JP2022191838A - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】包装体の底材として用いた場合に、包装体で安定したイージーピール性を実現できる、多層フィルムの提供。【解決手段】多層フィルム1であって、多層フィルム1は、シーラント11層と、シーラント層11の一方の面11a上に設けられた基材層12と、を備え、基材層12は、シーラント層11に直接接触しており、基材層12が、融点が120℃以上のポリエチレンを含み、基材層12において、基材層12の総質量に対する、前記ポリエチレンの含有量の割合が、50質量%以上であり、JIS K 7210に準拠して測定された、前記ポリエチレンの190℃におけるメルトフローレートが、0.5~7g/10minであり、シーラント層11が、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含み、シーラント層11において、シーラント層11の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合が、5~40質量%である、多層フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム及び包装体に関する。
従来、食品の保存性を改善するためには、食品の収納部に不活性ガスを充填したガス置換包装体、又は食品の収納部に残存する気体を真空脱気した真空包装体が用いられている。このような包装体としては、例えば、深絞り成形機で成形した底材に食品を詰めて、不活性ガスを充填するか又は真空脱気して蓋材をシールした包装体が知られている。前記底材又は蓋材としては、シール性と易開封性を共に有する複合多層フィルムを使用することが一般的である。
一方、シール性と易開封性を共に有する複合多層フィルムとしては、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂層、ポリアミド樹脂層、接着樹脂層及びポリプロピレン樹脂層(基材層)を順次積層し、さらに、前記ポリプロピレン樹脂層(基材層)側に、ポリプロピレン系樹脂にエチレン成分を共重合したエチレン-プロピレンランダム共重合体と、ポリエチレン系樹脂等の非相溶である2種以上の樹脂をブレンドしたシーラント層を設けた、易開封性複合フィルムが知られている(特許文献1及び2参照)。
特許文献1及び2で開示されている易開封性複合フィルムを、例えば、蓋材用フィルムとして使用した場合、得られた包装体の開封の際には、シーラント層が凝集破壊することにより、容易に剥離できるとされている。このようなシーラント層は、易開封性を担保する層であることから、イージーピール層とも呼ばれている。
特許第3642925号公報 特開2005-288793号公報
しかし、特許文献1及び2で開示されている易開封性複合フィルムを上述のガス置換包装体又は真空包装体用の底材として用いた場合、剥離強度が局所的に高くなってしまい、包装体でイージーピール性が安定しないことがあった。特に、ポリエチレンテレフタレート等の剛性が高い樹脂を含まない軟質の底材を用いて、ガス置換包装体又は真空包装体を構成した場合、剥離強度のばらつきが大きくなるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、包装体の底材として用いた場合に、包装体で安定したイージーピール性を実現できる多層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].多層フィルムであって、前記多層フィルムは、シーラント層と、前記シーラント層の一方の面上に設けられた基材層と、を備え、前記基材層は、前記シーラント層に直接接触しており、前記基材層が、融点が120℃以上のポリエチレンを含み、前記基材層において、前記基材層の総質量に対する、前記ポリエチレンの含有量の割合が、50質量%以上であり、JIS K 7210に準拠して測定された、前記ポリエチレンの190℃におけるメルトフローレートが、0.5~7g/10minであり、前記シーラント層が、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含み、前記シーラント層において、前記シーラント層の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合が、5~40質量%である、多層フィルム。
[2].前記ポリエチレンの密度が0.925~0.970g/cmである、[1]に記載の多層フィルム。
[3].前記基材層の厚さが5~125μmである、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[4].[前記基材層の厚さ]:[前記シーラント層の厚さ]の比が、80:20~20:80である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[5].前記多層フィルムの厚さが60~350μmである、[1]~[4]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[6].前記多層フィルムのヘーズが、10%超20%以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[7].直鎖状低密度ポリエチレン層をシーラント層とする積層フィルムを用い、前記積層フィルム中の前記シーラント層と、前記多層フィルム中の前記シーラント層と、をシール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールし、前記加熱シール後の前記多層フィルム中の前記シーラント層の厚さの最小値及び最大値を求め、前記最小値及び最大値を用いて、前記加熱シール前の前記多層フィルム中の前記シーラント層の厚さに対する、前記加熱シール後の前記多層フィルム中の前記シーラント層の厚さの割合の最小値及び最大値を求めたとき、前記割合の最小値が60%以上であり、前記割合の最大値が140%以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[8].蓋材及び底材を備え、前記底材が、[1]~[7]のいずれか一項に記載の多層フィルムを用いたものであり、前記多層フィルム中の前記シーラント層が、前記蓋材側に配置されている、包装体。
[9].前記蓋材及び底材間の剥離強度が、5~15N/15mmである、[8]に記載の包装体。
本発明によれば、包装体の底材として用いた場合に、包装体で安定したイージーピール性を実現できる多層フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<多層フィルム>>
本発明の一実施形態に多層フィルムは、シーラント層と、前記シーラント層の一方の面上に設けられた基材層と、を備え、前記基材層は、前記シーラント層に直接接触しており、前記基材層が、融点が120℃以上のポリエチレンを含み、前記基材層において、前記基材層の総質量に対する、前記ポリエチレンの含有量の割合が、50質量%以上であり、JIS K 7210に準拠して測定された、前記ポリエチレンの190℃におけるメルトフローレートが、0.5~7g/10minであり、前記シーラント層が、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含み、前記シーラント層において、前記シーラント層の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合が、5~40質量%である。
前記基材層は、融点が120℃以上で、かつ、190℃におけるメルトフローレートが、0.5~7g/10minであるポリエチレンを50質量%以上の含有量で含んでいることにより、ポリエチレンテレフタレート等の剛性が高い樹脂を含まず、軟質であっても、耐熱性が高く、加熱時の流動性が低い。このような基材層を備えた前記多層フィルムを底材として用い、蓋材と加熱シールして包装体を製造したときには、基材層の必要以上の変形、すなわち流れが抑制される。さらに、前記多層フィルムは、このような基材層を前記シーラント層に直接接触した状態で備えている。このような前記多層フィルムを用いて構成された包装体の開封時には、シーラント層の内部に剥離の起点が生じる。その結果、剥離の起点が基材層とシーラント層との交点で生じた場合とは異なり、剥離強度が局所的に高くなってしまうことが抑制される。そして、このようにシーラント層の内部に剥離の起点が生じ、さらに基材層の流れが抑制されていることにより、イージーピール性が安定する。
本明細書において、樹脂の融点は、特に断りのない限り、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)法によって測定された融点を意味する。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
まず、本実施形態の多層フィルムの全体の構成について説明する。
図1は、本実施形態の多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す多層フィルム1は、シーラント層11と、シーラント層11の一方の面11a上に設けられた基材層12と、を備えており、基材層12は、シーラント層11に直接接触している。
さらに、多層フィルム1は、基材層12のシーラント層11側とは反対側の面12a上に、耐引裂き層13、ガスバリア層14及び耐衝撃層15をこの積層順で備えている。
さらに、多層フィルム1は、基材層12と耐引裂き層13との間に、接着層16を備えている。
すなわち、多層フィルム1は、シーラント層11、基材層12、接着層16、耐引裂き層13、ガスバリア層14及び耐衝撃層15がこの順に、これらの厚さ方向において積層され、シーラント層11及び基材層12が互いに直接接触して、構成されている。
耐衝撃層15の一方の面(耐引裂き層13側とは反対側の面)15aは、多層フィルム1の一方の最表面である。
シーラント層11の他方の面11bは、多層フィルム1の他方の最表面であり、シール面でもある。
基材層12は、融点が120℃以上のポリエチレンを含み、基材層12において、基材層12の総質量に対する、前記ポリエチレン(融点が120℃以上のポリエチレン)の含有量の割合が、50質量%以上である。
JIS K 7210に準拠して測定された、前記ポリエチレンの190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.5~7g/10minである。
