JP2023070793A - 液状組成物及び該液状組成物を用いた繊維強化複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ボイドを極力抑制することが可能な、機械物性及び耐熱性に優れた繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(a)を含む組成物(A)と、ビニルエステル樹脂(b1)及びエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)を含む組成物(B)と、を含有することを特徴とする。また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、重合禁止剤(C)が前記組成物(A)及び/又は(B)に配合されたことを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物、繊維強化プラスチック中間基材、及び前記繊維強化プラスチック中間基材の製造方法に関し、特に硬化性に優れる繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物、繊維強化プラスチック中間基材、及び前記繊維強化プラスチック中間基材の製造方法に関する。
繊維強化プラスチック(FRP:Fiber reinforced plastic)は軽量で高強度であることから、様々な構造部材に使用されている。それらの分野は、住宅設備、自動車、船舶、土木、スポーツ用具等多岐にわたるが、近年特に軽量化を要する自動車や輸送関連機器分野でFRPの使用が増加している。
FRPの製造方法には、強化繊維を配置した凹型を、凸型で密閉してから樹脂を注入し、圧力含浸させる樹脂注入成形(RTM:Resin Transfer Molding)法や、短繊維に樹脂を含浸させたものをフィルムではさみ、ローラーを通して連続シート(SMC:Sheet Molding Compound)とし、これを切断して金型内に投入しプレス機で加熱・加圧して製造するSMC法や、繊維または織物に樹脂を含浸し半硬化状態にしたもの(プリプレグ)を型に積層してフィルムなどで積層面全体を覆い、気密シールしてバギングを行い、減圧脱気してオートクレーブ(加熱加圧成形釜)に入れ加熱・加圧して製造するオートクレーブ法等がある。
中間基材の製造方法には、樹脂組成物と溶剤を混合し、これを繊維基材に含浸させた後、溶剤を乾燥除去して中間基材を得るソルベント法や、加熱により樹脂組成物の粘度を低下させて樹脂組成物のフィルム(樹脂フィルム)を作製し、これを例えば連続繊維を一方向に引きそろえた繊維基材の上下に張り付け、加熱・加圧することで樹脂組成物を繊維基材に含浸させて中間基材を得るホットメルト法がある。
中間基材のマトリックス樹脂としては、強化繊維への含浸性や硬化後の耐熱性に優れる熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物が用いられることが多い。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が用いられる。
従来から、ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、炭素繊維との接着性に優れることが知られており、炭素繊維のサイジング剤として用いられている(特許文献1)。また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物は強化繊維との接着性が良好であるため、強化繊維との接着性の劣る樹脂と混合して用いることが提案されている(特許文献2)。
また、シートモールディングコンパウンドのマトリックス樹脂に常温で液状のエポキシ樹脂を用いることで繊維基材への含浸性を高めていることも提案されている(特許文献3)。
さらにまた、プリプレグのマトリックス樹脂にビニルエステル樹脂とジアリルフタレート樹脂から成る樹脂組成物を用いることで、繊維強化複合材料としての靭性及び耐熱性を高めているも提案されている(特許文献4)。
しかしながら、従来の中間基材の製造方法、例えばソルベント法では、溶剤を十分に除去できず、中間基材中に残存する溶剤が成形中に気化し、繊維強化複合材料中にボイドが生じるという問題がある。溶剤を十分に除去するために乾燥温度を上げると、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から成る中間基材は硬化してしまうので、この製造方法で溶剤を十分に除去することは困難である。またホットメルト法では、繊維基材の目付けが大きくなると、すなわち繊維基材が厚くなると、樹脂組成物を厚さ方向に十分に含浸させることができないため、この製造方法では厚みがあり、かつ樹脂組成物が十分に含浸した中間基材を作製することは困難である。
また、中間基材のマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂組成物や不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂をスチレンで希釈した熱硬化性樹脂組成物が用いられる。しかし、前者は硬化物の機械物性及び耐熱性に優れるものの、速硬化性とBステージの安定性を両立することは困難である。後者は非常に低粘度であり中間基材の製造時の繊維基材への含浸性に優れ、また速硬化性とBステージの安定性にも優れるものの、硬化収縮が大きいことから寸法安定性の高い繊維強化複合材料を得ることは困難である。
また、特許文献1及び2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物を用いた繊維強化複合材料は、十分な機械物性を得ることができないという課題がある。
さらに、上記特許文献3に記載された発明では、前記シートモールディングコンパウンドを硬化させることで得られる繊維強化複合材料の耐熱性は150℃程度と低く、例えば自動車のエンジン周りのような耐熱性が必要となる用途では実使用上満足できるレベルではない。
さらにまた、特許文献4に記載された発明では、樹脂組成物は高粘度であることから、厚みがある繊維基材への含浸は困難である。加えて、樹脂組成物を用いたプリプレグを硬化させることで得られる繊維強化複合材料の成形収縮率や反りについては何ら触れられていない。
