JP6881407B2 - 透明多層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Description

本発明は、透明多層フィルム及び包装体に関する。
食品用の包装体の1種として、トレーを蓋材フィルムでシールしたものがある。特に、透明蓋材フィルムでシールした包装体は、トレー上に載せられた食品を包装体の外部から視認できるため、需要が多い。
このようなフィルムに対しては、トレーに対するイージーピール性、酸素や水蒸気の透過を抑制するバリア性、耐ピンホール性等を有することが求められ、通常は、透明多層フィルムが利用される(特許文献1参照)。
特開2005―288793号公報
透明多層フィルムは、例えば、共押出し法等の加熱を伴う方法で成膜することにより、製造されるが、このような透明多層フィルムは、その製造開始時から製造終了時までの間に、発煙が見られることがある。発煙があると、製造途中の透明多層フィルム中間体、又は透明多層フィルムにおいて、発煙成分が凝結し、この工程異常によって、透明多層フィルムを正常に製造できなくなってしまう。これに対して、特許文献1に記載の透明多層フィルムで、このような問題点が解消されるか否かは、定かではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その製造開始時から製造終了時までの間に、発煙が抑制される透明多層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].イージーピール層と、水蒸気バリア層と、中間層と、酸素バリア層と、が積層されて構成され、前記水蒸気バリア層と前記中間層は、前記イージーピール層と、前記酸素バリア層と、の間に配置されており、前記水蒸気バリア層は、前記イージーピール層に隣接して配置されており、前記中間層が、融点が210℃以下の含窒素樹脂を含有する、透明多層フィルム。
[2].前記イージーピール層が防曇剤を含有する、[1]に記載の透明多層フィルム。
[3].前記含窒素樹脂がポリアミドである、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[4].前記水蒸気バリア層がポリプロピレンを含有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[5].前記酸素バリア層の厚さが15μm以下である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[6].前記水蒸気バリア層が結晶化核剤を含有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[7].[1]〜[6]のいずれか一項に記載の透明多層フィルムを備えた、包装体。
本発明によれば、その製造開始時から製造終了時までの間に、発煙が抑制される透明多層フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<透明多層フィルム>>
本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムは、イージーピール層と、水蒸気バリア層と、中間層と、酸素バリア層と、が積層されて構成され、前記水蒸気バリア層と前記中間層は、前記イージーピール層と、前記酸素バリア層と、の間に配置されており、前記水蒸気バリア層は、前記イージーピール層に隣接して配置されており、前記中間層が、融点が210℃以下の含窒素樹脂を含有する。
本実施形態の透明多層フィルムは、その全体が透明性を有する。
本実施形態の透明多層フィルムにおいて、中間層は、融点が210℃以下の含窒素樹脂を含有している。このような透明多層フィルムの製造時には、その成膜温度を前記融点以上の、比較的低温とすることが可能である。そして、透明多層フィルムの製造開始時から製造終了時までの間に、発煙を抑制でき、その結果、製造途中の透明多層フィルム中間体、及び透明多層フィルムにおいて、発煙成分の凝結も抑制できるため、透明多層フィルムを正常に製造できる。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態の透明多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す透明多層フィルム1は、イージーピール層11と、水蒸気バリア層12と、中間層13と、酸素バリア層14と、が積層されて構成されている。
透明多層フィルム1において、水蒸気バリア層12と中間層13は、イージーピール層11と、酸素バリア層14と、の間に配置されている。また、水蒸気バリア層12は、イージーピール層11に隣接して配置されている。
さらに、透明多層フィルム1は、水蒸気バリア層12と、中間層13と、の間に、接着層15を備えている。
すなわち、透明多層フィルム1は、イージーピール層11、水蒸気バリア層12、接着層15、中間層13及び酸素バリア層14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
<イージーピール層>
イージーピール層11は、透明多層フィルム1において、一方の最表層であり、透明多層フィルム1を構成する各層の積層方向において、一方の最も外側に配置されている。
透明多層フィルム1を、その中のイージーピール層11によって、他のフィルム又はシートとシールすることにより、包装体を構成できる。イージーピール層11の、水蒸気バリア層12側とは反対側の面(換言すると露出面、本明細書においては「第1面」と称することがある)11aが、他のフィルム又はシートとシールするためのシール面となる。
イージーピール層11は、透明性を有する。
イージーピール層11の構成材料は、公知のものであってよい。
好ましいイージーピール層11としては、凝集破壊による剥離性を示すものが挙げられる。
凝集破壊による剥離性を示すイージーピール層11としては、例えば、非相溶性の2種のポリオレフィンを含有するものが挙げられる。
イージーピール層11が含有する、非相溶性の2種のポリオレフィンとしては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系重合体と、が挙げられる。
イージーピール層11が含有する、前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体と、エチレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレンの単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA樹脂)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA樹脂)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA樹脂)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA樹脂)、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH樹脂)、アイオノマー樹脂(ION樹脂)等が挙げられる。
イージーピール層11が含有する、前記プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体(すなわちポリプロピレン又はホモポリプロピレン、本明細書においては、「hPP」と称することがある)と、プロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、本明細書においては、「rPP」と称することがある)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、本明細書においては、「bPP」と称することがある)等が挙げられる。
