JP6626663B2 - ラジカル重合性樹脂組成物及びその硬化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ラジカル重合性樹脂組成物、及び当該樹脂組成物の硬化方法に関する。
繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)は軽量、高強度、長寿命であることから、様々な分野で使用されている。特に炭素繊維強化プラスチック(Carbon FRP:CFRP)は軽量で高強度であることから、航空機や自動車の部材、コンクリート補強材、スポーツ用具など多分野で使用されている。
CFRPの製造には、エポキシ樹脂を予め含浸させたシートすなわちプリプレグシートを積層、バッギングしオートクレーブで温度と圧力をかけて成形するオートクレーブ成形やプレス成形、温調した樹脂を含浸させ巻きながら成形するFW(フィラメントワインディング)成形等がある。オートクレーブ成形、プレス成形は均一に圧力がかかることから、複雑な形状部品を得ることができる。しかし、オートクレーブ成形は硬化時間が長く、オートクレーブや特殊な副資材を使用することなどが課題としてあり改善が必要である。プレス成形は金型を必要とすることから少量、中量多品種への対応が難しく、FW成形も形状に制限がある。
これらの問題を解決するために、炭素繊維のドライプリフォームを型に設置し、エポキシ樹脂を注入するRTM(Resin Transfer Molding)やVaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)法が盛んになっている。しかし、注入時に樹脂や型の加温が必要であること、硬化時が長いこと、高温で硬化させること、成形型寿命が短いこと、ボイドが残存することなどが課題として残っている。また、エポキシ樹脂組成物を低粘度にするため、脂肪族系の材料が用いられることから、その硬化物はガラス転移温度の低いものが多い。
また、ガラス繊維強化プラスチックで実績のある不飽和ポリエステル樹脂やエポキシアクリレート樹脂は、成形時間が短く、作業性及び硬化性に優れるが、CFRPのマトリックスとして適用すると十分な機械物性を得ることができないのが現状である。
一方、ウレタン(メタ)アクリレートは、炭素繊維との接着性に優れることは従来から知られており、炭素繊維のサイジング剤として用いられている(例えば特許文献1)。また、ウレタン(メタ)アクリレートは強化繊維との接着性が良好であるため、強化繊維との接着性の劣る樹脂と混合して用いることが提案されている(例えば特許文献2)。
特開平11−200252 特開昭62−292839
しかし、上述の特許文献1及び2に記載のウレタン(メタ)アクリレートは、複合材料としたときに十分な機械物性を得ることができないという課題があった。
そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決し、機械物性、作業性に優れ、且つ貯蔵安定性に優れるラジカル重合性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、機械物性、作業性に優れ、且つ貯蔵安定性に優れる炭素繊維強化プラスチックを提供することが可能であることを見出した。
すなわち、本発明の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物用キットは、少なくとも下記化学式[化1]:
Figure 0006626663
(但し、式中、nは2〜100であり、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Mは式[化2]:
Figure 0006626663
を少なくとも含み、それ以外は式[化3]:
Figure 0006626663
である。また式[化3]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。)で示されるウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)と、有機スズ化合物成分(b)とを少なくとも含む繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物用キットであって、
前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、スズ化合物触媒下で合成され、前記スズ化合物触媒の添加量は、仕込み重量に対して、5〜100ppmであることを特徴とする。
また、本発明のラジカル重合性樹脂組成物用キットの好ましい実施態様において、さらに、硬化剤を含むことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物は、少なくとも下記化学式[化4]:
Figure 0006626663
(但し、式中、nは2〜100であり、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Mは式[化5]:
Figure 0006626663
を少なくとも含み、それ以外は式[化6]:
Figure 0006626663
である。また式[化6]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。)で示され、スズ化合物触媒下で合成されるウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)と、有機スズ化合物成分(b)とを少なくとも含む繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物であって、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成時の前記スズ化合物触媒の添加量は、仕込み重量に対して、5〜100ppmである前記成分(a)と前記成分(b)とを、硬化前に混合することを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記化学式[化4]が、下記化学式[化7]:
Figure 0006626663
(但し、式中、nは1〜5000であり、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Yは2個以上の水酸基を有するアルコール化合物残基、Mは式[化8]:
Figure 0006626663
を少なくとも含み、それ以外は式[化9]:
Figure 0006626663