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、ボイドを極力抑制することが可能な、機械物性及び耐熱性に優れた繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、樹脂組成物について種々の観点から多角的に検討を重ねた結果、本発明の液状組成物を見出すに至った。
すなわち、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(a)を含む組成物(A)と、ビニルエステル樹脂(b1)及びエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)を含む組成物(B)と、を含有することを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、重合禁止剤(C)が前記組成物(A)及び/又は(B)に配合されたことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、重合開始剤(D)及び/又はウレタン化触媒(E)が、前記組成物(A)及び/又は(B)に配合されたことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)中のイソシアネート基モル数に対する前記組成物(B)中のイソシアネート反応性基モル比(B/A)は0.8~1.2であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)及び/又は(B)はイソシアネート反応性基を有さない重合性単量体(F)を含むことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)と(B)の合計重量に対して重合性単量体(F)の含有量は1~40重量%であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、B型粘度計で測定された10~50℃における粘度は5~200mPa・sであることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、本発明の液状組成物を繊維材料に含浸してなることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化複合材料は、本発明の繊維強化プラスチック中間基材を硬化させてなることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材の製造方法は、本発明の液状組成物を任意の組成で繊維材料に含浸させる工程と、前記含浸させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させる工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材の製造方法の好ましい実施態様において、前記熟成の温度は、30~80℃であることを特徴とする。
本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物によれば、前記液状組成物が基材への含浸性に優れ、硬化時の収縮が小さく寸法安定性に優れる中間基材を与えることが可能であるという有利な効果を奏する。また、本発明によれば、得られた中間基材は機械物性及び耐熱性に優れ、ボイドや未含浸部位がほとんど無い信頼性の高い複合材料を与えることが可能であるという有利な効果を奏する。又、本発明の中間基材は硬化性と保管性に優れるという有利な効果も奏する。
また、本発明によれば、低粘度で含浸性に優れた液状組成物を用いる本発明により、単位面積重量の大きい中間基材を製造することができるという有利な効果を奏する。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何ら以下の説明に限定されるものではない。本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」を示す。同様に「(メタ)アクリル酸エステル」は、「アクリル酸エステル」及び「メタクリル酸エステル」を示す。
本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(a)を含む組成物(A)と、ビニルエステル樹脂(b1)及びエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)を含む組成物(B)と、を含有することを特徴とする。すなわち、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物は、下記(A)と(B)とを配合してなることを特徴とする。2個以上のイソシアネート基を有する化合物(a)を含む組成物(A)、下記(b1)と(b2)を必須成分とする組成物(B)である。
(b1)ビニルエステル樹脂
(b2)エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物
(b1)ビニルエステル樹脂
(b2)エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物
まず、組成物(A)について記載する。組成物(A)は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(a)を含む組成物である。
2個以上のイソシアネート基を有する化合物(a)としては、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物、水添キシリレンジイソシアネート(1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、等の脂環族イソシアネート化合物、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物、2官能イソシアネート化合物が3量化されたイソシアヌレート環を有する3官能イソシアネート、ポリオールで変性されたイソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。これらのイソシアネート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。このうち、粘度及び反応性の観点から、脂肪族イソシアネート化合物が特に好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートとビニルエステル樹脂(b1)をイソシアネート基過剰で反応させたイソシアネート基を有するプレポリマーなどが挙げられる。