シーラント層11は、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含み、シーラント層11において、シーラント層11の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合は、5~40質量%である。
本実施形態の多層フィルムは、多層フィルム1に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、多層フィルム1において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、本実施形態の多層フィルムは、シーラント層及び基材層を備えていればよく、接着層、耐引裂き層、ガスバリア層及び耐衝撃層は任意の層であり、これらの1種又は2種以上を備えていなくてもよい。
例えば、本実施形態の多層フィルムは、シーラント層と、基材層と、接着層と、耐引裂き層と、ガスバリア層と、耐衝撃層と、のいずにも該当しない他の層を備えていてもよい。
次に、本実施形態の多層フィルムについて、より詳細に説明する。
<基材層>
基材層(図1に示す多層フィルム1においては、基材層12)は、多層フィルムに柔軟性を付与する。
基材層は透明であることが好ましい。
基材層は、融点が120℃以上のポリエチレンを含む。
基材層が含む前記ポリエチレン(PE)の融点は、120℃以上であれば特に限定されないが、124℃以上であることが好ましく、128℃以上であることがより好ましい。ポリエチレンの融点が前記下限値以上であることで、後述する包装体において、剥離強度のばらつきが抑制され、イージーピール性が安定する。
本明細書においては、基材層が含む「ポリエチレン」とは、特に断りのない限り、上述の「融点が120℃以上であるポリエチレン」を意味する。
基材層が含むポリエチレンの融点の上限値は、特に限定されない。例えば、融点が140℃以下であるポリエチレンは、その入手が容易である点で好ましい。
基材層が含むポリエチレンの融点は、例えば、120~140℃、124~140℃、及び128~140℃のいずれかであってもよい。
JIS K 7210に準拠して測定された、前記ポリエチレン(基材層が含む、融点が120℃以上のポリエチレン)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.5~7g/10minであり、例えば、0.5~6g/10min、0.5~4.5g/10min、及び0.5~3g/10minのいずれかであってもよいし、1.5~7g/10min、3~7g/10min、及び4.5~7g/10minのいずれかであってもよいし、1.5~6g/10min、及び3~4.5g/10minのいずれかであってもよい。前記メルトフローレートがこのような範囲であることで、後述する包装体において、剥離強度のばらつきが抑制され、イージーピール性が安定する。
基材層が含むポリエチレンの密度は、0.925~0.970g/cmであることが好ましく、例えば、0.941~0.970g/cm、0.925~0.958g/cm、及び0.941~0.958g/cmのいずれかであってもよい。
ポリエチレンの、その密度ごとの分類は、例えば、旧JIS K 6748:1995において定義されていた。本明細書においては、この定義によって、ポリエチレンを、その密度ごとに分類する。
すなわち、本明細書において、低密度ポリエチレン(LDPE)とは、密度が0.91g/cm以上、0.93g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、中密度ポリエチレン(MDPE)とは、密度が0.93g/cm以上、0.942g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)とは、密度が0.942g/cm以上であるポリエチレンを意味する。
基材層が含む前記ポリエチレンは、主に中密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンに分類され、一部は低密度ポリエチレンに分類される。
基材層が含む前記ポリエチレン(融点が120℃以上のポリエチレン)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
基材層において、基材層の総質量に対する、前記ポリエチレン(融点が120℃以上のポリエチレン)の含有量の割合は、50質量%以上であれば特に限定されない。すなわち、基材層は、前記ポリエチレンのみを含んでいてもよい(すなわち、前記ポリエチレンからなる層であってもよい)し、前記ポリエチレンと、それ以外の他の成分と、をともに含んでいてもよい(すなわち、前記ポリエチレンと、それ以外の他の成分と、からなる層であってもよい)。
前記割合は、通常、後述する基材層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記ポリエチレンの含有量(質量部)の割合、と同じである。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
基材層が含む前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
基材層が含む前記他の樹脂成分は、前記ポリエチレン以外の樹脂であれば、特に限定されない。
前記他の樹脂成分としては、例えば、融点が120℃未満のポリエチレン、ポリエチレン以外の樹脂が挙げられる。
基材層が含む前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
基材層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
基材層において、基材層の総質量に対する、前記ポリエチレン(融点が120℃以上のポリエチレン)の含有量の割合は、例えば、65質量%以上、80質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、後述する包装体において、剥離強度のばらつきが抑制され、イージーピール性が安定する。
すなわち、基材層において、基材層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合は、50質量%以下であり、例えば、35質量%以下、20質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
基材層において、基材層の総質量に対する、前記ポリエチレン(融点が120℃以上のポリエチレン)の含有量の割合は、100質量%以下である。
前記割合は、例えば、50~100質量%、65~100質量%、80~100質量%、及び95~100質量%のいずれかであってもよい。
基材層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。基材層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本明細書においては、基材層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
基材層の厚さは、5~125μmであることが好ましく、例えば、5~100μm、5~75μm、及び5~50μmのいずれかであってもよいし、25~125μm、45~125μm、及び65~125μmのいずれかであってもよいし、25~100μm、及び45~75μmのいずれかであってもよい。基材層の厚さが前記下限値以上であることで、基材層の機械的強度がより高くなる。基材層の厚さが前記上限値以下であることで、基材層と多層フィルムの透明性がより高くなる。
基材層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<シーラント層>
シーラント層(図1に示す多層フィルム1においては、シーラント層11)は、前記多層フィルムの一方の最表層であり、前記多層フィルムに十分なシール特性と、良好なイージーピール性と、を付与する。
シーラント層は透明であることが好ましい。
前記基材層は、シーラント層に直接接触している。
シーラント層は、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含んでおり、これによりイージーピール性を有する。
シーラント層が含む前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンから誘導された構成単位を有する樹脂であれば、特に限定されない。
シーラント層が含む前記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体(すなわちホモポリプロピレン、本明細書においては、「hPP」と称することがある)と、プロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、「rPP」とも称される)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、「bPP」とも称される)、プロピレン-ブテン共重合体等が挙げられる。
シーラント層が含む前記ポリプロピレン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、シーラント層は、プロピレン単独重合体を含有し、プロピレン系共重合体を含有していなくてもよいし、1種又は2種以上のプロピレン系共重合体を含み、プロピレン単独重合体を含んでいなくてもよいし、プロピレン単独重合体を含み、1種又は2種以上のプロピレン系共重合体を含んでいなくてもよい。
シーラント層が含む前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン(hPP))であることが好ましい。
シーラント層が含む前記ポリエチレン系樹脂は、エチレンから誘導された構成単位を有する樹脂であれば、特に限定されない。
