JP7484320B2 - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents

多層フィルム及び包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP7484320B2
JP7484320B2 JP2020058671A JP2020058671A JP7484320B2 JP 7484320 B2 JP7484320 B2 JP 7484320B2 JP 2020058671 A JP2020058671 A JP 2020058671A JP 2020058671 A JP2020058671 A JP 2020058671A JP 7484320 B2 JP7484320 B2 JP 7484320B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
multilayer film
pinhole
resistant layer
oxygen barrier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020058671A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021154653A (ja
Inventor
善亨 大矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2020058671A priority Critical patent/JP7484320B2/ja
Publication of JP2021154653A publication Critical patent/JP2021154653A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7484320B2 publication Critical patent/JP7484320B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、多層フィルム及び包装体に関する。
高齢化社会における生活の質の向上や、災害時のライフラインの確保の点から、常温でかつ長期に保存可能なレトルト食品が求められている。レトルト食品とは、レトルト(加圧加熱)殺菌処理された食品のことをいい、レトルト殺菌処理された商品は商業的な無菌状態にできることから、常温での流通が可能になる。
レトルト食品包装用のフィルムとしては、例えば、接着剤層を介して2層以上のポリアミド層を含む多層ポリアミド層と、ガスバリア層と、接着剤層と、シーラント層とを含み、これらがこの順番で積層された複合フィルム等(例えば、特許文献1及び2)といった様々なフィルムが提案されている。
レトルト食品等の包装に使用される包装材料は、食品の味・鮮度等といった品質の保持の点から、酸素の透過を防止する酸素バリア性が要求されている。
特開平3-136851号公報 特開平3-138149号公報
しかしながら、ガスバリア層が酸素バリア性を有する従来のフィルムでは、レトルト処理時にフィルム全体の透明性が低下するという問題があった。
本開示は上記事情を鑑みてなされたもので、酸素バリア性を有し、レトルト処理時の透明性の低下を抑制することができる多層フィルムと、これを用いた包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].酸素バリア層と、ポリアミド樹脂を含む耐ピンホール層と、ポリオレフィン樹脂を含むシーラント層と、がこの順に積層されており、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理してから24時間後のヘーズが30%以下である、多層フィルム。
[2].前記多層フィルムが、レトルト食品の包装用である、[1]に記載の多層フィルム。
[3].前記多層フィルムを、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理したとき、レトルト処理後の前記多層フィルムの酸素透過度と、レトルト処理前の前記多層フィルムの酸素透過度との差が、5ml/m・24hr・atm以下である、[1]または[2]に記載の多層フィルム。
[4].前記耐ピンホール層が、第1耐ピンホール層と第2耐ピンホール層とを備え、前記耐ピンホール層において、前記酸素バリア層側から、前記第1耐ピンホール層と、前記第2耐ピンホール層と、がこの順に積層されている多層フィルムであって、前記第1耐ピンホール層を、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理したとき、前記第1耐ピンホール層のレトルト処理前後における引張強度の変化率が25%以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[5].前記多層フィルムが、前記酸素バリア層の、前記耐ピンホール層側とは反対側の面上に、さらに外層を備え、前記外層がポリオレフィン樹脂を含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[6].前記外層が、延伸されていない、[5]に記載の多層フィルム。
[7].前記多層フィルムが、前記酸素バリア層と前記耐ピンホール層との間に、さらにアンカーコート層を備えている、[1]~[6]のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[8].[1]~[7]のいずれか1つに記載の多層フィルムを備えた包装体。
本発明の多層フィルムは、酸素バリア層と、ポリアミド樹脂を含む耐ピンホール層と、ポリオレフィン樹脂を含むシーラント層と、がこの順に積層されており、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理してから24時間後のヘーズが10~30%である。
多層フィルム1がこのような構成を備えることで、酸素バリア性を有し、レトルト処理時の透明性の低下を抑制することができる。
また、本発明の包装体は、上記多層フィルムを備えるため、酸素バリア性を有し、レトルト処理時の透明性の低下を抑制することができる。
本実施形態の多層フィルムの断面模式図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である多層フィルム及び包装体について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<多層フィルム>
本実施形態の多層フィルムの構成について説明する。図1は、本実施形態の多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム1は、外層2と、酸素バリア層3と、アンカーコート層4と、耐ピンホール層5(第1耐ピンホール層51及び第2耐ピンホール層52)と、接着層6と、シーラント層7とを備え、これらがこの順に積層されて概略構成されている。
