
る群から選択されるアミノ酸配列からなるCDR3配列のそれぞれを有する軽鎖可変領域
とを含む単離抗体またはその抗原結合性断片に関する。したがって、このような抗体は、
モノクローナル抗体のVH CDR配列およびVL CDR配列を含有するが、これらの
抗体に由来する異なるフレームワーク配列を含有しうる。
このようなフレームワーク配列は、生殖細胞系列の抗体遺伝子配列を含む公表されたD
NAデータベースまたは公表された参考文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖お
よび軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列DNA配列は、ヒト生殖細胞系列の配列データベ
ースである「VBase」(インターネットのmrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseで入手可能であ
る)のほか、それらの各々の内容が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kaba
t, E. A. et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edi
tion, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242
;Tomlinson, I. M. et al., 1992 J. Mol. Biol. 227:776-798;およびCox, J. P. L. e
t al., 1994 Eur. J Immunol. 24:827-836においても見出すことができる。
本発明の抗体における使用のためのフレームワーク配列の例は、本発明の選択された抗
体により使用されるフレームワーク配列、例えば、本発明のモノクローナル抗体により使
用されるコンセンサス配列および/またはフレームワーク配列と構造的に類似するフレー
ムワーク配列である。VH CDR1配列、VH CDR2配列、およびVH CDR3
配列、ならびにVL CDR1配列、VL CDR2配列、およびVL CDR3配列は
、フレームワーク配列が由来する生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子内で見出される配
列と同一の配列を有するフレームワーク領域へとグラフトすることもでき、CDR配列は
、生殖細胞系列配列と比較して、1つまたは複数の突然変異を含有するフレームワーク領
域へとグラフトすることもできる。例えば、ある種の場合には、フレームワーク領域内の
残基を突然変異させて、抗体の抗原結合能力を維持または増強することが有益であると見
出されている(例えば、Queenらによる米国特許第5,530,101号明細書;同
第5,585,089号明細書;同第5,693,762号明細書;および同第6,18
0,370号明細書を参照されたい)。本明細書で記載される抗体および抗原結合性断片
をその上に構築する足場として活用されうるフレームワークは、VH1A、VH1B、V
H3、Vk1、Vl2、およびVk2を含むがこれらに限定されない。当技術分野では、
さらなるフレームワークが知られており、例えば、インターネットのvbase.mrc-cpe.cam.
ac.uk/index.php?&MMN_position=1:1上のvBaseデータベースにおいて見出すことが
できる。
したがって、本発明の実施形態は、配列番号13、38、58、78、98、118、
および138からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはこのような配列のフレーム
ワーク領域内に1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしく
はアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号23、48、
68、88、108、128、および148からなる群から選択されるアミノ酸配列、ま
たはこのような配列のフレームワーク領域内に1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ
酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領
域をさらに含む、単離ANGPTL4結合性抗体またはそれらの抗原結合性断片に関する
可変領域修飾の別の種類は、「アフィニティー成熟」として公知の、VH CDR1領
域内、VH CDR2領域内、および/もしくはVH CDR3領域内、ならびに/また
はVL CDR1領域内、VL CDR2領域内、および/もしくはVL CDR3領域
内のアミノ酸残基を突然変異させて、これにより、対象の抗体の1つまたは複数の結合特
性(例えば、アフィニティー)を改善することである。部位特異的突然変異誘発またはP
CR媒介突然変異誘発を実施して、突然変異を導入することができ、本明細書で記載され
、実施例でも提示される、in vitroアッセイまたはin vivoアッセイにお
いて、抗体結合性または他の対象の機能的特性に対する効果を査定することができる。保
存的修飾(上記で論じた)を導入することができる。突然変異は、アミノ酸の置換の場合
もあり、付加の場合もあり、欠失の場合もある。さらに、CDR領域内の、典型的には1
つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以下の残基も改変する。
したがって、別の実施形態では、本発明は、配列番号7、32、52、72、92、1
12、および132を有する群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号7、32、
52、72、92、112、112、および132と比較して、1、2、3、4、もしく
は5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列か
らなるVH CDR1領域、配列番号8、33、53、73、93、113、および13
3からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号8、33、53、73、93
、113、および133と比較して、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、
アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有するVH CDR2領域
、配列番号9、34、54、74、94、114、114、および134からなる群から
選択されるアミノ酸配列、または配列番号9、34、54、74、94、114、および
134と比較して、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、も
しくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有するVH CDR3領域、配列番号17、
42、62、82、102、122、および142からなる群から選択されるアミノ酸配
列、または配列番号17、42、62、82、102、122、および142と比較して
、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付
加を有するアミノ酸配列を有するVL CDR1領域、配列番号18、43、63、83
、103、123、および143からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番
号18、43、63、83、103、123、および143と比較して、1、2、3、4
、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ
酸配列を有するVL CDR2領域、ならびに配列番号19、44、64、84、104
、124、および144からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号19、
44、64、84、104、124、および144と比較して、1、2、3、4、もしく
は5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を
有するVL CDR3領域を有する重鎖可変領域からなる単離ANGPTL4結合性抗体
またはそれらの抗原結合性断片を提供する。
したがって、別の実施形態では、本発明は、配列番号10、35、55、75、95、
115、および135からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号10、3
5、55、75、95、115、および135と比較して、1、2、3、4、もしくは5
カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有す
るVH CDR1領域、配列番号11、36、56、76、96、116、および136
からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号11、36、56、76、96
、116、および136と比較して、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、
アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有するVH CDR2領域
、ならびに配列番号12、37、57、77、97、117、および137からなる群か
ら選択されるアミノ酸配列、または配列番号12、37、57、77、97、117、お
よび137と比較して、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失
、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有するVH CDR3領域を有する重鎖
可変領域と、配列番号20、45、65、85、105、125、および145からなる
群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号20、45、65、85、105、12
5、および145と比較して、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ
酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有するVL CDR1領域、配列
番号21、46、66、86、106、126、および146からなる群から選択される
アミノ酸配列、または配列番号21、46、66、86、106、126、および146
と比較して、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくは
アミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有するVL CDR2領域、ならびに配列番号22
、47、67、87、107、127、および147からなる群から選択されるアミノ酸
配列、または配列番号22、47、67、87、107、127、および147と比較し
て、1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸
付加を有するアミノ酸配列を有するVL CDR3領域を有する軽鎖可変領域とからなる
単離ANGPTL4結合性抗体またはそれらの抗原結合性断片を提供する。
抗原結合性ドメインの、代替的なフレームワークまたは足場へのグラフティング
結果として得られるポリペプチドが、ANGPTL4に特異的に結合する少なくとも1
つの結合性領域を含む限りにおいて、多種多様な抗体/免疫グロブリンのフレームワーク
または足場を援用することができる。このようなフレームワークまたは足場は、ヒト免疫
グロブリンまたはそれらの断片の5つの主要なイディオタイプを含み、好ましくはヒト化
側面を有する他の動物種の免疫グロブリンを含む。この点で、ラクダ科動物において同定
される単一重鎖抗体などの単一重鎖抗体は、特に対象である。当業者により、新規のフレ
ームワーク、足場、および断片が、発見および開発され続けている。
一態様では、本発明は、本発明のCDRをグラフトしうる非免疫グロブリン足場を使用
して、非免疫グロブリンベースの抗体を作り出すことに関する。それらが、標的のANG
PTL4タンパク質に特異的な結合性領域を含む限りにおいて、公知または将来の非免疫
グロブリンフレームワークおよび非免疫グロブリン足場を援用することができる。公知の
非免疫グロブリンフレームワークおよび非免疫グロブリン足場は、フィブロネクチン(C
ompound Therapeutics,Inc.、Waltham、MA)、アン
キリン(Molecular Partners AG、Zurich、Switzer
land)、ドメイン抗体(Domantis,Ltd.、Cambridge、MA;
およびAblynx nv、Zwijnaarde、Belgium)、リポカリン(P
ieris Proteolab AG、Freising、Germany)、低分子
モジュラー免疫医薬(Trubion Pharmaceuticals Inc.、S
eattle、WA)、マキシボディ(Avidia,Inc.、Mountain V
iew、CA)、プロテインA(Affibody AG、Sweden)、およびアフ
ィリン(ガンマ-クリスタリンまたはユビキチン)(Scil Proteins Gm
bH、Halle、Germany)を含むがこれらに限定されない。
フィブロネクチン足場は、III型フィブロネクチンドメイン(例えば、III型フィ
ブロネクチンの第10モジュール(10 Fn3ドメイン))に基づく。III型フィブ
ロネクチンドメインは、それら自体が互いに対してパックされてタンパク質のコアを形成
し、ベータ鎖を互いへと接続し、溶媒へと露出されるループもさらに含有する(CDRと
類似する)、2つのベータシートの間に分配された、7つまたは8つのベータ鎖を有する
。ベータシートサンドイッチの各エッジには、少なくとも3つのこのようなループがあり
、エッジは、ベータ鎖の方向に対して垂直なタンパク質の境界である(米国特許第6,8
18,418号明細書を参照されたい)。全体的なフォールドは、ラクダおよびラマIg
G内の抗原認識単位全体を含む最小の機能的抗体断片である重鎖可変領域のフォールドと
密接に関連するが、これらのフィブロネクチンベースの足場は、免疫グロブリンではない
。この構造のために、非免疫グロブリン抗体は、性質およびアフィニティーが抗体の性質
およびアフィニティーと類似する抗原結合特性を模倣する。これらの足場は、in vi
voにおける抗体のアフィニティー成熟の工程と類似する、in vitroにおけるル
ープのランダム化戦略およびシャフリング戦略において使用することができる。これらの
フィブロネクチンベースの分子は、標準的なクローニング法を使用して、分子のループ領
域を本発明のCDRで置きかえうる、足場として使用することができる。
アンキリン技術は、アンキリンに由来するリピートモジュールを伴うタンパク質を、異
なる標的への結合に使用しうる可変領域を保有する足場として使用することに基づく。ア
ンキリンリピートモジュールとは、2つのアンチパラレルのα-ヘリックスおよびβ-タ
ーンからなる、33アミノ酸のポリペプチドである。可変領域の結合は、リボソームディ
スプレイを使用することにより大部分が最適化される。
アビマーは、LRP-1など、天然のAドメイン含有タンパク質に由来する。これらの
ドメインは、本来、タンパク質間相互作用に使用され、ヒトでは、250を超えるタンパ
ク質が、構造的にAドメインに基づく。アビマーは、アミノ酸リンカーを介して連結され
た多数の(2つ~10の)異なる「Aドメイン」単量体からなる。標的抗原に結合しうる
アビマーは、例えば、米国特許出願公開第20040175756号明細書;同第200
50053973号明細書;同第20050048512号明細書;および同第2006
0008844号明細書において記載されている方法を使用して創出することができる。
アフィニティーリガンドであるアフィボディとは、プロテインAのIgG結合性ドメイ
ンのうちの1つの足場に基づく3ヘリックスバンドルからなる、低分子の単純なタンパク
質である。プロテインAとは、細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に
由来する表面タンパク質である。この足場ドメインは、それらのうちの13が、多数のリ
ガンド変異体を伴うアフィボディライブラリーを作り出す、ランダム化されている58ア
ミノ酸からなる(例えば、米国特許第5,831,012号明細書を参照されたい)。ア
フィボディ分子は、抗体を模倣し、150kDaである抗体の分子量と比較して、分子量
が6kDaである。その小サイズにもかかわらず、アフィボディ分子の結合部位は、抗体
の結合部位と同様である。
アンチカリンとは、Pieris ProteoLab AG社により開発された生成
物である。アンチカリンは、通例、化学的に感受性の化合物または不溶性の化合物の生理
学的輸送または貯蔵に関与する、広範にわたる低分子の頑健なタンパク質群であるリポカ
リンに由来する。いくつかの天然リポカリンは、ヒト組織内またはヒト体液中で生じる。
タンパク質のアーキテクチャーは、リジッドフレームワークの上部の超可変ループを伴う
免疫グロブリンを連想させる。しかし、抗体またはそれらの組換え断片とは対照的に、リ
ポカリンは、単一の免疫グロブリンドメインよりかろうじて大きい、160~180アミ
ノ酸残基を伴う単一のポリペプチド鎖からなる。結合性ポケットを構成する4つのループ
のセットは、顕著な構造可塑性を示し、様々な側鎖を許容する。したがって、異なる形状
の規定の標的分子を、高度なアフィニティーおよび特異性で認識するために、結合性部位
を独自の工程で再形成することができる。4つのループのセットを突然変異誘発すること
によりアンチカリンを開発するのには、リポカリンファミリーの1つのタンパク質である
、オオモンシロチョウ(Pieris Brassicae)のビリン結合性タンパク質(BBP)が使用
されている。アンチカリンについて記載する特許出願の1つの例は、PCT国際公開第1
99916873号パンフレットにある。
アフィリン分子とは、タンパク質および低分子に対する特異的なアフィニティーのため
にデザインされた低分子非免疫グロブリンタンパク質である。新たなアフィリン分子は、
それらの各々が、異なるヒト由来の足場タンパク質に基づく2つのライブラリーから非常
に迅速に選択することができる。アフィリン分子は、免疫グロブリンタンパク質に対する
いかなる構造相同性も示さない。現在、2つのアフィリン足場が援用されており、それら
のうちの一方は、ヒト水晶体の構造タンパク質であるガンマクリスタリンであり、他方は
、「ユビキチン」スーパーファミリータンパク質である。いずれのヒト足場も非常に小型
で、高度な熱安定性を示し、pH変化および変性剤に対してほぼ耐性である。この高度な
安定性は主に、タンパク質のベータシート構造の展開に起因する。ガンマクリスタリンに
由来するタンパク質の例は、国際公開第200104144号パンフレットにおいて記載
されており、「ユビキチン様」タンパク質の例は、国際公開第2004106368号パ
ンフレットにおいて記載されている。
タンパク質エピトープ模倣体(PEM)とは、タンパク質間相互作用に関与する主要な
二次構造である、タンパク質のベータ-ヘアピン二次構造を模倣する、中程度のサイズの
環状ペプチド様分子(分子量:1~2kDa)である。
本発明は、ANGPTL4タンパク質に特異的に結合する完全ヒト抗体を提供する。キ
メラ抗体またはヒト化抗体と比較して、本発明のヒトANGPTL4結合性抗体は、ヒト
対象へと投与された場合の抗原性がさらに低減されている。
ラクダ科動物抗体
ラマ種(アルパカ(Lama paccos)、ラマ(Lama glama)、およびビクーニャ(Lama vi
cugna))などの新世界メンバー含む、ラクダおよびヒトコブラクダ(dromedary)(フタ
コブラクダ(Camelus bactrianus)およびヒトコブラクダ(Calelus dromaderius))フ
ァミリーのメンバーから得られる抗体タンパク質は、サイズ、構造的複雑性、およびヒト
対象に対する抗原性に関して特徴付けられている。天然で見出されるこのファミリーの哺
乳動物に由来するある種のIgG抗体は、軽鎖を欠き、したがって、他の動物に由来する
抗体の場合の、2つの重鎖および2つの軽鎖を有する、典型的な4つの鎖の四次構造とは
構造的に異なっている。PCT/EP93/02214(1994年3月3日に公表され
た国際公開第94/04678号パンフレット)を参照されたい。
VHHとして同定される小型の単一の可変ドメインである、ラクダ科動物抗体の領域は
、標的に対して高いアフィニティーを有する低分子タンパク質をもたらすことから、「ラ
クダ科動物ナノボディ」として公知の低分子量抗体由来タンパク質を結果としてもたらす
遺伝子操作により得ることができる。1998年6月2日に取得された米国特許第5,7
59,808号明細書を参照されたい。また、Stijlemans, B. et al., 2004 J Biol Che
m 279:1256-1261;Dumoulin, M. et al., 2003 Nature 424:783-788;Pleschberger, M.
