JP2024068723A - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024068723000001
【課題】紫外線カット性及び酸素バリア性に優れた包装体用の多層フィルムと、前記多層フィルムを用いた包装体の提供。
【解決手段】包装体用の多層フィルムであって、前記多層フィルムは、最外層と、酸素バリア層と、シーラント層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成され、前記最外層は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート及び紫外線カット剤を含有し、前記最外層の厚さが、10μm以上30μm以下であり、前記酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含有し、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、30モル%以下であり、前記酸素バリア層の厚さが、7μm以上である、多層フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム及び包装体に関する。
食品や医薬品等の包装においては、様々な要求性能を満足するために複合化された多層フィルムが多く用いられている。例えば、多層フィルムを真空成形あるいは圧空成形により内容物に適した形に成形したもの(以下、底材と記載する。)と未成形フィルム(以下、蓋材と記載する。)とからなる包装体の場合、底材側には成形性に優れる未延伸フィルムを多層化したものが使用される。一方、蓋材側には一般に印刷が施されるため、少なくとも1層に印刷適性に優れる延伸フィルムを含む多層フィルムが広く用いられている。これら底材及び蓋材に用いられるフィルムの厚みは、成形加工を行うために底材の方が厚い場合が多く、内容物が重量物等である包装体の中には、JISの分類ではシートの区分に属する厚み範囲のものもある。
これら包装体に用いられるフィルムへの要求性能としては、酸素バリア性や耐ピンホール性等が挙げられる。前者は、内容物が酸素ガスにより変質することを防ぐために必要であり、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOH樹脂と記載する。)及びジアミン単位の90モル%以上がメタキシリレンジアミン単位であるポリアミド樹脂(ポリメタキシレンアジパミド、MXD-6ナイロン)等が好適に用いられる。一方、後者は、流通過程において振動や落下等で製品に与えられる外部応力によってピンホールが発生することを防ぐために必要であり、各種延伸フィルムやポリアミド樹脂を含む多層フィルムが好適に用いられる。(例えば、特許文献1参照。)
特公平05-075584号公報
しかしながら、従来のフィルムを用いて構成された包装体では、医薬品や食品等の内容物によっては、紫外線により変質してしまうおそれがあった。また、酸素バリア性が十分ではないという問題もあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、紫外線カット性及び酸素バリア性に優れた包装体用の多層フィルムと、前記多層フィルムを用いた包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].包装体用の多層フィルムであって、前記多層フィルムは、最外層と、酸素バリア層と、シーラント層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成され、前記最外層は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート及び紫外線カット剤を含有し、前記最外層の厚さが、10μm以上30μm以下であり、前記酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含有し、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、30モル%以下であり、前記酸素バリア層の厚さが、7μm以上である、多層フィルム。
[2].前記最外層において、前記最外層の総質量に対する、前記紫外線カット剤の含有量の割合が、0.5質量%以上2.5質量%以下である、請求項1に記載の多層フィルム。
[3].前記シーラント層が、ポリオレフィン系樹脂を含有する非イージーピール型シーラント層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
[4].前記シーラント層が、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂を含有するイージーピール型シーラント層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
[5].前記紫外線カット剤が、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
[6].請求項1又は2に記載の多層フィルムを用いて構成された、包装体。
本発明によれば、紫外線カット性及び酸素バリア性に優れた包装体用の多層フィルムと、前記多層フィルムを用いた包装体が提供される。
本発明の一実施形態に係る多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<多層フィルム>>
本発明の多層フィルムは、包装体用の多層フィルムであって、前記多層フィルムは、最外層と、酸素バリア層と、シーラント層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成され、前記最外層は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート及び紫外線カット剤を含有し、前記最外層の厚さが、10μm以上30μm以下であり、前記酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含有し、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、30モル%以下であり、前記酸素バリア層の厚さが、7μm以上である。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態の多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す多層フィルム1は、シーラント層11と、内層12と、第1接着層161と、耐ピンホール層13と、酸素バリア層14と、第2接着層162と、最外層15と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されている。
内層12、耐ピンホール層13、第1接着層161及び第2接着層162は、任意の構成であり、多層フィルム1は、これらの層を備えていなくてもよい。
シーラント層11の一方の面(内層12側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)11bは、露出面である。
最外層15の一方の面(第2接着層162側とは反対側の面)15aは、露出面である。
以下、各層について説明する。
<シーラント層>
シーラント層(図1に示す多層フィルム1においては、シーラント層11)は、多層フィルムにシール性を付与する。
シーラント層は、多層フィルムの一方の最表層であり、多層フィルムを構成する各層の積層方向において、一方の最も外側に配置されている。
シーラント層は、ポリオレフィン系樹脂を含有していることが好ましい。
シーラント層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有していれば、特に限定されず、1種のオレフィンの単独重合体であってもよいし、2種以上のオレフィンの共重合体であってもよい。
前記オレフィンの単独重合体としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン(mVLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE);ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、hPP)等が挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)は、いずれも、低密度ポリエチレンの1種である。本明細書においては、LDPEとは、特に断りのない限り、LLDPEと、mLLDPEと、のいずれにも該当しない低密度ポリエチレンを意味する。
また、VLDPEとは、mVLDPEに該当しない超低密度ポリエチレンを意味する。
本明細書において、超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.91g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、低密度ポリエチレン(LDPE)とは、密度が0.91g/cm以上、0.942g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)とは、密度が0.942g/cm以上であるポリエチレンを意味する。