多層フィルム1は、レトルト処理等の加圧加熱殺菌処理を行う包装用途として用いることができる。多層フィルム1は、肉類、生麺、加工食品、及び漬物等の食品を包装するために使用でき、特にレトルト食品の包装用として用いることができる。
本実施形態において「レトルト処理」とは、食品を長期保存させるために、例えば、圧力1.3~3.0kgf/cm、温度100~130℃において、3~60分間、加圧加熱することをいう。
多層フィルム1は、レトルト処理前における酸素透過度が、0.5~20ml/m・24hr・atmであることが好ましく、0.5~10ml/m・24hr・atmであることがより好ましく、0.5~5ml/m・24hr・atmであることがさらに好ましい。
多層フィルム1は、例えば、上記のように、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理したとき、レトルト処理後における酸素透過度が、0.5~25ml/m・24hr・atmであることが好ましく、0.5~15ml/m・24hr・atmであることがより好ましく、0.5~10ml/m・24hr・atmであることがさらに好ましい。
多層フィルム1は、例えば、上記のように、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理したとき、レトルト処理後の多層フィルム1の酸素透過度と、レトルト処理前の多層フィルム1の酸素透過度との差が、5ml/m・24hr・atm以下であることが好ましく、3ml/m・24hr・atm以下であることがより好ましく、1ml/m・24hr・atm以下であることがさらに好ましい。
なお、レトルト処理前後における多層フィルム1の場合に限らず、フィルムの酸素透過度は、JIS K7126B法(等圧法)により測定できる。
多層フィルム1を用いて深絞り包装体を成形した場合に、多層フィルム1は絞り深さ10mmで成形できることが好ましく、絞り深さ50mmで成形できることがより好ましい。
このような成形性を示す多層フィルム1は、成形性に優れる。
多層フィルム1は、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理してから24時間後のヘーズが30%以下である。また、10~30%であることが好ましく、10~20%であることがより好ましく、10~15%であることがさらに好ましい。
120℃で30分間レトルト処理してから24時間後の多層フィルム1のヘーズが上記範囲内であれば、多層フィルム1は透明性に優れる。
上記のようなヘーズの多層フィルム1を得る方法としては、例えば、レトルト処理時の吸湿や結晶化による白化が少ない樹脂を選定することが挙げられる。
多層フィルム1の厚さは、50~300μmであることが好ましく、80~250μmであることがより好ましく100~200μmであることがさらに好ましい。
多層フィルム1の厚さが前記下限値以上であることで、多層フィルム1の強度を向上させることができる。一方、多層フィルム1の厚さが前記上限値以下であることで、多層フィルム1が過剰な厚さとなることが抑制される。
[外層]
多層フィルム1は、酸素バリア層3の、耐ピンホール層5側とは反対側の面上に、さらに外層を備えていることが好ましい。外層2は、多層フィルム1の一方側の最表層である。外層2は、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
外層2がポリオレフィン樹脂を含み、このポリオレフィン樹脂の熱膨張率が、多層フィルム1の他方側の最表層であるシーラント層6に含まれるポリオレフィン樹脂の熱膨張率と一致又は近似することにより、レトルト処理後の多層フィルム1のカールを抑制することができる。
外層2は、ポリオレフィン樹脂を1種類含むものであってもよいし、2種類以上を含むものであってもよい。
外層2に含まれるポリオレフィン樹脂としては、具体的には、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。ポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の中では、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンは、ポリオレフィン樹脂の中でも汎用樹脂であるため、低コスト化が可能である。
外層2中のポリオレフィン樹脂の含有量は、外層2の総質量に対して、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、95~100質量%であることがさらに好ましい。
外層2中のポリオレフィン樹脂の含有量が上記範囲内であれば、レトルト処理後のカールを抑制する効果をより向上させることができる。
外層2は、延伸されていないことが好ましい。外層2が延伸されていないことにより、多層フィルム1の成形性を向上させることができる。
外層2の厚さは、5~90μmであることが好ましく、8~60μmであることがより好ましく、10~40μmであることがさらに好ましい。
外層2の厚さは、多層フィルム1の総厚の5%以上30%以下であることが好ましく、8%以上25%以下であることがより好ましく、10%以上20%以下であることがさらに好ましい。
外層2の厚さまたはその比率が上記範囲内であれば、製膜過程において外観不良の発生を抑制することができる。
[酸素バリア層]
酸素バリア層3は、外層2とアンカーコート層4との間に、これらに隣接するようにして積層されている。
酸素バリア層3により、多層フィルム1に優れた酸素バリア性が付与される。そのため、多層フィルム1を用いて包装体を形成した場合、外層2側からの包装体内部への酸素の侵入を抑制することができる。
酸素バリア層3の酸素透過度は、20ml/m・24hr・atm以下であることが好ましく、10ml/m・24hr・atm以下であることがより好ましく、5ml/m・24hr・atm以下であることがさらに好ましい。
酸素バリア層3は、ポリ塩化ビニリデンを含むことが好ましい。
酸素バリア層3がポリ塩化ビニリデンを含むことにより、多層フィルム1に対して優れた酸素バリア性を付与することができる。
酸素バリア層3中のポリ塩化ビニリデンの含有量は、酸素バリア層3の総質量に対して、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、95~100質量%であることがさらに好ましい。
酸素バリア層3中のポリ塩化ビニリデンの含有量が上記範囲内であれば、多層フィルム1に対して、より優れた酸素バリア性を付与することができる。
酸素バリア層3は、酸素バリア性を有する公知の樹脂、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)等を含んでいてもよい。