et al., 2003 Bioconjugate Chem 14:440-448;Cortez-Retamozo, V. et al., 2002 Int
J Cancer 89:456-62;およびLauwereys, M. et al., 1998 EMBO J 17:3512-3520も参照さ
れたい。ラクダ科動物抗体および抗体断片の操作ライブラリーは、例えば、Ablynx
、Ghent、Belgiumから市販されている。非ヒト由来の他の抗体と同様に、ラ
クダ科動物抗体のアミノ酸配列は、ヒト配列により酷似する配列を得るように、組換えに
より改変することができる、すなわち、ナノボディは、「ヒト化」することができる。し
たがって、ヒトに対するラクダ科動物抗体の天然の小さな抗原性を、さらに低減すること
ができる。
ラクダ科動物ナノボディの分子量は、ヒトIgG分子の分子量の約10分の1で、タン
パク質の物理的直径は、数ナノメートルに過ぎない。サイズが小さいことの1つの帰結は
、大型の抗体タンパク質には機能的に不可視である抗原性部位に結合するラクダ科動物ナ
ノボディの能力である、すなわち、ラクダ科動物ナノボディは、古典的な免疫学的技法を
使用するこれ以外の形では隠蔽されたままの抗原を検出する試薬として有用であり、可能
な治療剤として有用である。したがって、サイズが小さいことのさらに別の帰結は、ラク
ダ科動物ナノボディが、標的タンパク質のグルーブ内または狭小なクレフト内の特異的部
位に結合することの結果として、標的タンパク質を阻害することが可能であり、よって、
古典的な抗体の機能よりも、古典的な低分子量の薬物の機能により酷似する能力において
用いられうることである。
低分子量およびコンパクトなサイズはさらに、熱安定性が極めて大きく、極端なpHお
よびタンパク質分解性消化に対して安定的であり、抗原性が小さいラクダ科動物ナノボデ
ィを結果としてもたらす。別の帰結は、ラクダ科動物ナノボディが、循環系から組織へと
たやすく移動し、血液脳関門もなお越え、神経組織に影響を及ぼす障害も処置しうること
である。ナノボディはさらに、血液脳関門を越える薬物輸送も容易としうる。2004年
8月19日に公表された米国特許出願公開第20040161738号明細書を参照され
たい。これらの特色を、ヒトに対する抗原性が小さいことと組み合わせることにより、大
きな治療的可能性が指し示される。さらに、これらの分子は、大腸菌(E. coli)などの
原核細胞内で完全に発現させることができ、バクテリオファージとの融合タンパク質とし
て発現させ、機能的である。
したがって、本発明の特色は、ANGPTL4に対して高いアフィニティーを有するラ
クダ科動物抗体またはラクダ科動物ナノボディである。本明細書のある種の実施形態では
、ラクダ科動物抗体またはラクダ科動物ナノボディは、天然ではラクダ科動物において産
生される、すなわち、他の抗体について本明細書で記載される技法を使用する、ANGP
TL4またはそのペプチド断片による免疫化の後で、ラクダ科動物により産生される。代
替的に、ANGPTL4結合性ラクダ科動物ナノボディは、操作もされる、すなわち、例
えば、本明細書の実施例において記載されている、標的としてのANGPTL4を伴うパ
ニング手順を使用する、適切に突然変異誘発されたラクダ科動物ナノボディタンパク質を
提示するファージライブラリーからの選択によっても作製される。操作されたナノボディ
はさらに、遺伝子操作により、レシピエント対象における半減期が、45分間~2週間と
なるようにカスタマイズすることもできる。具体的な実施形態では、ラクダ科動物抗体ま
たはラクダ科動物ナノボディを、例えば、PCT/EP93/02214において記載さ
れている通り、本発明のヒト抗体の重鎖または軽鎖のCDR配列を、ナノボディまたは単
一ドメイン抗体フレームワーク配列へとグラフトすることにより得る。
二特異性分子および多価抗体
別の態様では、本発明は、本発明のANGPTL4結合性抗体またはその断片を含む二
特異性分子または多特異性分子を特色とする。本発明の抗体またはその抗原結合性領域は
、少なくとも2つの異なる結合性部位または標的分子に結合する二特異性分子を作り出す
ように誘導体化することもでき、別の機能的分子、例えば、別のペプチドまたはタンパク
質(例えば、受容体に対する別の抗体またはリガンド)へと連結することもできる。本発
明の抗体は実際、3つ以上の異なる結合性部位および/または標的分子に結合する多特異
性分子を作り出すように誘導体化することもでき、他の2つ以上の機能的分子へと連結す
ることもでき、このような多特異性分子はまた、本明細書で使用される「二特異性分子」
という用語により包含されることも意図される。本発明の二特異性分子を創出するには、
本発明の抗体を、二特異性分子が結果として得られるように、別の抗体、抗体断片、ペプ
チド、または結合性模倣体など、1つまたは複数の他の結合性分子へと機能的に連結する
(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的会合により、またはこれら以
外の形で)ことができる。
したがって、本発明は、ANGPTL4に対する少なくとも1つの第1の結合特異性お
よび第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性を含む二特異性分子を含む。例えば
、第2の標的エピトープは、第1の標的エピトープと異なる、ANGPTL4の別のエピ
トープである。
加えて、二特異性分子が多特異性である本発明では、分子は、第1の標的エピトープお
よび第2の標的エピトープに加えて、第3の結合特異性もさらに含みうる。
一実施形態では、本発明の二特異性分子は、結合特異性として、例えば、Fab、Fa
b’、F(ab’)2、Fv、または単鎖Fvを含む、少なくとも1つの抗体またはその
抗体断片を含む。抗体はまた、軽鎖もしくは重鎖の二量体、またはLadnerら、米国
特許第4,946,778号明細書において記載されている、Fvもしくは単鎖構築物な
ど、その任意の最小断片でありうる。
ダイアボディとは、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには短すぎるリ
ンカーにより接続されたVHドメインおよびVLドメインを単一のポリペプチド鎖上で発
現させた、二価の二特異性分子である。VHドメインおよびVLドメインは、別の鎖の相
補的なドメインと対合し、これにより、2つの抗原結合性部位を創出する(例えば、Holl
iger et al., 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448;Poljak et al., 1994 S
tructure 2:1121-1123を参照されたい)。ダイアボディは、VHA-VLBおよびVHB
-VLA構造(VH-VL立体配置)、またはVLA-VHBおよびVLB-VHA構造
(VL-VH立体配置)を伴う2つのポリペプチド鎖を、同じ細胞内で発現させることに
より作製することができる。ダイアボディの大半は、細菌内の可溶性形態で発現させるこ
とができる。単鎖ダイアボディ(scDb)は、2つのダイアボディ形成ポリペプチド鎖
を、約15アミノ酸残基のリンカーで接続することにより作製する(Holliger and Winte
r, 1997 Cancer Immunol. Immunother., 45(3~4):128~30;Wu et al., 1996 Immunot
echnology, 2(1):21-36を参照されたい)。scDbは、細菌内の可溶性で活性の単量
体形態で発現させることができる(Holliger and Winter, 1997 Cancer Immunol. Immuno
ther., 45(34):128-30;Wu et al., 1996 Immunotechnology, 2(1):21-36;Pluckthu
n and Pack, 1997 Immunotechnology, 3(2):83-105;Ridgway et al.,、1996 Protein
Eng., 9(7):617-21を参照されたい)。ダイアボディをFcへと融合させて、「ジダイ
アボディ」を作り出すことができる(Lu et al., 2004 J. Biol. Chem., 279(4):2856-
65を参照されたい)。
本発明の二特異性分子内で援用しうる他の抗体は、マウスモノクローナル抗体、キメラ
モノクローナル抗体、およびヒト化モノクローナル抗体である。
二特異性分子は、当技術分野で公知の方法を使用して、構成要素である結合特異性をコ
ンジュゲートさせることにより調製することができる。例えば、二特異性分子の各結合特
異性は、個別に作り出し、次いで、互いとコンジュゲートさせることができる。結合特異
性がタンパク質またはペプチドである場合は、様々なカップリング剤または架橋剤を、共
有結合的コンジュゲーションに使用することができる。架橋剤の例は、プロテインA、カ
ルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5
,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド
(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(S
PDP)、およびスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン
-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)を含む(例えば、Karpovsky et al., 1984
J. Exp. Med. 160:1686;Liu, MA et al., 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648
を参照されたい)。他の方法は、Paulus, 1985 Behring Ins. Mitt. No. 78、118-132;B
rennan et al., 1985 Science 229:81-83;およびGlennie et al., 1987 J. Immunol. 13
9:2367-2375において記載されている方法を含む。コンジュゲート剤は、SATAおよび
スルホ-SMCCであり、いずれも、Pierce Chemical Co.(Roc
kford、IL)から入手可能である。
結合特異性が、抗体である場合、それらは、2つの重鎖のC末端ヒンジ領域をスルフヒ
ドリル結合させることによりコンジュゲートさせることができる。特定の実施形態では、
コンジュゲーションの前に、奇数のスルフヒドリル残基、例えば、1つのスルフヒドリル
残基を含有するように、ヒンジ領域を修飾する。
代替的に、いずれの結合特異性も、同じベクター内でコードさせ、同じ宿主細胞内で発
現およびアセンブルさせることができる。この方法は、二特異性分子が、mAb×mAb
融合タンパク質、mAb×Fab融合タンパク質、Fab×F(ab’)2融合タンパク
質、またはリガンド×Fab融合タンパク質である場合に、特に有用である。本発明の二
特異性分子は、1つの単鎖抗体および結合決定基を含む単鎖分子の場合もあり、2つの結
合決定基を含む単鎖二特異性分子の場合もある。二特異性分子は、少なくとも2つの単鎖
分子を含みうる。二特異性分子を調製する方法については、例えば、米国特許第5,26
0,203号明細書;米国特許第5,455,030号明細書;米国特許第4,881,
175号明細書;米国特許第5,132,405号明細書;米国特許第5,091,51
3号明細書;米国特許第5,476,786号明細書;米国特許第5,013,653号
明細書;米国特許第5,258,498号明細書;および米国特許第5,482,858
号明細書において記載されている。
それらの特異的な標的に対する二特異性分子の結合は、例えば、酵素免疫測定アッセイ
(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(REA)、FACS解析、バイオアッセイ(例
えば、成長阻害アッセイ)、またはウェスタンブロットアッセイにより確認することがで
きる。これらのアッセイの各々では一般に、対象の複合体に特異的な、標識された試薬(
例えば、抗体)を援用することにより、特に対象となるタンパク質-抗体間複合体の存在
が検出される。
別の態様では、本発明は、ANGPTL4に結合する、本発明の抗体の少なくとも2つ
の同一であるかまたは異なる抗原結合性部分を含む、多価化合物を提供する。抗原結合性
部分は、タンパク質の融合または共有結合的連結もしくは非共有結合的連結を介して、併
せて連結することができる。代替的に、二特異性分子のための連結法も記載されている。
四価化合物は、例えば、本発明の抗体(antibodies of the antibodies of the inventio
n)を、本発明の抗体の定常領域に結合する抗体、例えば、Fc領域またはヒンジ領域と
架橋することにより得ることができる。
三量体化ドメインについては、例えば、Boreanによる特許である欧州特許第10
12280号明細書において記載されている。五量体化モジュールについては、例えば、
PCT/EP97/05897において記載されている。
半減期を延長した抗体
本発明は、in vivoにおける半減期を延長した、ANGPTL4タンパク質に特
異的に結合する抗体を提供する。
多くの因子が、in vivoにおけるタンパク質の半減期に影響を及ぼしうる。例え
ば、腎臓における濾過、肝臓における代謝、タンパク質分解性酵素(プロテアーゼ)によ
る分解、および免疫原性応答(例えば、抗体によるタンパク質の中和およびマクロファー
ジおよび樹状細胞による取込み)。様々な戦略を使用して、本発明の抗体の半減期を延長
することができる。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、reCODE PEG
、抗体足場、ポリシアル酸(PSA)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミ
ン結合性リガンド、および炭水化物シールドとの化学的連結により、アルブミン、IgG
、FcRn、およびトランスフェリン(transferring)などの血清タンパク質に結合する
タンパク質との遺伝子融合により、ナノボディ、Fab、DARPin、アビマー、アフ
ィボディ、およびアンチカリンなど、血清タンパク質に結合する他の結合部分とカップリ
ングする(遺伝子的または化学的に)ことにより、rPEG、アルブミン、アルブミンの
ドメイン、アルブミン結合性タンパク質、およびFcとの遺伝子融合により、またはナノ
担体、徐放製剤、もしくは医療デバイスへの組込みにより、本発明の抗体の半減期を延長
することができる。
in vivoにおける抗体の血清中循環を延長するため、高分子量のPEGなど、不
活性のポリマー分子を、PEGの、抗体のN末端もしくはC末端への部位特異的コンジュ
ゲーションを介して、またはリシン残基上に存在するイプシロン-アミノ基を介して、多
官能性リンカーを伴うかまたは多官能性リンカーを伴わない、抗体またはそれらの断片へ
と付着することができる。抗体をPEG化するには、抗体またはその断片を、ポリエチレ
ングリコール(PEG)の反応性エステルまたはアルデヒド誘導体などのPEGと、1つ
または複数のPEG基が抗体または抗体断片に付着する条件下で反応させることが典型的
である。PEG化は、反応性PEG分子(または類似する反応性の水溶性ポリマー)との
アシル化反応またはアルキル化反応により実行することができる。本明細書で使用される
「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1~C10)アルコキシ-ポリエチ
レングリコールもしくはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレング
リコール-マレイミドなど、他のタンパク質を誘導体化するのに使用されているPEGの
形態のうちのいずれかを包含することを意図するものである。ある種の実施形態では、P
EG化される抗体は、脱グリコシル化抗体である。直鎖状ポリマーまたは分枝状ポリマー
の誘導体化であって、生物学的活性の喪失を結果として最小とする誘導体化が、使用され
るであろう。コンジュゲーションの程度を、SDS-PAGEおよび質量分析により緊密
にモニタリングして、PEG分子の抗体への適正なコンジュゲーションを確認することが
できる。反応しなかったPEGは、サイズ除外クロマトグラフィーまたはイオン交換クロ
マトグラフィーにより、抗体-PEGコンジュゲートから分離することができる。PEG
誘導体化抗体は、当業者に周知の方法を使用して、例えば、本明細書で記載されるイムノ
アッセイにより、結合活性ならびにin vivoにおける有効性について調べることが
できる。当技術分野では、タンパク質をPEG化する方法が知られており、本発明の抗体
に適用することができる。例えば、Nishimuraらによる欧州特許第015431
6号明細書およびIshikawaらによる欧州特許第0401384号明細書を参照さ
れたい。
他の改変されたPEG化技術は、tRNAシンセターゼおよびtRNAを含む再構成系
を介して、化学的に特定された側鎖を、生合成タンパク質へと組み込む、再構成化学的直
交性直接操作技術(reconstituting chemically orthogonal directed engineering)(
ReCODE PEG)を含む。この技術は、30を超える新たなアミノ酸の、大腸菌(
E. coli)細胞内、酵母細胞内、および哺乳動物細胞内の生合成タンパク質への組込みを
可能とする。tRNAは、非天然アミノ酸を、アンバーコドンが配置される任意の位置へ
と組み込み、終止コドンから、化学的に特定されたアミノ酸の組込みをシグナル伝達する
コドンへとアンバーを転換する。
組換えPEG化技術(rPEG)はまた、血清半減期の延長にも使用することができる
。この技術は、300~600アミノ酸の非構造化タンパク質テールを、既存の医薬用タ
ンパク質へと遺伝子融合させることを伴う。このような非構造化タンパク質鎖の見かけの
分子量は、その実際の分子量の約15倍であるため、タンパク質の血清半減期は、大きく
増大する。化学的コンジュゲーションおよび再精製を要求する従来のPEG化とは対照的
に、製造工程は大きく簡略化され、生成物は、均質である。
ポリシアリル化は、天然のポリマーであるポリシアル酸(PSA)を使用して、活性寿
命を延長し、治療用ペプチドおよび治療用タンパク質の安定性を改善する、別の技術であ
る。PSAとは、シアル酸(糖)のポリマーである。タンパク質および治療用ペプチドの
薬物送達に使用される場合、コンジュゲーション時に、ポリシアル酸は、保護的微小環境
をもたらす。これは、循環内の治療用タンパク質の活性寿命を延長し、それが免疫系によ
り認識されることを防止する。PSAポリマーは、天然では、ヒト体内で見出される。P
SAは、数百万年にわたり、それらの壁をPSAでコーティングするように進化したある
種の細菌により採用された。次いで、これらの天然でポリシアリル化した細菌は、分子的
模倣により、体内の防御系を失効化することが可能となった。自然の究極のステルス技術
であるPSAは、このような細菌から、大量に、かつ、所定の物理的特徴を伴って、容易
に作製することができる。細菌PSAは、ヒト体内ではPSAと化学的に同一であるので
、タンパク質へとカップリングさせた場合でもなお、完全に非免疫原性である。
別の技術は、抗体に連結されたヒドロキシエチルデンプン(「HES」)誘導体の使用
を含む。HESとは、蝋状トウモロコシデンプンに由来する、修飾された天然ポリマーで
あり、体内の酵素により代謝されうる。HES溶液は通例、血液量不足を補い、血液のレ
オロジー特性を改善するために投与される。抗体のHES化は、分子の安定性を増大させ
ることのほか、腎クリアランスを低減することによっても、循環半減期の延長を可能とし
、生物学的活性の増大を結果としてもたらす。HESの分子量など、異なるパラメータを
改変することにより、広範にわたるHES抗体コンジュゲートをカスタマイズすることが
できる。
in vivoにおける半減期を延長した抗体はまた、1つまたは複数のアミノ酸修飾
(すなわち、置換、挿入、または欠失)を、IgG定常ドメインまたはそのFcRn結合
性断片(好ましくはFcドメイン断片またはヒンジFcドメイン断片)へと導入しても作
り出すことができる。例えば、国際公開第98/23289号パンフレット、国際公開第
97/34631号パンフレット;および米国特許第6,277,375号明細書を参照
されたい。
さらに、抗体または抗体断片を、in vivoにおいてより安定的とするか、または
in vivoにおける半減期を延長するために、抗体を、アルブミン(例えば、ヒト血
清アルブミン;HSA)へとコンジュゲートさせることもできる。当技術分野では、技法
が周知であり、例えば、国際公開第93/15199号パンフレット、同第93/152
00号パンフレット、および同第01/77137号パンフレット;ならびに欧州特許第
413,622号明細書を参照されたい。加えて、上記で記載した二特異性抗体の文脈で
は、抗体の特異性は、抗体の1つの結合性ドメインが、ANGPTL4に結合するのに対
し、抗体の第2の結合性ドメインは、血清アルブミン、好ましくは、HSAに結合するよ
うにデザインすることもできる。
半減期を延長するための戦略は、in vivoにおける半減期の延長が所望される、
ナノボディ、フィブロネクチンベースの結合剤、および他の抗体またはタンパク質におい
てとりわけ有用である。
抗体コンジュゲート
本発明は、融合タンパク質を作り出すように、異種タンパク質または異種ポリペプチド
へと(またはその断片、好ましくは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30
、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80
、少なくとも90、または少なくとも100アミノ酸のポリペプチドへと)、組換えによ
り融合させるかまたは化学的にコンジュゲートさせた(共有結合的コンジュゲーションお
よび非共有結合的コンジュゲーションの両方を含む)、ANGPTL4タンパク質に特異
的に結合する抗体またはそれらの断片を提供する。特に、本発明は、本明細書で記載され
る抗体の抗原結合性断片(例えば、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片
、VHドメイン、VH CDR、VLドメイン、またはVL CDR)と、異種タンパク
質、異種ポリペプチド、または異種ペプチドとを含む融合タンパク質を提供する。当技術
分野では、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを、抗体または抗体断片と融合ま
たはコンジュゲートさせる方法が知られている。例えば、米国特許第5,336,603
号明細書、同第5,622,929号明細書、同第5,359,046号明細書、同第5
,349,053号明細書、同第5,447,851号明細書、および同第5,112,
946号明細書;欧州特許第307,434号明細書および同第367,166号明細書
;国際公開第96/04388号パンフレットおよび同第91/06570号パンフレッ
ト;Ashkenazi et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10535-10539;Zheng et
al., 1995, J. Immunol. 154:5590-5600;およびVil et al., 1992, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 89:11337-11341を参照されたい。
さらなる融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシ
ャフリング、および/またはコドンシャフリング(まとめて、「DNAシャフリング」と
称する)の技法を介して作り出すことができる。DNAシャフリングを援用して、本発明
の抗体またはそれらの断片の活性を改変する(例えば、アフィニティーが大きく、解離速
度が小さい抗体またはそれらの断片)ことができる。一般に、米国特許第5,605,7
93号明細書、同第5,811,238号明細書、同第5,830,721号明細書、同
第5,834,252号明細書、および同第5,837,458号明細書;Patten et al
., 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33;Harayama, 1998, Trends Biotechnol.
16(2):76-82;Hansson et al., 1999, J. Mol. Biol. 287:265-76;ならびにLorenzo a
nd Blasco, 1998, Biotechniques 24(2):308-313(これらの特許および刊行物の各々は
、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる)を参照されたい。抗体もし
くはそれらの断片、またはコードされる抗体もしくはそれらの断片は、組換えの前に、エ
ラープローンPCRによるランダム突然変異誘発、ランダムヌクレオチド挿入、または他
の方法にかけることにより改変することができる。ANGPTL4タンパク質に特異的に
結合する抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数の異種分
子の1つまたは複数の成分、モチーフ、区間、一部、ドメイン、断片などで組み換えるこ
とができる。
さらに、抗体またはそれらの断片は、精製を容易とするペプチドなどのマーカー配列へ
と融合させることもできる。好ましい実施形態では、マーカーのアミノ酸配列は、それら
のうちの多くが市販されている中でとりわけ、pQEベクター(QIAGEN,Inc.