イージーピール層11が含有する、イージーピール性を発現する成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、イージーピール性を発現する成分が、上述の非相溶性の2種のポリオレフィンである場合、イージーピール層11が含有するこれらポリオレフィンは、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
イージーピール層11において、前記エチレン系重合体及びプロピレン系重合体の合計含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体の含有量(質量部)の割合は、10〜90質量%であることが好ましく、例えば、15〜70質量%、及び20〜50質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層11のイージーピール性がより良好となる。前記割合が前記上限値以下であることで、ピール強度がより安定する。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、前記エチレン系重合体及びプロピレン系重合体の合計含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
イージーピール層11は、イージーピール性を損なわない範囲で、イージーピール性を発現する成分(例えば、上述の非相溶性の2種のポリオレフィン)以外に、他の成分を含有していてもよい。
イージーピール層11が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
イージーピール層11において、イージーピール層11の総質量に対する、イージーピール性を発現する成分の含有量の割合(例えば、上述の非相溶性の2種のポリオレフィンの合計含有量の割合)は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層11のイージーピール性がより良好となる。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、イージーピール性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
イージーピール層11が含有する前記他の成分としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
なかでも、イージーピール層11は、前記他の成分として防曇剤を含有することが好ましい。
イージーピール層11が含有する前記防曇剤は、透明多層フィルム1の曇り、特にイージーピール層11の露出面における曇りを抑制するための成分である。
イージーピール層11が含有する防曇剤は、公知のものでよい。防曇剤としては、例えば、ポリグリセン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
イージーピール層11が含有する防曇剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
防曇剤を用いる場合、イージーピール層11において、イージーピール層11の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、0.5〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜4.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、防曇剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、透明多層フィルム1の防曇性以外の特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、防曇剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
前記アンチブロッキング剤は、透明多層フィルム1同士を重ねたとき、又は、透明多層フィルム1と、他のフィルム又はシートと、を重ねたときに、透明多層フィルム1同士の張り付き、又は、透明多層フィルム1と、これに隣接するフィルム又はシートと、の張り付き(ブロッキング)を抑制するための成分である。「透明多層フィルム1同士を重ねる」態様には、「1枚の透明多層フィルム1をロール状に巻き取る」態様も含まれる。
イージーピール層11が含有するアンチブロッキング剤は、公知のものでよい。アンチブロッキング剤としては、例えば、天然シリカ、合成シリカ等のシリカが挙げられる。
イージーピール層11が含有するアンチブロッキング剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
アンチブロッキング剤を用いる場合、イージーピール層11において、イージーピール層11の総質量に対する、アンチブロッキング剤の含有量の割合は、0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、アンチブロッキング剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、透明多層フィルム1のアンチブロッキング性以外の特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、アンチブロッキング剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
イージーピール層11は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。イージーピール層11が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、イージーピール層11の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
イージーピール層11の厚さは、特に限定されないが、10μm未満であることが好ましく、9μm以下であることがより好ましく、7.5μm以下であることがさらに好ましく、6μm以下であることが特に好ましい。シール対象物に対してシールされた状態のイージーピール層を剥離(すなわちピール)したとき、剥離箇所間でイージーピール層の一部が糸を引いた状態となって、剥離面が平坦にはならないことがある(本明細書においては、このような状態を「糸引き」と称することがある)。これに対して、イージーピール層11の厚さが前記上限値以下であることで、このような糸引きの発生を抑制する効果がより高くなる。この効果は、イージーピール層が凝集破壊による剥離性を示すものである場合に、特に高くなる。
イージーピール層11の厚さの下限値は、特に限定されない。例えば、イージーピール層11の構造がより安定する点では、イージーピール層11の厚さは2μm以上であることが好ましい。
イージーピール層11の厚さは、上述の下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、イージーピール層11の厚さは、好ましくは2μm以上10μm未満、より好ましくは2〜9μm、さらに好ましくは2〜7.5μm、特に好ましくは2〜6μmである。ただし、これらは、イージーピール層11の厚さの一例である。