酸素バリア層3の厚さは、5~100μmであることが好ましく、10~50μmであることがより好ましく、15~30μmであることがさらに好ましい。
酸素バリア層3の厚さは、多層フィルム1の総厚の1%以上40%以下であることが好ましく、5%以上30%以下であることがより好ましく、10%以上20%以下であることがさらに好ましい。
酸素バリア層3の厚さまたはその比率が上記下限値以上であることにより、多層フィルム1の酸素バリア性が向上する。一方、酸素バリア層3の厚さまたはその比率が上記上限値以下であることにより、生産性(特に低コスト化)を向上することができる。
[アンカーコート層]
多層フィルム1は、酸素バリア層3と耐ピンホール層5との間に、さらにアンカーコート層4を備えていることが好ましい。
多層フィルム1がアンカーコート層4を備えていることにより、酸素バリア層3と耐ピンホール層5との密着性が高まり、この層間での剥離を防止することができる。
アンカーコート層4は、ポリエステルウレタン樹脂を含むことが好ましい。
アンカーコート層4がポリエステルウレタン樹脂を含むことにより、酸素バリア層3と耐ピンホール層5との密着性をより向上させることができる。
アンカーコート層4は、ポリエステルウレタン樹脂を1種類含むものでもよいし、2種類以上を含むものであってもよい。
アンカーコート層4中のポリエステルウレタン樹脂の含有量は、アンカーコート層4の総質量に対して、10~100質量%であることが好ましく、30~90質量%であることがより好ましく、60~80質量%であることがさらに好ましい。
アンカーコート層4中のポリエステルウレタンの含有量が上記範囲内であれば、酸素バリア層3と耐ピンホール層5との密着性をより向上させることができる。
アンカーコート層4は、その他、ポリ塩化ビニリデン等を含んでいてもよい。
アンカーコート層4の厚さは、0.1~5μmであることが好ましく、0.2~3μmであることがより好ましく、0.3~1μmであることがさらに好ましい。
アンカーコート層4の厚さまたはその比率が上記下限値以上であることにより、酸素バリア層3と耐ピンホール層5との密着性がより向上する。一方、アンカーコート層4の厚さまたはその比率が上記上限値以下であることにより、生産性(特に低コスト化)を向上することができる。
[耐ピンホール層]
耐ピンホール層5は、アンカーコート層4と接着層6との間に隣接するようにして積層されている。耐ピンホール層5により、多層フィルム1の耐ピンホール性(耐衝撃性)を向上させることができる。また、この多層フィルム1を用いて包装体を作製することにより、レトルト処理した際に生じる強度の低下を抑制することができる。
耐ピンホール層5は、ポリアミド樹脂を含む。
耐ピンホール層5が、ポリアミド樹脂を含むことで、多層フィルム1の耐ピンホール性を向上することができる。また、この多層フィルム1を用いて包装体を作製することにより、レトルト処理した際に生じる強度の低下を抑制することができる。
耐ピンホール層5は、ポリアミド樹脂を1種類含むものでもよいし、他の樹脂と併せて2種類以上を含むものでもよい。
また、耐ピンホール層5には、ポリアミド樹脂以外にその他の樹脂が含まれていてもよい。その他の樹脂としては、例えば、レトルト処理後のカールを抑制する観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いてもよい。
耐ピンホール層5に含まれるポリアミド樹脂としては、具体的には、例えば、3員環以上のラクタム、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られるポリアミド樹脂等が挙げられる。
3員環以上のラクタムとしては、具体的には、例えば、ε-カプロラクタム、ω-エナントラクタム、ω-ラウロラクタム、α-ピロリドン、及びα-ピペリドン等が挙げられる。
アミノ酸としては、具体的には、例えば、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
ナイロン塩を構成するジアミンとしては、具体的には、例えば、脂肪族アミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミン等が挙げられる。脂肪族アミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。脂環族ジアミンとしては、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、及び2,2-ビス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミン等が挙げられる。
ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、具体的には、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族カルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等が挙げられる。脂環族カルボン酸としては、ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,2-体、1,3-体、1,4-体、1,5-体、1,6-体、1,7-体、1,8-体、2,3-体、2,6-体、又は2,7-体)等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、具体的には、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、及び66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー等が挙げられる。中でも、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易性の点から、6-ナイロン、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12、及びナイロン6/66/12等が好ましい。
また、耐ピンホール層5は酸化防止剤を含んでいてもよい。
耐ピンホール層5に含まれる酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルとしては、下記式(I)で表されるヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル等が挙げられる。
Figure 0007484320000001