、9259 Eton Avenue、Chatsworth、CA、91311)にお
いて提供されているタグなどのヘキサヒスチジンペプチドである。Gentz et al., 1989,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824において記載されている通り、例えば、ヘキサ
ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製をもたらす。精製に有用な他のペプチドタグ
は、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープ(Wilson et al., 1
984, Cell 37:767)に対応するヘマグルチニン(「HA」)タグ、および「フラッグ」タ
グを含むがこれらに限定されない。
他の実施形態では、本発明の抗体またはそれらの断片を、診断剤または検出可能薬剤へ
とコンジュゲートさせる。このような抗体は、疾患または障害の発生、発症、進行、およ
び/または重症度を、特定の治療の有効性を決定することなど、臨床検査手順の一部とし
てモニタリングまたは予後診断するのに有用でありうる。このような診断および検出は、
抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダ
ーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどであるがこれらに限定されない多様な酵素
;ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどであるがこれらに限定さ
れない補欠分子族;ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイ
ン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、また
はフィコエリトリンなどであるがこれらに限定されない蛍光材料;ルミノールなどである
がこれらに限定されない発光材料;ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンな
どであるがこれらに限定されない生物発光材料;ヨウ素(131I、125I、123I
、および121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウ
ム(115In、113In、112In、および111In)、テクネシウム(99T
c)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103
Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153
Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、9
0Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68G
e、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54
Mn、75Se、113Sn、および117Tinなどであるがこれらに限定されない放
射性材料;ならびに多様なポジトロン断層法を使用するポジトロン放出金属および非放射
性の常磁性金属イオンを含むがこれらに限定されない検出可能な物質へとカップリングす
ることにより達成することができる。
本発明は、治療用部分へとコンジュゲートさせた抗体またはそれらの断片の使用もさら
に包含する。抗体またはその断片は、細胞毒素、例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤
、治療剤または放射性金属イオン、例えば、アルファ放射体などの治療用部分へとコンジ
ュゲートさせることができる。細胞毒素または細胞傷害剤は、細胞に有害な任意の薬剤を
含む。
さらに、抗体またはその断片は、所与の生物学的応答を修飾する治療用部分または薬物
部分へとコンジュゲートさせることもできる。治療用部分または薬物部分は、古典的化学
的治療剤に限定されるとは見なされないものとする。例えば、薬物部分は、所望の生物学
的活性を保有するタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドでありうる。このようなタ
ンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス属外毒素、コレラ毒素、また
はジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェ
ロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトー
シス剤、抗血管新生剤;または例えば、リンホカインなどの生体応答修飾剤などのタンパ
ク質を含みうる。
さらに、抗体は、213Biなどのアルファ放射体(alph-emiter)などの放射性金属
イオン、131In、131LU、131Y、131Ho、131Smを含むがこれらに
限定されない放射性金属イオンを、ポリペプチドへとコンジュゲートするのに有用な大環
状キレート化剤などの治療用部分へとコンジュゲートさせることもできる。ある種の実施
形態では、大環状キレート化剤は、リンカー分子を介して抗体へと付着させうる、1,4
,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラ酢酸(D
OTA)である。当技術分野では、このようなリンカー分子が一般に公知であり、各々が
参照によりそれらの全体において組み込まれる、Denardo et al., 1998, Clin Cancer Re
s. 4(10):2483-90;Peterson et al., 1999, Bioconjug. Chem. 10(4):553-7;およ
びZimmerman et al., 1999, Nucl. Med. Biol. 26(8):943-50において記載されている
治療用部分を、抗体へとコンジュゲートさせるための技法は周知であり、例えば、Arno
n et al., "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy"
, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al.(eds.), pp.243-56(
Alan R. Liss, Inc. 1985);Hellstrom et al., "Antibodies For Drug Delivery", Con
trolled Drug Delivery(2nd Ed.), Robinson et al.,(eds.), pp.623-53(Marcel De
kker, Inc. 1987);Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Ther
apy: A Review", Monoclonal Antibodies 84: Biological And Clinical Applications,
Pinchera et al.(eds.), pp.475-506(1985);"Analysis, Results, And Future Pros
pective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy", Mono
clonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al.(eds.), pp.3
03-16(Academic Press 1985);およびThorpe et al., 1982, Immunol. Rev. 62:119-58
を参照されたい。
抗体はまた、特に、イムノアッセイまたは標的抗原の精製に有用な固体支持体へと付着
させることもできる。このような固体支持体は、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミ
ド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンを含むがこれらに
限定されない。
本発明の抗体を作製する方法
抗体をコードする核酸
本発明は、上記で記載したANGPTL4結合性抗体鎖のセグメントまたはドメインを
含むポリペプチドをコードする、実質的に精製された核酸分子を提供する。本発明の核酸
のいくつかは、配列番号13、38、58、78、98、118、または138に示され
る重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列、および/または配列番号23、48、6
8、88、108、128、または148に示される軽鎖可変領域をコードするヌクレオ
チド配列を含む。具体的な実施形態では、核酸分子は、表1において同定される核酸分子
である。本発明の他のいくつかの核酸分子は、表1において同定される核酸分子のヌクレ
オチド配列と実質的に(例えば、少なくとも65、80%、95%、または99%)同一
なヌクレオチド配列を含む。適切な発現ベクターから発現させるとき、これらのポリヌク
レオチドによりコードされるポリペプチドは、ANGPTL4抗原結合能を呈示すること
が可能である。
本発明ではまた、上記で示したANGPTL4結合性抗体の重鎖または軽鎖に由来する
少なくとも1つのCDR領域、および、通例3つ全てのCDR領域をコードするポリヌク
レオチドも提供される。他のいくつかのポリヌクレオチドは、上記で示したANGPTL
4結合性抗体の重鎖および/または軽鎖の可変領域配列の全てまたは実質的に全てをコー
ドする。コードの縮重性のために、様々な核酸配列は、免疫グロブリンアミノ酸配列の各
々をコードするであろう。
本発明の核酸分子は、抗体の可変領域および定常領域の両方をコードしうる。本発明の
核酸配列のうちのいくつかは、配列番号15、28、40、60、80、100、120
、および140に示される重鎖配列と実質的に(例えば、少なくとも80%、90%、ま
たは99%)同一な重鎖配列をコードするヌクレオチドを含む。他のいくつかの核酸配列
は、配列番号25、50、70、90、110、130、および150に示される軽鎖配
列と実質的に(例えば、少なくとも80%、90%、または99%)同一な軽鎖配列をコ
ードするヌクレオチドを含む。
ポリヌクレオチド配列は、デノボの固相DNA合成、またはANGPTL4結合性抗体
またはその結合性断片をコードする既存の配列(例えば、下記の実施例で記載される配列
)に対するPCRによる突然変異誘発により作製することができる。核酸の直接的な化学
合成は、Narang et al., 1979, Meth. Enzymol. 68:90によるホスホトリエステル法;Bro
wn et al., Meth. Enzymol. 68:109, 1979によるホスホジエステル法;Beaucage et al.,
Tetra. Lett., 22:1859, 1981によるジエチルホスホルアミダイト法;および米国特許第
4,458,066号明細書による固体支持体法など、当技術分野で公知の方法により達
成することができる。PCRによる、突然変異の、ポリヌクレオチド配列への導入は、例
えば、PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification, H.A. Er
lich(Ed.), Freeman Press, NY, NY, 1992;PCR Protocols: A Guide to Methods and
Applications, Innis et al.(Ed.), Academic Press, San Diego, CA, 1990;Mattila
et al., Nucleic Acids Res. 19:967, 1991;およびEckert et al., PCR Methods and Ap
plications 1:17, 1991において記載されている通りに実施することができる。
本発明ではまた、上記で記載したANGPTL4結合性抗体を作製するための発現ベク
ターおよび宿主細胞も提供される。多様な発現ベクターを、援用して、ANGPTL4結
合性抗体鎖または結合性断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることができる。
ウイルスベースの発現ベクターおよび非ウイルス発現ベクターのいずれを使用しても、哺
乳動物宿主細胞内で抗体を作製することができる。非ウイルスベクターおよび非ウイルス
系は、プラスミド、典型的に、タンパク質またはRNAを発現させるための発現カセット
を伴うエピソームベクター、およびヒト人工染色体を含む(例えば、Harrington et al.,
Nat Genet 15:345, 1997を参照されたい)。例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)細胞内
のANGPTL4結合性ポリヌクレオチドおよびANGPTL4結合性ポリペプチドの発
現に有用な非ウイルスベクターは、pThioHis A、pThioHis B、およ
びpThioHis C、pcDNA3.1/His、pEBVHis A、pEBVH
is B、およびpEBVHis C(Invitrogen、San Diego、C
A)、MPSVベクター、ならびに他のタンパク質を発現させるための、当技術分野で公
知の他の多数のベクターを含む。有用なウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウ
イルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスに基づくベクター、SV40に基づくベ
クター、パピローマウイルス、HBPエプスタインバーウイルス、ワクシニアウイルスベ
クター、およびセムリキ森林熱ウイルス(SFV)を含む。Brent et al.,前出;Smith,
Annu. Rev. Microbiol. 49:807, 1995;およびRosenfeld et al., Cell 68:143, 1992を
参照されたい。
発現ベクターの選択は、その中でベクターを発現させる、意図される宿主細胞に依存す
る。発現ベクターは、ANGPTL4結合性抗体鎖または断片をコードするポリヌクレオ
チドに作動可能に連結されたプロモーターおよび他の調節配列(例えば、エンハンサー)
を含有することが典型的である。いくつかの実施形態では、誘導条件下を除き、挿入され
た配列の発現を防止するのに、誘導的プロモーターを援用する。誘導的プロモーターは、
例えば、アラビノース、lacZ、メタロチオネインプロモーター、または熱ショックプ
ロモーターを含む。形質転換された生物の培養物は、それらの発現産物が宿主細胞により
良好に許容されるコード配列の集団にバイアスをかけずに、非誘導条件下で増殖させるこ
とができる。プロモーターに加えて、他の調節的エレメントもまた、ANGPTL4結合
性抗体鎖または断片の効率的な発現に要求または所望される可能性がある。これらのエレ
メントは、ATG開始コドンおよび隣接のリボソーム結合性部位または他の配列を典型的
に含む。加えて、発現の効率は、使用される細胞系に適するエンハンサーを組み入れるこ
とにより増強することもできる(例えば、Scharf et al., Results Probl. Cell Differ.
20:125, 1994;およびBittner et al., Meth. Enzymol., 153:516, 1987を参照されたい
)。例えば、SV40エンハンサーまたはCMVエンハンサーを使用して、哺乳動物宿主
細胞内の発現を増大させることができる。
発現ベクターはまた、挿入されたANGPTL4結合性抗体配列によりコードされるポ
リペプチドとの融合タンパク質を形成するように、分泌シグナル配列の位置ももたらしう
る。挿入されたANGPTL4結合性抗体配列は、ベクター内に組み入れる前に、シグナ
ル配列へと連結することが多い。ANGPTL4結合性抗体の軽鎖可変ドメインおよび重
鎖可変ドメインをコードする配列を受容するのに使用されるベクターは、場合によってま
た、定常領域またはそれらの一部もコードする。このようなベクターは、定常領域との融
合タンパク質としての可変領域の発現を可能とし、これにより、インタクトな抗体または
それらの断片の作製をもたらす。このような定常領域は、ヒト定常領域であることが典型
的である。
ANGPTL4結合性抗体鎖を保有し、これを発現させるための宿主細胞は、原核細胞
の場合もあり、真核細胞の場合もある。大腸菌(E. coli)は、本発明のポリヌクレオチ
ドをクローニングし、発現させるのに有用な1つの原核生物宿主である。使用に適する他
の微生物宿主は、枯草菌(Bacillus subtilis)などの桿菌、およびサルモネラ(Salmone
lla)属種、セラチア(Serratia)属種、および多様なシュードモナス(Pseudomonas)属
種など、他の腸内細菌科を含む。これらの原核生物宿主内ではまた、典型的に、宿主細胞
と適合性の発現制御配列(例えば、複製起点)を含有する発現ベクターも作製することが
できる。加えて、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系
、ベータ-ラクタマーゼプロモーター系、またはファージラムダに由来するプロモーター
系など、任意の数の、様々な周知のプロモーターも存在する。プロモーターは、任意選択
で、オペレーター配列により発現を制御することが典型的であるが、転写および翻訳を開
始して終結させるためのリボソーム結合性部位配列なども有する。本発明のANGPTL
4結合性ポリペプチドを発現させるのに、酵母など、他の微生物もまた援用することがで
きる。また、バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞も使用することができる
いくつかの好ましい実施形態では、本発明のANGPTL4結合性ポリペプチドを発現
させ、作製するのに、哺乳動物宿主細胞を使用する。例えば、それらは、内因性免疫グロ
ブリン遺伝子を発現させるハイブリドーマ細胞系(例えば、実施例で記載される、1D6
.C9骨髄腫ハイブリドーマクローン)の場合もあり、外因性発現ベクターを保有する哺
乳動物細胞系(例えば、下記で例示されるSP2/0骨髄腫細胞)の場合もある。それら
は、任意の正常非不死化動物細胞または正常不死化動物細胞もしくは非正常不死化動物細
胞またはヒト細胞を含む。例えば、CHO細胞系、多様なCos細胞系、HeLa細胞、
骨髄腫細胞系、形質転換B細胞、およびハイブリドーマを含む、インタクトな免疫グロブ
リンを分泌することが可能な多数の適切な宿主細胞系が開発されている。ポリペプチドを
発現させるための、哺乳動物組織細胞培養物の使用については、例えば、Winnacker, FRO
M GENES TO CLONES, VCH Publishers, N.Y., N.Y., 1987において一般に論じられている
。哺乳動物宿主細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、およびエンハン
サーなどの発現制御配列(例えば、Queen et al., Immunol. Rev. 89:49-68, 1986を参照
されたい)、ならびにリボソーム結合性部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部
位、および転写ターミネーター配列などの、必要なプロセシング情報部位を含みうる。こ
れらの発現ベクターは通例、哺乳動物遺伝子に由来するプロモーターまたは哺乳動物ウイ
ルスに由来するプロモーターを含有する。適切なプロモーターは、構成的プロモーター、
細胞型特異的プロモーター、段階特異的プロモーター、および/またはモジュレート可能
プロモーターもしくは調節可能プロモーターでありうる。有用なプロモーターは、メタロ
チオネインプロモーター、構成的アデノウイルス主要後期プロモーター、デキサメタゾン
誘導性MMTVプロモーター、SV40プロモーター、MRP polIIIプロモータ
ー、構成的MPSVプロモーター、テトラサイクリン誘導性CMVプロモーター(ヒト即
初期CMVプロモーターなど)、構成的CMVプロモーター、および当技術分野で公知の
プロモーター-エンハンサーの組合せを含むがこれらに限定されない。
対象のポリヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを導入する方法は、細胞宿主の種
類に応じて変化する。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションが一般に原核細胞に
活用されるのに対し、リン酸カルシウム処理または電気穿孔は、他の細胞宿主に使用する
ことができる(一般に、Sambrook et al.,前出を参照されたい)。他の方法は、例えば、
電気穿孔、リン酸カルシウム処理、リポソーム媒介型形質転換、注射およびマイクロイン
ジェクション、遺伝子銃法、ウィロソーム、イムノリポソーム、ポリカチオン:核酸コン
ジュゲート、ネイキッドDNA、人工ビリオン、ヘルペスウイルス構造タンパク質である
VP22との融合体(Elliot and O'Hare, Cell 88:223, 1997)、DNAの薬剤増強型取
込み、およびex vivoにおける形質導入を含む。組換えタンパク質の長期にわたる
高収率作製のためには、安定的発現が所望されることが多い。例えば、ANGPTL4結
合性抗体鎖または結合性断片を安定的に発現させる細胞系は、ウイルス複製起点または内
因性発現エレメント、および選択マーカー遺伝子を含有する、本発明の発現ベクターを使
用して調製することができる。ベクターを導入した後、細胞は、強化培地中で1~2日間
にわたり成長させてから、選択培地へと切り替えることができる。選択マーカーの目的は
、選択に対する耐性を付与し、その存在により細胞の成長を可能とし、これにより、導入
された配列を選択培地中で発現させることに成功することである。耐性で安定的にトラン
スフェクトされた細胞は、細胞型に適する組織培養法を使用して増殖させることができる
本発明のモノクローナル抗体の作出
モノクローナル抗体(mAb)は、従来のモノクローナル抗体法、例えば、Kohler and
Milstein, 1975 Nature 256: 495による標準的な体細胞ハイブリダイゼーションの技法
を含む、様々な技法により作製することができる。モノクローナル抗体を作製するための
多くの技法、例えば、Bリンパ球の、ウイルスによる形質転換または発がん性形質転換を
援用することができる。
ハイブリドーマを調製するための動物系は、マウス系、ラット系、およびウサギ系を含
む。マウスにおけるハイブリドーマの作製は、十分に確立された手順である。当技術分野
では、免疫化プロトコールと、融合のための、免疫化された脾臓細胞を単離するための技
法とが公知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)および融合手順もまた
公知である。
本発明のキメラ抗体またはヒト化抗体は、上記で記載した通りに調製されたマウスモノ
クローナル抗体の配列に基づき、調製することができる。重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖
免疫グロブリンをコードするDNAは、対象のマウスハイブリドーマから得、標準的な分
子生物学の技法を使用して、非マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含有するよ
うに操作することができる。例えば、キメラ抗体を創出するには、当技術分野で公知の方
法(例えば、Cabillyらによる米国特許第4,816,567号明細書を参照され
たい)を使用して、マウス可変領域を、ヒト定常領域へと連結することができる。ヒト化
抗体を創出するには、当技術分野で公知の方法を使用して、マウスCDR領域を、ヒトフ
レームワークへと挿入することができる。例えば、Winterによる米国特許第522
5539号明細書、ならびにQueenらによる、米国特許第5530101号明細書;
同第5585089号明細書;同第5693762号明細書;および同第6180370
号明細書を参照されたい。
ある種の実施形態では、本発明の抗体は、ヒト化抗体である。ANGPTL4を指向す
る、このようなヒト化抗体は、マウス系ではなく、ヒト免疫系の部分を保有する、トラン
スジェニックマウスまたはトランスクロモソミックマウスを使用して作り出すことができ
る。これらのトランスジェニックマウスおよびトランスクロモソミックマウスは、本明細
書では、それぞれ、HuMAbマウスおよびKMマウスと称するマウスを含み、本明細書
ではまとめて、「ヒトIgマウス」と称する。
HuMAbマウス(登録商標)(Medarex,Inc.)は、ヒト免疫グロブリン
遺伝子のミニ遺伝子座であって、再配列されていないヒト重(μおよびγ)鎖免疫グロブ
リン配列およびヒトκ軽鎖免疫グロブリン配列を、内因性μ鎖遺伝子座および内因性κ鎖
遺伝子座を不活化させる標的突然変異と併せてコードする、ミニ遺伝子座(例えば、Lonb
erg, et al., 1994 Nature 368(6474): 856-859を参照されたい)を含有する。したがっ
て、マウスは、マウスIgMまたはマウスIgκの発現の低減を呈示し、免疫化に応答し
て、導入されたヒト重鎖および軽鎖導入遺伝子は、クラススイッチングおよび体細胞突然
変異を経て、高アフィニティーのヒトIgGκモノクローナルを産出する(Lonberg, N.