シーラント層が含む前記ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体(すなわちポリエチレン(PE))と、エチレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレン単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、例えば、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)等)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA樹脂)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA樹脂)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA樹脂)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA樹脂)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH樹脂)、アイオノマー樹脂(ION樹脂)等が挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
シーラント層が含む前記ポリエチレン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、シーラント層は、1種又は2種以上のポリエチレンを含み、エチレン系共重合体を含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上のエチレン系共重合体を含み、ポリエチレンを含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上のポリエチレンを含み、1種又は2種以上のエチレン系共重合体を含んでいてもよい。
シーラント層が含む前記ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン(PE)であることが好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)であることがより好ましい。
シーラント層において、シーラント層の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合は、5~40質量%である。前記割合がこのような範囲であることで、後述する包装体において、剥離強度のばらつきが抑制され、イージーピール性が安定する。
前記割合は、通常、後述するシーラント層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
上述の効果がより顕著に得られる点では、シーラント層において、シーラント層の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合は、例えば、5~30質量%、及び5~20質量%のいずれかであってもよいし、15~40質量%、及び25~40質量%のいずれかであってもよいし、15~30質量%であってもよい。
シーラント層において、シーラント層の総質量に対する、前記ポリエチレン系樹脂の含有量の割合は、60~95質量%であることが好ましく、例えば、70~95質量%、及び80~95質量%のいずれかであってもよいし、60~85質量%、及び60~75質量%のいずれかであってもよいし、70~85質量%であってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、後述する包装体において、剥離強度のばらつきがより抑制され、イージーピール性がより安定する。
前記割合は、通常、後述するシーラント層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記ポリエチレン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
シーラント層は、前記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、前記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂からなる層であってもよい)し、前記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含み、さらに、これら(前記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂)のいずれにも該当しない他の成分を含んでいてもよい(すなわち、前記ポリプロピレン系樹脂と、前記ポリエチレン系樹脂と、これら以外の他の成分と、からなる層であってもよい)。
シーラント層が含む前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
シーラント層が含む前記他の樹脂成分は、前記ポリプロピレン系樹脂と、前記ポリエチレン系樹脂と、のいずれにも該当しない樹脂であれば、特に限定されない。
シーラント層が含む前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、基材層が含むものとして先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
シーラント層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
シーラント層が含む前記他の成分で好ましいものとしては、例えば、防曇剤が挙げられる。
シーラント層において、シーラント層の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の合計含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、後述する包装体において、剥離強度のばらつきが抑制され、イージーピール性が安定する。
すなわち、シーラント層において、シーラント層の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
前記合計含有量の割合は、通常、後述するシーラント層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
シーラント層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。シーラント層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記多層フィルムにおいて、[基材層の厚さ]:[シーラント層の厚さ]の比は、80:20~20:80であることが好ましく、例えば、80:20~60:40、40:60~20:80、及び65:35~35:65のいずれかであってもよい。前記比がこのような範囲であることで、後述する包装体において、剥離強度のばらつきがより抑制され、イージーピール性がより安定する。
ここで、「基材層の厚さ」とは、基材層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さを意味する。同様に、「シーラント層の厚さ」とは、シーラント層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さを意味する。
シーラント層の厚さは、上述の[基材層の厚さ]:[シーラント層の厚さ]の比を満たす数値範囲内であることが好ましい。
例えば、シーラント層の厚さは、5~125μmであることが好ましい。シーラント層の厚さが前記下限値以上であることで、シーラント層の機械的強度がより高くなる。シーラント層の厚さが前記上限値以下であることで、シーラント層と多層フィルムの透明性がより高くなる。
シーラント層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<耐引裂き層>
前記多層フィルムは、さらに、基材層のシーラント層側とは反対側の面上に、耐引裂き層(図1に示す多層フィルム1においては、耐引裂き層13)を備えていてもよい。
耐引裂き層は、前記多層フィルムに耐引裂き性を付与する。
耐引裂き層は透明であることが好ましい。
耐引裂き層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
耐引裂き層が含む前記樹脂で好ましいものとしては、例えば、ポリアミド等が挙げられる。
前記ポリアミドとしては、例えば、環状ラクタム(環員数が3以上のラクタム)、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸との反応物であるナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られたポリアミド等が挙げられる。
前記環状ラクタムとしては、例えば、ε-カプロラクタム、ω-エナントラクタム、ω-ラウロラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン;
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記ポリアミドとしては、より具体的には、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンとの610-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンとの12-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
前記ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易性等の点においては、6-ナイロン、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
耐引裂き層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、耐引裂き層は、1種又は2種以上のポリアミドを含み、ポリアミド以外の樹脂を含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上のポリアミド以外の樹脂を含み、ポリアミドを含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上のポリアミドを含み、1種又は2種以上のポリアミド以外の樹脂を含んでいてもよい。
耐引裂き層は、前記樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂からなる層であってもよい)し、前記樹脂と、それ以外の他の成分(換言すると非樹脂成分)と、をともに含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂と、それ以外の他の成分と、からなる層であってもよい)。
