JP2021094794A - 多層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
[1].多層フィルムであって、前記多層フィルムは、シーラント層と、第1保護層と、第2保護層とを備え、前記シーラント層は、前記多層フィルムの一方の最表層であり、前記第2保護層は、前記シーラント層と、前記第1保護層との間に、前記第1保護層とは接触せずに配置されており、前記多層フィルムの厚さをTとしたとき、前記第2保護層は、前記シーラント層の前記第1保護層側とは反対側の面から、0.1T〜0.45Tの距離に配置されている、多層フィルム。
[2].前記多層フィルムが、前記第1保護層と前記第2保護層との間に、さらに、第1基材層を備えている、[1]に記載の多層フィルム。
[3].前記シーラント層が直鎖状低密度ポリエチレンを含む、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[5].前記第1保護層及び第2保護層が、同じ構成材料を含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[6].前記第1保護層及び第2保護層が、ポリアミドを含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[7].前記第1基材層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、[2]〜[6]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
本発明の一実施形態に係る多層フィルムは、シーラント層と、第1保護層と、第2保護層とを備え、前記シーラント層は、前記多層フィルムの一方の最表層であり、前記第2保護層は、前記シーラント層と、前記第1保護層との間に、前記第1保護層とは接触せずに配置されており、前記多層フィルムの厚さをTとしたとき、前記第2保護層は、前記シーラント層の前記第1保護層側とは反対側の面から、0.1T〜0.45Tの距離に配置されている。
本実施形態の多層フィルムは、このような構成を有することにより、加熱成形によって成形体を製造したときに、この成形体において目的とする形状を正常に再現でき、成形性に優れる。
ここに示す多層フィルム1は、シーラント層13と、第1保護層11と、第2保護層12とを備えている。
シーラント層13は多層フィルム1の一方の最表層であり、第1保護層11は多層フィルム1の他方の最表層である。
多層フィルム1において、第2保護層12は、シーラント層13と、第1保護層11と、の間に配置されている。ただし、第2保護層12は、第1保護層11とは接触していない。
すなわち、多層フィルム1においては、シーラント層13、第2保護層12及び第1保護層11がこの順に、これらの厚さ方向において積層され、ただし、第2保護層12は、第1保護層11とは接触せずに配置されて、構成されている。
ここでは、第2基材層15は、シーラント層13に直接接触して配置されている。
第1保護層11のシーラント層13側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11aは、多層フィルム1の他方の最表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)1aである。
換言すると、多層フィルム1において、第2保護層12のシーラント層13側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)12bと、シーラント層13の第2面13bと、の間の距離Dは、0.1T〜0.45Tである。
以下、各層の構成について、より詳細に説明する。
シーラント層13は、それ同士が、又は、他の部材と、ヒートシール可能な層である。
シーラント層13の第2面13bは、シール面である。
シーラント層13は、被着体との間で擬似接着性を発現するイージーピール性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
このようなシーラント層13は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂層であることがより好ましい。このようなシーラント層13は、より容易にヒートシール可能である。
前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、例えば、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)等)等が挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
なお、本明細書においては、単なる「低密度ポリエチレン」との記載は、特に断りのない限り、「直鎖状低密度ポリエチレン以外の低密度ポリエチレン」を意味する。
前記非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
イージーピール性のシーラント層13のうち、樹脂製の被着体に対して用いるのに好適なもの(本明細書においては、このようなシーラント層を「イージーピールタイプ1のシーラント層」と称することがある)としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含むものが挙げられる。
樹脂成分である前記他の成分は、構成単位が1種のみである単独重合体であってもよいし、構成単位が2種以上である共重合体であってもよい。
樹脂成分である前記他の成分として、より具体的には、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂(ION樹脂)、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系共重合体等が挙げられる。これら他の成分(樹脂成分)を含むシーラント層13は、イージーピール性がより高い。前記他の成分であるアイオノマー樹脂は、先に説明したものと同様である。
非樹脂成分である前記添加剤としては、イージーピール性を有しないシーラント層13が含むものとして先に説明した添加剤と同様のものが挙げられる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
