JP2023074225A - 積層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】イージーピール層を備え、食品を真空包装するのに好適な樹脂フィルムであって、前記イージーピール層が、耐熱性を有し、シール対象物からの良好な剥離感を示す樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムを用いた包装体の提供。【解決手段】イージーピール層11を備えた積層フィルム1であって、イージーピール層11が低密度ポリエチレンを含み、前記低密度ポリエチレンの融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である、積層フィルム1。積層フィルム1を備えた、包装体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム及び包装体に関する。
ハム、ウインナー、ベーコン等の食肉加工品をはじめとする各種の食品には、真空包装されて、流通するものがある。
真空包装では、例えば、樹脂フィルムで構成された底材と蓋材を用い、蓋材と底材の間で被包装物(食品)を挟み、収納部となる部位を真空引きした後、蓋材と底材を加熱シールすることにより、被包装物を包装する。底材としては、被包装物の収納部を構成するための凹部が形成されたものを用いることもある。その場合には、底材中の凹部内に被包装物を配置し、蓋材と底材の間で被包装物を挟み、前記凹部において、蓋材と底材によって形成された収納部の内部を真空引きした後、蓋材と底材の周縁部を枠状に加熱シールすることにより、被包装物を包装する。そして、このような用途の包装体を構成するのに適した樹脂フィルムが、開示されている(特許文献1参照)。
特開2016-222259号公報
食品を真空包装して製造された包装体は、例えば、その出荷前に、通常は、熱湯中での加熱処理や、高温水蒸気の吹き付けによる加熱処理で、殺菌される。また、このような包装体は、製品として消費者の手元に届いた後で、熱湯中で加熱処理され、食用に供されることがある。また、このような包装体は、食品を取り出し易いようにイージーピール性を有することが求められる。ただし、このような包装体においては、その加熱処理後に、蓋材と底材との間で目的外の剥離が生じる、所謂シール抜けの発生が抑制される必要がある。そこで、蓋材又は底材となる樹脂フィルム中のイージーピール層は、耐熱性を有することが求められる。さらに、このような包装体の開封時には、蓋材又は底材の一部がきれいに剥離せずに、糸を引いたように伸びてしまう、所謂糸引きの発生が抑制され、剥離感が良好であることが求められる。このように、食品の真空包装用の包装体を構成するための樹脂フィルムにおいては、イージーピール層が、耐熱性を有し、シール対象物からの良好な剥離感を示すことが求められる。
これに対して、特許文献1で開示されている樹脂フィルムは、このような特性を有するか、定かではない。
本発明は、イージーピール層を備え、食品を真空包装するのに好適な樹脂フィルムであって、前記イージーピール層が、耐熱性を有し、シール対象物からの良好な剥離感を示す樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムを用いた包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].少なくともイージーピール層を備えた積層フィルムであって、前記イージーピール層が低密度ポリエチレンを含み、前記低密度ポリエチレンの融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である、積層フィルム。
[2].前記イージーピール層が、さらにプロピレン系重合体を含む、[1]に記載の積層フィルム。
[3].前記イージーピール層において、前記低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体の合計含有量に対する、前記低密度ポリエチレンの含有量の割合が、70~90質量%である、[2]に記載の積層フィルム。
[4].前記イージーピール層の厚さが20μm以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[5].前記積層フィルムが、さらに、前記イージーピール層に隣接する緩衝層を備えており、前記緩衝層が、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[6].前記積層フィルムが、さらに、前記イージーピール層側とは反対側の最表層として外層を備えており、前記外層がポリオレフィンを含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[7].前記積層フィルムが、さらに、ポリアミドを含む耐ピンホール層を備えている、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[8].前記積層フィルムが、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む酸素バリア層を備えている、[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[9].[1]~[8]のいずれか一項に記載の積層フィルムを備えた、包装体。
[10].前記包装体が、蓋材及び底材を備え、前記包装体が、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記底材が前記積層フィルムからなる、[9]に記載の包装体。
本発明によれば、イージーピール層を備え、食品を真空包装するのに好適な樹脂フィルムであって、前記イージーピール層が、耐熱性を有し、シール対象物からの良好な剥離感を示す樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムを用いた包装体が提供される。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<積層フィルム>>
本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、少なくともイージーピール層を備えており、前記イージーピール層が低密度ポリエチレンを含み、前記低密度ポリエチレンの融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である。
本実施形態の積層フィルム中の前記イージーピール層は、融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である低密度ポリエチレン(LDPE)を含んでいることにより、耐熱性を有し、さらに、シール対象物からの良好な剥離感を示す。そのため、本実施形態の積層フィルムを用いて、そのイージーピール層と、他のフィルムと、をシールすることにより包装体を製造し、この包装体を加熱処理(例えば、熱湯中でボイル)した場合であっても、シール部の剥離強度(換言するとシール強度)の低下が抑制される。その結果、例えば、加熱処理後の包装体において、目的外のシール部の剥がれ、所謂シール抜けが抑制される。さらに、この包装体の開封時には、積層フィルムが前記他のフィルムからきれいに剥離せずに、糸を引いたように伸びてしまう、所謂糸引きの発生も抑制される。
本実施形態の積層フィルムは、食品を真空包装するのに好適である。したがって、本実施形態の積層フィルムを用い、食品を真空包装して得られた包装体は、加熱処理しても、イージーピール性を損なうことなく安定してその形態を維持できる。
本実施形態の積層フィルムは、加熱処理を行うための包装体を構成する樹脂フィルムとして、優れた特性を有する。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態の積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム1は、イージーピール層11を備えており、イージーピール層11は、融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である低密度ポリエチレン(LDPE)を含んでいる。イージーピール層11は、積層フィルム1の一方の最表層である。
積層フィルム1は、さらに、イージーピール層11に隣接する緩衝層12を備えている。
積層フィルム1は、さらに、イージーピール層11側とは反対側の最表層として外層15を備えている。
積層フィルム1は、さらに、緩衝層12と外層15との間に、イージーピール層11側から外層15側へ向けて、酸素バリア層13及び耐ピンホール層14をこの順に備えており、緩衝層12と酸素バリア層13との間に接着層16(本明細書においては、「第1接着層161」と称することがある)を備え、耐ピンホール層14と外層15との間に接着層16(本明細書においては、「第2接着層162」と称することがある)を備えている。
すなわち、積層フィルム1は、イージーピール層11、緩衝層12、接着層16(第1接着層161)、酸素バリア層13、耐ピンホール層14、接着層16(第2接着層162)及び外層15がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
イージーピール層11の一方の面(緩衝層12側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)11bは、積層フィルム1の一方の最表面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)1bであり、露出面である。
積層フィルム1同士を、その中のイージーピール層11において加熱シールするか、又は、積層フィルム1を、その中のイージーピール層11において、他のフィルム又はシートと加熱シールすることにより、包装体を構成できる。
イージーピール層11の第2面11bは、イージーピール層11同士の、又は他のフィルム又はシートとのシール面となる。
外層15の一方の面(耐ピンホール層14側とは反対側の面、本明細書においては「第1面」と称することがある)15aは、積層フィルム1の他方の最表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)1aであり、露出面である。