前記オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系共重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。ただし、エチレンから誘導された構成単位と、プロピレンから誘導された構成単位と、を有するオレフィンの共重合体のうち、プロピレンから誘導された構成単位の数が、エチレンから誘導された構成単位の数よりも多い共重合体は、プロピレン系共重合体に分類する。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、本明細書においては「EVA部分ケン化物」と称することがある)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP))、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー(bPP))等が挙げられる。
シーラント層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
シーラント層が含む前記ポリオレフィン系樹脂で好ましいものとしては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を有するポリエチレン系樹脂(ポリエチレン、エチレン系共重合体)、プロピレンから誘導された構成単位を有するポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレン系共重合体)が挙げられる。
シーラント層は、非イージーピール型シーラント層(完全シール型シーラント層)であってもよいし、イージーピール型シーラント層(イージーピール層)であってもよい。
シーラント層が非イージーピール型シーラント層である場合、シーラント層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。すなわち、シーラント層は、ポリオレフィン系樹脂として、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンを含むシーラント層は、超低密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンを含むシーラント層よりも、多層フィルムに対してより強いシール強度を付与する。
非イージーピール型シーラント層は、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを含む層であることがより好ましい。
シーラント層がイージーピール層(イージーピール型シーラント層)である場合、シーラント層は、非相溶性の2種の前記ポリオレフィン系樹脂を含んでいることが好ましい。このようなシーラント層は、凝集破壊による剥離性を示すイージーピール層として好適である。
イージーピール型シーラント層は、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂として、前記ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含んでいることが好ましい。
イージーピール型シーラント層が含む前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。
イージーピール型シーラント層が含む前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ポリプロピレンランダムコポリマー)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ポリプロピレンブロックコポリマー)等が挙げられる。
イージーピール型シーラント層は、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)及びプロピレン-エチレンランダム共重合体を含む層であることがより好ましい。
イージーピール型シーラント層が、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む場合、[シーラント層のポリエチレン系樹脂の含有量(質量部)]:[シーラント層のポリプロピレン系樹脂の含有量(質量部)]の比率は、20:80~90:10であることが好ましく、例えば、25:75~87.5:12.5、及び30:70~85:15のいずれかであってもよい。このような範囲でポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含むイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
イージーピール型シーラント層が、低密度ポリエチレン及びホモポリプロピレンを含む場合、[シーラント層の低密度ポリエチレンの含有量(質量部)]:[シーラント層のホモポリプロピレンの含有量(質量部)]の比率は、60:40~90:10であることが好ましく、例えば、65:35~87.5:12.5、及び70:30~85:15のいずれかであってもよい。このような範囲で低密度ポリエチレン及びホモポリプロピレンを含むイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
シーラント層が、非イージーピール型シーラント層及びイージーピール型シーラント層のいずれであるかによらず、シーラント層が含む低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.93g/cm未満であることが好ましい。このようなシーラント層を備えた多層フィルムは、より低温での加熱シールによって、好ましいシール強度が得られる。
シーラント層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
前記他の樹脂成分は、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
シーラント層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
シーラント層において、シーラント層の総質量に対する、前記ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、シーラント層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述するシーラント層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
シーラント層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。シーラント層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
シーラント層は、1層(単層)からなるものであることが好ましい。
本明細書においては、シーラント層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
シーラント層の厚さは、多層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
シーラント層の厚さは、通常、1.5~60μmであることが好ましく、2.0~50μmであることがより好ましく、2.5~40μmであることがさらに好ましく、例えば2.5~30μmであってもよい。
シーラント層の厚さが前記下限値以上であることで、シーラント層の強度がより向上するとともに、多層フィルムがシーラント層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。シーラント層の厚さが前記上限値以下であることで、シーラント層の厚さが過剰となることが抑制される。
シーラント層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
多層フィルム全体の厚さに対する、シーラント層の厚さの割合([シーラント層の厚さ])/[多層フィルム全体の厚さ]×100)は、特に限定されないが、3~30%であることが好ましく、4~25%であることがより好ましく、5~20%であることがさらに好ましく、例えば、5~15%であってもよい。
前記割合が前記下限値以上であることで、シーラント層の強度がより向上するとともに、多層フィルムがシーラント層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、シーラント層の厚さが過剰となることが抑制される。
シーラント層が複数層からなる場合には、多層フィルム全体の厚さに対する、これら複数層の合計の厚さの割合が、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<内層>
内層(図1に示す多層フィルム1においては、内層12)は、ポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。ポリオレフィン系樹脂を含む内層を、シーラント層に隣接するように設けることにより、ピール強度をより均一にすることができる。
内層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有していれば、特に限定されず、1種のオレフィンの単独重合体であってもよいし、2種以上のオレフィンの共重合体であってもよい。
前記オレフィンの単独重合体としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン(mVLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE);ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、hPP)等が挙げられる。
