JP6757771B2 - イージーピール性シーラントフィルムおよび包装体 - Google Patents

イージーピール性シーラントフィルムおよび包装体 Download PDF

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Description

本発明は、イージーピール性(易剥離性、易開封性)を有するヒートシール性フィルム(シーラントフィルム)に関する。
従来、種々の形態のプラスチック成形容器が開発され、その中に飲食品等の物品を充填した後、該容器の開口部を密封するように、該容器のフランジ部等に蓋材をヒートシールして、包装製品が製造されている。
蓋材は、通常は、基材シートとヒートシール性フィルムとの積層体、あるいは、基材シートとガスバリア性基材(層またはフィルム)とヒートシール性フィルムとの積層体によって構成される。
蓋材を構成するヒートシール性フィルムには、ヒートシールにより容器の開口部を密封する際の密封性と共に、開封時に該開口部を容易に開封できる易剥離性(易開封性、イージーピール性)が求められる。
そのため、蓋材を構成するヒートシール性フィルムについて、種々の積層構成からなるヒートシール性フィルムが提案されている。
このようなフィルムとして、例えば特許文献1には、オレフィン系樹脂層とイージーピール可能な異樹脂ブレンド樹脂層と加工性改善樹脂層とを共押出してなるフィルムにおいて、異樹脂ブレンド樹脂層がPPとPEをブレンドしてなる共押出してなるイージーピールフィルムの製造方法が開示されている。
しかしながら、この技術においてはオレフィン系樹脂層と異樹脂ブレンド樹脂層と加工性改善樹脂層との3層構成が必須であった。また、開封時には糸引き等が生じ、剥離面外観の見栄えが著しく不良となる不具合点があった。
また、例えば特許文献2には、少なくとも2層からなるヒートシール性積層フィルムであって、
(a)シール層となる第1層は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アイオノマー、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体およびエチレン・アクリル酸メチル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマー(S1)と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマー(S2)とのブレンドポリマーを含有する層であって、該第1層の厚みが20μm以下で、かつ、凝集破壊強度が50〜1,000g/15mm幅の範囲内にあり、
(b)第1層に隣接する第2層は、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体およびそれらのマレイン酸グラフト重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーを含有する層であって、該第2層の凝集破壊強度が第1層の凝集破壊強度の1.5倍以上、
(c)少なくとも第1層および第2層は共押出により積層されたものである、ことを特徴とするイージーピール性共押出積層フィルムが提案されている。
しかしながら、特許文献2の技術では、ヒートシール温度が高温の場合には十分なヒートシール性、イージーピール性を安定して得ることができないという課題があった。そのため、ヒートシールの対象物がポリプロピレン製容器等である場合に良好なヒートシールや易開封を行うことができなかったり、ボイル、レトルト用途には使用できない等の用途の制約があったり、包装体の構成設計に制約があったりした。
特開昭57−131556号公報 特開平5−212835号公報
本発明者は、それら従来技術を鑑み、イージーピール性シーラントフィルムの開発を試
みる過程で、少なくとも基材層とシール層の2層からなり、シール層にメタロセン触媒を用いて製造したポリプロピレンと低密度ポリエチレンとからなる樹脂組成物を用いる場合に、円滑なイージーピールが可能になることを見出した。
しかしながら、メタロセン触媒を用いて製造したポリプロピレンと低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物では、良好なイージーピール性を発現するヒートシール温度範囲が低く、例えばヒートシール温度140℃〜170℃程度では凝集破壊によって安定した剥離が得られるが、180℃を超える温度範囲においては安定せず、剥離に要する強度(剥離強度、開封強度)が高くなってしまい、剥離外観が悪化する等の更なる改善の余地が見出された。
そこで本発明の課題は、少なくとも基材層とシール層の2層からなる共押出フィルムにおいて、180℃以上のヒートシール温度範囲においても剥離外観が良く、安定した剥離強度を示すイージーピール性シーラントフィルムを提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、少なくとも基材層とシール層とを有する共押出積層フィルムであり、
