JP6981508B2 - 透明多層フィルム及び包装体 - Google Patents

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本発明は、透明多層フィルム及び包装体に関する。
食品用の包装体のうち、電子レンジでの加熱調理用として使用される包装体には、例えば、トレーが蓋材によってシールされて構成されたもの(トレーを備えた包装体)、深絞り成形されている底材が蓋材によってシールされて構成されたもの(深絞り包装体)、等が知られている。前記トレー、底材及び蓋材としては、いずれも樹脂製のものが使用可能である。
食品用の包装体の中でも、蓋材が透明なものは、包装された食品を包装体の外部から蓋材を介して視認できるため、需要が多い。
一方、蓋材を構成するフィルムに対しては、トレー又は底材に対するイージーピール性、酸素や水蒸気の透過を抑制するバリア性、耐ピンホール性等を有することが求められる。
そこで、通常は、蓋材を構成するフィルムとして、透明多層フィルムが利用される。
上述のトレーを備えた包装体によって、食品を包装する場合には、典型的には、食品を載置した状態のトレーと、長尺の蓋材とを、トレーごとに順次加熱シールし、加熱シール後に直ちに、トレーごとに蓋材を切断する包装方法が採用される。
これに対して、上述の深絞り包装体によって、食品を包装する場合には、典型的には、収納部を形成するめの凹部が長手方向に配列されている長尺の底材と、長尺の蓋材とを用い、これらを、食品を収納しつつ、これらの長手方向において順次加熱シールし、すべての加熱シールの終了後に、形成した収納部ごとに、蓋材及び底材を切断する包装方法が採用される。
上記のいずれの包装方法でも、トレー又は底材と、蓋材と、の加熱シールは、蓋材に特定値以上の張力を加えながら、さらに、収納部を形成する領域に、食品と不活性ガスを充填しながら行う。
このとき、トレーを備えた包装体の場合には、長尺の蓋材は、その加熱シール後に直ちに切断するため、加熱シールされた蓋材に張力が加わり続けることがない。
これに対して、深絞り包装体の場合には、蓋材及び底材の切断は、個々の加熱シールの終了後(換言すると、個々の収納部の形成後)直ちに行われる訳ではなく、すべての加熱シールが終了した後に行われるため、この切断までの間に、加熱シールされた長尺の蓋材には、張力が加わり続ける。すると、この間、食品の収納部において、不活性ガスが充填されているために内圧が高くなっているのに加え、上記のように蓋材には張力が加わっているために、加熱シールされた蓋材は、底材から剥がれ易い状態となっている。そのため、蓋材と底材との間でシールが維持されている部位の面積が小さくなったり、最悪の場合には、蓋材と底材との間に隙間が生じてしまう。特に、底材の周縁部のうち、最終的に角部となる領域においては、蓋材が底材から剥がれ易い。
このような加熱シール時での、蓋材のトレー又は底材からの剥がれ難さ(剥がれ易さ)の度合いは、蓋材とトレー又は底材との間のホットタック強度(Hot tack strength)を指標とすることで、判断できる可能性がある。
ホットタック強度は、例えば、自動充填包装機を用いて目的物を充填包装する場合の、充填適性を評価する際の指標として利用できることが開示されている(特許文献1参照)。
特開2004−177269号公報
しかし、特許文献1には、上述のように深絞り包装体を製造するときの、蓋材の底材からの剥がれを抑制する具体的な手段については、開示されていない。
本発明は、蓋材と底材を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、底材からの剥がれを抑制できる蓋材として使用可能なフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].少なくともイージーピール層を備えた透明多層フィルムであって、前記イージーピール層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、幅が25.4mm、厚さが6μmである前記イージーピール層の試験片と、厚さが440μmであるポリプロピレン製フィルムとを、シール温度170℃で加熱シールした場合のホットタック強度をS170とし、シール温度160℃で加熱シールした場合のホットタック強度をS160としたとき、S170/S160≧0.7の関係を満たす、透明多層フィルム。
[2].前記イージーピール層が、前記ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体のいずれか一方又は両方を含有し、さらに、下記一般式(i)−1及び(i)−2:
Figure 0006981508
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であり、ただし、R及びRが互いに同じとなることはない。)
で表される構成単位を有する(ただし、前記一般式(i)−1で表される構成単位の数が、前記一般式(i)−2で表される構成単位の数よりも多い)ポリオレフィン系共重合体を含有するか、又は、前記ポリオレフィン系共重合体及びポリエチレンを含有しており、前記イージーピール層における、前記イージーピール層の総質量に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量の割合が、55質量%以上である、[1]に記載の透明多層フィルム。
[3].JIS K 7136:2000に準拠して測定された、前記透明多層フィルムのヘーズが、14%以下である、[1]又は[2]に記載の透明多層フィルム。
[4].前記透明多層フィルムが、さらに、水蒸気バリア層を備えている、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[5].前記透明多層フィルムが、さらに、中間層を備えている、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[6].前記透明多層フィルムが、さらに、酸素バリア層を備えている、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[7].前記水蒸気バリア層と前記中間層が、前記イージーピール層と、前記酸素バリア層と、の間に配置されている、[6]に記載の透明多層フィルム。
[8].前記水蒸気バリア層が、前記イージーピール層に隣接して配置されている、[4]〜[7]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[9].前記透明多層フィルムが、前記酸素バリア層の前記中間層側とは反対側に、さらに、ポリアミド又はポリエステルを含有する外層を備えている、[7]又は[8]に記載の透明多層フィルム。
[10].前記外層が、前記ポリアミド又はポリエステルとして、バイオマス由来のポリアミド又はバイオマス由来のポリエステルを含有する、[9]に記載の透明多層フィルム。
[11].JIS C 2139−3−1:2018に準拠して測定された、前記イージーピール層の表面抵抗率が、1×10〜1×1014Ω/□である、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[12].前記イージーピール層が防曇剤を含有する、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[13].前記中間層がポリアミドを含有する、[5]〜[12]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[14].前記中間層が、前記ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドを含有する、[13]に記載の透明多層フィルム。
[15].前記水蒸気バリア層がポリプロピレンを含有する、[4]〜[14]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[16].前記水蒸気バリア層が結晶化核剤を含有する、[4]〜[15]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[17].前記水蒸気バリア層の溶融張力が0.2g以上である、[4]〜[16]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[18].前記水蒸気バリア層が、1種のポリプロピレンを含有するか、又は、溶融張力が異なる2種以上のポリプロピレンを含有する、[4]〜[17]のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
[19].[1]〜[18]のいずれか一項に記載の透明多層フィルムを備えた、包装体。
本発明によれば、蓋材と底材を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、底材からの剥がれを抑制できる蓋材として使用可能なフィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<透明多層フィルム>>
本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムは、少なくともイージーピール層を備えた透明多層フィルムであって、前記イージーピール層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、幅が25.4mm、厚さが6μmである前記イージーピール層の試験片と、厚さが440μmであるポリプロピレン製フィルム(本明細書においては、「試験用PPフィルム」と略記することがある)とを、シール温度170℃で加熱シールした場合のホットタック強度をS170とし、シール温度160℃で加熱シールした場合のホットタック強度をS160としたとき、S170/S160≧0.7の関係を満たす。
本実施形態の透明多層フィルムは、その全体が透明性を有する。
ホットタック強度とは、加熱シール直後に、シール部分の樹脂成分が溶融状態にあるときの、シール部分の剥離強度であり、市販品のホットタック強度測定器を用いて、測定できる。ホットタック強度の測定方法は、後ほど詳しく説明する。
本実施形態の透明多層フィルムは、深絞り包装体を構成する蓋材として使用可能である。
深絞り包装体とは、収納部を構成する凹部が設けられた樹脂製の底材と、蓋材と、が加熱シール等によって接合されて、構成された包装体である。
本実施形態の透明多層フィルムは、上述のS170/S160≧0.7の関係を満たすことにより、深絞り包装体を構成する蓋材として使用し、この蓋材と底材を加熱シールすることによって深絞り包装体を製造するときに、蓋材の底材からの剥がれを抑制できる。
本明細書においては、特に断りのない限り、「蓋材の底材からの剥がれ」とは、「深絞り包装体を製造するときの、蓋材の底材からの剥がれ」を意味する。
本実施形態の透明多層フィルムは、加熱シールによって製造される包装体であれば、深絞り包装体以外の包装体の製造にも使用できる。すなわち、本実施形態の透明多層フィルムの用途は、深絞り包装体に限定されない。例えば、本実施形態の透明多層フィルムを蓋材として使用し、この蓋材とトレーを加熱シールすることによって、包装体(トレーを備えた包装体)を製造することもできる。
これら深絞り包装体、トレーを備えた包装体等は、食品用の包装体のうち、電子レンジでの加熱調理用として好適である。
170及びS160の測定対象である前記試験片は、前記透明多層フィルム中の前記イージーピール層自体、又は、前記透明多層フィルム中の前記イージーピール層と同じ組成を有し、かつ別途作製された試験用のイージーピール層を用いて、幅が25.4mm、厚さが6μmに調節されたものである。
170は、前記イージーピール層の試験片と、試験用PPフィルムとを、シール温度170℃で加熱シールした場合に測定される剥離強度(N/25.4mm)であり、公知の方法で測定できる。
このとき、イージーピール層の試験片の一方の面の全面を、試験用PPフィルムの一方の面と重ね合わせて、この状態でこれらを加熱シールする。
170の測定時には、イージーピール層の試験片と、試験用PPフィルムと、の加熱シール時において、シール圧力は0.473N/mmとすることができ、シール時間は1.0sec.とすることができる。
加熱シールが終了してから剥離強度(S170)を測定するまでの時間は、500msec.とすることができる。
剥離強度(S170)は、加熱シール後に、イージーピール層の試験片を、試験用PPフィルムから剥離することによって、測定できる。このときの引張速度は、33.3mm/sec.とすることができ、剥離時の、イージーピール層の試験片と、試験用PPフィルムと、の為す角度(剥離角度)を90°とすることができる。
試験用PPフィルムは、その厚さが440μmであり、上記のようなイージーピール層の試験片の重ね合わせと、イージーピール層の試験片の剥離と、が可能であれば、その大きさは特に限定されない。
160は、前記イージーピール層の試験片と、試験用PPフィルムとを、シール温度160℃で加熱シールした場合に測定される剥離強度(N/25.4mm)である。
160は、加熱シール温度を170℃に代えて160℃とする点を除けば、S170の場合と同じ方法で測定できる。