前記直鎖状低密度ポリエチレンの数平均分子量(Mn)は、20000以上であることが好ましく、25000以上であることがより好ましく、28000以上であることがさらに好ましく、30000以上であることが特に好ましい。
そして、前記直鎖状低密度ポリエチレンは、これら分子量分布と数平均分子量の条件を共に満たすものが好ましい。このような直鎖状低密度ポリエチレンを用いることで、多層フィルムの成形時に、成形熱板(本明細書においては、単に「熱板」と称することがある)上での異物付着が抑制される。すなわち、このような直鎖状低密度ポリエチレンは、異物付着による設備汚染の防止能が高く、例えば、成形に関わる設備の連続稼働の長時間化を可能とする。
樹脂成分である前記他の成分は、構成単位が1種のみである単独重合体であってもよいし、構成単位が2種以上である共重合体であってもよい。
樹脂成分である前記他の成分として、より具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、テルペン系樹脂等が挙げられる。前記テルペン系樹脂は、低温でのヒートシール性を向上させるための添加剤である。
非樹脂成分である前記添加剤としては、イージーピール性を有しないシーラント層13が含むものとして先に説明した添加剤と同様のものが挙げられる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
なお、シーラント層13が低密度ポリエチレンを含まない場合、ここでは低密度ポリエチレンの含有量を0質量部とする。
ここで、「シーラント層13の厚さ」とは、シーラント層13全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるシーラント層13の厚さとは、シーラント層13を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第1保護層11は、多層フィルム1においてピンホールの発生を抑制するなど、多層フィルム1の構造を保護するための層である。
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン;
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
非樹脂成分である前記添加剤としては、シーラント層13が含むものとして先に説明した添加剤と同様のものが挙げられる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
ここで、「第1保護層11の厚さ」とは、第1保護層11全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1保護層11の厚さとは、第1保護層11を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第2保護層12も、第1保護層11と同様に、多層フィルム1においてピンホールの発生を抑制するなど、多層フィルム1の構造を保護するための層である。
第2保護層12の構成材料の含有量は、上述の第1保護層11の、同じ構成材料の含有量と同じである。
ここでは、第2保護層12の構成材料及びその含有量についての、詳細な説明を省略する。
ここで、「第2保護層12の厚さ」とは、第2保護層12全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第2保護層12の厚さとは、第2保護層12を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
例えば、第1保護層11及び第2保護層12は、ともにポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニル系樹脂及びポリカーボネートからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
そして、多層フィルム1の、その加熱成形時における成形性がより高くなる点と、多層フィルム1の保護能がより高くなる点では、第1保護層11及び第2保護層12は、ともにポリアミドを含むことがより好ましい。
第1基材層14は、多層フィルム1に柔軟性を付与するための層である。
第1基材層14は任意の構成であり、多層フィルム1は第1基材層14を備えていなくてもよいが、多層フィルム1は第1基材層14を備えていることで、その柔軟性と耐ピンホール性が、ともに高くなる。
前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA樹脂)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA樹脂)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA樹脂)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA樹脂)、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH樹脂)、アイオノマー樹脂(ION樹脂)等が挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
前記非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
非樹脂成分である前記添加剤としては、シーラント層13が含むものとして先に説明した添加剤と同様のものが挙げられる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
ここで、「第1基材層14の厚さ」とは、第1基材層14全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1基材層14の厚さとは、第1基材層14を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第2基材層15も、第1基材層14と同様に、多層フィルム1に柔軟性を付与するための層である。
