JP2014208460A - 医療用多層フィルムおよび医療品包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の医療用多層フィルムおよび医療用包装体は、第1樹脂層と、コア層と、第2樹脂層とが、この順に積層されてなる医療用多層フィルムであって、前記第1樹脂層は、第1ベース樹脂層および第1接着層で構成される第1繰り返し積層部が複数以上積層されてなり、前記第2樹脂層は、第2ベース樹脂層および第2接着層で構成される第2繰り返し積層部が複数以上積層されてなり、前記第1ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド系樹脂であることを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
しかし、このようなフィルムは、耐衝撃性を向上させるために、エラストマーを使用しており、深絞りを実施した際には、成形後に経時で成形戻りが発生してしまうリスクがあった。
また、特許文献2に記載のフィルムは、酸素バリア樹脂層を有していないため、酸化による劣化リスクのある医療用途の包装には適さない。
(1)第1樹脂層と、コア層と、第2樹脂層とが、この順に積層されてなる医療用多層フィルムであって、前記第1樹脂層は、第1ベース樹脂層および第1接着層で構成される第1繰り返し積層部が複数以上積層されてなり、前記第2樹脂層は、第2ベース樹脂層および第2接着層で構成される第2繰り返し積層部が複数以上積層されてなり、前記第1ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド系樹脂であることを特徴とする医療用多層フィルム。
(2)前記第1接着層がポリエチレン系接着層である上記(1)に記載の医療用多層フィルム。
(3)前記第2ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド系樹脂である上記(1)または(2)に記載の医療用多層フィルム。
(4)前記第2接着層がポリエチレン系接着層である上記(1)ないし(3)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(5)前記第1繰り返し積層部の積層数と、前記第2繰り返し積層部の積層数とが、同じ積層数である上記(1)ないし(4)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(6)前記第1繰り返し積層部の積層数は、2部以上、20部以下である上記(1)ないし(5)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(7)前記第2繰り返し積層部の積層数は、2部以上、20部以下である上記(1)ないし(6)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(8)前記第1繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である上記(1)ないし(7)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(9)前記第2繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である上記(1)ないし(8)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(10)前記第1樹脂層のコア層の反対側の面には、外層が設けられるものである上記(1)ないし(9)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(11)前記第2樹脂層のコア層と反対側の面には、シール層が設けられるものである上記(1)ないし(10)いずれかに記載の医療用多層フィルム。
(12)上記(1)ないし(11)いずれかに記載の医療用多層フィルムで構成されることを特徴とする医療用包装体。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の医療用多層フィルム100の一例を示す断面図である。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る医療用多層フィルム100は、外層1、接着層2、第1樹脂層3、コア層4、第2樹脂層5、接着層6およびシール層7がこの順で配置されている。
第1樹脂層3は、第1繰り返し積層部31が4部積層されている。第1繰り返し積層部31は、第1ベース樹脂層311および第1接着層312で構成されている。
また、第2樹脂層5は、第2繰り返し積層部51が4部積層されている。第2繰り返し積層部51は、第2ベース樹脂層511および第2接着層512で構成されている。
以下、医療用多層フィルム100の各構成について、それぞれ詳しく説明する。
外層1の材料としては、例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH樹脂」という。)が挙げられる。具体的に、医薬品を包装した後の医療用包装体に、加熱滅菌処理を行う場合、外層1は熱水および高温の蒸気に曝される。そのため、外層1の材料として、耐熱性の高いポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、または融点の高いポリエステル系樹脂、例えば、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などを用いることが好ましく、特に水蒸気バリア性の高いポリプロピレン系樹脂が好ましい。
接着層2は、外層1と第1樹脂層3(複数の第1繰り返し積層部31)との間の接着強度、医療用多層フィルム100の腰の強さ、耐ピンホール性、柔軟性または成形性などを向上させる。
接着層2の材料としては、公知の接着性樹脂、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、接着層2の材料として、例えば、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、ポリプロピレン等の各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸などが用いられる。二塩基性不飽和脂肪酸として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが用いられる。