組成物(A)と(B)を混合後に増粘が速すぎる場合は、反応を抑えるためにウレタン化触媒(E)を配合しないことや、該液状組成物粘度が範囲を超えない程度の低温で中間基材を製造することも可能である。
次いで組成物(B)について記載する。組成物(B)は、ビニルエステル樹脂(b1)、エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)と重合禁止剤(C)の任意の割合で含むことができる組成物である。組成物(B)は、ビニルエステル樹脂(b1)及びエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)が必須成分であり、重合禁止剤(C)は必要に応じて配合することができる。組成物(B)に配合されるビニルエステル樹脂(b1)、エチレン性不飽和基含有モノアルコール(b2)は繊維への含浸温度(10~50℃の範囲で任意の温度)で液状のものが好ましいが、組成物(B)として該液状組成物となるのであれば固形の材料を用いてもよい。
ビニルエステル樹脂(b1)とは、エポキシ樹脂成分と不飽和一塩基酸成分との反応生成物(不飽和一塩基酸エポキシエステル)である。
エポキシ樹脂成分は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールAに代表されるビスフェノール化合物を主骨格としたジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラックに代表される多核フェノール化合物を主骨格としたポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、ダイマー酸、トリメリット酸に代表される有機多塩基酸を主骨格とするポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂や、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリコール、水添ビスフェノールA等のジオール化合物を主骨格としたグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は一種を単独で使用してもよく複数種を併用してもよい。
不飽和一塩基酸成分は、エチレン性不飽和基を有する一塩基酸であり、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸等が挙げられる。これらの不飽和一塩基酸成分は一種を単独で使用してもよく複数種を併用してもよい。
エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)とは水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステルのことであり、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸などが挙げられる。
これらのエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。又、これらエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)のうち、液状組成物の粘度や硬化物の機械物性の点から2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。又、耐熱性を必要とする場合は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、重合禁止剤(C)が前記組成物(A)及び/又は(B)に配合されたことを特徴とする。上述したように、重合禁止剤(C)を前記組成物(B)に配合することができるが、前記組成物(A)に配合することもでき、前記組成物(A)のみに配合してもよく、前記組成物(B)のみに配合してもよく、前記組成物(A)及び(B)の両方に配合してもよい。
重合禁止剤(C)としては、例えば、ハイドロキノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン等の公知の多価フェノール系重合禁止剤が使用できる。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、さらに、重合開始剤(D)及び/又はウレタン化触媒(E)が、前記組成物(A)及び/又は(B)に配合されていることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)及び/又は(B)がイソシアネート反応性基を含まない重合性単量体(F)を含むことを特徴とする。
まず、重合開始剤(D)、ウレタン化触媒(E)及びイソシアネート反応性基を含まない重合性単量体(F)について記載する。これらの成分はそれぞれ、組成物(A)又は(B)のどちらにも配合でき、組成物(A)及び(B)の両方に配合することも可能である。重合開始剤(D)は、後述する繊維強化複合材料化において、ラジカル重合により中間基材を硬化する際に、必須成分とすることができる。
ウレタン化触媒(E)及びイソシアネート反応性基を含まない重合性単量体(F)は必要に応じて配合することができる。
重合開始剤(D)としては有機過酸化物系が挙げられ、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド系、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド系、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイドなどジアルキルパーオキサイド系、ビス(4-ターシャリーブチロイルヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート系などが挙げられる。
又、中間基材に光硬化性を付与する場合は、光硬化用の開始剤を使用することが可能で、例えばアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノンなどのアセトフェノン系、α-アルキルアミノベンゾフェノンなどのアミノベンゾフェノン系、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエ-テル系、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール系、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノンなどのアントラキノン系、クメンパーオキシドなどの有機過酸化物、2-メルカプトベンゾイミダールなどのチオール化合物、アセトフェノンo-ベンゾイルオキシムなどのo-アシルオキシム系などが挙げられる。