である。また式[化9]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。)で示されることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記成分(a)は、0.1〜12重量%のイソシアネート基を含むことを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記成分(b)に含まれるスズは、ラジカル重合性樹脂組成物の総重量に対し15ppm以上であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物の硬化方法は、本発明のラジカル重合性樹脂組成物の硬化方法であって、前記ラジカル重合性樹脂組成物の硬化前に、合成されたウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む前記成分(a)と前記成分(b)とを混合することを特徴とする。

また、本発明の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物の硬化方法の好ましい実施態様において、前記硬化前は、硬化開始の6時間前から硬化時までの間であることを特徴とする。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れるため、ゲル化時間の短縮及び増粘が抑えられ、運搬・貯蔵等で長期間の保管が必要となった場合にも、成形に必要な液状特性を確保することができるという有利な効果を奏する。また、本発明によれば、該樹脂組成物をマトリックスとして使用した場合には、作業性が良好で、優れた機械物性をもつFRPが得られるという有利な効果を奏する。
IRスペクトル図1は、本発明の一実施態様におけるイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)のIRスペクトルである(後述する実施例における合成例1のもの)。2250cm-1付近にイソシアネート基の吸収を確認できる。 IRスペクトル図2は、本発明の一実施態様におけるイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)のIRスペクトルである(後述する実施例における合成例2のもの)。2250cm-1付近にイソシアネート基の吸収を確認できる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何ら以下の説明に限定されるものではない。また、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタアクリレート」を示す。同様に「(メタ)アクリル酸エステル」は、「アクリル酸エステル」及び「メタクリル酸エステル」を示す。
<ウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)>
まず、本発明のラジカル重合性樹脂組成物用キット、及びラジカル重合性樹脂組成物において、使用可能なウレタン(メタ)アクリレート化合物成分(a)について説明する。
成分(a)は下記化学式[化10]:
Figure 0006626663
で示されるウレタン(メタ)アクリレート化合物を少なくとも含む。[化10]においてnは2〜100で、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Mは式[化11]:
Figure 0006626663
を少なくとも含み、それ以外は式[化12]:
Figure 0006626663
である。また式[化12]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。
また、別の形態として、成分(a)は下記化学式[化13]:
Figure 0006626663
で示されるウレタン(メタ)アクリレート化合物を少なくとも含む。nは1〜5000で、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Yは2個以上の水酸基を有するアルコール化合物残基、Mは式[化14]:
Figure 0006626663
を少なくとも含み、それ以外は式[化15]:
Figure 0006626663
である。また式[化15]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。
本発明において、2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物を反応させると上記[化10]に記載の化合物を得ることができる。
また、本発明において、2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物及び2個以上の水酸基を有するアルコール化合物を反応させると上記[化13]に記載の化合物を得ることができる。
[化10]および[化13]に記載の化合物の合成時においては、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基のモル数が、エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物及び2個以上の水酸基を有するアルコール化合物由来の水酸基の合計のモル数より多くなるようにする。
合成反応温度は、エチレン性不飽和基による合成時のゲル化を防ぐという観点から、40〜140℃で反応させるのが好ましく、70〜110℃で反応させるのがより好ましい。
合成反応に要する時間は残存するイソシアネート基の量が一定となるまで、すなわち水酸基が消費されるまで継続するのが好ましい。反応の終点は、滴定によるイソシアネート基の定量、または赤外線吸収スペクトル(以下IRと略す)におけるイソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)の追跡により、確認することができる。
反応の際は、イソシアネート基と反応しない重合性単量体を加えた系で合成することも必要に応じて可能であり、公知の触媒、重合禁止剤を用いることができる。
