JP2021113285A - 繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物、繊維強化プラスチック中間基材、及び前記繊維強化プラスチック中間基材の製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物、繊維強化プラスチック中間基材、及び前記繊維強化プラスチック中間基材の製造方法 Download PDF

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【課題】そこで、本発明は、上記問題点を解決し、ボイドを極力抑制することが可能な、優れたFRP機械物性を与える繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物を提供することを目的とする。【解決手段】すなわち、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、下記(A)と(B)とを配合してなる繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物。2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)を含む組成物(A)、下記(b1)を必須成分とし、さらに(b2)を含むことができる組成物(B)(b1)不飽和基含有モノカルボン酸(b2)重合禁止剤【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物、繊維強化プラスチック中間基材、及び前記繊維強化プラスチック中間基材の製造方法に関し、特に含浸性に優れる繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物、繊維強化プラスチック中間基材、及び前記繊維強化プラスチック中間基材の製造方法に関する。
繊維強化プラスチック(Fiber reinforced plastic : FRP)は軽量で高強度であることから、様々な構造部材に使用されている。それらの分野は、住宅設備、自動車、船舶、土木、スポーツ用具等多岐にわたるが、近年特に軽量化を要する自動車や輸送関連機器分野でFRPの使用が増加している。
FRPの製造には樹脂と繊維が用いられるが、液状の樹脂と繊維(又は織物)を使用して成形する方法とあらかじめ樹脂を繊維に含浸させ中間基材(SMC(Sheet molding compound)、プリプレグ)を使用する方法がある。中間基材を用いて成形する方法としてはオートクレーブ成形、シートワインディング成形、オーブン成形、プレス成形などがある。これらの成形においては、中間基材をカットし、目標の厚みまで積層し熱をかけて硬化させる成形法である。
例えば、繊維強化複合材料用中間基材を硬化して構成されていることを特徴とする繊維強化複合材料が知られている(特許文献1)。
特開平11−302507号公報
しかし、上述の中間基材の製造法としては、粘度の高い半固形の樹脂をホットメルトして高温で繊維に含浸させる方法、粘度の高い半固形の樹脂を溶剤に希釈して、常温で含浸させて溶剤を除去する方法、反応性希釈剤にオリゴマーを溶解させた樹脂に増粘剤を加え、常温で含浸させ化学的に増粘させる方法がある。しかし、例えば、ホットメルト法等は粘度が高いために含浸性に問題があり、溶剤法は溶剤除去の際に溶剤が内部に残留しやすくなるため、特に単位面積当たりの重量が大きい中間基材においては成型時にボイドが発生することが多い。また、反応性希釈剤にオリゴマーを溶解させた樹脂を用いる方法においては、反応性希釈剤の量を増量して含浸時の粘度を低くすることもできるが、硬化収縮が大きくなるため寸法安定性の高いFRPを得ることができない問題がある。
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、ボイドを極力抑制することが可能な、優れたFRP機械物性を与える繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、中間基材用組成物について種々の観点から多角的に検討を重ねた結果、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物を見出すに至った。
すなわち、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、下記(A)と(B)とを配合してなる繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物。
2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)を含む組成物(A)、下記(b1)を必須成分とし、さらに(b2)を含むことができる組成物(B)
(b1)不飽和基含有モノカルボン酸
(b2)重合禁止剤
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、さらに、重合開始剤(C)、及び/又はエステル化触媒(D)が、前記組成物(A)及び/又は(B)に配合されることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、さらに、前記組成物(A)中のエポキシ基モル数に対する前記組成物(B)中のエポキシ反応性基モル比(B/A)が0.8〜1.2であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)及び/又は(B)がエポキシ反応性基を含まない重合性単量体(E)を含むことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)と(B)の合計重量に対して重合性単量体(E)の含有量が0〜40重量%であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材は、本発明の液状組成物を繊維材料に含浸してなることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材の製造方法は、本発明の液状組成物を任意の組成で繊維材料に含浸させる工程と、前記含浸させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させる工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材の製造方法の好ましい実施態様において、前記熟成の温度は、30〜90℃であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化複合材料は、本発明の強化プラスチック中間基材を硬化させてなることを特徴とする。
本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物によれば、前記液状組成物が基材への含浸性に優れ、硬化時の収縮が小さく寸法安定性に優れる中間基材を与えることが可能であるという有利な効果を奏する。また、本発明によれば、得られた中間基材は機械物性に優れ、ボイドや未含浸部位がほとんど無い信頼性の高い複合材料を与えることが可能であるという有利な効果を奏する。又、本発明の中間基材は硬化性と保管性に優れるという有利な効果も奏する。
また、本発明によれば、低粘度で含浸性に優れた液状組成物を用いる本発明により、単位面積重量の大きい中間基材を製造することができるという有利な効果を奏する。さらに、本発明によれば、単位面積重量の大きい中間基材に関し、積層回数を減らしボイドの極力少ない高強度なFRP、寸法安定性に優れるFRPを提供することが可能であるという有利な効果を奏する。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何ら以下の説明に限定されるものではない。本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」を示す。同様に「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」を示す。
すなわち、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、下記(A)と(B)とを配合してなる繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物。
2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)を含む組成物(A)、下記(b1)を必須成分とし、さらに(b2)を含むことができる組成物(B)
(b1)不飽和基含有モノカルボン酸
(b2)重合禁止剤
まず、組成物(A)について記載する。組成物(A)は、2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)を含む組成物である。本発明に適用できる2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、カテコール、レゾルシノールなどの多価フェノールやグリセリンやポリエチレングリコールなどの多価アルコールとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸、β-ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル、更にはエポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化クレゾールノボラック、エポキシ化ポリオレフィン、環式脂肪族エポキシ、その他ウレタン変性エポキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのエポキシ基を有する化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、エポキシ基を有する化合物(a1)としては、高耐熱性及び低透湿性を保つ等の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエン構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。なお、エポキシ樹脂は、液状であっても、固形状であっても、液状樹脂と固形状樹脂の両方を用いてもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、50〜1000g/eq、好ましくは100〜500g/eq、より好ましくは100〜300g/eqである。
次いで組成物(B)について記載する。組成物(B)は、不飽和基含有モノカルボン酸(b1)、重合禁止剤(b2)を任意の割合で含む組成物である。組成物(B)は、不飽和基含有モノカルボン酸(b1)が必須成分であり、重合禁止剤(b2)は必要に応じて配合する。組成物(B)に配合される不飽和基含有モノカルボン酸(b1)は液状のものが好ましい。不飽和基含有モノカルボン酸(b1)とは不飽和基を含有する(メタ)アクリル酸のことであり、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ソルビン酸などのモノカルボン酸、例えば、二塩基酸無水物と、分子中に少なくとも一個の不飽和基を有するアルコールとの反応物などが挙げられる。二塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。これらの不飽和基含有モノカルボン酸(b1)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。又、これら不飽和基含有モノカルボン酸(b1)のうち、液状組成物の粘度や硬化物の機械物性の点からモノカルボン酸、より好ましくは、(メタ)アクリル酸、さらに好ましくは、メタクリル酸が好ましい。