式(I)において、Rは、炭素数1~3のアルキル基を示し、中でも熱安定性の点から、メチル基が好ましい。ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルとしては、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフエニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-エチルフエニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、及び3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-イソプロピルフエニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン等が挙げられる。
式(I)で表わされるヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルは、3-(3-アルキル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、又はその酸塩化物若しくは酸無水物等の反応性誘導体と、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン類とを公知の方法で反応させることにより製造することができる。
フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤は、公知のものが使用できる。リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、及びテトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンフォスファイト等が挙げられる。
耐ピンホール層5中のポリアミド樹脂の含有量は、耐ピンホール層5の総質量に対して、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、95~100質量%であることがさらに好ましい。
耐ピンホール層5中のポリアミド樹脂の含有量が上記範囲内であれば、多層フィルム1の耐ピンホール性(耐衝撃性)をより向上することができる。
耐ピンホール層5における、酸化防止剤の含有量は特に限定されるものではないが、レトルト処理後の多層フィルムの強度の低下をより低減でき、また耐ピンホール性に優れる点から、ポリアミド樹脂100質量部に対して、酸化防止剤を0.01~1.0質量部含むことが好ましく、0.01~0.5質量部含むことがより好ましく、0.05~0.25質量部含むことが特に好ましい。
耐ピンホール層5の厚さは、20~100μmであることが好ましく、30~80μmであることがより好ましく、40~60μmであることがさらに好ましい。
耐ピンホール層5の厚さの比率は、多層フィルム1の総厚の10~60%であることが好ましく、15~50%であることがより好ましく、20~40%であることがさらに好ましい。
耐ピンホール層5の厚さまたはその比率が上記範囲内であれば、フィルムの強度向上と柔軟性を両立させることができる。
多層フィルム1は、耐ピンホール層5が、第1耐ピンホール層51と第2耐ピンホール層52とを備えていることが好ましい。
多層フィルム1は、耐ピンホール層5において、酸素バリア層3側から、第2耐ピンホール層52と、第1耐ピンホール層51と、がこの順に積層されていてもよいが、ここにここ示すように、酸素バリア層3側から、第1耐ピンホール層51と、第2耐ピンホール層52と、がこの順に積層されていることが好ましい。
耐ピンホール層5において、酸素バリア層3側から、第1耐ピンホール層51と、第2耐ピンホール層52と、がこの順に積層されていると、外層2側に第1耐ピンホール層51が位置するため、多層フィルム1の耐ピンホール性(耐衝撃性)をより向上させることができる。
(第1耐ピンホール層)
第1耐ピンホール層51は、熱水による加水分解を抑制するために、ポリアミド樹脂と、酸化防止剤とを含むことが好ましい。ポリアミド樹脂・酸化防止剤は、例えば前記記載のものを任意に使用することができる。
第1耐ピンホール層51が、前記記載の構成となることにより、多層フィルム1の耐ピンホール性(耐衝撃性)をより向上させることができる。
第1耐ピンホール層51を、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理したとき、第1耐ピンホール層51のレトルト処理前後における引張強度の変化率は、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
第1耐ピンホール層51がこのような物性を備えることで、多層フィルム1の耐ピンホール性(耐衝撃性)をより向上させることができる。
第1耐ピンホール層51の引張強度は、JIS Z1702により測定できる。
第1耐ピンホール層51の厚さは、5~25μmであることが好ましく、8~20μmであることがより好ましく、10~15μmであることがさらに好ましい。
第1耐ピンホール層51の厚さの比率は、多層フィルム1の総厚の3~15%であることが好ましく、4~13%であることがより好ましく、5~10%であることがさらに好ましい。
第1耐ピンホール層51の厚さの比率は、耐ピンホール層5の厚さの10~40%であることが好ましく、15~35%であることがより好ましく、20~30%であることがさらに好ましい。
第1耐ピンホール層51の厚さまたはその比率が上記範囲内であれば、多層フィルム1の耐ピンホール性(耐衝撃性)をより向上させることができる。
(第2耐ピンホール層)
第2耐ピンホール層52に含まれるポリアミド樹脂としては、具体的には、例えば、耐ピンホール層5に含まれる通常のポリアミド樹脂を用いることができ、ナイロンであってもよい。
第2耐ピンホール層が、通常のポリアミド樹脂を含むことにより、生産性(特に低コスト化)を向上することができる。
通常のポリアミド樹脂としては、具体的には、例えば、前記記載のポリアミド樹脂を使用することができ、この層には酸化防止剤は含まなくてもよい。
第2耐ピンホール層52の厚さは、15~75μmであることが好ましく、22~60μmであることがより好ましく、30~45μmであることがさらに好ましい。
第2耐ピンホール層52の厚さの比率は、多層フィルム1の総厚の7~45%であることが好ましく、11~37%であることがより好ましく、15~30%であることがさらに好ましい。
第2耐ピンホール層52の厚さの比率は、耐ピンホール層5の厚さの60~90%であることが好ましく、65~85%であることがより好ましく、70~80%であることがさらに好ましい。
第2耐ピンホール層52の厚さまたはその比率が上記範囲内であれば、生産性(特に低コスト化)を向上することができる。
第1耐ピンホール層51の厚さと、第2耐ピンホール層52の厚さとの比率は、1:1.5~1:9であることが好ましく、1:2~1:6であることがより好ましく、1:2~1:3であることがさらに好ましい。
第1耐ピンホール層51の厚さと第2耐ピンホール層52の厚さとの合計値は、上述の耐ピンホール層5の厚さの条件を満たすことが好ましい。