イージーピール層11が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましいイージーピール層11の厚さとなるようにするとよい。
<水蒸気バリア層>
水蒸気バリア層12は、イージーピール層11に隣接して配置されている。本実施形態の透明多層フィルムにおいては、このように、水蒸気バリア層がイージーピール層に接触して積層されていることが好ましい。
水蒸気バリア層12は、透明性を有する。
水蒸気バリア層12は、水蒸気バリア性を有する水蒸気バリア樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記水蒸気バリア樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ポリプロピレン;プロピレン−エチレンランダム共重合体;プロピレン−エチレンブロック共重合体;プロピレン−αオレフィン共重合体;シクロペンタジエン又はノルボルネン等の環状オレフィンを共重合させて得られたエチレン−環状オレフィン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂);エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物又は完全ケン化物;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのエステル化物若しくはイオン架橋物;エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体;無水マレイン酸変性ポリエチレン;無水マレイン酸−ポリエチレン共重合体等が挙げられる。
水蒸気バリア層12は、これらの中でも、ポリプロピレンを含有することが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様である。
水蒸気バリア層12が含有する、水蒸気バリア性を発現する成分(例えば、前記水蒸気バリア樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
水蒸気バリア層12は、水蒸気バリア性を損なわない範囲で、水蒸気バリア性を発現する成分(例えば、前記水蒸気バリア樹脂)以外に、他の成分を含有していてもよい。
水蒸気バリア層12が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
水蒸気バリア層12において、水蒸気バリア層12の総質量に対する、水蒸気バリア性を発現する成分の含有量の割合(例えば、前記水蒸気バリア樹脂の含有量の割合)は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、水蒸気バリア層12の水蒸気バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する水蒸気バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、水蒸気バリア性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
水蒸気バリア層12が含有する前記他の成分としては、例えば、防曇剤、結晶化核剤等が挙げられる。
なかでも、水蒸気バリア層12は、前記他の成分として結晶化核剤を含有することが好ましい。結晶化核剤は、後述するように、これを含有する層の透明性を向上させるための成分である。
イージーピール層11が、凝集破壊による剥離性を示すものである場合、例えば、イージーピール層11が、上述の非相溶性の2種のポリオレフィンを含有するものである場合には、イージーピール層11ではなく他のシーラント層を備えている場合よりも、透明多層フィルム1全体の透明性が低下する傾向にある。したがって、本実施形態においては、イージーピール層11が凝集破壊による剥離性を示すものである場合、水蒸気バリア層12は、前記他の成分として結晶化核剤を含有することが特に好ましい。
水蒸気バリア層12が含有する前記防曇剤は、透明多層フィルム1の曇り、特にイージーピール層11の露出面における曇りを抑制するための成分である。
水蒸気バリア層12が含有する防曇剤は、公知のものでよく、具体的には、上述のイージーピール層11が含有する防曇剤と同様のものが挙げられる。
水蒸気バリア層12が含有する防曇剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
防曇剤を用いる場合、水蒸気バリア層12において、水蒸気バリア層12の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、防曇剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、透明多層フィルム1の防曇性以外の特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述する水蒸気バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、防曇剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
前記結晶化核剤は、水蒸気バリア層12中での結晶成長を制御することにより、水蒸気バリア層12の透明性を向上させるための成分である。
水蒸気バリア層12が含有する結晶化核剤は、公知のものでよい。結晶化核剤としては、例えば、ソルビトール系結晶化核剤等が挙げられる。
水蒸気バリア層12が含有する結晶化核剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
結晶化核剤を用いる場合、水蒸気バリア層12において、水蒸気バリア層12の総質量に対する、結晶化核剤の含有量の割合は、0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、結晶化核剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、水蒸気バリア層12の透明性以外の特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述する水蒸気バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、結晶化核剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
水蒸気バリア層12は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。水蒸気バリア層12が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
水蒸気バリア層12の厚さは、特に限定されないが、5〜30μmであることが好ましく、7.5〜25μmであることがより好ましく、10〜20μmであることが特に好ましい。水蒸気バリア層12の厚さが前記下限値以上であることで、水蒸気バリア層12の水蒸気バリア性、換言すると、透明多層フィルム1の水蒸気バリア性、がより向上する。水蒸気バリア層12の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
水蒸気バリア層12が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい水蒸気バリア層12の厚さとなるようにするとよい。
水蒸気バリア層12の水蒸気透過量は、例えば、40℃、90%RH(相対湿度)の雰囲気下において、100g/m・day以下であることが好ましい。
水蒸気バリア層12の水蒸気透過量は、例えば、JIS Z 0208に準拠して測定できる。
<中間層>
中間層13は、透明多層フィルム1に成形加工性を付与し、また、透明多層フィルム1においてピンホールの発生を抑制する。
中間層13は、その構成材料として、融点が210℃以下の含窒素樹脂を含有する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「含窒素樹脂」とは、この融点が210℃以下の含窒素樹脂を意味する。
中間層13は、透明性を有する。
中間層13が含有する前記含窒素樹脂は、その融点が210℃以下のものであれば特に限定されないが、その主鎖中に窒素原子を有するものが好ましい。
なかでも、前記含窒素樹脂は、ポリアミドであることがより好ましい。
前記ポリアミドとしては、例えば、環状ラクタム(環員数が3以上のラクタム)、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸との反応で得られたナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られたポリアミド等が挙げられる。
前記環状ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン;
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記ポリアミドとして、より具体的には、例えば、4−ナイロン、6−ナイロン、7−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、66−ナイロン、69−ナイロン、610−ナイロン、611−ナイロン、612−ナイロン、6T−ナイロン、6Iナイロン、6−ナイロンと66−ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6−ナイロンと610−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと611−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと12−ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6−ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと6T−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと610−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと12−ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6−ナイロンと66−ナイロンと612−ナイロンとのコポリマー、66−ナイロンと6T−ナイロンとのコポリマー、66−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー、6T−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー、66−ナイロンと6T−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
前記ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易さ等の点においては、6−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
中間層13が含有する前記含窒素樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
透明多層フィルムの製造時には、例えば、これを構成する各層を形成するための樹脂又は樹脂組成物を用いて、共押出し法等の加熱を伴う方法により、各層を成形(換言すると成膜)する。
一方、中間層は通常、例えば、上述の含窒素樹脂を含むなど、他の層よりも高融点の樹脂を用いて構成される。すなわち、中間層は通常、他の層の場合よりも、高い成膜温度を必要とする。ここで、成膜温度が高過ぎると、透明多層フィルムの製造開始時から製造終了時までの間に、透明多層フィルムを構成するいずれかの層、又はこれを形成するための前記樹脂組成物から、比較的低沸点の成分が気化して、発煙として観測されることがある。その場合、この発煙成分(すなわち、上記の気化した成分)が冷却によって凝結し、これが工程異常の原因となって、透明多層フィルムを正常に製造できなくなってしまう。このような発煙は、成膜温度が高過ぎる場合に加えて、発煙の原因となる成分を含有する樹脂組成物から形成(成膜)されるいずれかの層の厚さが低い場合にも見られる。なお、このような発煙の原因となり易い成分としては、例えば、上述の防曇剤が挙げられる。
これに対して、透明多層フィルム1においては、中間層13が含有する含窒素樹脂の融点が、210℃以下であり、比較的低融点である。そして、透明多層フィルム1中の各層が含有する、気化し得る成分(例えば、典型的には防曇剤)として、その沸点が210℃(換言すると、含窒素樹脂の融点)よりも高いものを選択することは容易である。すなわち、透明多層フィルム1は、その製造開始時から製造終了時までの間に、発煙を十分に抑制できる。例えば、透明多層フィルム1においては、防曇剤を含有する層(例えば、先に説明したイージーピール層11、水蒸気バリア層12)の厚さの上限値を40μmとすれば、このような発煙の抑制効果をより顕著に得られる。
上述の発煙の抑制効果がより高くなる点から、前記含窒素樹脂の融点は、205℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、197℃以下であることが特に好ましい。
前記含窒素樹脂の融点の下限値は、特に限定されない。例えば、含窒素樹脂の入手が比較的容易である点では、含窒素樹脂の融点は160℃以上であることが好ましく、165℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることがさらに好ましく、175℃以上であることが特に好ましい。
前記含窒素樹脂の融点は、上述の下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、含窒素樹脂の融点は、好ましくは160〜210℃、より好ましくは165〜205℃、さらに好ましくは170〜200℃、特に好ましくは175〜197℃である。ただし、これらは、含窒素樹脂の融点の一例である。
中間層13は、その効果を損なわない範囲で、前記含窒素樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。
中間層13が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
中間層13において、中間層13の総質量に対する、前記含窒素樹脂の含有量の割合は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、透明多層フィルム1が中間層13を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