本実施形態において、S170/S160(本明細書においては、「ホットタック強度比」と称することがある)は、0.7以上であり、0.75以上であることが好ましく、例えば、0.8以上であってもよい。S170/S160が大きいほど、蓋材の底材からの剥がれの抑制効果が高くなる傾向にある。
170/S160の上限値は、特に限定されない。
例えば、透明多層フィルムの他の特性がより良好となる点では、S170/S160は、0.99以下であってもよい。
170/S160は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、S170/S160は、0.7〜0.99、0.75〜0.99、及び0.8〜0.99のいずれかであってもよい。ただし、これらは、S170/S160の一例である。
170は、上述のS170/S160の関係を満たす限り、特に限定されない。
170は、4.3N/25.4mm以上であることが好ましく、7.3N/25.4mm以下であることが好ましく、例えば、4.3〜7.3N/25.4mmであってもよい。
160は、上述のS170/S160の関係を満たす限り、特に限定されない。
160は、4.5N/25.4mm以上であることが好ましく、7.5N/25.4mm以下であることが好ましく、例えば、4.5〜7.5N/25.4mmであってもよい。
本実施形態の透明多層フィルムは、少なくとも前記イージーピール層を備えていればよく、通常は、前記イージーピール層と、それ以外の層を1種又は2種以上備えるが、前記イージーピール層以外の層は、任意の層である。本実施形態の透明多層フィルムは、これら任意の層を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。透明多層フィルムが備える前記任意の層は、目的に応じて適宜選択できる。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、水蒸気の透過を抑制するための水蒸気バリア層を備えていてもよい。水蒸気バリア層を備えた透明多層フィルムは、水蒸気バリア層に優れる。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、酸素の透過を抑制するための酸素バリア層を備えていてもよい。酸素バリア層を備えた透明多層フィルムは、酸素バリア層に優れる。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、中間層を備えていてもよい。中間層としては、例えば、透明多層フィルムに成形加工性を付与したり、透明多層フィルムにおいてピンホールの発生を抑制するための層が挙げられ、透明多層フィルムにおいては、最表層とはならないように配置される。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、外層を備えていてもよい。外層としては、例えば、透明多層フィルムを構成する他の層を保護するための層、透明多層フィルムに新たな特性を付与するための層が挙げられる。外層は、透明多層フィルムにおいては、イージーピール層とは反対側の最表層となるように配置される。
例えば、前記透明多層フィルムは、前記イージーピール層以外に、さらに、透明多層フィルムを構成する2層を接着するための接着層を備えていてもよい。接着層を備えた透明多層フィルムは、その多層構造がより安定化する。接着層は、透明多層フィルムにおいては、最表層とはならないように配置される。
本実施形態の透明多層フィルムは、前記イージーピール層を備え、さらに、前記水蒸気バリア層、酸素バリア層、中間層、外層及び接着層からなる群より選択される1種又は2種以上を備えていることが好ましく、前記イージーピール層、水蒸気バリア層、酸素バリア層、中間層、外層及び接着層をすべて備えていてもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態の透明多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す透明多層フィルム1は、イージーピール層11と、水蒸気バリア層12と、中間層13と、酸素バリア層14と、外層15と、が積層されて構成されている。
透明多層フィルム1において、水蒸気バリア層12と中間層13は、イージーピール層11と、酸素バリア層14と、の間に配置されている。また、水蒸気バリア層12は、イージーピール層11に隣接して配置されている。
さらに、透明多層フィルム1は、酸素バリア層14の中間層13側とは反対側に、外層15を備えている。
さらに、透明多層フィルム1は、水蒸気バリア層12と、中間層13と、の間に、接着層19を備えている。
すなわち、透明多層フィルム1は、イージーピール層11、水蒸気バリア層12、接着層19、中間層13、酸素バリア層14及び外層15がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
<イージーピール層>
イージーピール層11は、透明多層フィルム1において、一方の最表層であり、透明多層フィルム1を構成する各層の積層方向において、一方の最も外側に配置されている。
透明多層フィルム1を、その中のイージーピール層11によって、他のフィルム又はシートとシールすることにより、包装体を構成できる。イージーピール層11の、水蒸気バリア層12側とは反対側の面(本明細書においては「第1面」と称することがある)11aは、透明多層フィルム1においては露出面であり、他のフィルム又はシートとシールするためのシール面となる。
イージーピール層11は、透明性を有する。
イージーピール層11は、ポリプロピレン系樹脂を含有する。
イージーピール層11が含有する前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンから誘導された構成単位を有する樹脂であれば、特に限定されない。
イージーピール層11が含有する、前記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体(すなわちホモポリプロピレン、本明細書においては、「hPP」と称することがある)と、プロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、本明細書においては、「rPP」と称することがある)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、本明細書においては、「bPP」と称することがある)、プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられる。
イージーピール層11が含有する前記ポリプロピレン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、イージーピール層11は、プロピレン単独重合体を含有し、プロピレン系共重合体を含有していなくてもよいし、1種又は2種以上のプロピレン系共重合体を含有し、プロピレン単独重合体を含有していなくてもよいし、プロピレン単独重合体を含有し、1種又は2種以上のプロピレン系共重合体を含有していてもよい。
イージーピール層11は、樹脂成分として、前記ポリプロピレン系樹脂のみを含有していてもよいし、前記ポリプロピレン系樹脂と、前記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂と、をともに含有していてもよい。
イージーピール層11が含有する前記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂は、プロピレンから誘導された構成単位を有しない樹脂であれば、特に限定されない。
イージーピール層11が含有する、前記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体(ポリエチレン)と、エチレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレン単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。これらエチレン単独重合体は、互いに種類が異なる樹脂として取り扱う。
イージーピール層11が含有する前記エチレン単独重合体は、バイオマス由来のポリエチレンであってもよい。透明多層フィルム1において、バイオマス由来のポリエチレンを用いることにより、石油資源の使用量を削減できるとともに、透明多層フィルム1の製造時と廃棄時に、二酸化炭素の排出量を削減できる。すなわち、このような透明多層フィルム1は、環境負荷を低減できる点で、顕著な効果を奏する。イージーピール層11が、前記エチレン単独重合体として、バイオマス由来のポリエチレンを含有する、透明多層フィルム1は、好ましいものの一例である。
前記バイオマス由来のポリエチレンとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリエチレンが挙げられる。
また、前記バイオマス由来のポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。これらエチレン単独重合体は、互いに種類が異なる樹脂として取り扱う。
イージーピール層11が、前記バイオマス由来のポリエチレンを含有する場合、ポリエチレンとして、バイオマス由来のポリエチレンのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリエチレンと、バイオマス由来ではないポリエチレンと、をともに含有していてもよい。
イージーピール層11が前記エチレン単独重合体(ポリエチレン)を含有する場合、イージーピール層11における、ポリエチレンの総含有量(バイオマス由来ではないポリエチレンと、バイオマス由来のポリエチレンと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリエチレンの含有量の割合は、例えば、3質量%以上、20質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、イージーピール層11が含有するポリエチレンは、すべてバイオマス由来のポリエチレンであってもよい。前記割合が高いほど、透明多層フィルム1における環境負荷の低減効果が高くなる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレンとプロピレンのいずれにも該当しない他のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−ブテン共重合体等が挙げられる。
イージーピール層11が含有する、前記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、イージーピール層11は、1種又は2種以上のエチレン単独重合体を含有し、エチレン系共重合体を含有していなくてもよいし、1種又は2種以上のエチレン系共重合体を含有し、エチレン単独重合体を含有していなくてもよいし、1種又は2種以上のエチレン単独重合体を含有し、1種又は2種以上のエチレン系共重合体を含有していてもよい。
イージーピール層11における、イージーピール層11の総質量に対する、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量の割合は、例えば、55〜80質量%、及び60〜80質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層11のイージーピール性がより向上する。前記割合が前記上限値以下であることで、イージーピール層11が、前記ポリプロピレン系樹脂に該当しない成分を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
好ましいイージーピール層11としては、例えば、前記ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体のいずれか一方又は両方を含有し、さらに、下記一般式(i)−1及び(i)−2:
Figure 0006981508
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であり、ただし、R及びRが互いに同じとなることはない。)
で表される構成単位を有する(ただし、前記一般式(i)−1で表される構成単位の数が、前記一般式(i)−2で表される構成単位の数よりも多い)ポリオレフィン系共重合体(本明細書においては、「ポリオレフィン系共重合体(I)」と略記することがある)を含有するか、又は、前記ポリオレフィン系共重合体(I)及びポリエチレンを含有しており、前記イージーピール層における、前記イージーピール層の総質量に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量の割合が、55質量%以上である(本明細書においては、このようなイージーピール層を「イージーピール層(A)」と称することがある)、ものが挙げられる。
