JP2024054571A - 透明多層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】イージーピール性の長尺の蓋材と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、底材からの剥がれを抑制できる蓋材を構成可能なフィルムの提供。【解決手段】少なくともイージーピール層11を備えた透明多層フィルム1であって、イージーピール層11は、ホットメルト接着剤を含有し、幅が25.4mm、厚さが6μmであるイージーピール層11の試験片と、厚さが200μmであるポリチレンテレフタレート製フィルムとを、シール温度140℃で2秒、加熱シールした場合の、前記加熱シール後0.22秒でのホットタック強度をH140とし、前記加熱シール後24時間でのシール強度をS140としたとき、前記H140が1N/25.4mm以上であり、前記S140が3N/25.4mm以上である、透明多層フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、透明多層フィルム及び包装体に関する。
食品用の包装体としては、例えば、トレーが蓋材によってシールされて構成された包装体(トレーを備えた包装体)、深絞り成形されている底材が蓋材によってシールされて構成された包装体(深絞り包装体)、等が知られている。前記トレー、底材及び蓋材としては、いずれも樹脂製のものが使用可能である。
食品用の包装体の中でも、蓋材が透明なものは、包装された食品を包装体の外部から蓋材を介して視認できるため、需要が多い。
一方、蓋材を構成するフィルムに対しては、トレー又は底材に対するイージーピール性、酸素の透過を抑制するバリア性、耐ピンホール性等を有することが求められる。
そこで、通常は、蓋材を構成するフィルムとして、透明多層フィルムが利用される。
上述のトレーを備えた包装体によって、食品を包装する場合には、典型的には、食品を載置した状態のトレーと、長尺の蓋材とを、トレーごとに順次加熱シールし、加熱シール後に直ちに、トレーごとに蓋材を切断する包装方法が採用される。
これに対して、上述の深絞り包装体によって、食品を包装する場合には、典型的には、収納部を形成するめの凹部が長手方向に配列されている長尺の底材(底材の連結体)と、長尺の蓋材とを用い、これらを、食品を収納しつつ、これらの長手方向において順次加熱シールし、すべての加熱シールの終了後に、形成した収納部ごとに、長尺の蓋材及び底材を切断する包装方法が採用される。
上記のいずれの包装方法でも、トレー又は長尺の底材と、長尺の蓋材と、の加熱シールは、蓋材に特定値以上の張力を加えながら、さらに、収納部を形成する領域に、食品と不活性ガスを充填しながら行う。
このとき、トレーを備えた包装体の場合には、長尺の蓋材は、その加熱シール後に直ちに切断するため、加熱シールされた蓋材に張力が加わり続けることがない。
これに対して、深絞り包装体の場合には、長尺の蓋材及び底材の切断は、個々の加熱シールの終了後(換言すると、個々の収納部の形成後)直ちに行われる訳ではなく、すべての加熱シールが終了した後に行われる。そのため、この切断までの間に、加熱シールされた長尺の蓋材には、張力が加わり続ける。すると、この間、食品の収納部において、不活性ガスが充填されているために内圧が高くなっているのに加え、上記のように長尺の蓋材には張力が加わっているために、加熱シールされた長尺の蓋材は、長尺の底材から剥がれ易い状態となっている。そのため、蓋材と底材との間でシールが維持されている部位の面積が小さくなったり、最悪の場合には、蓋材と底材との間に隙間が生じてしまう。特に、底材の周縁部のうち、最終的に角部となる領域においては、蓋材が底材から剥がれ易い。
このような加熱シール時での、蓋材のトレー又は底材からの剥がれ難さ(剥がれ易さ)の度合いは、蓋材とトレー又は底材との間のホットタック強度(Hot tack strength)を指標とすることで、判断できる可能性がある。
ホットタック強度は、例えば、自動充填包装機を用いて目的物を充填包装する場合の、充填適性を評価する際の指標として利用できることが開示されている(特許文献1参照)。
特開2004-177269号公報
近年では、循環型社会の実現へ向けた取り組みから、資源の再利用(リサイクル)が求められるようになっており、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、各種の樹脂の中でも再利用技術が最も進んでいる。食品用の包装体の分野でも、樹脂の再利用が望まれており、ポリエチレンテレフタレートを含有するトレー又は底材と、多層フィルムで構成された蓋材と、を用いた包装体が検討されている。
しかし、ポリエチレンテレフタレートを含有する底材と、イージーピール性の蓋材と、を加熱シールしたときのシール強度は、高くすることが困難であるという問題点があった。特に、深絞り包装体の場合には、上記のとおり、その製造過程の段階から蓋材が底材から剥がれ易く、このような問題点が顕著であった。そして、特許文献1には、このように深絞り包装体を製造するときの、蓋材の底材からの剥がれを抑制する具体的な手段については、開示されていない。
本発明は、イージーピール性の長尺の蓋材と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、底材からの剥がれを抑制できる蓋材を構成可能なフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1] 少なくともイージーピール層を備えた透明多層フィルムであって、前記イージーピール層は、ホットメルト接着剤を含有し、幅が25.4mm、厚さが6μmである前記イージーピール層の試験片と、厚さが200μmであるポリチレンテレフタレート製フィルムとを、シール温度140℃で2秒、加熱シールした場合の、前記加熱シール後0.22秒でのホットタック強度をH140とし、前記加熱シール後24時間でのシール強度をS140としたとき、前記H140が1N/25.4mm以上であり、前記S140が3N/25.4mm以上である、透明多層フィルム。
[2] 前記ホットメルト接着剤がテルペン系樹脂である、[1]に記載の透明多層フィルム。
[3] JIS K 7136:2000に準拠して測定された、前記透明多層フィルムのヘーズが、20%以下である、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[4] 前記透明多層フィルムが、さらに、柔軟層を備えている、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[5] 前記透明多層フィルムが、さらに、中間層を備えている、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[6] 前記透明多層フィルムが、さらに、酸素バリア層を備えている、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[7] 前記透明多層フィルムが、さらに、柔軟層と、中間層と、酸素バリア層と、を備え、前記柔軟層と前記中間層が、前記イージーピール層と、前記酸素バリア層と、の間に配置されている、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[8] 前記柔軟層が、前記イージーピール層に隣接して配置されている、[4]に記載の透明多層フィルム。
[9] 前記透明多層フィルムが、前記酸素バリア層の前記中間層側とは反対側に、さらに、プロピレン系重合体、ポリアミド又はポリエステルを含有する外層を備えている、[7]に記載の透明多層フィルム。
[10] JIS C 2139-3-1:2018に準拠して測定された、前記イージーピール層の表面抵抗率が、1×10~1×1014Ω/□である、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[11] 前記イージーピール層が防曇剤を含有する、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[12] 前記中間層がポリアミドを含有する、[5]に記載の透明多層フィルム。
[13] 前記ポリアミドが、バイオマス由来のポリアミドである、[12]に記載の透明多層フィルム。
[14] 前記柔軟層がポリエチレンを含有する、[4]に記載の透明多層フィルム。
[15] 前記ポリエチレンが、バイオマス由来のポリエチレンである、[14]に記載の透明多層フィルム。
[16] [1]又は[2]に記載の透明多層フィルムを備えた、包装体。
本発明によれば、イージーピール性の長尺の蓋材と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、底材からの剥がれを抑制できる蓋材を構成可能なフィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<透明多層フィルム>>
本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムは、少なくともイージーピール層を備えた透明多層フィルムであって、前記イージーピール層は、ホットメルト接着剤を含有し、幅が25.4mm、厚さが6μmである前記イージーピール層の試験片と、厚さが200μmであるポリチレンテレフタレート製フィルム(本明細書においては、「試験用PETフィルム」と略記することがある)とを、シール温度140℃で2秒、加熱シールした場合の、前記加熱シール後0.22秒でのホットタック強度をH140とし、前記加熱シール後24時間でのシール強度をS140としたとき、前記H140が1N/25.4mm以上であり、前記S140が3N/25.4mm以上である。
本実施形態の透明多層フィルムは、その全体が透明性を有する。
ホットタック強度とは、加熱シール直後に、シール部分の樹脂成分が溶融状態にあるときの、シール部分の剥離強度であり、市販品のホットタック強度測定器を用いて、測定できる。ホットタック強度の測定方法は、後ほど詳しく説明する。
本実施形態の透明多層フィルムは、包装体を構成するものとして好適であり、なかでも、深絞り包装体を構成する蓋材として用いるのに、特に好適である。
深絞り包装体とは、収納部を構成するための凹部が深絞り成形によって設けられた樹脂製の底材と、蓋材と、が加熱シール等によって接合されて、構成された包装体である。
本実施形態の透明多層フィルムは、イージーピール層がホットメルト接着剤を含有し、上述のH140とS140の条件を満たすことにより、前記試験用PETフィルムをはじめとするポリチレンテレフタレート製フィルムとの密着性に優れている。したがって、本実施形態の透明多層フィルムを、深絞り包装体を構成する長尺の蓋材として使用し、この蓋材と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれを抑制できる。
本明細書においては、特に断りのない限り、「蓋材の底材からの剥がれ」とは、「深絞り包装体を製造するときの、蓋材の底材からの剥がれ」を意味する。
本実施形態の透明多層フィルムは、加熱シールによって製造される包装体であれば、深絞り包装体以外の他の包装体の製造にも使用できる。すなわち、本実施形態の透明多層フィルムの用途は、深絞り包装体に限定されない。例えば、本実施形態の透明多層フィルムを蓋材として使用し、この蓋材とトレーを加熱シールすることによって、包装体(トレーを備えた包装体)を製造することもできる。
140及びS140の測定対象である前記試験片は、前記透明多層フィルム中の前記イージーピール層自体、又は、前記透明多層フィルム中の前記イージーピール層と同じ組成を有し、かつ別途作製された試験用のイージーピール層を用いて、幅が25.4mm、厚さが6μmに調節されたものである。
140は、前記イージーピール層の試験片と、試験用PETフィルムとを、シール温度140℃で加熱シールした場合の、前記加熱シール後0.22秒で測定される剥離強度(N/25.4mm)であり、公知の方法で測定できる。
このとき、イージーピール層の試験片の一方の面の全面を、試験用PETフィルムの一方の面と重ね合わせて、この状態でこれらを加熱シールする。
140は、前記イージーピール層の試験片と、試験用PETフィルムと、の加熱シール物のシール部位が、固化していない状態で測定する、前記加熱シール物の剥離強度である。
140の測定時には、イージーピール層の試験片と、試験用PETフィルムと、の加熱シール時において、シール圧力は0.473Paとすることができ、シール時間は2秒とすることができる。
剥離強度(H140)は、加熱シール後に、イージーピール層の試験片を、試験用PETフィルムから剥離することによって、測定できる。このときの引張速度は、33.3mm/sとすることができ、剥離時の、イージーピール層の試験片と、試験用PETフィルムと、の為す角度(剥離角度)を、90°とすることができる。
試験用PETフィルムは、その厚さが200μmであり、上記のようなイージーピール層の試験片との加熱シールと、イージーピール層の試験片の剥離と、が可能であれば、その大きさは特に限定されない。
140は、前記イージーピール層の試験片と、試験用PETフィルムとを、シール温度140℃で加熱シールした場合の、前記加熱シール後24時間で測定される剥離強度(N/25.4mm)であり、公知の方法で測定できる。
140は、前記イージーピール層の試験片と、試験用PETフィルムとを、シール温度140℃で加熱シールし、この加熱シールを行ってから、加熱シール物を剥離するまでの時間を、0.22秒に代えて24時間とする点以外は、S140の場合と同じ方法で測定できる。S140は、前記加熱シール物を常温下で24時間経過させてから、測定することが好ましい。