前記割合は、通常、後述する中間層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記含窒素樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
中間層13が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
中間層13は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。中間層13が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
中間層13の厚さは、特に限定されないが、3〜30μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましく、7〜20μmであることが特に好ましい。中間層13の厚さが前記下限値以上であることで、透明多層フィルム1が中間層13を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。中間層13の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
中間層13が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい中間層13の厚さとなるようにするとよい。
<酸素バリア層>
酸素バリア層14は、透明多層フィルム1において、他方の最表層であり、透明多層フィルム1を構成する各層の積層方向において、イージーピール層11とは反対側の、他方の最も外側に配置されている。
酸素バリア層14は、透明性を有する。
酸素バリア層14は、酸素バリア性を有する酸素バリア樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記酸素バリア樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(別名:エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、EVOH)、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
酸素バリア層14は、これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含有することが好ましく、エチレンの共重合比率(換言すると、エチレン−ビニルアルコール共重合体中の構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合)が30〜50モル%であるエチレンービニルアルコール共重合体を含有することがより好ましい。
酸素バリア層14が含有する、酸素バリア性を発現する成分(例えば、前記酸素バリア樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層14は、酸素バリア性を損なわない範囲で、酸素バリア性を発現する成分(例えば、前記酸素バリア樹脂)以外に、他の成分を含有していてもよい。
酸素バリア層14が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層14において、酸素バリア層14の総質量に対する、酸素バリア性を発現する成分の含有量の割合(例えば、前記酸素バリア樹脂の含有量の割合)は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層14の酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する中間層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、酸素バリア性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
酸素バリア層14が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
酸素バリア層14は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。酸素バリア層14が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
酸素バリア層14の厚さは、特に限定されないが、15μm以下であることが好ましく、13μm以下であることがより好ましく、11μm以下であることが特に好ましい。酸素バリア層14の厚さが前記上限値以下であることで、酸素バリア層14は、良好な酸素バリア性を保持しつつ、その製膜時における発泡等の外観悪化の抑制効果が高くなる。
酸素バリア層14の厚さの下限値は、特に限定されない。例えば、酸素バリア層14の酸素バリア性、換言すると、透明多層フィルム1の酸素バリア性、がより向上する点では、酸素バリア層14の厚さは5μm以上であることが好ましい。
酸素バリア層14の厚さは、上述の下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、酸素バリア層14の厚さは、好ましくは5〜15μm、より好ましくは5〜13μm、特に好ましくは5〜11μmである。ただし、これらは、酸素バリア層14の厚さの一例である。
酸素バリア層14が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい酸素バリア層14の厚さとなるようにするとよい。
酸素バリア層14の酸素ガス透過量は、例えば、20℃、80%RH(相対湿度)の雰囲気下において、50cc/m・atm・day以下であることが好ましい。
酸素バリア層14の酸素ガス透過量は、例えば、JIS K 7126−2に準拠して測定できる。
<接着層>
接着層15は、これに隣接する、水蒸気バリア層12と中間層13を接着している。
接着層15は、透明性を有する。
接着層15は、任意の構成要素であり、透明多層フィルム1においては省略可能である。ただし、接着層15を備えていることにより、透明多層フィルム1の多層構造がより安定化する。
接着層15は、接着性樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)等が挙げられる。前記ポリオレフィン系樹脂は、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であることが好ましい。
接着層15が含有する前記エチレン系共重合体としては、例えば、イージーピール層11の含有成分として先に説明したエチレン系共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層15が含有する前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層15が含有する前記ブテン系共重合体としては、例えば、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層15が含有する、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層15は、接着性を損なわない範囲で、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)以外に、他の成分を含有していてもよい。