重合禁止剤(b2)としては、例えば、ハイドロキノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン等の公知の多価フェノール系重合禁止剤が使用できる。
次いで重合開始剤(C)、エステル化触媒(D)及びエポキシ反応性基を含まない重合性単量体(E)について記載する。これらの成分はそれぞれ、組成物(A)又は(B)のどちらにも配合できる。重合開始剤(C)、エステル化触媒(D)及びエポキシ反応基を含まない重合性単量体(E)は必要に応じて配合する。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、さらに、重合開始剤(C)、及び/又はエステル化触媒(D)が、前記組成物(A)及び/又は(B)に配合されることを特徴とする。
重合開始剤(C)としては有機過酸化物系が挙げられ、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド系、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド系、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイドなどジアルキルパーオキサイド系、ビス(4−ターシャリーブチロイルヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート系などが挙げられる。
又、中間基材に光硬化性を付与する場合は、光硬化用の開始剤を使用することが可能で、例えばアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノンなどのアセトフェノン系、α−アルキルアミノベンゾフェノンなどのアミノベンゾフェノン系、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエ−テル系、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール系、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノンなどのアントラキノン系、クメンパーオキシドなどの有機過酸化物、2−メルカプトベンゾイミダールなどのチオール化合物、アセトフェノンo-ベンゾイルオキシムなどのo-アシルオキシム系などが挙げられる。
これらは中間基材の熟成温度、成型温度、保管温度から適宜に選択することができ、単独又は2種以上混合して使用することができる。重合開始剤(C)の添加量は、良好な硬化性を得るという観点から、成分(A)+(B)の液状組成物合計100重量部に対して、0.05〜5重量部である。重合開始剤(C)は、組成物(B)に配合することができるが、組成物(B)には不飽和基含有モノカルボン酸を有する化合物が配合されるため、組成物(B)としての貯蔵安定性を考慮すると、組成物(A)に配合するほうが好ましい。
また、エステル化触媒(D)には、公知の触媒を用いることが好ましい。このような触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等の3級アミン又は4級アンモニウム塩、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、トリフェニルホスフィン等の有機燐化合物、トリフェニルアンチモン等の有機アンチモン化合物を挙げることができる。これらの触媒は、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)と不飽和基含有モノカルボン酸(b1)の合計100重量部に対して、中間基材が十分な熟成状態であることを実現させるという観点から、0.01〜10重量部の範囲で使用することができる。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、良好な機械強度を得るという観点から、さらに、前記組成物(A)中のエポキシ基モル数に対する前記組成物(B)中のエポキシ反応性基モル比(B/A)が0.8〜1.2であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)及び/又は(B)がエポキシ反応性基を含まない重合性単量体(E)を含むことを特徴とする。エポキシ反応性基を含まない重合性単量体(E)としては、エポキシ基と常温で反応しないものが好ましく、ビニルモノマーや単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基と反応する重合性単量体を配合すると保管時に反応して粘度が上昇し作業性が悪くなる虞や十分な機械物性を得ることができない虞がある。
ビニルモノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、又、単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなど、多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ノルボルネンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの重合性単量体(E)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。中間基材としてのタック性や臭気、その硬化物の機械物性の点からジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの適用が好ましい。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)と(B)の合計重量に対して重合性単量体(E)の含有量が0〜40重量%であることを特徴とする。すなわち、重合性単量体(E)の配合量は、中間基材として目標とする粘度特性やタック性に対し、熟成で得られるエポキシ(メタ)アクリレートに合わせて、液状組成物中に0〜40重量%の範囲で調整されることができる。中間基材の硬化収縮を小さくする観点からすると、0〜30重量%が好ましい。