耐引裂き層が含む前記他の成分(非樹脂成分)としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、基材層が含むものとして先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
耐引裂き層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐引裂き層において、耐引裂き層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記多層フィルムと耐引裂き層の耐引裂き性がより高くなる。
すなわち、耐引裂き層において、耐引裂き層の総質量に対する、前記他の成分(非樹脂成分)の含有量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
前記樹脂の含有量の割合は、通常、後述する耐引裂き層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
耐引裂き層において、耐引裂き層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、100質量%以下である。
前記割合は、例えば、85~100質量%、90~100質量%、及び95~100質量%のいずれかであってもよい。
耐引裂き層が前記ポリアミドを含む場合、耐引裂き層において、前記樹脂の含有量に対する、前記ポリアミドの含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記多層フィルムと耐引裂き層の耐引裂き性がより高くなる。
すなわち、耐引裂き層において、前記樹脂の含有量に対する、前記ポリアミド以外の樹脂の含有量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
前記ポリアミドの含有量の割合は、通常、後述する耐引裂き層形成用組成物における、前記樹脂の含有量(質量部)に対する、前記ポリアミドの含有量(質量部)の割合、と同じである。
耐引裂き層において、前記樹脂の含有量に対する、前記ポリアミドの含有量の割合は、100質量%以下である。
前記割合は、例えば、85~100質量%、90~100質量%、及び95~100質量%のいずれかであってもよい。
耐引裂き層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。耐引裂き層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
耐引裂き層の厚さは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。耐引裂き層の厚さが前記下限値以上であることで、前記多層フィルムと耐引裂き層の耐引裂き性がより高くなる。
耐引裂き層の厚さの上限値も、特に限定されない。例えば、耐引裂き層の厚さは、これが過剰となることが避けられる点では、100μm以下であることが好ましい。
耐引裂き層の厚さは、例えば、5~100μm、及び10~100μmのいずれかであってもよい。
耐引裂き層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<ガスバリア層>
前記多層フィルムは、さらに、耐引裂き層の基材層側とは反対側の面上に、ガスバリア層(図1に示す多層フィルム1においては、ガスバリア層14)を備えていてもよい。
ガスバリア層は、前記多層フィルムにガスバリア性を付与する。
ガスバリア層は透明であることが好ましい。
ガスバリア層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
ガスバリア層が含む前記樹脂で好ましいものとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、EVOH)等のビニル基を有するモノマー(本明細書においては、「ビニル基含有モノマー」と称することがある)から誘導された構成単位を有すると見做せる樹脂(本明細書においては、「ビニル系樹脂」と称することがある);ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリメタキシリレンアジパミド(МXD6)等の芳香族ポリアミド等が挙げられる。これら樹脂は、酸素バリア性を発現する樹脂(酸素バリア層を構成する樹脂、本明細書においては「酸素バリア性樹脂」と称することがある)として好適である。
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)において、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合(本明細書においては、「エチレン含有量」と称することがある)は、20~50モル%であることが好ましく、25~45モル%であることがより好ましく、30~40モル%であることがさらに好ましい。エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量がこのような範囲であることで、前記多層フィルムのガスバリア性以外の特性が損なわれることなく、前記多層フィルムとガスバリア層のガスバリア性がより高くなる。
ガスバリア層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、ガスバリア層は、1種又は2種以上の前記酸素バリア性樹脂を含み、前記酸素バリア性樹脂以外の樹脂を含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上の前記酸素バリア性樹脂以外の樹脂を含み、前記酸素バリア性樹脂を含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上の前記酸素バリア性樹脂を含み、1種又は2種以上の前記酸素バリア性樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
ガスバリア層が含む前記樹脂は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)であることが好ましい。
ガスバリア層は、前記樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂からなる層であってもよい)し、前記樹脂と、それ以外の他の成分(換言すると非樹脂成分)と、をともに含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂と、それ以外の他の成分と、からなる層であってもよい)。
ガスバリア層が含む前記他の成分(非樹脂成分)としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、基材層が含むものとして先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
ガスバリア層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
ガスバリア層において、ガスバリア層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記多層フィルムとガスバリア層のガスバリア性がより高くなる。
すなわち、ガスバリア層において、ガスバリア層の総質量に対する、前記他の成分(非樹脂成分)の含有量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
前記樹脂の含有量の割合は、通常、後述するガスバリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
ガスバリア層において、ガスバリア層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、100質量%以下である。
前記割合は、例えば、85~100質量%、90~100質量%、及び95~100質量%のいずれかであってもよい。
ガスバリア層が前記酸素バリア性樹脂を含む場合、ガスバリア層において、前記樹脂の含有量に対する、前記酸素バリア性樹脂の含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記多層フィルムとガスバリア層の酸素バリア性がより高くなる。
すなわち、ガスバリア層において、前記樹脂の含有量に対する、前記酸素バリア性樹脂以外の樹脂の含有量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
前記酸素バリア性樹脂の含有量の割合は、通常、後述するガスバリア層形成用組成物における、前記樹脂の含有量(質量部)に対する、前記酸素バリア性樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
ガスバリア層において、前記樹脂の含有量に対する、前記酸素バリア性樹脂の含有量の割合は、100質量%以下である。
前記割合は、例えば、85~100質量%、90~100質量%、及び95~100質量%のいずれかであってもよい。
ガスバリア層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。ガスバリア層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
ガスバリア層の厚さは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましい。ガスバリア層の厚さが前記下限値以上であることで、前記多層フィルムとガスバリア層のガスバリア性がより高くなる。
ガスバリア層の厚さの上限値も、特に限定されない。例えば、ガスバリア層の厚さは、これが過剰となることが避けられる点では、60μm以下であることが好ましい。
ガスバリア層の厚さは、例えば、5~60μm、及び7~60μmのいずれかであってもよい。
ガスバリア層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<耐衝撃層>
前記多層フィルムは、さらに、ガスバリア層の耐引裂き層側とは反対側の面上に、耐衝撃層(図1に示す多層フィルム1においては、耐衝撃層15)を備えていてもよい。
耐衝撃層は、前記多層フィルムに耐衝撃性(形状保持性)を付与する。
耐衝撃層は透明であることが好ましい。
耐衝撃層は、樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
