JP2015024593A - 多層フィルムおよび包装体 - Google Patents

多層フィルムおよび包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP2015024593A
JP2015024593A JP2013156107A JP2013156107A JP2015024593A JP 2015024593 A JP2015024593 A JP 2015024593A JP 2013156107 A JP2013156107 A JP 2013156107A JP 2013156107 A JP2013156107 A JP 2013156107A JP 2015024593 A JP2015024593 A JP 2015024593A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
layer
multilayer film
resin layer
oxygen barrier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2013156107A
Other languages
English (en)
Inventor
彰良 大槻
Akiyoshi Otsuki
彰良 大槻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2013156107A priority Critical patent/JP2015024593A/ja
Publication of JP2015024593A publication Critical patent/JP2015024593A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】レトルト処理により低下した酸素バリア性の回復能に優れ、かつ耐ピンホール性にも優れた積層フィルムの提供。
【解決手段】第1樹脂層3と、酸素バリア層4と、第2樹脂層5とを有する多層フィルム100であって、前記第1樹脂層5は、第1ベース樹脂層311および第1接着層312で構成される第1繰り返し積層部31が2以上積層されてなり、前記第2樹脂層5は、第2ベース樹脂層511および第2接着層512で構成される第2繰り返し積層部51が2以上積層されてなり、前記酸素バリア層4は、酸素バリア性樹脂層42の両面に、ポリアミド樹脂層43が積層されたものであることを特徴とする多層フィルム100。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルムおよび包装体に関する。
高齢化社会におけるQOLの向上や、災害時のライフラインの確保の点から、常温でかつ長期に保存可能なレトルト食品が求められている。レトルト食品とは、レトルト(加圧加熱)殺菌処理された食品のことをいい、レトルト殺菌処理された商品は商業的な無菌状態にできることから、常温での流通が可能になる。レトルト食品包装用のフィルムとしては、例えば、接着剤層を介して2層以上のポリアミド層を含む多層ポリアミド層と、ガスバリア層と、接着剤層と、シーラント層とを含み、これらがこの順番で積層された複合フィルム等(例えば、特許文献1及び2)といった様々なフィルムが提案されている。
レトルト食品等の包装に使用される包装材料は、食品の味・鮮度等といった品質の保持の点から、酸素の透過を防止する酸素バリア性が要求されている。しかしながら、従来のフィルムでは、レトルト処理時にガスバリア層の酸素バリア性が低下し、また、低下した酸素バリア性の回復に長い時間を要するという問題がある。また、流通過程において振動または落下などで包装体に与えられる外部応力によって、包装体にピンホールが発生することを防ぐために、耐ピンホール性も必要である。耐ピンホール性を有する多層フィルムとして、各種延伸フィルムまたは肉厚の厚い未延伸多層フィルムが好適に用いられる(例えば、特許文献1参照)が、絞り成形を必要とする用途には、延伸は適さないため、未延伸の多層フィルムが好ましい。
また、包装体において、包装する内容物に応じて要求される耐ピンホール性は、耐衝撃性、耐屈曲性および耐突刺性と多岐にわたる。そのため、多面的な評価が不可欠である。
近年では環境負荷の低減のため、包装体に用いられる多層フィルムの厚さを従来の多層フィルムの厚さよりも薄くすることが望まれている。そのため、多層フィルムの構成を変更することで、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くする試みが多数提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このようなフィルムは、耐衝撃性を向上させるために、エラストマーを使用しており、深絞りを実施した際には、成形後に経時で成形戻りが発生してしまうリスクがあった。
また、特許文献2に記載のフィルムは、酸素バリア樹脂層を有していないため、酸化により内容物が劣化するという問題があった。
特開2005−289399号公報 特開2008−80509号公報
本発明の目的は、レトルト処理により低下した酸素バリア性の回復能に優れ、かつ耐ピンホール性にも優れた積層フィルムを提供することである。
このような目的は、下記(1)〜(13)に記載の本発明により達成される。
(1)第1樹脂層と、酸素バリア層と、第2樹脂層とを有する多層フィルムであって、前記第1樹脂層は、第1ベース樹脂層および第1接着層で構成される第1繰り返し積層部が2以上積層されてなり、前記第2樹脂層は、第2ベース樹脂層および第2接着層で構成される第2繰り返し積層部が2以上積層されてなり、前記酸素バリア層は、酸素バリア性樹脂層の両面に、ポリアミド樹脂層が積層されたものであることを特徴とする多層フィルム。
(2)前記酸素バリア性樹脂層が、ポリアミド樹脂とエチレン―ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物を含むものである上記(1)に記載の多層フィルム。
(3)前記樹脂組成物が、ポリアミド樹脂を5重量%以上、30重量%以下含むものである上記(2)に記載の多層フィルム。
(4)前記第1ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド樹脂である上記(1)ないし(3)いずれかに記載の多層フィルム。
(5)前記第1接着層がポリエチレン系樹脂を含むものである上記(1)ないし(4)いずれかに記載の多層フィルム。
(6)前記第2ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド樹脂である上記(1)ないし(5)いずれかに記載の多層フィルム。
(7)前記第2接着層がポリエチレン系樹脂を含むものである上記(1)ないし(6)いずれかに記載の多層フィルム。
(8)前記第1繰り返し積層部の積層数と、前記第2繰り返し積層部の積層数とが、同じ積層数である上記(1)ないし(7)いずれかに記載の多層フィルム。
(9)前記第1繰り返し積層部の積層数は、2以上、20以下である上記(1)ないし(8)いずれか1項に記載の多層フィルム。
(10)前記第2繰り返し積層部の積層数は、2以上、20以下である上記(1)ないし(9)いずれかに記載の多層フィルム。
(11)前記第1繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の多層フィルム。
(12)前記第2繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の多層フィルム。
(13)上記(1)ないし(12)いずれかに記載の多層フィルムで構成される包装体。
本発明によれば、一態様において、レトルト処理により低下した酸素バリア性の回復能に優れ、かつ耐ピンホール性にも優れた積層フィルムを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る多層フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る多層フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る多層フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る多層フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の多層フィルムを備える包装体の一例を示す断面図である。
本発明を以下に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の多層フィルム100の一例を示す断面図である。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る多層フィルム100は、外層1、接着層2、第1樹脂層3、酸素バリア層4、第2樹脂層5、接着層6およびシール層7がこの順で配置されている。
第1樹脂層3は、第1繰り返し積層部31が4部積層されている。第1繰り返し積層部31は、第1ベース樹脂層311および第1接着層312で構成されている。