前記オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系共重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。ただし、エチレンから誘導された構成単位と、プロピレンから誘導された構成単位と、を有するオレフィンの共重合体のうち、プロピレンから誘導された構成単位の数が、エチレンから誘導された構成単位の数よりも多い共重合体は、プロピレン系共重合体に分類する。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、本明細書においては「EVA部分ケン化物」と称することがある)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP))、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー(bPP))等が挙げられる。
内層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
内層が含む前記ポリオレフィン系樹脂で好ましいものとしては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を有するポリエチレン系樹脂(ポリエチレン、エチレン系共重合体)、プロピレンから誘導された構成単位を有するポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレン系共重合体)が挙げられる。
内層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。すなわち、内層は、ポリオレフィン系樹脂として、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
内層は、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを含む層であることがより好ましい。
内層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
前記他の樹脂成分は、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
内層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
内層において、内層の総質量に対する、前記ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、内層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する内層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
内層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。内層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
内層の厚さは、多層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
内層の厚さは、通常、1.5~80μmであることが好ましく、2.0~70μmであることがより好ましく、2.5~60μmであることがさらに好ましく、例えば5.0~40μmであってもよい。
内層の厚さが前記下限値以上であることで、内層の強度がより向上するとともに、多層フィルムが内層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。内層の厚さが前記上限値以下であることで、内層の厚さが過剰となることが抑制される。
内層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
多層フィルム全体の厚さに対する、内層の厚さの割合([内層の厚さ])/[多層フィルム全体の厚さ]×100)は、特に限定されないが、3~40%であることが好ましく、4~35%であることがより好ましく、5~30%であることがさらに好ましく、例えば、10~20%であってもよい。
前記割合が前記下限値以上であることで、内層の強度がより向上するとともに、多層フィルムが内層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、内層の厚さが過剰となることが抑制される。
内層が複数層からなる場合には、多層フィルム全体の厚さに対する、これら複数層の合計の厚さの割合が、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<耐ピンホール層>
耐ピンホール層(図1に示す多層フィルム1においては、耐ピンホール層13)は、前記多層フィルムにおいて、第1接着層と酸素バリア層との間に、配置される。
耐ピンホール層の一例としては、多層フィルムに耐ピンホール性を付与するための耐ピンホール層等が挙げられる。このような耐ピンホール層(耐ピンホール層)の耐ピンホール性は、包装体の屈曲時においても顕著に発現する。
耐ピンホール層は、透明性を有することが好ましい。
耐ピンホール層は、ポリアミドを含んでいることが好ましい。
耐ピンホール層は、芳香族環を有しないポリアミド(本明細書においては、「非芳香族系ポリアミド」と称することがある)を含む樹脂層であることが好ましい。このような耐ピンホール層は、耐ピンホール層として好適である。
前記芳香族環を有しないポリアミド(非芳香族系ポリアミド)としては、例えば、環状ラクタム(環員数が3以上のラクタム)、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸との反応で得られたナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られたポリアミド等が挙げられる。
前記環状ラクタムとしては、例えば、ε-カプロラクタム、ω-エナントラクタム、ω-ラウロラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸等が挙げられる。
前記ポリアミドとして、より具体的には、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
前記ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易さ等の点においては、6-ナイロン(本明細書においては、「Ny6」と略記することがある)、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
耐ピンホール層が含むポリアミドは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐ピンホール層は、ポリアミドのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリアミドからなるものであってもよい)し、ポリアミドと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリアミドと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
耐ピンホール層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は芳香族系ポリアミドと、非芳香族系ポリアミドと、のいずれにも該当しない樹脂(すなわち、ポリアミド以外の樹脂)である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
耐ピンホール層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐ピンホール層における、耐ピンホール層の総質量(質量部)に対する、ポリアミドの含有量(質量部)の割合([耐ピンホール層のポリアミドの含有量(質量部)]/[耐ピンホール層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルムの耐ピンホール性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する耐ピンホール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリアミドの含有量(質量部)の割合([耐ピンホール層形成用組成物のポリアミドの含有量(質量部)])/[耐ピンホール層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
耐ピンホール層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。耐ピンホール層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
耐ピンホール層の厚さは多層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
耐ピンホール層の厚さは、通常、1.5~80μmであることが好ましく、2.0~70μmであることがより好ましく、2.5~60μmであることがさらに好ましく、例えば、5.0~40μmであってもよい。
耐ピンホール層の厚さが前記下限値以上であることで、耐ピンホール層を備えていることにより得られる効果(例えば、耐ピンホール性)より高くなる。耐ピンホール層の厚さが前記上限値以下であることで、多層フィルムのカット不良をより抑制することができる。また、耐ピンホール層の厚さが薄くなるほど、包装体(例えば、後述する底材)の透明性が向上することで、包装体の多層フィルム側(例えば、底材側)の外部からの収納物の視認がより容易となる。