第1実施形態の医療用多層フィルム100で第1樹脂層3は、第1繰り返し積層部31が4部積層されてなり、それぞれの第1繰り返し積層部31は、第1ベース樹脂層311および第1接着層312で構成されている。これにより、耐ピンホール性を向上することができる。
なお、外層1の材料にポリアミド系樹脂が用いられる場合、第1ベース樹脂層311の材料は、外層1と同じポリアミド系樹脂が用いられてもよい。
第1接着層312の材料としては、例えばエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの中でもエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体が好ましい。これにより、良好な外観および耐ピンホール性を有し、従来の医療用多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体として、具体的には無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE−g−MAH」という。)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA樹脂」という。)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(以下、「EMMA樹脂」という。)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(以下、「EEA樹脂」という。)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(以下、「EMA樹脂」という。)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(以下、「E−EA−MAH樹脂」という。)、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA樹脂」という。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA樹脂」という。)、アイオノマー(以下、「ION樹脂」という。)等が挙げられる。EMAA樹脂のメタクリル酸共重合比率は、特に限定されないが、5重量%以上、20重量%以下であることが好ましく、5重量%以上、10重量%以下であることがより好ましく、8重量%以上、10重量%以下であることがさらに好ましく、9重量%であることが最も好ましい。これにより、良好な外観および耐ピンホール性を向上することができる。特に、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体は、LLDPE−g−MAH、EMAA樹脂およびION樹脂のうちの少なくとも1つであることが好ましい。これにより、良好な耐衝撃性および耐ピンホール性を有することができ、それによって医療用多層フィルム100は、従来の医療用多層フィルムと同等の性能を維持しつつ、従来の医療用多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
さらに、第1接着層312がエチレン−ビニルアルコール共重合体である場合、良好な耐衝撃性、耐ピンホール性および酸素バリア性を有し、それによって、医療用多層フィルム100が、従来の医療用多層フィルムと同等の耐衝撃性および耐ピンホール性を維持しつつ、従来の医療用多層フィルムよりも厚さを薄くすることができることに加えて、酸素バリア性も示すことができる。
なお、ION樹脂は、エチレンと少量のアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体を、酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造にしたものを指す。
コア層4は、医療用多層フィルム100の要求される用途に応じて決定される。例えば、医療用多層フィルム100にバリア性が求められる場合には、コア層4としてはバリア層が設けられる。また、120℃を超えるようなレトルト処理が求められる場合には、コア層4としては耐熱バリア層が求められる。
以下、コア層4として、バリア層を用いた場合について具体的に説明する。
このような酸素バリア性を有するコア層4を構成する材料としては、例えばポリビニルアルコール樹脂、EVOH樹脂、塩化ビニリデン樹脂、または、ジアミン成分に芳香環を有するポリアミド系樹脂などが用いられる。これらの中でも、EVOH樹脂が好ましい。これにより、酸素バリア性をより向上することができる。
前記EVOH樹脂のエチレン共重合比率は、特に限定されないが、20モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以上、40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以上、35モル%以下であることがさらに好ましい。エチレン共重合比率が前記範囲内であると、特にバリア性に優れる。
また、コア層4が複数の樹脂の層で形成されているものでも構わない。
第1実施形態の医療用多層フィルム100で第2樹脂層5は、第2繰り返し積層部51が4層積層されてなり、それぞれの第2繰り返し積層部51は、第2ベース樹脂層511および第2接着層512で構成されている。これにより、耐ピンホール性を向上することができる。
なお、第1繰り返し積層部31の積層数と第2繰り返し積層部52の積層数は、同じであっても異なっていても構わないが、同じであることが好ましい。これにより、良好な外観および耐ピンホール性を有し、従来の医療用多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
第2接着層512の材料としては、第1接着層312と同じものであっても異なっていても良いが、同じものを用いることが好ましい。これにより、医療用多層フィルム100の耐ピンホール性を向上することができる。
具体的には、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの中でもエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体が好ましい。これにより、良好な外観および耐ピンホール性を有し、従来の医療用多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
接着層6は、後述シール層7と第2樹脂層5との間の接着強度を向上させる。また、医療用多層フィルム100の腰の強さ、耐ピンホール性、柔軟性または成形性などを向上させることもできる。