また、第2樹脂層5は、第2繰り返し積層部51が4部積層されている。第2繰り返し積層部51は、第2ベース樹脂層511および第2接着層512で構成されている。
また、酸素バリア層4は、ポリアミド樹脂層41、酸素バリア性樹脂層42、ポリアミド樹脂層42がこの順で積層されている。
以下、多層フィルム100の各構成について、それぞれ詳しく説明する。
<外層>
外層1の材料としては、例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH樹脂」ともいう。)が挙げられる。
具体的に、内容物を包装した後の包装体に、加熱滅菌処理を行う場合、外層1は熱水および高温の蒸気に曝される。そのため、外層1の材料として、耐熱性の高いポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、または融点の高いポリエステル系樹脂、例えば、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などを用いることが好ましく、特に水蒸気バリア性の高いポリプロピレン系樹脂が好ましい。
外層1の材料のポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン系樹脂などが用いられる。具体的に、結晶性ポリプロピレン系樹脂として、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレンおよびα−オレフィンの少なくとも一方とプロピレンとの結晶性ブロック共重合体などが用いられる。上記のα−オレフィンとして、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜10のα−オレフィンが用いられる。なお、これらα−オレフィンは、任意の比率で共重合されてもよい。
外層1の材料のポリエステル系樹脂としては、例えば酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸、またはエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体などを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂などが使用される。具体的には、この飽和ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂などが用いられる。これらポリエステル系樹脂を用いることにより、包装体の見栄えおよび質感の少なくとも一方を向上させることができる。
また、ポリエステル系樹脂には、他の成分を共重合させてもよい。共重合させる成分としては、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分、またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分などが用いられる。
前記共重合させる酸成分として、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが用いられる。具体的には、共重合させる酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが用いられる。これらの酸成分は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
前記共重合させるアルコール成分およびフェノール成分として、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコール、2価以上のフェノール、またはエステル形成能を有するこれらの誘導体などが用いられる。具体的には、共重合させるアルコール成分およびフェノール成分として、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが用いられる。
前記共重合させるポリアルキレングリコール成分として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体など)付加物などの変性ポリオキシアルキレングリコール等が用いられる。
外層1の材料のポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、共重合樹脂であるカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)等といった結晶性ポリアミド、その主骨格がテレフタル酸およびイソフタル酸のうちの少なくとも一方とヘキサメチレンジアミンとが重合したもの、具体的には、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の共重合体などといった非晶性のポリアミド系樹脂が用いられる。これらの樹脂は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
外層1に用いるEVOH樹脂のエチレン共重合比率は、特に限定されないが、24モル%以上、44モル%以下であることが好ましい。エチレン共重合比率が24モル%以上のEVOH樹脂は、多層フィルム100の容器形状への加工性が良好であり、加熱水または蒸気の影響によって酸素バリア性が低下することを抑制できる。エチレン共重合比率が44モル%以下であるEVOH樹脂は、乾燥状況下における酸素バリア性が良好であり、内容物の変質が起こりにくくなる。
外層1の厚さは、特に限定されないが、3μm以上、100μm以下であることが好ましく、5μm以上、85μm以下であることがより好ましく、7μm以上、70μm以下であることがさらに好ましい。外層1の厚さが、前記範囲内であるとき、良好な外観の多層フィルム100を比較的安価で得ることができる。
さらに、内容物を包装した後の包装体に低温ボイル処理、例えば60℃以上、95℃以下程度の加熱滅菌処理を行う場合、外層1の材料として、上記と同様に、耐熱性の高いポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、融点の高いポリエステル系樹脂などが用いることが好ましい。
また、内容物を包装した後の包装体に加熱滅菌処理を行わない場合、包装体の見栄えおよび手にしたときの質感の少なくとも一方を向上させるために、光沢性や剛性が良好なポリエステル系樹脂、ラベル適性や剛性が良好なEVOH樹脂などが用いることが好ましい。ラベル適性とは、底材の底部に製品名の記載されたラベルが貼られるとき、このラベルが曲面に追従して貼り付け可能であり、かつ、貼り付け時から長時間経過しても剥がれ落ちにくい特性を指す。
<接着層2>
接着層2は、外層1と第1樹脂層3(複数の第1繰り返し積層部31)との間の接着強度、多層フィルム100の腰の強さ、耐ピンホール性、柔軟性または成形性などを向上させる。
接着層2の材料としては、公知の接着性樹脂、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、接着層2の材料として、例えば、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、ポリプロピレン等の各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸などが用いられる。二塩基性不飽和脂肪酸として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが用いられる。また、外層1にポリアミドを配置した場合においては、接着層2にポリアミド樹脂とEVOH樹脂との混合樹脂を配置してもよい。
接着層2の厚さは、特に限定されないが、2μm以上、50μm以下であることが好ましく、3μm以上、40μm以下であることがより好ましい。接着層2の厚さが、前記範囲内であるとき、良好な接着強度を付与した多層フィルム100を、比較的安価で得ることができる。
<第1樹脂層3>
第1実施形態の多層フィルム100で第1樹脂層3は、第1繰り返し積層部31が4部積層されてなり、それぞれの第1繰り返し積層部31は、第1ベース樹脂層311および第1接着層312で構成されている。これにより、耐ピンホール性を向上することができる。
第1繰り返し積層部31の積層数は、2以上であれば、特に限定されないが、2以上、20以下であることが好ましく、特に3以上、15以下であることがより好ましく、4以上、10以下であることが最も好ましい。これにより、多層フィルム100の薄膜化と、耐ピンホール性とのバランスを図ることができる。さらに、多層フィルム100の外観にも優れる。
第1ベース樹脂層311を構成する樹脂は、ポリアミド樹脂であることが好ましい。これにより、優れた成形性を維持しつつ、耐ピンホール性を向上することができる。