これらは中間基材の熟成温度、成型温度、保管温度から適宜に選択することができ、単独又は2種以上混合して使用することができる。
重合開始剤(D)の添加量は、液状組成物100重量部に対して、0.05~5重量部である。重合開始剤(D)は、組成物(B)に配合できるが、組成物(B)にはエチレン性不飽和基を有する化合物が配合されるため、組成物(B)としての貯蔵安定性を考慮すると、組成物(A)に配合するほうが好ましい。
ウレタン化触媒(E)には酸性触媒、塩基性触媒が使用できるが、活性の高いジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ジアセテートなどのスズ化合物が好ましい。触媒の添加量は、選択する他の原料によって異なるが、熟成時の発熱及びウレタンアクリレート形成の速度、中間基材の貯蔵安定性、硬化物の機械物性の観点から、液状組成物重量に対して、0~800ppmである。
イソシアネート反応性基を含まない重合性単量体(F)としては、イソシアネート基と常温で反応しないものが好ましく、イソシアネート基と常温で反応しない重合性単量体(F)としては、ビニルモノマーや単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。イソシアネート基と反応する重合性単量体を配合すると保管時に反応して粘度が上昇し作業性が悪くなる虞や十分な機械物性を得ることができない虞がある。
ビニルモノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、又、単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、ベンジル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなど、多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ノルボルネンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの重合性単量体(E)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。中間基材としてのタック性や臭気、その硬化物の機械物性の点からジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの適用が好ましい。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、前記組成物(A)と(B)の合計重量に対して重合性単量体(F)の含有量が0~40重量%であることを特徴とする。すなわち、重合性単量体(F)の配合量は、中間基材として目標とする粘度特性やタック性に対し、熟成で得られるウレタンアクリレートに合わせて、液状組成物中に0~40重量%の範囲で調整されることができる。中間基材の硬化収縮を小さくする観点からすると、0~20重量%が好ましい。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、より優れたFRP機械物性を与えるという観点から、さらに、前記組成物(A)中のイソシアネート基モル数に対する前記組成物(B)中のイソシアネート反応性基モル比(B/A)が0.8~1.2、好ましくは、0.9~1.1であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物の好ましい実施態様において、B型粘度計で測定された10~50℃における前記組成物(A)と(B)の混合物である液状組成物の粘度が5~200mPa・sであることを特徴とする。すなわち、本発明の液状組成物の粘度は、前記組成物(A)と(B)を混合した時点で、10~50℃で5~200mPa・sが好ましく、目的とする中間基材の単位面積重量にもよるが、特に5~100mPa・sが好ましい。粘度が200mPa・sを越えると単位面積重量の大きい基材への含浸が悪くなり、未含浸部位ができてしまう虞がある。
本発明の液状組成物は熟成により、ウレタン(メタ)アクリレートへと変化するが、そのウレタンアクリレートのエチレン性不飽和基当量は、特に限定はしないが、1000g/eq未満が好ましい。1000g/eq以上となると、機械物性(曲げ強さ、引張強さ、圧縮強さ、層間せん断強さ)のバランスが悪くなり、成形品の耐熱性が低くなる虞がある。
本発明の液状組成物には、粘弾性の調整や機械物性の向上を目的に無機粒子やゴム粒子を配合してもよい。無機粒子としては、特に限定されないが炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。ゴム成分としては、特に限定されないが架橋ゴム粒子、ゴム成分が架橋ポリマーに包まれたコアシェルゴム粒子が挙げられる。これらの配合量は液状樹脂組成物の粘度にもよるが2~80重量%、好ましくは2~75重量%である。
更に本発明の液状組成物には、FRPのさらなる機械強度、衝撃性向上のためにカーボンナノチューブを配合することができる。カーボンナノチューブは液状組成物の粘度、塗工性の観点から単層のカーボンナノチューブが好適で、その配合量はFRP中の単層カーボンナノチューブが0.05~0.5重量%となるようにするとよい。
更に本発明の液状組成物には必要に応じて低収縮剤、内部離型剤、分散剤などを配合することができる。これらの添加物は、溶解性の観点から液状のものが好ましいが、熱を加えて組成物に溶解すれば固形でも良い。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材は、本発明の繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物を繊維材料に含浸してなることを特徴とする。