本発明の液状組成物の粘度は組成物(A)と(B)を混合した時点で、25〜80℃で0.1Pa・s〜5Pa・sが好ましい。粘度が5Pa・sを越えると、条件によっては基材への含浸が悪くなり、未含浸部位ができてしまい好ましくない虞がある。
本発明の液状組成物は熟成により、エポキシ(メタ)アクリレートへと変化するが、そのエポキシ(メタ)アクリレートのエチレン性不飽和基当量は、特に限定はしないが、1000g/eq未満が好ましい。1000g/eq以上となると、機械物性(曲げ強さ、引張り強さ、圧縮強さ、層間せん断強さ)のバランスが悪くなり、成形品の耐熱性が低くなる虞がある。
本発明においては、エポキシ(メタ)アクリレートへと変化するため、耐薬品性に優れる成形物を与えることが可能である。耐性を持つ薬品種は特に問わないが、例えば水・化学薬品(酸やアルカリなど)・耐溶剤(エタノールなど)が挙げられる。これらは濃度や温度によって耐薬品性能が異なる。
本発明の液状組成物には、粘弾性の調整や機械物性の向上を目的に無機粒子やゴム粒子を配合してもよい。無機粒子としては、特に限定されないが炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。ゴム成分としては、特に限定されないが架橋ゴム粒子、ゴム成分が架橋ポリマーに包まれたコアシェルゴム粒子が挙げられる。
更に本発明の液状組成物には、FRPのさらなる機械強度、衝撃性向上のためにカーボンナノチューブを配合することができる。
更に本発明の液状組成物には必要に応じて低収縮剤、内部離型剤、成分分散剤などを配合することができる。これらの配合物は、溶解性の観点から液状のものが好ましいが、熱を加えて組成物に溶解すれば固形のものでも良い。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材は、本発明の液状組成物を繊維材料に含浸してなることを特徴とする。
本発明の中間基材に用いられる繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ボロン繊維、バサルト繊維、セルロース等が挙げられるが、これらには限定されない。又、強化繊維含有率は10〜90重量%、機械特性と成形性の面から、好ましくは30〜80重量%が望ましい。強化繊維の表面処理剤、形状(一方向、クロス、NCF、不織布等)については限定されない。又、繊維基材と繊維基材の間にコア材を挟み込むことも可能である。コア材の例としては、発泡不織布、ハニカムコアマットなどが挙げられる。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材の製造方法は、本発明の液状組成物を任意の組成で繊維材料に含浸させる工程と、前記含浸させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させる工程と、を含むことを特徴とする。本発明において、特に限定されないが、例えば、10〜60℃までの温度で前記液状組成物を任意の組成で繊維材料に含侵させることができる。また、本発明において、必要に応じて、さらにフィルムで挟み、ローラー圧力で前記液状組成物を前記繊維材料に含浸させて、ロール状、又は綴ら状にしてもよい。その後、前記含侵させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させることができる。すなわち、本発明においては、熟成の間に液状組成物が繊維又は織物に含浸した状態でエポキシアクリレートが形成されることが可能となる。従来においては、一度エポキシアクリレートを形成させた上で、繊維等に含侵していたが、驚くべきことに、本発明の液状組成物は、繊維又は織物等に含浸した状態で、熟成という工程を経てエポキシアクリレートが形成されることを本発明者らは見出したものである。これにより、本発明においては、液状組成物と繊維とをより強固も結合させることが可能となり、後述する実施例により明らかなように、より良好な含侵性、硬化性、及び機械物性等を発揮し得るという有利な効果を奏するものである。
好ましい実施態様において、エポキシアクリレート化の促進とラジカル重合反応抑制の観点から、前記熟成の温度は、30〜90℃とすることができる。まず、液状組成物をフィルム上に塗工し、その塗工面に繊維又は織物をのせ更にフィルムで挟み、ローラーで圧力をかけ液状組成物を繊維又は織物に含浸させることができる。なお、塗工場所から塗布物が繊維又は織物に接触するまでは、塗布物が一定の幅を保つために防波堤状の冶具があるのが好ましい。もしくは、繊維又は織物に液状組成物を滴下又は噴霧し更にフィルムで挟み、ローラーで圧力をかけ液状組成物を繊維又は織物に含浸させることができる。これらの方法で含浸させたものをロール状、又は綴ら状にし、炉(30〜90℃)にて熟成させることができる。
また、本発明の繊維強化複合材料は、本発明の強化プラスチック中間基材を硬化させてなることを特徴とする。
本発明の中間基材の硬化物は、熱と圧力を加えて加熱硬化させることにより得られる。熱と圧力を加える成形方法としては、オートクレーブ成形、オーブン成形、シートワインディング成形、プレス成形等がある。液状組成物中の重合開始剤の種類にもよるが成形温度は、70〜180℃、好ましくは100〜150℃で時間は3〜60分であることが好ましく、圧力は1〜15MPaが好ましい。