耐衝撃層が含む前記樹脂で好ましいものとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ビニル系樹脂;セルロース(セロハン、紙類も包含する)が挙げられる。これら樹脂は、耐衝撃性を発現する樹脂(本明細書においては「高耐衝撃性樹脂」と称することがある)として好適である。
耐衝撃層が含む前記ポリアミドとしては、例えば、耐引裂き層が含む前記ポリアミドと同じものが挙げられる。
耐衝撃層が含む前記ビニル系樹脂としては、例えば、ガスバリア層が含む前記ビニル系樹脂と同じものが挙げられる。
耐衝撃層が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、耐衝撃層は、1種又は2種以上の前記高耐衝撃性樹脂を含み、前記高耐衝撃性樹脂以外の樹脂を含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上の前記高耐衝撃性樹脂以外の樹脂を含み、前記高耐衝撃性樹脂を含んでいなくてもよいし、1種又は2種以上の前記高耐衝撃性樹脂を含み、1種又は2種以上の前記高耐衝撃性樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
耐衝撃層が含む前記樹脂は、ポリアミドであることが好ましい。
耐衝撃層は、前記樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂からなる層であってもよい)し、前記樹脂と、それ以外の他の成分(換言すると非樹脂成分)と、をともに含んでいてもよい(すなわち、前記樹脂と、それ以外の他の成分と、からなる層であってもよい)。
耐衝撃層が含む前記他の成分(非樹脂成分)としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、基材層が含むものとして先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
耐衝撃層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐衝撃層において、耐衝撃層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記多層フィルムと耐衝撃層の耐衝撃性がより高くなる。
すなわち、耐衝撃層において、耐衝撃層の総質量に対する、前記他の成分(非樹脂成分)の含有量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
前記樹脂の含有量の割合は、通常、後述する耐衝撃層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
耐衝撃層において、耐衝撃層の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、100質量%以下である。
前記割合は、例えば、85~100質量%、90~100質量%、及び95~100質量%のいずれかであってもよい。
耐衝撃層が前記高耐衝撃性樹脂を含む場合、耐衝撃層において、前記樹脂の含有量に対する、前記高耐衝撃性樹脂の含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記多層フィルムと耐衝撃層の耐衝撃性がより高くなる。
すなわち、耐衝撃層において、前記樹脂の含有量に対する、前記高耐衝撃性樹脂以外の樹脂の含有量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、及び5質量%以下のいずれかであってもよい。
前記高耐衝撃性樹脂の含有量の割合は、通常、後述する耐衝撃層形成用組成物における、前記樹脂の含有量(質量部)に対する、前記高耐衝撃性樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
耐衝撃層において、前記樹脂の含有量に対する、前記高耐衝撃性樹脂の含有量の割合は、100質量%以下である。
前記割合は、例えば、85~100質量%、90~100質量%、及び95~100質量%のいずれかであってもよい。
耐衝撃層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。耐衝撃層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
耐衝撃層の厚さは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。耐衝撃層の厚さが前記下限値以上であることで、前記多層フィルムと耐衝撃層の耐衝撃性がより高くなる。
耐衝撃層の厚さの上限値も、特に限定されない。例えば、耐衝撃層の厚さは、これが過剰となることが避けられる点では、300μm以下であることが好ましい。
耐衝撃層の厚さは、例えば、5~300μm、及び10~300μmのいずれかであってもよい。
耐衝撃層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
<接着層>
前記多層フィルムは、さらに、これを構成する互いに隣接する2層の間に、接着層(例えば、図1に示す多層フィルム1においては、接着層16)を備えていてもよい。
前記多層フィルムが前記接着層を備えている場合、基材層と耐引裂き層との間に、接着層を備えていることが好ましい。
接着層は透明であることが好ましい。
接着層は接着剤を含む。
接着層が含む前記接着剤は、接着対象の2層を十分な強度で接着できるものであれば、特に限定されない。
前記接着剤としては、例えば、オレフィン系樹脂(すなわち、1種又は2種以上のモノマーであるオレフィンの重合体)等の接着性樹脂が挙げられる。
接着層が含む前記オレフィン系樹脂として、より具体的には、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体等が挙げられる。
前記エチレン系共重合体とは、エチレンと、エチレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記プロピレン系共重合体とは、プロピレンと、プロピレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記ブテン系共重合体とは、ブテンと、ブテン以外のモノマーと、の共重合体である。
接着層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)、エチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層が含む前記アイオノマーとしては、例えば、シーラント層が含む前記アイオノマーと同じものが挙げられる。
接着層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層が含む前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含む接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層は、接着剤のみを含んでいてもよい(すなわち、接着剤からなる層であってもよい)し、接着剤と、それ以外の他の成分と、をともに含んでいてもよい(すなわち、接着剤と、それ以外の他の成分と、からなる層であってもよい)。
接着層が含む前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
接着層が含む前記他の樹脂成分は、接着剤以外の樹脂であれば、特に限定されない。
接着層が含む前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、基材層が含むものとして先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
接着層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層において、接着層の総質量に対する、接着剤の含有量の割合は、90質量%以上であることが好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着力がより大きくなる。
前記割合の上限値は100質量%である。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
接着層の厚さは、特に限定されないが、5~80μmであることが好ましく、10~75μmであることがより好ましく、15~70μmであることがさらに好ましい。接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着層の接着力がより大きくなる。接着層の厚さが前記上限値以下であることで、接着層が過剰な厚さとなることが抑制される。
接着層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
前記多層フィルムの厚さは、特に限定されないが、60~350μmであることが好ましく、例えば、80~320μmであってもよい。多層フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、多層フィルムの機械的強度がより高くなる。多層フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、多層フィルムの柔軟性がより高くなる。
前記多層フィルムの厚さとは、前記多層フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味し、図1に示す多層フィルム1の場合には、シーラント層11、基材層12、接着層16、耐引裂き層13、ガスバリア層14及び耐衝撃層15の合計の厚さを意味する。
前記多層フィルムは透明であることが好ましい。
前記多層フィルムのヘーズは、10%超20%以下であることが好ましく、10.1~18%であることがより好ましく、例えば、10.1~16%であってもよい。
本明細書においては、「多層フィルムのヘーズ」とは、特に断りのない限り、多層フィルムの、そのシーラント層側とは反対側(図1に示す多層フィルム1の場合には、耐衝撃層15側)の外部から測定したヘーズを意味する。
前記多層フィルムのヘーズが前記下限値以上であることで、後述する包装体において、前記多層フィルムを用いて構成された底材に対する、収納物由来の油等の成分の付着(例えば油汚れ)が目立たなくなり、収納物の視認性が良好となり、包装体としてより好ましい特性を有する。前記多層フィルムのヘーズが前記上限値以下であることで、前記多層フィルムの透明度が高くなり、後述する包装体において、前記多層フィルムを用いて構成された底材の透明度も高くなり、収納物の視認性が良好となって、包装体としてより好ましい特性を有する。