本発明の中間基材に用いられる繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ボロン繊維、バサルト繊維、セルロース等が挙げられるが、これらには限定されない。又、強化繊維含有率は10~90重量%、機械物性と成形性の面から、好ましくは30~80重量%が望ましい。強化繊維の表面処理剤、形状(一方向、クロス、NCF、不織布等)については限定がない。又、繊維基材と繊維基材の間にコア材を挟み込むことも可能である。コア材の例としては、発泡不織布、ハニカムコアマットなどが挙げられる。
また、本発明の繊維強化プラスチック中間基材の製造方法は、本発明の液状組成物を任意の組成で繊維材料に含浸させる工程と、前記含浸させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させる工程と、を含むことを特徴とする。本発明において、特に限定されないが、例えば、10~60℃までの温度で前記液状組成物を任意の組成で繊維材料に含浸させることができる。また、本発明において、必要に応じて、さらにフィルムで挟み、ローラー圧力で前記液状組成物を前記繊維材料に含浸させて、ロール状、又は綴ら状にしてもよい。その後、前記含浸させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させることができる。すなわち、本発明においては、熟成の間に液状組成物が繊維又は織物に含浸した状態でウレタンアクリレートが形成されることが可能となる。従来においては、一度ウレタンアクリレートを形成させた上で、繊維等に含浸していたが、驚くべきことに、本発明の液状組成物は、繊維又は織物等に含浸した状態で、熟成という工程を経てウレタンアクリレートが形成されることを本発明者らは見出したものである。これにより、本発明においては、液状組成物と繊維とをより強固に結合させることが可能となり、後述する実施例から明らかなように、より良好な含浸性、硬化性、及び機械物性等を発現し得るという有利な効果を奏するものである。
好ましい実施態様において、ウレタン化の促進とラジカル重合反応抑制の観点から、前記熟成の温度は、30~80℃とすることができる。このように、液状組成物をフィルム上に塗工し、その塗工面に繊維又は織物をのせ更にフィルムで挟み、ローラーで圧力をかけ液状組成物を繊維又は織物に含浸させることができる。なお、塗工場所から塗布物が繊維又は織物に接触するまでは、塗布物が一定の幅を保つために防波堤状の冶具があるのが好ましい。もしくは、繊維又は織物に液状組成物を滴下又は噴霧し更にフィルムで挟み、ローラーで圧力をかけ液状組成物を繊維又は織物に含浸させることができる。これらの方法で含浸させたものをロール状、又は綴ら状にし、炉(30~80℃)にて熟成させることができる。
また、本発明の繊維強化複合材料は、本発明の繊維強化プラスチック中間基材を硬化させてなることを特徴とする。
ウレタンアクリレートが繊維上に形成された本発明の中間基材の硬化物は、熱と圧力を加えて加熱硬化させることにより得ることができる。すなわち、ラジカル重合による硬化を行うことが可能である。熱と圧力を加える成形方法としては、オートクレーブ法、オーブン成形、シートワインディング成形、プレス成形等がある。液状組成物中の重合開始剤の種類にもよるが成形温度は、70~180℃、好ましくは100~150℃で成形時間は3~60分であることが好ましく、成形圧力は0.1~10MPaが好ましい。
以下、実施例により本発明の一実施態様についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。本実施例において「部」は特に断らない限り重量部である。実施例では、中間基材の例としてプリプレグを作製した。
〔合成例〕
ビニルエステル樹脂(b1)の合成
(ビニルエステル樹脂1の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、製品名:EPICLON 850)678.9部、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)316.9部、トリフェニルアンチモン3.0部、メチルハイドロキノン0.2部、2-メチルイミダゾール1.0部を仕込み、空気流下(0.1L/min)、温度130℃に保持し5時間反応させ、ビニルエステル樹脂1を得た。
ビニルエステル樹脂(b1)の合成
(ビニルエステル樹脂1の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、製品名:EPICLON 850)678.9部、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)316.9部、トリフェニルアンチモン3.0部、メチルハイドロキノン0.2部、2-メチルイミダゾール1.0部を仕込み、空気流下(0.1L/min)、温度130℃に保持し5時間反応させ、ビニルエステル樹脂1を得た。
(ビニルエステル樹脂2の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、製品名:EPICLON 850)661.8部、ビスフェノールA(日鉄ケミカル&マテリアル社製)89.8部、トリフェニルホスフィン0.4部を仕込み、窒素流下(0.2L/min)、温度150℃に保持し0.5時間反応させ、分子延長した。その後、125℃まで冷却し、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)242.9部、トリフェニルアンチモン3.0部、メチルハイドロキノン0.2部、2-メチルイミダゾール2.0部を仕込み、空気流下(0.1L/min)、温度130℃に保持し2時間反応させ、ビニルエステル樹脂2を得た。
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製、製品名:EPICLON 850)661.8部、ビスフェノールA(日鉄ケミカル&マテリアル社製)89.8部、トリフェニルホスフィン0.4部を仕込み、窒素流下(0.2L/min)、温度150℃に保持し0.5時間反応させ、分子延長した。その後、125℃まで冷却し、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)242.9部、トリフェニルアンチモン3.0部、メチルハイドロキノン0.2部、2-メチルイミダゾール2.0部を仕込み、空気流下(0.1L/min)、温度130℃に保持し2時間反応させ、ビニルエステル樹脂2を得た。