[接着層]
接着層6は、耐ピンホール層5とシーラント層7との間に、これらに隣接するようにして積層されている。
接着層6により、耐ピンホール層5とシーラント層7との層間の接着力が高まり、この層間での剥離を防止することができる。
接着層6は接着性樹脂を含む樹脂層である。接着層6に含まれる接着性樹脂としては、特に制限されないが、酸変性されたポリオレフィン樹脂、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、及びポリウレタン化合物等が挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び環状オレフィン等が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレンが好ましい。
接着層6は、接着性樹脂を1種類含むものでもよいし、2種類以上を含むものでもよい。
接着層6の厚さは、1~60μmであることが好ましく、2~40μmであることがより好ましく、3~20μmであることがさらに好ましい。
接着層6の厚さの比率は、多層フィルム1の総厚の1%以上20%以下であることが好ましく、2%以上15%以下であることがより好ましく、3%以上10%以下であることがさらに好ましい。
接着層6の厚さまたはその比率が上記範囲内であれば、層間の接着強度が向上し、成形時の層間剥がれの抑制効果が向上する。
[シーラント層]
シーラント層7は、多層フィルム1の外層2の反対側の最表層である。シーラント層7は、シーラント層7同士、又は他の部材と接着することができる。接着方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等が挙げられる。このように、シーラント層7を備える多層フィルム1同士、又は他の部材と接着することにより、包装体を形成することができる。
シーラント層7は、ポリオレフィン樹脂を含む。
シーラント層7がポリオレフィン樹脂を含むことにより、シーラント層7同士を、又は他の部材と容易に接着することができる。
シーラント層7は、ポリオレフィン樹脂を1種類含むものであってもよいし、2種類以上を含むものであってもよい。
シーラント層7に含まれるポリオレフィン樹脂は、ホモポリマー及び共重合体のいずれであってもよく、前記共重合体はブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれであってもよい。
シーラント層7に含まれるポリオレフィン樹脂としては、具体的には、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。ポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の中では、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンは、ポリオレフィン樹脂の中でも汎用樹脂であるため、低コスト化が可能である。
シーラント層7中のポリオレフィン樹脂の含有量は、シーラント層7の総質量に対して、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、95~100質量%であることがさらに好ましい。
シーラント層7中のポリオレフィン樹脂の含有量が上記範囲内であれば、シーラント層6同士を、又は他の部材と容易に接着することができる。
シーラント層7は、イージーピール機能、すなわち開封時の剥離性に優れた機能を有していてもよい。イージーピール機能を有するとは、例えば、ヒートシールされた部分のヒートシール強さをJIS Z 0238に従って測定した場合に、1N/15mm以上10N/15mm未満であることを表す。
シーラント層7の厚さは、5~100μmであることが好ましく、10~80μmであることがより好ましく、15~50μmであることがさらに好ましい。
シーラント層7の厚さは、多層フィルム1の総厚の10%以上35%以下であることが好ましく、13%以上30%以下であることがより好ましく、15%以上25%以下であることがさらに好ましい。
シーラント層7の厚さまたはその比率が上記範囲内であれば、シール性能を充分発揮することができるとともに、イージーピール機能を有する場合であっても剥離不良が発生することがない。
シーラント層7は、1層であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。シーラント層7が2層以上の多層構造である場合、シーラント層7は、ホモポリマーまたはブロック共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層と、ランダム共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層とが積層されていてもよい。
シーラント層7として、ランダム共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層を備えることにより、多層フィルム1のシール性をさらに向上させることができる。
シーラント層7中、ランダム共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層と、ホモポリマーまたはブロック共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層とは、シーラント層7側から外層2側へ向けてこの順に積層されていてもよいし、外層2側からシーラント層7側へ向けてこの順に積層されていてもよいが、シーラント層7側から外層2側へ向けてこの順に積層されていることが好ましい。
シーラント層7中、ランダム共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層と、ホモポリマーまたはブロック共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層とが、シーラント層7側から外層2側へ向けてこの順に積層されていると、シーラント層7側にランダム共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層が位置するため、多層フィルム1のシール性をさらに向上させることができると同時に、外層2側のホモポリマーまたはブロック共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層によって多層フィルム1に高い耐衝撃性を付与することができる。
シーラント層7中、ホモポリマーまたはブロック共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層と、ランダム共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層とは、合計で2層であってもよいし、交互に1回以上繰り返して積層した構成であってもよい。