触媒には酸性触媒、塩基性触媒が使用できるが、活性の高いジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ジアセテートなどのスズ化合物が好ましい。触媒の添加量は、貯蔵安定性の観点から仕込み重量に対して、5〜200ppm、好ましくは5〜100ppm、更に好ましくは5〜50ppmとすることができる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン等の多価フェノール系重合禁止剤、フェノチアジンなどの複素環化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル などのニトロキシルラジカルを使用することができる。重合禁止剤の添加量は、エチレン性不飽和基や重合性単量体による合成時のゲル化を防ぐという観点から、仕込み重量に対して100〜2000ppm、加えるのが好ましい。
成分(a)に含まれるイソシアネート基の重量%は、0.1〜12重量%が好ましく、更に好ましくは0.3〜12重量%である。0.1重量%未満では炭素繊維との密着性に劣り、十分な圧縮強さ、層間せん断強さが得られない虞があり、12重量%を超えると曲げ強さや引張り強さが低下し、機械物性のバランスが崩れる虞がある。
成分(a)に含まれるウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分のエチレン性不飽和基当量は、特に限定はしないが、1500g/eq以上となると、機械物性(曲げ強さ、引張り強さ、圧縮強さ、層間せん断強さ)のバランスが悪くなり、更に成形品の耐熱性が低くなる虞がある。
成分(a)は、イソシアネート基と常温で反応しない重合性単量体を含むことも可能である。
イソシアネート基と常温で反応しない重合性単量体としては、ビニルモノマーや単官能アクリル酸エステル、多官能アクリル酸エステルが挙げられる。イソシアネート基と反応する重合性単量体を配合すると保管時に反応して粘度が上昇し作業性が悪くなる虞や十分な機械物性を得ることができない虞がある。
ビニルモノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなどを挙げることができる。また単官能アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等、多官能アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ノルボルネンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。
これらの重合性単量体は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。希釈能力と機械物性の点からスチレン、メタクリル酸メチル、ベンジルメタクリレートの適用が好ましい。
<イソシアネート化合物>
2個以上イソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物、水添キシリレンジイソシアネート(1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、等の脂環族イソシアネート化合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物、2官能イソシアネート化合物が3量化されたイソシアヌレート環を有する3官能イソシアネート、市販されているポリオールで変性されたイソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。
これらのイソシアネート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。耐熱性、耐候性及び貯蔵安定性の観点から脂環族イソシアネート化合物が特に好ましい。
<アルコール化合物>
2個以上の水酸基を有するアルコール化合物としては、脂肪族アルコール、エーテル化ジフェノール、及びポリエステルポリオール等が挙げられる。
鎖状脂肪族アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが挙げられる。環状脂肪族アルコールとしては、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール等を挙げることができる。このうち、樹脂粘度や硬化物の機械物性の点から1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを使用することが好ましい。
エーテル化ジフェノールとしては、例えばビスフェノールAとアルキレンンオキサイドを付加反応させて得られるジオール、ビスフェノールAとアルキレンンオキサイドの付加物を臭素化させて得られるジオール等を挙げることができる。該アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドであり、該アルキレンオキサイドの平均付加モル数がビスフェノールAの1モルに対して、機械物性のバランスの観点から、2〜16モルであるものが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、不飽和及び又は飽和酸と、前述の脂肪族アルコール、及びエーテル化ジフェノールとを重縮合させたものを挙げることができる。不飽和酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸を挙げることができる。飽和酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル、酸ハロゲン化物等のようなエステル形成性誘導体を挙げることができる。樹脂粘度と硬化物の機械物性の点から、テレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらのエステル形成性誘導体から選ばれる1種以上と1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる1種以上との重縮合により得られるポリエステルポリオールが特に好ましい。
これらアルコール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。更に本発明の効果を損なわない範囲で、3価以上のポリオールも用いることができる。3価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。
<エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物>
エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物とは水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルのことであり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジアクリル化イソシアヌレートなどを挙げることができる。
これらのエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、これらエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物のうち、樹脂粘度や硬化物の機械物性の点から2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
<有機スズ化合物成分(b)>
次に、本発明のラジカル重合性樹脂組成物用キット、及びラジカル重合性樹脂組成物において、使用可能な有機スズ化合物成分(b)について記載する。
本発明において、成分(a)と成分(b)とは硬化前〜硬化時の間に混合することができる。ここで硬化時とは、現場にて樹脂組成物の硬化を開始する時点を指す。硬化を開始する時点とは、例えば、常温硬化や高温硬化の場合には硬化剤が添加される時点を指し、光硬化の場合には光重合開始剤が添加される時点を指す。
成分(b)の成分(a)を含むラジカル重合性樹脂組成物への添加時期は、硬化開始直前が最も好ましい。ただし、温度調節を行う場合には30分前の添加が好ましい。硬化開始直前での添加は困難な場合は、少なくとも硬化開始の12時間前以降に添加するのが好ましい。硬化開始の12時間以前に添加した場合、ゲル化時間が短縮する虞がある。
成分(b)の添加量は、好ましくはラジカル重合性樹脂組成物の総重量に対し、スズとして15ppm以上、より好ましくは30ppm以上である。15ppm未満では繊維との密着性に劣る虞がある。
成分(b)としては、具体的にはジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルフィド、第一錫オクトエートなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
<ラジカル重合性樹脂組成物の硬化及び繊維強化プラスチックの成形>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物の硬化及びこれを用いた繊維強化プラスチックの成形について記載する。
本発明は、硬化前に、好ましくは、硬化前〜硬化時の間にウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)と有機スズ化合物成分(b)とを混合することを特徴とする。硬化時とは、前述のように現場にて樹脂組成物の硬化を開始する時点を指す。
成分(b)は、硬化前に成分(a)と混合されるのであればその混合方法は限定されず、例えば前述の重合性単量体や後述の硬化促進剤にあらかじめ成分(b)を添加して調合液とし、硬化前に成分(a)と、成分(b)を含む該調合液とを混合しても良い。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂として好適である。
繊維強化プラスチックの成形時における本発明のラジカル重合性樹脂組成物の粘度は、ハンドレイアップ成形、RTM(Resin Transfer Molding)成形やVaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)に適用するため、30〜700mPa・s(25℃)であることが好ましい。30mPa・s未満の場合、繊維への含浸時に樹脂抜けの虞があり、700mPa・sを超える場合、未含浸部位が残る虞がある。ただし、温調設備を使用して意図的に樹脂粘度を低く又は高くする場合はこの限りではない。
一方、FW成形や、高温で成形される引き抜き成形及びプレス成形の場合、本発明のラジカル重合性樹脂組成物の粘度は300〜1200mPa.s(25℃)が好ましい。高温で粘度が下がるため、300mPa・s未満では樹脂抜けが発生し、1500mPa・sを超えると流動不良が起こる虞がある。
成形時の硬化条件は、従来のラジカル重合型樹脂と同様の公知の方法が適用できる。具体的には有機過酸化物による硬化、紫外線による硬化、電子線による硬化を挙げることができる。また、硬化速度の調整のための促進剤、重合禁止剤、空気乾燥性を付与するためのワックス類も従来のラジカル硬化型樹脂と同様に添加することができる。
有機過酸化物系の硬化剤として、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド系、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド系、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイドなどジアルキルパーオキサイド系等を挙げることができる。硬化剤の添加量は、硬化物の機械物性の維持と適度な作業時間確保の観点から、ラジカル重合性樹脂組成物100重量部に対して、0.05〜5重量部とすることができる。
紫外線開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等を挙げることができる。紫外線開始剤の添加量は、硬化性の維持と機械物性の維持の観点から、ラジカル重合性樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜5重量部とすることができる。
硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類等を挙げることができる。硬化促進剤の添加量は、硬化性の維持と機械物性の維持の観点から、ラジカル重合性樹脂組成物100重量部に対して0.05〜5重量部とすることができる。
成形時、目的に応じて他のラジカル重合型樹脂をブレンドして使用することができる。使用される樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ(メタ)アクリレート樹脂及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂を挙げることができる。いずれもブレンド樹脂中のイソシアネート基が0.1〜8重量%になるように配合することが、繊維、特に炭素繊維との密着性という観点から好ましい。また、水酸基やカルボキシル基を有する不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ(メタ)アクリレート樹脂とブレンドする場合は、保存安定性の観点から、成形直前に混合することが好ましい。