接着層15が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層15において、接着層15の総質量に対する、接着性を発現する成分の含有量の割合(例えば、前記接着性樹脂の含有量の割合)は、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層15の接着性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
接着層15が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層15は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。接着層15が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
接着層15の厚さは、特に限定されないが、0.1〜30μmであることが好ましく、0.5〜20μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。接着層15の厚さが前記下限値以上であることで、接着層15はより優れた接着性を有する。接着層15の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
接着層15が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい接着層15の厚さとなるようにするとよい。
透明多層フィルム1のヘーズは、12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
一方、透明多層フィルム1のヘーズの下限値は、特に限定されない。例えば、透明多層フィルム1の製造が容易である点では、前記ヘーズは0.5%以上であってもよい。
ただし、ここに示す透明多層フィルム1のヘーズは、一例である。
透明多層フィルム1のヘーズは、これを構成する上述の各層の含有成分の種類又は含有量を調節することにより、調節できる。例えば、各層における、上述の結晶化核剤の使用の有無と、使用する場合の使用量等を調節することにより、前記ヘーズをより容易に調節できる。
なお、本明細書において「フィルムのヘーズ」とは、JIS K 7136:2000に準拠して測定されたものを意味する。
本実施形態の透明多層フィルムは、上述の態様に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1に示す透明多層フィルム1は、イージーピール層11と、水蒸気バリア層12と、中間層13と、酸素バリア層14と、接着層15と、を備えているが、これらのいずれにも該当しない、他の層をさらに備えていてもよい。
前記他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、透明多層フィルム1は、水蒸気バリア層12と中間層13との間以外の、他の2層間に、接着層15と同様の接着層を備えていてもよい。
<<透明多層フィルムの製造方法>>
前記透明多層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、前記透明多層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を、透明多層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、透明多層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
また、前記透明多層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせることにより積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層を形成可能なものを用いてもよい。
また、前記透明多層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
前記透明多層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、透明多層フィルム中のいずれかの層(換言するとフィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
前記透明多層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
イージーピール層(図1に示す透明多層フィルム1においては、イージーピール層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「イージーピール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、イージーピール性を発現する成分(例えば、上述の非相溶性の2種のポリオレフィン)と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。イージーピール層における前記他の成分としては、例えば、前記防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
水蒸気バリア層(図1に示す透明多層フィルム1においては、水蒸気バリア層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「水蒸気バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、水蒸気バリア性を発現する成分(例えば、前記水蒸気バリア樹脂)と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。水蒸気バリア層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、前記防曇剤、結晶化核剤等が挙げられる。
中間層(図1に示す透明多層フィルム1においては、中間層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「中間層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、融点が210℃以下の含窒素樹脂と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。中間層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
酸素バリア層(図1に示す透明多層フィルム1においては、酸素バリア層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、酸素バリア性を発現する成分(例えば、前記酸素バリア樹脂)と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。酸素バリア層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層(図1に示す透明多層フィルム1においては、接着層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。接着層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
<<包装体>>
本発明の一実施形態に係る包装体は、前記透明多層フィルムを備えたものである。
前記透明多層フィルムは、その中のイージーピール層によって、他の樹脂フィルム、樹脂シート又は樹脂トレー(換言すると、樹脂製の底材)とシールすることにより、種々の包装体を構成できる。