前記基材層は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン若しくは高密度ポリエチレン、又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種を主成分とする樹脂組成物で構成され、
前記シール層は、60〜90質量%のポリプロピレンと40〜10質量%の低密度ポリエチレンとからなる樹脂組成物で構成され、
前記ポリプロピレンは、20〜80質量%のメタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン(m−PP)と、80〜20質量%のチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレン(z−PP)とからなる
ことを特徴とするイージーピール性シーラントフィルムによって解決される。
本発明によれば、180℃以上のヒートシール温度範囲においても安定した剥離強度で剥離することができ、また剥離外観が良好となるイージーピール性シーラントフィルムを得ることができる。そのため、ヒートシールの対象物がポリプロピレンからなる場合においても、安定したヒートシール性とイージーピール性を得ることができる。
また、本発明においては、プラスチック成形容器のフランジ部のシール面積が小さい場合でも、蓋材をリングシールによりヒートシールしても、その密閉性が不安定になることなく、極めて良好な密封性を有し、ボイル、レトルト処理を行っても安定した密封性を保持できる。
更に、本発明においては、基材層とシール層とを構成する素材として、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等の相互に相溶性を有する樹脂を使用することにより、その共押出積層加工性に優れていることから、極めて良好に2層の共押出積層フィルムを製造することができる。
すなわち、本発明に係るイージーピール性シーラントフィルムは、ヒートシール性に優れ、包装体の密封性を十分に満足し得るものであって、内容物の品質の保護、保存期間の延長等の要請を充足すると共に、易剥離性に優れるので、消費時に包装体を容易に開封できる易開封性を有し、更に、糸引き等の発生が防止された極めて美麗な剥離面を形成し得るものであり、各種のプラスチック成形容器用蓋材等に適用することができる。特に本発明によれば、このような優れた効果を、高温側の広いヒートシール温度範囲においても発揮できるものである。
本発明を説明する図であり、(a)はイージーピール性シーラントフィルム、(b)は蓋材、(c)は包装製品の一例を示す。 蓋材の他の例を説明する図である。
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
なお、ヒートシール性フィルムを「シーラントフィルム」、イージーピール性シーラントフィルムを「イージーピールシーラント」と呼称する場合がある。
また、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン樹脂を「m−PP」、「メタロセン−ポリプロピレン」と表記し、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレン樹脂を「z−PP」、「チーグラー−ポリプロピレン」と表記する場合がある。
また、剥離に要する強度は、「剥離強度」、「開封強度」と呼称すると共に、シール密着性を表す強度でもあることから「シール強度」と呼称する場合がある。
また、「主成分とする」とは構成する組成物の全体を100質量%とした場合に50質量%以上を構成することを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であることを意味する。
まず、図1を参照して本発明に係るイージーピールシーラント、蓋材及び包装体の一例について説明する。
図1(a)は、イージーピール性シーラントフィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。図1(b)は、図1(a)に示したイージーピール性シーラントフィルムを使用して製造した蓋材の層構成の一例を示す概略断面図である。図1(c)は、図1(b)に示した蓋材を使用して製造した包装体の一例を示す概略断面図である。
本実施形態において、イージーピール性シーラントフィルム1は、図1(a)に示すように、基材層11とシール層12との少なくとも2層の共押出積層フィルムからなり、更に、基材層11は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン若しくは高密度ポリエチレン、又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種を主成分とする樹脂組成物で構成され、シール層12は、60〜90質量%のポリプロピレンと40〜10質量%の低密度ポリエチレンとからなる樹脂組成物で構成され、前記ポリプロピレン(PP)は20〜80質量%のm−PPと、80〜20質量%のz−PPとからなるポリプロピレンの混合物とからなることを基本の構造とする。