耐ピンホール層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
多層フィルム全体の厚さに対する、耐ピンホール層の厚さの割合([耐ピンホール層の厚さ])/[多層フィルム全体の厚さ]×100)は、特に限定されないが、3~40%であることが好ましく、4~35%であることがより好ましく、5~30%であることがさらに好ましく、例えば、10~20%であってもよい。
前記割合が前記下限値以上であることで、耐ピンホール層の強度がより向上するとともに、多層フィルムが耐ピンホール層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、耐ピンホール層の厚さが過剰となることが抑制される。
耐ピンホール層が複数層からなる場合には、多層フィルム全体の厚さに対する、これら複数層の合計の厚さの割合が、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<酸素バリア層>
酸素バリア層(図1に示す多層フィルム1においては、酸素バリア層14)は、多層フィルムに強い酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を付与する。
酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物)を含有している。酸素バリア層が、EVOHを含有していることにより、多層フィルムの酸素バリア性を向上させることができる。
EVOHにおいて、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合は、30モル%以下である。前記割合は、20モル%以上29モル%以下であることが好ましく、23モル%以上28モル%以下であることがより好ましく、25モル%以上27モル%以下であることがさらに好ましい。
前記割合が、前記下限値以上であることにより、多層フィルムは、容器形状への加工性により優れ、また、多層フィルムが加熱水や蒸気の影響を受け難くなり、酸素バリア性がより向上する。一方、前記割合が前記上限値以下であることにより、多層フィルムの乾燥状況下における酸素バリア性がより良好となり、内容物の変質をより抑制させることができる。
酸素バリア層は、EVOH以外に、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を含んでいてもよい(本明細書においては、EVOH及びPVDCを「酸素バリア性付与樹脂」と称することがある)。酸素バリア層が酸素バリア性付与樹脂を含んでいることにより、多層フィルムの酸素バリア性をさらに向上させることができる。
酸素バリア層は、酸素バリア性付与樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、酸素バリア性付与樹脂からなるものであってもよい)し、酸素バリア性付与樹脂と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、酸素バリア性付与樹脂と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
酸素バリア層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、酸素バリア性付与樹脂以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸素バリア層が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層における、酸素バリア層の総質量に対する、酸素バリア性付与樹脂の含有量の割合は、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、70~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、85~100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、酸素バリア性付与樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
酸素バリア層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
酸素バリア層の厚さは、7μm以上である。酸素バリア層の厚さは、7~20μmであることが好ましく、7~16μmであることがより好ましく、7~12μmであることがさらに好ましい。
酸素バリア層の厚さが前記下限値以上であることで、酸素バリア層の層切れをより抑制し、多層フィルムの酸素バリア性をより向上させることができる。
本明細書において、「酸素バリア層の層切れ」とは、多層フィルム中で酸素バリア層が一部形成されないこと意味し、これは、例えば、酸素バリア層の厚さが薄過ぎることによって生じる。酸素バリア層の厚さが前記上限値以下であることで、酸素バリア層の厚さが過剰となることがより抑制される。
酸素バリア層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
多層フィルムの厚さに対する、酸素バリア層の厚さの割合は、3~50%であることが好ましく、3.5~45%であることがより好ましく、4~40%であることがさらに好ましい。
前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層の層切れをより抑制し、多層フィルム1の酸素バリア性をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、酸素バリア層の厚さが過剰となることがより抑制される。
酸素バリア層が複数層からなる場合には、多層フィルム全体の厚さに対する、これら複数層の合計の厚さの割合が、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<最外層>
最外層(図1に示す多層フィルム1においては、最外層15)は、包装体の見栄えや手にしたときの質感が優れるといった機能を有している。また、底材と蓋材をシールした際にフランジ部に発生するカールを抑制させる機能も有している。
最外層は、多層フィルムの他方の最表層であり、多層フィルムを構成する各層の積層方向において、他方の最も外側に配置されている。
最外層は、透明性を有することが好ましい。
最外層は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含有する。グリコール変性ポリエチレンテレフタレートは剛性が高いことに加え、フィルムにした際の透明性や表面光沢度が良いことから、包装体の見栄えや質感を優れたものにすることができる。
グリコール変性ポリエチレンテレフタレートは、具体的には、酸成分としてテレフタル酸を用い、グリコール成分としてエチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂が好ましく、より具体的には、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の20~35モル%を1,4-シクロへキサンジメタノールで置換したポリエステル樹脂(以下、PETGと記載する。)が安価で入手しやすく、外観の良いフィルムを作製することができる。
グリコール変性ポリエチレンテレフタレートは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
最外層は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート以外に、紫外線カット剤を含有する。
最外層が紫外線カット剤を含有していることにより、多層フィルムの紫外線カット性が向上する。
最外層が含有する紫外線カット剤は、公知のものであってよい。紫外線カット剤としては、例えば、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらのうち、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤が好ましい。
最外層が含有する紫外線カット剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
最外層において、最外層の総質量に対する、紫外線カット剤の含有量の割合([最外層の紫外線カット剤の含有量(質量部)]/[最外層の総質量(質量部)]×100)は、0.5質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましく、0.9質量%以上であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、紫外線カット剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する最外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、紫外線カット剤の含有量(質量部)の割合([最外層形成用組成物の紫外線カット剤の含有量(質量部)]/[最外層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
最外層において、最外層の総質量に対する、紫外線カット剤の含有量の割合は、2.5質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、紫外線カット剤の過剰使用が抑制される。