以下、実施例により本発明の一実施態様についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。本実施例において「部」は特に断らない限り重量部である。実施例では、中間基材の例として、プリプレグおよびC−SMC(カーボンSMC(Sheet Molding Compound))を作成した。
比較合成例1
(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(EA−1)の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコにエポキシ当量430g/eqのビスフェノールA型エポキシ化合物539.2部 、メタクリル酸108.3部、トリフェニルホスフィン1.95部、ハイドロキノン0.24部、を仕込み、空気流下(0.2L/min)、温度110〜120℃に保持し10時間反応させた。その後、スチレン350.0部で希釈し酸価6.1mg/KOHのエポキシアクリレート樹脂を得た。
比較合成例2
(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(EA−2)の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコにビスフェノールA型エポキシ化合物(JER「#1001」)689.9部 、メタクリル酸127.6部、2−メチルイミダゾール1.6部、モノメチルエーテルハイドロキノン0.8部を仕込み、空気流下(0.2L/min)、温度110〜120℃に保持し10時間反応させた。その後、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)180.0部で希釈し酸価2.4mg/KOHのエポキシアクリレート樹脂を得た。
〔液状組成物の調製〕
組成物Aと組成物Bをそれぞれ調製した。
〈組成物Aの調製〉
液状組成物A(x−1)の調製 (実施例1、9に用いる組成物(C−1)調製用)
容器にビスフェノールA型エポキシ化合物(DIC社製 EP−190)816.9部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)162.8部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)20.3部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−1)を得た。
液状組成物A(x−2)の調製 (実施例2、10に用いる組成物(C−2)調製用)
容器にビスフェノールA型エポキシ化合物(JER「#1001」)777.5部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)205.4部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)17.1部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−2)を得た。
液状組成物A(x−3)の調製 (実施例3、11に用いる組成物(C−3)調製用)
容器にビスフェノールA型エポキシ化合物(JER「#1002」)719.8部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)263.7部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)16.5部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−3)を得た。
液状組成物A(x−4)の調製 (実施例4,12に用いる組成物(C−4)調製用)
容器にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製EPICLON N−690)736.3部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)244.4部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)19.3部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−4)を得た。
液状組成物A(x−5)の調製 (実施例5,13に用いる組成物(C−5)調製用)
容器にビスフェノールA型エポキシ化合物(DIC社製 EP−190)824.4部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)154.5部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)21.1部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−5)を得た。
液状組成物A(x−6)の調製 (実施例6,14に用いる組成物(C−6)調製用)
容器にビスフェノールA型エポキシ化合物(DIC社製 EP−190)829.5部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)148.3部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)22.2部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−6)を得た。
液状組成物A(x−7)の調製 (実施例7,15に用いる組成物(C−7)調製用)
容器にビスフェノールA型エポキシ化合物(DIC社製 EP−190)383.0部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)142.6部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)19.4部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−7)を得た。