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ボロン繊維、バサルト繊維、セルロース等を挙げることができるが、これらには限定されない。また、強化繊維含有率は10〜90重量%、機械特性と成形性の面から、好ましくは20〜70重量%が望ましい。強化繊維の表面処理剤については限定がない。
なお、本発明のラジカル重合性樹脂組成物用キット、及びラジカル重合性樹脂組成物において、使用可能なウレタン(メタ)アクリレート化合物成分(a)と、有機スズ化合物成分(b)とは、例えば、以下のようにキット販売することができる。
例えば、1)樹脂として、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a)と、2)促進剤として、有機スズ化合物成分(b)を含む溶液と、3)硬化剤等とを含む、ラジカル重合性樹脂組成物用キットとして販売可能である。例えば、エンドユーザは、使用時(=硬化時)に現場で1)と2)を混合後、3)を添加して実作業に用いることができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。本実施例において「部」は特に断らない限り重量部である。合成例におけるイソシアネート基含有量は、各樹脂を乾燥トルエンに溶解した後、過剰のジ−n−ブチルアミン溶液を加えて反応させ、残ったジ−n−ブチルアミンを塩酸で逆滴定し測定した。
[合成例1]
<ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)の合成>
ガス導入管、撹拌装置、冷却管、温度計を備えた反応容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製)392部、スチレンモノマー(日本ユピカ社製)210部、ジブチル錫ジウラレート0.016部、1,3−プロパンジオール(デュポン社製)75部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)162部、トルハイドロキノン0.06部、及び4−メチルー2,6−ジターシャリーブチルフェノール0.25部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら温度を95〜105℃に保持し、反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2270m−1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。ウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は2.08重量%、エチレン性不飽和基当量505g/eqであった。その後、スチレンモノマー160部で希釈し、イソシアネート基を1.17重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)を得た。
[合成例2]
<ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a2)の合成>
合成例1と同様の反応容器にイソホロンジイソシアネートの三量体(エボニック社製)314部、スチレンモノマー(日本ユピカ社製)307部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ60℃まで加熱した。その後、ジブチル錫ジウラレート0.014部、ペンタエリスリトールトリアセテート(東亞合成社製)163部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)93部、トルハイドロキノン0.06部、4−メチルー2,6−ジターシャルブチルフェノール0.20部を分割して仕込み、温度を95〜105℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2270m−1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。ウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は2.00重量%、エチレン性不飽和基当量423g/eqであった。その後、フェノチアジン0.15部とスチレンモノマー123部で希釈し、イソシアネート基を1.14重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a2)を得た。
<貯蔵安定性評価>
上記合成例で得られた樹脂を用い、ゲル化時間、粘度を測定した。測定はJISK6901に準拠した。
[実施例0−1]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)の初期粘度を測定した。得られた粘度は102mPa・sであった。次いで(a1)100部にジブチル錫ジラウレート0.04部と6%ナフテン酸コバルト0.46部とを加え、硬化剤として328E(化薬アクゾ)を1部添加し初期ゲル化時間を測定した。得られたゲル化時間は40分であった。
[実施例0−2]
前記合成例2で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a2)の初期粘度を測定した。得られた粘度は121mPa・sであった。次いで(a2)100部にジブチル錫ジラウレート0.04部と6%ナフテン酸コバルト0.46部とを加え、硬化剤として328E(化薬アクゾ)を1部添加し初期ゲル化時間を測定した。得られたゲル化時間は45分であった。
[実施例1−1]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)を25℃にて30日間保管した。保管後、粘度を測定したところ、112mPa・sであった。次いで、(a1)100部にジブチル錫ジラウレート0.04部と6%ナフテン酸コバルトを0.46部とを加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)を1部添加しゲル化時間を測定した。得られたゲル化時間は36分であった。
[実施例1−2]