et al., 1994 supra;Lonberg, N., 1994 Handbook of Experimental Pharmacology 113:
49-101;Lonberg, N. and Huszar, D., 1995 Intern. Rev. Immunol.13: 65-93, and Har
ding, F. and Lonberg, N., 1995 Ann. N. Y. Acad. Sci. 764:536-546において総説され
ている)。HuMAbマウスの調製および使用、ならびにこのようなマウスにより保有さ
れるゲノム修飾については、それらの全ての内容が、参照によりそれらの全体において本
明細書に具体的に組み込まれる、Taylor, L. et al., 1992 Nucleic Acids Research 20:
6287-6295;Chen, J. et at., 1993 International Immunology 5: 647-656;Tuaillon e
t al., 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:3720-3724;Choi et al., 1993 Nature Ge
netics 4:117-123;Chen, J. et al., 1993 EMBO J. 12: 821-830;Tuaillon et al., 19
94 J. Immunol. 152:2912-2920;Taylor, L. et al., 1994 International Immunology 5
79-591;およびFishwild, D. et al., 1996 Nature Biotechnology 14: 845-851において
さらに記載されている。さらに、全てLonbergおよびKayによる、米国特許第5
,545,806号明細書;同第5,569,825号明細書;同第5,625,126
号明細書;同第5,633,425号明細書;同第5,789,650号明細書;同第5
,877,397号明細書;同第5,661,016号明細書;同第5,814,318
号明細書;同第5,874,299号明細書;および同第5,770,429号明細書;
Suraniらによる米国特許第5,545,807号明細書;全てLonbergおよ
びKayによる、PCT国際公開第92103918号パンフレット、国際公開第93/
12227号パンフレット、国際公開第94/25585号パンフレット、国際公開第9
7113852号パンフレット、国際公開第98/24884号パンフレット、および国
際公開第99/45962号パンフレット;ならびにKormanらによるPCT国際公
開第01/14424号パンフレットも参照されたい。
別の実施形態では、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入染色体を保有するマウスな
ど、導入遺伝子上および導入染色体上にヒト免疫グロブリン配列を保有するマウスを使用
して、本発明のヒト抗体をもたらすことができる。本明細書では、このようなマウスを、
「KMマウス」と称するが、これについては、Ishidaらによる、PCT国際公開第
02/43478号パンフレットにおいて詳細に記載されている。
ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現させる、当技術分野では、なおさらに代替的なトラン
スジェニック動物系が利用可能であり、本発明のANGPTL4結合性抗体をもたらすの
に使用することができる。例えば、Xenomouse(Abgenix,Inc.)と
称する、代替的なトランスジェニック系も使用することができる。このようなマウスにつ
いては、例えば、Kucherlapatiらによる、米国特許第5,939,598号
明細書;同第6,075,181号明細書;同第6,114,598号明細書;同第6,
150,584号明細書;および同第6,162,963号明細書において記載されてい
る。
さらに、当技術分野では、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現させる、代替的なトランス
クロモソミック動物系が利用可能であり、本発明のANGPTL4結合性抗体をもたらす
のに使用することができる。例えば、ヒト重鎖導入染色体およびヒト軽鎖導入染色体の両
方を保有するマウスであって、「TCマウス」と称するマウスを使用しうるが、このよう
なマウスについては、Tomizuka et al., 2000 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:722-727
において記載されている。当技術分野ではさらに、ヒト重鎖および軽鎖導入染色体を保有
するウシについても記載されており(Kuroiwa et al., 2002 Nature Biotechnology 20:8
89-894)、本発明のANGPTL4結合性抗体をもたらすのに使用することができる。
本発明のヒト化抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子のライブラリーをスクリーニン
グするためのファージディスプレイ法を使用して調製することもできる。当技術分野では
、ヒト抗体を単離するための、このようなファージディスプレイ法が確立されているか、
または下記の実施例において記載される。例えば、Ladnerらによる、米国特許第5
,223,409号明細書;同第5,403,484号明細書;および同第5,571,
698号明細書;Dowerらによる、米国特許第5,427,908号明細書;および
同第5,580,717号明細書;McCaffertyらによる、米国特許第5,96
9,108号明細書;および同第6,172,197号明細書;ならびにGriffit
hsらによる、米国特許第5,885,793号明細書;同第6,521,404号明細
書;同第6,544,731号明細書;同第6,555,313号明細書;同第6,58
2,915号明細書;および同第6,593,081号明細書を参照されたい。
本発明のヒト化抗体はまた、免疫化したら、ヒト抗体応答を発生させうるように、ヒト
免疫細胞を再構築した、SCIDマウスを使用して調製することもできる。このようなマ
ウスについては、例えば、Wilsonらによる、米国特許第5,476,996号明細
書;および同第5,698,767号明細書において記載されている。
フレームワークまたはFcの操作
本発明の操作抗体は、例えば、抗体の特性を改善するように、VHおよび/またはVL
内のフレームワーク残基へと修飾を施した操作抗体を含む。このようなフレームワーク修
飾は、抗体の免疫原性を低下させるように施すことが典型的である。例えば、1つの手法
は、1つまたは複数のフレームワーク残基を、対応する生殖細胞系列配列へと「復帰突然
変異させる」ことである。より具体的には、体細胞突然変異を経た抗体は、抗体が由来す
る生殖細胞系列配列と異なるフレームワーク残基を含有しうる。このような残基は、抗体
フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖細胞系列配列と比較することにより同定する
ことができる。フレームワーク領域配列を、それらの生殖細胞系列の立体配置へと戻すに
は、例えば、部位特異的突然変異誘発により、体細胞突然変異を、生殖細胞系列配列へと
「復帰突然変異させる」ことができる。このような「復帰突然変異させた」抗体もまた、
本発明により包含されることを意図する。
フレームワーク修飾の別の種類は、1つもしくは複数のフレームワーク領域内の残基、
なおまたは、1つもしくは複数のCDR領域内の残基を突然変異させて、T細胞エピトー
プを除去して、これにより、抗体の潜在的な免疫原性を低減することを伴う。この手法は
また、「脱免疫化」とも称し、Carrらによる米国特許出願公開第200301530
43号明細書においてさらに詳細に記載されている。
フレームワーク内またはCDR領域内に施された修飾に加えて、またはこれと代替的に
、本発明の抗体は、Fc領域内の修飾を含んで、典型的に、血清半減期、補体の結合、F
c受容体の結合、および/または抗原依存性細胞性細胞傷害など、抗体の1つまたは複数
の機能的特性を改変するように操作することもできる。さらに、本発明の抗体は、化学的
に修飾することもでき(例えば、1つまたは複数の化学的部分を抗体に付着することがで
きる)、そのグリコシル化を改変して、ここでもまた、抗体の1つまたは複数の機能的特
性を改変するように修飾することもできる。これらの実施形態の各々については、下記で
さらに詳細に記載する。Fc領域内の残基の番号付けは、KabatによるEUインデッ
クスである。
一実施形態では、ヒンジ領域内のシステイン残基の数を改変する、例えば、増大または
減少させるように、CH1のヒンジ領域を修飾する。この手法は、Bodmerらによる
米国特許第5,677,425号明細書においてさらに記載されている。CH1のヒンジ
領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖のアセンブリーを容易とするか
、または抗体の安定性を増大もしくは低下させるように改変する。
別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域を突然変異させて、抗体の生物学的半減期を
短縮する。より具体的には、抗体のブドウ球菌属プロテインA(Staphylococcyl protein
A)(SpA)への結合が、天然Fc-ヒンジドメインのSpAへの結合と比べて損なわ
れるように、1つまたは複数のアミノ酸突然変異を、Fc-ヒンジ断片のCH2ドメイン
-CH3ドメイン間界面領域へと導入する。この手法は、Wardらによる米国特許第6
,165,745号明細書においてさらに詳細に記載されている。
別の実施形態では、抗体は、その生物学的半減期を延長するように修飾する。多様な手
法が可能である。例えば、以下の突然変異:Wardによる米国特許第6,277,37
5号明細書において記載されている、T252L、T254S、T256Fのうちの1つ
または複数を導入することができる。代替的に、生物学的半減期を延長するために、抗体
を、Prestaらによる米国特許第5,869,046号明細書;および同第6,12
1,022号明細書において記載されている、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つ
のループから採取されたサルベージ受容体結合性エピトープを含有するように、CH1領
域内またはCL領域内で改変することもできる。
さらに他の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸残基を、抗体のエフェクター機能
を改変する異なるアミノ酸残基で置きかえることにより、Fc領域を改変する。例えば、
抗体が、エフェクターリガンドに対するアフィニティーを改変しているが、親抗体の抗原
結合能は保持するように、1つまたは複数のアミノ酸を、異なるアミノ酸残基で置きかえ
ることができる。それに対するアフィニティーを改変するエフェクターリガンドは、例え
ば、Fc受容体または補体のC1成分でありうる。この手法は、両方ともWinterら
による米国特許第5,624,821号明細書;および同第5,648,260号明細書
においてさらに詳細に記載されている。
別の実施形態では、抗体が、C1qへの結合を改変し、かつ/または補体依存性細胞傷
害作用(CDC)を低減もしくは消失させるように、アミノ酸残基から選択される1つま
たは複数のアミノ酸を、異なるアミノ酸残基で置きかえることができる。この手法は、I
dusogieらによる米国特許第6,194,551号明細書においてさらに詳細に記
載されている。
別の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸残基を改変して、これにより、補体に結
合する抗体の能力を改変する。この手法は、BodmerらによるPCT国際公開第94
/29351号パンフレットにおいてさらに記載されている。
さらに別の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸を修飾することにより、抗体依存
性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介する抗体の能力を増大させ、かつ/またはFcγ受
容体に対する抗体のアフィニティーを増大させるように、Fc領域を修飾する。この手法
は、PrestaによるPCT国際公開第00/42072号パンフレットにおいてさら
に記載されている。さらに、ヒトIgG1上の、FcγRI、FcγRII、FcγRI
II、およびFcRnに対する結合性部位もマップされており、結合を改善させた変異体
も記載されている(Shields, R.L. et al., 2001 J. Biol. Chen. 276:6591-6604を参照
されたい)。
さらに別の実施形態では、抗体のグリコシル化を修飾する。例えば、脱グリコシル化抗
体(すなわち、抗体は、グリコシル化を欠く)を作製することができる。グリコシル化は
、例えば、「抗原」に対する抗体のアフィニティーを増大させるように改変することがで
きる。このような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内の1つまたは複数のグリコシル化
部位を改変することにより達成することができる。例えば、1つまたは複数の可変領域フ
レームワークグリコシル化部位の消失を結果としてもたらす、1つまたは複数のアミノ酸
置換を作製して、これにより、その部位におけるグリコシル化を消失させることができる
。このような脱グリコシル化により、抗原に対する抗体のアフィニティーを増大させるこ
とができる。このような手法は、Coらによる米国特許第5,714,350号明細書;
および同第6,350,861号明細書においてさらに詳細に記載されている。
加えて、または代替的に、フコシル残基の量を低減した低フコシル化抗体または二分枝
型GlcNac構造を増大させた抗体など、グリコシル化の種類を改変した抗体を作製す
ることもできる。このようなグリコシル化パターンの改変は、抗体のADCC能を増大さ
せることが裏付けられている。このような炭水化物修飾は、例えば、グリコシル化機構を
改変した宿主細胞内で抗体を発現させることにより達成することができる。当技術分野で
は、グリコシル化機構を改変した細胞が記載されており、本発明の組換え抗体を発現させ
、これにより、グリコシル化を改変した抗体を産生するための宿主細胞として使用するこ
とができる。例えば、Hangらによる欧州特許第1,176,195号明細書は、この
ような細胞系内で発現させた抗体が、低フコシル化を呈示するように、フコシルトランス
フェラーゼをコードするFUT8遺伝子を機能的に破壊した細胞系について記載している
。PrestaによるPCT国際公開第03/035835号パンフレットは、フコース
をAsn(297)連結された炭水化物へと付着する能力を低減し、また、その宿主細胞
内で発現させた抗体の低フコシル化も結果としてもたらす、変異体のCHO細胞系である
、Lecl3細胞について記載している(また、Shields, R.L. et al., 2002 J. Biol.
Chem. 277:26733-26740も参照されたい)。UmanaらによるPCT国際公開第99/
54342号パンフレットは、操作細胞系内で発現させた抗体が、抗体のADCC活性の
増大を結果としてもたらす二分枝型GlcNac構造の増大を呈示するように、糖タンパ
ク質を修飾するグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、ベータ(1,4)-Nアセチル
グルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現させるように操作さ
れた細胞系について記載している(また、Umana et al., 1999 Nat. Biotech. 17:176-18
0も参照されたい)。
改変抗体を操作する方法
上記で論じた通り、本明細書で示されるVH配列およびVL配列または全長重鎖および
全長軽鎖配列を有するANGPTL4結合性抗体は、全長重鎖配列および/もしくは全長
軽鎖配列、VH配列および/もしくはVL配列、またはこれらへと付着された定常領域を
修飾することにより、新たなANGPTL4結合性抗体を創出するのに使用することがで
きる。したがって、本発明の別の態様では、本発明のANGPTL4結合性抗体の構造特
色を使用して、ヒトANGPTL4に結合し、また、ANGPTL4の1つまたは複数の
機能的特性も阻害すること(例えば、ANGPTL4とANGPTL4受容体の結合を阻
害する、ANGPTL4依存性の細胞増殖を阻害する)など、本発明の抗体の少なくとも
1つの機能的特性を保持する、構造的に関連するANGPTL4結合性抗体を創出する。
例えば、本発明の抗体の1つまたは複数のCDR領域またはそれらの突然変異は、組換
えにより、公知のフレームワーク領域および/または他のCDRと組み合わせて、組換え
により操作された、上記で論じた、本発明の、さらなるANGPTL4結合性抗体を創出
することができる。他の種類の修飾は、前出の節で記載した修飾を含む。操作法のための
出発材料は、本明細書で提示されるVH配列および/もしくはVL配列のうちの1つもし
くは複数、またはそれらの1つもしくは複数のCDR領域である。操作抗体を創出するの
に、本明細書で提示されるVH配列および/もしくはVL配列のうちの1つもしくは複数
、またはそれらの1つもしくは複数のCDR領域を有する抗体を実際に調製する(すなわ
ち、タンパク質として発現させる)ことは必要ではない。そうではなくて、配列内に含有
される情報を、元の配列に由来する「第2世代の」配列を創出するための出発材料として
使用し、次いで、「第2世代の」配列を、タンパク質として調製し、発現させる。
したがって、別の実施形態では、本発明は、配列番号7、32、52、72、92、1
12、および132からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号8、33、53、
73、93、113、および133からなる群から選択されるCDR2配列、ならびに/
または配列番号9、34、54、74、94、114、および134からなる群から選択
されるCDR3配列を有する重鎖可変領域の抗体配列と、配列番号17、42、62、8
2、102、122、および142からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号1
8、43、63、83、103、123、および143からなる群から選択されるCDR
2配列、ならびに/または配列番号19、44、64、84、104、124、および1
44からなる群から選択されるCDR3配列を有する軽鎖可変領域の抗体配列とからなる
ANGPTL4結合性抗体を作製するステップと、重鎖可変領域の抗体配列および/また
は軽鎖可変領域の抗体配列内の少なくとも1つのアミノ酸残基を改変して、少なくとも1
つの改変抗体配列を創出するステップと、改変抗体配列を、タンパク質として発現させる
ステップとを含む方法を提供する。
したがって、別の実施形態では、本発明は、配列番号10、35、55、75、95、
115、および135からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号11、36、5
6、76、96、116、および136からなる群から選択されるCDR2配列、ならび
に/または配列番号12、37、57、77、97、117、および137からなる群か
ら選択されるCDR3配列を有する重鎖可変領域の抗体配列と、配列番号20、45、6
5、85、105、125、および145からなる群から選択されるCDR1配列、配列
番号21、46、66、86、106、126、および146からなる群から選択される
CDR2配列、ならびに/または配列番号22、47、67、87、107、127、お
よび147からなる群から選択されるCDR3配列を有する軽鎖可変領域の抗体配列とか
らなるANGPTL4結合性抗体を調製し、重鎖可変領域の抗体配列および/または軽鎖
可変領域の抗体配列内の少なくとも1つのアミノ酸残基を改変して、少なくとも1つの改
変抗体配列を創出し、改変抗体配列を、タンパク質として発現させるための方法を提供す
る。
したがって、別の実施形態では、本発明は、哺乳動物細胞における発現について最適化
されたANGPTL4結合性抗体であって、配列番号15、28、40、60、80、1
00、120、および140の群から選択される配列を有する全長重鎖抗体配列と、配列
番号25、50、70、90、110、130、および150の群から選択される配列を
有する全長軽鎖抗体配列とからなるANGPTL4結合性抗体を調製し、全長重鎖抗体配
列および/または全長軽鎖抗体配列内の少なくとも1つのアミノ酸残基を改変して、少な
くとも1つの改変抗体配列を創出し、改変抗体配列を、タンパク質として発現させるため
の方法を提供する。一実施形態では、重鎖または軽鎖の改変は、重鎖または軽鎖のフレー
ムワーク領域内である。
改変抗体配列はまた、CDR3配列、または米国特許出願公開第2005/02555
52号明細書において記載されている、最小限の不可欠な結合決定基を固定し、CDR1
配列およびCDR2配列には多様性を持たせた抗体ライブラリーをスクリーニングするこ
とによっても調製することができる。スクリーニングは、ファージディスプレイ技術など
、抗体を、抗体ライブラリーからスクリーニングするのに適切な任意のスクリーニング技
術に従い実施することができる。
標準的な分子生物学の技法を使用して、改変抗体配列を調製し、発現させることができ
る。改変抗体配列によりコードされる抗体は、ヒト、カニクイザル、ラットおよび/また
はマウスANGPTL4に特異的に結合すること;ならびに抗体が、F36E細胞増殖ア
ッセイおよび/またはBa/F3-ANGPTL4R細胞増殖アッセイにおいて、ANG
PTL4依存性の細胞増殖を阻害することを含むがこれらに限定されない、本明細書で記
載されるANGPTL4結合性抗体の機能的特性のうちの1つ、一部、または全部を保持
する抗体である。
本発明の抗体を操作する方法のある種の実施形態では、ANGPTL4結合性抗体コー
ド配列の全部または一部に沿って、ランダムに、または選択的に、突然変異を導入するこ
とができ、結果として得られる修飾ANGPTL4結合性抗体を、本明細書で記載される
結合活性および/または他の機能的特性についてスクリーニングすることができる。当技
術分野では、突然変異法が記載されている。例えば、ShortによるPCT国際公開第
02/092780号パンフレットは、飽和突然変異誘発、合成ライゲーションアセンブ
リー、またはこれらの組合せを使用して、抗体の突然変異を創出し、スクリーニングする