上述したイージーピール性シーラントフィルム1を使用して、図1(b)に示すような蓋材3を製造することができる。ここでは、基材シート2のコロナ処理等が施された面(図中、下側の面)に例えば文字、記号、絵柄、図形等の印刷層21を形成した後、該印刷層21が形成された基材シート2の面に、イージーピール性シーラントフィルム1の基材層11側の面を対向させて積層して、蓋材3を製造している。
また、上述した蓋材3を使用して、図1(c)に示すような包装体5を製造することができる。ここでは、まず、成形用樹脂を用いて、例えば射出成形方式、真空・圧空成形等の熱成形、ブロー成形等の成形方式によりプラスチック成形容器4を製造する。次いで、該プラスチック成形容器4内に、図示しない飲食品等の物品を充填する。次いで、プラスチック成形容器4のフランジ部41の面に、蓋材3を構成するイージーピール性シーラントフィルム1のシール層12側の面を対向させてヒートシールにより溶融密着させる。これにより、プラスチック成形容器4の開口部を蓋材3により密封してなる包装体5を製造することができる。
図1の例では、基材シート2の印刷層21が形成された面に、直接、イージーピール性シーラントフィルム1を積層する場合について示したが、これに限定されない。例えば図2に示すように、基材シート2の印刷層21が形成された面に、ガスバリア性を有する樹脂フィルム等からなるガスバリア基材22を積層した後、ガスバリア性基材22に対してイージーピール性シーラントフィルム1を積層して蓋材3としてもよい。または、基材シート2の印刷層21が形成された面に、イージーピール性シーラントフィルム1の基材層11の面側にガスバリア性樹脂層からなるガスバリア基材22を配設したフィルムを積層してもよい。
蓋材の層構成は、以上に説明した例に限定されない。蓋材は、例えば充填包装する物品、包装目的、包装形態等に応じて、一面又は両面に、又は、各層間に、更なる他の層が適宜積層されてもよい。
以上に説明した例において、少なくとも、基材シート2、ガスバリア性基材22、イージーピール性シーラントフィルム1等を積層する積層法としては、例えば、ラミネート用接着剤等による接着剤層を設け、該接着剤層を介して積層するドライラミネート積層方式が挙げられる。また、アンカーコート剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等を設け、これらの層を介して積層する溶融押出積層方式等も挙げられる。
プラスチック成形容器の形態は、以上に説明した例に限定されない。プラスチック成形容器は、例えば、円錐形状、角錐形状、円筒状、三角や四角等の角柱形状、球状等、充填包装する物品等に合わせて任意の形態とすることができる。
また、イージーピール性シーラントフィルム1同士や、蓋材3と同様な構成3の積層フィルム同士を、シール層12を対向させてヒートシールし、袋体、底マチ付きのパウチ体等を作製することができる。
<基材層>
本発明のイージーピール性シーラントフィルム(以下、本発明のフィルムと称することがある)の基材層を構成する樹脂は、熱により溶融し、シール層を構成する樹脂と相溶性を有し、且つ共押出成形性に優れていることが好ましく、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン若しくは高密度ポリエチレン、又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
低密度ポリエチレンは、例えば、密度が0.900g/cm以上0.930g/cm
未満であることが好ましく、メルトフローレート(MFR)が0.1〜15.0g/10分であることが好ましい。低密度ポリエチレンとしては、例えば、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)、エチレンと他のオレフィンとの共重合体(コポリマー)等が挙げられる。他のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα・オレフィン等が挙げられる。他のオレフィンの炭素数は例えば10以下とすることができる。重合方法は格別限定されず、例えば、高圧法、スラリー法、溶液法、気相法等が挙げられる。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1:2014に準拠した手法から測定したものである。その試験条件はJIS K6922−1、JIS K6921−1に準拠した。試験温度は、ポリエチレン:190℃、ポリプロピレン:230℃。試験荷重は、ポリエチレン、ポリプロピレン共に2160g。また、密度は、JIS K7112:1999に準拠した手法から測定したものである。以下、同様である。