本明細書において、「ヘーズ」とは、JIS K 7136:2000に準拠して測定されたものを意味する。
<<多層フィルムの製造方法>>
前記多層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、前記多層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
前記多層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
基材層(図1に示す多層フィルム1においては、基材層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「基材層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、融点が120℃以上のポリエチレンと、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
シーラント層(図1に示す多層フィルム1においては、シーラント層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「シーラント層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂と、ポリエチレン系樹脂と、必要に応じてこれら以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
耐引裂き層(図1に示す多層フィルム1においては、耐引裂き層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「耐引裂き層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられ、前記ポリアミドと、必要に応じて前記他の成分と、を含有するものが好ましい。前記他の成分は、先に説明した成分である。
ガスバリア層(図1に示す多層フィルム1においては、ガスバリア層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「ガスバリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられ、前記酸素バリア性樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含有するものが好ましい。前記他の成分は、先に説明した成分である。
耐衝撃層(図1に示す多層フィルム1においては、耐衝撃層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「耐衝撃層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられ、前記高耐衝撃性樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含有するものが好ましい。前記他の成分は、先に説明した成分である。
接着層(例えば、図1に示す多層フィルム1においては、接着層16)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記接着剤と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
<<包装体>>
前記多層フィルムは、包装体の構成材料として好適であり、特に、ガス置換包装体又は真空包装体の底材として好適である。
前記ガス置換包装体は、包装対象物(換言すると収納物)を収納するための収納部を備えた底材を用い、その前記収納部に収納物を収納するとともに、前記収納部に不活性ガスを充填し、この状態のまま、前記底材を蓋材とシール(封止)することにより得られた包装体である。
前記真空包装体は、前記底材を用い、その前記収納部に収納物を収納するとともに、前記収納部を真空脱気し、この状態のまま、前記底材を蓋材とシール(封止)することにより得られた包装体である。
すなわち、本実施形態の包装体としては、前記多層フィルムを備えたものが挙げられる。
本実施形態の包装体で好ましいものとしては、例えば、蓋材及び底材を備え、前記底材が、前記多層フィルムを用いたものであり、前記多層フィルム中の前記シーラント層が、前記蓋材側に配置されている包装体が挙げられる。
図2は、本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体101は、蓋材8と、底材10と、を備えている。
底材10は、図1に示す多層フィルム1を用いて、構成されている。底材10としては、例えば、多層フィルム1の深絞り成形体が挙げられる。すなわち、包装体101は、深絞り包装体であってもよい。
蓋材8は、例えば、多層フィルム1をはじめとする、本実施形態の多層フィルムに該当しない、他の多層フィルムを用いて、構成されている。
なお、図2中の底材10においては、これを構成している多層フィルム1中の各層の区別を省略している。
底材10には、凹部100が形成されている。
底材10の凹部100を除く領域の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bと、蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)8bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。すなわち、包装体101において、多層フィルム1(換言すると底材10)中のシーラント層11は、蓋材8側に配置されている。
そして、包装体101は、蓋材8及び底材10のシールによって構成されている。より具体的には、底材10の凹部100を除く領域の第2面10bと、蓋材8の第2面8bは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材10の凹部100の領域において、底材10の第2面10bと、蓋材8の第2面8bと、の間に、収納部101aが形成されている。そして、この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
底材10の第2面10bは、多層フィルム1中のシーラント層11の前記他方の面11bと同じである。そして、底材10の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10aは、多層フィルム1中の耐衝撃層15の前記一方の面15aと同じである。
蓋材8は、包装体101の用途に応じて、適宜選択できる。
蓋材8としては、通常の包装体(例えば、深絞り包装体)で使用可能な単層又は多層の樹脂フィルムからなるものが挙げられる。
蓋材8は、透明であることが好ましい。
蓋材8の厚さは、例えば、30~150μmであってもよい。
図2においては、包装体101の収納部101a内において、収納物9と底材10との間、並びに、収納物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体101において、必須ではない。
底材10のその平坦部における厚さは、先に説明した多層フィルム1の厚さと同様であってもよい。
収納部101aに不活性ガスが充填されて構成された包装体101は、ガス置換包装体である。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス等が挙げられる。
収納部101aが真空脱気されて構成された包装体101は、真空包装体である。
ここまでは、包装体として、図1に示す多層フィルム1を用いて得られた蓋材を備えたものについて、説明したが、包装体中の蓋材は、上述の本実施形態の多層フィルムを用いて得られたものであれば、特に限定されない。
本実施形態の包装体においては、蓋材及び底材間の剥離強度(図2に示す包装体101においては、蓋材8及び底材10間の剥離強度)が、5~15N/15mmであることが好ましい。前記剥離強度が前記下限値以上であることで、包装体での蓋材及び底材間の目的外の剥離が抑制され、収納物が包装されている状態を、より安定して維持できる。前記剥離強度が前記上限値以下であることで、包装体での蓋材及び底材間の目的とする剥離が、より容易となり、イージーピール性が向上する。
本明細書においては、包装体中の蓋材及び底材間の剥離強度は、特に断りのない限り、JIS Z 0238:1998に準拠して測定して得られた測定値を意味する。
同一の蓋材及び底材を用いて、同一の方法で製造した本実施形態の包装体を複数枚(例えば、25~35枚)用い、1枚ごとに蓋材及び底材間の剥離強度を測定し、剥離強度の最大値と最小値との差を求めたとき、前記差を、7N/15mm以下(0~7N/15mm)とすることが可能である。本実施形態の包装体は、前記多層フィルムを用いていることで、底材がPET等の剛性が高い樹脂を含んでいなくても、蓋材及び底材間の剥離強度のばらつきが抑制され、イージーピール性が安定している。
本実施形態の包装体の作製前後における、前記多層フィルム(底材)中の前記シーラント層の厚さの変動割合は、前記蓋材及び底材間の剥離強度のばらつきの程度の指標となる。より具体的には、例えば、以下のとおりである。
直鎖状低密度ポリエチレン層(例えば、厚さ40μm)をシーラント層とする積層フィルムを用い、前記積層フィルム中の前記シーラント層と、前記多層フィルム中の前記シーラント層と、をシール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールし、シール体を作製する。
次いで、この加熱シール後(前記シール体の作製後)の前記多層フィルム中の前記シーラント層の厚さの最小値及び最大値を求める。
次いで、下記式により、加熱シール前(前記シール体の作製前)の多層フィルム中のシーラント層の厚さに対する、加熱シール後の多層フィルム中のシーラント層の厚さの割合(本明細書においては、「シーラント層の厚さの変動割合」と称することがある)を算出する。
[シーラント層の厚さの変動割合(%)]=[加熱シール後のシーラント層の厚さ(μm)]/[加熱シール前のシーラント層の厚さ(μm)]×100
このとき、加熱シール後の多層フィルム中のシーラント層の厚さの値として、前記最小値及び最大値を用い、前記変動割合(シーラント層の厚さの変動割合)の最小値及び最大値を求める。より具体的には、前記変動割合の最小値及び最大値を、下記式により求める。
[シーラント層の厚さの変動割合の最小値(%)]=[加熱シール後のシーラント層の厚さの最小値(μm)]/[加熱シール前のシーラント層の厚さ(μm)]×100