最外層において、最外層の総質量に対する、紫外線カット剤の含有量の割合は、上述のいずれかの下限値と、上述のいずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記割合は、0.5~2.5質量%、0.5~2.0質量%、及び0.5~1.5質量%のいずれかであってもよいし、0.7~2.5質量%、0.7~2.0質量%、及び0.7~1.5質量%のいずれかであってもよいし、0.9~2.5質量%、0.9~2.0質量%、及び0.9~1.5質量%のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記割合の一例である。
最外層は、本発明の効果を損なわない範囲で、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートと、紫外線カット剤と、のいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
最外層が含有する前記他の成分としては、例えば、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等が挙げられる。
最外層において、最外層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([最外層の他の成分の含有量(質量部)]/[最外層の総質量(質量部)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、最外層がグリコール変性ポリエチレンテレフタレート及び紫外線カット剤を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
換言すると、最外層において、最外層の総質量に対する、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートと、紫外線カット剤と、の合計含有量の割合(([最外層のグリコール変性ポリエチレンテレフタレートの含有量(質量部)]+[最外層の紫外線カット剤の含有量(質量部)])/[最外層の総質量(質量部)]×100)は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、最外層がグリコール変性ポリエチレンテレフタレート及び紫外線カット剤を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する最外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートと、紫外線カット剤と、の合計含有量(質量部)の割合(([最外層形成用組成物のグリコール変性ポリエチレンテレフタレートの含有量(質量部)]+[最外層形成用組成物の紫外線カット剤の含有量(質量部)])/[最外層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
最外層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。最外層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
最外層の厚さは、10μm以上30μm以下である。最外層の厚さは、10~25μmであることが好ましく、15~25μmであることがより好ましく、15~20μmであることがさらに好ましい。
最外層の厚さが前記下限値以上であることで、最外層の剛性及び耐熱性がより高くなる。最外層の厚さが前記上限値以下であることで、多層フィルムの柔軟性がより高くなる。また、最外層の厚さが薄くなるほど、包装体(例えば、後述する底材)の透明性が向上することで、包装体の多層フィルム側(例えば、底材側)の外部からの収納物の視認がより容易となる。
最外層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
多層フィルム1の厚さに対する、最外層の厚さの割合は、35%以上45%以下であることが好ましく、30%以上40%以下であることがより好ましく、25%以上35%以下であることがさらに好ましい。
最外層の厚さの割合が、前記下限値以上であることにより、カール性が良好となる。最外層の厚さの割合が、前記上限値以下であることにより、比較的安価で、外観が優れたフィルムを得ることができる。
最外層が複数層からなる場合には、多層フィルム全体の厚さに対する、これら複数層の合計の厚さの割合が、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<接着層>
本実施形態の多層フィルムは、シーラント層と、内層と、耐ピンホール層と、酸素バリア層と、最外層と、のいずれにも該当しない接着層を備えていてもよい。
前記接着層は、多層フィルムにおいて、隣接する2層を接着するための層であり、接着性を発現する成分を含む。
前記多層フィルムにおける接着層の配置位置は、多層フィルムの最表層とならない位置であれば、特に限定されない。
多層フィルムにおける接着層の配置位置は、1箇所であってもよいし、2箇所以上であってもよい。多層フィルムにおける接着層の配置位置が、2箇所以上である場合には、これら2箇所以上の接着層は、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、「2箇所以上の接着層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての接着層が同一であってもよいし、すべての接着層が異なっていてもよいし、一部の接着層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「接着層が互いに異なる」とは、「接着層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
多層フィルムは、例えば、内層と耐ピンホール層との間に接着層(図1に示す多層フィルム1においては、第1接着層161)を備えていてもよいし、酸素バリア層と最外層との間に接着層(図1に示す多層フィルム1においては、「第2接着層162」)を備えていてもよい。
接着層は、透明性を有することが好ましい。
接着層は任意の構成であり、多層フィルムは接着層を備えていなくてもよいが、接着層を備えていることで、その構造がより安定する。
接着層は、接着性樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、例えば、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
接着層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、シーラント層が含むものとして先に説明したエチレン系共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられ、例えば、シーラント層が含むものとして先に説明したプロピレン系共重合体も挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層が含む前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含む、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層は、その接着性を損なわない範囲で、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)以外に、他の成分を含んでいてもよい。
接着層が含む前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層における、接着層の総質量に対する、接着性を発現する成分の含有量の割合([接着層の接着性を発現する成分の含有量(質量部)]/[接着層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合([接着層形成用組成物の接着性を発現する成分の含有量(質量部)])/[接着層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
1箇所あたりの接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
1箇所あたりの接着層の厚さは、特に限定されないが、1.0~15μmであることが好ましく、例えば、2.0~15μm、及び2.0~12μmのいずれかであってもよい。
接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着層はより優れた接着性を有する。接着層の厚さが前記上限値以下であることで、接着層が過剰な厚さとなることが避けられる。また、接着層の厚さが薄くなるほど、包装体(例えば、後述する底材)の透明性が向上することで、包装体の多層フィルム側(例えば、底材側)の外部からの収納物の視認がより容易となる。
ここで、「接着層の厚さ」とは、接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層の厚さとは、接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<他の層>
前記他の層の種類、配置数及び配置位置は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、多層フィルムが備えている前記他の層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の層は、その1種あたり、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記他の層の厚さは、その種類に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