140は、前記イージーピール層の試験片と、試験用PETフィルムと、の加熱シール物のシール部位が、十分に固化している状態で測定する、前記加熱シール物の剥離強度である。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
140は1N/25.4mm以上であり、例えば、2N/25.4mm以上、2.5N/25.4mm以上、及び3.5N/25.4mm以上のいずれかであってもよい。H140が前記下限値以上であることで、長尺の蓋材(前記透明多層フィルム)と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれが高度に抑制される。
長尺の前記透明多層フィルムを蓋材として用い、長尺の底材を用いて、深絞り包装体を製造する場合には、例えば、収納部を形成するめの凹部が長手方向に配列されている長尺の底材(底材の連結体)と、長尺の蓋材と、を用い、この長尺の蓋材に特定値以上の張力を加えながら、さらに、収納部を形成する領域に、不活性ガスと包装対象物を充填しながら、長尺の蓋材と、長尺の底材とを、これらの長手方向において順次加熱シールする。そして、すべての加熱シールの終了後に、形成した収納部ごとに、長尺の蓋材及び底材を切断することにより、目的とする深絞り包装体が得られる。この製造方法では、長尺の蓋材及び底材の切断は、個々の加熱シールの終了後(換言すると、個々の収納部の形成後)直ちに行われる訳ではないため、すべての加熱シールが終了する(換言すると、長尺の蓋材及び底材の切断を開始する)までの間には、加熱シールされた長尺の蓋材には、張力が加わり続ける。さらに、この間、収納部は、不活性ガスが充填されているために内圧が高くなっている。さらに、ポリエチレンテレフタレートを含有する底材と、イージーピール性の蓋材と、を加熱シールしたときのシール強度は、通常、高くすることが困難である。したがって、従来の長尺の蓋材を用いた場合には、これら張力と、内圧と、蓋材の構成材料と、の影響で、加熱シールされた長尺の蓋材は、底材から剥がれ易い状態となっており、蓋材と底材との間でシールが維持されている部位の面積が小さくなったり、最悪の場合には、蓋材と底材との間に隙間が生じてしまう。特に、長尺の底材の周縁部のうち、最終的に角部となる領域においては、蓋材が底材から剥がれ易い。これに対して、本実施形態の透明多層フィルムからなる長尺の蓋材を用いた場合には、このような、包装体の製造過程における蓋材の底材からの剥がれが抑制される。
このように、本実施形態の透明多層フィルムは、深絞り包装体の製造に用いる場合に、特に顕著な効果が得られる。
140の上限値は、特に限定されない。
例えば、H140が7N/25.4mm以下である透明多層フィルムの製造は、より容易である。
140は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、H140は、例えば、1~7N/25.4mm、2~7N/25.4mm、2.5~7N/25.4mm、及び3.5~7N/25.4mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、H140の一例である。
140は3N/25.4mm以上であり、例えば、4N/25.4mm以上、5N/25.4mm以上、6N/25.4mm以上、及び7N/25.4mm以上のいずれかであってもよい。S140が前記下限値以上であることで、長尺の蓋材(前記透明多層フィルム)と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれがより高度に抑制される。
前記透明多層フィルムを長尺の蓋材として用い、長尺の前記底材(底材の連結体)を用いて、深絞り包装体を製造する場合には、上記のとおり、すべての加熱シールが終了する(換言すると、長尺の蓋材及び底材の切断を開始する)までの間には、従来の蓋材を用いた場合とは異なり、H140が1N/25.4mm以上であることで、蓋材の底材からの剥がれが高度に抑制される。そして、S140が前記下限値以上であることで、このように包装体の製造過程において、蓋材の底材からの剥がれがより高度に抑制されるのに加え、さらに、包装体製造後、一定値以上の時間が経過し、包装体の構造が安定した後も、包装体はイージーピール性を維持しつつ、蓋材の底材からの剥がれが高度に抑制される。
140の上限値は、特に限定されない。
例えば、S140が11N/25.4mm以下である透明多層フィルムの製造は、より容易である。
140は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、S140は、例えば、3~11N/25.4mm、4~11N/25.4mm、5~11N/25.4mm、6~11N/25.4mm、及び7~11N/25.4mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、S140の一例である。
前記透明多層フィルムにおいて、H140及びS140は、イージーピール層の含有成分の種類及び含有量を調節することで、調節できる。イージーピール層の含有成分については、後ほど詳細に説明する。
JIS K 7136:2000に準拠して測定された、前記透明多層フィルムのヘーズは、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、12%以下であることがさらに好ましい。透明多層フィルムのヘーズが前記上限値以下であることで、透明多層フィルムを用いて得られた包装体の外部から、収納物をより明りょうに視認できる。
透明多層フィルムのヘーズの下限値は、特に限定されない。例えば、前記ヘーズが0.5%以上である透明多層フィルムは、より容易に製造できる。
一実施形態において、透明多層フィルムのヘーズは、0.5~20%、0.5~15%、及び0.5~12%のいずれかであってもよい。ただし、これらは、透明多層フィルムのヘーズの一例である。
本明細書において、透明多層フィルムのヘーズとは、特に断りのない限り、JIS K 7136:2000に準拠して、透明多層フィルムのイージーピール層側の外部から測定したヘーズを意味する。
透明多層フィルムのヘーズは、透明多層フィルムを構成するいずれかの層の含有成分の種類又は含有量を調節することにより、調節できる。例えば、イージーピール層が後述する防曇剤を含有している場合には、防曇剤の種類、又はイージーピール層の防曇剤の含有量を調節することにより、透明多層フィルムのヘーズを容易に調節できる。防曇剤については、後ほど詳細に説明する。
本実施形態の透明多層フィルムは、少なくとも前記イージーピール層を備えていればよく、通常は、前記イージーピール層と、それ以外の層を1種又は2種以上備えるが、前記イージーピール層以外の層は、任意の層である。本実施形態の透明多層フィルムは、これら任意の層を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。透明多層フィルムが備える前記任意の層は、目的に応じて適宜選択できる。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、柔軟層を備えていてもよい。前記柔軟層は、前記透明多層フィルムに加えられた衝撃を和らげるとともに、前記透明多層フィルムと、他のフィルム又はシートとを、加熱シールして得られた加熱シール物(例えば包装体)のシール強度を、安定化させるための層である。
前記柔軟層は、その構成材料の種類を調節することで、前記透明多層フィルムにおいて水蒸気の透過を抑制するための水蒸気バリア層とすることも可能である。柔軟層の構成材料については、後ほど詳細に説明する。
前記透明多層フィルムにおいて、柔軟層は、イージーピール層に隣接して配置されていることが好ましい。このような透明多層フィルムにおいては、柔軟層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、前記透明多層フィルムにおいて酸素の透過を抑制するための酸素バリア層を備えていてもよい。前記酸素バリア層を備えた透明多層フィルムは、酸素バリア層に優れる。酸素バリア層の構成材料については、後ほど詳細に説明する。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、中間層を備えていてもよい。前記中間層としては、例えば、透明多層フィルムに成形加工性を付与したり、透明多層フィルムにおいてピンホールの発生を抑制するための層が挙げられる。透明多層フィルムにおいて、中間層は最表層とはならないように配置される。中間層の構成材料については、後ほど詳細に説明する。
例えば、前記透明多層フィルムが、柔軟層と、中間層と、酸素バリア層と、を備えている場合には、柔軟層と中間層が、イージーピール層と、酸素バリア層と、の間に配置されていてもよい。このような透明多層フィルムにおいては、各層を備えていることにより得られる効果が、バランスよく、より高くなる。
例えば、前記透明多層フィルムは、イージーピール層以外に、さらに、外層を備えていてもよい。前記外層としては、例えば、透明多層フィルムを構成する他の層を保護するための層、透明多層フィルムに新たな特性を付与するための層等が挙げられる。
外層は、透明多層フィルムにおいては、イージーピール層側とは反対側の最表層として配置されていることが好ましい。
透明多層フィルムは、酸素バリア層及び中間層を備えている場合、酸素バリア層の中間層側とは反対側に、外層を備えていてもよい。
外層の構成材料については、後ほど詳細に説明する。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、透明多層フィルムを構成する2層を接着するための接着層を備えていてもよい。接着層を備えた透明多層フィルムは、その多層構造がより安定化する。接着層は、透明多層フィルムにおいては、最表層とはならないように配置される。接着層の構成材料については、後ほど詳細に説明する。
本実施形態の透明多層フィルムは、前記イージーピール層を備え、さらに、前記柔軟層、酸素バリア層、中間層、外層及び接着層からなる群より選択される1種又は2種以上を備えていることが好ましく、前記イージーピール層、柔軟層、酸素バリア層、中間層、外層及び接着層をすべて備えていてもよい。
図1は、本実施形態の透明多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す透明多層フィルム1は、イージーピール層11と、柔軟層12と、中間層13と、酸素バリア層14と、が積層されて構成されている。
透明多層フィルム1において、イージーピール層11は一方の最表層であり、酸素バリア層14は他方の最表層である。
柔軟層12は、イージーピール層11に隣接して配置されている。
柔軟層12と中間層13は、イージーピール層11と、酸素バリア層14と、の間に配置されている。
さらに、透明多層フィルム1は、柔軟層12と、中間層13と、の間に、接着層19を備えている。
すなわち、透明多層フィルム1は、イージーピール層11、柔軟層12、接着層19、中間層13及び酸素バリア層14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
イージーピール層11の露出面、すなわち、柔軟層12側とは反対側の面11bは、透明多層フィルム1の一方の最表面1bであり、透明多層フィルム1を加熱シールするときのシール面である。
酸素バリア層14の露出面、すなわち、イージーピール層11側とは反対側の面14aは、透明多層フィルム1の他方の最表面1aである。
透明多層フィルム1において、イージーピール層11はホットメルト接着剤を含有する。
イージーピール層11の前記試験片と、前記試験用PETフィルムと、を用いて測定されたH140は、1N/25.4mm以上であり、S140は、3N/25.4mm以上である。
JIS K 7136:2000に準拠して、透明多層フィルム1のイージーピール層11側の外部から測定された、透明多層フィルム1のヘーズは、20%以下であることが好ましい。
図2は、本実施形態の透明多層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す透明多層フィルム2は、酸素バリア層14の中間層13側とは反対側に、さらに、外層15を備えており、この点以外は、図1に示す透明多層フィルム1と同じである。
すなわち、透明多層フィルム2は、イージーピール層11、柔軟層12、接着層19、中間層13、酸素バリア層14及び外層15がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
イージーピール層11の露出面、すなわち、柔軟層12側とは反対側の面11bは、透明多層フィルム2の一方の最表面2bであり、透明多層フィルム1を加熱シールするときのシール面である。
外層15の露出面、すなわち、イージーピール層11側とは反対側の面15aは、透明多層フィルム2の他方の最表面2aである。
次に、本実施形態の透明多層フィルムを構成する各層について、より詳細に説明する。
<イージーピール層>
イージーピール層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、イージーピール層11)は、透明多層フィルムにおいて、一方の最表層であり、透明多層フィルムを構成する各層の積層方向において、一方の最も外側に配置されている。