積層フィルム1において、緩衝層12と酸素バリア層13との間に配置されている接着層16(第1接着層161)は、緩衝層12と酸素バリア層13とを接着し、耐ピンホール層14と外層15との間に配置されている接着層16(第2接着層162)は、耐ピンホール層14と外層15とを接着している。
これら2層の接着層15(第1接着層161及び第2接着層162)は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の積層フィルムは、積層フィルム1に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、積層フィルム1において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、積層フィルム1が備えている層として、イージーピール層、緩衝層、第1接着層、酸素バリア層、耐ピンホール層、第2接着層及び外層が挙げられるが、本実施形態の積層フィルムは、これら以外の他の層を備えていてもよい。
本実施形態の積層フィルムは、2層以上であれば、少なくともイージーピール層を備えていればよく、前記緩衝層、第1接着層、酸素バリア層、耐ピンホール層、第2接着層及び外層は、任意の構成であり、これらのうちの1種又は2種以上を、本実施形態の積層フィルムは備えていなくてもよい。
以下、本実施形態の積層フィルムについて、より詳細に説明する。
<イージーピール層>
前記イージーピール層(図1に示す積層フィルム1においては、イージーピール層11)は、イージーピールタイプのシーラント層である。
イージーピール層は、前記積層フィルムの一方の最表層であり、前記積層フィルムを構成する各層の積層方向において、一方の最も外側に配置されている。
イージーピール層は、透明性を有することが好ましい。
イージーピール層は、必須成分として低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。ただし、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)は、いずれも、イージーピール層が含む、必須成分である前記低密度ポリエチレンには該当しない。すなわち、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンは、いずれも、イージーピール層の必須成分ではなく、直鎖状低密度ポリエチレンと、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンと、のいずれにも該当しない低密度ポリエチレンが、イージーピール層の必須成分である。
イージーピール層が低密度ポリエチレンを含んでいることにより、前記積層フィルムを用いて得られた包装体の開封時には、積層フィルムがシール対象物からきれいに剥離せずに、糸を引いたように伸びてしまう、所謂糸引きの発生が抑制され、積層フィルム(イージーピール層)はシール対象物からの良好な剥離感を示す。
本明細書において、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)の密度は、0.910g/cm以上、0.940g/cm未満である。
また、中密度ポリエチレン(MDPE)の密度は、0.940g/cm以上、0.950g/cm未満である。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)の密度は、0.950g/cm以上である。
イージーピール層が含む前記低密度ポリエチレンの融点は、115℃以上であり、例えば、117℃以上であってもよい。低密度ポリエチレンの融点が前記下限値以上であることで、イージーピール層は耐熱性を有し、前記積層フィルムを用いて得られた包装体を加熱処理(例えば、熱湯中でボイル)した場合であっても、シール部の剥離強度(シール強度)の低下が抑制され、例えば、加熱処理後の包装体において、目的外のシール部の剥がれ、所謂シール抜けが抑制される。
イージーピール層が含む前記低密度ポリエチレンの融点の上限値は、特に限定されない。例えば、前記融点が120℃以下である低密度ポリエチレンは、容易に入手できる。
本明細書においては、特に断りのない限り、樹脂の融点は、JIS K 7121-1987に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)法によって測定した値を意味する。
イージーピール層が含む前記低密度ポリエチレンのビカット軟化温度は、100℃以上であり、例えば、105℃以上であってもよい。低密度ポリエチレンのビカット軟化温度が前記下限値以上であることで、イージーピール層は耐熱性を有し、前記積層フィルムを用いて得られた包装体を加熱処理した場合であっても、シール部の剥離強度の低下が抑制され、例えば、加熱処理後の包装体において、シール抜けが抑制される。
イージーピール層が含む前記低密度ポリエチレンのビカット軟化温度の上限値は、特に限定されない。例えば、前記ビカット軟化温度が110℃以下である低密度ポリエチレンは、容易に入手できる。
本明細書においては、特に断りのない限り、樹脂のビカット軟化温度は、JIS K 7206:2016(ISO 306:2013)に準拠して測定した値を意味する。
イージーピール層が含む前記低密度ポリエチレンのメルトフローレート(本明細書においては、「MFR」と称することがある)は、1~10g/10minであることが好ましく、1.5~5.5g/10minであることがより好ましい。前記低密度ポリエチレンのMFRが前記下限値以上であることで、イージーピール層のイージーピール性がより良好となる。前記低密度ポリエチレンのMFRが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの成形時に、成形用の熱板上での異物の付着が抑制され、成形設備の汚染を抑制できる。
本明細書においては、特に断りのない限り、MFRとは、JIS K 6922-1に準拠して測定した値を意味する。
イージーピール層は、融点が117℃以上であり、ビカット軟化温度が105℃以上である低密度ポリエチレンを含んでいてもよく、融点が115~120℃であり、ビカット軟化温度が100~110℃である低密度ポリエチレンを含んでいてもよく、融点が117~120℃であり、ビカット軟化温度が105~110℃である低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
イージーピール層としては、例えば、凝集破壊による剥離性を示すものが挙げられる。
前記凝集破壊による剥離性を示すイージーピール層としては、例えば、非相溶性の2種のポリオレフィンを含むものが挙げられる。
イージーピール層は、さらにプロピレン系重合体を含んでいることが好ましい。低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体を含むイージーピール層は、凝集破壊による剥離性を示すものとして好適である。
本明細書において、「プロピレン系重合体」とは、少なくともプロピレンから誘導された構成単位を有する重合体(樹脂)を意味し、プロピレンから誘導された構成単位のみを有するホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)であってもよいし、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有するプロピレン系共重合体であってもよい。
イージーピール層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、rPP)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、bPP)等のプロピレン-エチレン共重合体が挙げられる。
イージーピール層が含む前記プロピレン系重合体の融点は、130℃以上であることが好ましく、140℃以上、及び150℃以上のいずれかであってもよい。前記プロピレン系重合体の融点が高いほど、イージーピール層の耐熱性が向上する。
イージーピール層が含む前記プロピレン系重合体の融点の上限値は、特に限定されない。例えば、前記融点が160℃以下である前記プロピレン系重合体は、容易に入手できる。
イージーピール層が含む前記プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、1~10g/10minであることが好ましく、1.5~5.5g/10minであることがより好ましい。前記プロピレン系重合体のMFRが前記下限値以上であることで、イージーピール層のイージーピール性がより良好となる。前記プロピレン系重合体のMFRが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの成形時に、成形用の熱板上での異物の付着が抑制され、成形設備の汚染を抑制できる。
イージーピール層が含む前記プロピレン系重合体は、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)であることが好ましく、上述のいずれかの融点を有するホモポリプロピレン(例えば、融点が130℃以上のホモポリプロピレン)であることがより好ましく、融点が130~160℃のホモポリプロピレンであってもよい。前記プロピレン系重合体の融点が高いほど、イージーピール層の耐熱性が向上する。
イージーピール層が、前記低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体を含む場合、イージーピール層における、前記低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体の合計含有量に対する、前記低密度ポリエチレンの含有量の割合([イージーピール層の低密度ポリエチレンの含有量(質量部)]/([イージーピール層の低密度ポリエチレンの含有量(質量部)]+[イージーピール層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)])×100)は、70~90質量%であることが好ましく、例えば、75~90質量%、80~90質量%、70~85質量%、70~80質量%、及び75~85質量%のいずれかであってもよい。