多層フィルムは、前記他の層を備えている場合、前記他の層をそれ以外の層と接着するための接着層(例えば、図1に示す多層フィルム1中の第1接着層161又は第2接着層162と同様の層等)をさらに備えていてもよい。
<<多層フィルムの特性>>
本実施形態の多層フィルムは、包装体用の多層フィルムである。この場合の包装対象物としては、例えば、医薬品、食品、化粧品等が挙げられる。
多層フィルムの厚さは、特に限定されないが、40~300μmであることが好ましく、例えば、45~250μm、及び50~200μmのいずれかであってもよい。
多層フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、多層フィルムを用いて得られた包装体において、被包装物の保存安定性がより高くなるとともに、前記包装体の構造を安定して維持する特性がより高くなる。多層フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、多層フィルムの成形性がより高くなる。また、多層フィルムの厚さが薄くなるほど、包装体(後述する底材)の透明性が向上することで、包装体の底材側の外部からの収納物の視認がより容易となる。
多層フィルムが備えているすべての層が透明性を有し、多層フィルムが透明性を有すること、すなわち、多層フィルムは透明多層フィルムであることが好ましい。このような多層フィルムを用いて得られた包装体においては、多層フィルムを介して、被包装物を容易に視認できる。
<紫外線カット性>
多層フィルムは、紫外線領域の光のうち、60%以上の光をカットできていることが好ましい。
紫外線領域の光のうち、多層フィルムがカットできている光の割合は、例えば、多層フィルムについて、紫外・可視分光光度計(日本分光社製「V-650」)を用いて、200~400nmの吸収を確認することで測定することができる。
紫外線領域の光のうち、多層フィルムがカットできている光の割合は、多層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、多層フィルムを、紫外線カット剤を含有する最外層を備えて構成し、最外層において、最外層の総質量に対する、紫外線カット剤の含有量の割合を調節することによって、紫外線カット性を容易に向上させることができる。ただし、これは一例であり、紫外線カット性の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
<酸素バリア性>
JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度(RH)60%の条件下での、多層フィルムの酸素透過量は、例えば、2.0cc/(m・24h・atm)以下、1.5cc/(m・24h・atm)以下、1.0cc/(m・24h・atm)以下、及び0.6cc/(m・24h・atm)以下のいずれかであってもよい。
一方、多層フィルムの酸素透過量は、0.1cc/(m・24h・atm)以上である。
すなわち、多層フィルムの酸素透過量は、0.1~2.0cc/(m・24h・atm)、0.1~1.5cc/(m・24h・atm)、0.1~1.0cc/(m・24h・atm)、及び0.1~0.6cc/(m・24h・atm)のいずれかであってもよい。
多層フィルムの酸素透過量は、例えば、多層フィルムについて、圧力1気圧の条件下で、23℃、60%RHの雰囲気下における、24時間当たりの酸素透過量として測定することができる。
多層フィルムの酸素透過量は、多層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、多層フィルムを、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含有する酸素バリア層を備えて構成し、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合を、30モル%以下とすることによって、多層フィルムの酸素透過量を容易に低減できる。ただし、これは一例であり、多層フィルムの酸素透過量の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
<イージーピール性>
前記多層フィルムを用いて得られた包装体の温度を25℃に調節し、JIS Z 0238:1998に準拠して、この状態の包装体のシール部の剥離強度(N/15mm)を測定したとき、前記剥離強度は、0.5~5.0N/15mmであることが好ましく、0.5~4.0N/15mmであることがより好ましく、1.0~3.0N/15mmであることがさらに好ましい。
包装体の温度を25℃に調節した場合の前記剥離強度が前記上限値以下である包装体は、目的とする包装体の開封時に、容易に開封できる。包装体の温度を25℃に調節した場合の前記剥離強度が前記下限値以上である包装体は、目的外の開封を抑制できる。
前記剥離強度は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む厚さ50μmのシーラント層、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレンからなる厚さ50μmのシーラント層、を備えた樹脂フィルム中の前記シーラント層と、前記多層フィルム中のシーラント層と、をシール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールすることにより得られた包装体での、剥離強度であってもよい。
本明細書において、「包装体の開封」とは、特に断りのない限り、蓋材と底材との剥離に伴う包装体の開封を意味する。
前記剥離強度は、多層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、多層フィルムを、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂を含有するイージーピール型シーラント層を備えて構成することによって、前記剥離強度を容易に低減できる。そして、イージーピール型シーラント層における、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の比率を調節することで、シーラント層の剥離強度を容易に調節できる。ただし、これは一例であり、前記剥離強度の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
<<多層フィルムの製造方法>>
本実施形態の多層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、本実施形態の多層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を、多層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、多層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
また、本実施形態の多層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層(第1接着層、第2接着層)を形成可能なものを用いてもよい。
また、本実施形態の多層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
本実施形態の多層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、多層フィルム中のいずれかの層(フィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
製造方法がいずれの場合であっても、前記多層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分(構成材料)を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
シーラント層(図1に示す多層フィルム1においては、シーラント層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「シーラント層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述のポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
内層(図1に示す多層フィルム1においては、内層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「内層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述のポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
耐ピンホール層(図1に示す多層フィルム1においては、耐ピンホール層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「耐ピンホール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述のポリアミドと、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
酸素バリア層(図1に示す多層フィルム1においては、酸素バリア層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
