JP2004238557A - 硬化性接着剤及びそれを用いた接着方法 - Google Patents

硬化性接着剤及びそれを用いた接着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、常温硬化時の表面乾燥性、接着する基材と接着剤との界面剥離のない強力な接着性に優れ、硬化性が湿度や基材の水分の影響を受けない優れた接着剤及びそれを用いる繊維強化プラスチックの接着方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、(A)重合性不飽和基を有するウレタン樹脂、(B)空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂、(C)(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体、(D)カップリング剤及び(E)充填剤を含有する硬化性接着剤であり、前記硬化性接着剤の硬化物の引張伸び率が1〜33%であることを特徴とする硬化性接着剤及びそれを用いる繊維強化プラスチックの接着方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温硬化時の表面乾燥性、接着性に優れ、特に気温や湿度のような作業環境で硬化性、接着力が左右されず、繊維強化プラスチック(FRP)の大型成形品の接着用途常温硬化性接着剤及びそれを用いた繊維強化プラスチックの接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、軽量で高強度、耐食性に優れる不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等の繊維強化プラスチック(FRP)やハニカム構造部材の使用用途が広がっており、それにつれてボルトやナット、リベット代替としての接着剤や、建築物や構造物、設備に用いられているコンクリートや鉄鋼の劣化防止やトンネルの崩壊防止のための接着を目的とした被覆材の要求が高まっている。この被覆材はホットメルト系接着剤やエポキシ樹脂のような接着作業に大規模な設備投資が必要な加温・加圧が不必要な材料や、2液のウレタン樹脂のような空気中や基材の水分量で硬化性、接着性が影響されない材料が特に望まれており、とりわけ作業内容や規模により硬化時間が調整できる硬化系が望ましい。そのような要望から、室温硬化型で接着性に優れ、作業性により硬化時間が調整可能な樹脂が検討されているが、十分なものが提案されていない。
【0003】
被覆材用途として、基材、例えばガラスファイバーとの密着性や耐久性に優れるエネルギー線硬化性樹脂組成物として、ウレタン(メタ)アクリレート、単官能または多官能モノマー、シランカップリング剤を含有するもの(特許文献1)が提案されている。しかし、かかる樹脂組成物は、FRP等の成形物の接着剤として常温ラジカル硬化で使用すると、空気中の酸素により硬化阻害が生じ、表面のべとつきが取れないという不都合がある。また、被覆材用途の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物として、芳香族系ポリエーテルポリオールを用いたウレタンアクリレート、空乾性付与型不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレートの内の少なくとも1種、エチレン性不飽和単量体を含有するもの(特許文献2)が提案されている しかし、かかる樹脂組成物のエチレン性不飽和単量体がスチレンモノマーであるため、接着剤と基材界面で剥離するなど満足できる接着力を得られない。
【0004】
さらに、土木建築材料用に、反応性オリゴマー(ウレタンアクリレート樹脂)、空乾性を有しラジカル重合により架橋できる不飽和基を含有する重合体、フェニル基を有し分子量180以上の(メタ)アクリレート基を有するモノマー、パラフィンワックス、パラフィンワックスを分散させうる能力を有する分散剤からなる組成物(特許文献3)が提案されている。しかし、パラフィンワックスを含有するために接着剤として使用できないものであった。
また、これらの樹脂硬化物は、いずれも引張伸び率35%以上のもので、柔軟でひずみやすい為、剛性のある物の接着剤として不向きなものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−199217号公報(2〜5頁)
【特許文献2】
特開平10−30012号公報(2〜5頁)
【特許文献3】
特開平11−209628号公報(2〜7頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、常温硬化時の表面乾燥性、接着する基材と接着剤との界面剥離のない強力な接着性に優れ、硬化性が湿度や基材の水分の影響を受けない優れた接着剤及びそれを用いる繊維強化プラスチックの接着方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、(A)重合性不飽和基を有するウレタン樹脂、(B)空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂、(C)(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体、(D)カップリング剤及び(E)充填剤を含有する硬化性接着剤であり、前記硬化性接着剤の硬化物の引張伸び率が1〜33%であることを特徴とする硬化性接着剤及びそれを用いる繊維強化プラスチックの接着方法に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
[引張伸び率]
本発明において用いられる「引張伸び率」なる技術用語は、前記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)からなる本発明の硬化性接着剤の硬化物を25℃の雰囲気でJIS K7113に規定に基づき、次に述べる測定方法で測定されるものである。
<測定方法>
▲1▼前記(A)〜(E)からなる接着剤に55%メチルエチルケトンパーオキサイド(重合開始剤)1.0%及び6%ナフテン酸コバルト(重合促進剤)0.1%を添加混合して得られる混合物に、更にハイドロキノンモノメチルエーテル(重合禁止剤)の適量を添加することにより、該混合物の25℃におけるゲル時間(日本工業規格JIS K−6901に準拠)が30分となるように調節する。この混合物を脱泡後、厚み3mmのスペーサーを挟んで対向する2枚のガラス板の間隙に流し入れて、その後25℃で1週間放置し硬化させる。
【0009】
▲2▼1週間後、厚みが3mmの板状硬化物から、JISK7113に規定される1号形試験片(全長175mm、両端の幅20±0.5mm、平行部分の長さ60±0.5mm、平行部分の幅10±0.5mm、肩の丸みの半径(最小)60mm、厚み3mm、標線間距離50±0.5mm、つかみ具間距離115±5mm)を機械的に切り出し、この試験片を引張試験装置((株)島津製作所製「オートグラフAG100KNG」)に取り付け固定する。
▲3▼試験片を25℃にて10分間維持する。前記引張試験装置で引張速度5mm/minで試験片を破壊するまで引張り、その時の伸びを測定して、その伸びの標線間距離に対する百分率を、引張伸び率とする。
【0010】
本発明の接着剤は、その硬化物の引張伸び率が1〜33%、好ましくは2〜30%に制御されている。該硬化物の引張伸び率をこの範囲内に制御することにより、接着剤で張り合わされた基材が大きな外部応力を受けた場合においても、基材は接着剤層でひずみ変形することなく、更に接着剤層が応力を吸収するため内部破壊を防止でき、その結果として、接着剤は強力な接着力を獲得する。
【0011】