液状組成物A(x−8)の調製 (実施例8,16に用いる組成物(C−8)調製用)
容器にビスフェノールA型エポキシ化合物(JER「#1004」)695.3部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)288.7部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)16.0部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x−8)を得た。
〈組成物Bの調製〉
液状組成物B(y−1)の調製 (実施例1、9に用いる組成物(C−1)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を966.0部、トルハイドロキノン0.9部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール3.4部、トリフェニルホスフィン29.7部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−1)を得た。
液状組成物B(y−2)の調製 (実施例2、10に用いる組成物(C−2)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を930.0部、トルハイドロキノン1.9部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール7.3部、トリフェニルホスフィン60.7部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−2)を得た。
液状組成物B(y−3)の調製 (実施例3、11に用いる組成物(C−3)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を899.3部、トルハイドロキノン2.7部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール10.0部、トリフェニルホスフィン88.0部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−3)を得た。
液状組成物B(y−4)の調製 (実施例4、12に用いる組成物(C−4)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を962.1部、トルハイドロキノン1.1部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール4.0部、トリフェニルホスフィン32.8部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−4)を得た。
液状組成物B(y−5)の調製 (実施例5、13に用いる組成物(C−5)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を969.0部、トルハイドロキノン0.8部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール3.1部、トリフェニルホスフィン27.1部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−5)を得た。
液状組成物B(y−6)の調製 (実施例6、14に用いる組成物(C−6)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を973.2部、トルハイドロキノン0.73.2部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール2.8部、トリフェニルホスフィン23.3部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−6)を得た。
液状組成物B(y−7)の調製 (実施例7、15に用いる組成物(C−7)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を961.3部、トルハイドロキノン1.1部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール3.9部、トリフェニルホスフィン33.7部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−7)を得た。
液状組成物B(y−8)の調製 (実施例8、16に用いる組成物(C−8)調製用)
容器にメタクリル酸(三菱ガス化学社製)を871.0部、トルハイドロキノン3.7部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール13.9部、トリフェニルホスフィン111.4部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y−8)を得た。
調製した液状組成物AおよびBをそれぞれ表1に示す割合で配合し均一溶液になるまで撹拌し、中間基材用液状組成物(C−1〜8)を得た。さらに、調製した液状組成物の粘度、組成物(A)中のエポキシ基モル数に対する組成物(B)中の不飽和基含有モノカルボン酸モル比(B/A)、熟成後に形成されたエポキシ(メタ)アクリレートの理論エチレン性不飽和基当量を表1に記載した。表1は、液状組成物の調製を示す。表1において、*1は、組成物(A)中のエポキシ基モル数に対する組成物(B)中の不飽和基含有モノカルボン酸モル比(B/A)を示す。