最外層(図1に示す多層フィルム1においては、最外層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「外層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述のグリコール変性ポリエチレンテレフタレートと、紫外線カット剤と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
接着層(図1に示す多層フィルム1においては、第1接着層161又は第2接着層162)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述の接着性を発現する成分と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
<<包装体>>
本発明の一実施形態に係る包装体は、上述の本発明の一実施形態に係る多層フィルムを用いて構成されている。
本実施形態の包装体は、前記多層フィルムを用いて構成されているため、紫外線カット性及び酸素バリア性に優れている。
本実施形態の包装体の包装対象物は、特に限定されない。前記包装対象物としては、例えば、医薬品、食品、化粧品等が挙げられる。
好ましい前記包装体としては、例えば、蓋材及び底材を備え、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記蓋材と、前記底材と、のいずれか一方又は両方が、前記多層フィルムを用いて構成されている包装体が挙げられる。
なかでも、前記多層フィルムを用いたことによる有利な効果が、特に顕著に得られることから、前記包装体は、蓋材及び底材を備え、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記底材が前記多層フィルムを用いて構成されている包装体であることが好ましい。このような包装体においては、前記蓋材が前記多層フィルムからなるものであってもよい。前記多層フィルムは、耐ピンホール層を備えているため、成形を行うのに好適であり、さらに、多層フィルムの屈曲時における耐ピンホール性が高いため、このような多層フィルムを用いることで、目的とする形状の底材を備えた包装体をより容易に製造できる。
底材が前記多層フィルムを用いて構成されている場合、底材は深絞り成形体であってもよい。
図2は、本実施形態の包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体10は、底材1’及び蓋材8を備えて構成されている。
底材1’は、図1に示す多層フィルム1の成形体である。図2においては、底材1’を構成している多層フィルム1中の各層の区別を省略している。
蓋材8は、多層フィルム1をはじめとする、上述の本発明の一実施形態に係る多層フィルムで構成されていてもよいし、それ以外の公知の蓋材であってもよい。
公知の蓋材8としては、例えば、単層又は多層の樹脂フィルムからなる蓋材が挙げられる。
蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、シール面であり、前記第1面8aの一部と、底材1’(多層フィルム1)中のシーラント層11の第2面11bの一部と、がシールにより密着している。図2中、蓋材8の第1面8aと、底材1’(多層フィルム1)中のシーラント層11の第2面11bと、が直接接触している部位が、シール部である。そして、蓋材8の第1面8aと、シーラント層11の第2面11bと、の間の離間している領域が、収納部10aとなっている。そして、この収納部10a内に、被包装物(換言すると、収容物又は包装対象物)9が収納されている。
図2においては、包装体10の収納部10a内において、被包装物9と底材1’との間、並びに、被包装物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間は、被包装物9を収納した状態の包装体10において、存在しないこともある。
包装体10において、底材1’の平坦部の厚さは、先に説明した前記多層フィルムの厚さと同じである。
包装体10において、蓋材8の厚さは、特に限定されないが、40~100μmであることが好ましく、例えば、50~90μm、及び60~80μmのいずれかであってもよい。
蓋材8の厚さが前記下限値以上であることで、蓋材8の強度がより向上する。蓋材8の厚さが前記上限値以下であることで、蓋材8の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「蓋材8の厚さ」とは、蓋材8全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる蓋材8の厚さとは、蓋材8を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
被包装物9は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、先に「包装対象物」として説明した医薬品等が挙げられる。
本実施形態の包装体は、図2に示す包装体10に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、図2に示す包装体10において、一部の構成が変更、削除又は追加された包装体であってもよい。
例えば、図2においては、底材が図1に示す多層フィルム1を用いて構成されている場合の包装体10を示しているが、本実施形態の包装体においては、底材が多層フィルム1以外の前記多層フィルムを用いて構成されていてもよい。
<<包装体の製造方法>>
本実施形態の包装体は、前記多層フィルムを用いて、前記包装対象物を包装することにより、製造できる。そして、本実施形態の包装体は、従来のフィルムに代えて、前記多層フィルムを用いる点を除けば、従来の包装体の場合と同じ方法で製造できる。
例えば、前記多層フィルムを用いて得られた底材と、蓋材と、を備えた包装体は、前記多層フィルムを成形することにより、前記収納部を形成するための凹部を備えた底材を作製し、前記底材中のシーラント層の第2面(換言すると、前記蓋材とシールする側の面)上に、前記包装対象物を載置し、前記底材の前記面と、前記包装対象物とに、これらの上部から前記蓋材を被せ、前記包装対象物が配置されていない領域において、前記底材と前記蓋材とを加熱シールすることにより、製造できる。
加熱シール時のシール温度は、特に限定されないが、100~170℃であることが好ましい。前記シール温度が前記下限値以上であることで、例えば、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなる。前記シール温度が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
加熱シール時のシール時間は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、1~30秒であることが好ましい。前記シール時間が前記下限値以上であることで、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなる。前記シール時間が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
加熱シール時のシール圧力は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、0.1~1MPaであることが好ましい。前記シール圧力が前記下限値以上であることで、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなる。前記シール圧力が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
各実施例又は比較例で用いた樹脂は、以下のとおりである。
mLLDPE:メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm
LDPE:低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「F324C」)
rPP:ポリプロピレンランダムコポリマー(住友化学社製「FS3611」)
Ny:6-ナイロン(宇部興産社製「1020B」)
αNy:非晶性ポリアミド樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製「シーラPA 3426」)
EVOH(1):エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「エバール(登録商標)L171B」、エチレンの共重合比率27モル%)
EVOH(2):エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「J171B」、エチレンの共重合比率32モル%)
PETG:グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(SKケミカル社製「S2008」)
UVC:2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン(紫外線カット剤、ケミプロ化成社製「KEMISORB500」)
変性PE:酸変性ポリエチレン(三菱ケミカル社製「F515A」)
[実施例1]
<<多層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、図1に示す構成の多層フィルムを製造した。
すなわち、シーラント層及び内層を構成する樹脂として、前記mLLDPEを用意し、耐ピンホール層を構成する樹脂として、前記Nyを用意し、酸素バリア層を構成する樹脂として、前記EVOH(1)を用意し、最外層を構成する樹脂として、前記PETGを用意し、第1及び第2接着層を構成する接着剤(接着性樹脂)として、前記変性PEを用意した。