好ましい前記包装体としては、例えば、前記透明多層フィルムがトレー用の蓋材であり、前記透明多層フィルムが、その中のイージーピール層によって、樹脂トレーとシールされて構成されたものが挙げられる。
図2は、本実施形態の包装体の一例を模式的に示す断面図である。
なお、図2において、図1に示すものと同じ構成要素には、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す包装体2は、図1に示す透明多層フィルム1を蓋材として用い、これが樹脂トレー9とシールされて構成されている。
樹脂トレー9は、公知のものであってよい。
樹脂トレー9は、樹脂シート又は樹脂フィルムを、その一方の面が凹状となるように(換言すると、他方の面が凸状となるように)成形されたものである。より具体的には、樹脂トレー9の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)9aは凹状であり、さらに、その周縁部90aは、平面状となっている。
包装体2においては、透明多層フィルム1中のイージーピール層11の第1面11aのうち、周縁部110aと、樹脂トレー9の第1面9aのうち、周縁部90aと、がシールされ、密着している。そして、イージーピール層11と樹脂トレー9は、これら周縁部(前記周縁部110aと前記周縁部90a)以外の領域では、シールされて(密着して)いない。このように透明多層フィルム1と樹脂トレー9がシールされていることにより、包装体2は、イージーピール層11の第1面11aと、樹脂トレー9の第1面9aと、によって囲まれた収容空間Sを有する。この収容空間S内には、包装対象物8が収容され、密封されている。
包装体2においては、透明多層フィルム1を介して、収容空間S内に収容された包装対象物8を明りょうに視認できる。
包装体2を開封するときには、透明多層フィルム1を樹脂トレー9から引き剥がす動作を行うことにより、透明多層フィルム1中のイージーピール層11において、容易に剥離が生じる。
本実施形態の包装体は、上述の態様に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図2に示す包装体2においては、樹脂トレー9の第1面9aの周縁部90aは、平面状であるが、前記周縁部90aは、曲面状等、他の形状であってもよい。
また、図2においては、透明多層フィルム1を用いた包装体2を示しているが、本実施形態の包装体は、透明多層フィルム1以外の本発明の透明多層フィルムを用いたものであってもよい。
また、図2においては、透明多層フィルム1のシール対象物として、樹脂トレー9を用いた包装体2を示しているが、本実施形態の包装体は、透明多層フィルム1のシール対象物として、樹脂トレーではなく、樹脂フィルム又は樹脂シートを用いたものであってもよい。
<<包装体の製造方法>>
前記包装体は、前記透明多層フィルムを用い、目的とする収容空間を形成するように、透明多層フィルムと、他の樹脂フィルム、樹脂シート又は樹脂トレーと、をシールする(貼り合わせる)ことにより、製造できる。このときのシールは、加熱しながら行う(加熱ラミネートで行う)ことが好ましい。
前記樹脂トレーを用いる場合には、公知の方法により、例えば、平面状の樹脂シートを、目的とする形状に成形して、樹脂トレーを作製すればよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<<透明多層フィルムの製造>>
[実施例1]
<イージーピール層形成用組成物の製造>
低密度ポリエチレン(LDPE、宇部丸善ポリエチレン社製「F522N」)27質量部と、ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP、住友化学社製「S131」)40質量部と、防曇剤マスターバッチ(竹本油脂社製「P302AB」、防曇剤である脂肪酸エステル化合物の含有量が10質量%、ポリプロピレン系樹脂の含有量が90質量%)30質量部と、アンチブロッキング剤マスターバッチ(住友化学社製「A22」)、アンチブロッキング剤であるシリカ含有物の含有量が10質量%、ポリエチレン系樹脂の含有量が90質量%)3質量部と、を常温下で混練し、イージーピール層形成用組成物を得た。
<水蒸気バリア層形成用組成物の製造>
ホモポリプロピレン(hPP、住友化学社製「WF836DG3」)82質量部と、結晶化核剤マスターバッチ(東京インキ社製「PPM−NAT94」、ソルビトール系結晶化核剤の含有量が10質量%、ポリプロピレン系樹脂の含有量が90質量%)3質量部と、防曇剤マスターバッチ(竹本油脂社製「P302AB」、防曇剤である脂肪酸エステル化合物の含有量が10質量%、ポリプロピレン系樹脂の含有量が90質量%)5質量部と、を常温下で混練し、水蒸気バリア層形成用組成物を得た。
<透明多層フィルムの製造>
接着層を構成する樹脂(接着性樹脂)として、変性ポリプロピレン(変性PP、三井化学社製「QF551」)を用意し、中間層を構成する樹脂として、6−ナイロンと66−ナイロンとのコポリマー(以下、「Ny6/66」と略記することがある)(宇部興産社製「5033X80」、融点196℃)を用意し、酸素バリア層を構成する樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH、クラレ社製「E173B」)を用意した。
ダイの温度を220〜245℃とし、イージーピール層形成用組成物と、水蒸気バリア層形成用組成物と、変性PPと、Ny6/66と、EVOHとを、この順で共押出しすることにより、イージーピール層(厚さ5μm)と、水蒸気バリア層(厚さ15μm)と、接着層(厚さ7.5μm)と、中間層(厚さ12.5μm)と、酸素バリア層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された透明多層フィルム(厚さ50μm)を得た。
[実施例2]
中間層を構成する樹脂として、6−ナイロンと66−ナイロンとのコポリマー(Ny6/66、宇部興産社製「5034B」、融点192℃)を用意した。
そして、融点が196℃の上述のNy6/66(宇部興産社製「5033X80」)に代えて、このNy6/66を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、イージーピール層(厚さ5μm)と、水蒸気バリア層(厚さ15μm)と、接着層(厚さ7.5μm)と、中間層(厚さ12.5μm)と、酸素バリア層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された透明多層フィルム(厚さ50μm)を得た。
[比較例1]
中間層を構成する樹脂として、6−ナイロン(Ny6、宇部興産社製「1030B2」、融点225℃)を用意した。
そして、融点が196℃の上述のNy6/66(宇部興産社製「5033X80」)に代えて、この6−ナイロンを用いた点、及び、ダイの温度を220〜245℃ではなく250〜270℃とした点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、イージーピール層(厚さ5μm)と、水蒸気バリア層(厚さ15μm)と、接着層(厚さ7.5μm)と、中間層(厚さ12.5μm)と、酸素バリア層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された透明多層フィルム(厚さ50μm)を得た。
[比較例2]
中間層を構成する樹脂として、6−ナイロン(Ny6、宇部興産社製「1030B2」、融点225℃)を用意した。