前記ポリアミド樹脂としては、例えばナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−6T、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とからなるナイロン−6I、ノナンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−9T、メチルペンタジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−M5T、カプロラクタムとラウリルラクタムとからなるナイロン−6,12等が挙げられる。さらに、上記の樹脂と、ナイロン−6、ナイロン−11、およびナイロン−12のうちの少なくとも1種との共重合体が用いられてもよい。これらの樹脂は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。また、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸またはその誘導体との重縮合反応で得られる非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)を用いても良い。なかでも、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10であることが好ましく、ナイロン−6、ナイロン−6,6であることがより好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
なお、外層1の材料にポリアミド系樹脂が用いられる場合、第1ベース樹脂層311の材料は、外層1と同じポリアミド樹脂が用いられてもよい。
第1ベース樹脂層311の各層の厚さは、特に限定されないが、0.05μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、19μm以下であることがより好ましく、0.2μm以上、18μm以下であることがさらに好ましい。第1ベース樹脂層311の各層の厚さが、前記範囲内である場合、多層フィルム100は、良好な外観および良好な耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
第1接着層312は、第1ベース樹脂層311と他の層とを接着する機能を有する。
第1接着層312の材料としては、例えばエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの中でもエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体が好ましい。
第1接着層312が、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体のような、ポリエチレン系樹脂を含むことにより、良好な外観および耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
前記エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体が用いられ、特にランダム共重合体が好ましい。これにより、接着性を向上することができる。
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体として、具体的にはEVOH樹脂、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE−g−MAH」という。)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA樹脂」という。)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(以下、「EMMA樹脂」という。)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(以下、「EEA樹脂」という。)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(以下、「EMA樹脂」という。)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(以下、「E−EA−MAH樹脂」という。)、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA樹脂」という。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA樹脂」という。)、アイオノマー(以下、「ION樹脂」という。)等が挙げられる。
特に、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体は、LLDPE−g−MAH、EMAA樹脂およびION樹脂のうちの少なくとも1つであることが好ましい。これにより、良好な耐衝撃性および耐ピンホール性を有することができ、それによって多層フィルム100は、従来の多層フィルムと同等の性能を維持しつつ、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
さらに、第1接着層312がエチレン−ビニルアルコール共重合体である場合、良好な耐衝撃性、耐ピンホール性および酸素バリア性を有し、それによって、多層フィルム100が、従来の多層フィルムと同等の耐衝撃性および耐ピンホール性を維持しつつ、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができることに加えて、酸素バリア性も示すことができる。
なお、ION樹脂は、エチレンと少量のアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体を、酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造にしたものを指す。
第1接着層312の各層の厚さは、特に限定されないが、0.4μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、19μm以下であることがより好ましく、0.6μm以上、18μm以下であることがさらに好ましい。第1接着層312の各層の厚さが前記範囲内である場合、多層フィルム100は、良好な外観および良好な耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
このような第1ベース樹脂層311および第1接着層312で構成される第1繰り返し積層部31の厚さは、それぞれ0.5μm以上、40μm以下であることが好ましく、1μm以上、35μm以下であることが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に耐ピンホール性に優れる。
<酸素バリア層4>
酸素バリア層4は、多層フィルム100に、酸素に対するバリア性や、120℃を超えるようなレトルト処理においても、多層フィルム100のレトルト処理により低下した酸素バリア性の回復能に優れた耐熱バリア性を多層フィルム100に付与するものである。
ここで、酸素バリア層4は、ポリアミド樹脂層41、酸素バリア性樹脂層42、ポリアミド樹脂層42がこの順で積層されている。
このように、酸素バリア性樹脂層42の両面にポリアミド樹脂層が積層されることにより、レトルト処理により低下した酸素バリア性がより早く回復される。
すなわち、レトルト処理により吸湿された水分は、酸素バリア性樹脂層42に保持されるが、本発明の一実施形態に係る多層フィルムは、ポリアミド樹脂層41と酸素バリア性樹脂層42、およびポリアミド樹脂層43と酸素バリア性樹脂層42との間に接着剤層のようなポリオレフィン樹脂で形成された防湿性を有する樹脂層を有さないことから、酸素バリア性樹脂層42に吸収された水分が速やかに排出され、それにより低下する酸素バリア性がより早く回復されるものと考えられる。
但し、本発明はメカニズムはこれに限定されない。
尚、酸素バリア性樹脂層42は、耐熱バリア性を多層フィルム100に付与するために、ポリアミド樹脂とエチレン―ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物を含むものであることが好ましい。
酸素バリア性樹脂層42が、ポリアミド樹脂とエチレン―ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物を有することにより、レトルト処理により低下した酸素バリア性のより早い回復が可能となる。
尚、前記樹脂組成物中のポリアミド樹脂の含有量は、5重量%以上、30重量%以下であることが好ましく、15重量%以上、25重量%以下であることがより一層好ましい。
前記樹脂組成物中のポリアミド樹脂の含有量が前記範囲内であることにより、EVOH樹脂の良好な酸素バリア性を保持しつつ、レトルト処理後の酸素バリア性の早い回復が可能となる。
前記EVOH樹脂のエチレン共重合比率は、特に限定されないが、20モル%以上、60モル%以下であることが好ましく、25モル%以上、50モル%以下であることがより好ましい。エチレン共重合比率が前記下限値未満の場合には押し出しが困難な傾向があり、前記上限値よりも高い場合には、酸素バリア性が低下する場合がある。
尚、ポリアミド樹脂層41および42を構成する樹脂としては、前記、段落0029に記載したものを好適に用いることができる。