前記合成例2で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a2)を25℃にて30日間保管した。保管後、粘度を測定したところ、138mPa・sであった。次いで、(a2)100部にジブチル錫ジラウレート0.04部と6%ナフテン酸コバルトを0.46部とを加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)を1部添加しゲル化時間を測定した。得られたゲル化時間は38分であった。
[参照例1−1]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)に、合成直後、ジブチル錫ジラウレート0.04部を混合し、25℃にて30日間保管した。保管後、粘度を測定したところ、213mPa・sであった。次いで(a1)100部に6%ナフテン酸コバルトを0.46部を加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)を1部添加しゲル化時間を測定した。得られたゲル化時間は13分であった。
[参照例1−2]
前記合成例2で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a2)に、合成直後、ジブチル錫ジラウレート0.04部を混合し、25℃にて30日間保管した。保管後、粘度を測定したところ、192mPa・sであった。次いで(a2)100部に6%ナフテン酸コバルトを0.46部を加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)を1部添加しゲル化時間を測定した。得られたゲル化時間は12分であった。
<評価>
測定結果を表1に示した。
まず、粘度に関しては、合成直後のウレタン(メタ)アクリレート樹脂の粘度に対する硬化時の粘度を増粘度として倍数で示した。
保管後、硬化時にウレタン(メタ)アクリレート樹脂とジブチル錫ジラウレート(以下DBTDL)とを混合した実施例1−1と実施例1−2のラジカル重合性樹脂組成物では、実施例0−1及び実施例0−2で得られた初期粘度と比較して、増粘度がいずれも1.1倍であるのに対し、合成直後にウレタン(メタ)アクリレート樹脂とDBTDLとを混合し、保管した参照例1−1と参照例1−2のラジカル重合性樹脂組成物では、実施例0−1及び実施例0−2で得られた初期粘度と比較して、増粘度がそれぞれ2.1倍と1.6倍であり、貯蔵安定性が低下する結果となった。
次にゲル化時間に関しては、合成直後のウレタン(メタ)アクリレート樹脂のゲル化時間に対する硬化時のゲル化時間を保持率としてパーセンテージで示した。
保管後、硬化時にウレタン(メタ)アクリレート樹脂とDBTDLとを混合した実施例1−1と実施例1−2のラジカル重合性樹脂組成物では、実施例0−1及び実施例0−2で得られた初期ゲル化時間と比較して、保持率がそれぞれ90%と84%であるのに対し、合成直後にウレタン(メタ)アクリレート樹脂とDBTDLとを混合し、保管した参照例1−1と参照例1−2のラジカル重合性樹脂組成物では、実施例0−1及び実施例0−2で得られた初期ゲル化時間と比較して、保持率がそれぞれ33%と27%であり、貯蔵安定性が低下する結果となった。ゲル化時間は作業性に影響するため、なるべく変化しないことが望まれるが、参照例で得られた樹脂組成物は、実施例と比較して作業時間に制限がある程度設けられてしまうことが分かった。
Figure 0006626663
<機械物性評価>
上記合成例で得られた樹脂を用い、下記の条件で積層板を作成し、機械物性を測定した。測定において、引張強さ、曲げ強さ、圧縮強さ、層間せん断強さは、それぞれJISK7161、JISK7074、JISK7018、JISK7078に準拠した。
<積層板作成条件>
実施例2−1、2−2,2−3及び参照例2−1、2−2
炭素繊維:平織りクロス(東レ(株)製商品名『T−6343』)
積層構成:25cm×25cm×8枚、厚さ2mm、炭素繊維コンテント40Vf(体積)%。
硬化条件:常温硬化(23℃)×6時間、80℃×2時間、100℃×2時間
実施例2−4及び比較例2−3
炭素繊維:平織りクロス(東レ(株)製商品名『T−6343』)
積層構成:25cm×25cm×10枚、厚さ2mm、炭素繊維コンテント50Vf(体積)%。
硬化条件:110℃×5分間、プレス圧8MPa
[実施例2−1]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)100部にジブチル錫ジラウレート0.04部と6%ナフテン酸コバルト0.46部とを加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)1部を配合し、炭素繊維に含浸させ、ハンドレイアップにて成形・硬化した後、得られた積層板の機械物性を測定した。
[実施例2−2]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)100部にジブチル錫ジラウレート0.01部と6%ナフテン酸コバルト0.49部とを加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)1部を配合し、炭素繊維に含浸させ、ハンドレイアップにて成形・硬化した後、得られた積層板の機械物性を測定した。
[実施例2−3]
前記合成例2で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a2)100部にジブチル錫ジラウレート0.04部と6%ナフテン酸コバルト0.46部とを加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)1部を配合し、炭素繊維に含浸させ、ハンドレイアップにて成形・硬化した後、得られた積層板の機械物性を測定した。
[実施例2−4]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)100部にジブチル錫ジラウレート10%スチレン溶液を0.2部とベンゾイルパーオキサイド1部を加え、炭素繊維に含浸させた後110℃の金型にて5分間プレス硬化した後、得られた積層板の機械物性を測定した。
[参照例2−1]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)100部に6%ナフテン酸コバルト0.46部を加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)1部を配合し、炭素繊維に含浸させ、ハンドレイアップにて成形・硬化した後、得られた積層板の機械物性を測定した。
[参照例2−2]