中密度ポリエチレンは、例えば、密度が0.930g/cm以上0.942g/cm未満であることが好ましく、MFRが0.1〜15g/10分であることが好ましい。中密度ポリエチレンとしては、例えば、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)、エチレンと他のオレフィンとの共重合体(コポリマー)等が挙げられる。他のオレフィンは、低密度ポリエチレンについて例示したα・オレフィンから選択できる。重合方法は格別限定されず、低密度ポリエチレンについて例示した方法を用いることができる。
高密度ポリエチレンは、例えば、密度が0.942g/cm以上であることが好ましく、MFRが0.5〜8.0g/10分であることが好ましい。高密度ポリエチレンとしては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。他のオレフィンは、低密度ポリエチレンについて例示したα・オレフィンから選択できる。重合方法は格別限定されず、低密度ポリエチレンについて例示した方法を用いることができる。
ポリプロピレンは、例えば、密度が0.890g/cm以上0.910g/cm以下であることが好ましく、MFRが0.5〜12g/10分であることが好ましい。ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体(ホモポリマー)、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体(コポリマー)等のポリプロピレン系樹脂を使用できる。他のオレフィンは格別限定されないが、例えばエチレン等のα・オレフィンが挙げられる。他のオレフィンの炭素数は例えば10以下とすることができる。共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体であってもよい。
上述したポリプロピレン系樹脂は、ブロックコポリマーあるいはランダムコポリマーであってもよく、特にランダムコポリマーであることが好ましい。
ポリプロピレンとしては、溶融張力及び延伸性等に優れ、後述する押出成形適性を有するポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましく、具体的には、ポリプロピレン系樹脂の主鎖に長鎖分岐を導入させて、溶融状態での張力を高めたものを使用することが好ましい。
具体的には、溶融張力及び延伸性に優れたポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンとエチレン、あるいは、プロピレンと1−オクテンとのブロック又はランダムコポリマーからなるポリプロピレン系樹脂を使用することができる。
上記のプロピレンとエチレン、あるいは、プロピレンと1−オクテンとのブロック又はランダムコポリマーからなるポリプロピレン系樹脂は、例えば、密度が0.890g/c
以上0.910g/cm以下、MFRが0.1〜10g/10分の範囲のもの、溶融張力が100mN以上(10cN以上)の範囲のものを使用することが好ましい。これにより、樹脂組成物の製膜性が向上し、例えば、樹脂押出時に上吹きインフレーション製膜法等を好ましく適用できるようになる。
基材層を構成する樹脂組成物は、以上に例示した樹脂の中でも、MFRが0.1〜15g/10分の低密度ポリエチレン及び又はMFRが0.1〜15g/10分の中密度ポリエチレンによって構成されることが好ましい。これにより、本発明の効果がより好適に発揮される。
<シール層>
本発明のフィルムのシール層を構成する樹脂組成物は、60〜90質量%のポリプロピレンと40〜10質量%の低密度ポリエチレンから構成される。また、前記ポリプロピレンは、メタロセン触媒を用いて製造されるポリプロピレン(m−PP)20〜80質量%と、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されるポリプロピレン(z−PP)80〜20質量%とからなる。
シール層を構成する樹脂組成物において、ポリプロピレン(PP)と低密度ポリエチレン(LDPE)の組成比(質量%)は、60〜90:40〜10が好ましく、65〜85:35〜15がより好ましく、70〜80:30〜20が更に好ましい。
シール層の樹脂組成比において、ポリプロピレンが60質量%以上、低密度ポリエチレンが40質量%以下であることによって、高温の温度領域においてもヒートシールが良好に行われ、シール強度、密封性等が向上し、特に面々シールの場合においても糸引等の発生が抑制される。またポリプロピレンが90質量%以下、低密度ポリエチレンが10質量%以上であることによって、易開封性をより好適に発揮でき、特に面々シールの場合においても良好な易開封性を発揮できる。特に、ヒートシールの対象物がポリプロピレン等の成形容器の場合に、効果的である。
上記ポリプロピレン(PP)のm−PPとz−PPとの樹脂組成比(質量%)は、20〜80:80〜20が好ましく、25〜75:75〜25がより好ましく、30〜70:70〜30が更に好ましい。分子量や組成が均質なm−PPと立体規則性の高いz−PPとをこのような樹脂組成比で用いることにより、高温側の広いヒートシール温度範囲において、優れた剥離外観を有しながら、易開封性を更に向上できる。