透明多層フィルムを、その中のイージーピール層によって、他のフィルム又はシートとシールすることにより、包装体を構成できる。イージーピール層の露出面(柔軟層側とは反対側の面)は、他のフィルム又はシートと加熱シールするためのシール面である。
イージーピール層は、透明性を有することが好ましい。
イージーピール層は、無延伸の層であることが好ましい。
イージーピール層は、ホットメルト接着剤を含有する。
前記ホットメルト接着剤は、常温で固体であり、加熱によって溶融し、被着体間で冷却されることで固化し、結合を形成する。
ホットメルト接着剤は、公知のものであってよい。
ホットメルト接着剤は、溶媒成分を含まないことが好ましい。
ホットメルト接着剤として、より具体的には、例えば、テルペン系樹脂等が挙げられる。
前記テルペン系樹脂としては、例えば、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)から誘導された構成単位を有する炭化水素樹脂等が挙げられる。
好ましいテルペン系樹脂としては、例えば、粘着付与樹脂(別名:タッキファイヤー)等が挙げられる。
イージーピール層が含有するホットメルト接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
イージーピール層は、ホットメルト接着剤以外に、防曇剤を含有していることが好ましい。
イージーピール層が含有する前記防曇剤は、透明多層フィルムの曇り、特にイージーピール層の露出面における曇りを抑制するための成分である。イージーピール層が防曇剤を含有している透明多層フィルムにおいては、そのヘーズが低くなり、透明多層フィルムを用いて得られた包装体においても、そのヘーズが低くなり、防曇性(透明性)が高くなる。
イージーピール層が含有する防曇剤は、公知のものであってよい。防曇剤としては、例えば、ポリグリセン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
イージーピール層が含有する防曇剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
防曇剤を用いる場合、イージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合([イージーピール層の防曇剤の含有量(質量部)]/[イージーピール層の総質量(質量部)]×100)は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、例えば、1質量%以上、及び4質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、防曇剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、防曇剤の含有量(質量部)の割合([イージーピール層形成用組成物の防曇剤の含有量(質量部)]/[イージーピール層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
防曇剤を用いる場合、イージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、11質量%以下であることが好ましく、9質量%以下であることがより好ましく、例えば、6質量%以下であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、防曇剤の過剰使用が抑制される。例えば、イージーピール層の防曇剤の含有量が多いと、イージーピール層の表面(露出面)に移行する防曇剤の量が増大し、その影響でH140及びS140が低下し易いが、前記割合が前記上限値以下であることで、H140及びS140の低下を抑制できる。すなわち、イージーピール層の防曇剤の含有量を低くすることで、H140及びS140を高くすることができ、イージーピール層の防曇剤の含有量を高くすることで、H140及びS140を低くすることができる。
防曇剤を用いる場合、イージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、上述のいずれかの下限値と、上述のいずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記割合は、0.2~11質量%、0.4~11質量%、1~11質量%、及び4~11質量%のいずれかであってもよいし、0.2~9質量%、0.4~9質量%、1~9質量%、及び4~9質量%のいずれかであってもよいし、0.2~6質量%、0.4~6質量%、1~6質量%、及び4~6質量%のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記割合の一例である。
イージーピール層は、本発明の効果を損なわない範囲で、ホットメルト接着剤と、防曇剤と、のいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
イージーピール層が含有する前記他の成分としては、例えば、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等が挙げられる。
イージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([イージーピール層の他の成分の含有量(質量部)]/[イージーピール層の総質量(質量部)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、イージーピール層がホットメルト接着剤、又はホットメルト接着剤及び防曇剤を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
換言すると、イージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、ホットメルト接着剤と、防曇剤と、の合計含有量の割合(([イージーピール層のホットメルト接着剤の含有量(質量部)]+[イージーピール層の防曇剤の含有量(質量部)])/[イージーピール層の総質量(質量部)]×100)は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、長尺の蓋材(前記透明多層フィルム)と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれがより高度に抑制される。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ホットメルト接着剤と、防曇剤と、の合計含有量(質量部)の割合(([イージーピール層形成用組成物のホットメルト接着剤の含有量(質量部)]+[イージーピール層形成用組成物の防曇剤の含有量(質量部)])/[イージーピール層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
JIS C 2139-3-1:2018に準拠して測定された、イージーピール層の表面抵抗率(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、イージーピール層11の柔軟層12側とは反対側の面11bでの表面抵抗率)は、7×10~1.3×1014Ω/□であることが好ましく、1×10~1×1014Ω/□であることがより好ましく、例えば、1×10~1×1014Ω/□、及び1×10~1×1014Ω/□のいずれかであってもよいし、1×10~1×1012Ω/□、及び1×10~1×1010Ω/□のいずれかであってもよい。イージーピール層の前記表面抵抗率が前記上限値以下であることで、透明多層フィルムのヘーズがより低くなり、透明多層フィルムを用いて得られた包装体の防曇性(透明性)がより高くなる。一方、前記表面抵抗率が前記下限値以上であるイージーピール層は、より容易に形成できる。
イージーピール層の前記表面抵抗率は、例えば、イージーピール層の含有成分の種類及び含有量を調節することにより、調節できる。例えば、通常、イージーピール層の防曇剤の含有量を少なくすると、イージーピール層の前記表面抵抗率を高くでき、イージーピール層の防曇剤の含有量を多くすると、イージーピール層の前記表面抵抗率を低くできる。これは、防曇剤が通常、フィルムの表面抵抗率を低減する成分であるためである。イージーピール層の防曇剤の含有量が多いと、イージーピール層の表面(露出面)に移行する防曇剤の量が増大し、イージーピール層の前記表面抵抗率が低くなるのに対し、イージーピール層の防曇剤の含有量が少ないと、イージーピール層の表面(露出面)に移行する防曇剤の量が減少し、イージーピール層の前記表面抵抗率が高くなる。
透明多層フィルムを用いて得られた包装体は、その収納物を包装体の外部から観察したとき、より具体的には、例えば、透明多層フィルムからなる蓋材を介して、この蓋材側の外部から観察したとき、収納物を明りょうに視認できることが好ましい。そのため、透明多層フィルム中のイージーピール層は、防曇剤を含有していることが好ましい。
一方で、通常は、ポリエチレンテレフタレートを含有する底材と、イージーピール性の蓋材と、を加熱シールしたときのシール強度は、高くすることが困難である。これに対して、本実施形態の透明多層フィルムは、ホットメルト接着剤を含有するイージーピール層を備えており、ポリエチレンテレフタレートを含有する底材と加熱シールしたときに、イージーピール性を維持しつつ、高いシール強度を実現できる。そのため、本実施形態の透明多層フィルムを長尺の蓋材として用い、この蓋材を、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と加熱シールすることによって、深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれを抑制できる。
上述のとおり、防曇剤を含有するイージーピール層においては、その表面に防曇剤が移行し易く、移行量が多いと、H140及びS140が低下し易い。すると、透明多層フィルム(蓋材)と底材とのシール強度は、深絞り包装体を製造するときの蓋材の底材からの剥がれを抑制できる程度であるものの、イージーピール層が防曇剤を含有しない場合よりも、低くなり易い。これに対して、本実施形態の透明多層フィルムにおいて、イージーピール層の防曇剤の含有量を適切な範囲に調節することで、透明多層フィルム(蓋材)を、ポリエチレンテレフタレートを含有する底材と加熱シールして包装体を製造したときに、この包装体は、蓋材と底材とのシール強度が高く、しかも、収納物の視認性が高いという点で、顕著に高い効果を奏する。包装体の収納物の視認性は、後述する包装体のヘーズで評価できる。
イージーピール層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。イージーピール層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本明細書においては、イージーピール層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
透明多層フィルムの厚さに対する、イージーピール層の厚さの割合([イージーピール層の厚さ]/[透明多層フィルムの厚さ]×100)は、5~35%であることが好ましく、例えば、10~35%、及び15~35%のいずれかであってもよいし、5~30%、及び5~25%のいずれかであってもよいし、10~30%、及び15~25%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層のシール強度が、適度な範囲内でより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、イージーピール層の厚さが過剰となることが避けられる。
イージーピール層の厚さは、例えば、2~11μmであってもよい。
ここで、「イージーピール層の厚さ」とは、イージーピール層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるイージーピール層の厚さとは、イージーピール層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本明細書においては、後述のように、イージーピール層だけでなく、柔軟層、中間層、酸素バリア層、外層及び接着層についても、それぞれ、透明多層フィルムの厚さに対する、これらの厚さの割合を記載しているが、透明多層フィルムにおいては、これらすべての層の厚さの割合の合計は、100%を超えないものとする。
本明細書において、「透明多層フィルムの厚さ」とは、「透明多層フィルムの全体の厚さ」を意味し、例えば、図2に示す透明多層フィルム2の場合には、イージーピール層11の厚さと、柔軟層12の厚さと、中間層13の厚さと、酸素バリア層14の厚さと、外層15の厚さと、接着層19の厚さと、の合計値である。
<柔軟層>
柔軟層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、柔軟層12)は、イージーピール層に隣接して配置され、イージーピール層に接触して積層されていることが好ましい。
柔軟層は、透明性を有する。
柔軟層は、無延伸の層であることが好ましい。
柔軟層は、樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
柔軟層が含有する前記樹脂は、水蒸気バリア性を有する水蒸気バリア樹脂であることが好ましい。