イージーピール層は、前記低密度ポリエチレンのみ、又は前記低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、前記低密度ポリエチレンからなるもの、又は前記低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体からなるもの、であってもよい)し、前記低密度ポリエチレン、又は前記低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体と、これら以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記低密度ポリエチレンと、前記他の成分と、からなるもの、又は前記低密度ポリエチレンと、前記プロピレン系重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
イージーピール層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、前記低密度ポリエチレンと、前記プロピレン系重合体と、のいずれにも該当しない樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である前記低密度ポリエチレン以外のポリエチレン(PE)、すなわち、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
イージーピール層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
イージーピール層における、イージーピール層の総質量(質量部)に対する、前記低密度ポリエチレンと、前記プロピレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([イージーピール層の低密度ポリエチレンの含有量(質量部)]+[イージーピール層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)])/[イージーピール層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層のイージーピール性、剥離感及び耐熱性がより向上する。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記低密度ポリエチレンと、前記プロピレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([イージーピール層形成用組成物の低密度ポリエチレンの含有量(質量部)]+[イージーピール層形成用組成物のプロピレン系重合体の含有量(質量部)])/[イージーピール層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
好ましいイージーピール層としては、例えば、融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である前記低密度ポリエチレンと、前記プロピレン系重合体と、滑剤と、を含み、イージーピール層における、イージーピール層の総質量(質量部)に対する、前記低密度ポリエチレンと、前記プロピレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合が、80~96質量%であり、かつ、イージーピール層における、前記低密度ポリエチレンと、前記プロピレン系重合体と、の合計含有量(質量部)に対する、前記滑剤の含有量(質量部)の割合が、1~4質量%であるイージーピール層が挙げられる。このようなイージーピール層は、そのイージーピール性、剥離感及び耐熱性が良好であるのに加え、前記積層フィルムと他のフィルムとの目的外の貼り付き(ブロッキング等)、並びに、前記積層フィルム同士の目的外の貼り付き(ブロッキング等)が抑制され、取り扱い性にも優れる。ただし、これは好ましいイージーピール層の一例である。
イージーピール層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。イージーピール層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本明細書においては、イージーピール層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
イージーピール層の厚さは、例えば、35μm以下であってもよいが、20μm以下であることが好ましく、15μm以下、及び10μm以下のいずれかであってもよい。イージーピール層の厚さが前記上限値以下であることで、積層フィルムのイージーピール性及び柔軟性がより高くなる。そして、イージーピール層の厚さが薄いほど、イージーピール層の剥離感が向上する。
一方、イージーピール層のシール強度が適度に高くなる点では、イージーピール層の厚さは、5μm以上であることが好ましい。
イージーピール層の厚さは、例えば、5~35μm、5~20μm、5~15μm、及び5~10μmのいずれかであってもよい。
ここで、「イージーピール層の厚さ」とは、イージーピール層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるイージーピール層の厚さとは、イージーピール層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
前記積層フィルムを用いて、後述の方法で包装体を作製し、常温下での、この包装体のシール部の剥離強度を測定し、このときの剥離強度の大きさによって、イージーピール層のイージーピール性を評価できる。例えば、以下に示す、25℃でのシール部の剥離強度は、イージーピール性の一つの指標となる。
[25℃でのシール部の剥離強度]
前記積層フィルムを用いて得られた包装体の温度を25℃に調節し、JIS Z 0238:1998に準拠して、この状態の包装体のシール部の剥離強度(N/15mm)を測定したとき、前記剥離強度は、2~9N/15mmであることが好ましい。包装体の温度を25℃に調節した場合の前記剥離強度が前記上限値以下である包装体は、目的とする包装体の開封時に、容易に開封できる。包装体の温度を25℃に調節した場合の前記剥離強度が前記下限値以上である包装体は、目的外の開封を抑制できる。
包装体中のイージーピール層でのシール部の剥離強度は、通常、剥離方向が積層フィルムのMD方向(樹脂の流れ方向、Machine Direction)と同じ方向である場合の方が、TD方向(直角方向、Transverse Direction)と同じ方向である場合よりも小さくなる。本実施形態においては、包装体の温度を25℃に調節し、剥離方向が積層フィルムのTD方向と同じ方向である場合の前記剥離強度が、2~9N/15mmであってもよいが、包装体の温度を25℃に調節し、剥離方向が積層フィルムのMD方向と同じ方向である場合の前記剥離強度が、2~9N/15mmであることが好ましい。
前記剥離強度は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む厚さ40μmのシーラント層、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレンからなる厚さ40μmのシーラント層、を備えた樹脂フィルム中の前記シーラント層と、前記積層フィルム中のイージーピール層と、をシール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールすることにより得られた包装体での、剥離強度であってもよい。
本明細書において、「包装体の開封」とは、特に断りのない限り、蓋材と底材との剥離に伴う包装体の開封を意味する。
<外層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記イージーピール層側とは反対側の最表層として外層を備えていることが好ましい。
前記外層(図1に示す積層フィルム1においては、外層14)は、剛性を有し、前記積層フィルムを構成する、外層以外の層を保護するための層である。
外層は、前記積層フィルムの他方の最表層であり、前記積層フィルムを構成する各層の積層方向において、他方の最も外側に配置されている。
外層は、透明性を有することが好ましい。
外層は、他の層の保護効果が高い点では、ポリオレフィンを含んでいることが好ましい。すなわち、前記積層フィルムは、さらに、前記イージーピール層側とは反対側の最表層として外層を備えており、前記外層がポリオレフィンを含んでいることが好ましい。
外層が含む前記ポリオレフィンは、オレフィンから誘導された構成単位を有していれば、特に限定されず、1種のオレフィンの単独重合体であってもよいし、2種以上のオレフィンの共重合体であってもよい。
前記オレフィンの単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン(ホモポリプロピレン)等が挙げられる。
前記オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系共重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。ただし、エチレンから誘導された構成単位と、プロピレンから誘導された構成単位と、を有するオレフィンの共重合体のうち、プロピレンから誘導された構成単位の数が、エチレンから誘導された構成単位の数よりも多い共重合体は、便宜上、プロピレン系共重合体に分類する。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、本明細書においては「EVA部分ケン化物」と称することがある)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
外層が含むプロピレン系共重合体としては、先に説明した、イージーピール層が含むプロピレン系共重合体と、同じものが挙げられる。
外層が含むポリオレフィンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層が含むポリオレフィンは、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン、hPP)及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましく、ポリプロピレンランダムコポリマーであることがより好ましい。
外層は、前記ポリオレフィンのみを含んでいてもよい(すなわち、前記ポリオレフィンからなるものであってもよい)し、前記ポリオレフィンと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記ポリオレフィンと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