m−PPのメルトフローレート(MFR)は2.0〜10g/10分の範囲であることが好ましく、4.0〜9.0g/10分の範囲であることがより好ましい。また、z−PPのMFRは5.0〜30g/10分の範囲であることが好ましく、10〜28g/10分の範囲であることがより好ましい。これにより、剥離外観がより良く、更に安定したシール強度、剥離強度を達成することができる。
m−PPとz−PPの密度は、例えば、0.890g/cm以上0.910g/cm以下が好ましい。また、溶融張力が100mN以上(10cN以上)の範囲のものを使用することが好ましい。これにより、樹脂組成物の製膜性が向上し、例えば、樹脂押出時に上吹きインフレーション製膜法等を好ましく適用できる。
m−PP及びz−PPとしては、上述した基材層を構成するポリプロピレンと同様のプロピレンの単独重合体(ホモポリマー)、あるいは、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体(コポリマー)等のポリプロピレン系樹脂を使用することができる。他のオレフィンは格別限定されないが、例えばエチレン等のα・オレフィンが挙げられる。他のオレフィンの炭素数は例えば10以下とすることができる。
上述したポリプロピレン系樹脂は、ブロックコポリマーあるいはランダムコポリマーであってもよく、特にランダムコポリマーであることが好ましい。
ポリプロピレンとしては、溶融張力及び延伸性等に優れ、後述する押出成形適性を有するポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましく、具体的には、ポリプロピレン系樹脂の主鎖に長鎖分岐を導入させて、溶融状態での張力を高めたものを使用することが好ましい。
具体的には、溶融張力及び延伸性に優れたポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンとエチレン、あるいは、プロピレンと1−オクテンとのブロック又はランダムコポリマーからなるポリプロピレン系樹脂を使用することができる。
本発明のシール層に用いる低密度ポリエチレンは、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。他のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα・オレフィン等が挙げられる。他のオレフィンの炭素数は例えば10以下とすることができる。重合方法は格別限定されず、例えば、高圧法、スラリー法、溶液法、気相法等が挙げられる。
密度は0.910g/cm以上0.930g/cm未満であることが好ましく、MFRが0.1〜10g/10分であることが好ましい。
イージーピール性シーラントフィルムを構成する基材層及びシール層は、各層について上述した樹脂成分をビヒクルの主成分とし、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を適宜配合することができる。他の成分は、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改善する等の目的で配合することができる。かかる他の成分として、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種又は2種以上を配合し、更に、必要であれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、各層を形成する樹脂組成物を調製することができる。他の成分の具体例は格別限定されないが、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料、染料、分散剤、界面活性剤、ブロッキング防止剤等が挙げられる。更に、イージーピール性シーラントフィルムを構成する各層には、改質用樹脂等を更に配合してもよい。また、イージーピール性シーラントフィルムを構成する各層を構成する組成物を調製する際には、必要に応じて溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練することができる。また、他の成分として改質用樹脂等を配合することもできる。改質用樹脂を配合する場合、その配合量は目的、用途等に応じて適宜設定できるが、樹脂組成物の各層の総量100質量部に対して例えば0.01質量部〜40質量部とすることができる。