柔軟層が含有する前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE);エチレン-αオレフィン共重合体;ポリプロピレン(別名:プロピレン単独重合体、ホモポリプロピレン、本明細書においては、「hPP」と称することがある);プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、本明細書においては、「rPP」と称することがある);プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、本明細書においては、「bPP」と称することがある);プロピレン-αオレフィン共重合体;シクロペンタジエン又はノルボルネン等の環状オレフィンを共重合させて得られたエチレン-環状オレフィン共重合体;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン-酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物又は完全ケン化物;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のエステル化物;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のイオン架橋物;エチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体;無水マレイン酸変性ポリエチレン;無水マレイン酸-ポリエチレン共重合体等が挙げられる。
ここに挙げた樹脂はすべて、水蒸気バリア樹脂としても好適である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様である。
柔軟層が含有する前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
柔軟層は、前記樹脂の中でも、ポリエチレンを含有することが好ましく、低密度ポリエチレンを含有することがより好ましい。
柔軟層は、前記樹脂として、バイオマス由来のポリエチレンを含有していてもよく、その場合、バイオマス由来の低密度ポリエチレンを含有することが好ましい。透明多層フィルムにおいて、バイオマス由来のポリエチレンを用いることにより、石油資源の使用量を削減できるとともに、透明多層フィルムの製造時と廃棄時に、二酸化炭素の排出量を削減できる。すなわち、このような透明多層フィルムは、環境負荷を低減できる点で、顕著な効果を奏する。柔軟層が、前記ポリエチレンとして、バイオマス由来のポリエチレンを含有する、透明多層フィルムは、好ましいものの一例である。
前記バイオマス由来のポリエチレンとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリエチレンが挙げられる。
また、前記バイオマス由来のポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
柔軟層が、前記バイオマス由来のポリエチレンを含有する場合、ポリエチレンとして、バイオマス由来のポリエチレンのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリエチレンと、バイオマス由来ではないポリエチレンと、をともに含有していてもよい。
柔軟層は、その特性を損なわない範囲で、前記樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。
柔軟層が含有する前記他の成分は、非樹脂成分であり、その例としては、結晶化核剤等が挙げられる。
前記結晶化核剤は、柔軟層中での結晶成長を制御することにより、柔軟層の透明性を向上させるための成分である。
結晶化核剤は、公知のものであってよい。結晶化核剤としては、例えば、ソルビトール系結晶化核剤等が挙げられる。
柔軟層が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
柔軟層において、柔軟層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([柔軟層の他の成分の含有量(質量部)]/[柔軟層の総質量(質量部)]×100)は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下のいずれかであってもよく、0質量%であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、柔軟層が前記樹脂を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
換言すると、柔軟層において、柔軟層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合([柔軟層の樹脂の含有量(質量部)]/[柔軟層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、柔軟層及び透明多層フィルムの柔軟性がより高くなる。その結果、長尺の蓋材(前記透明多層フィルム)と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって得られた深絞り包装体において、シール強度がより安定化する。そして、前記樹脂が水蒸気バリア樹脂である場合には、前記割合が前記下限値以上であることで、柔軟層及び透明多層フィルムの水蒸気バリア性がより高くなる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する柔軟層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合([柔軟層形成用組成物の樹脂の含有量(質量部)]/[柔軟層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
柔軟層がポリエチレンを含有する場合、柔軟層における、ポリエチレンの総含有量(バイオマス由来ではないポリエチレンと、バイオマス由来のポリエチレンと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリエチレンの含有量の割合([柔軟層のバイオマス由来のポリエチレンの含有量(質量部)]/([柔軟層のバイオマス由来のポリエチレンの含有量(質量部)]+[柔軟層のバイオマス由来ではないポリエチレンの含有量(質量部)])×100)は、例えば、10質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、柔軟層が含有するポリエチレンは、すべてバイオマス由来のポリエチレンであってもよい。前記割合が高いほど、透明多層フィルムにおける環境負荷の低減効果が高くなる。
柔軟層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。柔軟層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルムの厚さに対する、柔軟層の厚さの割合([柔軟層の厚さ]/[透明多層フィルムの厚さ]×100)は、15~45%であることが好ましく、例えば、20~45%、及び25~45%のいずれかであってもよいし、15~40%、及び15~35%のいずれかであってもよいし、20~40%、及び25~35%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、柔軟層及び透明多層フィルムの柔軟性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、柔軟層の厚さが過剰となることが避けられる。
柔軟層の厚さは、例えば、5~14μmであってもよい。
ここで、「柔軟層の厚さ」とは、柔軟層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる柔軟層の厚さとは、柔軟層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<中間層>
中間層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、中間層13)は、透明多層フィルムにおいて、最表層とはならないように配置される。
中間層は、透明性を有する。
中間層は、無延伸の層であることが好ましい。
中間層は、その構成材料として、含窒素樹脂を含有することが好ましい。
前記含窒素樹脂は、その構成原子として窒素原子を有する樹脂であり、その主鎖中に窒素原子を有する樹脂であることが好ましい。
なかでも、透明多層フィルムに成形加工性を付与する効果、及び透明多層フィルムにおいてピンホールの発生を抑制する効果がより高い点では、前記含窒素樹脂はポリアミドであること、すなわち、中間層はポリアミドを含有することがより好ましい。
前記ポリアミドとしては、例えば、環状ラクタム(環員数が3以上のラクタム)、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸との反応で得られたナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られたポリアミド等が挙げられる。
前記環状ラクタムとしては、例えば、ε-カプロラクタム、ω-エナントラクタム、ω-ラウロラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン;
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記ポリアミドとして、より具体的には、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
前記ポリアミドは、その耐熱性、機械的強度、及び入手の容易さ等の点においては、6-ナイロン、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
中間層が含有するポリアミドは、バイオマス由来のポリアミドであってもよい。透明多層フィルムにおいて、バイオマス由来のポリアミドを用いることにより、石油資源の使用量を削減できるとともに、透明多層フィルムの製造時と廃棄時に、二酸化炭素の排出量を削減できる。すなわち、このような透明多層フィルムは、環境負荷を低減できる点で、顕著な効果を奏する。中間層が、ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドを含有する、透明多層フィルムは、好ましいものの一例である。
前記バイオマス由来のポリアミドとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリアミドが挙げられる。
また、前記バイオマス由来のポリアミドとしては、例えば、6-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12等において、一部又はすべての原料モノマーとしてバイオマス由来のモノマーを使用したもの等が挙げられる。このようなバイオマス由来のポリアミドの一例として、より具体的には、植物性油であるヒマシ油から得られた11-アミノウンデカン酸の縮重合体である、植物性11-ナイロンが挙げられる。
中間層が、前記バイオマス由来のポリアミドを含有する場合、ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリアミドと、バイオマス由来ではないポリアミドと、をともに含有していてもよい。
中間層がポリアミドを含有する場合、中間層における、ポリアミドの総含有量(バイオマス由来ではないポリアミドと、バイオマス由来のポリアミドと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリアミドの含有量の割合([中間層のバイオマス由来のポリアミドの含有量(質量部)]/([中間層のバイオマス由来のポリアミドの含有量(質量部)]+[中間層のバイオマス由来ではないポリアミドの含有量(質量部)])×100)は、例えば、10質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、中間層が含有するポリアミドは、すべてバイオマス由来のポリアミドであってもよい。前記割合が高いほど、透明多層フィルムにおける環境負荷の低減効果が高くなる。
中間層が含有する前記含窒素樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
中間層は、その効果を損なわない範囲で、前記含窒素樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。
中間層が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
中間層が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
中間層において、中間層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([中間層の他の成分の含有量(質量部)]/[中間層の総質量(質量部)]×100)は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下のいずれかであってもよく、0質量%であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、中間層が前記含窒素樹脂を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