酸素バリア層4の厚さは、特に限定されないが、1μm以上、30μm以下であることが好ましく、2μm以上、25μm以下であることがより好ましい。酸素バリア層4の厚さが、前記範囲内である場合、多層フィルム100は、良好な酸素バリア性を付与することができる。
<第2樹脂層5>
第1実施形態の多層フィルム100で第2樹脂層5は、第2繰り返し積層部51が4層積層されてなり、それぞれの第2繰り返し積層部51は、第2ベース樹脂層511および第2接着層512で構成されている。これにより、耐ピンホール性を向上することができる。
第2繰り返し積層部51の積層数は、2以上であれば、特に限定されないが、2以上、20以下であることが好ましく、特に3以上、15以下であることがより好ましく、4以上、10以下であることが最も好ましい。これにより、多層フィルム100の薄膜化と、耐ピンホール性とのバランスを図ることができる。さらに、多層フィルム100の外観にも優れる。
なお、第1繰り返し積層部31の積層数と第2繰り返し積層部52の積層数は、同じであっても異なっていても構わないが、同じであることが好ましい。これにより、良好な外観および耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
第2ベース層511を構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。これらの中でも、ポリアミド樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリエステル系樹脂の中から選ばれる1つ以上の樹脂が好ましく、特にポリアミド樹脂がより好ましい。これにより多層フィルム100の裏表面での耐ピンホール性を向上することができる。
第2ベース樹脂層511の各層の厚さは、特に限定されないが、0.05μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、19μm以下であることがより好ましく、0.2μm以上、18μm以下であることがさらに好ましい。第2ベース樹脂層511の各層の厚さが、前記範囲内である場合、多層フィルム100は、良好な外観および良好な耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
第2接着層512は、第2ベース樹脂層511と他の層とを接着する機能を有する。
第2接着層512の材料としては、第1接着層312と同じものであっても異なっていても良いが、同じものを用いることが好ましい。これにより、多層フィルム100の耐ピンホール性を向上することができる。
具体的には、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの中でもエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体が好ましい。これにより、良好な外観および耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
第2接着層512の各層の厚さは、特に限定されないが、0.4μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、19μm以下であることがより好ましく、0.6μm以上、18μm以下であることがさらに好ましい。第2接着層512の各層の厚さが前記範囲内である場合、多層フィルム100は、良好な外観および良好な耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。
このような第2ベース樹脂層511および第2接着層512で構成される第2繰り返し積層部51の厚さは、それぞれ0.5μm以上、40μm以下であることが好ましく、1μm以上、35μm以下であることが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に耐ピンホール性に優れる。
第1繰り返し部31の各層の平均厚さと第2繰り返し部51の各層の平均厚さは、同じであっても異なっていても良いが、同じであることが好ましい。これにより、酸素バリア層4を挟んで対称的な構造となり、両面の耐ピンホール性を同等にすることができる。
また、第1樹脂層3と第2樹脂層5とは、酸素バリア層4を挟んで、実質的に対称な構造となることが好ましい。これにより、第1樹脂層3側および第2樹脂層5側のいずれにおいても耐ピンホール性を向上することができ、それによって多層フィルム100の耐ピンホール性をより向上することができる。
<接着層6>
接着層6は、後述のシール層7と第2樹脂層5との間の接着強度を向上させる。また、多層フィルム100の腰の強さ、耐ピンホール性、柔軟性または成形性などを向上させることもできる。
接着層6の材料としては、上述した接着層2と同じものであっても異なっていても良い。
具体的には、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられ、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸などが用いられる。二塩基性不飽和脂肪酸として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが用いられる。
接着層6の厚さは、接着層2の厚さと同じであっても異なっていても構わない。
具体的に、接着層6の厚さは、特に限定されないが、2μm以上、70μm以下であることが好ましく、3μm以上、60μm以下であることがより好ましい。接着層6の厚さが、前記範囲内であるとき、良好な接着強度を付与した多層フィルム100を、比較的安価で得ることができる。
<シール層7>
シール層7は、耐内容物性の機能と、シールする相手材とのシール適性の機能とを有している。耐内容物性とは、内容物が薬品や油分を多く含む食品などの場合、この薬品や油分によってシール層7が相手材とのシール適性に係る機能を失わない性質のことを指す。
シール層7の材料としては、例えば蓋材のシーラント樹脂がポリエチレン系樹脂の場合、低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LDPE樹脂」という。)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LLDPE樹脂」という。)、中密度ポリエチレン樹脂(以下、「MDPE樹脂」という。)、高密度ポリエチレン樹脂(以下、「HDPE樹脂」という。)、ポリプロピレン樹脂(以下、「PP樹脂」という。)、EVA樹脂、EMMA樹脂、EEA樹脂、EMA樹脂、E−EA−MAH樹脂、EAA樹脂、EMAA樹脂、ION樹脂などの樹脂が用いられる。これら樹脂は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。特に、透明性およびシール強度などに優れる点で、LLDPE樹脂、およびEVA樹脂が好ましい。
また、蓋材のシーラント樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、シール層7の材料としては、ポリプロピレン系樹脂が望ましい。シール層7の材料のポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン系樹脂などが用いられる。具体的に、結晶性ポリプロピレン系樹脂として、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレンおよびα−オレフィンの少なくとも一方とプロピレンとの結晶性ブロック共重合体などが用いられる。上記のα−オレフィンとして、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜10のα−オレフィンが用いられる。なお、これらα−オレフィンは、任意の比率で共重合されてもよい。
シール層7は、イージーピール機能を付与させることもできる。これにより、多層フィルム100を包装体に用いた際に、簡便に開封することができる。イージーピール機能を付与するために、シール層7の材料として、例えば、EMAA樹脂またはEMMA樹脂などのエチレン共重合体10重量部以上、90重量部以下に、PP樹脂10重量部以上、90重量部以下を含有させたものが用いられる。エチレン共重合体を10重量部以上とすることで、シール層7は良好なイージーピール性を有する。エチレン共重合体を90重量部以下とすることで、シール層7のピール強度のばらつきが小さくなる。なお、シール層7は、イージーピール機能を有していなくてもよい。
シール層7の厚さは、特に限定されないが、2μm以上、80μm以下であることが好ましく、3μm以上、70μm以下であることがより好ましい。シール層7の厚さが、前記範囲内であるとき、良好な外観の多層フィルム100を比較的安価で得ることができる。
このような実施形態とすることにより、第1実施形態における多層フィルム100は、良好な耐ピンホール性を有することが明らかとなった。これにより、この多層フィルム100は、従来の多層フィルムと同等の性能を維持しつつ、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。さらには、良好な耐衝撃性を示すこともできる。