上述した滑剤は、樹脂中における移行が少ないものであることが好ましく、そのような滑剤として、例えば、ワックス、高級脂肪酸又はその金属塩、脂肪族アルコール、エステル、グリセライド、高級脂肪酸アミド、シリコーン油等が挙げられる。ワックスとしては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、石油系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。高級脂肪酸又はその金属塩としては、例えば、炭素数が8〜22の高級脂肪酸、又は、高級脂肪酸アルミニウム、高級脂肪酸カルシウム、高級脂肪酸マグネシウム、高級脂肪酸亜鉛、高級脂肪酸リチウム等が挙げられる。脂肪族アルコールとしては、例えば、炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールトリエチレングリコール等が挙げられる。エステルとしては、例えば、炭素数が4〜22の高級脂肪酸と炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコールとのエステル等が挙げられる。また、エステルとして、例えば、アセチルクエン酸ドリブチル、アジピン酸ジ−2エチル−ヘキシル、アゼライン酸−n−ヘキシル、エタンジオールモンタン酸エステル、ポリ(1,3−ブタンジオールアジピン酸)エステル、アセチルリシノール酸メチル、ポリ(1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、アジピン酸オクチルアルコール)エステル、糖ろう等のアルコールと脂肪酸とのエステル等も挙げられる。グリセライドとしては、例えば、水添食用油脂、ひまし油、スパームアセチワックス、アセチル化モノグリセライド等が挙げられる。高級脂肪酸アミドとしては、例えば、炭素数が16〜18の例えばエチレンビスオレイルアミドに代表されるエチレンビス脂肪酸アミド、炭素数が8〜22の高級脂肪酸アミド、ステアリルエルカアミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミトアミド等が挙げられる。シリコーン油としては、例えば、メチルヒドロジエンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサン等が挙げられる。また、滑剤として、ロジンやマレイン酸変性ロジン等のグリセリン等を用いることもできる。以上に説明した滑剤の中でも、例えば、エルカ酸アミド、エチレンビスオレイルアミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等は、優れた滑性を有するため好適に用いられる。滑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。滑剤を配合する場合、各層の樹脂成分100質量部に対して、例えば0.08質量部〜10.0質量部の割合で配合することができる。
上述したブロッキング防止剤としては、例えば、無機化合物系のブロッキング防止剤や有機化合物系のブロッキング防止剤を用いることができる。無機化合物系のブロッキング防止剤としては、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩等が挙げられる。酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化
チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。炭酸塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。硫酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。珪酸塩としては、例えば、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、アルミノ珪酸等が挙げられる。また、無機化合物系のブロッキング防止剤として例えば、カオリン、タルク、珪藻土等を用いることもできる。有機化合物系のブロッキング防止剤としては、例えば、高密度ポリエチレン、分子量300000以上の超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル系樹脂等の微粉末等を用いることができる。ブロッキング防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ブロッキング防止剤を配合する場合、各層の樹脂成分100質量部に対して、例えば0.01質量部〜3質量部の割合で配合することができる。
本発明のフィルムを製造する際には、まず、基材層及びシール層を構成するための各樹脂組成物を調製し、次いで、各樹脂組成物を、例えばTダイ共押出機、インフレーション共押出機等を使用して共押出成形して、基材層とシール層との2層の共押出積層フィルムからなるイージーピールシーラントを製造することができる。
シール層の樹脂組成物の配合調製は、低密度ポリエチレンと混合する前に、予めm−PPとz−PPとを混合してもよいし、低密度ポリエチレンとm−PPとz−PPとを同時に混合して用いてもよい。
また、本発明のフィルムは、2層である場合に限定されない。共押出積層フィルムは、少なくとも基材層とシール層とを有していればよく、目的、用途等に応じて、3層以上の多層のものを用いてもよい。3層以上にする場合は、例えば、基材層及びシール層を構成するための各樹脂組成物と共に、1又は複数の他の樹脂組成物を共押出成形して、1又は複数の他の樹脂組成物層が更に積層された共押出積層フィルムを製造することができる。