[シーラント層の厚さの変動割合の最大値(%)]=[加熱シール後のシーラント層の厚さの最大値(μm)]/[加熱シール前のシーラント層の厚さ(μm)]×100
このようにして得られた、シーラント層の厚さの変動割合の最小値及び最大値を、前記蓋材及び底材間の剥離強度のばらつきの程度の指標として、採用できる。
本実施形態においては、前記シーラント層の厚さの変動割合の最小値が、60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、例えば、70%以上であってもよい。前記変動割合の最小値が前記下限値以上である前記包装体においては、蓋材及び底材間の剥離強度のばらつきが、高度に抑制されており、開封もより容易である。
一方、前記変動割合の最大値は、140%以下であることが好ましく、135%以下であることがより好ましく、130%以下であることがさらに好ましい。前記変動割合の最大値が前記上限値以下である前記包装体においては、蓋材及び底材間の剥離強度のばらつきが、高度に抑制されており、開封もより容易である。
本実施形態においては、例えば、前記変動割合の最小値が60%以上であり、前記変動割合の最大値が140%以下であってもよいし、前記変動割合の最小値が65%以上であり、前記変動割合の最大値が135%以下であってもよいし、前記変動割合の最小値が70%以上であり、前記変動割合の最大値が130%以下であってもよい。
同一の蓋材及び底材を用いて、同一の方法で製造した本実施形態の包装体を複数枚(例えば、25~35枚)用い、1枚ごとに前記シーラント層の厚さの変動割合を算出し、1枚ごとに前記変動割合の最大値と最小値との差を求めたとき、前記差を、48%以下(0~48%)とすることが可能である。本実施形態の包装体においては、蓋材及び底材間の剥離強度のばらつきが抑制されるため、前記差も低水準に抑制される。
<<包装体の製造方法>>
本実施形態の包装体は、例えば、前記多層フィルムを成形することにより、凹部を有する底材を作製し、包装対象の収納物を前記底材中の前記凹部内に収納した状態で、前記蓋材と前記底材とを、前記収納部を形成するように重ね合わせ、前記凹部内に不活性ガスを充填しながら、又は前記凹部内を減圧(真空脱気)しながら、前記蓋材と前記底材とを加熱シールすることにより、製造できる。
前記多層フィルムの成形時における加熱温度(成形温度)は、80~130℃であることが好ましい。
前記多層フィルムの成形時における加熱時間及び成形時間は、1~3秒であることが好ましい。
前記加熱シール時の加熱温度(シール温度)は、130~160℃であることが好ましい。
前記加熱シール時の圧力(シール圧力)は、0.2~0.6MPaであることが好ましい。
前記加熱シール時の加熱時間(シール時間)は、1~3秒であることが好ましい。
前記ガス置換包装体の製造時に、前記収納部(凹部内)に充填する不活性ガスは、先に説明したとおりである。
前記真空包装体の製造時において、減圧(真空脱気)後の前記収納部(凹部内)の圧力は、3×10Pa(30mbar)以下であることが好ましい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<<多層フィルムの製造>>
シーラント層を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「UBEポリエチレン(登録商標)F324C」、密度0.924g/cm、融点112℃、本明細書においては、このLDPEを「LDPE(1)」と称することがある)、ホモポリプロピレン(hPP)(プライムポリマー社製「プライムポリプロY400GP」、密度0.905g/cm、融点158℃)、及びポリエチレン系防曇マスターバッチ(竹本油脂社製「エレカットマスターL117A」)を用意した。前記ポリエチレン系防曇マスターバッチは、ベース樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)(密度0.923g/cm、融点111℃、本明細書においては、このLDPEを「LDPE(2)」と称することがある)を含み、さらに防曇剤を含む。
基材層を構成する樹脂として、高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマー社製「ハイゼックス3300F」、密度0.950g/cm、融点130℃、本明細書においては、このHDPEを「HDPE(1)」と称することがある)を用意した。
接着層を構成する樹脂として、酸変性ポリエチレン(酸変性PE、接着性樹脂、三井化学社製「アドマー(登録商標)NF536」、密度0.905g/cm、融点120℃)を用意した。
耐引裂き層及び耐衝撃層を構成する樹脂として、ナイロン(Ny)(宇部興産社製「宇部ナイロン1030B2」、密度1.14g/cm、融点225℃)を用意した。
ガスバリア層を構成する樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)(クラレ社製「エバール(登録商標)J171B」、エチレン含有量32モル%、密度:1.18g/cm、融点183℃)を用意した。
前記LDPE(1)と、前記hPPと、前記ポリエチレン系防曇マスターバッチと、を混合することにより、シーラント層形成用組成物を製造した。前記シーラント層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記LDPE(1)の含有量の割合は76質量%であり、前記hPPの含有量の割合は15質量%であり、前記LDPE(2)の含有量の割合は8質量%であり、前記防曇剤の含有量の割合は1質量%であった。
以下に示す手順により、図1に示す構成の多層フィルムを製造した。
すなわち、前記シーラント層形成用組成物と、前記HDPE(1)と、前記酸変性PEと、前記Nyと、前記EVOHと、前記Nyとを、この順で共押出しすることにより、シーラント層(厚さ14μm)と、基材層(厚さ52μm)と、接着層(厚さ44μm)と、耐引裂き層(厚さ42μm)と、ガスバリア層(厚さ16μm)と、耐衝撃層(厚さ32μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された多層フィルム(厚さ200μm)を得た。
<<多層フィルムの評価>>
<基材層が含むポリエチレンの190℃におけるメルトフローレートの測定>
JIS K 7210に準拠して、前記HDPE(1)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)を測定した。結果を表1中の「MFR(190℃)」の欄に示す。
<多層フィルムのヘーズの測定>
上記で得られた多層フィルムについて、JIS K 7136:2000に準拠して、その耐衝撃層側の外部からヘーズを測定した。結果を表1に示す。
<<包装体の製造>>
<蓋材の製造>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製「ウルトゼックス2022L」)を用いて、Tダイ押出法により、LLDPEフィルム(厚さ40μm)を作製した。
2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム、厚さ20μm)と、アルミ蒸着を施した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(VM-PETフィルム、厚さ12μm)と、上記で得られたLLDPEフィルム(厚さ40μm)と、をドライラミネート法で貼り合わせることにより、蓋材用の積層フィルムを作製した。
<底材の製造>
深絞り成形機(ムルチバック社製「R-535」)を用い、加熱温度100℃、加熱時間2秒、成形時間2秒の条件で、上記で得られた多層フィルムを深絞り成形し、凹部を形成することにより、包装体用の底材を作製した。得られた底材は、大きさが120mm×150mmであり、凹部の深さが30mmであった。
<包装体の製造>
上記で得られた底材の凹部内に、食肉加工品(ソーセージ200g)を配置し、上記で得られた蓋材(積層フィルム)のLLDPE層と、前記底材(多層フィルム)のシーラント層と、を対向させて、前記蓋材と前記底材の間で前記食肉加工品を挟み、前記蓋材及び底材によって形成された収納部の内部を、温度150℃、時間2秒の条件で真空脱気した。次いで、前記蓋材及び底材の周縁部を、シール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールすることにより、包装体(真空包装体、深絞り包装体)を製造した。最終的に、前記収納部(凹部内)の圧力は、1.5×10Pa(15mbar)とした。
<<包装体の評価>>
<底材中のシーラント層の厚さの変動割合の算出>
上記で得られた30枚の包装体において、偏光顕微鏡を用いて、底材中のシーラント層の厚さを測定し、包装体1枚ごとにその最小値及び最大値を求めた。そして、先に説明した式により、包装体1枚ごとにシーラント層の厚さの変動割合を算出し、その最小値及び最大値を求めた。なお、本実施例では、前記式において、「加熱シール前のシーラント層の厚さ」は14μmである。このときの30枚の包装体での算出値の範囲を表1に示す。本実施例では、前記変動割合の最も小さい最小値が80%であり、前記変動割合の最も大きい最大値が120%であった。
<シール部の剥離強度の測定>
JIS Z 0238:1998に準拠して、上記で得られた30枚の包装体のシール部の剥離強度(蓋材及び底材間の剥離強度、N/15mm)を測定した。このときの測定値の範囲を表1に示す。
<収納物の視認性の評価>
上記のシール部の剥離強度の測定時とは別途に、上記で得られた10枚の包装体を用いて、10名のモニターが1名ずつ、1枚の包装体において、目視によって、底材側から収納部内の収納物(食肉加工品)を観察した。そして、このときの収納物の視認性について、良い又は悪い、の二者択一で判定を行い、その判定結果から、下記基準に従って、収納物の視認性を評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:6~10名のモニターが、視認性が良いと判定した。
B:6~10名のモニターが、視認性が悪いと判定した。
<蓋材の剥離感の評価>
上記の収納物の視認性の評価後に、引き続き、10名のモニターが1名ずつ、1枚の包装体において蓋材を剥離させた。そして、このときの堅さについて、適度である又は堅い、の二者択一で判定を行い、その判定結果から、下記基準に従って、剥離感を評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:6~10名のモニターが、剥離時の堅さが適度であると判定した。