本発明の(A)成分である重合性不飽和基を有するウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートとポリオール、好ましくはポリエステルポリオール若しくはポリエーテルポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル化合物とを反応させて得られる分子末端に重合性不飽和基を有するウレタン樹脂であり、より好ましくはポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、水酸基含有(メタ)アクリル化合物、あるいは水酸基含有(メタ)アクリル化合物及び水酸基含有(メタ)アリルエーテル化合物を反応して得られた分子末端に(メタ)アクリロイル基を含有するウレタン樹脂である。
【0012】
重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)は、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂で、特にポリエーテルポリオールを用いたポリエーテルウレタン樹脂が好ましい。また、かかる樹脂(A)は、(メタ)アクリロイル基を有するポリエーテルポリオール、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルポリオール、及びそれらに更にアリルエーテル基を付加したものに上記ポリイソシアネート類を反応して得られるものも使用できる。尚、必要に応じてジアミンも反応原料として用いても良い。
【0013】
前記のポリエーテルポリオールは、数平均分子量が200以上、好ましくは300〜3000、特に好ましくは400〜1500のものである。具体的には、例えば、ポリオキシプロピレンジオール(以下PPGと略す)、ポリオキシテトラメチレンジオール(以下PTMGと略す)、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレン−プロピレンジオール等が挙げられる。
【0014】
前記のポリエステルポリオールは、数平均分子量200以上、好ましくは300〜5000、特に好ましくは400〜3000のもので、ジオール(グリコール)成分と酸成分とを反応して得られるものである。
ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等に代表されるアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等に代表されるポリアルキレングリコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールA等に代表される2価フェノールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加反応生成物などである。かかるジオールにグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオールなどがある。テトラオール単位としてはペンタエリスリトール、ジグリセロール、1,2−3,4−ブタンテトリオールなどのトリールを併用することができる。また、ポリカーボネートジオール、ポリプロピレントリオール、ポリテトラメチレントリオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリカーボネートトリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレンテトラオール、ポリオキシエチレンテトラオール、ポリカーボネートテトラオール等も場合によりジオールに添加して使用することもできる。
【0015】
また、前記酸成分としては、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物として、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物として、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独或いは併用して使用される。また、トリメリット酸、トリメシン酸、アコニット酸、ブタントリカルボン酸、6−カルボキシ−3−メチル−1,2−3,6−ヘキサヒドロフタル酸などの三塩基酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの四塩基酸なども二塩基酸に併用することができる。
【0016】
前記ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネートと及びその異性体または異性体の混合物(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、「バーノックD−750」、「クリスボンNX」(大日本インキ化学工業(株)製品)、「デスモジュールL」(住友バイエル社製品)、「コロネートL」(日本ポリウレタン社製品)、「タケネートD102」(武田薬品社製品)、「コロネートHX」(日本ポリウレタン社製品)やイソシアヌレートイソシアネート等が挙げられるが、ジイソシアネートが好ましく、特にTDIが好ましく用いられる。
【0017】
前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートトリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート等の多価アルコールの部分(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0018】
前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)には、硬化時の嫌気性改良のために、アリルエーテル基を該ウレタン樹脂(A)に導入することも可能である。合成方法の点から好ましくは水酸基含有アリルエーテル化合物を用いて導入する。かかる水酸基含有アリルエーテル化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、なかでも代表的なものとして、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物等が挙げられる。好ましくは、水酸基を1個有するアリルエーテル化合物である。
【0019】
前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)の製造方法としては、好ましくは、第1にポリイソシアネートとポリエステルポリオール又は/及びポリエーテルポリオールとを、NCO/OH=2〜1.5(当量比)で反応させ、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを生成し、次いで該ポリマーの1モルに対して2モルの割合の水酸基含有(メタ)アクリル化合物を反応させて、該樹脂を製造する。そのほかに、まず水酸基含有(メタ)アクリル化合物とジイソシアネートを反応させて、次いで得られた不飽和モノイソシアネートと場合によってはジイソシアネート共存下にポリエステルポリオール又は/及びポリエーテルポリオールとを反応させることにより該樹脂を製造する方法もある。また、イソシアヌレートイソシアネートを使用する場合、ジイソシアネートをイソシアヌレート化した化合物を使用しても良いし、ジイソシアネートと活性水素原子含有(メタ)アクリレートの付加物をイソシアヌレート化した後、ポリオールと反応させても良いし、ジイソシアネートとポリオールを反応させた後、イソシアヌレート化しても良い。これらの反応は、重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)の合成反応と一緒に行っても良い。
【0020】