換言すると、中間層において、中間層の総質量に対する、前記含窒素樹脂の含有量の割合([中間層の含窒素樹脂の含有量(質量部)]/[中間層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、透明多層フィルムの成形加工性と、ピンホールの発生が抑制される効果が、より高くなる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する中間層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記含窒素樹脂の含有量(質量部)の割合([中間層形成用組成物の含窒素樹脂の含有量(質量部)]/[中間層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
中間層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。中間層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルムの厚さに対する、中間層の厚さの割合([中間層の厚さ]/[透明多層フィルムの厚さ]×100)は、7~23%であることが好ましく、例えば、10~23%、及び13~23%のいずれかであってもよいし、7~20%、及び7~17%のいずれかであってもよいし、10~20%、及び13~17%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、透明多層フィルムの成形加工性と、ピンホールの発生が抑制される効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、中間層の厚さが過剰となることが避けられる。
中間層の厚さは、例えば、2~7μmであってもよい。
ここで、「中間層の厚さ」とは、中間層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる中間層の厚さとは、中間層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<酸素バリア層>
酸素バリア層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、酸素バリア層14)は、透明多層フィルムの最表層であってもよいし、最表層でなくてもよい。
酸素バリア層は、透明性を有する。
酸素バリア層は、無延伸の層であることが好ましい。
酸素バリア層は、酸素バリア性を有する酸素バリア樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記酸素バリア樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、EVOH)、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、エチレン-ビニルアルコール共重合体中の構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合(本明細書においては、「エチレンの共重合比率」と称することがある)は、30~50モル%であることが好ましく、例えば、30~40モル%、及び40~50モル%のいずれかであってもよい。前記エチレンの共重合比率が、このような範囲であることで、透明多層フィルムの酸素バリア性と、他の特性が、バランスよく、より高くなる。
酸素バリア層は、前記酸素バリア樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含有することが好ましい。
酸素バリア層が含有する、前記酸素バリア樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層は、その酸素バリア性を損なわない範囲で、前記酸素バリア樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。
酸素バリア層が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
酸素バリア層が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層において、酸素バリア層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([酸素バリア層の他の成分の含有量(質量部)]/[酸素バリア層の総質量(質量部)]×100)は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下のいずれかであってもよく、0質量%であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、酸素バリア層が前記酸素バリア樹脂を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
換言すると、酸素バリア層において、酸素バリア層の総質量に対する、前記酸素バリア樹脂の含有量の割合([酸素バリア層の酸素バリア樹脂の含有量(質量部)]/[酸素バリア層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層及び透明多層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記酸素バリア樹脂の含有量(質量部)の割合([酸素バリア層形成用組成物の酸素バリア樹脂の含有量(質量部)]/[酸素バリア層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
酸素バリア層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルムの厚さに対する、酸素バリア層の厚さの割合([酸素バリア層の厚さ]/[透明多層フィルムの厚さ]×100)は、5~35%であることが好ましく、例えば、10~35%、及び15~35%のいずれかであってもよいし、5~30%、及び5~25%のいずれかであってもよいし、10~30%、及び15~25%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層及び透明多層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、酸素バリア層の厚さが過剰となることが避けられる。
酸素バリア層の厚さは、例えば、2~11μmであってもよい。
ここで、「酸素バリア層の厚さ」とは、酸素バリア層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層の厚さとは、酸素バリア層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
酸素バリア層の酸素ガス透過量は、例えば、20℃、60%RH(相対湿度)の雰囲気下において、100cc/m・atm・day以下であることが好ましい。
酸素バリア層の酸素ガス透過量は、例えば、JIS K 7126-2に準拠して測定できる。
<外層>
外層(例えば、図2に示す透明多層フィルム2においては、外層15)は、任意の層であり、本実施形態の透明多層フィルムは、外層を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。ただし、透明多層フィルムは、外層を備えていることにより、他の層が保護される、外層に由来する新たな特性が付与される、等の有利な効果を奏する。
外層、酸素バリア層及び中間層を備えた透明多層フィルムにおいて、外層は、酸素バリア層の中間層側とは反対側に配置される。
外層を備えた透明多層フィルムにおいて、外層は、他方の最表層であることが好ましく、透明多層フィルムを構成する各層の積層方向において、イージーピール層側とは反対側の、他方の最も外側に配置されていることが好ましい。すなわち、外層の、イージーピール層側とは反対側の面(例えば、図2に示す透明多層フィルム2においては、外層15のイージーピール層11側とは反対側の面15a)は、透明多層フィルムにおいては露出面であることが好ましい。
外層は、透明性を有する。
外層は、無延伸の層であることが好ましい。
外層は、樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
外層の構成材料である前記樹脂としては、例えば、プロピレン系重合体、含窒素樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
前記プロピレン系重合体とは、外層の場合に限らず、少なくともプロピレンから誘導された構成単位を有する重合体(樹脂)を意味し、プロピレンから誘導された構成単位のみを有するホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)であってもよいし、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有するプロピレン系共重合体であってもよい。
外層が含有する前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(rPP)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(bPP)等のプロピレン-エチレン共重合体が挙げられる。
外層が含有する前記含窒素樹脂としては、中間層の構成材料として先に挙げた含窒素樹脂と同じものが挙げられる。
例えば、外層が含有する前記含窒素樹脂のうち、ポリアミドとしては、先に説明した、中間層が含有するポリアミドと、同じものが挙げられる。
外層が含有するポリアミドは、バイオマス由来のポリアミドであってもよい。外層がバイオマス由来のポリアミドを含有する透明多層フィルムは、環境負荷を低減できる点で、中間層がバイオマス由来のポリアミドを含有する透明多層フィルムと、同様の効果を奏する。すなわち、外層が、ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドを含有する、透明多層フィルムは、好ましいものの一例である。
外層がバイオマス由来のポリアミドを含有する態様は、先に説明した、中間層がバイオマス由来のポリアミドを含有する態様と、同じである。
例えば、外層が、バイオマス由来のポリアミドを含有する場合、ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリアミドと、バイオマス由来ではないポリアミドと、をともに含有していてもよい。
例えば、外層がポリアミドを含有する場合、外層における、ポリアミドの総含有量(バイオマス由来ではないポリアミドと、バイオマス由来のポリアミドと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリアミドの含有量の割合([外層のバイオマス由来のポリアミドの含有量(質量部)]/([外層のバイオマス由来のポリアミドの含有量(質量部)]+[外層のバイオマス由来ではないポリアミドの含有量(質量部)])×100)は、10質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、外層が含有するポリアミドは、すべてバイオマス由来のポリアミドであってもよい。
外層の構成材料である前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。
外層が含有する前記ポリエステルは、バイオマス由来のポリエステルであってもよい。外層がバイオマス由来のポリエステルを含有する透明多層フィルムは、環境負荷を低減できる点で、外層がバイオマス由来のポリアミドを含有する透明多層フィルムと、同様の効果を奏する。すなわち、外層が、ポリエステルとして、バイオマス由来のポリエステルを含有する、透明多層フィルムは、好ましいものの一例である。
前記バイオマス由来のポリエステルとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリエステルが挙げられる。
前記バイオマス由来のポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリブチレンナフタレート(PBN)等において、一部又はすべての原料モノマーとしてバイオマス由来のモノマーを使用したもの等が挙げられる。
外層が、前記バイオマス由来のポリエステルを含有する場合、ポリエステルとして、バイオマス由来のポリエステルのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリエステルと、バイオマス由来ではないポリエステルと、をともに含有していてもよい。
外層がポリエステルを含有する場合、外層における、ポリエステルの総含有量(バイオマス由来ではないポリエステルと、バイオマス由来のポリエステルと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリエステルの含有量の割合([外層のバイオマス由来のポリエステルの含有量(質量部)]/([外層のバイオマス由来のポリエステルの含有量(質量部)]+[外層のバイオマス由来ではないポリエステルの含有量(質量部)])×100)は、例えば、10質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、外層が含有するポリエステルは、すべてバイオマス由来のポリエステルであってもよい。前記割合が高いほど、透明多層フィルムにおける環境負荷の低減効果が高くなる。
外層が、ポリアミド又はポリエステルとして、バイオマス由来のポリアミド又はバイオマス由来のポリエステルを含有する透明多層フィルムは、好ましいものの一例である。