Figure 2021113285
〔比較例樹脂調製〕
比較例として、樹脂を調製した。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(EA−1)の調製 (比較例1,4に用いる組成物(C−9))
上記エポキシメタクリレート(EA−1)を800.0部、コスモネートLL(三井化学社製変性ジフェニルイソシアネート)を192.0部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)8.0部を25℃で調製し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物(C−9)を得た。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(EA−2)の調製(比較例2,5に用いる組成物(C−10))
上記エポキシ(メタ)アクリレート(EA−2)を990.0部、パーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)10.0部を80℃で調製し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物(C−10)を得た。
〔比較液ウレタンアクリレート形成液状組成液の調整〕
また、比較例としてウレタンアクリレート形成の液状組成物AとBをそれぞれ調製した。調製した液状組成物AおよびBをそれぞれ表1に示す割合で配合し均一溶液になるまで撹拌し、中間基材用液状組成物(C−11)を得た。
ウレタンアクリレート形成液状組成液A(z−1)の調製(比較例3、6に用いる組成物(C―11)調製用)
容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製)975.6部とパーブチルE(日油社製モノオキシカーボネート系有機過酸化物)24.4部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(z−1)を得た。
ウレタンアクリレート形成液状組成液B(z−2)の調製(比較例3、6に用いる組成物(C―11)調製用)
容器に上記ポリエステルポリオール1を409.8部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(共栄社製ライトエステルHOP(N))437.7部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、NKエステル2G)151.0部、トルハイドロキノン0.1部、及び4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール0.5部、ジブチル錫ジラウレート0.9部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(z−2)を得た。
上記で調製した樹脂の粘度を表1に記載した。
〔組成物単独の収縮率測定〕
寸法安定性の評価を目的として、上記液状組成物(C−1〜11)の硬化物の収縮率を測定した。収縮率は液体比重と硬化物比重から算出した。又、(C−1〜8及びC−11)は増粘完了後に硬化させた。
表2は、熟成条件及び収縮率の測定結果を示す。
Figure 2021113285
表3は、中間基材(プリプレグ)作成条件、プリプレグの含浸状態、及び増粘条件を示す。
Figure 2021113285
〔中間基材作成〕
プリプレグ(P−1〜11)の作成
表1で示した液状組成物(C−1〜11)を、表3に示す配合で、33cm角の炭素繊維(三菱ケミカル社製、3K綾織、TR3523M)1枚ずつ10枚に含浸させ、その後各条件で熟成させることにより、プリプレグを得た。得られたプリプレグは、繊維が約60重量%であった。
表1で示した液状組成物(C―1〜9及びC―11)を、表3に示す配合で、33cm角の炭素繊維(三菱ケミカル社製、3K綾織、TR3523M)を10枚重ねたものに含浸させ、その後各条件で熟成させることにより、プリプレグを得た。得られたプリプレグは、繊維が約60重量%であった。C−10(比較例2)は、ホットメルト法で1枚ずつ含侵させたのちに10枚を積層し、プリプレグを作製した。
C−SMC(S―1〜11)の作成
表1で示した液状組成物(C−1〜9及びC−11)を、表4に示す配合で、長さ25mmにカットして25cm角に均一に分散させた炭素繊維(三菱ケミカル社製TR50S 12L)に含浸させ、その後各条件で熟成させることにより、C−SMCを得た。得られたC−SMCは、繊維が約55重量%であった。S−10(比較例5)は、ホットメルト法でトウプリプレグを作成した後、作成したトウプリプレグを長さ25mmにカットして、ランダムに配向させ、50℃でプレスしてC−SMCとした。
〔中間基材(プリプレグ、C-SMC)の含浸性評価〕
目視にて含浸の具合を確認した。◎:非常に良い 〇:良好 ×:未含浸部あり
〔中間基材の臭気評価〕
フィルムを剥がしたときの臭いを確認した。〇:刺激臭無し ×:刺激臭有り
〔中間基材の成形〕
プリプレグの成形
作成したプリプレグ(P―1〜11)を用いて、プレス((株)東邦プレス製作所社製100トンプレス機使用)により成形し、成形板を得た(実施例1〜8及び比較例1〜3)。プレス成形時の温度は130℃、成形圧は1MPa、成形時間7分で成形を行った。
C−SMCの成形
作成したC−SMC(S―1〜11)を用いて、プレス((株)東邦プレス製作所社製100トンプレス機使用)により成形し、成形板を得た(実施例9〜16及び比較例4〜6)。プレス成形時の温度は130℃、成形圧は8MPa、成形時間7分で成形を行った。
〔成形板物性測定〕
得られた成形板に対して、曲げ試験、層間せん断試験、成形性および含浸性試験を実施した。
曲げ試験
ASTM D 790に準拠した方法で測定を行った。
層間せん断試験