前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)としての(メタ)アクリロイル基を有するアリルエーテル基含有ウレタン樹脂の製造方法としては、先ずポリイソシアネートとポリエステルポリオール又は/及びポリエーテルポリオールとを好ましくはNCO/OH=2〜1.5(当量比)で反応させ、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを生成し、次いで該プレポリマーに水酸基含有(メタ)アクリル化合物及び水酸基含有アリルエーテル化合物とをイソシアネート基に対して水酸基がほぼ当量となるように反応する方法である。この際の水酸基含有(メタ)アクリル化合物/水酸基含有アリルエーテル化合物のモル比は、好ましくは90/10〜20/80、より好ましくは70/30〜40/60である。この他の方法としては、まず水酸基含有(メタ)アクリル化合物及び水酸基含有アリルエーテル化合物とポリイソシアネートとを反応させ、次いで得られたイソシアネート基含有化合物とポリエステルポリオール又は/及びポリエーテルポリオールとを反応させて、末端に(メタ)アクリロイル基を有するアリルエーテル基含有ポリエーテルウレタン樹脂又は末端に(メタ)アクリロイル基を有するアリルエーテル基含有ポリエステルウレタン樹脂を製造する。
【0021】
前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)の数平均分子量は、末端に(メタ)アクリロイル基のみ有する場合好ましくは650〜50000、より好ましくは800〜20000のものであり、(メタ)アクリロイル基とアリルエーテル基とを含有する場合好ましくは800〜50000、より好ましくは1000〜20000である。該ウレタン樹脂(A)は、ポリエーテルウレタン樹脂が好ましい。
【0022】
前記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)は、予め(C)成分の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体を混合して用いてもよい。その混合比率(重量%)は、該ウレタン樹脂(A)10〜90%、好ましくは30〜70%と、不飽和単量体(C)90〜10%、好ましくは70〜30%である。該樹脂(A)及び不飽和単量体(C)との混合物には、重合禁止剤を好ましくは100〜900ppm添加し得る。
【0023】
本発明の接着剤は、反応成分として空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂(以下、空乾性付与型樹脂という)(B)を必須成分としている。本発明の接着剤に於いて、空乾性付与型樹脂(B)を含有させることにより、接着剤として使用した場合硬化時に表面乾燥性が向上するばかりでなく、接着性をも高くすることができる。
【0024】
前記の空乾性付与型樹脂(B)は、本発明の接着剤が空気中でも硬化することができるものが好ましく、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の樹脂を必須成分とし、空気乾燥性付与成分、即ち、空気乾燥性を付与する化合物をこれらの樹脂骨格へ導入することにより得られるものである。空乾性付与型樹脂(B)の好ましいものとしては、接着強度の点から空気乾燥性の不飽和ポリエステル樹脂である。
【0025】
前記空乾性付与型樹脂(B)としての不飽和ポリエステル樹脂とは、ポリオール成分とα,β−不飽和二塩基酸、又はそれに併用する飽和二塩基酸からなる酸成分と空気乾燥性を付与する化合物とから得られるものである。 ポリオール成分としては、前記ポリエステルポリオールに使用されるジオールを主成分とし、トリオールなどを併用するものからなる。
また、酸成分としては、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物として、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物として、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独或いは併用して使用される。また、トリメリット酸、トリメシン酸、アコニット酸、ブタントリカルボン酸、6−カルボキシ−3−メチル−1,2−3,6−ヘキサヒドロフタル酸などの三塩基酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの四塩基酸なども二塩基酸に併用することができる。
【0026】
また、前記空乾性付与型樹脂(B)のビニルエステル樹脂とは、例えば、不飽和エポキシ樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂などである。
【0027】
前記不飽和エポキシ樹脂としては、好ましくはビスフェノールタイプのエポキシ樹脂単独又はビスフェノールタイプのエポキシ樹脂とノボラックタイプのエポキシ樹脂とを混合した樹脂であって、その平均エポキシ当量が好ましくは150から450の範囲にあるエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエポキシ基/カルボキシル基の当量比で1/2程度でエステル化触媒の存在下で反応して得られるものである。
【0028】
前記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂とは、エピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるジメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくは、メチルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などである。また、前記ノボラックタイプのエポキシ樹脂として代表的なものには、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックと、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などがある。
【0029】
前記不飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブテンマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2−エチルヘキシル)マレートなどが挙げられる。なお、これらの不飽和一塩基酸は、単独でも、2種以上混合しても用いられる。前記エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応は、好ましくは60〜140℃、特に好ましくは80〜120℃の温度においてエステル化触媒を用いて行われる。
【0030】
前記エステル化触媒としては、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン若しくはジアザビシクロオクタンなどの如き三級アミン、あるいはジエチルアミン塩酸塩などの如き公知の触媒がそのまま使用できる。
【0031】
不飽和エポキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは900〜2500、特に好ましくは1300〜2200である。その分子量が900〜2500であれば、硬化物の粘着性がなく、強度物性に優れ、硬化時間が長くなく生産性に優れる。
【0032】
前記のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂もしくは不飽和ポリエステル樹脂1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有させた樹脂で、これらの樹脂と(メタ)アクリロイル基を有する重合性不飽和単量体とからなる混合溶液で使用される。ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の具体例としては、下記に示す化学式1〜10で表わされるものが挙げられる。