ための方法について記載している。代替的に、LazarらによるPCT国際公開第03
/074679号パンフレットは、コンピュータによるスクリーニング法を使用して、抗
体の生理化学的特性を最適化する方法について記載している。
本発明のある種の実施形態では、抗体は、脱アミド化部位を除去するように操作されて
いる。脱アミド化は、ペプチド内またはタンパク質内の構造的変化および機能的変化を引
き起こすことが公知である。脱アミドは、生物学的活性の低下のほか、タンパク質医薬品
の薬物動態および抗原性の改変も結果としてもたらしうる(Anal Chem. 2005 March 1,;7
7(5):1432-9)。
本発明のある種の実施形態では、抗体は、pIを増大させ、それらの薬物様特性を改善
するように操作されている。タンパク質のpIは、分子の全体的な生物物理的特性の鍵と
なる決定因子である。pIが小さな抗体は、可溶性が小さく、安定性が小さく、凝集しや
すいことが公知である。さらに、pIが小さな抗体の精製は、とりわけ、臨床における使
用のためのスケールアップにおいて、困難であり、問題を生じる可能性がある。本発明の
抗ANGPTL4抗体またはFabのpIを増大させることにより、それらの可溶性が改
善され、抗体を高濃度(>100mg/ml)で製剤化することが可能となった。抗体を
高濃度(例えば、>100mg/ml)で製剤化することにより、高用量の抗体を、患者
の眼へと、硝子体内注射を介して投与することが可能な利点がもたらされ、これにより、
心血管障害を含む慢性疾患を処置するための著明な利点である、投与頻度の低減を可能と
することができる。pIの増大はまた、抗体のIgGバージョンのFcRnを媒介するリ
サイクリングも増大させ、これにより、薬物が長時間にわたり体内にとどまり、要求され
る注射の回数を少なくすることも可能としうる。最後に、pIの増大に起因して、抗体の
全体的な安定性が著明に改善され、その結果として、保管寿命およびin vivoにお
ける生物学的活性の延長がもたらされる。pIは、8.2以上であることが好ましい。
改変抗体の機能的特性は、実施例において示されるアッセイ(例えば、ELISA)な
ど、当技術分野において利用可能であり、かつ/または本明細書で記載される標準的なア
ッセイを使用して評価することができる。
予防的使用および治療的使用
本明細書で記載されるANGPTL4に結合する抗体は、それを必要とする対象へと、
有効量の、本発明の抗体または抗原結合性断片を投与することにより、ANGPTL4レ
ベルの上昇および/またはANGPTL4活性の増大と関連する疾患または障害を処置す
るのに治療的に有用な濃度で使用することができる。本発明は、それを必要とする対象へ
と、有効量の、本発明の抗体を投与することにより、ANGPTL4関連心血管障害を処
置する方法を提供する。本発明は、それを必要とする対象へと、有効量の、本発明の抗体
を投与することにより、ANGPTL4関連心血管障害を処置する方法を提供する。
本発明の抗体を使用して、とりわけ、ANGPTL4タンパク質レベルが異常に高く、
かつ/またはANGPTL4タンパク質レベルの低減が求められる、任意の数の状態また
は疾患を含むがこれらに限定されない、ANGPTL4に関連する状態または障害を防止
処置、防止、および改善することができる。これらの状態は、高脂血症、高リポタンパ
ク血症、および脂質異常症など、脂質代謝に関与する状態であって、アテローム性脂質異
常症、糖尿病性脂質異常症、高トリグリセリド血症(例えば、重度の高トリグリセリド血
症(例えば、TG>1000mg/dLとする)、肥満と関連する高トリグリセリド血症
、およびV型高トリグリセリド血症)、高コレステロール血症、カイロミクロン血症、混
合型脂質異常症(肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病など)、リポジストロフィー
、脂肪萎縮症、ならびに、例えば、LPL活性の低下および/またはLPLの欠損、LD
L受容体の活性の低下および/またはLDL受容体の欠損、ApoC2の改変、ApoE
の欠損、ApoBの増大、極低密度リポタンパク質(VLDL)の産生の増大および/ま
たはVLDLの消失の減少、ある種の薬物処置(例えば、グルココルチコイド処置に誘導
される脂質異常症)、任意の遺伝的素因、食餌、生活様式などにより引き起こされる他の
状態を含む、状態を含むがこれらに限定されない。
高脂血症、高リポタンパク血症、および/または脂質異常症と関連するか、またはこれ
らから生じる、他のANGPTL4関連疾患または障害は、アテローム性動脈硬化、動脈
瘤、高血圧症、狭心症、脳卒中、脳血管疾患、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、
末梢血管疾患などの心血管疾患または障害;急性膵炎;非アルコール性脂肪性肝炎(NA
SH);糖尿病などの血糖障害;肥満などを含むがこれらに限定されない。
本発明の抗体はまた、ANGPTL4関連障害を防止、処置、または改善するための他
の薬剤と組み合わせても使用することができる。例えば、スタチン療法を、トリグリセリ
ドに関連する障害を伴う患者を処置するために、本発明のANGPTL4抗体および抗原
結合性断片と組み合わせて使用することができる。
医薬組成物
本発明は、医薬的に許容される担体と併せて製剤化されたANGPTL4結合性抗体(
インタクトなまたは結合性断片)を含む医薬組成物を提供する。組成物は加えて、例えば
、心血管障害の処置または防止に適する1つまたは複数の他の治療剤も含有しうる。医薬
的に許容される担体は、組成物を増強するかもしくは安定化させるか、または、組成物の
調製を容易とするのに使用することもできる。医薬的に許容される担体は、生理学的に適
合性の溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤な
どを含む。
本発明の医薬組成物は、当技術分野で公知の様々な方法により投与することができる。
投与経路および/または投与方式は、所望される結果に応じて変化する。投与は、硝子体
内投与、静脈内投与、筋内投与、腹腔内投与、もしくは皮下投与であるか、または標的部
位に近接して投与することが好ましい。医薬的に許容される担体は、硝子体内投与、静脈
内投与、筋内投与、皮下投与、非経口投与、脊髄投与、または表皮投与(例えば、注射ま
たは注入による)に適するものとする。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、二特
異性分子および多特異性分子である抗体は、化合物を、化合物を不活化しうる酸および他
の天然の状態の作用から保護する材料でコーティングすることができる。
組成物は、滅菌であり、かつ、流体であるものとする。適正な流体性は、例えば、レシ
チンなどのコーティングを使用することにより維持することができ、分散液の場合には、
要求される粒子サイズを維持し、界面活性剤を使用することにより維持することができる
。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトールまたはソルビトールなどの
多価アルコール、および塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の長時間吸
収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまた
はゼラチンを組み入れることによりもたらすことができる。
本発明の医薬組成物は、当技術分野において周知であり、日常的に実施されている方法
に従い調製することができる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharm
acy, Mack Publishing Co., 20th ed., 2000;およびSustained and Controlled Release
Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978
を参照されたい。医薬組成物は、GMP条件下で製造することが好ましい。本発明の医薬
組成物中では、ANGPTL4結合性抗体の治療的に有効な用量(dose)または治療的に
効果的な用量を援用することが典型的である。ANGPTL4結合性抗体は、当業者に公
知の従来の方法により、医薬的に許容される剤形(dosage form)へと製剤化する。投与
レジメン(dosage regimen)は、所望される最適応答(例えば、治療的応答)をもたらす
ように調整する。例えば、単一のボーラスを投与することもでき、複数に分割された用量
をある期間にわたり投与することもでき、治療状況の要件により指し示されるのに応じて
、用量を比例的に低減するかまたは増大させることもできる。投与の容易さおよび投与量
(dosage)の均一性のために、非経口組成物を、投与量単位形態(dosage unit form)で
製剤化することがとりわけ有利である。本明細書で使用される投与量単位形態とは、処置
される対象のための単位投与量として適する、物理的に個別の単位を指す。各単位は、要
求される医薬担体との関連で、所望の治療効果をもたらすように計算された、所定量の活
性化合物を含有する。
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性とならずに、特
定の患者、組成物、および投与方式に所望される治療的応答を達成するのに有効な量の有
効成分を得るように変化させることができる。選択される投与量レベルは、援用される本
発明の特定の組成物、またはそれらのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与経路、
投与時期、援用される特定の化合物の排出速度、処置の持続期間、援用される特定の組成
物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、処置される患者の
年齢、性別、体重、状態、全般的健康、および医療既往歴などの因子を含む様々な薬物動
態因子に依存する。
医師または獣医師は、医薬組成物中で援用される本発明の抗体の投与を、所望の治療効
果を達成するのに要求されるレベル未満のレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで
、投与量を漸増させることができる。一般に、本明細書で記載される心血管障害を処置す
るのに有効な、本発明の組成物の用量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患
者がヒトであるのか動物であるのか、投与される他の薬物、および処置が予防的であるの
か治療的であるのかを含む、多くの異なる因子に応じて変化する。処置投与量は、安全性
および有効性を最適化するように滴定することが必要である。抗体の全身投与では、投与
量は、宿主の体重1kg当たり約0.0001~100mgの範囲であり、より通例では
、宿主の体重1kg当たり0.01~15mgの範囲である。抗体の硝子体内投与では、
投与量は、眼1つ当たり0.1mg~眼1つ当たり5mgの範囲でありうる。例えば0.
1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/
ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、1
.0mg/ml、1.1mg/ml、1.2mg/ml、1.3mg/ml、1.4mg
/ml、1.5mg/ml、1.6mg/ml、1.7mg/ml、1.8mg/ml、
1.9mg/ml、2.0mg/ml、2.1mg/ml、2.2mg/ml、2.3m
g/ml、2.4mg/ml、2.5mg/ml、2.6mg/ml、2.7mg/ml
、2.8mg/ml、2.9mg/ml、3.0mg/ml、3.1mg/ml、3.2
mg/ml、3.3mg/ml、3.4mg/ml、3.5mg/ml、3.6mg/m
l、3.7mg/ml、3.8mg/ml、3.9mg/ml、4.0mg/ml、4.
1mg/ml、4.2mg/ml、4.3mg/ml、4.4mg/ml、4.5mg/
ml、4.6mg/ml、4.7mg/ml、4.8mg/ml、4.9mg/ml、ま
たは5.0mg/ml。例示的な処置レジメは、2週間ごとに1回、または毎月1回、ま
たは3~6カ月ごとに1回の全身投与を伴う。例示的な処置レジメは、2週間ごとに1回
、または毎月1回、または3~6カ月ごとに1回の全身投与、または必要に応じた(PR
N)全身投与を伴う。
抗体は通例、複数回投与する。単回の投与の間の間隔は、毎週、毎月、または毎年であ
りうる。間隔はまた、患者におけるANGPTL4結合性抗体の血中レベルを測定するこ
とにより指し示される通り、不規則でもありうる。加えて、医師が代替的な投与間隔を決
定する場合もあり、毎月または効果的であるのに必要な間隔で投与する。全身投与のいく
つかの方法では、投与量は、抗体の血漿中濃度1~1000μg/mlを達成するように
調整し、いくつかの方法では、25~500μg/mlを達成するように調整する。代替
的に、抗体は、持続放出製剤として投与することもでき、この場合は、低頻度の投与が要
求される。投与量および頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変化する。一般に、
ヒト化抗体は、キメラ抗体および非ヒト抗体の半減期より長い半減期を示す。投与量およ
び投与頻度は、処置が予防的であるのか治療的であるのかに応じて変化しうる。予防的適
用では、比較的低投与量を、比較的低頻度の間隔で、長期にわたり投与する。一部の患者
には、彼らの余生にわたり処置を施し続ける。治療的適用では場合によって、比較的高投
与量が、疾患の進行が軽減されるか終結するまで、比較的短い間隔で要求され、好ましく
は、患者が、疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで要求される。その後、患者
には、予防的レジメを投与することができる。
以下の実施例は、本発明をさらに例示するために提示されるものであり、その範囲を限
定するために提示されるものではない。当業者には、本発明の他の変形がたやすく明らか
であろうし、添付の特許請求の範囲によっても包含される。
実施例1:抗原としての、抗体特徴付け実験における使用のための、精製組換えヒトAN
GPTL4の調製
全長ヒトANGPTL4ポリペプチド(NCBI配列であるNM_139314.2に
マッチする、アミノ酸26~406)を、ヒトIgG-カッパに由来するN末端シグナル
ペプチド(MKTFILLLWVLLLWVIFLLPGATA)(配列番号152)、
ならびにC末端FLAGエピトープ(DYKDDDDKH)(配列番号153)、ヘキサ
ヒスチジン精製タグ(HHHHHH)(配列番号154)、およびAviタグ(すなわち
、BirAビオチニル化配列であるGGGLNDIFEAQKIEWHE)(配列番号1
55)と共にコードする核酸配列を、哺乳動物細胞発現ベクターであるpRS5aへとサ
ブクローニングして、プラスミドであるpRS-Ikk-hANGPTL4(26~40
6)-FLAG-6HIS-Aviであって、20アミノ酸のIKKシグナル配列に続い
て、ヒトANGPTL4のアミノ酸26~406を、カルボキシル末端のFlagタグ、
6HISタグ、およびAviタグと共に含有する、プラスミドを作り出した(表2、配列
番号156)。
一部の調製物には、以下の手順を使用して、ヒトANGPTL4タンパク質を発現させ
、精製し、ビオチニル化した(方法1):懸濁液に適合させたHEK293T細胞を、無
血清FreeStyle293発現培地(Life Technologies、型番1
2338-018)中で培養し、ポリエチレンイミントランスフェクション試薬(Pol
ysciences、型番23966)を使用して、プラスミドであるpRS-Ikk-
hANGPTL4(26~406)-FLAG-His6-Aviをトランスフェクトし
た。トランスフェクションの5時間後において、ヘパリン(Alfa Aesar、型番
A16198)を、培養培地へと、0.5mg/mlの最終濃度まで添加した。次いで、
細胞を、72~96時間にわたり培養し、次いで、細胞培養物上清を、4℃の遠心分離に
より採取し、0.22μmのフィルター(Thermo、型番567-0010)を使用
して、滅菌濾過した。次いで、濾過された細胞培養物上清を、接線流濾過により、約10
0mlまで濃縮した。濃縮された上清を、TBS-グリセロール緩衝液(50mMのトリ
ス-HCl、150mMのNaCl、および15%のグリセロール、pH7.4)により
、1リットルの容量まで希釈し、試料を、接線流濾過により、約200mlまで濃縮した
。次いで、TBS-グリセロール緩衝液であらかじめ平衡化させた抗Flag M2アガ
ロース樹脂(Sigma、型番220102-177)を、試料へと添加し、結果として
得られる溶液を、4℃で1時間にわたり、静かに混合した。次いで、アガロース樹脂を、
25mlのTBS-グリセロールで5回にわたり洗浄し、結合したANGPTL4タンパ
ク質を、0.2mg/mlのFlagペプチド(Sigma、型番220176-317
)を含有する、20mlのTBS-グリセロールで溶出させた。ペルオキシド非含有Tw
een-20(AppliChem、型番A1284,0025)を、溶出させたタンパ
ク質溶液へと、0.1%の最終濃度まで添加し、結果として得られる溶液を、0.1%の
Tween-20(緩衝液A)を含有するTBS-グリセロール中であらかじめ平衡化さ
せた、5mlのHiTrapヘパリンカラム(GE Lifesciences、型番1
7-0407-01)へとロードした。カラムを、50mlの緩衝液Aに続き、300m
MのNaClを含有する、50mlの緩衝液Aで洗浄した。次いで、ANGPTL4タン
パク質を、600mMのNaClを含有する、20mlの緩衝液Aで溶出させた。分子量
カットオフを30kDとする遠心分離型濃縮器(Amicon Ultra、型番UFC
903024)を使用して、溶出させたタンパク質を濃縮した。SDS-PAGEにより
評価される、精製ANGPTL4タンパク質の純度は、>90%であった。
一部の適用には、ANGPTL4 1mg当たり10μgの精製ビオチン-タンパク質
リガーゼ(BirA)(Avidity)を使用して、ANGPTL4タンパク質を、C
末端のAviタグ上で、部位特異的にビオチニル化した。緩衝液に、最終濃度が10mM
のATP、10mMの酢酸マグネシウム、および0.5Mのd-ビオチンを補充した。反
応混合物を、30℃で2時間にわたり、次いで、4℃で一晩にわたりインキュベートし、
次いで、緩衝液A中で平衡化させた、HiLoad Superdex 200カラム(
26mm×600mm)(GE Lifesciences、型番28-9893-36
)へとロードした。SDS-PAGEを使用して、Superdex 200カラムから
の画分を解析し、ANGPTL4を含有する画分をプールし、遠心分離型濃縮器を使用し
て、濃縮した。
他の調製物には、以下の手順を使用して、ヒトANGPTL4タンパク質を発現させ、
精製し、ビオチニル化した(方法2)。標準的なポリエチレンイミン(PEI)トランス
フェクション法を使用して、プラスミドであるpRS-Ikk-hANGPTL4(26
~406)C-Flag6HisAviを、HEK293T細胞へと、一過性にトランス
フェクトした。細胞を、Freestyle 293発現培地中の懸濁培養により増殖さ
せ、トランスフェクションは、1リットルのフラスコを使用して、培地4リットル中に、
1ml当たり1×10個の細胞の最終細胞濃度で、実行した。トランスフェクションの
5時間後において、500μg/mlの最終濃度のヘパリンを添加した。細胞を、37℃
および5%のCOで72時間にわたり増殖させた。次いで、細胞を、遠心分離によりペ
レット化させ、上清を、0.22μmの滅菌フィルターに通した。清明化させた上清を、
濃縮し、接線流濾過(TFF)を使用して、緩衝液B(50mMのトリス-HCl、15
0mMのNaCl、10%のグリセロール、10mMのイミダゾール、pH7.4)へと
、緩衝液を交換した。次いで、濃縮された試料を、緩衝液C(50mMのトリスHCl、
150mMのNaCl、10%のグリセロール、10mMのイミダゾール、0.1%のn
-オクチル-β-マルトシド、pH7.4)で平衡化させた、5mlのNi-NTAアフ
ィニティーカラムに通した。試料をロードした後で、280nmにおけるベースラインの
吸光度に達するまで、カラムを、同じ緩衝液で洗浄した。次いで、イミダゾール勾配(1
0mM~500mM)を使用することにより、結合したANGPTL4タンパク質を溶出
させた。ヒトANGPTL4を含有する溶出画分をプールし、Amicon濃縮器(分子
量カットオフを10kDとする)を使用して、濃縮し、PD-10カラムを使用して、保
存緩衝液(50mMのトリス-HCl、150mMのNaCl、15%のグリセロール、
pH7.4)へと緩衝液を交換し、アリコート分割し、液体窒素中で瞬時凍結させ、-8
0℃で保存した。SDS-PAGEにより評価される、精製ヒトANGPTL4タンパク
質の純度は、>90%であった。
一部の適用には、上記で記載した通りに調製された、精製ANGPTL4タンパク質を
、以下の通りに部位特異的にビオチニル化した。50mMのビシン(pH8.3)緩衝液
中、約1mg/mLの最終濃度の精製タンパク質を、10mMのATP、10mMの酢酸
マグネシウム、0.1mMのビオチン、およびBirAビオチンリガーゼ(Avidit
y)の存在下において、30℃で1時間にわたり、次いで、4℃で一晩にわたりインキュ
ベートした。次いで、Amicon濃縮器(分子量カットオフを10kDとする)を使用
して、タンパク質を濃縮し、PD-10カラムを使用して、保存緩衝液(50mMのトリ
ス-HCl、150mMのNaCl、15%のグリセロール、pH7.4)へと緩衝液を
交換し、アリコート分割し、液体窒素中で瞬時凍結させ、-80℃で保存した。
実施例2:抗体特徴付け実験における使用のための、精製組換えヒトANGPTL4のN
末端コイルドコイルドメインタンパク質の調製
ヒトANGPTL4(アミノ酸26~161)のN末端コイルドコイルドメインの発現
、精製、およびビオチニル化は、実施例1の方法2で、ヒト全長ヒトANGPTL4につ
いて記載された、本質的に同じ方法を使用して実行した。精製ヒトANGPTL4のN末
端ドメインタンパク質の配列を、表2(配列番号157)に示す。
Figure 2024026226000025
実施例3:モノクローナル抗体の調製およびスクリーニング
組換えヒトANGPTL4タンパク質は、実施例1に記載した通りに自家調製し、抗A
NGPTL4ハイブリドーマクローンを作り出すための免疫原として使用した。標準的な
急速免疫化プロトコールに従い、Bcl-2トランスジェニックマウスを、組換えヒトA
NGPTL4で免疫化した。ハイブリドーマは、標準的なエレクトロフュージョンベース
の方法を使用することにより作り出した。