そして、融点が196℃の上述のNy6/66(宇部興産社製「5033X80」)に代えて、この6−ナイロンを用いた点、ダイの温度を220〜245℃ではなく270〜290℃とした点、イージーピール層形成用組成物の使用量を増大させた点、及び、水蒸気バリア層形成用組成物の使用量を低減した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、イージーピール層(厚さ9μm)と、水蒸気バリア層(厚さ11μm)と、接着層(厚さ7.5μm)と、中間層(厚さ12.5μm)と、酸素バリア層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された透明多層フィルム(厚さ50μm)を得た。
<<透明多層フィルムの評価>>
<製造過程での発煙抑制効果の評価>
上記の各実施例及び比較例において、透明多層フィルムの製造開始時から製造終了時までの間に、製造途中の透明多層フィルム中間体、又は透明多層フィルムからの、発煙の有無を目視で確認した。そして、下記基準に従って、透明多層フィルムの発煙抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:発煙が全く見られないか、又は発煙が少量見られるだけであり、透明多層フィルムの製造に影響がなかった。
B:発煙が中程度見られ、透明多層フィルムの製造に影響があった。
C:発煙が大量に見られ、透明多層フィルムの製造に甚大な影響があった。
<透明多層フィルムの防曇性の評価>
容量500mLのビーカーに、40℃の水(200mL)を入れた。
そして、上記の各実施例及び比較例で得られた透明多層フィルムによって、このビーカーの開口部を塞いだ。このとき、透明多層フィルムのイージーピール層をビーカー側に(換言すると、酸素バリア層をビーカー側とは反対側、すなわち外側に)向けた。
次いで直ちに、ビーカーをこの状態のまま、庫内温度が10℃の冷蔵庫内に入れて、そのまま1時間保管した。
次いで、冷蔵庫内からビーカーを取り出し、このビーカーの開口部を塞いでいる透明多層フィルムを目視観察して、下記基準に従って、透明多層フィルムの防曇性を評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:透明多層フィルム表面において、水分が均一に広がり、透明多層フィルムを介した前方の視認性が良好である。
B:透明多層フィルム表面において、水分が均一に広がらず、大きい水滴が付着しており、透明多層フィルムを介した前方の視認性がやや不良である。
C:透明多層フィルム表面において、水分が均一に広がらず、小さい水滴が付着しており、透明多層フィルムを介した前方の視認性が極めて不良である。
なお、表1中のイージーピール層の欄、及び水蒸気バリア層の欄における、「防曇剤の見かけ上の含有量(質量%)」とは、透明多層フィルムの製造過程において、防曇剤が気化しなかったと仮定したときの、これらの層の防曇剤の含有量を意味する。
すなわち、イージーピール層における「防曇剤の見かけ上の含有量(質量%)」は、イージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、防曇剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
同様に、水蒸気バリア層における「防曇剤の見かけ上の含有量(質量%)」は、水蒸気バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、防曇剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
Figure 0006881407
上記結果から明らかなように、実施例1〜2においては、透明多層フィルムの製造開始時から製造終了時までの間に、発煙が抑制されており、透明多層フィルム中間体、及び透明多層フィルムのいずれにおいても、発煙成分の凝結が認められず、工程異常を伴うことなく、透明多層フィルムを製造できた。
実施例1〜2においては、中間層の主要構成材料であるNy6/66の融点が196℃以下(192〜196℃)であったので、成膜温度を245℃以下(220〜245℃)と、比較的低温にすることができた。実施例1〜2においては、透明多層フィルムの防曇性が高く、これは、成膜温度が比較的低かったため、透明多層フィルムの製造過程(換言すると成膜時)で防曇剤の気化が抑制され、その結果、透明多層フィルム中の防曇剤の含有量が高いまま維持されたからである、と推測された。このことは、上記のように発煙が抑制されていたことと整合していた。
これに対して、比較例1〜2においては、透明多層フィルムの製造開始時から製造終了時までの間に、発煙が抑制されず、透明多層フィルム中間体、及び透明多層フィルムのいずれにおいても、発煙成分の凝結が認められ、工程異常が認められた。
比較例1〜2においては、中間層の主要構成材料であるNy6の融点が225℃であったので、成膜温度を250℃以上(250〜290℃)と、高温にせざるを得なかった。このように成膜温度が高かったため、透明多層フィルムの製造過程(換言すると成膜時)で防曇剤の気化が抑制されず、その結果、透明多層フィルム中の防曇剤の含有量が低くなってしまい、最終的に透明多層フィルムの防曇性が低くなったと推測された。このことは、上記のように発煙が抑制されなかったことと整合していた。
比較例1〜2では、中間層の主要構成材料が同じであったものの、比較例2の方が、成膜温度が高く、その結果、比較例2の方が、透明多層フィルムの製造過程での防曇剤の気化量が多かったと推測された。透明多層フィルムの製造過程での発煙の抑制効果と、透明多層フィルムの防曇性と、のいずれにおいても、比較例2の方が比較例1よりも劣っており、この結果は、上記の推測と整合していた。
本発明は、食品用の包装体に利用可能である。
1・・・透明多層フィルム
11・・・イージーピール層
12・・・水蒸気バリア層
13・・・中間層
14・・・酸素バリア層
2・・・包装体
9・・・樹脂トレー

Claims (7)

  1. イージーピール層と、水蒸気バリア層と、中間層と、酸素バリア層と、が積層されて構成され、
    前記水蒸気バリア層と前記中間層は、前記イージーピール層と、前記酸素バリア層と、の間に配置されており、
    前記水蒸気バリア層は、前記イージーピール層に隣接して配置されており、
    前記イージーピール層、前記水蒸気バリア層、前記中間層、及び前記酸素バリア層の少なくとも1層が気化し得る成分を含有し、
    前記気化し得る成分の沸点が210℃よりも高く、
    前記中間層が、融点が210℃以下の含窒素樹脂を含有する、透明多層フィルム。
  2. 前記イージーピール層が、前記気化し得る成分として防曇剤を含有する、請求項1に記載の透明多層フィルム。
  3. 前記含窒素樹脂がポリアミドである、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  4. 前記水蒸気バリア層がポリプロピレンを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  5. 前記酸素バリア層の厚さが15μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  6. 前記水蒸気バリア層が結晶化核剤を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明多層フィルムを備えた、包装体。
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