前記イージーピール層における、前記イージーピール層の総質量に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量の割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記イージーピール層(A)とは、換言すると、プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体のいずれか一方又は両方と、ポリオレフィン系共重合体(I)と、を含有し、さらに、ポリエチレンを含有していてもよいし、含有していなくてもよく、前記イージーピール層における、前記イージーピール層の総質量に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量の割合が、55質量%以上のものである。
ポリオレフィン系共重合体(I)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であり、ただし、R及びRが互いに同じとなることはない。すなわち、エチレン単独重合体(ポリエチレン、PE)、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン、hPP)及びブテン単独重合体(ポリブテン、PB)は、ポリオレフィン系共重合体(I)には含まれない。
イージーピール層11がポリオレフィン系共重合体(I)を含有していることにより、上述の、蓋材の底材からの剥がれの抑制効果が得られる。
ポリオレフィン系共重合体(I)において、一般式(i)−1で表される構成単位の数は、すべての構成単位の数(構成単位の総数)に対して、50%超であり、100%未満である。
ポリオレフィン系共重合体(I)において、一般式(i)−2で表される構成単位の数は、すべての構成単位の数(構成単位の総数)に対して、0%超であり、50%未満である。
イージーピール層(A)における、イージーピール層(A)の総質量に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量の割合は、55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層(A)のイージーピール性がより向上する。例えば、蓋材の底材からの剥離時において、糸引き抑制効果が高くなる。
糸引きとは、フィルムをシール対象物とシールした後、このシール対象物から剥離したときに、剥離箇所間で樹脂成分が糸を引いた状態となって、剥離面が平坦にはならない現象である。本実施形態の場合には、前記底材又はトレーと加熱シールした蓋材を、前記底材又はトレーから剥離したときに、前記底材又はトレーと、蓋材と、の間において、糸引きが抑制される。
イージーピール層(A)における、イージーピール層(A)の総質量に対する、前記プロピレン系共重合体及びプロピレン単独重合体の合計含有量の割合は、80質量%以下であることが好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、イージーピール層(A)が、前記プロピレン系共重合体と、前記プロピレン単独重合体と、のいずれにも該当しない成分を含有していることにより得られる効果が、より高くなる。
イージーピール層(A)における、イージーピール層(A)の総質量に対する、前記プロピレン系共重合体及びプロピレン単独重合体の合計含有量の割合は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記割合は、55〜80質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。ただし、これらは、前記割合の一例である。
イージーピール層11は、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレン単独重合体と、ポリオレフィン系共重合体(I)と、ポリエチレンと、プロピレン系共重合体と、のいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
イージーピール層11が含有する前記他の成分としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等が挙げられる。前記他の成分は、1種で2以上の機能を有する(2以上の作用を発現する)成分であってもよい。
なかでも、イージーピール層11は、前記他の成分として防曇剤を含有することが好ましい。
イージーピール層11が含有する前記防曇剤は、透明多層フィルム1の曇り、特にイージーピール層11の露出面における曇りを抑制するための成分である。イージーピール層11が防曇剤を含有している透明多層フィルム1においては、そのヘーズを低減できる。透明多層フィルムのヘーズについては、後ほど別途説明する。
なお、本明細書において、透明多層フィルムのヘーズとは、特に断りのない限り、透明多層フィルムのイージーピール層側の外部から測定したヘーズを意味する。
イージーピール層11が含有する防曇剤は、公知のものでよい。防曇剤としては、例えば、ポリグリセン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
イージーピール層11が含有する防曇剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
防曇剤を用いる場合、イージーピール層11において、イージーピール層11の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、0.5〜5質量%であることが好ましく、0.8〜4.3質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、防曇剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、透明多層フィルム1の防曇剤に由来しない特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、防曇剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
前記アンチブロッキング剤は、透明多層フィルム1同士を重ねたとき、又は、透明多層フィルム1と、他のフィルム又はシートと、を重ねたときに、透明多層フィルム1同士の張り付き、又は、透明多層フィルム1と、これに隣接するフィルム又はシートと、の張り付き(ブロッキング)を抑制するための成分である。「透明多層フィルム1同士を重ねる」態様には、「1枚の透明多層フィルム1をロール状に巻き取る」態様も含まれる。
イージーピール層11が含有するアンチブロッキング剤は、公知のものでよい。アンチブロッキング剤としては、例えば、天然シリカ、合成シリカ等のシリカが挙げられる。
イージーピール層11が含有するアンチブロッキング剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
アンチブロッキング剤を用いる場合、イージーピール層11において、イージーピール層11の総質量に対する、アンチブロッキング剤の含有量の割合は、0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、アンチブロッキング剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、透明多層フィルム1のアンチブロッキング剤に由来しない特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述するイージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、アンチブロッキング剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
イージーピール層11が含有する前記帯電防止剤は、透明多層フィルム1の抵抗率、例えば、表面抵抗率を低下させるための成分である。
イージーピール層11が含有する帯電防止剤は、公知のものでよい。
帯電防止剤を用いる場合、イージーピール層11における、イージーピール層11の総質量に対する、帯電防止剤の含有量の割合は、例えば、先に説明した、イージーピール層11における、イージーピール層11の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合と、同様であってよい。
JIS C 2139−3−1:2018に準拠して測定された、イージーピール層11の表面抵抗率(例えば、第1面11aでの表面抵抗率)は、1×10〜1×1014Ω/□であることが好ましく、例えば、5×10〜5×1013Ω/□、及び5×10〜1×1013Ω/□のいずれかであってもよい。イージーピール層11の表面抵抗率が前記上限値以下であることで、透明多層フィルム1を用いて包装体を製造し、この包装体を用いて、粉末を含む対象物を包装したときに、前記粉末のイージーピール層への貼り付きの抑制効果が高くなる。一方、表面抵抗率が前記下限値以上であるイージーピール層11は、その作製がより容易である。
イージーピール層11の表面抵抗率は、例えば、イージーピール層11の含有成分の種類及び含有量を調節することにより、調節でき、例えば、イージーピール層11の帯電防止剤の含有量を調節することにより、容易に調節できる。
イージーピール層11は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。イージーピール層11が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、イージーピール層11の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
透明多層フィルム1の厚さに対する、イージーピール層11の厚さの割合は、8〜18%であることが好ましく、10〜14%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層11のシール強度が、適度な範囲内でより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが避けられる。
イージーピール層11の厚さは、例えば、4〜9μmであってもよい。
なお、本明細書においては、後述のように、イージーピール層11だけでなく、水蒸気バリア層12、中間層13、酸素バリア層14、外層15及び接着層19についても、それぞれ、透明多層フィルム1の厚さに対する、これらの厚さの割合を記載しているが、透明多層フィルム1においては、これらすべての層の厚さの割合の合計は、100%を超えないものとする。
本明細書において、「透明多層フィルムの厚さ」とは、「透明多層フィルムの全体の厚さ」を意味し、透明多層フィルム1の場合には、イージーピール層11の厚さと、水蒸気バリア層12の厚さと、中間層13の厚さと、酸素バリア層14の厚さと、外層15の厚さと、接着層19の厚さと、の合計値である。
イージーピール層11が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記のイージーピール層11の好ましい前記厚さの割合の条件を満たし、前記厚さとなるようにするとよい。
<水蒸気バリア層>
水蒸気バリア層12は、イージーピール層11に隣接して配置されている。本実施形態の透明多層フィルムにおいては、このように、水蒸気バリア層がイージーピール層に接触して積層されていることが好ましい。
水蒸気バリア層12は、透明性を有する。
水蒸気バリア層12は、水蒸気バリア性を有する水蒸気バリア樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記水蒸気バリア樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ポリプロピレン;プロピレン−エチレンランダム共重合体;プロピレン−エチレンブロック共重合体;プロピレン−αオレフィン共重合体;シクロペンタジエン又はノルボルネン等の環状オレフィンを共重合させて得られたエチレン−環状オレフィン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂);エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物又は完全ケン化物;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのエステル化物若しくはイオン架橋物;エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体;無水マレイン酸変性ポリエチレン;無水マレイン酸−ポリエチレン共重合体等が挙げられる。
水蒸気バリア層12は、これらの中でも、ポリプロピレンを含有することが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様である。
水蒸気バリア層12が含有する、水蒸気バリア性を発現する成分(例えば、前記水蒸気バリア樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