標準的な方法を使用して、膜貫通ドメインへと融合させたヒトANGPTL4を安定的
に発現させるCHO-K1PD細胞を作り出した。膜貫通ドメインの存在のために、これ
らの細胞は、ANGPTL4を、細胞表面上に提示する。したがって、これらの細胞の表
面上の、抗体の、ANGPTL4への結合は、フローサイトメトリーを使用して検出する
ことができる。
ハイブリドーマ上清は、上清中に存在する抗体の、CHO-K1PD細胞の表面上に発
現させたヒトANGPTL4への結合を検出することによりスクリーニングした。抗体の
、細胞への結合は、蛍光標識した抗マウス二次抗体およびフローサイトメトリーを使用し
て検出した。ANGPTL4を発現させない親CHO-K1PD細胞は、陰性対照として
使用した。ANGPTL4に結合したハイブリドーマについて、標準的な方法を使用して
、抗体を、細胞上清から精製し、結果として得られる富化上清を、フローサイトメトリー
アッセイにおいて、CHO-K1PD/ANGPTL4細胞およびCHO-K1PD親細
胞を用いて調べた。
ハイブリドーマ上清中のANGPTL4抗体力価は、組換えヒトANGPTL4タンパ
ク質を、ELISAプレートの表面上に固定化した、標準的な直接的ELISAアッセイ
を使用することにより決定した。確認された陽性ハイブリドーマをサブクローニングし、
標準的な方法を使用して、これらのハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体
の配列を決定した。
その後、下記の実施例7で記載される方法を使用して、モノクローナル抗体である、1
4P18、17B1、19C16、および37P1は、ヒトANGPTL4に媒介される
、ヒトリポタンパク質リパーゼの阻害を阻害することを示した。14P18、17B1、
19C16、および37P1の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のヌクレオチド配列およ
びアミノ酸配列は、標準的な方法を使用して決定した。
実施例4:モノクローナル抗体のヒト化
当技術分野では、ヒト化の工程について十分に記載されている(Jones, et al 1986, Q
ueen, et al 1989, Riechmann, et al 1988, Verhoeyen, Milstein and Winter 1988)。
ヒト化という用語は、非ヒト抗体、例えば、マウス由来抗体の抗原結合性部位の、ヒトア
クセプターフレームワーク、例えば、ヒト生殖細胞系列配列への導入として説明される(
Retter, et al 2005)。抗体をヒト化する主要な根拠は、抗体を、ヒトにおける治療剤と
して投与する場合に、抗体に対する免疫原性応答を発生させる危険性を最小化することで
ある(Rebello, et al 1999)。
抗原結合性部位は、相補性決定領域(CDR)(Chothia and Lesk 1987, Kabat, et a
l 1991)と、可変ドメイン(VLおよびVH)のフレームワーク領域内の位置であって、
結合に直接的または間接的に影響を及ぼす位置とを含む。結合に直接的に影響を及ぼしう
るフレームワーク残基は、例えば、CDR2とCDR3との間に位置する、いわゆる「ア
ウター」ループ領域内に見出すことができる。結合に間接的に影響を及ぼす残基は、例え
ば、いわゆるバーニヤ帯域において見出される(Foote and Winter 1992)。これらは、
CDRのコンフォメーションを支持すると考えられる。CDRの外側のこれらの位置は、
フレームワーク領域内のヒト生殖細胞系列アクセプター配列に照らした、最終的なヒト化
抗体の逸脱の数を最小化するのに適する、アクセプターフレームワークを選び出す場合に
考慮される。
実施例5:抗体配列の最適化およびアフィニティー成熟
ある種のアミノ酸配列モチーフは、グリコシル化(例えば、NxS/T[配列中、xは
、P以外の任意のアミノ酸である])、遊離システインの酸化、脱アミノ化(例えば、N
G配列中の、Nの脱アミノ化)または異性体化(例えば、DG配列における)などの翻訳
後修飾(PTM)を経ることが公知である。CDR領域内に存在する場合、これらのモチ
ーフは、産物の均質性を増大させるために、部位特異的突然変異誘発により除去すること
が理想的である。
当技術分野では、アフィニティー成熟の工程について十分に記載されている。多くのデ
ィスプレイ系の中で、ファージディスプレイ(Smith 1985)および酵母など、真核細胞上
のディスプレイ(Boder and Wittrup 1997)は、抗体-抗原間相互作用について選択する
のに、最も一般的に適用される系である。これらのディスプレイ系の利点は、広範にわた
る抗原に適し、選択厳密性を容易に調整しうることである。ファージディスプレイでは、
scFv断片またはFab断片を提示することができ、酵母ディスプレイでは、scFv
、Fab、または全長IgGを提示することができる。これらの一般的に適用される方法
は、多様性が1×10を超える、大規模なライブラリーからの、所望の抗体変異体の選
択を可能とする。多様性が小規模(例えば、1,000)のライブラリーは、マイクロ発
現およびELISAによりスクリーニングすることができる。
非標的化抗体変異体ライブラリーまたはランダム抗体変異体ライブラリーは、例えば、
エラープローンPCR(Cadwell and Joyce 1994)により作り出すことができ、非常に簡
便であるが、場合によって限定的な手法をもたらす。別の戦略は、抗体候補物質のCDR
指向性多様化である。1つまたは複数のCDR内の1つまたは複数の位置は、例えば、縮
重オリゴヌクレオチド(Thompson, et al 1996)、トリヌクレオチド突然変異誘発(TR
IM)(Kayushin, et al 1996)、または当技術分野で公知の、他の任意の手法を使用し
て、特異的に標的とすることができる。
実施例6:ヒト化抗体の発現および精製
ヒト(Homo Sapiens)へのコドン最適化を含む、ヒト化VLドメインおよびヒト化VH
ドメインをコードするDNA配列は、GeneArt(Life Technologi
es,Inc.、Regensburg、Germany)に依頼した。VLドメインお
よびVHドメインをコードする配列は、GeneArtによるベクターからのカットアン
ドペーストにより、哺乳動物細胞による発現および分離に適する発現ベクターへとサブク
ローニングした。重鎖および軽鎖は、共トランスフェクションを可能とするように、個別
の発現ベクターへとクローニングした。発現ベクターのエレメントは、プロモーター(サ
イトメガロウイルス(CMV)エンハンサー-プロモーター)、分泌を容易とするシグナ
ル配列、ポリアデニル化シグナルおよび転写ターミネーター(ウシ成長ホルモン(BGH
)遺伝子に由来する)、エピソームにおける複製および原核生物内の複製を可能とするエ
レメント(例えば、SV40起点およびColE1エレメントまたは当技術分野で公知の
他のエレメント)、ならびに選択を可能とするエレメント(アンピシリン耐性遺伝子およ
びゼオシンマーカー)を含む。
SV40ラージT抗原を構成的に発現させるヒト胎児由来腎臓細胞(HEK293-T
ATCC11268)は、ヒト化IgGタンパク質および/または最適化されたIgG
タンパク質の一過性発現に好ましい宿主細胞系のうちの1つである。トランスフェクショ
ンは、PEI(ポリエチレンイミン、MW:25,000、直鎖状;Polyscien
ces、USA、型番23966)を、トランスフェクション試薬として使用して実施す
る。PEI原液は、900mlの細胞培養グレード水中に、1gのPEIを、室温(RT
)で、注意深く溶解することにより調製する。PEIの溶解を容易とするために、溶液を
、HClを添加することにより、pH3~5まで酸性化させるのに続いて、NaOHによ
り、7.05の最終pHまで中和する。最後に、容量を、1Lへと調整し、溶液を、0.
22μmのフィルターに通して濾過し、アリコート分割し、さらなる使用まで、-80℃
で凍結させた。HEK 293T細胞は、細胞のトランスフェクションおよび増殖のため
のNovartisの特許品である無血清培養培地、ならびに産生/フィード培地として
のExCell VPRO無血清培養培地(SAFC Biosciences、USA
、型番24561C)を使用して培養する。一過性トランスフェクションのために調製し
た細胞は、懸濁培養により培養する。小スケール(<5L)のトランスフェクションには
、細胞を、5%のCO(播種用フラスコ)で加湿されたインキュベーター内のオービタ
ルシェーカー(100~120rpm)上のCorning振とうフラスコ(Corni
ng、Tewksbury、MA)内で増殖させる。種培養物中の細胞は、指数増殖期(
1ml当たりの細胞5×10個~1ml当たりの細胞3×10個の間の細胞密度)に
維持され、トランスフェクションのために、>90%の生存率を提示するものとする。小
スケール(<5L)のトランスフェクションには、細胞のアリコートを、種培養物から採
取し、Novartis無血清培養培地により、最終容量の36%中に1ml当たりの細
胞1.4×10個へと調整する。DNA溶液(溶液1:1Lのトランスフェクションの
ための、0.5mgの重鎖発現プラスミドおよび0.5mgの軽鎖発現プラスミド)は、
DNAを、最終培養物容量の7%中に1mg/l(最終容量)まで希釈することに続く、
静かな混合により調製する。細菌の混入を防止するには、0.22μmのフィルター(例
えば、Millipore Stericup)を使用して、この溶液を濾過する。次い
で、3mg/L(最終容量)のPEI溶液もまた、最終培養物容量の7%中に希釈し、静
かに混合する(溶液2)。いずれの溶液も、室温(RT)で5~10分間にわたりインキ
ュベートする。その後、静かに混合しながら、溶液2を、溶液1へと添加し、室温でさら
に5~15分間にわたりインキュベートする。次いで、トランスフェクションミックスを
、細胞へと添加し、細胞の培養を、4~6時間にわたり継続する。最後に、総生成容量の
残りの50%は、ExCell(登録商標)VPRO無血清培養培地の添加により達成す
る。細胞の培養は、トランスフェクション後11日間にわたり継続する。
培養物は、4℃、4500rpmで20分間にわたる遠心分離(Heraeus(登録
商標)、Multifuge 3 S-R、Thermo Scientific、Ro
ckford、IL)により採取する。回収された細胞上清は、ステリカップフィルター
(0.22μm)に通して滅菌濾過し、さらなる処理まで、4℃で保存する。精製は、消
毒(0.25MのNaOH)したばかりのHiTrap 5ml Protein A
MabSelect(登録商標)SuReカラムを使用して、冷却キャビネット内4℃の
「AKTA 100 Explorer Air」クロマトグラフィーシステム上で実施
した。カラムは、5カラム容量のリン酸緩衝生理食塩液(PBS、Gibco、Life
Technologies、Carlsbad、CA)で平衡化させ、次いで、滅菌濾
過された上清を、4.0ml/分でロードした。カラムを、13カラム容量のPBSで洗
浄した。次いで、抗体を、50mMのクエン酸塩、70mMのNaCl、pH3.2 5
カラム容量で溶出させた。溶出物を、3mlの画分に回収し、1Mのトリス-HCl、p
H10で、pH7へと調整した。抗体を含有する画分をプールし、滅菌濾過(Milli
pore Steriflip、0.22um)し、分光光度計(NanoDrop N
D-1000)を使用して、OD 280nmを測定し、OD 280と、タンパク質配
列に基づき計算されるモル吸光係数とに基づき、タンパク質濃度を計算した。溶出物を、
多角度光散乱検出器(SEC-MALS)を伴うサイズ除外クロマトグラフィーにより、
凝集について調べ、純度を、ゲル電気泳動(SDS-PAGE)、内毒素アッセイ(LA
L)、および質量分析(MS)により評価した。必要な場合、第2の精製ステップのため
に、第1の精製からの抗体を、消毒(0.5MのNaOH)したばかりのゲル濾過カラム
(gel viltration column)(Hi Load 16/60 Superdex 200
、120mL、GE-Helthcare)へとロードした。カラムを、PBSで平衡化
させ、流量を1ml/分とするPBS緩衝液で試行した。溶出物は、1.2mlの画分に
回収した。抗体を含有するタンパク質をプールし、結果として得られる精製抗体を、第1
の精製ステップについて記載された通りに解析した。
上記で記載した方法を使用して、以下のヒト化抗体:NEG276、NEG276-L
ALA、NEG278、NEG310、NEG318、NEG318-LALA、NEG
319、NEG313、およびNEG315を、調製し、発現させ、精製した。これらの
ヒト化抗体のフレームワークおよび親抗体を、表3に示し、ヌクレオチド配列およびアミ
ノ酸配列を、表1に示す。全てのヒト化抗体は、重鎖内のLeu234-Leu235配
列を、Ala234-Ala235で置きかえた、修飾Fc領域(ヒトIgG1-LAL
A)を使用して調製した、NEG276-LALAおよびNEG318-LALAを除き
、ヒトIgG1抗体として調製した。ヒトIgG1-LALA抗体は、野生型ヒトIgG
1抗体と比較して、抗体のエフェクター機能が低減されていることが公知である。
Figure 2024026226000026
実施例7:ヒトリポタンパク質リパーゼアッセイ
標準的なポリエチレンイミン(PEI)トランスフェクション法を使用して、Free
Style発現培地(Invitrogen)中で培養されたHEK 293T細胞に、
全長ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)ポリペプチド(NCBI配列であるNM_0
00237.2にマッチする)をコードする、哺乳動物発現プラスミドをトランスフェク
トした。トランスフェクションの24時間後において、ヘパリンを、培養培地へと、3U
/mlの最終濃度まで添加して、細胞表面から分泌されるhLPLの放出を増強した。ト
ランスフェクションの60時間後において、培養培地を回収し、0.2μmのフィルター
を使用して濾過し、グリセロールを、10%v/vの最終濃度まで添加した。結果として
得られる溶液を、緩衝液A(50mMのトリス-HCl、200mMのNaCl、10%
v/vのグリセロール、pH7.2)であらかじめ平衡化させた、5mlのHepari
n Sepharose HiTrapカラム(GE)へとロードした。カラムを、緩衝
液Aで洗浄し、次いで、ヒトLPLタンパク質を、緩衝液A中に500mMのNaCl、
1MのNaCl、および2MのNaClの段階的勾配により溶出させた。最も純度が高く
、最も触媒活性が大きなヒトLPLは、2MのNaClで溶出した。精製ヒトLPLのア
リコートは、瞬時凍結させ、使用まで-80℃で保存した。
以下のプロトコールを使用して、ANGPTL4による、ヒトリポタンパク質リパーゼ
の阻害を遮断する、本発明の抗体の能力を評価した。384ウェルアッセイプレート(C
orning、型番3573)および試料プレート(Greiner Bio-one、
型番781201)を、1%のウシ血清アルブミン(BSA)(ウェル1つ当たり0.1
ml)により、室温で30分間にわたり洗浄した。次いで、プレートを、0.05%のT
ween-20溶液で、2回にわたり洗浄した。
100mMのHEPES、pH7.0中のANGPTL4抗体(最終アッセイ濃度を0
.02nM~500nMの範囲とする、ウェル1つ当たり20μlの系列希釈液)を、試
料プレートへと添加するのに続いて、アッセイ緩衝液(100mMのHEPES、2mM
のMgCl、pH7.0)中に20μlのヒトANGPTL4タンパク質(10nMの
最終アッセイ濃度)を添加し、プレートを、静かに振とうしながら、室温で20分間にわ
たりインキュベートした。次いで、アッセイ緩衝液(20μl)中で希釈されたリポタン
パク質リパーゼを添加しプレートを、静かに振とうしながら、室温で10分間にわたりイ
ンキュベートした。
アッセイ緩衝液中にアシル-補酵素Aオキシダーゼ(Sekisui Diagnos
tics、型番T-17)、アシル-補酵素Aシンテターゼ(Sekisui Diag
nostics、型番T-16)、および西洋ワサビペルオキシダーゼ(Sekisui
Diagnostics)、ATP(Sigma、型番A7699)および補酵素A(
MP Biomedicals、型番100493)を含有する、カップリング酵素ミッ
クスを調製した。カタラーゼアガロースビーズ(Sigma、型番C9284)を、カッ
プリング酵素ミックスへと添加し、混合物を、振とうしながら、4℃で30分間にわたり
インキュベートし、次いで、カタラーゼアガロースビーズを、遠心分離により除去した。
ヒトVLDL(Millipore、型番LP1)を、アッセイ緩衝液中で希釈し、カ
タラーゼアガロースビーズで30分間にわたり処理し、遠心分離により、ビーズを、溶液
から除去した。アッセイ緩衝液中のAmplex Red(Invitrogen、型番
A12222)を、33μMの濃度まで添加した。
LPL、ANGPTL4、およびANGPTL4抗体を含有する試料プレート内の溶液
へと、カップリング酵素ミックス(20μl)を添加し、結果として得られる溶液54μ
lを、アッセイプレートへと移した。リポタンパク質リパーゼ反応を開始するために、V
LDL/Amplex Red溶液(18μl)を添加し、EnVisionマルチウェ
ルプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、レゾルフィン蛍光を、3
0分間にわたり、持続的にモニタリングした。最終アッセイ濃度は、9.4nMのANG
PTL4、約4nMのヒトリポタンパク質リパーゼ、2.3μg/mlのヒトVLDL、
0.75mMのATP、90μMの補酵素A、0.5U/mlのACO、1.25U/m
lのACS、1.2U/mlのHRP、および10μMのAmplex Redであった
結果として得られるレゾルフィン蛍光対時間データを使用して、各試料について、リポ
タンパク質リパーゼ酵素活性(初期速度)を決定した。LPLを伴わない対照試料(バッ
クグラウンド対照)、またはANGPTL4もしくはANGPTL4抗体を伴わない対照
試料(LPL活性対照)を使用して、酵素活性を標準化し、これを、LPL対照活性に対
する百分率として表した。GraphPad Prismソフトウェアを使用して、異な
るANGPTL4抗体濃度についての酵素活性データをプロットし、データを当てはめて
、ANGPTL4抗体に媒介される、リポタンパク質リパーゼ酵素活性の増大についての
EC50値を生成した。このアッセイでは、10nMの濃度におけるヒトANGPTL4
は、LPL活性を、70~95%阻害することが典型的であった。本発明のANGPTL
4抗体は、ANGPTL4によるLPLの阻害を、用量依存的に逆転した。このアッセイ
からのEC50結果を、表4に示す。本発明の、選択された抗体についての代表的なデー
タを、図1に示す。
Figure 2024026226000027
実施例8:抗体の特徴付けにおける使用のための、カニクイザルANGPTL4タンパク
質、マウスANGPTL4タンパク質、およびラットANGPTL4タンパク質、ならび
にヒトANGPTL3タンパク質の調製
カニクイザルANGPTL4の配列は、カニクイザル肝臓cDNAライブラリー(Bi
ochain、型番C1534149-Cy、ロット番号B409051)に由来する遺
伝子配列を増幅することにより決定した。プライマーである、5-UT-Cyno5’-
ATCCCCGCTCCCAGGCTAC-3’(配列番号158)および3-UT-c
yno5’-CAGCAAGGAGTGAAG-CTCCATGCC-3’(配列番号1
59)は、ヒトANGPTL4 cDNA(NCBI配列であるNM_139314.2
)の5’側非翻訳領域および3’側非翻訳領域に基づきデザインした。ゲル精製されたP
CR産物を、pCR4-Blunt-TOPO(Life Technologies、
型番K2875-40)へとライゲーションし、配列決定した。クローニングされたカニ
クイザルANGPTL4 cDNAは、ヒトANGPTL4に対する95%の相同性を伴
う、406アミノ酸のタンパク質をコードした。カニクイザルANGPTL4のアミノ酸
26~406をコードする核酸配列を、哺乳動物発現ベクターであるpRS5へとサブク
ローニングして、20アミノ酸のIkkシグナル配列、カニクイザルANGPTL4のア
ミノ酸26~406、ならびにカルボキシル末端のFLAGタグ、6HISタグ、および
Aviタグ(表5における配列番号160)を有するプラスミドである、pRS-Ikk
-cynoANGPTL4(26~406)-FLAG-6HIS-Aviを作製した。
実施例1において、ヒトANGPTL4(26~406)-FLAG-6HIS-Av
iタンパク質について記載したのと同様の方法を使用して、カニクイザルANGPTL4
(26~406)-FLAG-6HIS-Aviタンパク質を発現させ、精製した。一部
の適用には、実施例1において、ヒトANGPTL4タンパク質について記載したのと同
様のものを使用して、精製カニクイザルANGPTL4タンパク質を、部位特異的にビオ
チニル化した。SDS-PAGEにより評価される、精製カニクイザルANGPTL4タ
ンパク質の純度は、>90%であった。
同様の方法を使用して、カニクイザルANGPTL4(26~161)-FLAG-6
HIS-Aviタンパク質を調製した。その対応する発現構築物によりコードされる、カ
ニクイザルANGPTL4(26~161)タンパク質の配列を、表5に示す(配列番号
161)。
マウスANGPTL4(アミノ酸26~410)およびラットANGPTL4(アミノ
酸24~405)の発現、精製、およびビオチニル化を、実施例1の方法2において、ヒ
トANGPTL4について記載した方法と本質的に同じ方法を使用して実行した。対応す
る発現構築物によりコードされる、マウスANGPTL4タンパク質およびラットANG
PTL4タンパク質の配列を、表5に示す(それぞれ、配列番号162および163)。
SDS-PAGEにより評価される、精製マウスANGPTL4タンパク質および精製ラ
ットANGPTL4タンパク質の純度は、>90%であった。
ANGPTL3(配列番号5、表1)とは、ANGPTL4と近縁のヒトタンパク質で
ある。本発明の抗体の、ANGPTL3への可能な結合についての査定を可能とするため
に、実施例1の方法2において、ヒトANGPTL4について記載した方法と同様の方法
を使用して、ヒトANGPTL3(14~460)-FLAG-His-Aviタンパク
質(配列番号164、表5)を、発現させ、精製し、ビオチニル化した。
Figure 2024026226000028
Figure 2024026226000029
実施例9:直接的ELISAアッセイによる抗体結合特異性の特徴付け
直接的ELISAアッセイを行って、本発明の選択された抗体の抗体結合特異性を特徴