前記合成例2で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a2)100部に6%ナフテン酸コバルト0.46部を加え、得られたラジカル重合性樹脂組成物に、硬化剤として328E(化薬アクゾ)1部を配合し、炭素繊維に含浸させ、ハンドレイアップにて成形・硬化した後、得られた積層板の機械物性を測定した。
[参照例2−3]
前記合成例1で得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂(a1)100部ベンゾイルパーオキサイド1部を加え、炭素繊維に含浸させた後110℃の金型にて5分間プレス硬化した後、得られた積層板の機械物性を測定した。
<評価>
測定結果を表2に示した。
Figure 0006626663
以上の通り、遊離のイソシアネート基とエチレン性不飽和基を含むウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むラジカル重合性樹脂組成物を保管した場合、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成時に添加したウレタン化触媒の有機スズ化合物中に含まれるスズが、保管された樹脂組成物のゲル化時間の短縮と増粘に影響を及ぼすことが判明した。
一方、前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む樹脂組成物を用いて成形されたFRPにおいては、前記ウレタン化触媒であるスズが規定量以上存在することで、より効果が得られ、少ない熱量で機械物性に優れたFRPが得られることも見出した。すなわち、本発明によれば、繊維強化プラスチックとしたときの機械強度に優れ、貯蔵安定性を兼ね備えるラジカル重合性樹脂組成物等を提供可能であることが判明した。

Claims (8)

  1. 少なくとも下記化学式[化1]:
    Figure 0006626663
    (但し、式中、nは2〜100であり、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Mは式[化2]:
    Figure 0006626663
    を少なくとも含み、それ以外は式[化3]:
    Figure 0006626663
    である。また式[化3]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。)で示されるウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)と、有機スズ化合物成分(b)とを少なくとも含む繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物用キットであって、
    前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、スズ化合物触媒下で合成され、前記スズ化合物触媒の添加量は、仕込み重量に対して、5〜100ppmであることを特徴とする、繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物用キット。
  2. さらに、硬化剤を含む請求項1記載のキット。
  3. 少なくとも下記化学式[化4]:
    Figure 0006626663
    (但し、式中、nは2〜100であり、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Mは式[化5]:
    Figure 0006626663
    を少なくとも含み、それ以外は式[化6]:
    Figure 0006626663
    である。また式[化6]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。)で示され、スズ化合物触媒下で合成されるウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分(a)と、有機スズ化合物成分(b)とを少なくとも含む繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物であって、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成時の前記スズ化合物触媒の添加量は、仕込み重量に対して、5〜100ppmである前記成分(a)と前記成分(b)とを、硬化前に混合することを特徴とする、繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物。
  4. 前記化学式[化4]が、下記化学式[化7]:
    Figure 0006626663
    (但し、式中、nは1〜5000であり、Xは2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Yは2個以上の水酸基を有するアルコール化合物残基、Mは式[化8]:
    Figure 0006626663
    を少なくとも含み、それ以外は式[化9]:
    Figure 0006626663
    である。また式[化9]において、Qはエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。)で示される、請求項3記載の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物。
  5. 前記成分(a)が、0.1〜12重量%のイソシアネート基を含む、請求項3又は4に記載の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物。
  6. 前記成分(b)に含まれるスズは、ラジカル重合性樹脂組成物の総重量に対し15ppm以上である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項に記載のラジカル重合性樹脂組成物の硬化方法であって、前記ラジカル重合性樹脂組成物の硬化前に、合成されたウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む前記成分(a)と前記成分(b)とを混合することを特徴とする、繊維強化プラスチックスのマトリックス用ラジカル重合性樹脂組成物の硬化方法。
  8. 前記硬化前は、硬化開始の6時間前から硬化時までの間である請求項7記載の硬化方法。
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