【0033】
【化1】
一般式1
Figure 2004238557
【0034】
【化2】
一般式2
Figure 2004238557
【0035】
【化3】
一般式3
Figure 2004238557
【0036】
【化4】
一般式4
Figure 2004238557
【0037】
【化5】
一般式5
Figure 2004238557
【0038】
【化6】
一般式6
Figure 2004238557
【0039】
【化7】
一般式7
Figure 2004238557
【0040】
【化8】
一般式8
Figure 2004238557
【0041】
【化9】
一般式9
Figure 2004238557
【0042】
【化10】
一般式10
Figure 2004238557
【0043】
ただし、M:(メタ)アクリル酸残基、G:グリコール残基、Tr:トリオール残基、Te:テトラオール残基、D:二塩基酸残基、D:三塩基酸残基、D:四塩基酸残基、J:モノエポキシサイドに基づくグリコール残基、X:m価のエポキシ化合物のカルボキシル基との反応に基づくm価の有機残基、Y:n価のイソシアナート化合物の水酸基との反応に基づくn価の有機残基、a,b,c,d:1以上の整数、p:0もしくは1、m:2〜10の整数、n:2〜5の整数をそれぞれ表わし、かつ括弧内のグループが複数個くり返される場合はそれぞれの繰り返し単位ごとに構成成分は異なってもよい。
【0044】
尚、飽和ポリエステル樹脂としては、前記不飽和ポリエステル樹脂の製造の際にα,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物を使用しないで得られるものである。
【0045】
また、前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、カルボキシル基を有する飽和ポリエステル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂に(メタ)アクリロイル基含有グリシジル化合物を反応して得られるものが好ましい。そのほかに水酸基を有する飽和ポリエステル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂にアクリル酸、メタクリル酸、イシシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物を反応して得られるものも使用することができる。
【0046】
かかる(メタ)アクリロイル基含有グリシジル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和一塩基酸のグリシジルエステル、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等がある。尚、かかる(メタ)アクリロイル基含有グリシジル化合物としては、グリシジルアクリレートが好ましい。かかるポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の数平均分子量は、好ましくは800〜3000、特に好ましくは1000〜2800である。その分子量が800〜3000であれば、硬化物の粘着性がなく、強度物性が高く、硬化時間が短く生産性に優れる。
【0047】
前記空乾性付与型樹脂(B)の製造で使用する前記空気乾燥性を付与する化合物としては、1)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物、2)乾性油等をけん化して得られる脂肪油脂肪酸、3)アリルエーテル基含有ポリオール、4)脂環式二塩基酸、5)ジシクロペンタジエンから成る群から選択されるものが挙げられる。
【0048】
前記1)のアルコリシス化合物としては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の3価アルコール、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等の4価アルコールなどの多価アルコールと、脂肪油、好ましくは乾性油、とりわけヨウ素価130以上の油脂で、例えばアマニ油、大豆油、綿実油、落花生油、やし油等とのエステル交換反応により得られるポリオール化合物である。
【0049】
前記2)の脂肪酸としては、上記脂肪油、好ましくは前記乾性油等をけん化して得られる脂肪油脂肪酸が使用される。前記3)のアリルエーテル基含有ポリオールについては、前記のものを使用することができる。また、前記4)の脂環式二塩基酸としては、例えば、テトラヒドロ(無水)フタル酸、4−メチル−テトラヒドロ(無水)フタル酸、3−メチル−テトラヒドロ(無水)フタル酸等が挙げられる。
【0050】
空気乾燥性を付与する化合物の導入方法としては、空乾性付与型樹脂(B)を製造する際の方法として、1)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物を上記樹脂のアルコール成分として用いる方法、2)酸成分として乾性油等をけん化して得られる脂肪油脂肪酸を用いる方法、3)アリルエーテル基を含有するポリオールをアルコール成分として使用する方法、4)酸成分として脂環式二塩基酸を用いる方法、5)ジシクロペンタジエンと酸或いはグリコールを反応して酸成分、アルコール成分として使用する方法などがある。この際、空気乾燥性を付与する化合物は、他のアルコ−ル成分や酸成分に併用して使用されるのが好ましく、場合によりそれのみをアルコ−ル成分や酸成分として使用することもできる。
【0051】
かかる空気乾燥性を付与する化合物(空気乾燥性付与構成成分)の含有量は、本発明の組成物にワックスなどを添加せずに空気乾燥性を付与することができれば特に制限されないが、空乾性付与型樹脂(B)中、好ましくは3.0〜70モル%(全樹脂成分に於いて)、より好ましくは30〜60モル%である。
【0052】
本発明で用いる重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)と空乾性付与型樹脂(B)との混合割合は、(A)/(B)の重量比率で好ましくは95/5〜50/50、より好ましくは90/10〜60/40である。かかる重量比率であれば、接着剤の表面乾燥性が良好で、接着剤硬化物の引っ張り強度、引き裂き強度、耐水性、耐湿熱性等の特性も望ましいものとなる。
【0053】
本発明の接着剤の(C)成分としての(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体とは、分子末端に重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)及び空乾性付与型樹脂(B)との反応成分であり、かつ(メタ)アクリロイル基を有するモノマー又はオリゴマーである。かかる不飽和単量体(C)としては(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、特に活性水素原子を含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが基材との接着性に優れるので好ましい。不飽和単量体(C)の使用量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計重量に於いて好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
尚、(メタ)アクリロイル基を含有する不飽和単量体(C)に他の重合性単量体を併用することもできるが、他の重合性単量体の含有量は使用しても50重量%以下に止めるのが好ましい。その量が大きくなると、重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)との共重合性が悪くなり硬化時間が長くなる等の欠点が発生する恐れがある。