外層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、前記ポリオレフィン以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、イージーピール層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
外層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層が前記ポリオレフィンを含む場合、外層における、外層の総質量(質量部)に対する、前記ポリオレフィンの含有量(質量部)の割合([外層のポリオレフィンの含有量(質量部)]/[外層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、外層の他の層の保護効果がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記ポリオレフィンの含有量(質量部)の割合([外層形成用組成物のポリオレフィンの含有量(質量部)]/[外層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
外層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。外層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
外層の厚さは、50~150μmであることが好ましく、例えば、50~120μm、80~150μm、及び80~120μmのいずれかであってもよい。外層の厚さが前記下限値以上であることで、外層の他の層の保護効果がより高くなる。外層の厚さが前記上限値以下であることで、積層フィルムの柔軟性がより高くなる。
ここで、「外層の厚さ」とは、外層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる外層の厚さとは、外層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<緩衝層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記イージーピール層に隣接する緩衝層を備えていることが好ましい。
前記緩衝層(図1に示す積層フィルム1においては、緩衝層12)は、前記積層フィルムと、他のフィルムと、をシールすることにより包装体を製造するとき、前記イージーピール層における均等なシールを可能とすることによって、イージーピール層でのシール強度のばらつきを抑制するための層である。
緩衝層は、透明性を有することが好ましい。
緩衝層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
緩衝層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
緩衝層が含む前記樹脂としては、例えば、エチレン系重合体等が挙げられる。
本明細書において、「エチレン系重合体」とは、少なくともエチレンから誘導された構成単位を有する重合体(樹脂)を意味し、エチレンから誘導された構成単位のみを有するポリエチレン(エチレンの単独重合体)であってもよいし、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン及びプロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有するエチレン系共重合体であってもよい。
緩衝層が含む前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
緩衝層が含む前記ポリエチレンは、通常の石油由来のポリエチレンであってもよいし、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリエチレンであってもよい。
前記植物由来のポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
緩衝層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー樹脂(ION樹脂)等が挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
緩衝層が含むエチレン系重合体は、緩衝層が奏する上述の効果がより高くなる点から、ポリエチレンであることが好ましく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上であることがより好ましく、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方であることが特に好ましい。すなわち、緩衝層は、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含むことが特に好ましい。
緩衝層は、前記エチレン系重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、前記エチレン系重合体からなるものであってもよい)し、前記エチレン系重合体と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記エチレン系重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
緩衝層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、前記エチレン系重合体以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、イージーピール層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
緩衝層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
緩衝層が前記エチレン系重合体を含む場合、緩衝層における、緩衝層の総質量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体の含有量(質量部)の割合([緩衝層のエチレン系重合体の含有量(質量部)]/[緩衝層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、緩衝層が奏する上述の効果がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する緩衝層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体の含有量(質量部)の割合([緩衝層形成用組成物のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[緩衝層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
緩衝層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。緩衝層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
緩衝層の厚さは、20~120μmであることが好ましく、例えば、30~100μm、及び40~80μmのいずれかであってもよい。緩衝層の厚さが前記下限値以上であることで、緩衝層の強度がより高くなるとともに、緩衝層が奏する上述の効果がより高くなる。緩衝層の厚さが前記上限値以下であることで、緩衝層(積層フィルム)の柔軟性がより高くなる。
ここで、「緩衝層の厚さ」とは、緩衝層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる緩衝層の厚さとは、緩衝層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<耐ピンホール層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記イージーピール層と前記外層との間に、耐ピンホール層を備えていることが好ましい。
前記耐ピンホール層(図1に示す積層フィルム1においては、耐ピンホール層14)は、高強度であり、積層フィルムにおいてピンホールの発生を抑制し(耐ピンホール性を有し)、積層フィルムの構造を保護するための層である。
耐ピンホール層は、透明性を有することが好ましい。
耐ピンホール層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
耐ピンホール層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐ピンホール層が含む前記樹脂としては、例えば、ポリアミド等が挙げられる。すなわち、積層フィルムは、さらに、ポリアミドを含む耐ピンホール層を備えていることが好ましい。
耐ピンホール層が含む前記ポリアミドとしては、例えば、環状ラクタム(環員数が3以上のラクタム)、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸との反応で得られたナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られたポリアミド等が挙げられる。
前記環状ラクタムとしては、例えば、ε-カプロラクタム、ω-エナントラクタム、ω-ラウロラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン;
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記ポリアミドとして、より具体的には、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
前記ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易さ等の点においては、6-ナイロン(本明細書においては、「Ny6」と略記することがある)、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