(ビニルエステル樹脂3の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、製品名:EPICLON N-740)671.5部、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)325.1部、メチルハイドロキノン0.7部、2-メチルイミダゾール2.7部を仕込み、空気流下(0.1L/min)、温度120℃に保持し3時間反応させ、ビニルエステル樹脂3を得た。
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、製品名:EPICLON N-740)671.5部、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)325.1部、メチルハイドロキノン0.7部、2-メチルイミダゾール2.7部を仕込み、空気流下(0.1L/min)、温度120℃に保持し3時間反応させ、ビニルエステル樹脂3を得た。
〔液状組成物の調製〕
組成物Aと組成物Bをそれぞれ調製した。
組成物Aと組成物Bをそれぞれ調製した。
<組成物Aの調製>
液状組成物A(x-1)の調製(実施例1、2に用いる組成物(C-1)調製用)
容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製、製品名:VESTANAT IPDI)959.5部とtert-ブチルペルオキシベンゾエート(日油社製、製品名パーブチルZ)40.5部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x-1)を得た。
液状組成物A(x-1)の調製(実施例1、2に用いる組成物(C-1)調製用)
容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製、製品名:VESTANAT IPDI)959.5部とtert-ブチルペルオキシベンゾエート(日油社製、製品名パーブチルZ)40.5部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x-1)を得た。
液状組成物A(x-2)の調製(実施例3に用いる組成物(C-2)調製用)
容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製、製品名:VESTANAT IPDI)958.3部とtert-ブチルペルオキシベンゾエート(日油社製、製品名パーブチルZ)41.7部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x-2)を得た。
容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製、製品名:VESTANAT IPDI)958.3部とtert-ブチルペルオキシベンゾエート(日油社製、製品名パーブチルZ)41.7部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x-2)を得た。
液状組成物A(x-3)の調製(実施例4に用いる組成物(C-3)調製用)
容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製、製品名:VESTANAT IPDI)956.1部とtert-ブチルペルオキシベンゾエート(日油社製、製品名パーブチルZ)43.9部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x-3)を得た。
容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製、製品名:VESTANAT IPDI)956.1部とtert-ブチルペルオキシベンゾエート(日油社製、製品名パーブチルZ)43.9部を配合し、均一溶液になるまで常温で撹拌し、組成物A(x-3)を得た。
<組成物Bの調製>
液状組成物B(y-1)の調製(実施例1、2に用いる組成物(C-1)調製用)
容器に上記ビニルエステル樹脂1を462.9部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(三菱ガス化学社製)365.6部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)170.7部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、及びメチルハイドロキノン0.1部、ジブチル錫ジラウレート0.3部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y-1)を得た。
液状組成物B(y-1)の調製(実施例1、2に用いる組成物(C-1)調製用)
容器に上記ビニルエステル樹脂1を462.9部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(三菱ガス化学社製)365.6部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)170.7部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、及びメチルハイドロキノン0.1部、ジブチル錫ジラウレート0.3部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y-1)を得た。
液状組成物B(y-2)の調製(実施例3に用いる組成物(C-2)調製用)
容器に上記ビニルエステル樹脂2を350.8部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(三菱ガス化学社製)434.8部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)213.6部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、及びメチルハイドロキノン0.1部、ジブチル錫ジラウレート0.3部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y-2)を得た。
容器に上記ビニルエステル樹脂2を350.8部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(三菱ガス化学社製)434.8部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)213.6部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、及びメチルハイドロキノン0.1部、ジブチル錫ジラウレート0.3部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y-2)を得た。