ホモポリマーまたはブロック共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層の厚さは、シーラント層7の総厚の55%以上85%以下であることが好ましく、60%以上80%以下であることがより好ましく、65%以上75%以下であることがさらに好ましい。
ランダム共重合体のポリオレフィン樹脂を含む層の厚さは、シーラント層7の総厚の15%以上45%以下であることが好ましく、20%以上40%以下であることがより好ましく、25%以上35%以下であることがさらに好ましい。
<多層フィルムの製造方法>
次に、上述した多層フィルム1の製造方法の一例について説明する。
上述した多層フィルム1の製造方法は、特に限定されるものではないが、数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法やマルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法、及びラミネート法が挙げられる、この中でも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
その後の工程として、各層を形成する単層のシート又はフィルムを適当な接着剤を用いて貼り合せるドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法、ウエットラミネート法、サーマル(熱)ラミネート法等、及びそれらの方法を組み合わせて用いられる。また、コーティングによる方法で積層してもよい。
<包装体>
次に、本発明を適用した一実施形態である包装体の構成の一例について説明する。本実施形態の包装体は、上述した多層フィルム1を備えている。すなわち、本実施形態の包装体は、上述した多層フィルム1を軟化させ、これを真空成形又は圧空成形することにより成型された包装体である。本実施形態の包装体は、具体的には、深絞り包装体等が挙げられる。
深絞り包装とは、包装容器に用いる一対のフィルムのうち一方のフィルムを深絞り包装機の容器形成部で製品に適した形に凹み成形して底材とし、成形した底材の中に製品を収容した後、蓋材となる他方のフィルムをかけて脱気すると共に、一対の上記フィルムの当接部分をヒートシールしてなる包装形態である。
<包装体の使用方法>
次に、上述した包装体の使用方法について説明する。上述した包装体の使用方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には、先ず、包装体の中に食品を封入する。次に、例えば、圧力1.4~2.5kgf/cm、95~121℃、1~60分の条件で加圧加熱処理をする(レトルト処理)。その後、常温に戻すことにより、長期に保存可能なレトルト食品ができあがる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述した多層フィルム1では、外層2と、酸素バリア層3と、アンカーコート層4と、耐ピンホール層5(第1耐ピンホール層51及び第2耐ピンホール層52)と、接着層6と、シーラント層7とを備えて構成される例について説明したが、各層の間や最表層に、別の機能を有する層を新たに設けてもよい。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<多層フィルムの作製>
以下に示すようにして、実施例1~3並びに比較例1及び2の多層フィルムを作製した。
(実施例1)
実施例1の多層フィルムとして、上述した図1に示す構成の多層フィルムを作製した。
外層に含まれる樹脂として、ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、品番:FS2011DG3)を用意した。
酸素バリア層に含まれる樹脂として、ポリ塩化ビニリデン(旭化成(株)製、品番:サランラテックスL-509)を用意した。
アンカーコート層に含まれる樹脂として、ポリエステルウレタン樹脂(東洋紡(株)製、品番:バイロンUR-1350)を用意した。
第1耐ピンホール層に含まれる樹脂として、6-ナイロン(宇部興産(株)製、品番:1022FDR3)を用意した。
第2耐ピンホール層に含まれる樹脂として、6-ナイロン(宇部興産(株)製、品番:1030B)を用意した。
接着層に含まれる樹脂として、ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製、品番:QF551)を用意した。
シーラント層に含まれる樹脂として、ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、品番:FS2011DG3)を用意した。
次に、第1耐ピンホール層と、第2耐ピンホール層と、接着層と、シーラント層とを、この順番で共押出成形した。共押出成形において、溶融樹脂を固化させるロールの温度は40℃とした。
上記で得られたフィルムの第1耐ピンホール層上に、塗布量2g/m・dryになるようにアンカーコート層をコーティングした。また、アンカーコート層上に、塗布量16g/m・dryになるように酸素バリア層をラテックスコーティングした。さらに、酸素バリア層上に、機械速度30m/分で、外層をドライラミネートして、多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの総厚は150μmであった。多層フィルムの総厚に対する、各層の厚さの比率は、外層が20%、酸素バリア層が15%、アンカーコート層が0.3%、第1耐ピンホール層が6.7%、第2耐ピンホール層が30%、接着層が8%、シーラント層が20%であった。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(実施例2)
酸素バリア層の厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
参考例3)
多層フィルムに、アンカーコート層、酸素バリア層、及び外層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(比較例1)
多層フィルムに外層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(比較例2)
多層フィルムの酸素バリア層を、エチレンビニルアルコール共重合体(クラレ社製「エバール F171B」)とした以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
<レトルト処理>
レトルト処理は、実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した多層フィルムで作られた横300mm×縦300mmの袋に水を充填したパック品を楠ボイラ株式会社製加圧式熱水調理殺菌装置(TOC-1)により、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間行った。結果を表1に示す。