耐ピンホール層は、ポリアミドのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリアミドからなるものであってもよい)し、ポリアミドと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリアミドと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
耐ピンホール層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、ポリアミド以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、イージーピール層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
耐ピンホール層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐ピンホール層がポリアミドを含む場合、耐ピンホール層における、耐ピンホール層の総質量(質量部)に対する、ポリアミドの含有量(質量部)の割合([耐ピンホール層のポリアミドの含有量(質量部)]/[耐ピンホール層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、耐ピンホール層(積層フィルム)の耐ピンホール性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する耐ピンホール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリアミドの含有量(質量部)の割合([耐ピンホール層形成用組成物のポリアミドの含有量(質量部)])/[耐ピンホール層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
耐ピンホール層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。耐ピンホール層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
耐ピンホール層の厚さは、10~100μmであることが好ましく、例えば、15~80μm、及び20~60μmのいずれかであってもよい。耐ピンホール層の厚さが前記下限値以上であることで、耐ピンホール層の耐ピンホール性がより高くなる。耐ピンホール層の厚さが前記上限値以下であることで、積層フィルムの柔軟性がより高くなる。
ここで、「耐ピンホール層の厚さ」とは、耐ピンホール層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる耐ピンホール層の厚さとは、耐ピンホール層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<酸素バリア層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記イージーピール層と前記外層との間に、酸素バリア層を備えていることが好ましい。
前記酸素バリア層(図1に示す積層フィルム1においては、酸素バリア層13)は、酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を有し、積層フィルムに酸素バリア性を付与するための層である。
酸素バリア層は、透明性を有することが好ましい。
酸素バリア層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
酸素バリア層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層が含む前記樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物)等が挙げられる。すなわち、積層フィルムは、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む酸素バリア層を備えていることが好ましい。
酸素バリア層が含むエチレン-ビニルアルコール共重合体における、エチレン-ビニルアルコール共重合体中の構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合(本明細書においては、「エチレンの共重合比率」と称することがある)は、30~50モル%であることが好ましい。
酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなるものであってもよい)し、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
酸素バリア層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、エチレン-ビニルアルコール共重合体以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、イージーピール層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
酸素バリア層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層がエチレン-ビニルアルコール共重合体を含む場合、酸素バリア層における、酸素バリア層の総質量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合([酸素バリア層のエチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)]/[酸素バリア層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合([酸素バリア層形成用組成物のエチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)])/[酸素バリア層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
酸素バリア層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
酸素バリア層の厚さは、4~50μmであることが好ましく、例えば、6~35μm、及び8~20μmのいずれかであってもよい。酸素バリア層の厚さが前記下限値以上であることで、酸素バリア層の強度がより高くなるとともに、積層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。酸素バリア層の厚さが前記上限値以下であることで、積層フィルムの柔軟性がより高くなる。
ここで、「酸素バリア層の厚さ」とは、酸素バリア層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層の厚さとは、酸素バリア層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<接着層>
本実施形態の積層フィルムは、さらに、前記イージーピール層と前記外層との間に、接着層を備えていてもよい。
前記接着層は、積層フィルムにおいて、隣接する2層を接着するための層であり、接着性を発現する成分を含む。接着層を備えた積層フィルムは、その構造がより安定する。
積層フィルムにおける接着層の配置位置は、積層フィルムの最表層とならない位置であれば、特に限定されない。
積層フィルムにおける接着層の配置位置は、1箇所であってもよいし、2箇所以上であってもよい。積層フィルムにおける接着層の配置位置が、2箇所以上である場合には、これら2箇所以上の接着層は、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、「2箇所以上の接着層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての接着層が同一であってもよいし、すべての接着層が異なっていてもよいし、一部の接着層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「接着層が互いに異なる」とは、「接着層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
積層フィルムは、例えば、緩衝層と酸素バリア層との間に接着層(図1に示す積層フィルム1においては、緩衝層12と酸素バリア層13との間の第1接着層161)を備えていてもよいし、耐ピンホール層と外層との間に接着層(図1に示す積層フィルム1においては、耐ピンホール層14と外層15との間の第2接着層162)を備えていてもよい。
接着層は、透明性を有することが好ましい。
接着層は、接着性樹脂を含む樹脂層である(接着性を発現する成分として接着性樹脂を含む)ことが好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン等が挙げられる。
前記ポリオレフィンは、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、例えば、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。
ポリオレフィンは、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
接着層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、緩衝層が含むものとして先に説明したエチレン系共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられ、例えば、イージーピール層が含むものとして先に説明したプロピレン系共重合体も挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層が含む前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含む、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層は、その接着性を損なわない範囲で、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)以外に、他の成分を含んでいてもよい。