前記PETG(99質量部)と前記UVC(1質量部)を常温下で混合することにより、樹脂組成物(1)を製造した。
ダイの温度を250℃とし、前記mLLDPEと、前記mLLDPEと、前記変性PEと、前記Nyと、前記EVOH(1)と、前記変性PEと、前記樹脂組成物(1)とを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(厚さ6μm)、内層(厚さ9.6μm)、第1接着層(厚さ4.2μm)、耐ピンホール層(厚さ9μm)、酸素バリア層(厚さ9μm)、第2接着層(厚さ4.2μm)及び最外層(厚さ18μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された多層フィルム(厚さ60μm)を得た。
<<多層フィルムの評価>>
<紫外線カット性>
上記で得られた多層フィルムについて、紫外・可視分光光度計(日本分光社製「V-650」)を用いて、200~400nmの吸収を確認することで、下記の基準に従って、紫外線カット性を評価した。結果を表1に示す。
A:紫外線領域を約60%カットできていた。
B:紫外線領域を約60%カットできていなかった。
<酸素バリア性>
上記で得られた多層フィルムについて、圧力1気圧の条件下で、23℃、60%RHの雰囲気下における、24時間当たりの酸素透過量を測定することで、酸素バリア性を評価した。結果を表1に示す。
<イージーピール性>
上記で得られた多層フィルムについて、幅15mmの試験片を作製し、パック・シーラー(エーシンパック工業社製「0LL」)を用いて、前記試験片の一方の面の全面を、ポリチレン製フィルム(厚さ50μm)の一方の面と重ね合わせて、シール温度150℃、シール圧力0.5MPa、シール時間2秒の条件で加熱シールし、その24時間後に、引張速度を500mm/minとし、剥離時の前記試験片と前記ポリエチレン製フィルムとの為す角度(剥離角度)を90°として、剥離強度(N/15mm)を測定することで、イージーピール性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
前記LDPE(70質量部)と前記rPP(30質量部)を常温下で混合することにより、樹脂組成物(2)を製造した。
シーラント層を構成する樹脂として、前記樹脂組成物(2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、多層フィルムを製造し、この多層フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
前記Ny(60質量部)と前記αNy(40質量部)を常温下で混合することにより、樹脂組成物(3)を製造した。
ダイの温度を250℃とし、前記樹脂組成物(2)と、前記mLLDPEと、前記変性PEと、前記樹脂組成物(3)と、前記EVOH(2)と、前記変性PEと、前記PETGとを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(厚さ6.6μm)、内層(厚さ10.2μm)、第1接着層(厚さ4.2μm)、耐ピンホール層(厚さ9.6μm)、酸素バリア層(厚さ5.4μm)、第2接着層(厚さ4.8μm)及び最外層(厚さ19.2μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された多層フィルム(厚さ60μm)を製造し、この多層フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
前記mLLDPEと、前記mLLDPEと、前記変性PEと、前記Nyと、前記EVOH(2)と、前記変性PEと、前記樹脂組成物(1)と、を、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(厚さ6.6μm)、内層(厚さ10.2μm)、第1接着層(厚さ4.2μm)、耐ピンホール層(厚さ9.6μm)、酸素バリア層(厚さ5.4μm)、第2接着層(厚さ4.8μm)、最外層(厚さ19.2μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された多層フィルム(厚さ60μm)を製造し、この多層フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
最外層を構成する樹脂として、前記PETGを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、多層フィルム及び包装体を製造し、この多層フィルムを評価した。結果を表1に示す。
Figure 2024068723000002
上記結果から明らかなように、実施例1及び2においては、多層フィルムが紫外線領域を約60%カットできており、多層フィルムの酸素透過量が0.6cc/(m・day・atm)と低く、紫外線カット性及び酸素バリア性に優れていた。
実施例1及び2においては、最外層が紫外線カット剤を含有していた。
実施例1及び2においては、酸素バリア層を構成するエチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの共重合比率が、30モル%以下(27モル%)であった。
なかでも、実施例2においては、紫外線カット性及び酸素バリア性だけでなく、ポリエチレン製フィルムとシール後の剥離強度が2.0N/15mmと低く、イージーピール性にも優れていた。
実施例2においては、シーラント層が、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂を含有するシーラント層であった。
これに対して、比較例1においては、多層フィルムが紫外線領域を約60%カットできておらず、多層フィルムの酸素透過量が2.5cc/(m・day・atm)と高く、紫外線カット性及び酸素バリア性が劣っていた。
比較例1においては、最外層が紫外線カット剤を含有していなかった。
比較例1においては、酸素バリア層を構成するエチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの共重合比率が、30モル%超(32モル%)であった。
比較例2においては、多層フィルムの酸素透過量が2.7cc/(m・day・atm)と高く、ポリエチレン製フィルムとシール後の剥離強度が10N/15mm以上と高く、酸素バリア性及びイージーピール性が劣っていた。
比較例2においては、酸素バリア層を構成するエチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの共重合比率が、30モル%超(32モル%)であった。
比較例2においては、シーラント層が、ポリオレフィン系樹脂を含有する非イージーピール型シーラント層であった。
比較例3においては、多層フィルムが紫外線領域を約60%カットできておらず、ポリエチレン製フィルムとシール後の剥離強度が10N/15mm以上と高く、紫外線カット性及びイージーピール性が劣っていた。
比較例3においては、最外層が紫外線カット剤を含有していなかった。
比較例3においては、シーラント層が、ポリオレフィン系樹脂を含有する非イージーピール型シーラント層であった。
本発明は、紫外線カット性及び酸素バリア性に優れた包装体用の多層フィルムと、前記多層フィルムを用いた包装体の製造に、利用可能である。
1…多層フィルム
1’…底材
8…蓋材
9…被包装物
10…包装体
11…シーラント層
12…内層
13…耐ピンホール層
14…酸素バリア層
15…最外層
16…接着層
161…第1接着層
162…第2接着層

Claims (6)

  1. 包装体用の多層フィルムであって、
    前記多層フィルムは、最外層と、酸素バリア層と、シーラント層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成され、
    前記最外層は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート及び紫外線カット剤を含有し、
    前記最外層の厚さが、10μm以上30μm以下であり、
    前記酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含有し、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、30モル%以下であり、
    前記酸素バリア層の厚さが、7μm以上である、多層フィルム。
  2. 前記最外層において、前記最外層の総質量に対する、前記紫外線カット剤の含有量の割合が、0.5質量%以上2.5質量%以下である、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記シーラント層が、ポリオレフィン系樹脂を含有する非イージーピール型シーラント層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 前記シーラント層が、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂を含有するイージーピール型シーラント層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  5. 前記紫外線カット剤が、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  6. 請求項1又は2に記載の多層フィルムを用いて構成された、包装体。
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