第2基材層15も任意の構成であり、多層フィルム1は第2基材層15を備えていなくてもよいが、多層フィルム1は第2基材層15を備えていることで、その柔軟性と耐ピンホール性が、ともに高くなる。
第2基材層15の構成材料の含有量は、上述の第1基材層14の、同じ構成材料の含有量と同じである。
ここでは、第2基材層15の構成材料及びその含有量についての、詳細な説明を省略する。
ここで、「第2基材層15の厚さ」とは、第2基材層15全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第2基材層15の厚さとは、第2基材層15を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
例えば、第1基材層14及び第2基材層15は、ともにポリエチレンを含むことが好ましく、ともに直鎖状低密度ポリエチレンを含むことがより好ましく、ともにメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
接着層16は、多層フィルム1において、隣接する2層(ここでは、第1保護層11及び第1基材層14、第1基材層14及び第2保護層12、並びに、第2保護層12及び第2基材層15)を接着するための層であり、接着性を発現する成分を含む。
接着層16は任意の構成であり、多層フィルム1は、ここに示す接着層16の一部又は全てを備えていなくてもよいが、多層フィルム1は接着層16を備えていることで、その構造がより安定する。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、例えば、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であることが好ましい。
接着層16が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層16が含む前記ブテン系共重合体としては、例えば、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層16が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
接着層16の厚さが前記下限値以上であることで、接着層16はより優れた接着性を有する。接着層16の厚さが前記上限値以下であることで、接着層16が過剰な厚さとなることが避けられる。
ここで、「接着層16の厚さ」とは、接着層16全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層16の厚さとは、接着層16を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
多層フィルム1は、本発明の効果を損なわない範囲内において、第1保護層11と、第2保護層12と、シーラント層13と、第1基材層14と、第2基材層15と、接着層16と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよい。
前記他の層の配置位置は、シーラント層13が多層フィルム1の最表層となる限り、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択できる。
前記他の層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記他の層の厚さは、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択できる。
すなわち、従来の多層フィルムは、その一方の最表層側と、他方の最表層側と、を比較すると、特性が互いに異なる層を備えていることにより、加熱時の収縮の程度に差が生じ易く、加熱時の多層フィルムには反りが生じ易いと推測される。そのため、多層フィルムの加熱成形時には、このような収縮の程度の差が生じることによって、成形体の形状が崩れてしまい、目的とする形状の成形体が得られなくなってしまう。
なお、基材層74は省略されることもある。
本実施形態の多層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
本実施形態の多層フィルムは、包装体を構成するのに好適である。
本実施形態の多層フィルムを備えた包装体は、前記多層フィルムを用いていることによって、目的とする形状を正常に再現できる。
本実施形態の包装体の一例としては、深絞り包装体が挙げられる。
前記深絞り包装体は、収納部を構成するための凹部を有する底材を用い、この凹部に目的物を収納して、厚さが薄い蓋材によって収納物を密封することにより、構成されたものである。
深絞り包装体は、例えば、医療用具、食品等の包装に用いるのに好適である。
なお、図3以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
底材10は、図1に示す多層フィルム1を深絞り成形して得られたもの(深絞り成形体)である。
なお、図3中の底材10においては、これを構成している多層フィルム1中の各層の区別を省略している。
底材10の凹部100を除く領域の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bと、蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)8bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。
そして、包装体101は、蓋材8及び底材10のシールによって構成されている。より具体的には、底材10の凹部100を除く領域の第2面10bと、蓋材8の第2面8bは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材10の凹部100の領域において、底材10の第2面10bと、蓋材8の第2面8bと、の間に、収納部101aが形成されている。そして、この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
底材10の第2面10bは、多層フィルム1中のシーラント層13の第2面13bと同じである。そして、底材10の他方の面(第1面)10aは、多層フィルム1中の第1保護層11の第1面11aと同じである。