B:6~10名のモニターが、剥離時の堅さが堅いと判定した。
<<多層フィルムの製造及び評価、並びに包装体の製造及び評価>>
[実施例2]
基材層を構成する樹脂として、HDPE(1)に代えて、高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマー社製「ハイゼックス2100J」、密度0.952g/cm、融点129℃、本明細書においては、このHDPEを「HDPE(2)」と称することがある)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、多層フィルムを製造及び評価し、包装体を製造及び評価した。結果を表1に示す。
[実施例3~5]
多層フィルム製造時の共押出しの条件を変更することにより、各層の厚さを表1に示すとおりとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、多層フィルムを製造及び評価し、包装体を製造及び評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
基材層を構成する樹脂として、HDPE(1)に代えて、高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマー社製「ハイゼックス7000F」、密度0.951g/cm、融点129℃、本明細書においては、このHDPEを「HDPE(3)」と称することがある)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、多層フィルムを製造及び評価し、包装体を製造及び評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
基材層を構成する樹脂として、HDPE(1)に代えて、高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマー社製「ハイゼックス2100JH」、密度0.951g/cm、融点129℃、本明細書においては、このHDPEを「HDPE(4)」と称することがある)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、多層フィルムを製造及び評価し、包装体を製造及び評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
基材層を構成する樹脂として、HDPE(1)に代えて、低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「F222NH」、密度0.922g/cm、融点110℃、本明細書においては、このLDPEを「LDPE(3)」と称することがある)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、多層フィルムを製造及び評価し、包装体を製造及び評価した。結果を表2に示す。
Figure 2022191838000002
Figure 2022191838000003
上記結果から明らかなように、実施例1~5においては、各実施例ごとに、包装体のシール部の剥離強度の差が4~6N/15mmの範囲に収まっており、剥離強度のばらつきが抑制されていた。また、実施例全体で、包装体のシール部の剥離強度が5~14N/15mmであり、適度な範囲に収まっていた。このように、実施例1~5においては、底材がPET等の剛性が高い樹脂を含んでいなくても、真空包装体の開封時に、剥離強度のばらつきが抑制されていた。
実施例1~5においては、各実施例ごとに、シーラント層の厚さの変動割合の差が40~45%の範囲に収まっており、ばらつきが抑制されていた。また、実施例全体で、シーラント層の厚さの変動割合が65~130%であり(前記変動割合の最小値が65%以上であり、前記変動割合の最大値が130%以下であり)、適度な範囲に収まっていた。これは、上記のように、剥離強度のばらつきが抑制されていることと整合していた。
さらに、実施例1~5においては、蓋材の剥離時の堅さが適度であり、蓋材の剥離感が良好であった。
さらに、実施例1~5においては、多層フィルムのヘーズが10.5~14.4%であり、適度な範囲に収まっており、その結果を反映して、包装体の収納物の視認性が良好であった。
実施例1~5においては、基材層が含むポリエチレンの融点が129~130℃であり、基材層において、基材層の総質量に対する、ポリエチレンの含有量の割合が、100質量%であり、ポリエチレンの190℃におけるMFRが、1.1~5.7g/10minであった。
また、実施例1~5のシーラント層において、シーラント層の総質量に対する、ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合が、15質量%であった。
また、実施例1~5においては、ポリエチレンの密度が0.950~0.952g/cmであり、基材層の厚さが26~78μmであり、[基材層の厚さ]:[シーラント層の厚さ]の比が、79:21であり、多層フィルムの厚さが100~300μmであった。
これに対して、比較例1においては、多層フィルムのヘーズが20.4%であり、底材が白濁しており、収納物の視認性が悪く、包装体として不適切であった。
比較例1においては、基材層が含むポリエチレンの、190℃におけるMFRが、0.041g/10minであり、小さ過ぎた。
比較例2においては、包装体のシール部の剥離強度が9~18N/15mmであり、局所的に高くなっており、剥離強度の差が9N/15mmと大きくなっていた。また、シーラント層の厚さの変動割合は95~145%であり、変動割合の差が50%であって、いずれも大きくなっていた。そして、蓋材の剥離時の堅さが堅く、蓋材の剥離感が悪かった。
さらに、比較例2においては、多層フィルムのヘーズが9.8%であり、小さ過ぎたために、底材において、収納物由来の油の付着(油汚れ)が目立ち、収納物の視認性が悪く、包装体として不適切であった。
比較例2においては、基材層が含むポリエチレンの、190℃におけるMFRが、9.1g/10minであり、大き過ぎた。
比較例3も比較例2と同様の傾向であった。すなわち、比較例3においては、包装体のシール部の剥離強度が9~20N/15mmであり、局所的に高くなっており、剥離強度の差が11N/15mmと大きくなっていた。また、シーラント層の厚さの変動割合は95~150%であり、変動割合の差が55%であって、いずれも大きくなっていた。そして、蓋材の剥離時の堅さが堅く、蓋材の剥離感が悪かった。
そして、比較例3においては、多層フィルムのヘーズが8.2%であり、小さ過ぎたために、底材において、収納物由来の油の付着(油汚れ)が目立ち、収納物の視認性が悪く、包装体として不適切であった。
比較例3においては、基材層が含むポリエチレンの融点が110℃であり、低かった。
本発明は、開封の際に安定したイージーピール性を発現するガス置換包装体又は真空包装体として、利用可能である。
1・・・多層フィルム
11・・・シーラント層、11a・・・シーラント層の一方の面
12・・・基材層
13・・・耐引裂き層
14・・・ガスバリア層
15・・・耐衝撃層
16・・・接着層
101・・・包装体
8・・・蓋材
9・・・収納物
10・・・底材

Claims (9)

  1. 多層フィルムであって、
    前記多層フィルムは、シーラント層と、前記シーラント層の一方の面上に設けられた基材層と、を備え、前記基材層は、前記シーラント層に直接接触しており、
    前記基材層が、融点が120℃以上のポリエチレンを含み、前記基材層において、前記基材層の総質量に対する、前記ポリエチレンの含有量の割合が、50質量%以上であり、
    JIS K 7210に準拠して測定された、前記ポリエチレンの190℃におけるメルトフローレートが、0.5~7g/10minであり、
    前記シーラント層が、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含み、前記シーラント層において、前記シーラント層の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合が、5~40質量%である、多層フィルム。
  2. 前記ポリエチレンの密度が0.925~0.970g/cmである、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記基材層の厚さが5~125μmである、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. [前記基材層の厚さ]:[前記シーラント層の厚さ]の比が、80:20~20:80である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 前記多層フィルムの厚さが60~350μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 前記多層フィルムのヘーズが、10%超20%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  7. 直鎖状低密度ポリエチレン層をシーラント層とする積層フィルムを用い、前記積層フィルム中の前記シーラント層と、前記多層フィルム中の前記シーラント層と、をシール温度150℃、シール時間2秒、シール圧力0.5MPaの条件で加熱シールし、前記加熱シール後の前記多層フィルム中の前記シーラント層の厚さの最小値及び最大値を求め、前記最小値及び最大値を用いて、前記加熱シール前の前記多層フィルム中の前記シーラント層の厚さに対する、前記加熱シール後の前記多層フィルム中の前記シーラント層の厚さの割合の最小値及び最大値を求めたとき、前記割合の最小値が60%以上であり、前記割合の最大値が140%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  8. 蓋材及び底材を備え、
    前記底材が、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層フィルムを用いたものであり、
    前記多層フィルム中の前記シーラント層が、前記蓋材側に配置されている、包装体。
  9. 前記蓋材及び底材間の剥離強度が、5~15N/15mmである、請求項8に記載の包装体。
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