接着層6の材料としては、上述した接着層2と同じものであっても異なっていても良い。
具体的には、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられ、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸などが用いられる。二塩基性不飽和脂肪酸として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが用いられる。
具体的に、接着層6の厚さは、特に限定されないが、2μm以上、70μm以下であることが好ましく、3μm以上、60μm以下であることがより好ましい。接着層6の厚さが、前記範囲内であるとき、良好な接着強度を付与した医療用多層フィルム100を、比較的安価で得ることができる。
シール層7は、耐内容物性の機能と、シールする相手材とのシール適性の機能とを有している。耐内容物性とは、内容物が薬品や油分を多く含む食品などの場合、この薬品や油分によってシール層7が相手材とのシール適性に係る機能を失わない性質のことを指す。
シール層7の材料としては、例えば蓋材のシーラント樹脂がポリエチレン系樹脂の場合、低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LDPE樹脂」という。)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LLDPE樹脂」という。)、中密度ポリエチレン樹脂(以下、「MDPE樹脂」という。)、高密度ポリエチレン樹脂(以下、「HDPE樹脂」という。)、ポリプロピレン樹脂(以下、「PP樹脂」という。)、EVA樹脂、EMMA樹脂、EEA樹脂、EMA樹脂、E−EA−MAH樹脂、EAA樹脂、EMAA樹脂、ION樹脂などの樹脂が用いられる。これら樹脂は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。特に、シール層7の材料として、透明性およびシール強度などに優れる点で、LLDPE樹脂、およびEVA樹脂が好ましい。
また、蓋材のシーラント樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、シール層7の材料としては、ポリプロピレン系樹脂が望ましい。シール層7の材料のポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン系樹脂などが用いられる。具体的に、結晶性ポリプロピレン系樹脂として、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレンおよびα−オレフィンの少なくとも一方とプロピレンとの結晶性ブロック共重合体などが用いられる。上記のα−オレフィンとして、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜10のα−オレフィンが用いられる。なお、これらα−オレフィンは、任意の比率で共重合されてもよい。
このように、従来の医療用多層フィルムと比較して、第1実施形態における医療用多層フィルム100が従来の医療用多層フィルムより厚さを薄くして、かつ良好な耐ピンホール性を有することができる理由は、次のように考えられる。
まず、医療用多層フィルム100の耐ピンホール性を良好にするには、医療用多層フィルム100の耐衝撃性と、耐屈曲性とを向上させることが有効と思われる。医療用多層フィルム100では、例えば外層1側からの衝撃に対しては、第1樹脂層31を構成する複数の第1繰り返し部31の内の最も外層1側にある第1繰り返し部31の衝撃に対する抵抗力、さらにその内側にある第1繰り返し部31の衝撃に対する抵抗力、コア層4の反対側に存在する第2繰り返し部51の衝撃に対する抵抗力および第1繰り返し部31の繰り返し界面での応力分散によって、耐衝撃性の程度が決定される。これらの中でも、特に繰り返し部分の界面での応力分散が、耐衝撃性を向上させるのに有効であると考えられる。したがって、本発明の医療用多層フィルム100は、第1繰り返し積層部31および第2繰り返し積層部51と多くの層を有しているので、耐衝撃性が向上すると考えられる。
また、耐屈曲性に関しては、フィルムの柔軟性が向上するにつれて耐屈曲性は良好になる。したがって、厚い樹脂層を有している医療用多層フィルムよりも、薄い繰り返し部を複数有する本発明の医療用多層フィルム100は、耐屈曲性にも優れると考えられる。
これらの耐衝撃性および耐屈曲性が優れるために、本発明の医療用多層フィルム100は、耐衝撃性および耐ピンホール性を向上することができると考えられる。
次に、本発明の医療用多層フィルムの第2実施形態について説明する。
図2は、第2実施形態の医療用多層フィルム100を示す断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、本実施形態において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した構成部分と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態の医療用多層フィルム100では、コア層4を挟んで第1樹脂層3と第2樹脂層5とが非対称な構造となっている。
第1樹脂層3は、第1実施形態と同様に4層の第1繰り返し積層部31で構成されている。これに対して、第2樹脂層5は、2層の第2繰り返し部51で構成されている。これにより、第1樹脂層3側に耐ピンホール性がより要求される場合には、第1樹脂層3側の耐ピンホール性を維持した状態で、第2樹脂層5の厚さを薄くすることで、全体の厚さを薄くすることができる。
このように、第1樹脂層3および第2樹脂層5の少なくともいずれか一方の繰り返し積層部の積層数を制御することで、要求される耐ピンホール性と医療用多層フィルム100の厚さのバランスを図ることができる。
次に、本発明の医療用多層フィルムの第3実施形態について説明する。
図3は、第3実施形態の医療用多層フィルム100を示す断面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、本実施形態において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した構成部分と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第3実施形態の医療用多層フィルム100では、接着層2と第1樹脂層3との間に、厚さの異なる第1繰り返し積層部31’が設けられている。これにより、第1樹脂層3側の耐ピンホール性をより向上させることもできる。