付けた。アッセイは、以下の通りに実施した。プレートを、ウェル1つ当たり50μLの
ブロッキング緩衝液(PBS、pH7.4、5%w/vのウシ血清アルブミン)と共に、
一定の振とう(600rpm)を伴って、22℃で1時間にわたりインキュベートするこ
とにより、384ウェルの、ストレプトアビジンでコーティングしたMeso Scal
e Discoevery(MSD)プレートをブロッキングした。次いで、プレート洗
浄器(BioTek)を使用して、ブロッキングされたMSDプレートを、洗浄緩衝液(
PBS、pH7.4および0.05%v/vのTween-20)で、3回にわたり洗浄
した。洗浄に続き、アッセイ緩衝液(CaClまたはMgClを伴わないPBS、p
H7.40.5%w/vの脂肪酸非含有ウシ血清アルブミン、および0.02%v/v
のTween-20)中で希釈された、ビオチニル化ヒトANGPTL4タンパク質:全
長ヒトANGPTL4(hANGPTL4)、ヒトANGPTL4コイルドコイルドメイ
ン(hANGPTL4-CCD)、および全長ヒトANGPTL3(hANGPTL3)
を、1nMの濃度(ウェル1つ当たり15μL)、22℃で1時間にわたるインキュベー
ションにより、表面上に固定化した。次いで、プレートを、前出で記載した通りに、3回
にわたり洗浄した。次いで、アッセイ緩衝液中1nMの濃度まで希釈された抗体を、MS
Dプレートへと適用し(ウェル1つ当たり15μL)、プレートを、一定の振とう(60
0rpm)を伴って、22℃で1時間にわたりインキュベートした。結合した抗体は、S
ulfoタグ付けされたヤギ抗ヒトIgGの1:500希釈液、ウェル1つ当たり15μ
Lを添加することにより検出した。次いで、プレートを、一定の振とう(600rpm)
を伴って、1時間にわたりインキュベートした。プレートを3回にわたり洗浄し、次いで
、1倍濃度のMSD read buffer T、ウェル1つ当たり15μLを添加し
、Sector Imager 6000(Meso Scale Discoever
y)を使用して、プレートを現像した。解析のために、データを、Microsoft
Excelへと移し、GraphPad Prism v6を使用してプロットした。こ
れらの実験により、このアッセイにおける本発明の被験抗体の全ては、全長ヒトANGP
TL4およびヒトANGPTL4のN末端ドメインに結合するが、全長ヒトANGPTL
3には結合しないことが示された。ANGPTL3特異的基準抗体は、ANGPTL3結
合アッセイ(図2)のための陽性対照として使用した。
実施例10:溶液平衡滴定(SET)アッセイによる抗体の解離定数の決定
SETアッセイは、以下の通りに実施した。96ウェルポリプロピレンプレート内で、
一定濃度のANGPTL4抗体(10pM)を、SET緩衝液(CaClまたはMgC
を伴わないPBS、pH7.40.5%w/vのウシ血清アルブミン(脂肪酸非含
有)、および0.02%v/vのTween-20)中、異なる濃度の、非ビオチニル化
のヒト、カニクイザル、マウスもしくはラットの全長ANPGLT4タンパク質、または
ヒトANGPTL4 N末端ドメインタンパク質(0.01pM~100nMの範囲にわ
たる、5倍の系列希釈液)と共に混合した。最終反応容量は、80μLであった。接着性
フィルムを使用して、プレートをシーリングし、一定の振とう(300rpm)を伴って
、22℃で14時間にわたりインキュベートした。同じ時間において、プレートを、ウェ
ル1つ当たり50μLのブロッキング緩衝液(PBS、pH7.4、5%w/vのウシ血
清アルブミン)と共に、4℃でインキュベートすることにより、384ウェルの、ストレ
プトアビジンでコーティングしたMeso Scale Discoevery(MSD
)プレートをブロッキングした。プレート洗浄器(BioTek)を使用して、ブロッキ
ングされたMSDプレートを、洗浄緩衝液(PBS、pH7.4および0.05%v/v
のTween-20)で、3回にわたり洗浄した。ビオチニル化ANGPTL4(全長ヒ
トANGPTL4、全長カニクイザルANGPTL4、全長マウスANGPTL4、また
は全長ラットANGPTL4、またはヒトANGPTL4 N末端ドメイン)タンパク質
(1nM、ウェル1つ当たり15μL)を、一定の振とう(600rpm)を伴う、22
℃で1時間にわたるインキュベーションにより、ストレプトアビジンでコーティングした
MSDプレートの表面上に固定化した。次いで、プレートを、前出で記載した通りに、3
回にわたり洗浄した。
平衡結合反応物(ウェル1つ当たり15μL)を、ANGPTL4を固定化したMSD
プレートへと適用し、22℃で20分間にわたりインキュベートした。結合しなかった材
料は、プレートを、洗浄緩衝液で、3回にわたり洗浄することにより除去し、捕捉された
抗体は、Sulfoタグ付けされたヤギ抗ヒトIgGの1:500希釈液、ウェル1つ当
たり15μL(Meso Scale Discoevery)を添加することにより検
出した。次いで、プレートを、一定の振とう(600rpm)を伴って、1時間にわたり
インキュベートした。プレートを3回にわたり洗浄し、次いで、1倍濃度のMSD re
ad buffer T、ウェル1つ当たり15μLを添加し、Sector Imag
er 6000(Meso Scale Discoevery)を使用して、プレート
を現像した。解析のために、データを、Microsoft Excelへと移し、Gr
aphPad Prism v6を使用してプロットした。K値は、データを、以下の
式:
y=(Bmax/(CAb/2))×((CAb/2)-((((((CAg+CAb
+K)/2)-((((((CAg+CAb)+K)/4)-(CAg×CAb
))0.5)))/(2×CAb)))
[式中、Bmaxは、ANGPTL4タンパク質が溶液中に存在しない場合のシグナルで
あり、CAbは、溶液中のANGPTL4抗体の一定の濃度であり、CAgは、溶液中の
ANGPTL4の濃度であり、Kは、平衡解離定数である]へと当てはめることにより
決定した。この方法を使用して決定された平衡解離定数を、表6に示す。
Figure 2024026226000030
実施例11:Octet動態結合アッセイにより決定される抗体の結合動態および解離定

本発明の、選択された抗体について解離定数(K)を、Octet(ForteBi
o)動態結合アッセイを使用することにより決定した。ForteBio 10× Ki
netics Buffer(ForteBio、型番18-5032)を、DPBS(
Life Technologies、型番14190-136)で10倍に希釈し、結
果として得られる溶液を、96ウェルプレート(Greiner、型番65520)へと
添加した(ウェル1つ当たり0.2ml)。ストレプトアビジンセンサー(ForteB
io、型番18-5020)を、溶液中に浸漬し、室温で少なくとも10分間にわたり平
衡化させた。第2の96ウェルプレート(Greiner、型番65520)内では、セ
ンサーを、1× Kinetics buffer中で洗浄し、次いで、25nMのビオ
チニル化ヒトANGPTL4またはビオチニル化基準タンパク質(バックグラウンドを差
し引くための)200ul中に、室温で1000秒間にわたり(for 1000 sec at second
s)浸漬した。次いで、センサーを、1× Kinetics buffer中で120
秒間にわたり洗浄し、1× Kinetics buffer中、多様な濃度(2倍の系
列希釈液;最高濃度は、12.5nMまたは25nMであり;最低濃度は、0.8~3.
1nMの範囲であり;各Kの決定のために、4つ~6つの異なる抗体濃度を使用した)
で希釈されたANGPTL4抗体200ul中に浸漬し、抗体の会合は、480秒間にわ
たりモニタリングした。次いで、センサーを、1× Kinetics buffer
200ulを含有するウェルへと移し、抗体の解離を、1200秒間にわたりモニタリン
グした。バックグラウンド補正した会合曲線および解離曲線を、Octet Softw
are(ForteBio)により、大域的に当てはめて、会合速度定数(k)および
解離速度定数(k)を生成し、これを使用して、平衡解離定数(K)を計算した。結
果として得られる、本発明の、選択された抗体についてのデータを、表7および表8に示
す。
Figure 2024026226000031
Figure 2024026226000032
実施例12:水素-重水素交換/質量分析によるエピトープマッピング
質量分析(MS)と組み合わせた水素-重水素交換(HDx)(Woods, 2001)を使用
して、ANGPTL4のN末端ドメイン上の、抗体であるNEG276およびNEG31
8の結合部位をマッピングした。HDxでは、タンパク質の、交換可能なアミド水素を、
重水素で置きかえる。この工程は、タンパク質の構造/動態および溶媒接触性に対して高
感度であり、したがって、リガンドの結合について報告することが可能である。これらの
実験の目標は、ANGPTL4上の、NEG276およびNEG318のエピトープの同
定であった。
自動式HDx/MS実験は、文献(Chalmers, 2006)に記載されている方法と同様の方
法を使用して実施した。実験は、LEAP autosampler、nanoACQU
ITY UPLC System、およびSynapt G2質量分析計を含む、Wat
ers HDx-MSプラットフォーム上で実施した。タンパク質骨格を重水素で標識付
けするのに使用される重水素緩衝液は、50mMのD-トリス-HCl(pH7.4)、
500mMのNaCl、15%のグリセロール、および0.1%のn-オクチルβ-D-
マルトシドであり、溶液中の重水素の全百分率は、82.5%であった。ANGPTL4
抗体の非存在下における、ヒトANGPTL4(26~161)の重水素による標識付け
実験のために、冷却された試験管内で、100μlの重水素緩衝液を使用して、300ピ
コモルのヒトANGPLT4(26~161)(1.3μl)を希釈し、4℃のローテー
ター上で、25分間にわたりインキュベートした。次いで、標識付け反応を、100μl
の冷却クエンチ緩衝液により、氷上で3分間にわたりクエンチした。3分後、クエンチさ
れた溶液を、自動式ペプシン消化およびペプチド解析のための、LC-MSシステムへと
注入した。結合したANGPTL4抗体の存在下における、ヒトANGPTL4(26~
161)重水素による標識付け実験のために、300ピコモルのANGPTL4抗体を、
まず、Thermo Protein G Plusビーズ上に固定化し、スベリン酸ジ
スクシンイミジル(DSS)を使用して架橋した。標識付け実験を実施するために、抗体
ビーズ(300ピコモルの抗体を含有する)を、300ピコモルのヒトANGPTL4(
26~161)と共に、4℃で30分間にわたりインキュベートした。30分後、ビーズ
を、200μlのトリス緩衝液で洗浄した。次いで、200μlの冷却された重水素緩衝
液を添加し、複合体を、4℃で25分間にわたりインキュベートした。25分後、標識付
け反応を、125μlの冷却されたクエンチ緩衝液により、氷上で2.5分間にわたりク
エンチした。試料を、遠心分離機内で、30秒間にわたりスピンした後、クエンチされた
溶液を、自動式ペプシン消化およびペプチド解析のための、LC-MSシステムへと注入
した。
全ての測定は、最低3回にわたる三連解析試行を使用して実行した。全ての重水素交換
実験は、0.5MのTCEPおよび3Mの尿素(pH=2.5)を使用してクエンチした
。クエンチの後、交換された抗原を、12℃でPoroszyme Immobiliz
ed Pepsinカラム(2.1×30mm)を使用するオンラインペプシン消化に続
く、Waters Vanguard HSS T3トラッピングカラム上のトラッピン
グにかけた。ペプチドを、トラッピングカラムから溶出させ、Waters CSH C
18 1×100mmカラム(1℃で維持される)上、40μl/分の流量で、2~35
%Bの二成分の8分の勾配(移動相Aは、99.9%の水および0.1%のギ酸であり;
移動相Bは、99.9%のアセトニトリルおよび0.1%のギ酸である)を使用して分離
した。
これらの重水素交換実験では、ANGPTL4のN末端ドメイン配列のうちの、87%
をカバリングするペプチドを検出した。検出されたペプチド、および各ペプチドについて
の重水素の取込みの低減を、表9に指し示す。HDxMSマッピング実験により、ANG
PTL4のN末端ドメインの3つの領域であって、NEG276およびNEG318の両
方により著明に保護される3つの領域:アミノ酸26~35(G26PVQSKSPRF
35)(配列番号165)、アミノ酸42~68(N42VLAHGLLQLGQGLR
EHAERTRSQLSA68)(配列番号174)、およびアミノ酸69~95(L
ERRLSACGSACQTEGSTDLPLAPES95)(配列番号190)が同
定された。NEG276およびNEG318が、ANGPTL4のN末端ドメインの複数
の領域を、重水素の取込みから保護するという観察は、直鎖状ペプチドエピトープマッピ
ングからの結果であって、NEG276およびNEG318が、直鎖状エピトープではな
く、コンフォメーショナルエピトープを有することを示唆する結果と符合する(実施例1
3を参照されたい)。
Figure 2024026226000033
Figure 2024026226000034
実施例13:直鎖状ペプチドの結合によるエピトープマッピング
本発明の、選択された抗体、すなわち、NEG276およびNEG318が、ヒトAN
GPTL4のN末端コイルドコイルドメインに由来する、15アミノ酸の直鎖状ペプチド
に結合する能力について調べた。標準的な方法を使用して、合計43のペプチドを合成お
よび精製した(ペプチドの配列を、表10に示す)。ペプチドを、ガラス表面上に固定化
し、JPT Peptide Technologies(Berlin、German
y)において、直鎖状ペプチドエピトープマッピングのために最適化された実験法を使用
して、NEG276およびNEG318が、固定化されたペプチドに結合する能力を査定
した。ANGPTL4に結合しない抗体は、非特異的結合についての対照として使用した
。これらの実験では、NEG276またはNEG318の、15マーのペプチド43のう
ちのいずれに対する特異的結合も観察されなかった。これらの結果は、NEG276およ
びNEG318のエピトープが、直鎖状ANGPTL4ペプチドではなく、コンフォメー
ショナルエピトープであることを強く示唆する。
Figure 2024026226000035
Figure 2024026226000036
実施例14:本発明のANGPTL4抗体の、ヒトANGPTL4トランスジェニックマ
ウスにおける血漿トリグリセリド濃度に対する効果
マウスにおいてトランスジェニックヒトANGPTL4を発現させる構築物は、全長ヒ
トANGPTL4 cDNA配列を、ヒトアポリポタンパク質E遺伝子プロモーターと、
その肝臓における制御領域とを含有する、pLIVLE6ベクターのポリリンカー領域へ
と挿入することにより制作した。ANGPTL4トランスジェニックマウスは、C57B
L/6Jバックグラウンド上で作り出し、Novartis(East Hanover
、NJ)において繁殖させた。7日齢のトランスジェニックマウスの尾を切除し、RED
Extract-N-Amp Tissue PCR Kit(Sigma-Aldri
ch;St.Louis、MO;型番XNATR)を使用して、DNAを、尾から抽出し
た。ヒトANGPTL4導入遺伝子は、pLIVLE6ベクターを標的とするプライマー
対と、ANGPTL4 cDNAを標的とするプライマー対とを使用することにより検出
した。マウスは、底部の堅固なケージ内の、不断に自動給水するように装備されたラック
上で飼育し、12時間の明暗周期(午前6時~午後6時)で維持し、標準的な齧歯動物用
食餌(Harlan-Teklad;Frederick、MD;型番8604)を施し
た。動物施設は、30~70%の湿度を伴う、68~76°Fの間で維持した。マウスは
、同腹仔と共に飼育され、研究期間中、試料回収の前の4時間にわたる空腹時間を除き、
食料および水を不断に施された。
ベースラインの血漿トリグリセリド濃度を測定する、顎下腺からの血液回収のために、
動物を、4時間にわたり空腹にさせ、短時間にわたり麻酔をかけた。次いで、マウスに、
PBS(1kg当たり10mLの注射容量)中で希釈された、1kg当たり30mgの抗
体を腹腔内(i.p.)注射した。血液は、投与後1、2、および5日目における、4時
間にわたる空腹時間の後で回収して、血漿トリグリセリドおよび総ヒトIgG濃度を測定
した。血液は、BD Microtainer collection/separat
or tubes with EDTA(Becton、Dickinson、and
Company;Franklin Lakes、NJ、型番365973)内に回収し
た。試料を、20,817×gで10分間にわたり遠心分離し、血漿を、0.2mLのT
hermo-strip tube(Thermo-Scientific;Pitts
burg、PA;型番AB 0451)へと移し、-80℃で凍結させ、保存した。
血漿トリグリセリド濃度は、Triglyceride(GPO)Liquid Re
agent set(Pointe Scientific、Canton、MI、型番
T7532-500)を使用して測定した。略述すると、37℃まであらかじめ加熱され
た、300μLのアッセイ試薬を、透明平底96ウェルプレート(Thermo Sci
entific、型番269620)内の5μLの血漿へと添加した。プレートを、プレ
ートシェーカー上で30秒間にわたり混合し、次いで、37℃のインキュベーター内に、
5分間にわたり静置した。20秒間にわたる混合に続き、Molecular Devi
ces SPECTRAmax PLUSプレートリーダーを使用して、500nmにお
ける吸光度を測定した。トリグリセリド濃度は、既知量のトリグリセリド基準物質(Po
inte Scientific、型番T7531-STD)を使用して作成した、検量
線を使用することにより計算した。
抗体NEG276およびNEG318はいずれも、ヒトANGPTL4トランスジェニ
ックマウスへと投与されると、血漿トリグリセリドレベルを低減した(図3)。
実施例15:本発明のANGPTL4抗体のうちの1つを、肥満した糖尿病で高トリグリ
セリド血症のカニクイザルへと投与することの効果
NEG276-LALAの薬物動態プロファイルおよび薬理学的効果を査定するために
、本発明者らは、単回、1kg当たり3mgの皮下投与を、4匹の高トリグリセリド血症
のカニクイザルに施した。この研究で使用されるサルの、ベースラインの血漿トリグリセ
リドレベルは、207mg/dL~2438mg/dLであった。NEG276-LAL
Aの投与後5週間にわたる多様な時点において、血漿試料を回収した(血液試料は、動物
から、午前中の給餌の前に取り出し、動物を一晩にわたり空腹させることはしなかった)
総NEG276-LALA血漿濃度は、標準的な方法により決定した。NEG276-
LALAは、投与の3日後において、15,536±2281ng/mLの平均最大血漿
濃度(Cmax)に達した。投与後21日目に、平均NEG276-LALA血漿濃度は
、2663ng/mLであった(図4)。
血漿TG、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、総ア
ポリポタンパク質B(apoB)、およびアポリポタンパク質CIII(apoCIII
)濃度は、市販のアッセイキット(TG:Triglyceride(GPO)Liqu
id Reagent set、Pointe Scientific、型番T7532
-500;総コレステロール:Cholesterol Reagent Set、Po
inte Scientific、型番C7510-500;HDL:Choleste
rol Precipitating Reagent from manual HD
L reagent kit、和光純薬工業株式会社、型番431-52501;総Ap
oB:K-Assay Apo B、Kamiya Biomedical Compa
ny、型番KAI-004;ApoC-III:ApoC-III Assay Rea
gent、Randox、型番LP-3865)を使用して決定した。
NEG276-LALAの投与は、血漿トリグリセリド(TG)レベルの顕著な低下を
結果としてもたらした。ピーク血漿TGの低下は、投与後7日目に観察され、この時点に
おいて、血漿TG濃度は、ベースラインの血漿TGレベルより58%低かった。投与後7
日目にピークTGの低下が生じた後で、血漿TG濃度は、投与後21日目まで、ベースラ
インの濃度と比べた、40%を超える抑制を保ち、次いで、ベースラインへと戻った(図
5)。血漿TGに対するその効果に加えて、NEG276-LALAの投与は、血漿総コ
レステロール濃度を、ベースラインと比べて約30%低減し(図6)、投与後7~21日
目において、HDLコレステロール濃度を、ベースラインから20%を超えて増大させた
(図7)。加えて、投与後7~21日目において、血漿総apoB濃度の、約30%の減
少も観察され(図8)、7~21日目において、血漿apoC-III濃度の、ベースラ
インと比べた約25%の減少も観察された(図9)。本発明者らはまた、標準的なサイズ
除外クロマトグラフィー法を使用してリポタンパク質成分を分離することにより、NEG
276-LALAの投与の、リポタンパク質関連トリグリセリドレベルおよびコレステロ
ールレベルに対する効果も査定した。投与前(0日目)の試料と投与後7日目の試料とに
ついての、リポタンパク質プロファイリングデータの比較は、NEG276-LALAの
投与が、トリグリセリドに富むリポタンパク質(TRL)と関連するコレステロール濃度
、およびトリグリセリド濃度の顕著な減少(1匹のサルからの結果を、図10および図1
1に示す)を結果としてもたらすことを示した。
参照による組込み
本明細書で引用される全ての参考文献であって、特許、特許出願、論文、教科書などを
含む参考文献、およびそれらにおいて引用された参考文献は、それらについて既に言及し
た程度において(to the extent that they are not already)、参照によりそれらの全
体において本明細書に組み込まれる。
同等物
前出の明細書は、当業者が、本発明を実施することを可能とするのに十分であると考え
られる。前出の記載および実施例は、本発明のある種の好ましい実施形態について詳述し
、本発明者らにより企図される最良の方式について記載する。しかし、前出の記載および
実施例が、本文中でいかに詳述されているように見えるとしても、本発明は、多くの様式
で実施することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの任意の同等物に