前記樹脂フィルムからなる蓋材8の厚さは、例えば、30〜150μmであってもよい。
前記ポリエチレン製不織布又は滅菌紙からなる蓋材8の厚さは、例えば、50〜500μmであってもよい。
より具体的には、前記滅菌紙は、0.0001〜20dtexの繊維で構成されるとともに、その目付が10〜300g/m2であることが好ましい。
例えば、包装体101は、図1に示す多層フィルム1を用いたものであるが、本実施形態の包装体は、図1に示す多層フィルム1以外の多層フィルムを用いたものであってもよい。
本実施形態の包装体は、例えば、包装対象の収納物を前記底材中の前記凹部に収納した状態で、前記蓋材と前記底材とを、前記収納部を形成するように重ね合わせ、ヒートシールすることにより、製造できる。
前記蓋材が通気性を有しない場合には、前記収納部となる領域内を真空引きした状態でヒートシールしてもよい。
<<多層フィルムの製造>>
第1保護層及び第2保護層に含まれる樹脂として、ポリアミド(PA)(宇部興産社製「UBEナイロン1022B」)を用意した。
また、接着層に含まれる樹脂として、接着性ポリエチレン(PE)系樹脂(三井化学株式会社製「NF536」)を用意した。
また、第1基材層、第2基材層及びシーラント層に含まれる樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(1)(ダウ・ケミカル社製「5220G」、分子量分布(Mw/Mn):3.1、数平均分子量(Mn):3.08×104)と、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(2)(プライムポリマー社製「SP3530」、融点:97、121、125℃、分子量分布(Mw/Mn):7.7、数平均分子量(Mn):1.37×104)と、を用意した。
<成形体の製造>
深絞り成形機(ムルチバック社製「R535」)を用い、下記成形条件で、上記で得られた多層フィルムに凹部(ポケット)を形成して深絞り成形することにより、成形体を製造した。
[成形条件]
成形温度:108℃
加熱時間:1.5秒
成形時間:3.0秒
加圧時間:0.4秒
使用型サイズ:幅8.9mm、長さ270mm、深さ6.99mm、端部R4.45mm
上記で得られた成形体中の凹部を目視観察し、その形状及び大きさが、使用型から想定される正常な範囲内であるか否か、という観点に基づいて、下記基準に従って、多層フィルムの成形性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:凹部が使用型から想定されるとおりに精度よく形成されており、凹部への包装対象物の収納に全く問題がないと考えられる。
B:凹部の大きさが、使用型から想定される大きさよりも縮小し、凹部の形状がやや崩れているが、凹部への包装対象物の収納に問題がないと考えられる。
C:凹部の大きさが、使用型から想定される大きさよりも大幅に縮小し、凹部の形状が崩れており、凹部への包装対象物の収納に問題があると考えられる。
上記で得られた多層フィルムと、GEA PowerPak ST 420を用い、成形熱板をアルコールで清掃後、成形温度108℃、加熱時間9.9秒、シールなしの条件で7時間稼働させた後に、熱板表面をヘラで擦り、熱板での付着物堆積の有無を確認した。結果を表1に示す。
<<多層フィルムの製造>>
第1保護層及び第2保護層を形成するためのポリアミドの使用量を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、シーラント層(厚さ10μm)、第2基材層(厚さ10μm)、接着層(厚さ7μm)、第2保護層(厚さ4μm)、接着層(厚さ7μm)、第1基材層(厚さ36μm)、接着層(厚さ7μm)、及び第1保護層(厚さ9μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、図1に示す構造を有する多層フィルム(厚さ90μm)を製造した。
実施例1の場合と同じ方法で、上記で得られた多層フィルムを評価した。結果を表1に示す。
<<多層フィルムの製造>>
シーラント層、第2基材層及び第1基材層を形成するためのメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(1)の使用量を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、シーラント層(厚さ11μm)、第2基材層(厚さ18μm)、接着層(厚さ7μm)、第2保護層(厚さ6μm)、接着層(厚さ7μm)、第1基材層(厚さ28μm)、接着層(厚さ7μm)、及び第1保護層(厚さ7μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、図1に示す構造を有する多層フィルム(厚さ91μm)を製造した。
実施例1の場合と同じ方法で、上記で得られた多層フィルムを評価した。結果を表1に示す。
<<多層フィルムの製造>>
第2基材層を形成しなかった点と、シーラント層及び第1基材層を形成するためのメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(1)の使用量を変更した点と、接着層を形成するための接着性ポリエチレン系樹脂の使用量を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、シーラント層(厚さ5μm)、接着層(厚さ5μm)、第2保護層(厚さ6μm)、接着層(厚さ7μm)、第1基材層(厚さ54μm)、接着層(厚さ7μm)、及び第1保護層(厚さ7μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された多層フィルム(厚さ91μm)を製造した。この多層フィルムは、図1に示す多層フィルム1において、第2基材層が省略された構成を有する。
実施例1の場合と同じ方法で、上記で得られた多層フィルムを評価した。結果を表2に示す。
<<多層フィルムの製造>>