液状組成物B(y-3)の調製(実施例4に用いる組成物(C-3)調製用)
容器に上記ビニルエステル樹脂3を422.1部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(三菱ガス化学社製)295.2部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)281.9部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、及びメチルハイドロキノン0.1部、ジブチル錫ジラウレート0.3部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y-3)を得た。
容器に上記ビニルエステル樹脂3を422.1部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(三菱ガス化学社製)295.2部、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)281.9部、ジブチルヒドロキシトルエン0.4部、及びメチルハイドロキノン0.1部、ジブチル錫ジラウレート0.3部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、組成物B(y-3)を得た。
調製した液状組成物A及びBをそれぞれ表1に示す重量比で配合し均一溶液になるまで30秒程度撹拌し、中間基材用液状組成物(C-1~3)を得た。さらに、調製した液状組成物の粘度、組成物(A)中のイソシアネート基モル数に対する組成物(B)中のイソシアネート反応性基モル比(B/A)、熟成後に形成されたウレタン(メタ)アクリレートの理論エチレン性不飽和基当量を表1に記載した。
比較例樹脂合成
(ビニルエステル樹脂4の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコにビスフェノールA型エポキシ化合物(三菱ケミカル社製、製品名:jER 1001)689.9部、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)127.6部、モノメチルエーテルハイドロキノン0.8部、2-メチルイミダゾール1.6部を仕込み、空気流下(0.2L/min)、温度110~120℃に保持し10時間反応させた。その後、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)180.0部で希釈し、ビニルエステル樹脂4を得た。
(ビニルエステル樹脂4の合成)
温度計、撹拌機、気体導入管、及び還流冷却器を備えた5つ口フラスコにビスフェノールA型エポキシ化合物(三菱ケミカル社製、製品名:jER 1001)689.9部、メタクリル酸(三菱ガス化学社製)127.6部、モノメチルエーテルハイドロキノン0.8部、2-メチルイミダゾール1.6部を仕込み、空気流下(0.2L/min)、温度110~120℃に保持し10時間反応させた。その後、ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製、製品名:NKエステル2G)180.0部で希釈し、ビニルエステル樹脂4を得た。
〔比較例樹脂調製〕
比較例として、樹脂を調製した。
比較例として、樹脂を調製した。
ビニルエステル樹脂(VE-1)の調製(比較例1に用いる組成物(C-4))
上記ビニルエステル樹脂4を990.1部、tert-ブチルペルオキシ2-エチルへキシルモノカーボネート(日油社製、製品名:パーブチルE)9.9部を80℃で調製し、均一溶液になるまで撹拌し、樹脂組成物(C-4)を得た。
上記ビニルエステル樹脂4を990.1部、tert-ブチルペルオキシ2-エチルへキシルモノカーボネート(日油社製、製品名:パーブチルE)9.9部を80℃で調製し、均一溶液になるまで撹拌し、樹脂組成物(C-4)を得た。
エポキシ組成物(EP-1)の調製(比較例2に用いる組成物(C-5))
ビスフェノールA型エポキシ樹脂ブレンド品(三菱ケミカル社製、製品名:jER 1001と三菱ケミカル社製、製品名:jER 828とを50:50の重量比で配合したもの)917.4部にジシアンジアミド45.9部、尿素誘導体36.7部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、樹脂組成物(C-5)を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂ブレンド品(三菱ケミカル社製、製品名:jER 1001と三菱ケミカル社製、製品名:jER 828とを50:50の重量比で配合したもの)917.4部にジシアンジアミド45.9部、尿素誘導体36.7部を配合し、均一溶液になるまで撹拌し、樹脂組成物(C-5)を得た。
上記で調製した樹脂の粘度を表1に記載した。表1は、液状組成物の調製等を示す。
〔ウェットスルー試験〕
液状組成物及び樹脂の含浸性評価を目的として、表1で示した液状組成物(C-1)及び樹脂組成物(C-2~4)を、炭素繊維織物(三菱ケミカル社製、製品名:TR3523M)1枚に各含浸温度で繊維上にスポイトを用いて2滴垂らし、常圧で裏面まで含浸する時間を測定した。試験結果を表2に示した。表2は、ウェットスルー試験(液状組成物及び樹脂の含浸性評価)の結果を示す。
液状組成物及び樹脂の含浸性評価を目的として、表1で示した液状組成物(C-1)及び樹脂組成物(C-2~4)を、炭素繊維織物(三菱ケミカル社製、製品名:TR3523M)1枚に各含浸温度で繊維上にスポイトを用いて2滴垂らし、常圧で裏面まで含浸する時間を測定した。試験結果を表2に示した。表2は、ウェットスルー試験(液状組成物及び樹脂の含浸性評価)の結果を示す。
(判定方法)
◎10秒以下
〇20秒以下
△30秒以下
×30秒以上
◎10秒以下
〇20秒以下
△30秒以下
×30秒以上
〔収縮率測定〕
寸法安定性の評価を目的として、上記液状組成物(C-1~3)及び樹脂組成物(C-4、5)の硬化物の収縮率を測定した。収縮率は液体比重と硬化物比重から算出した。又、液状組成物(C-1~3)は増粘完了後に硬化させた。増粘条件及び収縮率測定結果を表3に示す。