接着層が含む前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層における、接着層の総質量に対する、接着性を発現する成分の含有量の割合([接着層の接着性を発現する成分の含有量(質量部)]/[接着層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合([接着層形成用組成物の接着性を発現する成分の含有量(質量部)])/[接着層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
1箇所あたりの接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
1箇所あたりの接着層の厚さは、特に限定されないが、0.1~25μmであることが好ましく、例えば、1~20μm、及び2~15μmのいずれかであってもよい。接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着層はより優れた接着性を有する。接着層の厚さが前記上限値以下であることで、接着層が過剰な厚さとなることが避けられる。
ここで、「接着層の厚さ」とは、接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層の厚さとは、接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<他の層>
前記他の層の種類、配置数及び配置位置は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、積層フィルムが備えている前記他の層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の層は、その1種あたり、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記他の層の厚さは、その種類に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
積層フィルムは、前記他の層を備えている場合、前記他の層をそれ以外の層と接着するための接着層(例えば、図1に示す積層フィルム1中の第1接着層161又は第2接着層162と同様の層等)をさらに備えていてもよい。
本実施形態の積層フィルムは、各種包装体を構成するのに好適であり、なかでも、真空包装するための包装体における、底材としてより好適である。この場合の包装対象物としては、例えば、食品等が挙げられる。
すなわち、本実施形態の積層フィルムは、食品の真空包装用としてより好適である。
積層フィルムの厚さは、特に限定されないが、100~450μmであることが好ましく、例えば、125~350μm、及び150~250μmのいずれかであってもよい。積層フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、積層フィルムを用いて得られた包装体において、被包装物の保存安定性がより高くなるとともに、前記包装体の構造を安定して維持する特性がより高くなる。積層フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、積層フィルムの成形性がより高くなる。
積層フィルムが備えているすべての層が透明性を有し、積層フィルムが透明性を有すること、すなわち、積層フィルムは透明積層フィルムであることが好ましい。このような積層フィルムを用いて得られた包装体においては、積層フィルムを介して、被包装物を容易に視認できる。
<<積層フィルムの製造方法>>
本実施形態の積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、本実施形態の積層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を、積層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、積層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
また、本実施形態の積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層(第1接着層、第2接着層)を形成可能なものを用いてもよい。
また、本実施形態の積層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
本実施形態の積層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、積層フィルム中のいずれかの層(フィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
製造方法がいずれの場合であっても、前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分(構成材料)を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
イージーピール層(図1に示す積層フィルム1においては、イージーピール層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「イージーピール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記低密度ポリエチレンと、必要に応じて、前記プロピレン系重合体及び他の成分のいずれか一方又は両方と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
外層(図1に示す積層フィルム1においては、外層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「外層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、ポリオレフィン)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
緩衝層(図1に示す積層フィルム1においては、緩衝層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「緩衝層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、エチレン系重合体)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
耐ピンホール層(図1に示す積層フィルム1においては、耐ピンホール層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「耐ピンホール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、ポリアミド)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
酸素バリア層(図1に示す積層フィルム1においては、酸素バリア層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂(例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体)と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
接着層(図1に示す積層フィルム1においては、第1接着層161又は第2接着層162)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述の接着性を発現する成分と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
<<包装体>>
本発明の一実施形態に係る包装体は、上述の本発明の一実施形態に係る積層フィルムを備えている。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを用いて構成されているため、耐熱性を有する。
本実施形態の包装体は、食品の真空包装用として好適であり、熱湯中での加熱処理をはじめとする各種加熱処理を行うための食品の真空包装用として、特に好適である。
本実施形態の包装体の包装対象物である食品は、特に限定されない。前記食品としては、例えば、生肉、生魚、生野菜等の生鮮食品;ハム、ウインナー、ベーコン、ハンバーグ等の食肉加工品をはじめとする各種加工食品等、公知のものが挙げられる。
好ましい前記包装体としては、例えば、蓋材及び底材を備え、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記蓋材と、前記底材と、のいずれか一方又は両方が、前記積層フィルムからなる包装体が挙げられる。
なかでも、前記積層フィルムを用いたことによる有利な効果が、特に顕著に得られることから、前記包装体は、蓋材及び底材を備え、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記底材が前記積層フィルムからなる包装体であることが好ましい。このような包装体においては、前記蓋材が前記積層フィルムからなるものであってもよい。前記積層フィルムは、その耐屈曲性を向上させることが可能であり、成形を行うのに好適であり、このような積層フィルムを用いることで、目的とする形状の底材を備えた包装体をより容易に製造できる。
底材が前記積層フィルムからなる場合、底材は深絞り成形体であってもよい。
図2は、本実施形態の包装体の一例を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す包装体10は、底材1’及び蓋材8を備えて構成されている。
底材1’は、図1に示す積層フィルム1の成形体である。図2においては、底材1’を構成している積層フィルム1中の各層の区別を省略している。
蓋材8は、積層フィルム1をはじめとする、上述の本発明の一実施形態に係る積層フィルムで構成されていてもよいし、それ以外の公知の蓋材であってもよい。
公知の蓋材8としては、例えば、単層又は多層の樹脂フィルムからなる蓋材が挙げられる。
包装体10は、真空包装体であることが好ましい。
蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、シール面であり、前記第1面8aの一部と、底材1’(積層フィルム1)中のイージーピール層11の第2面11bの一部と、がシールにより密着している。図2中、蓋材8の第1面8aと、底材1’(積層フィルム1)中のイージーピール層11の第2面11bと、が直接接触している部位が、シール部である。そして、蓋材8の第1面8aと、シーラント層11の第2面11bと、の間の離間している領域が、収納部10aとなっている。そして、この収納部10a内に、被包装物(換言すると、収容物又は包装対象物)9が収納されている。
図2においては、包装体10の収納部10a内において、被包装物9と底材1’との間、並びに、被包装物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間は、被包装物9を収納した状態の包装体10において、存在しないこともある。
包装体10において、底材1’の平坦部の厚さは、先に説明した前記積層フィルムの厚さと同じである。
包装体10において、蓋材8の厚さは、特に限定されないが、40~400μmであることが好ましく、例えば、50~300μm、及び60~200μmのいずれかであってもよい。蓋材8の厚さが前記下限値以上であることで、蓋材8の強度がより向上する。蓋材8の厚さが前記上限値以下であることで、蓋材8の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「蓋材8の厚さ」とは、蓋材8全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる蓋材8の厚さとは、蓋材8を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
被包装物9は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、先に「包装対象物」として説明した食品等が挙げられる。
本実施形態の包装体は、図2に示す包装体10に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、図2に示す包装体10において、一部の構成が変更、削除又は追加された包装体であってもよい。
例えば、図2においては、底材が図1に示す積層フィルム1を用いて構成されている場合の包装体10を示しているが、本実施形態の包装体においては、底材が積層フィルム1以外の前記積層フィルムを用いて構成されていてもよい。
<包装体(積層フィルム)中のイージーピール層の耐熱性>
例えば、包装体の温度を100℃に調節したときの、この包装体のシール部の剥離強度の大きさによって、包装体(積層フィルム)中のイージーピール層の耐熱性を評価できる。
本実施形態の包装体の温度を100℃に調節し、JIS Z 0238:1998に準拠して、この状態の包装体のシール部の剥離強度(N/15mm)を測定したとき、前記剥離強度は、1N/15mm以上であることが好ましい。包装体の温度を100℃に調節した場合の前記剥離強度が前記下限値以上である包装体は、その耐熱性(より具体的には、積層フィルム中のイージーピール層の耐熱性)が高い。
一方、包装体の温度を100℃に調節した場合の前記剥離強度が、3N/15mm以下である包装体は、その使用時に、より容易に開封できる。
本実施形態においては、包装体の温度を100℃に調節し、剥離方向が積層フィルムのTD方向と同じ方向である場合の前記剥離強度が、1N/15mm以上であり、3N/15mm以下であってもよいが、包装体の温度を100℃に調節し、剥離方向が積層フィルムのMD方向と同じ方向である場合の前記剥離強度が、1N/15mm以上であることが好ましく、3N/15mm以下であることが好ましい。
包装体の温度を100℃に調節したときの前記剥離強度は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む厚さ40μmのシーラント層、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレンからなる厚さ40μmのシーラント層、を備えた樹脂フィルム中の前記シーラント層と、前記積層フィルム中のイージーピール層と、をシール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールすることにより得られた包装体での、剥離強度であってもよい。
<包装体(積層フィルム)の剥離感>
例えば、包装体を95~105℃で20~40分加熱処理し、次いで、常温まで冷却した後、この加熱処理済みの包装体を開封したときの、積層フィルム(例えば、底材又は蓋材)の糸引きの有無と、糸引きが生じた場合にはその程度によって、包装体の剥離感(積層フィルムのシール対象物からの剥離感)を評価できる。
本実施形態の包装体を100℃で30分加熱処理し、次いで、常温まで冷却した後、この加熱処理済みの包装体を開封したとき、積層フィルム(例えば、底材又は蓋材)の糸引きが生じなかった場合には、包装体(積層フィルム)の前記剥離感は良好である。
<<包装体の製造方法>>
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを用いて、前記包装対象物を包装することにより、製造できる。そして、本実施形態の包装体は、従来のフィルムに代えて、前記積層フィルムを用いる点を除けば、従来の包装体の場合と同じ方法で製造できる。
例えば、前記積層フィルムを用いて得られた底材と、蓋材と、を備えた真空包装体は、前記積層フィルムを成形することにより、前記収納部を形成するための凹部を備えた底材を作製し、前記底材中のイージーピール層の第2面(換言すると、前記蓋材とシールする側の面)上に、前記包装対象物を載置し、前記底材の前記面と、前記包装対象物とに、これらの上部から前記蓋材を被せ、前記底材と前記蓋材との間の前記包装対象物が配置されている領域を真空引し、前記包装対象物が配置されていない領域において、前記底材と前記蓋材とを加熱シールすることにより、製造できる。
加熱シール時の真空引きによる、前記包装対象物が配置されている領域の圧力は、5000Pa(50mbar)以下であることが好ましい。前記圧力が前記上限値以下であることで、被包装物(換言すると、収容物又は包装対象物)の保存適性がより高い包装体が得られる。
加熱シール時のシール温度は、特に限定されないが、100~170℃であることが好ましい。前記シール温度が前記下限値以上であることで、例えば、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなる。前記シール温度が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
加熱シール時のシール時間は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、1~30秒であることが好ましい。前記シール時間が前記下限値以上であることで、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなる。前記シール時間が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
加熱シール時のシール圧力は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、0.1~1MPaであることが好ましい。前記シール圧力が前記下限値以上であることで、包装体のシール強度が、イージーピール性を有しながら、より高くなる。前記シール圧力が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
各実施例又は比較例で用いた樹脂は、以下のとおりである。
LDPE(1):低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「F372」、融点118℃、ビカット軟化温度108℃、MFR5.3g/10min、密度0.934g/cm
LDPE(2):低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「F222A」、融点110℃、ビカット軟化温度94℃、MFR2g/10min、密度0.922g/cm
mLLDPE:メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製「3540F」、融点123℃、ビカット軟化温度114℃、MFR4g/10min、密度0.931g/cm
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製「2022L」、融点120℃、MFR2g/10min、密度0.919g/cm
hPP:ホモポリプロピレン(住友化学社製「FS2011DG2」、融点158℃、MFR2.5g/10min)
rPP:ポリプロピレンランダムコポリマー(住友化学社製「FL6763」、融点130℃、MFR6g/10min)
Ny6:6-ナイロン(宇部興産社製「1030B2」)
EVOH:エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「J171B」、前記エチレンの共重合比率32モル%)
変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン(接着性樹脂、三井化学社製「NF536」)
変性PP:酸変性ポリプロピレン(接着性樹脂、三井化学社製「アドマー(登録商標)QF551」)
Add:滑剤(宇部丸善ポリエチレン社製「82185M」)
[実施例1]
<<積層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、図1に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、イージーピール層を構成する樹脂として、前記LDPE(1)と前記hPPを用意し、緩衝層を構成する樹脂として、前記LLDPEを用意し、酸素バリア層を構成する樹脂として、前記EVOHを用意し、耐ピンホール層を構成する樹脂として、前記Ny6を用意し、外層を構成する樹脂として、前記rPPを用意し、第1接着層を構成する接着性樹脂として、前記変性PEを用意し、第2接着層を構成する接着性樹脂として、前記変性PPを用意した。
前記LDPE(1)(83質量部)と、前記hPP(17質量部)と、前記Add(2質量部)と、を常温下で混合することにより、イージーピール層形成用組成物(1)を製造した。