水蒸気バリア層12は、その水蒸気バリア性を損なわない範囲で、水蒸気バリア性を発現する成分(例えば、前記水蒸気バリア樹脂)以外に、他の成分を含有していてもよい。
水蒸気バリア層12が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
水蒸気バリア層12において、水蒸気バリア層12の総質量に対する、水蒸気バリア性を発現する成分の含有量の割合(例えば、前記水蒸気バリア樹脂の含有量の割合)は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、水蒸気バリア層12の水蒸気バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する水蒸気バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、水蒸気バリア性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
水蒸気バリア層12が含有する前記他の成分としては、例えば、結晶化核剤、防曇剤等が挙げられる。
すなわち、水蒸気バリア層12は、結晶化核剤を含有していてもよいし、防曇剤を含有していてもよい。
前記結晶化核剤は、水蒸気バリア層12中での結晶成長を制御することにより、水蒸気バリア層12の透明性を向上させるための成分である。
結晶化核剤は、公知のものでよい。結晶化核剤としては、例えば、ソルビトール系結晶化核剤等が挙げられる。
水蒸気バリア層12が含有する結晶化核剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
結晶化核剤を用いる場合、水蒸気バリア層12において、水蒸気バリア層12の総質量に対する、結晶化核剤の含有量の割合は、0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、結晶化核剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、水蒸気バリア層12の結晶化核剤に由来しない特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述する水蒸気バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、結晶化核剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
前記防曇剤は、透明多層フィルム1の曇り、特にイージーピール層11の露出面における曇りを抑制するための成分である。
水蒸気バリア層12が含有する防曇剤は、公知のものでよく、具体的には、上述のイージーピール層11が含有する防曇剤と同様のものが挙げられる。
水蒸気バリア層12が含有する防曇剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
防曇剤を用いる場合、水蒸気バリア層12において、水蒸気バリア層12の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合は、0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、防曇剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、透明多層フィルム1の防曇剤に由来しない特性が、より良好となる。
前記割合は、通常、後述する水蒸気バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、防曇剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
水蒸気バリア層12の溶融張力は、0.2g以上であってもよい。透明多層フィルム1の中でも、最もサージングを生じ易い水蒸気バリア層12の溶融張力が前記下限値以上であることで、透明多層フィルム1全体のサージングが抑制される。
サージングとは、対象となるフィルムの厚さが周期的に変動している状態である。多層フィルムの場合には、これを共押出し法等の加熱を伴う方法で成膜し、製造するときに、いずれかの層において、その厚さが周期的に変動する(サージングが生じる)ことによって、多層フィルム全体にサージングが生じる。成膜時のサージングは、成膜条件によって生じ易くなることがあり、通常、水蒸気バリア層の構成材料は、サージングを生じ易く、成膜温度を低めに設定した場合には、その傾向が強くなる。すなわち、水蒸気バリア層を備えた多層フィルムは、サージングを生じ易い。
これに対して、通常、溶融張力が最も低い水蒸気バリア層12において、その溶融張力が0.2g以上と高くなっている透明多層フィルム1の製造時には、たとえ成膜温度が低めであっても、いずれの層においても、サージングを抑制でき、透明多層フィルム1全体のサージングが抑制される。
なお、本明細書において「溶融張力」とは、特に断りのない限り、「230℃での溶融張力」を意味する。溶融張力は、キャピログラフを用い、JIS K7199:1999に準拠して、測定できる。
上述の効果がより高くなる点で、水蒸気バリア層12の溶融張力は、例えば、0.3g以上、0.5g以上、及び0.7g以上のいずれかであってもよい。
水蒸気バリア層12の溶融張力の上限値は、特に限定されない。例えば、水蒸気バリア層12の形成が比較的容易である点では、水蒸気バリア層12の溶融張力は、1g以下であることが好ましい。
水蒸気バリア層12の溶融張力は、上述の下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、水蒸気バリア層12の溶融張力は、0.2〜1g、0.3〜1g、0.5〜1g、及び0.7〜1gのいずれかであってもよい。ただし、これらは、水蒸気バリア層12の溶融張力の一例である。
水蒸気バリア層12の溶融張力は、例えば、前記水蒸気バリア樹脂等の、水蒸気バリア層12の含有成分の種類及び含有量を調節することにより、調節できる。
水蒸気バリア層12の含有成分は、その種類に応じて、特有の溶融張力を示す(換言すると、特有の溶融張力を有するフィルム又はシートを形成する)ので、目的に応じて、前記含有成分の種類及び含有量を選択できる。
水蒸気バリア層12の溶融張力がより高くなる点では、水蒸気バリア層12は、例えば、分岐鎖を有する樹脂を含有することが好ましく、分岐鎖を多く有する樹脂を含有することがより好ましい。
例えば、水蒸気バリア層12は、1種のポリプロピレンを含有するか、又は、溶融張力が異なる2種以上のポリプロピレンを含有していてもよい。例えば、ポリプロピレンとして1種のみを選択した場合には、水蒸気バリア層12の溶融張力を目的とする値に設定することが難しいことがある。その場合には、溶融張力が異なる2種以上のポリプロピレンを併用することにより、容易に、水蒸気バリア層12の溶融張力を設定できる。すなわち、溶融張力が低めのポリプロピレンと、溶融張力が高めのポリプロピレンとを、これらの溶融張力を考慮して、組み合わせて用いることにより、水蒸気バリア層12の溶融張力を容易に調節できる。例えば、溶融張力が高めのポリプロピレンで好ましいものとしては、メタロセン系高溶融張力ポリプロピレン(換言すると、メタロセン触媒高溶融張力ポリプロピレン)が挙げられる。
ここでは、ポリプロピレンを用いて、水蒸気バリア層12の溶融張力を調節する場合について説明したが、ポリプロピレン以外の成分を用いて、前記溶融張力を調節してもよい。
例えば、水蒸気バリア層12の含有成分として、第1成分と、第1成分よりも溶融張力が高い第2成分と、を併用し、水蒸気バリア層12の溶融張力を調節する場合には、水蒸気バリア層12において、第1成分の含有量(質量部)に対する、第2成分の含有量(質量部)の割合([水蒸気バリア層12の第2成分の含有量(質量部)]/[水蒸気バリア層12の第1成分の含有量(質量部)]×100)は、1〜99質量%であることが好ましく、3〜97質量%であることがより好ましく、6〜94質量%であることがさらに好ましく、例えば、6〜80質量%、6〜60質量%、6〜40質量%、及び6〜20質量%のいずれかであってもよい。
水蒸気バリア層12の水蒸気透過量は、例えば、40℃、90%RH(相対湿度)の雰囲気下において、100g/m・day以下であることが好ましい。
水蒸気バリア層12の水蒸気透過量は、例えば、JIS Z 0208に準拠して測定できる。
水蒸気バリア層12は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。水蒸気バリア層12が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルム1の厚さに対する、水蒸気バリア層12の厚さの割合は、16〜30%であることが好ましく、20〜26%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、水蒸気バリア層12の水蒸気バリア性、換言すると、透明多層フィルム1の水蒸気バリア性、がより向上する。前記割合が前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが避けられる。
水蒸気バリア層12の厚さは、例えば、8〜15μmであってもよい。
水蒸気バリア層12が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の水蒸気バリア層12の好ましい前記厚さの割合の条件を満たし、前記厚さとなるようにするとよい。
<中間層>
中間層13は、透明多層フィルム1に成形加工性を付与し、また、透明多層フィルム1においてピンホールの発生を抑制する。
中間層13は、透明性を有する。
中間層13は、その構成材料として、含窒素樹脂を含有することが好ましい。
前記含窒素樹脂は、その主鎖中に窒素原子を有するものが好ましい。
なかでも、上述の効果がより高い点では、前記含窒素樹脂はポリアミドであること、すなわち、中間層13がポリアミドを含有することがより好ましい。
前記ポリアミドとしては、例えば、環状ラクタム(環員数が3以上のラクタム)、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸との反応で得られたナイロン塩を、重合又は共重合することによって得られたポリアミド等が挙げられる。
前記環状ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環族ジアミン;
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記ナイロン塩を形成する前記ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族カルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記ポリアミドとして、より具体的には、例えば、4−ナイロン、6−ナイロン、7−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、66−ナイロン、69−ナイロン、610−ナイロン、611−ナイロン、612−ナイロン、6T−ナイロン、6Iナイロン、6−ナイロンと66−ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6−ナイロンと610−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと611−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと12−ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6−ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと6T−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと610−ナイロンとのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと12−ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6−ナイロンと66−ナイロンと612−ナイロンとのコポリマー、66−ナイロンと6T−ナイロンとのコポリマー、66−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー、6T−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー、66−ナイロンと6T−ナイロンと6I−ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
前記ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易さ等の点においては、6−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