外層が含有する前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層は、前記樹脂として、プロピレン系重合体、含窒素樹脂又はポリエステルを含有していることが好ましく、プロピレン系重合体、ポリアミド又はポリエステルを含有していることがより好ましい。
すなわち、透明多層フィルムは、酸素バリア層の中間層側とは反対側に、さらに、プロピレン系重合体、ポリアミド又はポリエステルを含有する外層を備えていることがより好ましい。
外層は、その特性を損なわない範囲で、前記樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。
外層が含有する前記他の成分は、非樹脂成分である。
外層が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
外層が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層において、外層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([外層の他の成分の含有量(質量部)]/[外層の総質量(質量部)]×100)は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下のいずれかであってもよく、0質量%であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、外層が前記樹脂を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
換言すると、外層において、外層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合([外層の樹脂の含有量(質量部)]/[外層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、透明多層フィルムが外層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合([外層形成用組成物の樹脂の含有量(質量部)]/[外層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
外層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。外層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
外層は、二軸延伸された層であることが好ましい。二軸延伸された外層は、そのイージーピール層側とは反対側の面上に、後述する印刷層を設ける場合に、印刷層を安定して形成できる点で好ましい。
透明多層フィルムの厚さに対する、外層の厚さの割合([外層の厚さ]/[透明多層フィルムの厚さ]×100)は、10~50%であることが好ましく、15~45%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、透明多層フィルムが外層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、外層の厚さが過剰となることが避けられる。
外層の厚さは、例えば、10~20μmであってもよい。
ここで、「外層の厚さ」とは、外層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる外層の厚さとは、外層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<接着層>
接着層は任意の層であり、本実施形態の透明多層フィルムは、接着層を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。ただし、接着層を備えていることにより、透明多層フィルムの多層構造がより安定化する。
接着層を備えた透明多層フィルムにおいて、接着層は、最表層とはならないように配置され、これに隣接する2層を接着している。例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2において、接着層19は、これに隣接する、柔軟層12と中間層13を接着している。
接着層は、透明性を有する。
接着層は、無延伸の層であることが好ましい。
接着層は、接着性樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン、酸性基が無水物化された基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)等が挙げられる。前記ポリオレフィン系樹脂は、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であることが好ましい。
前記エチレン系共重合体とは、接着層の場合に限らず、エチレンから誘導された構成単位と、エチレンとプロピレンのいずれにも該当しない他のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-ブテン共重合体等が挙げられる。
接着層が含有する前記エチレン系共重合体としては、例えば、これらエチレン系共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、先の説明のとおりであり、接着層が含有する前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含有する前記プロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層が含有する前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含有する前記接着性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層は、その接着性を損なわない範囲で、前記接着性樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。
接着層が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層において、接着層の総質量に対する、前記接着性樹脂の含有量の割合([接着層の接着性樹脂の含有量(質量部)]/[接着層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記接着性樹脂の含有量(質量部)の割合([接着層形成用組成物の接着性樹脂の含有量(質量部)]/[接着層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルムの厚さに対する、接着層の厚さの割合([接着層の厚さ]/[透明多層フィルムの厚さ]×100)は、5~25%であることが好ましく、7~23%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、接着層の厚さが過剰となることが避けられる。
接着層の厚さは、例えば、1.5~7.5μmであってもよい。
ここで、「接着層の厚さ」とは、接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層の厚さとは、接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
透明多層フィルム1の厚さは、特に限定されないが、20~70μmであることが好ましく、25~65μmであることがより好ましい。
本実施形態の透明多層フィルムは、上述の態様に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1に示す透明多層フィルム1は、イージーピール層11と、柔軟層12と、中間層13と、酸素バリア層14と、接着層19と、を備え、図2に示す透明多層フィルム2は、これらに加え、さらに、外層15を備えているが、本実施形態の透明多層フィルムは、これらのいずれにも該当しない、他の層をさらに備えていてもよい。
前記他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、透明多層フィルム1及び透明多層フィルム2は、柔軟層12と中間層13との間以外の、他の2層間に、接着層19と同様の他の接着層を備えていてもよい。前記他の接着層としては、例えば、酸素バリア層14と外層15との間に設けられたものが挙げられるが、これは、他の接着層の一例である。接着層19と、他の接着層とは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
例えば、図2に示す透明多層フィルム2は、外層15のイージーピール層11側とは反対側の面15a上に、印刷層を備えていてもよい。
透明多層フィルム2が前記印刷層を備えている場合には、透明多層フィルム2を用いて得られた包装体の外部から、透明多層フィルム2(例えば、蓋材)を介して、収納物を明りょうに視認可能とするために、前記印刷層は、外層15の前記面15aの全領域ではなく、一部の領域の上に、設けられていることが好ましい。
印刷層の形状及び厚さは、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
印刷層は、公知ものであってよい。
好ましい本実施形態の透明多層フィルムの一例としては、イージーピール層と、柔軟層と、接着層と、中間層と、酸素バリア層と、がこの順に、これらの厚さ方向において、直接接触して積層されて構成されたものが挙げられる。
好ましい本実施形態の透明多層フィルムの他の例としては、イージーピール層と、柔軟層と、接着層と、中間層と、酸素バリア層と、外層と、がこの順に、これらの厚さ方向において、直接接触して積層されて構成されたものが挙げられる。
好ましい本実施形態の透明多層フィルムのさらに他の例としては、イージーピール層と、柔軟層と、接着層と、中間層と、酸素バリア層と、接着層と、外層と、がこの順に、これらの厚さ方向において、直接接触して積層されて構成されたものが挙げられる。
<<透明多層フィルムの製造方法>>
前記透明多層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、前記透明多層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を、透明多層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、透明多層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
また、前記透明多層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせることにより積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層を形成可能なものを用いてもよい。
例えば、外層を備えた透明多層フィルムは、イージーピール層を備えた積層フィルムと、外層又は外層を備えた積層フィルムとを、上述のいずれかの方法で貼り合わせることによって、製造してもよい。このとき、貼り合わせ前の外層は、必要に応じて二軸延伸してもよい。
また、前記透明多層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。例えば、イージーピール層を備えた積層フィルムと、外層又は外層を備えた積層フィルムとを、上記とは異なり、接着剤を用いずに貼り合わせてもよい。
前記透明多層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、透明多層フィルム中のいずれかの層(換言するとフィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
前記透明多層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含有するように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
イージーピール層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、イージーピール層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「イージーピール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ホットメルト接着剤と、必要に応じて前記防曇剤と、必要に応じて前記他の成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。
柔軟層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、柔軟層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「柔軟層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、水蒸気バリア樹脂)と、必要に応じて前記他の成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。