このように、本発明の医療用多層フィルム100は、第1樹脂層3、コア層4および第2樹脂層5以外に、任意の層を設けることができる。
例えば、第1繰り返し積層部31および第2繰り返し積層部の厚さが、それぞれ異なる厚さで、第1樹脂層3および第2樹脂層5が形成されていても良い。
また、第1繰り返し積層部31を構成する第1ベース樹脂層311および第1接着層312の厚さが、それぞれ異なっていても良い。
また、同様に第2繰り返し積層部を構成する第2ベース樹脂層511および第2接着層512の厚さが、それぞれ異なっていても良い。
また、外層1およびシール層7を有さないものであっても良い。
また、コア層4が、第1樹脂層3および第2樹脂層5との間に複数設けられるものであっても良い。
上述したような医療用多層フィルム100は、例えば接着層2を有する外層1と、第1樹脂層3と、コア層4と、第2樹脂層5と、接着層6を有するシール層7とを別々に製造してから、これらをラミネーター等により接合することで得られる。なお、医療用多層フィルム100は、接着層2を有する外層1と、第1樹脂層3、コア層4、第2樹脂層5と、接着層6を有するシール層7とを空冷式もしくは水冷式共押出インフレーション法、または共押出Tダイ法で製膜することでも得られる。特に、共押出Tダイ法で製膜する方法は、医療用多層フィルム100の厚さの制御および透明性の点から好ましく、適切なフィードブロックとダイを使用することによって製膜することが可能である。
次に、医療用包装体について説明する。
図4は、本発明の医療用包装体の一例を示す断面図である。
図4に示される医療用包装体200は、蓋材201と、底材202とで構成される。底材202は、医療用多層フィルム100に凹部(ポケット)203が成形されることにより得られる。凹部203には、医薬品の内容物が収容される。凹部203に内容物が収容された後、蓋材201が底材202にシールされ、底材202の凹部203が密封される。
上述したような医療用多層フィルム100は、医療用包装体200の底材202に用いられる。なお、底材202は、医療用多層フィルム100を外層1が外側、シール層7が内側となるようにして形成される。
<医療用多層フィルムの製造>
医療用多層フィルム100を得るために、外層1を構成する樹脂としてポリプロピレン系樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL8115)を準備した。接着層2を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QF551)を準備した。第1繰り返し積層部31の第1ベース樹脂層311を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B)を、第1接着層312を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。コア層4を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B)およびEVOH樹脂(株式会社クラレ製、商品名:J171B)を準備した(コア層4は、ポリアミド樹脂層/EVOH樹脂層/ポリアミド樹脂層で構成)。第2繰り返し積層部51の第2ベース樹脂層511を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B)を、第2接着層512を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。接着層6を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてLLDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名:1520F)を準備した。
得られた得た医療用多層フィルムに、深絞り型全自動真空包装機(ムルチバック社製、型番:R530)を用いて、成形温度95℃の条件で、長辺155mm、短辺112mm、絞り深さ65mmの凹部(ポケット)を成形することで、底材を得た。
そして、蓋材201としてOPPフィルム(サン・トックス社製、商品名:PA20、厚さ30μm)と、アルミ蒸着を施した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム、厚さ12μm)及びLLDPEフィルム(品番ウルトゼックス2022L、(株)プライムポリマー製、厚さ30μm)をドライラミネート法により貼り合せ、上述の凹部を形成した底材とシール温度140℃の条件でシールし、医療用包装体200を得た。
第1繰り返し積層部31および第2繰り返し積層部51の積層数を8部とした以外は、実施例1と同様にした。
医療用多層フィルム100を得るために、ポリプロピレン系樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL8115)を準備した。接着層2を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QF551)を準備した。第1繰り返し積層部31の第1ベース樹脂層311を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B)を、第1接着層312を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学社製、商品名:NF536)を準備した。コア層4を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B)およびEVOH樹脂(株式会社クラレ製、商品名:J171B)を準備した(コア層4は、ポリアミド樹脂層/EVOH樹脂層/ポリアミド樹脂層で構成)。第2繰り返し積層部51の第2ベース樹脂層511を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B)を、第2接着層512を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学社製、商品名:NF536)を準備した。接着層6を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてLLDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名:1520F)を準備した。
そして、実施例1と同様の方法で医療用包装体を得た。