中間層13が含有する前記ポリアミドは、バイオマス由来のポリアミドであってもよい。透明多層フィルム1において、バイオマス由来のポリアミドを用いることにより、石油資源の使用量を削減できるとともに、透明多層フィルム1の製造時と廃棄時に、二酸化炭素の排出量を削減できる。すなわち、このような透明多層フィルム1は、環境負荷を低減できる点で、顕著な効果を奏する。中間層13が、前記ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドを含有する、透明多層フィルム1は、好ましいものの一例である。
前記バイオマス由来のポリアミドとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリアミドが挙げられる。
また、前記バイオマス由来のポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12等において、一部又はすべての原料モノマーとしてバイオマス由来のモノマーを使用したもの等が挙げられる。このようなバイオマス由来のポリアミドの一例として、より具体的には、植物性油であるヒマシ油から得られた11−アミノウンデカン酸の縮重合体である、植物性11−ナイロンが挙げられる。
中間層13が、前記バイオマス由来のポリアミドを含有する場合、ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリアミドと、バイオマス由来ではないポリアミドと、をともに含有していてもよい。
中間層13が前記ポリアミドを含有する場合、中間層13における、ポリアミドの総含有量(バイオマス由来ではないポリアミドと、バイオマス由来のポリアミドと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリアミドの含有量の割合は、例えば、3質量%以上、20質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、中間層13が含有するポリアミドは、すべてバイオマス由来のポリアミドであってもよい。前記割合が高いほど、透明多層フィルム1における環境負荷の低減効果が高くなる。
中間層13が含有する前記含窒素樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
中間層13は、その効果を損なわない範囲で、前記含窒素樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。
中間層13が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
中間層13において、中間層13の総質量に対する、前記含窒素樹脂の含有量の割合は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、透明多層フィルム1が中間層13を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
前記割合は、通常、後述する中間層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記含窒素樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
中間層13が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
中間層13は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。中間層13が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルム1の厚さに対する、中間層13の厚さの割合は、8〜48%であることが好ましく、11〜45%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、透明多層フィルム1が中間層13を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが避けられる。
中間層13の厚さは、例えば、4〜30μmであってもよい。
中間層13が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の中間層13の好ましい前記厚さの割合の条件を満たし、前記厚さとなるようにするとよい。
<酸素バリア層>
酸素バリア層14は、透明性を有する。
酸素バリア層14は、酸素バリア性を有する酸素バリア樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記酸素バリア樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(別名:エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、EVOH)、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
酸素バリア層14は、これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含有することが好ましく、エチレンの共重合比率(換言すると、エチレン−ビニルアルコール共重合体における、エチレン−ビニルアルコール共重合体中の構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合)が30〜50モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有することがより好ましい。
酸素バリア層14が含有する、酸素バリア性を発現する成分(例えば、前記酸素バリア樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層14は、その酸素バリア性を損なわない範囲で、酸素バリア性を発現する成分(例えば、前記酸素バリア樹脂)以外に、他の成分を含有していてもよい。
酸素バリア層14が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層14において、酸素バリア層14の総質量に対する、酸素バリア性を発現する成分の含有量の割合(例えば、前記酸素バリア樹脂の含有量の割合)は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層14の酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、酸素バリア性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
酸素バリア層14が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
酸素バリア層14は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層14が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルム1の厚さに対する、酸素バリア層14の厚さの割合は、5〜15%であることが好ましく、8〜12%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層14の酸素バリア性、換言すると、透明多層フィルム1の酸素バリア性、がより向上する。前記割合が前記上限値以下であることで、酸素バリア層14は、良好な酸素バリア性を保持しつつ、その成膜時における発泡等の外観悪化の抑制効果が高くなる。
酸素バリア層14の厚さは、例えば、2.5〜7.5μmであってもよい。
酸素バリア層14が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の酸素バリア層14の好ましい前記厚さの割合の条件を満たし、前記厚さとなるようにするとよい。
酸素バリア層14の酸素ガス透過量は、例えば、20℃、80%RH(相対湿度)の雰囲気下において、50cc/m・atm・day以下であることが好ましい。
酸素バリア層14の酸素ガス透過量は、例えば、JIS K 7126−2に準拠して測定できる。
<外層>
外層15は、透明多層フィルム1において、酸素バリア層14の中間層13側とは反対側に、設けられている。
外層15は、透明多層フィルム1において、他方の最表層であり、透明多層フィルム1を構成する各層の積層方向において、イージーピール層11とは反対側の、他方の最も外側に配置されている。すなわち、外層15の、酸素バリア層14側とは反対側の面(本明細書においては「第2面」と称することがある)15bは、透明多層フィルム1においては露出面である。
外層15は、透明性を有する。
外層15は、透明多層フィルム1を構成する他の層を保護するための層であり、その構成材料を適切に選択することによって、さらに、透明多層フィルム1に新たな特性を付与する層とすることが可能である。
外層15は、樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
外層15の構成材料である前記樹脂としては、例えば、含窒素樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
外層15の構成材料である前記含窒素樹脂としては、中間層13の構成材料として先に挙げた含窒素樹脂と同じものが挙げられる。
例えば、前記含窒素樹脂のうち、ポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12等が挙げられる。
外層15の構成材料である前記ポリアミドは、バイオマス由来のポリアミドであってもよい。透明多層フィルム1において、バイオマス由来のポリアミドを用いることにより、石油資源の使用量を削減できるとともに、透明多層フィルム1の製造時と廃棄時に、二酸化炭素の排出量を削減できる。すなわち、このような透明多層フィルム1は、環境負荷を低減できる点で、顕著な効果を奏する。
前記バイオマス由来のポリアミドとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリアミドが挙げられる。
また、前記バイオマス由来のポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12等において、一部又はすべての原料モノマーとしてバイオマス由来のモノマーを使用したもの等が挙げられる。このようなバイオマス由来のポリアミドの一例として、より具体的には、植物性油であるヒマシ油から得られた11−アミノウンデカン酸の縮重合体である、植物性11−ナイロンが挙げられる。
外層15が、前記バイオマス由来のポリアミドを含有する場合、ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリアミドと、バイオマス由来ではないポリアミドと、をともに含有していてもよい。
外層15が前記ポリアミドを含有する場合、外層15における、ポリアミドの総含有量(バイオマス由来ではないポリアミドと、バイオマス由来のポリアミドと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリアミドの含有量の割合は、例えば、3質量%以上、20質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、外層15が含有するポリアミドは、すべてバイオマス由来のポリアミドであってもよい。前記割合が高いほど、透明多層フィルム1における環境負荷の低減効果が高くなる。
外層15の構成材料である前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。
外層15の構成材料である前記ポリエステルは、バイオマス由来のポリエステルであってもよい。透明多層フィルム1において、バイオマス由来のポリエステルを用いることにより、石油資源の使用量を削減できるとともに、透明多層フィルム1の製造時と廃棄時に、二酸化炭素の排出量を削減できる。すなわち、このような透明多層フィルム1は、環境負荷を低減できる点で、顕著な効果を奏する。
前記バイオマス由来のポリエステルとしては、例えば、カーボンニュートラルなサトウキビ等の植物由来のポリエステルが挙げられる。
また、前記バイオマス由来のポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリブチレンナフタレート(PBN)等において、一部又はすべての原料モノマーとしてバイオマス由来のモノマーを使用したもの等が挙げられる。
外層15が、前記バイオマス由来のポリエステルを含有する場合、ポリエステルとして、バイオマス由来のポリエステルのみを含有していてもよいし、バイオマス由来のポリエステルと、バイオマス由来ではないポリエステルと、をともに含有していてもよい。
外層15が前記ポリエステルを含有する場合、外層15における、ポリエステルの総含有量(バイオマス由来ではないポリエステルと、バイオマス由来のポリエステルと、の合計含有量)に対する、バイオマス由来のポリエステルの含有量の割合は、例えば、3質量%以上、20質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、及び90質量%以上のいずれかであってよく、100質量%であっても、すなわち、外層15が含有するポリエステルは、すべてバイオマス由来のポリエステルであってもよい。前記割合が高いほど、透明多層フィルム1における環境負荷の低減効果が高くなる。