【0054】
前記活性水素原子を含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基と、水酸基、若しくはカルボキシル基、若しくはアミノ基などを有するものが好ましく、前記の水酸基を含むモノマーの具体例としては、前記したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、前記のカルボキシル基を含むモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、ω−カルボキシーポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等、前記のアミノ基を含むモノマーの具体例としては(メタ)アクリルアマイド、ダイアセトン(メタ)アクリルアマイド、N−メチロール(メタ)アクリルアマイド等があり、ここに挙げられたものに限定されるわけではなく、これらは1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0055】
前記以外の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(C)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−ハイドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシサクシネート、フェノールエチレンオキサイド(EO)変性(n=2〜4)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(n=1〜4)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド(PO)変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
架橋反応時の共重合性が少し劣るが、前記(メタ)アクリロイル基を有する単量体(C)にこれ以外のエチレン性不飽和単量体を少量併用してもよい。例えば、スチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート等のアリルモノマー類;アクリルニトリル、グリシジルメタクリレート、n−メチロールアクリルアミド−ブチルエーテル、n−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド等の硬質モノマーが挙げられる。
【0057】
前記(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体(C)としては、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物も使用可能であり、硬化物表面の耐摩耗性、耐さっ傷性、耐煽動性、耐薬品性等を向上される目的で好ましく使用される。この一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、即ち、複数の(メタ)アクリロイル基含有モノマーとして、好ましくは、多官能の(メタ)アクリル酸エステルモノマーであり、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのようなアルカンジオールジ−(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン−グリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上の併用で用いられる。
【0058】
さらに前記(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体(C)としては、空乾性を付与する不飽和単量体を用いることもでき、例えばジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等のアクリル酸誘導体、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロ〔5−2−1−02,6〕デカニルアクリレート等を挙げることができ、またエポキシ反応性希釈剤等も使用できる。
【0059】
本発明で使用されるカップリング剤(D)とは、通常不飽和ポリエステル樹脂成形材料に用いられ、マトリックス樹脂と無機質材料との密着性を改善するものを指す。かかるカップリング剤としては、代表的には有機ケイ素系化合物或いは有機クロム系化合物である。有機ケイ素系化合物としては、一般式RSiX (但し、式中のRはオレフィン系不飽和基又はアミノ基、エポキシ基、メルカプト基を含む一価の炭化水素基、もしくはハイドロカーボンオキシ基、Xは塩素又は加水分解し得る有機基、例えばアルコキシ基を示す)で表される化合物が好ましい。又、有機クロム系化合物としては、一般式RCrX(但し、式中のRはオレフィン系不飽和基又はアミノ基、エポキシ基、メルカプト基を含む一価の炭化水素基、もしくはハイドロカーボンオキシ基、もしくはハイドロオキシ基、Xは塩素又はアルコキシ基又はハイドロオキシ基を示す。)で表される有機クロム系化合物が好ましい。
【0060】
カップリング剤(D)を具体的に例示すれば、(メタ)アクリレートクロミッククロライドもしくはその加水分解物、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)11−ウンデシルトリメトキシシラン、4−(1−メタクリロキシ−4−メチル−2−フェニル)1−エチルトリメトキシシラン、メタクリレートクロミッククロライド、メタクリレートクロミックハイドライド等を挙げることができる。
【0061】
本発明で使用されるより好ましいカップリング剤(D)としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基やフェノキシ基を有するシリル基と(メタ)アクロイル基とを有する化合物であり、具体的には(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは1種単独でも併用しても構わない。更に、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基やアミノ基を有するシランカップリング剤を併用しても良い。
【0062】
カップリング剤(D)の使用量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100重量部に対して好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜5重量部である。
【0063】
前記充填剤(E)は、増量剤、粘度調整剤として使用される。例えば、炭酸塩、珪酸、珪酸塩、水酸化物、硫酸塩、硼酸塩、チタン酸塩、金属酸化物、炭素物、有機物等が挙げられる。かかる充填剤(E)の具体例としては、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、カオリンクレー、タルク、有機ベントナイト、セリサイト、合成水酸化マグネシウム、ガラスフレーク、粉末ガラス、金属ウィスカー、セラミッックウィスカー、硫酸カルシウムウィスカーなどを挙げることができる。
これらは必要に応じ、2種類以上を併用しても良い。この充填剤の添加量としては、前記樹脂(A)成分と前記樹脂(B)成分と前記不飽和単量体(C)成分との合計量100重量部に対して、好ましくは5〜300重量部、より好ましくは25〜200重量部である。
【0064】