従うとみなされるべきであることが察知されるであろう。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
単離抗ANGPTL4抗体またはその断片。
[2]
前記抗体または断片が、LPLの、ANGPTL4タンパク質への結合を遮断する、上
記項目のいずれかに記載の単離抗体または断片。
[3]
ForteBio動態結合アッセイにより測定される45pM以下のKD、または溶液
平衡滴定アッセイ(SET)により測定される24pM以下のKDで、ヒトANGPTL
4タンパク質に結合する、単離抗体またはその断片。
[4]
前記抗体または断片が、表1に列挙されたCDRのうちの少なくとも1つに対して少な
くとも95%の同一性を有する少なくとも1つの相補性決定領域を含む、上記項目のいず
れかに記載の単離抗体または断片。
[5]
前記抗体または断片が、表1のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む、上記項目
のいずれかに記載の単離抗体または断片。
[6]
前記抗体または断片が、表1のCDR1、CDR2、およびCDR3を含み、変異体が
、CDR1、CDR2、またはCDR3のうちの1つにおいて、少なくとも1~4カ所の
アミノ酸変化を有する、上記項目のいずれかに記載の単離抗体または断片。
[7]
ヒトANGPTL4に結合する単離抗体またはその断片であって、配列番号9、34、
54、74、94、114、および134からなる群から選択される重鎖CDR3を含む
、単離抗体またはその断片。
[8]
ヒトANGPTL4に結合する単離抗体またはその断片であって、配列番号13、38
、58、78、98、118、および138からなる群から選択されるVH;ならびに配
列番号23、48、68、88、108、128、および148からなる群から選択され
るVLまたはその97~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離抗体またはそ
の断片。
[9]
配列番号13、38、58、78、98、118、および138からなる群から選択さ
れる重鎖可変ドメイン配列を含む、単離抗体またはその断片。
[10]
配列番号23、48、68、88、108、128、および148からなる群から選択
される軽鎖可変ドメイン配列を含む、単離抗体またはその断片。
[11]
配列番号13、38、58、78、98、118、および138からなる群から選択さ
れる重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号23、48、68、88、108、128、お
よび148からなる群から選択される軽鎖可変ドメイン配列を含む、単離抗体またはその
断片。
[12]
配列番号7、32、52、72、92、112、および132からなる群から選択され
る重鎖可変領域のCDR1;配列番号8、33、53、73、93、113、および13
3からなる群から選択されるCDR2;9、34、54、74、94、114、および1
34からなる群から選択されるCDR3;配列番号17、42、62、82、102、1
22、および142からなる群から選択される軽鎖可変領域のCDR1;配列番号18、
43、63、83、103、123、および143からなる群から選択されるCDR2;
ならびに配列番号19、44、64、84、104、124、および144からなる群か
ら選択されるCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[13]
配列番号10、35、55、75、95、115、および135からなる群から選択さ
れる重鎖可変領域のCDR1;配列番号11、36、56、76、96、116、および
136からなる群から選択されるCDR2;12、37、57、77、97、117、お
よび137からなる群から選択されるCDR3;配列番号20、45、65、85、10
5、125、および145からなる群から選択される軽鎖可変領域のCDR1;配列番号
21、46、66、86、106、126、および146からなる群から選択されるCD
R2;ならびに配列番号22、47、67、87、107、127、および147からな
る群から選択されるCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[14]
配列番号7の重鎖可変領域のCDR1;配列番号8のCDR2;配列番号9のCDR3
;配列番号17の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号18のCDR2;および配列番号1
9のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[15]
配列番号32の重鎖可変領域のCDR1;配列番号33のCDR2;配列番号34のC
DR3;配列番号42の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号43のCDR2;および配列
番号44のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[16]
配列番号52の重鎖可変領域のCDR1;配列番号53のCDR2;配列番号54のC
DR3;配列番号62の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号63のCDR2;および配列
番号64のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[17]
配列番号72の重鎖可変領域のCDR1;配列番号73のCDR2;配列番号74のC
DR3;配列番号82の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号83のCDR2;および配列
番号84のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[18]
配列番号92の重鎖可変領域のCDR1;配列番号93のCDR2;配列番号94のC
DR3;配列番号102の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号103のCDR2;および
配列番号104のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[19]
配列番号112の重鎖可変領域のCDR1;配列番号113のCDR2;配列番号11
4のCDR3;配列番号122の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号123のCDR2;
および配列番号124のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[20]
配列番号132の重鎖可変領域のCDR1;配列番号133のCDR2;配列番号13
4のCDR3;配列番号142の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号143のCDR2;
および配列番号144のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[21]
配列番号10の重鎖可変領域のCDR1;配列番号11のCDR2;配列番号12のC
DR3;配列番号20の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号21のCDR2;および配列
番号22のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[22]
配列番号35の重鎖可変領域のCDR1;配列番号36のCDR2;配列番号37のC
DR3;配列番号45の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号46のCDR2;および配列
番号47のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[23]
配列番号55の重鎖可変領域のCDR1;配列番号56のCDR2;配列番号57のC
DR3;配列番号65の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号66のCDR2;および配列
番号67のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[24]
配列番号75の重鎖可変領域のCDR1;配列番号76のCDR2;配列番号77のC
DR3;配列番号85の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号86のCDR2;および配列
番号87のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[25]
配列番号95の重鎖可変領域のCDR1;配列番号96のCDR2;配列番号97のC
DR3;配列番号105の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号106のCDR2;および
配列番号107のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[26]
配列番号115の重鎖可変領域のCDR1;配列番号116のCDR2;配列番号11
7のCDR3;配列番号125の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号126のCDR2;
および配列番号127のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[27]
配列番号135の重鎖可変領域のCDR1;配列番号136のCDR2;配列番号13
7のCDR3;配列番号145の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号146のCDR2;
および配列番号147のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
[28]
上記項目の一項に記載の抗体またはその断片と、医薬的に許容される担体とを含む、医
薬組成物。
[29]
ANGPTL4障害を処置する方法であって、有効量の、上記項目のいずれかに記載の
抗体または断片を含む医薬組成物を、ANGPTL4障害に罹患している患者へ投与する
ステップを含む、方法。
[30]
前記患者が、重度の高トリグリセリド血症(例えば、血漿トリグリセリド濃度が>50
0mg/dLである)、肥満と関連する高トリグリセリド血症、V型高トリグリセリド血
症、およびカイロミクロン血症のうちの1つまたは複数に罹患している、上記[29]に
記載の方法。
[31]
前記患者が、原発性脂質異常症、メタボリックシンドローム、および2型糖尿病のうち
の1つまたは複数に罹患している、上記[29]に記載の方法。
[32]
上記項目のいずれかに記載の単離抗体または断片と同じエピトープに結合する、単離抗
体またはその断片。
[33]
ヒトANGPTL4タンパク質に結合し、上記項目のいずれかに記載の単離抗体または
断片と交差競合する、単離抗体またはその断片。


Claims (33)

  1. 単離抗ANGPTL4抗体またはその断片。
  2. 前記抗体または断片が、LPLの、ANGPTL4タンパク質への結合を遮断する、前
    記請求項のいずれかに記載の単離抗体または断片。
  3. ForteBio動態結合アッセイにより測定される45pM以下のKD、または溶液
    平衡滴定アッセイ(SET)により測定される24pM以下のKDで、ヒトANGPTL
    4タンパク質に結合する、単離抗体またはその断片。
  4. 前記抗体または断片が、表1に列挙されたCDRのうちの少なくとも1つに対して少な
    くとも95%の同一性を有する少なくとも1つの相補性決定領域を含む、前記請求項のい
    ずれかに記載の単離抗体または断片。
  5. 前記抗体または断片が、表1のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む、前記請求
    項のいずれかに記載の単離抗体または断片。
  6. 前記抗体または断片が、表1のCDR1、CDR2、およびCDR3を含み、変異体が
    、CDR1、CDR2、またはCDR3のうちの1つにおいて、少なくとも1~4カ所の
    アミノ酸変化を有する、前記請求項のいずれかに記載の単離抗体または断片。
  7. ヒトANGPTL4に結合する単離抗体またはその断片であって、配列番号9、34、
    54、74、94、114、および134からなる群から選択される重鎖CDR3を含む
    、単離抗体またはその断片。
  8. ヒトANGPTL4に結合する単離抗体またはその断片であって、配列番号13、38
    、58、78、98、118、および138からなる群から選択されるVH;ならびに配
    列番号23、48、68、88、108、128、および148からなる群から選択され
    るVLまたはその97~99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離抗体またはそ
    の断片。
  9. 配列番号13、38、58、78、98、118、および138からなる群から選択さ
    れる重鎖可変ドメイン配列を含む、単離抗体またはその断片。
  10. 配列番号23、48、68、88、108、128、および148からなる群から選択
    される軽鎖可変ドメイン配列を含む、単離抗体またはその断片。
  11. 配列番号13、38、58、78、98、118、および138からなる群から選択さ
    れる重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号23、48、68、88、108、128、お
    よび148からなる群から選択される軽鎖可変ドメイン配列を含む、単離抗体またはその
    断片。
  12. 配列番号7、32、52、72、92、112、および132からなる群から選択され
    る重鎖可変領域のCDR1;配列番号8、33、53、73、93、113、および13
    3からなる群から選択されるCDR2;9、34、54、74、94、114、および1
    34からなる群から選択されるCDR3;配列番号17、42、62、82、102、1
    22、および142からなる群から選択される軽鎖可変領域のCDR1;配列番号18、
    43、63、83、103、123、および143からなる群から選択されるCDR2;
    ならびに配列番号19、44、64、84、104、124、および144からなる群か
    ら選択されるCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  13. 配列番号10、35、55、75、95、115、および135からなる群から選択さ
    れる重鎖可変領域のCDR1;配列番号11、36、56、76、96、116、および
    136からなる群から選択されるCDR2;12、37、57、77、97、117、お
    よび137からなる群から選択されるCDR3;配列番号20、45、65、85、10
    5、125、および145からなる群から選択される軽鎖可変領域のCDR1;配列番号
    21、46、66、86、106、126、および146からなる群から選択されるCD
    R2;ならびに配列番号22、47、67、87、107、127、および147からな
    る群から選択されるCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  14. 配列番号7の重鎖可変領域のCDR1;配列番号8のCDR2;配列番号9のCDR3
    ;配列番号17の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号18のCDR2;および配列番号1
    9のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  15. 配列番号32の重鎖可変領域のCDR1;配列番号33のCDR2;配列番号34のC
    DR3;配列番号42の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号43のCDR2;および配列
    番号44のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  16. 配列番号52の重鎖可変領域のCDR1;配列番号53のCDR2;配列番号54のC
    DR3;配列番号62の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号63のCDR2;および配列
    番号64のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  17. 配列番号72の重鎖可変領域のCDR1;配列番号73のCDR2;配列番号74のC
    DR3;配列番号82の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号83のCDR2;および配列
    番号84のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  18. 配列番号92の重鎖可変領域のCDR1;配列番号93のCDR2;配列番号94のC
    DR3;配列番号102の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号103のCDR2;および
    配列番号104のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  19. 配列番号112の重鎖可変領域のCDR1;配列番号113のCDR2;配列番号11
    4のCDR3;配列番号122の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号123のCDR2;
    および配列番号124のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  20. 配列番号132の重鎖可変領域のCDR1;配列番号133のCDR2;配列番号13
    4のCDR3;配列番号142の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号143のCDR2;
    および配列番号144のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  21. 配列番号10の重鎖可変領域のCDR1;配列番号11のCDR2;配列番号12のC
    DR3;配列番号20の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号21のCDR2;および配列
    番号22のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  22. 配列番号35の重鎖可変領域のCDR1;配列番号36のCDR2;配列番号37のC
    DR3;配列番号45の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号46のCDR2;および配列
    番号47のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  23. 配列番号55の重鎖可変領域のCDR1;配列番号56のCDR2;配列番号57のC
    DR3;配列番号65の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号66のCDR2;および配列
    番号67のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  24. 配列番号75の重鎖可変領域のCDR1;配列番号76のCDR2;配列番号77のC
    DR3;配列番号85の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号86のCDR2;および配列
    番号87のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  25. 配列番号95の重鎖可変領域のCDR1;配列番号96のCDR2;配列番号97のC
    DR3;配列番号105の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号106のCDR2;および
    配列番号107のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  26. 配列番号115の重鎖可変領域のCDR1;配列番号116のCDR2;配列番号11
    7のCDR3;配列番号125の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号126のCDR2;
    および配列番号127のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  27. 配列番号135の重鎖可変領域のCDR1;配列番号136のCDR2;配列番号13
    7のCDR3;配列番号145の軽鎖可変領域のCDR1;配列番号146のCDR2;
    および配列番号147のCDR3を含む、単離抗体またはその断片。
  28. 上記請求項の一項に記載の抗体またはその断片と、医薬的に許容される担体とを含む、
    医薬組成物。
  29. ANGPTL4障害を処置する方法であって、有効量の、前記請求項のいずれかに記載
    の抗体または断片を含む医薬組成物を、ANGPTL4障害に罹患している患者へ投与す
    るステップを含む、方法。
  30. 前記患者が、重度の高トリグリセリド血症(例えば、血漿トリグリセリド濃度が>50
    0mg/dLである)、肥満と関連する高トリグリセリド血症、V型高トリグリセリド血
    症、およびカイロミクロン血症のうちの1つまたは複数に罹患している、請求項29に記
    載の方法。
  31. 前記患者が、原発性脂質異常症、メタボリックシンドローム、および2型糖尿病のうち
    の1つまたは複数に罹患している、請求項29に記載の方法。
  32. 前記請求項のいずれかに記載の単離抗体または断片と同じエピトープに結合する、単離
    抗体またはその断片。
  33. ヒトANGPTL4タンパク質に結合し、前記請求項のいずれかに記載の単離抗体また
    は断片と交差競合する、単離抗体またはその断片。
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