ASTM D 2344に準拠した方法で測定を行った。曲げ試験、層間せん断試験、物性評価試験結果を表5及び表6に示した。
〔耐薬品性試験〕
耐薬品性試験として濃度10%の塩酸溶液と濃度10%の水酸化ナトリウム溶液に成形品をそれぞれ2か月浸漬させた。浸漬後に曲げ試験を行い、曲げ強度保持率を測定した。試験結果を表7に示した。
この結果、表3、4より、該液状組成物がホットメルト用樹脂と比較して、低粘度であるために基材への含浸性に優れていることがわかる。また、表2よりラジカル重合性樹脂と増粘剤を混合して行う方法と比較して、熟成後の中間基材は匂いがなく、硬化時の収縮が小さく寸法安定性に優れる中間基材を与えることがわかる。又、表5〜7より、その中間基材は機械物性に優れ、耐薬品性に優れた複合材料を与えることがわかる。
表4は、中間基材(C−SMC)作成条件とC−SMCの含浸状態を示す。表4において、*2は、予めトウプリプレグ(ホットメルト法)を作成後、プリプレグを25mmにカットしてC-SMC化ことを示す。
Figure 2021113285
表5は、プリプレグ成形板の曲げ試験、層間せん断試験、物性評価試験結果、成形性および含浸性試験の結果を示す。
Figure 2021113285
表6はC−SMC成形板の曲げ試験、層間せん断試験、物性評価試験結果、成形性および含浸性試験の結果を示す。
Figure 2021113285
表7は、浸漬後に曲げ試験を行い、曲げ強度保持率を測定したときの試験結果を示す。
Figure 2021113285
以上の結果から、含浸性に優れた該液状組成物を用いる本発明により、人体に有害で臭気なスチレンを使用することなく(後で確認要)、ホットメルト用の樹脂と比較して含浸性の良い繊維強化プラスチック中間基材を得ることができ、その中間基材を用いた成形物は、高強度で且つFRP寸法安定性及び耐薬品性に優れるFRPを提供することが可能となった。
本発明の中間基材用液状組成物及び中間基材は、軽量で高強度であるため、輸送機器や産業資材、土木補強材、スポーツ用具など、応用範囲はこれらに限られるものではなく、多岐に渡り使用できる。
すなわち、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、下記(A)と(B)とを配合してなる繊維強化プラスチック中間基材におけるマトリックス用液状組成物であって、繊維又は織物上で樹脂形成するための液状組成物であることを特徴とする。
2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)を含む組成物(A)、下記(b1)及び下記(b2)を必須成分として含むことができる組成物(B)
(b1)不飽和基含有モノカルボン酸
(b2)重合禁止剤
以上の結果から、含浸性に優れた該液状組成物を用いる本発明により、人体に有害で臭気なスチレンを使用することなく、ホットメルト用の樹脂と比較して含浸性の良い繊維強化プラスチック中間基材を得ることができ、その中間基材を用いた成形物は、高強度で且つFRP寸法安定性及び耐薬品性に優れるFRPを提供することが可能となった。
すなわち、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、下記(A)と(B)とを配合してなる繊維強化プラスチック中間基材におけるマトリックス用液状組成物であって、繊維又は織物に含浸した状態で、熟成という工程を経てエポキシアクリレートを形成するための液状組成物であることを特徴とする。
2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)を含む組成物(A)、下記(b1)及び下記(b2)を必須成分として含む組成物(B)
(b1)不飽和基含有モノカルボン酸
(b2)重合禁止剤

Claims (9)

  1. 下記(A)と(B)とを配合してなる繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物。
    2個以上のエポキシ基を有する化合物(a1)を含む組成物(A)、下記(b1)を必須成分とし、さらに(b2)を含むことができる組成物(B)
    (b1)不飽和基含有モノカルボン酸
    (b2)重合禁止剤
  2. さらに、重合開始剤(C)、及び/又はエステル化触媒(D)が、前記組成物(A)及び/又は(B)に配合された請求項1記載の液状組成物。
  3. さらに、前記組成物(A)中のエポキシ基モル数に対する前記組成物(B)中のエポキシ反応性基モル比(B/A)が0.8〜1.2である請求項1又は2に記載の液状組成物。
  4. 前記組成物(A)及び/又は(B)がエポキシ反応性基を含まない重合性単量体(E)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状組成物。
  5. 前記組成物(A)と(B)の合計重量に対して重合性単量体(E)の含有量が0〜40重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状組成物を繊維材料に含浸してなる繊維強化プラスチック中間基材。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状組成物を任意の組成で繊維材料に含浸させる工程と、前記含浸させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させる工程と、を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック中間基材の製造方法。
  8. 前記熟成の温度は、30〜90℃である請求項7記載の方法。
  9. 請求項6記載の強化プラスチック中間基材を硬化させてなる繊維強化複合材料。
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