寸法安定性の評価を目的として、上記液状組成物(C-1~3)及び樹脂組成物(C-4、5)の硬化物の収縮率を測定した。収縮率は液体比重と硬化物比重から算出した。又、液状組成物(C-1~3)は増粘完了後に硬化させた。増粘条件及び収縮率測定結果を表3に示す。
〔中間基材作製〕
プリプレグ(P-1~6)の作製
表4は、中間基材(プリプレグ)作製条件とプリプレグの含浸状態を示す。
プリプレグ(P-1~6)の作製
表4は、中間基材(プリプレグ)作製条件とプリプレグの含浸状態を示す。
表1で示した液状組成物(C-1~3)を、表4に示す配合で、33cm角に切断した炭素繊維織物(三菱ケミカル社製、製品名:TR3523M)10枚に含浸させ、その後各条件で熟成させることにより、プリプレグを得た。得られたプリプレグは、繊維が約60重量%であった。
P-5、6(比較例1、2)はホットメルト法により、プリプレグを得た。
〔中間基材の成形〕
プリプレグの成形
作製したプリプレグ(P-1~6)を用いて、100トン油圧プレス(東邦プレス製作所社製)により成形し、成形板を得た(実施例1~4及び比較例1~2)。成形温度は130℃(実施例1、3、4及び比較例1~2)、150℃(実施例2)、成形圧力は10bar、成形時間は7分であった。
プリプレグの成形
作製したプリプレグ(P-1~6)を用いて、100トン油圧プレス(東邦プレス製作所社製)により成形し、成形板を得た(実施例1~4及び比較例1~2)。成形温度は130℃(実施例1、3、4及び比較例1~2)、150℃(実施例2)、成形圧力は10bar、成形時間は7分であった。
〔成形板物性測定〕
得られた成形板に対して、曲げ試験、層間せん断試験、動的粘弾性測定、成形性及び含浸性試験を実施した。
得られた成形板に対して、曲げ試験、層間せん断試験、動的粘弾性測定、成形性及び含浸性試験を実施した。
曲げ試験
JISK7018に準拠した方法で測定を行った。
JISK7018に準拠した方法で測定を行った。
層間せん断試験
JISK7078に準拠した方法で測定を行った。
JISK7078に準拠した方法で測定を行った。
動的粘弾性測定
動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製、製品名:RSA-G2)を用いて測定を行った。
動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製、製品名:RSA-G2)を用いて測定を行った。
成形性及び含浸性試験(ボイド及び未含浸部位の有無)
含浸性及び成形性の確認を目的として、成形厚み約2.4mm、長さ30cmの試験片断面をマイクロスコープで確認し、ボイド及び未含浸箇所の個数を確認した。
(判定方法)
断面積あたりのボイド及び未含浸箇所の個数
0~1個〇
2~3個△
3個以上×
含浸性及び成形性の確認を目的として、成形厚み約2.4mm、長さ30cmの試験片断面をマイクロスコープで確認し、ボイド及び未含浸箇所の個数を確認した。
(判定方法)
断面積あたりのボイド及び未含浸箇所の個数
0~1個〇
2~3個△
3個以上×
プリプレグ成形板についての曲げ試験、層間せん断試験、動的粘弾性測定結果、成形性及び含浸性試験の結果を表5に示した。
表2から表5より、該液状組成物が基材への含浸性に優れ、硬化時の収縮が小さく寸法安定性に優れる中間基材を与えることがわかる。又、表5より、その中間基材は機械物性及び耐熱性に優れ、ボイドや未含浸部位がほとんど無い信頼性の高い複合材料を与えることがわかる。低粘度で含浸性に優れた該液状組成物を用いる本発明により、単位面積重量の大きい中間基材を製造することができる液状組成物、及び単位面積重量の大きい中間基材に関し、積層回数を減らしボイドの極力少ない高強度なFRP、寸法安定性に優れるFRPを提供することが可能である。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物及び中間基材は、軽量で高強度であるため、輸送機器や産業資材、土木補強材、スポーツ用具など、応用範囲はこれらに限られるものではなく、多岐に渡り使用できる。
Claims (11)
- 2個以上のイソシアネート基を有する化合物(a)を含む組成物(A)と、ビニルエステル樹脂(b1)及びエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物(b2)を含む組成物(B)と、を含有する繊維強化プラスチック中間基材用液状組成物。
- 重合禁止剤(C)が前記組成物(A)及び/又は(B)に配合された請求項1記載の液状組成物。
- 重合開始剤(D)及び/又はウレタン化触媒(E)が、前記組成物(A)及び/又は(B)に配合された請求項1又は2に記載の液状組成物。
- 前記組成物(A)中のイソシアネート基モル数に対する前記組成物(B)中のイソシアネート反応性基モル比(B/A)は0.8~1.2である請求項1~3のいずれか一項に記載の液状組成物。
- 前記組成物(A)及び/又は(B)はイソシアネート反応性基を有さない重合性単量体(F)を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の液状組成物。
- 前記組成物(A)と(B)の合計重量に対して重合性単量体(F)の含有量は1~40重量%である請求項1~5のいずれか一項に記載の液状組成物。
- B型粘度計で測定された10~50℃における粘度は5~200mPa・sであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の液状組成物。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の液状組成物を繊維材料に含浸してなる繊維強化プラスチック中間基材。
- 請求項8記載の繊維強化プラスチック中間基材を硬化させてなる繊維強化複合材料。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の液状組成物を任意の組成で繊維材料に含浸させる工程と、前記含浸させて得られた繊維強化プラスチック中間基材を熟成させる工程と、を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック中間基材の製造方法。
- 前記熟成の温度は、30~80℃である請求項10記載の方法。
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