外層15が、前記ポリアミド又はポリエステルとして、バイオマス由来のポリアミド又はバイオマス由来のポリエステルを含有する、透明多層フィルム1は、好ましいものの一例である。
酸素バリア層14は、特に透明多層フィルム1の最表層となっている場合、保管中に吸湿し易いことがある。酸素バリア層14が吸湿すると、そのヤング率が低下することによって、透明多層フィルム1全体にたるみが生じてしまう。これに対して、酸素バリア層14上に外層15が積層され、透明多層フィルム1の最表層が酸素バリア層14ではなく外層15となることによって、酸素バリア層14の吸湿が抑制される。特に、前記含窒素樹脂を含有する外層15は、この吸湿抑制効果が高い。このように、外層15は、透明多層フィルム1を構成する他の層を保護するだけでなく、酸素バリア層14が吸湿し難いという新たな特性を、透明多層フィルム1に付与することも可能である。
外層15が含有する前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層15は、前記樹脂として、前記含窒素樹脂又はポリエステルを含有していることが好ましく、ポリアミド又はポリエステルを含有していることがより好ましい。
外層15は、その特性を損なわない範囲で、前記樹脂以外に、他の成分(換言すると非樹脂成分)を含有していてもよい。
外層15が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層15において、外層15の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、外層15の特性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
外層15が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
外層15は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。外層15が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルム1の厚さに対する、外層15の厚さの割合は、10〜50%であることが好ましく、15〜45%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、外層15の特性がより向上する。前記割合が前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが避けられる。
水蒸気バリア層12の厚さは、例えば、10〜20μmであってもよい。
外層15が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の外層15の好ましい前記厚さの割合の条件を満たし、前記厚さとなるようにするとよい。
<接着層>
接着層19は、これに隣接する、水蒸気バリア層12と中間層13を接着している。
接着層19は、透明性を有する。
接着層19は、任意の構成要素であり、透明多層フィルム1においては省略可能である。ただし、接着層19を備えていることにより、透明多層フィルム1の多層構造がより安定化する。
接着層19は、接着性樹脂を含有する樹脂層であることが好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)等が挙げられる。前記ポリオレフィン系樹脂は、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であることが好ましい。
接着層19が含有する前記エチレン系共重合体としては、例えば、イージーピール層11の含有成分として先に説明したエチレン系共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層19が含有する前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層19が含有する前記ブテン系共重合体としては、例えば、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層19が含有する、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層19は、その接着性を損なわない範囲で、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)以外に、他の成分を含有していてもよい。
接着層19が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層19において、接着層19の総質量に対する、接着性を発現する成分の含有量の割合(例えば、前記接着性樹脂の含有量の割合)は、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層19の接着性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
接着層19が含有する前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層19は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層19が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
透明多層フィルム1の厚さに対する、接着層19の厚さの割合は、5〜25%であることが好ましく、7〜23%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層19はより優れた接着性を有する。前記割合が前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
接着層19の厚さは、例えば、3.5〜8.5μmであってもよい。
接着層19が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の接着層19の好ましい前記厚さの割合の条件を満たし、前記厚さとなるようにするとよい。
透明多層フィルム1のヘーズは、14%以下であることが好ましく、12%以下であることがより好ましい。
透明多層フィルム1のヘーズの下限値は、特に限定されない。例えば、透明多層フィルム1の製造が容易である点では、前記ヘーズは0.5%以上であってもよい。
ただし、ここに示す透明多層フィルム1のヘーズは、一例である。
透明多層フィルム1のヘーズは、これを構成する上述の各層の含有成分の種類又は含有量を調節することにより、調節できる。例えば、各層における、上述の防曇剤又は結晶化核剤の使用の有無と、使用する場合の使用量等を調節することにより、前記ヘーズをより容易に調節できる。
なお、本明細書において「フィルムのヘーズ」とは、JIS K 7136:2000に準拠して測定されたものを意味する。
透明多層フィルム1の厚さは、特に限定されないが、35〜70μmであることが好ましい。
本実施形態の透明多層フィルムは、上述の態様に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1に示す透明多層フィルム1は、イージーピール層11と、水蒸気バリア層12と、中間層13と、酸素バリア層14と、外層15と、接着層19と、を備えているが、これらのいずれにも該当しない、他の層をさらに備えていてもよい。
前記他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、透明多層フィルム1は、水蒸気バリア層12と中間層13との間以外の、他の2層間に、接着層19と同様の他の接着層を備えていてもよい。前記他の接着層としては、例えば、酸素バリア層14と外層15との間に設けられたものが挙げられるが、これは、他の接着層の一例である。
<<透明多層フィルムの製造方法>>
前記透明多層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、前記透明多層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を、透明多層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、透明多層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
また、前記透明多層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせることにより積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層を形成可能なものを用いてもよい。
また、前記透明多層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
前記透明多層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、透明多層フィルム中のいずれかの層(換言するとフィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
前記透明多層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
イージーピール層(図1に示す透明多層フィルム1においては、イージーピール層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「イージーピール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリプロピレン系樹脂と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。イージーピール層における前記他の成分としては、例えば、前記防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等が挙げられる。
水蒸気バリア層(図1に示す透明多層フィルム1においては、水蒸気バリア層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「水蒸気バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、水蒸気バリア性を発現する成分(例えば、前記水蒸気バリア樹脂)と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。水蒸気バリア層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、前記結晶化核剤、防曇剤等が挙げられる。
中間層(図1に示す透明多層フィルム1においては、中間層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「中間層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記含窒素樹脂と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。中間層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
酸素バリア層(図1に示す透明多層フィルム1においては、酸素バリア層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、酸素バリア性を発現する成分(例えば、前記酸素バリア樹脂)と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。酸素バリア層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
外層(図1に示す透明多層フィルム1においては、外層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「外層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記樹脂と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。外層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
接着層(図1に示す透明多層フィルム1においては、接着層19)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)と、それ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。接着層形成用組成物における前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
<<包装体>>