本発明の接着剤には、重合禁止剤が好ましく使用され、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、1,4−ナフトキノン、パラベンゾキノン、トルハイドロキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等を添加できる。好ましくは(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部に、10〜1000ppm、好ましくは100〜900ppm添加し得るものである。
【0065】
本発明の接着剤には、接着剤の空気乾燥性(空気硬化性)を改良する目的と、硬化収縮を低減する目的で、低収縮化剤として熱可塑性樹脂を添加することができる。かかる熱可塑性樹脂の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の低級アルキルエステル類、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの単量体の単独重合体又は共重合体類、前記ビニル単量体の少なくとも1種と、ラウリルメタクリレート、イソビニルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸、セチルステアリル(メタ)アクリレートよりなる重合体の少なくとも1種の共重合体などのほか、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、飽和ポリエステル等を挙げることができる。かかる低収縮化剤を添加する場合、その添加量は(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部に対して2〜50重量部が好ましく、5〜35重量部が特に好ましい。
【0066】
本願発明の接着剤は、そのハンドリング性を考慮して構造粘性(チキソトロピック性)を付与するために、粘度調整剤(チキソ付与剤)を併用しても構わない。かかるチキソ付与剤としては、ヒュームドシリカ、コロイド炭酸カルシウム、タルク粉末、マイカ粉末、ガラスフレーク、金属ウィスカー、セラミッックウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、アスベスト、スメクタイト等が挙げられ、必要に応じ、2種類以上を併用しても良い。このチキソ付与剤の添加量としては、前記樹脂(A)成分と前記樹脂(B)成分と前記不飽和単量体(C)成分との合計量100重量部に対して、好ましくは0.2〜10.0重量部、より好ましくは1.5〜5.0重量部使用する。
【0067】
本発明の接着剤は、使用する際にラジカル重合開始剤として有機過酸化物を添加して使用する。具体的にはジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等公知のものが使用される。ラジカル重合開始剤の添加量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部である。上記ラジカル重合開始剤は2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0068】
さらに、本発明の接着剤には、重合促進剤を添加するのが好ましく、かかる重合促進剤としては、金属石鹸類、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクテン酸バナジル、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウムが挙げられ、金属キレート化合物としては、バナジルアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネートがある。またアミン類にはN,N−ジメチルアミノ−p−ベンズアルデヒド、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン、ジエタノールアニリン等がある。重合促進剤の添加量は、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部使用する。なお、重合促進剤は予め樹脂に添加しておいても良いし、使用時に添加しても良い。
【0069】
本発明の接着剤には、表面乾燥性を向上させる目的でコバルト系、バナジウム系、マンガン系等の有機酸金属石鹸類を併用してもよく、好ましくは重合促進剤としても作用するコバルトの有機酸塩である。その添加量としては、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100重量部に対して好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.3〜1重量部である。
【0070】
本発明の接着剤は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の混合物であるが、斜面、垂直面等の接着に使用される際の垂れ防止の為、粘度の高い液状のものであることが好ましく、より好ましくはペースト状のものである。その粘度は、好ましくは800dPa・s〜20000dPa・s(25℃)、より好ましくは1000〜10000dPa・sである。その測定は、B8U粘度計(東機産業(株)製)、スピンドルT−B 5rpmで測定した値である。
【0071】
また、本発明の接着剤には、上記添加剤以外に繊維強化材、骨材、顔料、染料等の着色剤等を添加しても良い。
【0072】
前記繊維強化材としては、例えばガラス繊維、アミド、アラミド、ビニロン、ポリエステル、フェノール等の有機繊維、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維或いはこれらを組合わせて用いられる。施工性、経済性を考慮した場合、好ましいのはガラス繊維、有機繊維である。また、繊維の形態は、平織り、朱子織り、不織布、マット状等があるが、施工法、厚み保持等よりマット状が好ましい、また、ガラスロービングを5〜100mmにカットしてチョップドストランドにして使用することも可能である。
【0073】
本発明の接着方法は、繊維強化プラスチック(FRP)成形品及び/または基材に本願発明の接着剤と前記ラジカル重合開始剤とを混合したものを塗布し、該成形品と基材とを接合する。その際、事前に基材の物理的、化学的処理をすることを妨げない。その接着層の厚みは、通常0.5mm以上とすることができる。接着剤層の厚みは、好ましくは1〜10mmである。特にFRP成形品を基材へ接着する際、厚い接着剤層が必要とされる時に、本願発明の接着剤が有用である。前記基材とは、例えば、FRP成形品、金属、木材、コンクリート、アスファルト等が挙げられる。なお、FRP成形品とは、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の公知のマトリックス樹脂と前記繊維強化材とから構成されるものである。
【0074】
【実施例】
以下に、本発明を実施例と比較例で詳細に説明するが、文中「部」、「%」は特に断わりのない限り重量基準である。尚、表1〜3での配合は「部」である。
【0075】
合成例1〔(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−1)の調製〕
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた3リットルの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート(TDI)2.0モルと数平均分子量700のポリプロピレングリコール(PPG)1.0モルを仕込み、窒素雰囲気下80℃で5時間反応させた。NCO当量が理論値とほぼ同じ値になって安定したので40℃迄冷却し、次に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.1モル加え、空気雰囲気下80℃で4時間反応させた。NCO%が、0.1%以下になったことを確認した後トルハイドロキノン0.19部を添加し、ポリエーテル(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−1)を得た。