中間層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、中間層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「中間層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記含窒素樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。
酸素バリア層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、酸素バリア層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記酸素バリア樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。
外層(例えば、図2に示す透明多層フィルム2においては、外層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「外層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、前記プロピレン系重合体、含窒素樹脂又はポリエステル)と、必要に応じて前記他の成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。
接着層(例えば、図1に示す透明多層フィルム1及び図2に示す透明多層フィルム2においては、接着層19)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記接着性樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。
<<包装体>>
本発明の一実施形態に係る包装体は、前記透明多層フィルムを備えている。
前記透明多層フィルムは、その中のイージーピール層によって、他の樹脂フィルム、樹脂シート又は樹脂成形体(例えば、底材、トレー)とシールすることにより、種々の包装体を構成できる。
好ましい前記包装体としては、例えば、蓋材と底材とを備えており、蓋材が前記透明多層フィルムからなり、底材が深絞り成形された樹脂成形体であり、蓋材(前記透明多層フィルム)中のイージーピール層が底材とシールされて構成された包装体(深絞り包装体)が挙げられる。
好ましい前記包装体としては、例えば、蓋材とトレーとを備えており、蓋材が前記透明多層フィルムからなり、トレーが樹脂製であり、蓋材(前記透明多層フィルム)中のイージーピール層がトレーとシールされて構成された包装体(トレーを備えた包装体)も挙げられる。
好ましい前記包装体としては、例えば、前記透明多層フィルムが、その中のイージーピール層によって、同じ種類の透明多層フィルム、又は、異なる種類のフィルム若しくはシートと、シールされて構成された軟質ガスパックも挙げられる。
図3は、本実施形態の包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体101は、蓋材8と、底材10と、を備え、これらがシールされて構成されている。
蓋材8は、上述の本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムであり、例えば、図1に示す透明多層フィルム1又は図2に示す透明多層フィルム2を蓋材8として用いることができる。
底材10は、樹脂フィルムを深絞り成形して得られた成形体(深絞り成形体)である。すなわち、包装体101は深絞り包装体である。
図3中の蓋材8においては、これを構成している透明多層フィルム中の各層の区別を省略している。
底材10には、凹部100が形成されている。
底材10の凹部100を除く領域の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bと、蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)8bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。
包装体101は、蓋材8及び底材10のシールによって構成されている。より具体的には、底材10の凹部100を除く領域の第2面10bと、蓋材8の第2面8bは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材10の凹部100の領域において、底材10の第2面10bと、蓋材8の第2面8bと、の間に、収納部101aが形成されている。この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
蓋材8が透明多層フィルム1又は透明多層フィルム2である場合、蓋材8の一方の面(第2面)8bは、透明多層フィルム1又は透明多層フィルム2中のイージーピール層11の、柔軟層12側とは反対側の面11bと、同じである。蓋材8の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、透明多層フィルム1中の酸素バリア層14の、イージーピール層11側とは反対側の面14aと同じであるか、又は、透明多層フィルム2中の外層15の、イージーピール層11側とは反対側の面15aと同じである。
図3においては、包装体101の収納部101a内において、収納物9と底材10との間、並びに、収納物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体101において、必須ではない。
蓋材8の厚さは、先に説明した透明多層フィルム1又は透明多層フィルム2の厚さと同じである。
底材10としては、通常の深絞り包装体で使用可能な、単層又は多層の樹脂フィルムの成形体が挙げられる。
底材10のその平坦部における厚さは、100~300μmであることが好ましい。
収納物9は、目的に応じて任意に選択できるが、好ましい収納物9としては、例えば、食品、化粧品、医薬品等が挙げられる。
包装体101においては、蓋材8を介して包装体101の外部から、収納部101a内の収納物9を明りょうに視認できる。
ここまでは、前記透明多層フィルムを備えた包装体として、深絞り包装体を例に挙げて説明したが、前記透明多層フィルムを備えた包装体は、深絞り包装体に限定されず、他の包装体であってもよい。
ただし、前記透明多層フィルムの優れた効果が顕著に得られる点では、前記包装体は深絞り包装体であることが好ましい。
包装体101を開封するときには、蓋材8を底材10から引き剥がすことにより、蓋材8中のイージーピール層と底材10との間で、容易に剥離が生じる。
<<包装体の製造方法>>
前記包装体は、前記透明多層フィルムを用い、包装対象物を収納するための収納部を形成するように、前記透明多層フィルムと、そのシール対象物と、を加熱シールすることにより、製造できる。前記シール対象物としては、上述の樹脂成形体(例えば、底材、トレー)、他の樹脂フィルム、樹脂シート等が挙げられる。
前記底材は、例えば、公知の方法により、樹脂フィルムを深絞り成形することで作製できる。
前記トレーは、例えば、公知の方法により、平面状の樹脂シートを、目的とする形状に成形することで作製できる。
前記透明多層フィルムと、そのシール対象物と、を加熱シールするときの、シール温度は、例えば、120~150℃であってよく、シール時間は、例えば、0.5~3秒であってよく、シール圧力は、例えば、0.15~0.8MPa(1.5~8kgf/cm)であってよい。
長尺の前記透明多層フィルムを蓋材として用い、長尺の底材を用いて、深絞り包装体を製造する方法は、先に説明したとおりである。この場合には、例えば、収納部を形成するめの凹部が長手方向に配列されている長尺の底材(底材の連結体)と、長尺の蓋材と、を用い、これらの長手方向の向きを一致させ、蓋材のイージーピール層と、底材の一方の最表層と、を対向させて配置し、蓋材に特定値以上の張力を加えながら、さらに、収納部を形成する領域に、不活性ガスと包装対象物を充填しながら、蓋材と底材を、これらの長手方向において順次加熱シールする。そして、すべての加熱シールの終了後に、形成した収納部ごとに、長尺の蓋材及び底材を切断することにより、目的とする深絞り包装体が得られる。このような包装体の製造過程においては、蓋材として長尺の前記透明多層フィルムを用いることにより、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材を用いても、蓋材の底材からの剥がれが抑制される。
このように、本実施形態の透明多層フィルムは、深絞り包装体の製造に用いる場合に、特に顕著な効果が得られる。
一方、長尺の前記透明多層フィルムを蓋材として用い、トレーを用いて、トレーを備えた包装体を製造する場合には、トレーと、長尺の蓋材とを、トレーごとに順次加熱シールし、加熱シール後に直ちに、トレーごとに長尺の蓋材を切断するため、加熱シールされた蓋材に張力が加わり続けることがない。本実施形態の透明多層フィルムからなる長尺の蓋材は、このような、トレーを備えた包装体の製造にも用いることができ、より安定して包装体を製造できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
各実施例又は比較例で用いた樹脂は、以下のとおりである。
TA:芳香族テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製「ヒロダイン7560」)
LDPE(1):低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「UBEポリエチレン(登録商標)F222NH」、密度0.922g/cm
LDPE(2):バイオマス由来低密度ポリエチレン(ブラスケム社製「SEB853」、密度0.923g/cm
Ny6:6-ナイロン(宇部興産社製「1030B2」)
EVOH:エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「エバール(登録商標)E173B」、エチレンの共重合比率44モル%)
変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン(接着性樹脂、三井化学社製「アドマー(登録商標)NF536」)
EVA:エチレン-酢酸ビニル共重合体(三井・ダウ ポリケミカル社製「P2505C」)
Ad:高級脂肪酸エステル化合物(防曇剤、竹本油脂社製「エレカットC-031L」)
PET:ポリエチレンテレフタレート(三菱ケミカル社製「ノバペックスGM700Z」)
[実施例1]
<<透明多層フィルムの製造>>
<イージーピール層形成用組成物の製造>
室温下で、前記TA(99質量部)と、前記Ad(1質量部)と、を混合することにより、イージーピール層形成用組成物を調製した。
<透明多層フィルム(蓋材)の製造>
前記イージーピール層形成用組成物と、LDPE(1)と、前記変性PEと、前記Ny6と、前記EVOHとを、この順で共押出しすることにより、イージーピール層(厚さ6μm)と、柔軟層(厚さ9μm)と、接着層(厚さ4.5μm)と、中間層(厚さ4.5μm)と、酸素バリア層(厚さ6μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、図1に示す構成の、長尺の透明多層フィルム(厚さ30μm)を得た。
イージーピール層と、柔軟層と、接着層と、中間層と、酸素バリア層は、いずれも無延伸の層である。
得られた透明多層フィルムは、以降、包装体製造用の長尺の蓋材として用いた。
<<透明多層フィルムの評価>>
<H140の測定>
別途、押出し成形法により、前記透明多層フィルム中のものと同じである、単層のイージーピール層(厚さ6μm)を作製し、これから幅25.4mmの第1試験片を作製した。
ホットタック強度測定器(テラー社製「モデルHTホットタックヒートシールテスター」)を用いて、この第1試験片の一方の面の全面を、ポリチレンテレフタレート製フィルム(前記試験用PETフィルム、厚さ200μm)の一方の面と重ね合わせて、シール温度140℃、シール圧力0.473Pa、シール時間2秒の条件で加熱シールし、その0.22秒後に、引張速度を33.3mm/sとし、剥離時の第1試験片と試験用PETフィルムとの為す角度(剥離角度)を90°として、剥離強度を測定し、その測定値をH140(N/25.4mm)として採用した。結果を表1に示す。
<S140の測定>
さらに、別途、前記第1試験片を作製し、この第1試験片を、上記のH140の測定時と同じ条件で、前記ポリチレンテレフタレート製フィルム(試験用PETフィルム)と加熱シールし、その24時間後に、引張速度を33.3mm/sとし、剥離時の第1試験片と試験用PETフィルムとの為す角度(剥離角度)を90°として、剥離強度を測定し、その測定値をS140(N/25.4mm)として採用した。結果を表1に示す。
<透明多層フィルムのヘーズの測定>
上記で得られた透明多層フィルムについて、JIS K 7136:2000に準拠して、そのイージーピール層側の外部からヘーズ(%)を測定した。結果を表1に示す。
<イージーピール層の表面抵抗率の測定>
別途、押出し成形法により、前記透明多層フィルム中のものと同じである、単層のイージーピール層(厚さ6μm)を作製し、これを第2試験片とした。この第2試験片について、JIS C 2139-3-1:2018に準拠して、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。結果を表1に示す。
<<包装体の製造>>
前記PETを用いて、PET層(厚さ50μm)と、PET層(厚さ100μm)と、PET層(厚さ50μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、長尺の積層フィルム(厚さ200μm)を用意した。