<酸素バリア性の評価>
実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した多層フィルムについて、レトルト処理前後における酸素バリア性の評価を行った。酸素バリア性の評価は、圧力1気圧の条件下で、25℃、60%RHの雰囲気下における、24時間当たりの酸素透過量を測定することにより行った。
酸素透過量の測定は、酸素透過率測定装置(例えば、MOCON社製、「OX-TRAN MODEL 2/21」等)を用いて、JIS K 7126B法に記載の方法に準拠して行った。結果を表1に示す。
<成形性の評価>
成形性の評価は、連続深絞り包装機(MULTIVAC R535)により行った。具体的には、実施例1~3並びに比較例1及び2の多層フィルムを用いて深絞り包装体を成形した場合に、絞り深さ10mmで成形できれば成形性があり、絞り深さ50mmで成形できれば成形性が良好であると評価した。結果を下記の表1に示す。
<ヘーズの評価>
実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した多層フィルムについて、レトルト処理してから24時間後にヘーズの評価を行った。ヘーズの評価は、多層フィルムの外層側から、JISK7136に基づき評価した。具体的には、日本電色工業株式会社製ヘーズメーター(NDH2000)により測定した。結果を下記の表1に示す。
<カール防止性の評価>
実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した多層フィルムを備えた試験片を作製した。具体的には、前記多層フィルムを、平面形状が10mm×50mmの大きさの長方形に打ち抜いて、試験片を作製した。常温環境下で前記試験片を平面上に静置した。前記試験片における四隅の、前記平面からの高さの平均値(mm)を測定した。前記平面からの高さの平均値が小さければ、カール防止性が良好であると評価した。結果を下記の表1に示す。
<内容物の視認性の評価>
実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した多層フィルムにて、包装体を作製した。具体的には、前記多層フィルムを、横100mm×縦100mmの袋にイワシの醤油煮(100g)を封入したパック品を作製し、レトルト処理してから23℃/24時間保管し、パックした状態で外部からの見た目を評価した。結果を表1に示す。外部結果を表1に示す。
評価基準は以下の通りである。
〇:食品が新鮮な見た目を維持している。
×:曇りにより、食品が劣化したように見える。
<内容物の色調変化の評価>
実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した多層フィルムにて、包装体を作製した。具体的には、前記多層フィルムを、横100mm×縦100mmの袋にマグロの油漬け(100g、初期の色調:薄いピンク色)を封入したパック品を作製し、レトルト処理してから23℃・240時間保管し、中身を取り出して見た目を評価した。結果を表1に示す。
評価基準は以下の通りである。
〇:薄いピンク色を保持する。
△:やや褐色に変色する。
×:褐色に変色する。
Figure 0007484320000002
表1に示すように、実施例1の多層フィルムは、実施例2及び3、並びに比較例1及び2の多層フィルムよりも酸素バリア性が良好であることが確認された。
また、実施例1及び2の多層フィルムは、参考例3、並びに比較例1及び2と比較した場合に、レトルト処理後の酸素バリア性の低下が抑制されていた。
さらに、実施例1及び2の多層フィルムは、参考例3及び比較例1の多層フィルムよりもカール防止性が改善されていることが確認された。
また、実施例1~3の多層フィルムは、比較例1及び2よりもレトルト処理後の透明性が担保できており、内容物の視認性が良好であることが確認された。
さらに、実施例1の多層フィルムは、実施例2及び3、並びに比較例1及び2の多層フィルムよりも内容物の色調変化が少ないことが確認された。
本発明の多層フィルムは、包装体、特に加熱殺菌処理が必要な食品用の包装体の材料として利用可能性がある。また、本発明の包装体は、食品、特に加熱殺菌処理が必要な食品等を包装するための包装袋、包装容器などへの利用可能性がある。
1…多層フィルム
2…外層
3…酸素バリア層
4…アンカーコート層
5…耐ピンホール層
51…第1耐ピンホール層
52…第2耐ピンホール層
6…接着層
7…シーラント層

Claims (6)

  1. ポリ塩化ビニリデンを含む酸素バリア層と、
    ポリアミド樹脂を含む耐ピンホール層と、
    ポリオレフィン樹脂を含むシーラント層と、がこの順に積層されており、
    圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理してから24時間後のヘーズが30%以下である、多層フィルムであって、
    前記多層フィルムが、前記酸素バリア層の、前記耐ピンホール層側とは反対側の面上に、さらに外層を備え、
    前記外層がポリプロピレンを含み、
    前記外層が、延伸されていない、多層フィルム
  2. 前記多層フィルムが、レトルト食品の包装用である、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記多層フィルムを、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理したとき、レトルト処理後の前記多層フィルムの酸素透過度と、レトルト処理前の前記多層フィルムの酸素透過度との差が、5ml/m・24hr・atm以下である、請求項1または2に記載の多層フィルム。
  4. 前記耐ピンホール層が、第1耐ピンホール層と第2耐ピンホール層とを備え、
    前記耐ピンホール層において、前記酸素バリア層側から、前記第1耐ピンホール層と、前記第2耐ピンホール層と、がこの順に積層されている多層フィルムであって、
    前記第1耐ピンホール層を、圧力2.5kgf/cm、120℃で30分間レトルト処理したとき、前記第1耐ピンホール層のレトルト処理前後における引張強度の変化率が25%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 前記多層フィルムが、前記酸素バリア層と前記耐ピンホール層との間に、さらにアンカーコート層を備えている、請求項1~のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の多層フィルムを備えた包装体。