繰り返し積層部を有していない医療用多層フィルム(外層/接着層A/中間層A/コア層/中間層B/接着層B/シール層で構成)を用い、各層を以下のようにした。
外層を構成する樹脂としてポリプロピレン系樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL8115)を準備した。接着層Aを構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QF551)を準備した。コア層を構成する樹脂として、EVOH樹脂(株式会社クラレ製、商品名:J171B)を準備し、コア層を挟み込む形で、中間層Aおよび中間層Bにおいてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1030B)を準備した。接着層Bを構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてLLDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名:1520F)を準備した。
そして、実施例1と同様の方法で医療用包装体を得た。
作製した医療用多層フィルムを、幅100mm、長さ100mmにカットしたサンプルを作製した。この作製したサンプルを落錘衝撃試験機(インストロン製)にセットした。そして、φ10mmのストライカーを落下速度2.7m/秒で医療用多層フィルムの外層側およびシーラント側に衝突させた。この試験を20個のサンプルについてそれぞれ行い、フィルム貫通に必要なエネルギー量を算出した。算出には、JISK7124−2に準ずる方法で実施した。以下に貫通エネルギーを算出する式を示す。
まず、破壊時間までに、与えられる力積Pは、以下の式で求めた。
ASTMF392に準拠して、ゲルボフレックステスター(理学工業株式会社製)により、作成した医療用多層フィルムの耐屈曲性に関わる測定を行った。医療用多層フィルムのサンプルを、ゲルボフレックステスターの対向する直径8.8cmの2つの円板に巻き付けて固定した。そして、円筒状になった医療用多層フィルムにひねりを加えることで、屈曲処理を行った。この屈曲処理を温度20℃の条件で2000回、温度5℃の条件で1000回行った。この試験を10枚のサンプルについて行い、各サンプルの発生したピンホールの個数を数えた。そして、サンプル1枚あたりのピンホールの平均発生数を算出した。
JISK7126−2に準拠して、等圧法でオキシトラン(モコン社)にて、作成した医療用多層フィルムの耐酸素透過量に関わる測定を行った。25℃65%RHの条件で、作成した医療用多層フィルムのサンプル10枚について、酸素透過量を測定し、サンプル1枚あたりの平均酸素透過量を算出した。
<水蒸気バリア性>
40℃,90%の恒温恒湿層でサンプルを保管し、JIS−Z−0208のカップ法に基づいて測定した
プラスチック製のディスポーザブルシリンジ50mlを充填した医療用包装体のサンプルを、段ボール箱に詰めた。20℃の条件で、この段ボール箱1mの高さから、段ボールの各面についてそれぞれ5回ずつ、合計30回落下させた。段ボール箱を落下させた後、段ボール箱から医療用包装体を取り出し、底材の目視、および水中において底材から気泡が発生するか否かの観察によって、底材にピンホールが発生したか否かを確認した。この試験を30個のサンプルについて行い、ピンホールが発生したサンプルの個数を調べた。
また、実施例1および実施例2の医療用多層フィルムは、耐屈曲性においても優れていた。
また、実施例1および実施例2の医療用包装体は、耐ピンホール性にも優れていた。
さらに、実施例1および実施例2の医療用多層フィルムは、酸素バリア性にも優れていていた。
2 接着層
3 第1樹脂層
31 第1繰り返し部
311 第1ベース樹脂層
312 第1接着層
4 コア層
5 第2樹脂層
51 第2繰り返し部
511 第2ベース樹脂層
512 第2接着層
6 接着層
7 シール層
100 医療用多層フィルム
200 医療用包装体
201 蓋材
202 底材
203 凹部
Claims (12)
- 第1樹脂層と、コア層と、第2樹脂層とが、この順に積層されてなる医療用多層フィルムであって、
前記第1樹脂層は、第1ベース樹脂層および第1接着層で構成される第1繰り返し積層部が複数以上積層されてなり、
前記第2樹脂層は、第2ベース樹脂層および第2接着層で構成される第2繰り返し積層部が複数以上積層されてなり、
前記第1ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド系樹脂であることを特徴とする医療用多層フィルム。 - 前記第1接着層がポリエチレン系接着層である請求項1に記載の医療用多層フィルム。
- 前記第2ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド系樹脂である請求項1または2に記載の医療用多層フィルム。
- 前記第2接着層がポリエチレン系接着層である請求項1ないし3いずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 前記第1繰り返し積層部の積層数と、前記第2繰り返し積層部の積層数とが、同じ積層数である請求項1ないし4いずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 前記第1繰り返し積層部の積層数は、2部以上、20部以下である請求項1ないし5いずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 前記第2繰り返し積層部の積層数は、2部以上、20部以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 前記第1繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 前記第2繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 前記第1樹脂層のコア層の反対側の面には、外層が設けられるものである請求項1ないし9のいずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 前記第2樹脂層のコア層と反対側の面には、シール層が設けられるものである請求項1ないし10のいずれかに記載の医療用多層フィルム。
- 請求項1ないし11のいずれかに記載の医療用多層フィルムで構成されることを特徴とする医療用包装体。
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