このように、従来の多層フィルムと比較して、第1実施形態における多層フィルム100が従来の多層フィルムより厚さを薄くして、かつ良好な耐ピンホール性を有することができる理由は、次のように考えられる。
まず、多層フィルム100の耐ピンホール性を良好にするには、多層フィルム100の耐衝撃性と、耐屈曲性とを向上させることが有効と思われる。多層フィルム100では、例えば外層1側からの衝撃に対しては、第1樹脂層31を構成する複数の第1繰り返し部31の内の最も外層1側にある第1繰り返し部31の衝撃に対する抵抗力、さらにその内側にある第1繰り返し部31の衝撃に対する抵抗力、酸素バリア層4の反対側に存在する第2繰り返し部51の衝撃に対する抵抗力および第1繰り返し部31の繰り返し界面での応力分散によって、耐衝撃性の程度が決定される。これらの中でも、特に繰り返し部分の界面での応力分散が、耐衝撃性を向上させるのに有効であると考えられる。したがって、本発明の多層フィルム100は、第1繰り返し積層部31および第2繰り返し積層部51と多くの層を有しているので、耐衝撃性が向上すると考えられる。
また、耐屈曲性に関しては、フィルムの柔軟性が向上するにつれて耐屈曲性は良好になる。したがって、厚い樹脂層を有している多層フィルムよりも、薄い繰り返し部を複数有する本発明の多層フィルム100は、耐屈曲性にも優れると考えられる。
これらの耐衝撃性および耐屈曲性が優れるために、本発明の多層フィルム100は、耐衝撃性および耐ピンホール性を向上することができると考えられる。
<第2実施形態>
次に、本発明の多層フィルムの第2実施形態について説明する。
図2は、第2実施形態の多層フィルム100を示す断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、本実施形態において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した構成部分と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態の多層フィルム100では、酸素バリア層4を挟んで第1樹脂層3と第2樹脂層5とが非対称な構造となっている。
第1樹脂層3は、第1実施形態と同様に4層の第1繰り返し積層部31で構成されている。これに対して、第2樹脂層5は、2層の第2繰り返し部51で構成されている。これにより、第1樹脂層3側に耐ピンホール性がより要求される場合には、第1樹脂層3側の耐ピンホール性を維持した状態で、第2樹脂層5の厚さを薄くすることで、全体の厚さを薄くすることができる。
このように、第1樹脂層3および第2樹脂層5の少なくともいずれか一方の繰り返し積層部の積層数を制御することで、要求される耐ピンホール性と多層フィルム100の厚さのバランスを図ることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の多層フィルムの第3実施形態について説明する。
図3は、第3実施形態の多層フィルム100を示す断面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、本実施形態において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した構成部分と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第3実施形態の多層フィルム100では、接着層2と第1樹脂層3との間に、厚さの異なる第1繰り返し積層部31’が設けられている。これにより、第1樹脂層3側の耐ピンホール性をより向上させることもできる。
このように、本発明の多層フィルム100は、第1樹脂層3、酸素バリア層4および第2樹脂層5以外に、任意の層を設けることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の多層フィルムの第2実施形態について説明する。
図4は、第4実施形態の多層フィルム100を示す断面図である。
以下、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、本実施形態において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した構成部分と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第4実施形態の多層フィルム100では、酸素バリア層4が、第1樹脂層3と外層1の間に位置する構造となっている。このような構造であることにより、多層フィルム100は、接着樹脂を介さずに、第1樹脂層3と酸素バリア層4、および外層1を配置することができるため、接着樹脂と被接着樹脂の界面での透明性の低下を抑制することができる。
また、第1樹脂層3と第2樹脂層5の間には、中間層8が配置される。ここで中間層8は、酸素バリア層4と同様の構成であってもよく、異なる構成であっても良い。
中間層8が酸素バリア層4と異なる構成である場合、中間層8を構成する樹脂としては、例えばポリアミド樹脂または接着性樹脂等が挙げられる。
このように、本発明の多層フィルム100は、酸素バリア層4を任意の位置に設けることができ、また複数設けることもできる。
本発明の多層フィルム100を構成する各層は、本発明の主旨を損ねない範囲において、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、樹脂改質剤、染料および顔料等着色剤、安定剤などの添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有しても良い。
このように、本が発明の多層フィルムを第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第1繰り返し積層部31および第2繰り返し積層部の厚さが、それぞれ異なる厚さで、第1樹脂層3および第2樹脂層5が形成されていても良い。
また、第1繰り返し積層部31を構成する第1ベース樹脂層311および第1接着層312の厚さが、それぞれ異なっていても良い。
また、同様に第2繰り返し積層部を構成する第2ベース樹脂層511および第2接着層512の厚さが、それぞれ異なっていても良い。
また、外層1およびシール層7を有さないものであっても良い。
また、酸素バリア層4が、第1樹脂層3および第2樹脂層5との間に複数設けられるものであっても良い。
<多層フィルムの製造方法>
上述したような多層フィルム100は、例えば接着層2を有する外層1と、第1樹脂層3と、酸素バリア層4と、第2樹脂層5と、接着層6を有するシール層7とを別々に製造してから、これらをラミネーター等により接合することで得られる。なお、多層フィルム100は、接着層2を有する外層1と、第1樹脂層3、酸素バリア層4、第2樹脂層5と、接着層6を有するシール層7とを空冷式もしくは水冷式共押出インフレーション法、または共押出Tダイ法で製膜することでも得られる。特に、共押出Tダイ法で製膜する方法は、多層フィルム100の厚さの制御および透明性の点から好ましく、適切なフィードブロックとダイを使用することによって製膜することが可能である。
<包装体>
次に、包装体について説明する。
図5は、本発明の包装体の一例を示す断面図である。
図5に示される包装体200は、蓋材201と、底材202とで構成される。底材202は、多層フィルム100に凹部(ポケット)203が成形されることにより得られる。凹部203には、内容物が収容される。凹部203に内容物が収容された後、蓋材201が底材202にシールされ、底材202の凹部203が密封される。
上述したような多層フィルム100は、包装体200の底材202に用いられる。なお、底材202は、多層フィルム100を外層1が外側、シール層7が内側となるようにして形成される。
蓋材201の材料として、例えば2軸延伸したポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、金属酸化物を蒸着した2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム)およびポリエチレン樹脂を積層したフィルム等が用いられる。
また、包装体200の底材202には、上述したように多層フィルム100を用いるので、包装体200は、良好な耐衝撃性および耐ピンホール性を有し、従来の多層フィルムよりも厚さを薄くすることができる。これにより、この包装体200は、使用時においては、良好な耐衝撃性および耐ピンホール性を示し、使用後においては、廃棄物となる多層フィルムの量を削減することができる。さらに、この包装体200は、良好な耐衝撃性および耐ピンホール性により、ピンホール形成による製品(内容物が収容された包装体)の廃棄のおそれを低減することができる。
本実施形態では、包装体200の底材202に多層フィルム100を用いたが、これに限定されず、蓋材に用いても、蓋材および底材の両方に多層フィルム100を用いても良い。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<多層フィルムの製造>