JP2020058671A 2020-03-27 2020-03-27 多層フィルム及び包装体 Active JP7484320B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020058671A JP7484320B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 多層フィルム及び包装体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020058671A JP7484320B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 多層フィルム及び包装体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021154653A JP2021154653A (ja) 2021-10-07
JP7484320B2 true JP7484320B2 (ja) 2024-05-16

Family

ID=77916648

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020058671A Active JP7484320B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 多層フィルム及び包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7484320B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007136984A (ja) 2005-11-22 2007-06-07 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性積層フィルム
WO2009119024A1 (ja) 2008-03-26 2009-10-01 ユニチカ株式会社 ガスバリアー性二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムおよびその製造方法
JP2015024593A (ja) 2013-07-26 2015-02-05 住友ベークライト株式会社 多層フィルムおよび包装体
JP2018062141A (ja) 2016-10-14 2018-04-19 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019059122A (ja) 2017-09-27 2019-04-18 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007136984A (ja) 2005-11-22 2007-06-07 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性積層フィルム
WO2009119024A1 (ja) 2008-03-26 2009-10-01 ユニチカ株式会社 ガスバリアー性二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムおよびその製造方法
JP2015024593A (ja) 2013-07-26 2015-02-05 住友ベークライト株式会社 多層フィルムおよび包装体
JP2018062141A (ja) 2016-10-14 2018-04-19 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019059122A (ja) 2017-09-27 2019-04-18 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021154653A (ja) 2021-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7939150B2 (en) Lid stock using oriented fluoropolymers
US7337593B2 (en) Method of forming a blister package including a fluoropolymer layer
US20180111359A1 (en) Multi-ply films for sterilization or pasteurization processes
JP2006281675A (ja) 易開封性共押出フィルムならびに該フィルムを用いた蓋材および深絞り成形容器
JP2008087293A (ja) 複合フィルム、ならびに該複合フィルムを用いた深絞り成型用底材、および深絞り包装体
JP6728707B2 (ja) 多層フィルム及び包装体
JP7484320B2 (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2018062141A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP7404631B2 (ja) 多層フィルム及び包装体
US10406788B2 (en) Co-extruded film
JP2023167822A (ja) 積層フィルム及び包装体
JP2018122487A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2023167823A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2022026118A (ja) 積層フィルム及び包装体
JP2023167821A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP6981508B2 (ja) 透明多層フィルム及び包装体
JP2023074227A (ja) 積層フィルム及び包装体
JP5878339B2 (ja) 深絞り包装体
JP2018099818A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2023074228A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2024001555A (ja) 積層フィルム及び包装体
JP2023074226A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2023074225A (ja) 積層フィルム及び包装体
JP2024054571A (ja) 透明多層フィルム及び包装体
JP6613633B2 (ja) 深絞り用多層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7484320

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150