この積層フィルムについて、JIS K 7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過量を測定したところ、10cc/(m・24h・atm)であった。
深絞り成形機(ムルチバック社製「R-535」)を用いて、前記積層フィルムを、成形温度100℃、加熱時間3秒、成形時間3秒の条件で深絞り成形することにより、前記積層フィルムの長手方向に凹部(収納部)が連続して形成された、長尺の底材(底材の連結体)を作製した。
上記で得られた長尺の底材と、長尺の蓋材とを、これらの長手方向の向きを一致させ、蓋材のイージーピール層と、底材の一方の最表層と、を対向させて配置した。底材のそれぞれの凹部内にカットレタス(80g)を配置し、蓋材及び底材の周縁部を、シール温度130℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2秒の条件で順次加熱シールすることにより、包装体を作製した。次いで、すべての加熱シールが終了した後に、得られた長尺の包装体において、形成した収納部ごとに、長尺の蓋材及び成形体を切断することにより、前記積層フィルムの成形体を底材(厚さ200μm)とし、前記透明多層フィルム(厚さ30μm)を蓋材とする包装体(真空包装体、深絞り包装体)を得た。
<<包装体の評価>>
<製造時の包装体の剥離耐性の評価>
上記で得られた、製造直後の10枚の包装体(深絞り包装体))を目視観察し、蓋材と底材との間の剥離の有無を確認した。そして、下記基準に従って、製造時の包装体の剥離耐性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:すべての包装体で剥離が全く認められない。
B:1枚以上の包装体で僅かでも剥離が認められる。
<包装体の落下時の剥離耐性の評価>
上記の、製造時の包装体の剥離耐性の評価時に、蓋材と底材との間の剥離が認められなかった1枚の包装体を選択し、JIS Z 0202:2017に準拠して、この包装体を0.8mの高さから床に落下させた。次いで、落下後の包装体を目視観察し、蓋材と底材との間の剥離の有無を確認した。そして、下記基準に従って、包装体の落下時の剥離耐性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:剥離が全く認められない。
B:僅かでも剥離が認められる。
<蓋材の防曇性の評価>
上記の、製造時の包装体の剥離耐性の評価時に、蓋材と底材との間の剥離が認められなかった1枚の包装体を選択し、この包装体を5℃で60分静置保管した。
次いで、この保管後の包装体を、その蓋材側の外部から目視観察し、収納物の視認性を確認して、下記基準に従って、包装体中の蓋材の防曇性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:蓋材に曇りが認められず、収納物全体を明りょうに視認できる。
B:蓋材に軽度の曇りが認められるが、収納物全体を視認できる。
C:蓋材に重度の曇りが認められ、収納物の少なくとも一部を視認できない。
<<透明多層フィルムの製造及び評価、並びに包装体の製造及び評価>>
[実施例2]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TAの使用量を99質量部に代えて98質量部とし、前記Adの使用量を1質量部に代えて2質量部とした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TAの使用量を99質量部に代えて97質量部とし、前記Adの使用量を1質量部に代えて3質量部とした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TAの使用量を99質量部に代えて95質量部とし、前記Adの使用量を1質量部に代えて5質量部とした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TAの使用量を99質量部に代えて93質量部とし、前記Adの使用量を1質量部に代えて7質量部とした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TAの使用量を99質量部に代えて99.5質量部とし、前記Adの使用量を1質量部に代えて0.5質量部とした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TAの使用量を99質量部に代えて99.7質量部とし、前記Adの使用量を1質量部に代えて0.3質量部とした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TAの使用量を99質量部に代えて90質量部とし、前記Adの使用量を1質量部に代えて10質量部とした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[実施例9]
前記LDPE(1)に代えて前記LDPE(2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TA(99質量部)に代えて前記LDPE(1)(99質量部)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
イージーピール層形成用組成物の調製時に、前記TA(99質量部)に代えて前記EVA(99質量部)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、実施例1の場合と同様の透明多層フィルム及び包装体を製造し、これら透明多層フィルム及び包装体を実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2024054571000002
Figure 2024054571000003
上記結果から明らかなように、実施例1~9においては、イージーピール性の長尺の蓋材と、ポリエチレンテレフタレートを含有する長尺の底材と、を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれが抑制されており、製造時と製造後の包装体の剥離耐性が高かった。
実施例1~9においては、H140が1.2N/25.4mm以上(1.2~5.5N/25.4mm)であり、S140が3.1N/25.4mm以上(S140が3.1~9.2N/25.4mm)であって、いずれも十分に高かった。
実施例1~9においては、イージーピール層がホットメルト接着剤を含有していた。
なお、実施例1~9においては、透明多層フィルムのヘーズが10%以下(6~10%)であり、透明性が高かった。
実施例1~9においては、イージーピール層の表面抵抗率が、8.9×10~1.2×1014Ω/□であった。
実施例1~9のイージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、0.3~10質量%であった。
実施例1~9の結果から、イージーピール層の防曇剤の含有量が少なくなると、H140及びS140が大きくなり、透明多層フィルムのヘーズが低くなり、イージーピール層の表面抵抗率が高くなる傾向が確認された。そして、イージーピール層の表面抵抗率が高くなる(換言すると、イージーピール層の防曇剤の含有量が少なくなる)と、包装体の防曇性が悪化する傾向が確認された。
なかでも、実施例1~7、9においては、H140が2.2N/25.4mm以上(2.2~5.5N/25.4mm)であり、S140が4.2N/25.4mm以上(S140が4.2~9.2N/25.4mm)であって、より高く、製造時と製造後の包装体の剥離耐性がより高かった。
一方、実施例1~6、8、9のイージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、0.5~10質量%であり、実施例1~6、8、9においては、イージーピール層の表面抵抗率が、8.9×10~7.6×1013Ω/□であり、包装体の防曇性が良好であった。
すなわち、実施例1~6、9においては、製造時と製造後の包装体の剥離耐性がより高く、かつ、包装体の防曇性が良好であった。実施例1~6、9のイージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、0.5~7質量%であり、実施例1~6、9においては、イージーピール層の表面抵抗率が、6.2×10~7.6×1013Ω/□であり、H140が2.2N/25.4mm以上(2.2~5.1N/25.4mm)であり、S140が4.2N/25.4mm以上(S140が4.2~8.9N/25.4mm)であった。
実施例1と実施例9との比較から、柔軟層を構成する樹脂として、バイオマス由来の低密度ポリエチレンを用いても、従来の低密度ポリエチレンを用いた場合と同様の品質の、透明多層フィルムと包装体が得られることを確認できた。
これに対して、比較例1においては、深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれが抑制されておらず、製造時と製造後の包装体の剥離耐性が低かった。
比較例1においては、H140が0.3N/25.4mmであり、S140が2.4N/25.4mmであって、いずれも低かった。
比較例1においては、イージーピール層がホットメルト接着剤(前記TA)ではなく、低密度ポリエチレン(前記LDPE(1))を含有していた。
比較例2においても、深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれが抑制されておらず、製造時の包装体の剥離耐性が低かった。
比較例2においては、H140が0.9N/25.4mmであり、低かった。
比較例2においては、イージーピール層がホットメルト接着剤(前記TA)ではなく、エチレン-酢酸ビニル共重合体(前記EVA)を含有していた。
本発明は、包装体の製造に利用可能であり、なかでも深絞り包装体の製造へ利用するのに、特に好適である。
1,2・・・透明多層フィルム
11・・・イージーピール層
11b・・・イージーピール層の柔軟層側とは反対側の面(露出面)
12・・・柔軟層
13・・・中間層
14・・・酸素バリア層
15・・・外層
8・・・蓋材
10・・・底材
101・・・包装体

Claims (16)

  1. 少なくともイージーピール層を備えた透明多層フィルムであって、
    前記イージーピール層は、ホットメルト接着剤を含有し、
    幅が25.4mm、厚さが6μmである前記イージーピール層の試験片と、厚さが200μmであるポリチレンテレフタレート製フィルムとを、シール温度140℃で2秒、加熱シールした場合の、前記加熱シール後0.22秒でのホットタック強度をH140とし、前記加熱シール後24時間でのシール強度をS140としたとき、前記H140が1N/25.4mm以上であり、前記S140が3N/25.4mm以上である、透明多層フィルム。
  2. 前記ホットメルト接着剤がテルペン系樹脂である、請求項1に記載の透明多層フィルム。
  3. JIS K 7136:2000に準拠して測定された、前記透明多層フィルムのヘーズが、20%以下である、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  4. 前記透明多層フィルムが、さらに、柔軟層を備えている、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  5. 前記透明多層フィルムが、さらに、中間層を備えている、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  6. 前記透明多層フィルムが、さらに、酸素バリア層を備えている、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  7. 前記透明多層フィルムが、さらに、柔軟層と、中間層と、酸素バリア層と、を備え、
    前記柔軟層と前記中間層が、前記イージーピール層と、前記酸素バリア層と、の間に配置されている、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  8. 前記柔軟層が、前記イージーピール層に隣接して配置されている、請求項4に記載の透明多層フィルム。
  9. 前記透明多層フィルムが、前記酸素バリア層の前記中間層側とは反対側に、さらに、プロピレン系重合体、ポリアミド又はポリエステルを含有する外層を備えている、請求項7に記載の透明多層フィルム。
  10. JIS C 2139-3-1:2018に準拠して測定された、前記イージーピール層の表面抵抗率が、1×10~1×1014Ω/□である、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  11. 前記イージーピール層が防曇剤を含有する、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  12. 前記中間層がポリアミドを含有する、請求項5に記載の透明多層フィルム。
  13. 前記ポリアミドが、バイオマス由来のポリアミドである、請求項12に記載の透明多層フィルム。
  14. 前記柔軟層がポリエチレンを含有する、請求項4に記載の透明多層フィルム。
  15. 前記ポリエチレンが、バイオマス由来のポリエチレンである、請求項14に記載の透明多層フィルム。
  16. 請求項1又は2に記載の透明多層フィルムを備えた、包装体。
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