多層フィルム100を得るために、外層1を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022FDR3)を準備した。接着層2を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。第1繰り返し積層部31の第1ベース樹脂層311を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を、第1接着層312を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。酸素バリア層4を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)およびNY−EVOH混合樹脂(株式会社クラレ製、商品名:LR171B)を準備した(酸素バリア層4は、ポリアミド樹脂層/NY−EVOH混合樹脂層/ポリアミド樹脂層で構成)。第2繰り返し積層部51の第2ベース樹脂層511を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を、第2接着層512を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。接着層6を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QB550)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:S131)およびポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL6737)を積層したもの準備した。
外層1として前記ポリアミド系樹脂と、接着層2として前記接着性樹脂と、第1樹脂層3として第1ベース樹脂層311の前記ポリアミド樹脂および第1接着層312の前記接着性樹脂で構成される第1繰り返し積層部31を4部と、酸素バリア層4として前記ポリアミド樹脂、NY−EVOH混合樹脂およびポリアミド樹脂と、第2樹脂層5として第2ベース樹脂層511の前記ポリアミド樹脂および第2接着層512の前記接着性樹脂で構成される第2繰り返し積層部51を4部と、接着層6として前記接着性樹脂と、シール層7として前記ポリプロピレン系樹脂とを、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、外層1/接着層2/第1樹脂層3/酸素バリア層4/第2樹脂層5/接着層6/シール層7の順で積層された多層フィルム100を作製した。
実施例1の多層フィルム100では、第1樹脂層3の第1繰り返し積層部31の総数を4部とし、第2樹脂層5の第2繰り返し積層部51の総数を4部と、酸素バリア層4を軸に対称となるように配置した。多層フィルム100の全体の厚さは150μmであり、外層1の厚さは22.5μm、接着層2の厚さは7.5μm、接着層6の厚さは7.5μm、シール層7の厚さは、40.5μmであった。酸素バリア層4の厚さは15.9μm(NY−EVOH混合樹脂層の厚さ9.0μm、両面のポリアミド樹脂層の厚さそれぞれ3.45μm)、第1樹脂層3の合計の厚さは28.1μm、第2樹脂層5の合計の厚さは28.1μmであった。なお、第1繰り返し積層部31の平均の厚さは7.0μm、第2繰り返し積層部51の平均の厚さは7.0μmであった。
(実施例2)
<多層フィルムの製造>
多層フィルム100を得るために、外層1を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022FDR3)を準備した。接着層2を構成する樹脂としてNY−EVOH混合樹脂(株式会社クラレ製、商品名:LR171B)を準備した。第1繰り返し積層部31の第1ベース樹脂層311を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を、第1接着層312を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。酸素バリア層4を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)および接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した(酸素バリア層4は、ポリアミド樹脂層/接着性樹脂層/ポリアミド樹脂層で構成)。第2繰り返し積層部51の第2ベース樹脂層511を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を、第2接着層512を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。接着層6を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QB550)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:S131)およびポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL6737)を積層したもの準備した。
外層1として前記ポリアミド系樹脂と、接着層2としてNY−EVOH混合樹脂と、第1樹脂層3として第1ベース樹脂層311の前記ポリアミド樹脂および第1接着層312の前記接着性樹脂で構成される第1繰り返し積層部31を8部と、酸素バリア層4として前記ポリアミド樹脂、接着性樹脂およびポリアミド樹脂と、第2樹脂層5として第2ベース樹脂層511の前記ポリアミド樹脂および第2接着層512の前記接着性樹脂で構成される第2繰り返し積層部51を8部と、接着層6として前記接着性樹脂と、シール層7として前記ポリプロピレン系樹脂とを、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、外層1/接着層2/第1樹脂層3/酸素バリア層4/第2樹脂層5/接着層6/シール層7の順で積層された多層フィルム100を作製した。
実施例2の多層フィルム100では、第1樹脂層3の第1繰り返し積層部31の総数を4部とし、第2樹脂層5の第2繰り返し積層部51の総数を4部と、酸素バリア層4を軸に対称となるように配置した。多層フィルム100の全体の厚さは150μmであり、外層1の厚さは22.5μm、接着層2(NY−EVOH混合樹脂層)の厚さは9.0μm、接着層6の厚さは7.5μm、シール層7の厚さは、39.0μmであった。酸素バリア層4の厚さは15.9μm(接着性樹脂層の厚さ9.0μm、両面のポリアミド樹脂層の厚さそれぞれ3.45μm)、第1樹脂層3の合計の厚さは28.1μm、第2樹脂層5の合計の厚さは28.1μmであった。なお、第1繰り返し積層部31の平均の厚さは7.0μm、第2繰り返し積層部51の平均の厚さは7.0μmであった。
(比較例1)
外層1を構成する樹脂としてポリアミド系樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022FDR3)を準備した。接着層2を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。酸素バリア性樹脂層を構成する樹脂として、NY−EVOH混合樹脂(株式会社クラレ製、商品名:LR171B)を準備し、酸素バリア性樹脂層を挟み込むポリアミド樹脂層を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を準備した(酸素バリア層4は、ポリアミド樹脂層/NY−EVOH混合樹脂層/ポリアミド樹脂層で構成)。接着層6を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QB550)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:S131)およびポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL6737)を積層したもの準備した。
外層1として前記ポリアミド系樹脂と、接着層2として前記接着性樹脂と、ポリアミド樹脂層として前記ポリアミド樹脂と、酸素バリア性樹脂層として前記NY−EVOH混合樹脂と、接着層6として前記接着性樹脂と、シール層7として前記ポリプロピレン樹脂とを、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、外層1/接着層2/酸素バリア層4/接着層6/シール層7多層フィルムを作製した。
比較例1の多層フィルム100の全体の厚さは150μmであり、外層1の厚さは22.5μm、接着層2の厚さは36μm、酸素バリア層4の厚さは酸素バリア層4の厚さは43.5μm(NY−EVOH混合樹脂層の厚さ9.0μm、両面のポリアミド樹脂層の厚さは、それぞれ17.25μm)、接着層6の厚さは7.5μm、シール層の厚さは40.5μmであった。
(比較例2)