本発明の一実施形態に係る包装体は、前記透明多層フィルムを備えたものである。
前記透明多層フィルムは、その中のイージーピール層によって、他の樹脂フィルム、樹脂シート又は樹脂トレー(換言すると、樹脂製の底材)とシールすることにより、種々の包装体を構成できる。
好ましい前記包装体としては、例えば、蓋材と底材とを備えており、蓋材が前記透明多層フィルムからなり、底材が深絞り成形された樹脂製のものであり、蓋材(前記透明多層フィルム)中のイージーピール層が底材とシールされて構成されたもの(深絞り包装体)が挙げられる。
好ましい前記包装体としては、例えば、蓋材とトレーとを備えており、蓋材が前記透明多層フィルムからなり、トレーが樹脂製のものであり、蓋材(前記透明多層フィルム)中のイージーピール層がトレーとシールされて構成されたもの(トレーを備えた包装体)も挙げられる。
好ましい前記包装体としては、例えば、前記透明多層フィルムが、その中のイージーピール層によって、同じ種類の透明多層フィルム、又は、異なる種類のフィルム若しくはシートと、シールされて構成された軟質ガスパックも挙げられる。
図2は、本実施形態の包装体の一例を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す包装体101は、蓋材10と、底材8と、を備えて構成されている。
蓋材10は、上述の本発明の一実施形態に係る透明多層フィルムであり、例えば、図1に示す透明多層フィルム1を蓋材10として用いることができる。
底材8は、樹脂フィルムを深絞り成形して得られたもの(深絞り成形体)である。すなわち、包装体101は深絞り包装体である。
なお、図2中の蓋材10においては、これを構成している多層フィルム中の各層の区別を省略している。
底材8には、凹部80が形成されている。
底材8の凹部80を除く領域の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aと、蓋材10の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10aとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。蓋材10が透明多層フィルム1である場合、蓋材10の第1面10aは、イージーピール層11の第1面11aである。
包装体101は、蓋材10及び底材8のシールによって構成されている。より具体的には、底材8の凹部80を除く領域の第1面8aと、蓋材10の第1面10aは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材8の凹部80の領域において、底材8の第1面8aと、蓋材10の第1面10aと、の間に、収納部101aが形成されている。そして、この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
蓋材10が透明多層フィルム1である場合、蓋材10の他方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bは、外層15の第2面5bである。
なお、図3においては、包装体101の収納部101a内において、収納物9と底材108間、並びに、収納物9と蓋材10との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体101において、必須ではない。
蓋材10のその平坦部における厚さは、先に説明した多層フィルム1の厚さと同じである。
底材8としては、通常の深絞り包装体で使用可能な単層又は多層の樹脂フィルムからなるものが挙げられる。
底材8のその平坦部における厚さは、300〜500μmであることが好ましい。
収納物9は、目的に応じて任意に選択できるが、好ましい収納物9としては、例えば、食品、化粧品、医薬品等が挙げられる。
すなわち、包装体101は、食品用の包装体として好適であり、電子レンジでの加熱調理用の包装体として、特に好適である。また、包装体101は、電子レンジでの加熱を要する化粧品用又は医薬品用等(アイマスク等)の包装体としても好適である。
包装体101においては、蓋材10を介して、収納部101a内の収納物9を明りょうに視認できる。
包装体101を開封するときには、蓋材10を底材8から引き剥がすことにより、蓋材10中のイージーピール層11と底材8との間で、容易に剥離が生じる。
<<包装体の製造方法>>
前記包装体は、前記透明多層フィルムを用い、包装対象物を収納するための収納部を形成するように、前記透明多層フィルムと、そのシール対象物と、を加熱シールすることにより、製造できる。前記シール対象物としては、上述の底材、トレー、他の樹脂フィルム、樹脂シート等が挙げられる。
前記底材は、例えば、公知の方法により、樹脂フィルムを深絞り成形することで作製できる。
前記トレーは、例えば、公知の方法により、平面状の樹脂シートを、目的とする形状に成形することで作製できる。
前記透明多層フィルムと、そのシール対象物と、を加熱シールするときの、シール温度は、例えば、150〜180℃であってよく、シール時間は、例えば、0.5〜3.0秒であってよく、シール圧力は、例えば、2〜8kgf/cmであってよい。
前記透明多層フィルムを蓋材として用い、前記底材を用いて、深絞り包装体を製造する場合には、例えば、収納部を形成するめの凹部が長手方向に配列されている長尺の底材と、長尺の蓋材と、を用い、この長尺の蓋材に特定値以上の張力を加えながら、さらに、収納部を形成する領域に、不活性ガスと包装対象物を充填しながら、長尺の蓋材と、長尺の底材とを、これらの長手方向において順次加熱シールし、すべての加熱シールの終了後に、形成した収納部ごとに、蓋材及び底材を切断することにより、目的とする深絞り包装体が得られる。この製造方法では、蓋材及び底材の切断は、個々の加熱シールの終了後(換言すると、個々の収納部の形成後)直ちに行われる訳ではないため、すべての加熱シールが終了する(換言すると、蓋材及び底材の切断を開始する)までの間には、加熱シールされた長尺の蓋材には、張力が加わり続ける。さらに、この間、収納部は、不活性ガスが充填されているために内圧が高くなっている。したがって、従来の蓋材を用いた場合には、これら張力と内圧の影響で、加熱シールされた長尺の蓋材は、底材から剥がれ易い状態となっており、蓋材と底材との間でシールが維持されている部位の面積が小さくなったり、最悪の場合には、蓋材と底材との間に隙間が生じてしまう。特に、底材の周縁部のうち、最終的に角部となる領域においては、蓋材が底材から剥がれ易い。これに対して、本実施形態の透明多層フィルムからなる長尺の蓋材を用いた場合には、このような、包装体の製造過程における蓋材の底材からの剥がれが抑制される。
このように、本実施形態の透明多層フィルムは、深絞り包装体の製造に用いる場合に、特に顕著な効果が得られる。
一方、前記透明多層フィルムを蓋材として用い、トレーを用いて、トレーを備えた包装体を製造する場合には、トレーと、長尺の蓋材とを、トレーごとに順次加熱シールし、加熱シール後に直ちに、トレーごとに蓋材を切断するため、加熱シールされた蓋材に張力が加わり続けることがない。本実施形態の透明多層フィルムからなる長尺の蓋材は、このような、トレーを備えた包装体の製造にも用いることができ、より安定して包装体を製造できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<ポリオレフィン系共重合体(I)>
各実施例及び比較例で用いたポリオレフィン系共重合体(I)を以下に示す。
ポリオレフィン系共重合体(I)−01:Rが水素原子であり、Rがメチル基である。
ポリオレフィン系共重合体(I)−02:Rが水素原子であり、Rがエチル基である。
ポリオレフィン系共重合体(I)−10:Rがメチル基であり、Rが水素原子である。
ポリオレフィン系共重合体(I)−12:Rがメチル基であり、Rがエチル基である。
ポリオレフィン系共重合体(I)−20:Rがエチル基であり、Rが水素原子である。
ポリオレフィン系共重合体(I)−21:Rがエチル基であり、Rがメチル基である。
[実施例1]
<<透明多層フィルムの製造>>
<イージーピール層形成用組成物の製造>
低密度ポリエチレン(LDPE、宇部丸善ポリエチレン社製「F522N」)(20質量部)と、ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP、住友化学社製「S131」)(45質量部)と、防曇剤マスターバッチ(竹本油脂社製「P302AB」、防曇剤である脂肪酸エステル化合物の含有量が10質量%、ポリプロピレン系樹脂の含有量が90質量%)(30質量部)と、ポリオレフィン系共重合体(I)−01(5質量部)と、を常温下で混練し、イージーピール層形成用組成物を得た。
このときの各成分の配合量を表1に示す。
<水蒸気バリア層形成用組成物の製造>
ホモポリプロピレン(hPP、住友化学社製「WF836DG3」)(82質量部)と、結晶化核剤マスターバッチ(東京インキ社製「PPM−NAT94」、ソルビトール系結晶化核剤の含有量が10質量%、ポリプロピレン系樹脂の含有量が90質量%)(3質量部)と、防曇剤マスターバッチ(竹本油脂社製「P302AB」、防曇剤である脂肪酸エステル化合物の含有量が10質量%、ポリプロピレン系樹脂の含有量が90質量%)(5質量部)と、を常温下で混練し、水蒸気バリア層形成用組成物を得た。
<透明多層フィルムの製造>
接着層を構成する樹脂(接着性樹脂)として、変性ポリプロピレン(変性PP、三井化学社製「QE060」)を用意し、中間層及び外層を構成する樹脂として、6−ナイロン(以下、「Ny6」と略記することがある)(宇部興産社製「1030B2」、融点225℃)を用意し、酸素バリア層を構成する樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH、クラレ社製「J173B」、エチレンの共重合比率32モル%)を用意した。
ダイの温度を245〜275℃とし、イージーピール層形成用組成物と、水蒸気バリア層形成用組成物と、変性PPと、Ny6と、EVOHと、Ny6とを、この順で共押出しすることにより、イージーピール層(厚さ6μm)と、水蒸気バリア層(厚さ11.5μm)と、接着層(厚さ6μm)と、中間層(厚さ15μm)と、酸素バリア層(厚さ5μm)、外層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、長尺の透明多層フィルム(厚さ58.5μm)を得た。
<<包装体の製造>>
<底材の製造>
hPP層(厚さ170μm)と、接着層(厚さ20μm)と、EVOH層(厚さ20μm)と、接着層(厚さ20μm)と、hPP層(厚さ170μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、長尺の多層フィルム(厚さ400μm)を用意した。
深絞り包装機(東京食品機械社製「R175」)を用いて、前記多層フィルムを加熱温度140℃、加熱時間4秒、成形時間4秒の条件で、加熱成形することにより、前記多層フィルムの長手方向に、包装対象物の収納部が連続して成形された成形体(底材の連結体)を作製した。
<包装体の製造>
次いで、上記で得られた透明多層フィルムを蓋材として用い、この蓋材と、上記で得られた底材とを、これらの長手方向の向きを一致させて、シール温度170℃、シール時間1.2秒、シール圧力5kgf/cmの条件で加熱シールした。このとき、蓋材中のイージーピール層と、底材中の前記hPP層と、を加熱シールした。
そして、すべての加熱シールが終了した後に、形成した収納部ごとに、底材と蓋材を切断することにより、前記多層フィルムを底材(厚さ400μm)とし、前記透明多層フィルム(厚さ58.5μm)を蓋材とした包装体(深絞り包装体)を得た。
<<透明多層フィルム及び包装体の製造>>
[実施例2]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えて、ポリオレフィン系共重合体(I)−02を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例3]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えて、ポリオレフィン系共重合体(I)−10を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例4]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えて、ポリオレフィン系共重合体(I)−12を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例5]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えて、ポリオレフィン系共重合体(I)−20を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例6]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えて、ポリオレフィン系共重合体(I)−21を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例7〜10]