第1基材層、第2基材層及びシーラント層を形成するために、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(1)に代えて、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(2)を用いた点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、シーラント層(厚さ11μm)、第2基材層(厚さ18μm)、接着層(厚さ7μm)、第2保護層(厚さ6μm)、接着層(厚さ7μm)、第1基材層(厚さ28μm)、接着層(厚さ7μm)、及び第1保護層(厚さ7μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、図1に示す構造を有する多層フィルム(厚さ91μm)を製造した。
実施例1の場合と同じ方法で、上記で得られた多層フィルムを評価した。結果を表2に示す。
<<多層フィルムの製造>>
シーラント層を形成するために、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(1)に代えて、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、シーラント層(厚さ10μm)、第2基材層(厚さ10μm)、接着層(厚さ7μm)、第2保護層(厚さ6μm)、接着層(厚さ7μm)、第1基材層(厚さ36μm)、接着層(厚さ7μm)、及び第1保護層(厚さ7μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成され、図1に示す構造を有する多層フィルム(厚さ90μm)を製造した。
実施例1の場合と同じ方法で、上記で得られた多層フィルムを評価した。結果を表2に示す。
<<多層フィルムの製造>>
第1保護層及び第2保護層を形成するためのポリアミドの使用量を変更した点と、第1基材層及び第2基材層を形成するためのmLLDPEの使用量を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、シーラント層(厚さ10μm)、第2基材層(厚さ27μm)、接着層(厚さ7μm)、第2保護層(厚さ5μm)、接着層(厚さ7μm)、第1基材層(厚さ18μm)、接着層(厚さ7μm)、及び第1保護層(厚さ9μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成され、図1に示す構造を有する多層フィルム(厚さ90μm)を製造した。
実施例1の場合と同じ方法で、上記で得られた多層フィルムを評価した。結果を表3に示す。
<<多層フィルムの製造>>
比較用保護層に含まれる樹脂として、上述の実施例における第1保護層及び第2保護層に含まれる樹脂と同じもの(ポリアミド、宇部興産社製「UBEナイロン1022B」)を用意した。
また、接着層に含まれる樹脂として、上述の実施例における接着層に含まれる樹脂と同じもの(接着性ポリエチレン系樹脂、三井化学株式会社製「NF536」)を用意した。
また、比較用基材層、及びシーラント層に含まれる樹脂として、上述の実施例における第1基材層、第2基材層及びシーラント層に含まれる樹脂と同じもの(メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(1))を用意した。
実施例1の場合と同じ方法で、上記で得られた多層フィルムを評価した。結果を表4に示す。
実施例1〜6の多層フィルムにおいて、シーラント層の第2面からの第2保護層の距離は、多層フィルムの厚さTを用いて、0.11T〜0.4Tであった。
比較例1の多層フィルムにおいて、シーラント層の第2面からの第2保護層の距離は、多層フィルムの厚さTを用いて、0.49Tであった。
比較例2の多層フィルムは、従来の多層フィルムと同様に、保護層及び基材層をいずれも1層のみ備えており、加熱成形時の成形性に改善が認められないものであった。
このように、実施例1〜4の多層フィルムは、成形に関わる設備の連続稼働時間が長くなっても、設備への異物付着を抑制し、設備汚染の防止能が高いものであり、特に好ましい特性を有していた。
11・・・第1保護層
12・・・第2保護層
12b・・・第2保護層の第2面
13・・・シーラント層
13b・・・シーラント層の第2面
14・・・第1基材層
15・・・第2基材層
8・・・蓋材
8b・・・蓋材の第2面
9・・・収納物
10・・・底材
10b・・・底材の第2面
101・・・包装体
101a・・・包装体の収納部
100・・・底材の凹部
T・・・多層フィルムの厚さ
D・・・第2保護層の第2面と、シーラント層13の第2面と、の間の距離(第2保護層の、シーラント層の第2面からの距離)
X11・・・第1保護層の厚さ
X12・・・第2保護層の厚さ
Claims (7)
- 多層フィルムであって、
前記多層フィルムは、シーラント層と、第1保護層と、第2保護層とを備え、
前記シーラント層は、前記多層フィルムの一方の最表層であり、
前記第2保護層は、前記シーラント層と、前記第1保護層との間に、前記第1保護層とは接触せずに配置されており、
前記多層フィルムの厚さをTとしたとき、前記第2保護層は、前記シーラント層の前記第1保護層側とは反対側の面から、0.1T〜0.45Tの距離に配置されている、多層フィルム。 - 前記多層フィルムが、前記第1保護層と前記第2保護層との間に、さらに、第1基材層を備えている、請求項1に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層が直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 前記直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)が7.0以下であり、かつ、前記直鎖状低密度ポリエチレンの数平均分子量(Mn)が20000以上である、請求項3に記載の多層フィルム。
- 前記第1保護層及び第2保護層が、同じ構成材料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記第1保護層及び第2保護層が、ポリアミドを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記第1基材層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
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