外層1を構成する樹脂としてポリアミド系樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022FDR3)を準備した。接着層2を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。酸素バリア性樹脂層を構成する樹脂として、EVOH樹脂(株式会社クラレ製、商品名:J171B)を準備し、酸素バリア性樹脂層を挟み込むポリアミド樹脂層を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を準備した(酸素バリア層4は、ポリアミド樹脂層/EVOH樹脂層/ポリアミド樹脂層で構成)。接着層6を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QB550)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:S131)およびポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL6737)を積層したもの準備した。
外層1として前記ポリアミド系樹脂と、接着層2として前記接着性樹脂と、ポリアミド樹脂層として前記ポリアミド樹脂と、酸素バリア性樹脂層として前記EVOH樹脂と、接着層6として前記接着性樹脂と、シール層7として前記ポリプロピレン樹脂とを、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、外層1/接着層2/酸素バリア層4/接着層6/シール層7多層フィルムを作製した。
比較例2の多層フィルム100の全体の厚さは150μmであり、外層1の厚さは22.5μm、接着層2の厚さは36μm、酸素バリア層4の厚さは酸素バリア層4の厚さは43.5μm(NY−EVOH混合樹脂層の厚さ9.0μm、両面のポリアミド樹脂層の厚さは、それぞれ17.25μm)、接着層6の厚さは7.5μm、シール層の厚さは40.5μmであった。
(比較例3)
多層フィルム100を得るために、外層1を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022FDR3)を準備した。
接着層2を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を準備した。第1繰り返し積層部31の第1ベース樹脂層311を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を、第1接着層312を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を準備した。
酸素バリア層4を構成する樹脂として、接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)およびNY−EVOH混合樹脂(株式会社クラレ製、商品名:LR171B)を準備した(酸素バリア層4は、接着性樹脂層/NY−EVOH混合樹脂層/接着性樹脂層で構成)。
第2繰り返し積層部51の第2ベース樹脂層511を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:NF536)を、第2接着層512を構成する樹脂としてポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製、商品名:1022B)を準備した。
接着層6を構成する樹脂として接着性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:QB550)を準備した。シール層7を構成する樹脂としてポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:S131)およびポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名:FL6737)を積層したもの準備した。
外層1として前記ポリアミド系樹脂と、接着層2として前記接着性樹脂と、第1樹脂層3として第1ベース樹脂層311の前記接着性樹脂および第1接着層312の前記ポリアミド樹脂で構成される第1繰り返し積層部31を4部と、酸素バリア層4として前記接着性樹脂、NY−EVOH混合樹脂および接着性樹脂と、第2樹脂層5として第2ベース樹脂層511の前記接着性樹脂および第2接着層512の前記ポリアミド樹脂で構成される第2繰り返し積層部51を4部と、接着層6として前記接着性樹脂と、シール層7として前記ポリプロピレン系樹脂とを、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、外層1/接着層2/第1樹脂層3/酸素バリア層4/第2樹脂層5/接着層6/シール層7の順で積層された多層フィルム100を作製した。
比較例3の多層フィルム100では、第1樹脂層3の第1繰り返し積層部31の総数を4部とし、第2樹脂層5の第2繰り返し積層部51の総数を4部と、酸素バリア層4を軸に対称となるように配置した。多層フィルム100の全体の厚さは150μmであり、外層1の厚さは22.5μm、接着層2の厚さは7.5μm、接着層6の厚さは7.5μm、シール層7の厚さは、40.5μmであった。酸素バリア層4の厚さは15.9μm(NY−EVOH混合樹脂層の厚さ9.0μm、両面の接着性樹脂層の厚さそれぞれ3.45μm)、第1樹脂層3の合計の厚さは28.1μm、第2樹脂層5の合計の厚さは28.1μmであった。なお、第1繰り返し積層部31の平均の厚さは7.0μm、第2繰り返し積層部51の平均の厚さは7.0μmであった。
実施例1、2および比較例1〜3で得られた積層フィルムについて評価を行った。評価は、レトルト処理前、及びレトルト処理後のそれぞれにおいて行った。評価は下記の方法で行った。評価の結果を表1に示す。
(1)レトルト処理
レトルト処理は、多層フィルムで作られた横300mm×縦300mmの袋に水を充填したパック品を楠ボイラ株式会社製加圧式熱水調理殺菌装置により、120℃で30分間行った。
(2)酸素透過度
酸素透過度は、JISK7126B法(等圧法)に基づき、MOCON社製酸素透過率測定装置により、25℃・65%RHで測定した。尚、酸素透過度の測定は、レトルト処理後、直ぐに測定装置にセットして計測を開始し、レトルト処理から3時間経過後の酸素透過度を測定した。
(3)引張強度
引張強度は、JISZ1702に基づき評価した。具体的には、株式会社オリエンテック社製引張試験機により測定した。尚、引張強度は、レトルト処理から1週間経過後に測定した。
(4)破断伸度
破断伸度は、JISZ1702に基づき評価した。具体的には、株式会社オリエンテック社製引張試験機により測定した。尚、破断伸度は、レトルト処理から1週間経過後に測定した。
(5)曇度
破断伸度は、JISK7136に基づき評価した。具体的には、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターにより測定した。尚、曇度は、レトルト処理から1週間経過後に測定した。
(6)耐屈曲性
耐ピンホール性は、ゲルボフレックス試験を行うことにより評価した。具体的には、テスター産業株式会社製ゲルボフレックステスターにより、MIL−B−131Cに従い、25℃で500回の屈曲テストを行った後、フィルムに生じたピンホールの個数を測定した。尚、耐屈曲性は、レトルト処理から1週間経過後に測定した。
(7)耐衝撃性
作製した多層フィルムを、幅100mm、長さ100mmにカットしたサンプルを作製した。この作製したサンプルを落錘衝撃試験機(インストロン製)にセットした。そして、φ10mmのストライカーを落下速度2.7m/秒で多層フィルムの外層側およびシーラント側に衝突させた。この試験を20個のサンプルについてそれぞれ行い、フィルム貫通に必要なエネルギー量を算出した。算出には、JISK7124−2に準ずる方法で実施した。
尚、耐衝撃性は、レトルト処理から1週間経過後に測定した。
また、破壊時間までに、与えられる力積Pは、以下の式で求めた。
次に、破壊までに、与えられる貫通エネルギーWは、以下の式で求めた。
表1から明らかなように、実施例1および2の多層フィルムは、繰り返し多層構造を持たない比較例1のフィルムと比較して、耐屈曲性および耐衝撃性が優れていた。また、実施例1および2の積層フィルムは、酸素バリア性樹脂層の両面に、ポリアミド樹脂層が積層されていない比較例3の積層フィルムと比較して、レトルト処理前後における引張強度、破断伸度、酸素バリア性及び曇度の変化が小さく、レトルト処理後においても優れた耐ピンホール性を示すことが確認できた。さらに、酸素バリア性樹脂にNY−EVOH混合樹脂を使用したフィルムは、比較例2の積層フィルムと比較して、レトルト処理により低下した酸素バリア性の回復が早く、レトルト処理後であっても十分に高い酸素バリア性を示すことが確認できた。
1 外層
2 接着層
3 第1樹脂層
31 第1繰り返し部
311 第1ベース樹脂層
312 第1接着層
4 酸素バリア層
41 ポリアミド樹脂層
42 酸素バリア性樹脂層
43 ポリアミド樹脂層
5 第2樹脂層
51 第2繰り返し部
511 第2ベース樹脂層
512 第2接着層
6 接着層
7 シール層
8 中間層
100 多層フィルム
200 包装体
201 蓋材
202 底材
203 凹部

Claims (13)

  1. 第1樹脂層と、酸素バリア層と、第2樹脂層とを有する多層フィルムであって、
    前記第1樹脂層は、第1ベース樹脂層および第1接着層で構成される第1繰り返し積層部が2以上積層されてなり、