イージーピール層形成用組成物の製造時における、LDPE、rPP及びポリオレフィン系共重合体(I)−02のいずれか1種以上の配合量を、表1又は表2に示すとおりに変更した点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例11〜13]
イージーピール層形成用組成物の製造時における、rPP及び防曇剤マスターバッチ(すなわち、防曇剤及び防曇剤併用PP系樹脂)の配合量を、表2に示すとおりに変更した点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例14]
イージーピール層形成用組成物の製造時における、LDPE、rPP及びポリオレフィン系共重合体(I)−02の配合量を、表3に示すとおりに変更した点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例15]
イージーピール層形成用組成物の製造時における、rPP及び防曇剤マスターバッチ(すなわち、防曇剤及び防曇剤併用PP系樹脂)の配合量を、表3に示すとおりに変更した点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[実施例16]
外層を構成する樹脂として、6−ナイロン(宇部興産社製「1030B2」、融点225℃)に代えて、6−ナイロン(宇部興産社製「1030B2」、融点225℃)(90質量部)と、植物由来の11−ナイロン(アルケマ社製「Rilsan BESVO A FDA」)(4質量部)と、の混合物を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[比較例1]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えてポリエチレンを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[比較例2]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えてホモポリプロピレン(hPP)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[比較例3]
表1に示すように、ポリオレフィン系共重合体(I)−01に代えてポリブテン(PB)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
[比較例4]
イージーピール層形成用組成物の製造時における、rPP及びポリオレフィン系共重合体(I)−02の配合量を、表1に示すとおりに変更した点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、透明多層フィルム及び包装体を製造した。
<<透明多層フィルムの評価>>
<ホットタック強度比の算出>
上記の各実施例及び比較例において、別途、押出し成形法により、前記透明多層フィルム中のものと同じである、単層のイージーピール層(厚さ6μm)を作製し、これから幅25.4mmの試験片を作製した。
ホットタック強度測定器(テラー社製「モデルHTホットタックヒートシールテスター」)を用いて、この試験片の一方の面の全面を、ポリプロピレン製フィルム(厚さ440μm)の一方の面と重ね合わせて、シール温度160℃、シール圧力0.473N/mm、シール時間1.0sec.の条件で加熱シールし、その500msec.後に、引張速度33.3mm/sec.の条件で剥離強度を測定し、その測定値をS160(N/25.4mm)として採用した。
さらに、別途、前記試験片を作製し、この試験片について、シール温度を160℃に代えて170℃とした点以外は、上記のS160の場合と同じ方法で、S170(N/25.4mm)を測定した。
そして、これら測定値から、ホットタック強度比(S170/S160)を算出した。結果を表1〜3に示す。
<加熱シール時の蓋材の剥がれ抑制効果の評価>
上記の各実施例及び比較例で得られた10枚の包装体について、1枚ずつ、底材からの蓋材の剥がれの有無を目視観察した。そして、下記基準に従って、加熱シール時の底材からの蓋材の剥がれ抑制効果を評価した。結果を表1〜3中の「蓋材の剥がれ抑制効果」の欄に示す。
A:すべての包装体で剥がれが認められなかった。
B:1枚以上の包装体で剥がれが認められた。
<蓋材の剥離時の糸引き抑制効果の評価>
上記の各実施例及び比較例で得られた10枚の包装体において、1枚ずつ、蓋材を底材から剥離し、剥離箇所間での糸引きの有無を、目視により確認した。そして、下記基準に従って、蓋材の糸引き抑制効果を評価した。結果を表1〜3中の「蓋材の糸引き抑制効果」の欄に示す。
(評価基準)
A:すべての包装体で糸引きが全く認められなかった。
B:1枚以上の包装体で糸引きが認められた。
<イージーピール層への粉末の貼り付きの抑制効果の評価>
上記の各実施例及び比較例で得られた包装体について、包装体1つあたり10gの粉末胡椒を加えて包装した場合の、蓋材中のイージーピール層に対する、粉末胡椒の貼り付きの有無を目視にて確認した。そして、下記基準に従って、イージーピール層への粉末の貼り付き抑制効果を評価した。結果を表1〜3中の「イージーピール層への粉末の貼り付き抑制効果」の欄に示す。
(評価基準)
A:粉末の貼り付きが認められなかった。
B:粉末の貼り付きが認められた。
<イージーピール層の表面抵抗率の測定>
上記の各実施例及び比較例において、別途、押出し成形法により、前記透明多層フィルム中のものと同じである、単層のイージーピール層(厚さ6μm)を作製し。これを試験片とした。この試験片について、JIS C 2139−3−1:2018に準拠して、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。結果を表1〜3に示す。
<透明多層フィルムのヘーズの測定>
上記の各実施例及び比較例で得られた透明多層フィルムについて、JIS K 7136:2000に準拠して、そのイージーピール層側の外部からヘーズ(%)を測定した。結果を表1〜3に示す。
Figure 0006981508
Figure 0006981508
Figure 0006981508
上記結果から明らかなように、実施例1〜15においては、包装体の製造中、加熱シール時の蓋材の剥がれ抑制効果が高かった。
実施例1〜15においては、S170/S160が0.83以上(0.83〜0.98)と、十分に大きかった。
さらに、実施例1〜13、15の包装体においては、蓋材の剥離時の糸引き抑制効果が高く、この点でこれら包装体は、より優れた特性を有していた。
実施例1〜13、15の包装体においては、イージーピール層における、イージーピール層の総質量に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量(ここでは、プロピレン単独重合体の含有量は0質量部である)の割合が、67質量%以上(67〜77質量%)であり、イージーピール層における、イージーピール層の総質量に対する、前記非プロピレン系共重合体及びポリエチレンの合計含有量の割合が、30質量%以下(20〜30質量%)であった。
さらに、実施例1〜14のイージーピール層の表面抵抗率は、1×1012Ω/□以下(1×10〜1×1012Ω/□)であり、実施例1〜14の包装体は、粉末を含む対象物を包装していても、粉末のイージーピール層への貼り付きの抑制効果が高いものであり、この点でこれら包装体は、より優れた特性を有していた。
実施例1〜14のイージーピール層は、防曇剤である脂肪酸エステル化合物を含有しており、この成分が帯電防止剤としても機能していると推測された。実施例1〜14の包装体においては、イージーピール層における、イージーピール層の総質量に対する、防曇剤の含有量の割合が、1〜4質量%であり、前記割合が高い方が、イージーピール層の表面抵抗率が低かった。
実施例1〜14の透明多層フィルムのヘーズは、10%以下(5〜10%)であった。
実施例16の透明多層フィルムの評価結果は、実施例1の透明多層フィルムの評価結果と同等であった。
これに対して、比較例1〜4においては、包装体の製造中、加熱シール時の蓋材の剥がれ抑制効果が不十分であった。
比較例1〜4においては、S170/S160が0.69以下(0.53〜0.69)であった。
本発明は、食品用の包装体のうち、電子レンジでの加熱調理用の包装体に利用可能である。
1・・・透明多層フィルム
11・・・イージーピール層
11a・・・イージーピール層の第1面
12・・・水蒸気バリア層
13・・・中間層
14・・・酸素バリア層
15・・・外層
101・・・包装体
10・・・蓋材

Claims (13)

  1. 少なくともイージーピール層を備えた透明多層フィルムであって、
    前記イージーピール層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、
    幅が25.4mm、厚さが6μmである前記イージーピール層の試験片と、厚さが440μmであるポリプロピレン製フィルムとを、シール温度170℃で加熱シールした場合のホットタック強度をS170とし、シール温度160℃で加熱シールした場合のホットタック強度をS160としたとき、S170/S160 が0.8〜0.99であり
    前記イージーピール層が、前記ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体のいずれか一方又は両方を含有し、さらに、下記一般式(i)−1及び(i)−2:
    Figure 0006981508
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はエチル基であり、ただし、R及びRが互いに同じとなることはない。)
    で表される構成単位を有する(ただし、前記一般式(i)−1で表される構成単位の数が、前記一般式(i)−2で表される構成単位の数よりも多い)ポリオレフィン系共重合体を含有するか、又は、前記ポリオレフィン系共重合体及び低密度ポリエチレンを含有しており、前記イージーピール層における、前記イージーピール層の総質量に対する、前記プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体の合計含有量の割合が、55質量%以上であり、
    前記イージーピール層が防曇剤を含有し、前記イージーピール層における、前記イージーピール層の総質量に対する、前記防曇剤の含有量の割合が、0.5〜5質量%であり、
    前記透明多層フィルムが、さらに、ホモポリプロピレンを含有する水蒸気バリア層を備えており、
    前記水蒸気バリア層が、前記イージーピール層に隣接して配置されており、
    前記水蒸気バリア層において、前記水蒸気バリア層の総質量に対する、前記ホモポリプロピレンの含有量の割合が、70〜100質量%である、透明多層フィルム。
  2. JIS K 7136:2000に準拠して測定された、前記透明多層フィルムのヘーズが、14%以下である、請求項1に記載の透明多層フィルム。
  3. 前記透明多層フィルムが、さらに、中間層を備えている、請求項1又は2に記載の透明多層フィルム。
  4. 前記透明多層フィルムが、さらに、酸素バリア層を備えている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  5. 前記水蒸気バリア層と前記中間層が、前記イージーピール層と、前記酸素バリア層と、の間に配置されている、請求項4に記載の透明多層フィルム。
  6. 前記透明多層フィルムが、前記酸素バリア層の前記中間層側とは反対側に、さらに、ポリアミド又はポリエステルを含有する外層を備えている、請求項4又は5に記載の透明多層フィルム。
  7. 前記外層が、前記ポリアミド又はポリエステルとして、バイオマス由来のポリアミド又はバイオマス由来のポリエステルを含有する、請求項6に記載の透明多層フィルム。
  8. JIS C 2139−3−1:2018に準拠して測定された、前記イージーピール層の表面抵抗率が、1×10〜1×1014Ω/□である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  9. 前記中間層がポリアミドを含有する、請求項3〜のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  10. 前記中間層が、前記ポリアミドとして、バイオマス由来のポリアミドを含有する、請求項に記載の透明多層フィルム。
  11. 前記水蒸気バリア層が結晶化核剤を含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  12. 前記水蒸気バリア層の溶融張力が0.2g以上である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の透明多層フィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の透明多層フィルムを備えた、包装体。
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