ダイの温度を250℃とし、前記イージーピール層形成用組成物(1)と、前記LLDPEと、前記変性PEと、前記EVOHと、前記Ny6と、前記変性PPと、前記rPPとを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、イージーピール層(厚さ14μm)、緩衝層(厚さ60μm)、第1接着層(厚さ10μm)、酸素バリア層(厚さ12μm)、耐ピンホール層(厚さ40μm)、第2接着層(厚さ10μm)及び外層(厚さ54μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、底材用の積層フィルム(厚さ200μm)を得た。
<<包装体の製造>>
<蓋材の製造>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製「ウルトゼックス2022L」)を用いて、Tダイ押出法により、LLDPEフィルム(厚さ40μm)を作製した。
2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム、厚さ20μm)と、アルミ蒸着を施した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(VM-PETフィルム、厚さ12μm)と、上記で得られたLLDPEフィルム(厚さ40μm)と、をこの積層順で、ドライラミネート法で貼り合わせることにより、前記OPPフィルムからなる外層(厚さ20μm)と、前記VM-PETフィルムからなる中間層(厚さ12μm)と、前記LLDPEフィルムからなるシーラント層(厚さ40μm)と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、積層フィルム(蓋材、72μm)を作製した。
<底材の製造>
深絞り成形機(ムルチバック社製「R-535」)を用いて、上記で得られた底材用の積層フィルムを、加熱温度100℃、加熱時間2秒、成形時間2秒の条件で深絞り成形し、凹部を形成することにより、包装体用の底材を作製した。
<包装体の製造>
上記で得られた底材の凹部内に食肉加工品(ハンバーグ、100g)を配置し、前記蓋材のシーラント層と、前記底材(積層フィルム)のイージーピール層と、を対向させて、前記蓋材と前記底材の間で前記食肉加工品を挟み、前記蓋材及び底材によって形成された収納部の内部を、温度150℃、時間2秒の条件で真空脱気した。次いで、前記蓋材及び底材の周縁部を、シール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールすることにより、包装体(真空包装体、深絞り包装体)を製造した。最終的に、前記収納部(凹部内)の圧力は、1.5×10Pa(15mbar)とした。
<<包装体の評価>>
<加熱処理後の包装体の剥離感の評価>
上記で得られた包装体を、90℃で30分加熱処理し、次いで、常温まで冷却した包装体を開封し、このときの底材の蓋材からの剥離感を、下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:底材の糸引きが全く認められず、剥離感が良好である。
B:底材の糸引きがわずかに認められ、剥離感が不良である。
C:底材の糸引きがはっきりと認められ、剥離感がBよりも不良である。
<シール部の剥離強度の測定>
別途、上記で得られた包装体の温度を常温、60℃、70℃、80℃、90℃及び100℃にそれぞれ調節し、JIS Z 0238:1998に準拠して、この状態の包装体のシール部の剥離強度(N/15mm)を測定した。このとき、剥離方向を、包装体中の底材(積層フィルム)のMD方向と一致させた。結果を表1に示す。
<<積層フィルム及び包装体の製造、並びに包装体の評価>>
[比較例1]
前記LDPE(2)(83質量部)と、前記hPP(17質量部)と、前記Add(2質量部)と、を常温下で混合することにより、イージーピール層形成用組成物(2)を製造した。
そして、前記イージーピール層形成用組成物(1)に代えて、このイージーピール層形成用組成物(2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルム及び包装体を製造し、包装体を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
前記LDPE(2)(41.5質量部)と、前記mLLDPE(41.5質量部)と、前記hPP(17質量部)と、前記Add(2質量部)と、を常温下で混合することにより、イージーピール層形成用組成物(3)を製造した。
そして、前記イージーピール層形成用組成物(1)に代えて、このイージーピール層形成用組成物(3)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルム及び包装体を製造し、包装体を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
前記mLLDPE(83質量部)と、前記hPP(17質量部)と、前記Add(2質量部)と、を常温下で混合することにより、イージーピール層形成用組成物(4)を製造した。
そして、前記イージーピール層形成用組成物(1)に代えて、このイージーピール層形成用組成物(4)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルム及び包装体を製造し、包装体を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2023074225000002
上記結果から明らかなように、実施例1の包装体は、常温での剥離強度が適切であり、イージーピール性を有していた。また、実施例1の包装体は、加熱処理後の剥離感が良好であり、さらに、100℃でのシール部の剥離強度が高く、イージーピール層が耐熱性を有していた。
実施例1の積層フィルム中のイージーピール層は、融点が118℃であり、ビカット軟化温度が108℃である低密度ポリエチレンを、主成分として含んでいた。
別途、実施例1の5個の包装体を、98℃の熱湯中で30分加熱処理(ボイル)した。その結果、加熱処理中に5個の包装体すべてで収納部が膨らんだが、シール抜けが発生した包装体は1個も認められず、包装体(イージーピール層)が耐熱性を有していることを、この点でも確認できた。
これに対して、比較例1の包装体は、100℃でのシール部の剥離強度が不十分であり、イージーピール層が耐熱性を有していなかった。
比較例1の積層フィルム中のイージーピール層は、融点が110℃であり、ビカット軟化温度が94℃である低密度ポリエチレンを、主成分として含んでいた。
別途、比較例1の5個の包装体を、98℃の熱湯中で30分加熱処理(ボイル)した。その結果、加熱処理中に5個の包装体すべてで収納部が膨らみ、シール抜けが発生した包装体が3個認められ、包装体(イージーピール層)が耐熱性を有していないことを、この点でも確認できた。
比較例2の包装体は、加熱処理後の剥離感が不良であり、また、100℃でのシール部の剥離強度が不十分であり、イージーピール層が耐熱性を有していなかった。
比較例2の積層フィルム中のイージーピール層は、融点が110℃であり、ビカット軟化温度が94℃である低密度ポリエチレンと、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンと、を主成分として含んでいた。
比較例3の包装体は、加熱処理後の剥離感が不良であり、また、100℃でのシール部の剥離強度が比較例2の場合よりもさらに低く、著しく不十分であり、イージーピール層が耐熱性を有していなかった。
比較例3の積層フィルム中のイージーピール層は、低密度ポリエチレンではなく、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを、主成分として含んでいた。
本発明は、食品を真空包装するための包装体に利用可能である。
1・・・積層フィルム
1’・・・底材
8・・・蓋材
9・・・被包装物
10・・・包装体
11・・・イージーピール層
12・・・緩衝層
13・・・酸素バリア層
14・・・耐ピンホール層
15・・・外層

Claims (10)

  1. 少なくともイージーピール層を備えた積層フィルムであって、
    前記イージーピール層が低密度ポリエチレンを含み、
    前記低密度ポリエチレンの融点が115℃以上であり、ビカット軟化温度が100℃以上である、積層フィルム。
  2. 前記イージーピール層が、さらにプロピレン系重合体を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記イージーピール層において、前記低密度ポリエチレン及びプロピレン系重合体の合計含有量に対する、前記低密度ポリエチレンの含有量の割合が、70~90質量%である、請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 前記イージーピール層の厚さが20μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 前記積層フィルムが、さらに、前記イージーピール層に隣接する緩衝層を備えており、
    前記緩衝層が、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 前記積層フィルムが、さらに、前記イージーピール層側とは反対側の最表層として外層を備えており、
    前記外層がポリオレフィンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記積層フィルムが、さらに、ポリアミドを含む耐ピンホール層を備えている、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  8. 前記積層フィルムが、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む酸素バリア層を備えている、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の積層フィルムを備えた、包装体。
  10. 前記包装体が、蓋材及び底材を備え、
    前記包装体が、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、
    前記底材が前記積層フィルムからなる、請求項9に記載の包装体。
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