    前記第2樹脂層は、第2ベース樹脂層および第2接着層で構成される第2繰り返し積層部が2以上積層されてなり、
    前記酸素バリア層は、酸素バリア性樹脂層の両面に、ポリアミド樹脂層が積層されたものであることを特徴とする多層フィルム。
  2. 前記酸素バリア性樹脂層が、ポリアミド樹脂とエチレン―ビニルアルコール共重合体とを含有する樹脂組成物を含むものである請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記樹脂組成物が、ポリアミド樹脂を5重量%以上、30重量%以下含むものである請求項2に記載の多層フィルム。
  4. 前記第1ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド樹脂である請求項1ないし3いずれか1項に記載の多層フィルム。
  5. 前記第1接着層がポリエチレン系樹脂を含むものである請求項1ないし4いずれか1項に記載の多層フィルム。
  6. 前記第2ベース樹脂層を構成する樹脂がポリアミド樹脂である請求項1ないし5いずれか1項に記載の多層フィルム。
  7. 前記第2接着層がポリエチレン系樹脂を含むものである請求項1ないし6いずれか1項に記載の多層フィルム。
  8. 前記第1繰り返し積層部の積層数と、前記第2繰り返し積層部の積層数とが、同じ積層数である請求項1ないし7いずれか1項に記載の多層フィルム。
  9. 前記第1繰り返し積層部の積層数は、2以上、20以下である請求項1ないし8いずれか1項に記載の多層フィルム。
  10. 前記第2繰り返し積層部の積層数は、2以上、20以下である請求項1ないし9いずれか1項に記載の多層フィルム。
  11. 前記第1繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の多層フィルム。
  12. 前記第2繰り返し積層部の各部の厚さが、それぞれ0.5μm以上、40μm以下である請求項1ないし11のいずれか1項に記載の多層フィルム。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の多層フィルムで構成される包装体。






















JP2013156107A 2013-07-26 2013-07-26 多層フィルムおよび包装体 Withdrawn JP2015024593A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013156107A JP2015024593A (ja) 2013-07-26 2013-07-26 多層フィルムおよび包装体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013156107A JP2015024593A (ja) 2013-07-26 2013-07-26 多層フィルムおよび包装体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015024593A true JP2015024593A (ja) 2015-02-05

Family

ID=52489653

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013156107A Withdrawn JP2015024593A (ja) 2013-07-26 2013-07-26 多層フィルムおよび包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015024593A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017128068A (ja) * 2016-01-21 2017-07-27 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2018062141A (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2018122487A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019059122A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP7484320B2 (ja) 2020-03-27 2024-05-16 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01253442A (ja) * 1987-12-29 1989-10-09 Kuraray Co Ltd ガスバリヤー性多層包装体
WO2011152015A1 (ja) * 2010-05-31 2011-12-08 住友ベークライト株式会社 多層フィルムおよび包装体
JP2013111822A (ja) * 2011-11-28 2013-06-10 Sumitomo Bakelite Co Ltd 多層フィルムおよび包装体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01253442A (ja) * 1987-12-29 1989-10-09 Kuraray Co Ltd ガスバリヤー性多層包装体
WO2011152015A1 (ja) * 2010-05-31 2011-12-08 住友ベークライト株式会社 多層フィルムおよび包装体
JP2013111822A (ja) * 2011-11-28 2013-06-10 Sumitomo Bakelite Co Ltd 多層フィルムおよび包装体

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017128068A (ja) * 2016-01-21 2017-07-27 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2018062141A (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2018122487A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019059122A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP7484320B2 (ja) 2020-03-27 2024-05-16 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5888628B2 (ja) 多層フィルムおよび包装体
AU2005201009B2 (en) Packaging films containing coextruded polyester and nylon layers
JP2016005875A (ja) 多層フィルム及び包装体
WO2015066570A1 (en) Delamination-resistant heat-shrinkable multilayer oxygen barrier film containing polyester
JP2013111822A (ja) 多層フィルムおよび包装体
JP2015024593A (ja) 多層フィルムおよび包装体
JP2007136914A (ja) 多層フィルム及びそれよりなる包装体
JP2016030406A (ja) 抗菌フィルムおよび包装体
JP6248570B2 (ja) 抗菌フィルムおよび包装体
JP2014208460A (ja) 医療用多層フィルムおよび医療品包装体
JP6822447B2 (ja) 多層フィルム及びそれよりなる包装体
JP5347419B2 (ja) 多層フィルム
JP7258090B2 (ja) ガゼット袋およびスパウト付ガゼット袋
JP5388515B2 (ja) 層間強度に優れた多層積層体
JP2019031039A (ja) 多層フィルム及びそれよりなる包装体
KR20150020262A (ko) 적층 필름
JP6303708B2 (ja) 抗菌フィルムおよび包装体
JP6070012B2 (ja) 多層フィルムおよび包装体
JP5549141B2 (ja) 多層フィルム
JP2010149380A (ja) ポリアミド系多層フィルム
JP6167586B2 (ja) 多層フィルムおよび包装体
JP7115523B2 (ja) 多層フィルム及びそれよりなる包装体
JP2011240977A (ja) 包装容器
JPH1076616A (ja) 共押出複合フィルム
JP6410074B2 (ja) 包装用多層フィルム、及び包装体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160630

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170404

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20170529