【0076】
合成例2〔(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−2)の調製〕
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに数平均分子量400のポリプロピレングリコール(PPG)1.0モルを仕込み、トリレンジイソシアネート(TDI)を2モル加え発熱を抑制しながら80℃で5時間反応した。NCO当量が理論値とほぼ同じになり安定したので40℃迄冷却し、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー社製、ネオアリルP−30)を0.5モル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを1.6モル加え、空気雰囲気下90℃で7時間反応した。NCO%が0.1%以下となったのでトルハイドロキノン0.067部を添加し、アリルエーテル基含ポリエーテル系(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−2)を得た。
【0077】
合成例3〔(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−3)の調製〕
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた3リットルの四つ口フラスコにTDI3.0モルと数平均分子量700のポリエステルポリオール2.0モルを仕込み、窒素雰囲気下80℃で5時間反応させた。NCO当量が理論値とほぼ同じ値になって安定したので40℃迄冷却し、次に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.1モル加え、空気雰囲気下80℃で4時間反応させた。NCO%が、0.1%以下になったことを確認した後トルハイドロキノン0.19部を添加し、ポリエステル系(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−3)を得た。
【0078】
合成例4〔(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−4)の調製〕
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた3リットルの四つ口フラスコにTDI2.0モルと数平均分子量700のPPG1.0モルを仕込み、窒素雰囲気下80℃で5時間反応させた。NCO当量が理論値とほぼ同じ値になって安定したので40℃迄冷却し、次に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを1.0モル加え、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシエチルアンモニウム p−t−ブチルベンゾエートを添加し 空気雰囲気下60℃で2時間反応させた後、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを0.5モル加え空気雰囲気下80℃で2時間反応させた。NCO%が、0.1%以下になったことを確認した後トルハイドロキノン0.19部を添加し、ポリエーテル系(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−4)を得た。
【0079】
合成例5〔空乾性付与型不飽和ポリエステル樹脂(UPE−1)の調製〕
無水マレイン酸2.9モル、ジシクロペンタジエン2.0モル、および水2.0モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、100〜125℃の温度範囲内で反応させると共に、反応物の酸価を随時測定した。そして、該酸価が360になった時点で、上記の反応物に、ジエチレングリコール1.8モルを混合した。その後、該混合物を窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、200℃で7〜8時間反応させ、酸価30の空乾性付与型不飽和ポリエステル樹脂(UPE−1、空乾性成分 30モル%)を得た。
【0080】
合成例6〔空乾性付与型不飽和ポリエステル樹脂(UPE−2)の調製〕
グリセリン1.33モル、アマニ油0.67モルを180〜200℃で4時間反応させアルコリシスを得た。次にジエチレングリコール4モル、ジプロピレングリコール4モル、フマル酸5.0 モル、無水フタル酸5.0モルを公知の条件で加熱脱水縮合させて酸価25の空乾性付与型不飽和ポリエステル樹脂(UPE−2、空乾性成分 4.5モル%)を得た。
【0081】
合成例7〔空乾性付与型不飽和ポリエステル樹脂(UPE−3)の調製〕
無水マレイン酸2.2モル、ジシクロペンタジエン2.0モル、および水2.0モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、100〜125℃の温度範囲内で反応させると共に、反応物の酸価を随時測定した。そして、該酸価が360になった時点で、上記の反応物に、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー社製、ネオアリルP−30)1.95モルを混合した。その後、該混合物を窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、180℃で10〜13時間反応させ、酸価30の空乾性付与型不飽和ポリエステル樹脂(UPE−3、空乾性成分 64モル%)を得た。
【0082】
比較合成例1〔エポキシアクリレート樹脂(VE−1)の調製〕
温度計、攪拌機および冷却器を具備した三ツ口フラスコに、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られたエポキシ当量が385であるエポキシ樹脂の3850g(エポキシ基10個相当分)、メタクリル酸の860g(カルボキシル基10個相当分)、ハイドロキノン1.36gおよびトリエチルアミンの10.8gを仕込んで120℃まで昇温させ、同温度で10時間反応を続けた処、酸価が3.5 なる液状エポキシアクリレート(VE−1)が得られた。
【0083】
比較合成例2〔(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−5)の調製〕
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた3リットルの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート(TDI)2.0モルと数平均分子量1000のPPG1.0モルを仕込み、窒素雰囲気下80℃で5時間反応させた。NCO当量が理論値とほぼ同じ値になって安定したので40℃迄冷却し、次に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.1モル加え、空気雰囲気下80℃で4時間反応させた。NCO%が、0.1%以下になったことを確認した後トルハイドロキノン0.23部を添加し、ポリエーテル(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂(UA−5)を得た。
【0084】
<試験方法>
<引張せん断接着強さ試験測定法>
接着剥離強さは、JIS K−6850に準拠して評価した。試験に使用する基材は、FRP成形板、SMC成形板の2種類を厚み3mmの試験基材片として準備し、該成形板を各々カッティングして準備した。
【0085】
(試験基材の準備)
接着試験基材は、FPR成形板とSMC成形板を用いた。
FRP成形板は、 不飽和ポリエステル樹脂 ポリライトPC−110(大日本インキ化学工業(株)製)を用い、ガラスマット 日東紡(株)#450を3プライ積層し、厚み3mmの板を得た。ラジカル重合開始剤はパーメックN(55%メチルエチルケトンパーオキサイド、日本油脂(株)製)を1%使用し、室温で24時間放置後、60℃で8時間後硬化を施した。
SMC成形板は、ディックマットGM−230(大日本インキ化学工業(株)製SMC)を用い、145℃で加圧成形し、厚み3mmの板を得た。
2枚の試験基材片の接着面は、接着剤を塗布する前に、#80のサンドペーパーでサンディングし、エアーブローとアセトンによる脱脂の処理を行った。
試験基材片間の接着層の厚みは、1mmとなるようにスペーサーで調整した。引張せん断接着強さは、接着試験基材片を作成し25℃、1週間放置後に測定した。
【0086】
<表面乾燥性試験法>
上記接着剥離強さ評価試験片に接着剤を厚み5.0mmで塗布し、25℃で12時間放置し、表面の乾燥性について指触試験で評価した。評価方法は、脱脂綿を接着剤面に押しつけ、状態を調べた。
<引張伸び率の測定>
前記した方法で測定した。
【0087】
(実施例1〜5、比較例1〜2)
前記合成例1〜7及び比較合成例1〜2で得られた樹脂等で表1〜3に示す樹脂を配合し均一樹脂溶液とし、表には示していないが樹脂溶液((A)+(B)+(C))100部に対してオクチル酸コバルト0.4部を加え、プラネタリーミキサー若しくは高速回転ディスパー等を使用して表に示すチキソ付与剤、充填剤(E)、カップリング剤(D)を混合し、接着剤を得た。
【0088】
得られた接着剤は25℃でパーメックN(ラジカル重合開始剤)1.5%を添加した時点の硬化時間が30分になるように、ハイドロキノンモノメチルエーテル(重合禁止剤)で調整した。この場合の硬化時間の測定は、接着剤の可使時間を判断する方法である。その硬化時間の測定方法は、25℃恒温水槽中で接着剤を恒温させた後、パーメックN1.5%を添加した時点から接着剤が塗布できないぐらい流動性を失うまでの時間を測定する方法で、「硬化時間30分」を判断した。実際には、接着剤を使用する場合には作業内容に応じて硬化時間10分程度から2時間以上と調整可能であるため、表中では硬化特性は評価していない。
該接着剤について前記の試験(引張せん断接着強さ試験、表面乾燥性)を行ない、表1〜表3に評価結果を示した。
【0089】
【表1】
Figure 2004238557
【0090】
【表2】
Figure 2004238557
【0091】
【表3】
Figure 2004238557
【0092】
上記表中の各原料の配合は「部」である。
また、上記各表中の略号は以下の通りである。
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
PhEMA:フェノキシエチルメタクリレート
DEMA:ジシクロペンテニルオキシメチルメタクリレート
n−BA:n−ブチルアクリレート
MPMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
MCH:メタクリレートクロミックヒドロオキサイド
【0093】
上表から解るように、実施例1〜5の引張せん断接着強さの結果は、いずれも試験基材が破壊されるものであるのに対して、比較例2では、引張伸び率が範囲外である為、接着剤層で破壊されるものであった。このことから、本願発明の接着剤が、優れた接着力を発揮していることが解る。更に、比較例1は重合性不飽和基を有するウレタン樹脂ではないエポキシアクリレート樹脂であるために、接着性に劣るものであることが解る。
【0094】
これら実施例・比較例から、本願発明の接着剤は、表面乾燥性および接着性に優れるものであることが解る。
【0095】
【発明の効果】
本発明の接着剤は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の構成を採り、特定の引張伸び率を有することにより、表面乾燥性、常温硬化性、基材が破壊する程の接着性に優れ、空気存在下でも常温で硬化するので各種用途に利用できる。このような性質を利用し本発明の接着剤は、種々の場面で使用することができるが、特に好ましくはFRP成形品を基材に接着する用途で有用である。同一成形材料同士の接着用途の接着剤としても有用である。

Claims (10)

  1. (A)重合性不飽和基を有するウレタン樹脂、(B)空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂、(C)(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体、(D)カップリング剤及び(E)充填剤を含有する硬化性接着剤であって、前記硬化性接着剤の硬化物の引張伸び率が1%〜33%であることを特徴とする硬化性接着剤。
  2. 重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)が、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、水酸基含有(メタ)アクリル化合物を反応して得られた(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の硬化性接着剤。
  3. 空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂(B)が、空気乾燥性の不飽和ポリエステル樹脂である請求項1記載の硬化性接着剤。
  4. 空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂(B)の構成成分である空気乾燥性を付与する化合物が、1)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物、2)乾性油をけん化して得られる脂肪油脂肪酸、3)アリルエーテル基含有ポリオール、4)脂環式二塩基酸及び5)ジシクロペンタジエンからなる群から選択されるものである請求項3記載の硬化性接着剤。
  5. 空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂(B)に於ける空気乾燥性付与構成成分の含有量が、3.0〜70モル%である請求項4に記載の硬化性接着剤。
  6. 粘度が800dPa・s〜20000dPa・sである請求項1記載の硬化性接着剤。
  7. (メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体(C)が、活性水素原子を含有する(メタ)アクリロイル基含有化合物である請求項1記載の硬化性接着剤。
  8. カップリング剤(D)が、一般式RSiX (但し、式中のRはオレフィン系不飽和基又はアミノ基、エポキシ基、メルカプト基を含む一価の炭化水素基、もしくはハイドロカーボンオキシ基、Xは塩素又はアルコキシ基を示す。)で表される有機ケイ素系化合物、又は、一般式RCrX(但し、式中のRはオレフィン系不飽和基又はアミノ基、エポキシ基、メルカプト基を含む一価の炭化水素基、もしくはハイドロカーボンオキシ基、もしくはハイドロオキシ基、Xは塩素又はアルコキシ基又はハイドロオキシ基を示す。)で表される有機クロム系化合物である請求項1記載の硬化性接着剤。
  9. カップリング剤(D)が、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤である請求項1記載の硬化性接着剤。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載された接着剤を用いて繊維強化プラスチック成形品を接合することを特徴とする繊維強化プラスチックの接着方法。
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