本発明のフィルムの総厚は格別限定されないが、例えば、20μm〜70μmの範囲、好ましくは30μm〜50μmの範囲とすることができる。
また、各層の層厚は格別限定されないが、基材層の層厚は、例えば、17μm〜40μmの範囲、好ましくは25μm〜35μmの範囲とすることができ、シール層の層厚は、3μm〜30μmの範囲であることが好ましく、3μm〜15μmの範囲であることが更に好ましい。
基材層の層厚が17μm以上であると、製膜安定性が良好であり、また40μm以下であると、材料コストを削減でき、減量化を達成でき、環境への適合性も高くなり、更にオーバースペックになることが回避される。シール層の層厚が3μm以上であることにより、製膜安定性の振れがより確実に防止され、ヒートシールの安定性が向上し、また30μm以下であることにより、糸引き等の発生がより確実に防止され、剥離外観が更に良好になる。
以上に説明した本発明のフィルムの基材層は、蓋材としての強度、裂け耐性、いわゆる腰に大きく寄与する。また、シール層は、シール強度(剥離強度、開封強度)、剥離状態(剥離面の美麗性)、利便性等の作用効果を奏する。
以上に説明したように、本発明のフィルムは、密閉性に優れていると共に、易開封性に優れたヒートシール性樹脂層としての性能を有し、包装用材料を構成するヒートシール性材料として好適に用いられる。
本発明のフィルムを、例えば基材シートと任意に積層して、種々の形態からなる積層材を製造することができる。基材シートの種類は格別限定されず、例えば、プラスチックフィルム、紙、酸素ガス又は水蒸気等の透過を阻止するバリア性基材、セロハン、織布又は不織布、ガラス板等が挙げられ、これらの1種又は2種以上と任意に積層することができる。例えば、かかる積層材を製袋して包装用袋等を構成することができる。また、例えば、かかる積層材によって蓋材を構成することができる。積層材の用途は、包装用材料に限定されず、種々の用途に適用することができる。
特に本発明のフィルムは、ヒートシール材として、ヒートシール性に優れ、その密封性を十分に満足し得るものであって、充填される物品の品質保護、保存期間延長等を図ることができる。また、易開封性に優れるため、消費時に包装用袋を容易に開封することができる。更に、剥離界面において糸引等の発生が防止され、美麗な剥離界面を形成することができ、種々のプラスチック成形容器用の蓋材として好適である。
次に、本発明のフィルムを使用した積層材について更に詳しく説明する。積層材は、本発明のイージーピール性シーラントフィルムに、基材シート(単に基材ともいう)を積層してなる。積層材は、上述したように包装用袋や蓋材等のような包装用材料等として好適に用いられる。
積層材は、例えば、ドライラミネート積層法や押出ラミネート積層法によって製造することができる。ドライラミネート積層法では、プライマー剤層又はラミネート用接着剤層等を介して、プラスチックチフィルム等からなる基材を積層することができる。押出ラミネート積層法では、プライマー剤層又はアンカーコート剤層等を介して、樹脂等を溶融押出して基材を積層することができる。積層材を製造する方法は、これらに限定されず、基材を積層できるものであればよい。
積層材を構成する基材シートは、包装用袋、蓋材等の包装用材料等を構成する基本素材又は補助素材であり得る。そのため、基材シートは、機械的性質、物理的性質、化学的性質等に優れることが好ましい。具体的には、基材シートとしては、例えば、強度、強靱性、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、透明性等に優れたものを用いることができる。
上記のような観点で、基材シートは、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムは、例えば、一軸方向又は二軸方向に延伸されていてもよいし、未延伸でもよい。
樹脂フィルムの厚さは格別限定されないが、強度、耐突き刺し性、剛性等を向上する観点では、ある程度の厚さを有することが好ましく、コストを抑える観点では、ある程度の薄さを有することが好ましい。これらの観点から、樹脂フィルムの厚さは、例えば10μm〜100μm、好ましくは12μm〜50μm、より好ましくは9μm〜30μmとすることができる。
樹脂フィルムは、特に、二軸延伸ポリエステル系樹脂、二軸延伸ポリアミド系樹脂、又は、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂のフィルムであることが好ましい。
基材シートは、上述した樹脂フィルムに限定されない。基材シートとして、例えば、紙
基材を用いてもよい。紙基材を用いることによって、賦型性、耐屈曲性、剛性等を付与することができる。紙基材として、例えば、強サイズ性の晒又は未晒の紙基材を用いることができる。また、例えば、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材を用いることもできる。
紙基材によって構成される紙層は、例えば、坪量が80〜600g/m、好ましくは100〜450g/mであることが好ましい。
紙基材を用いる場合は、該紙基材を基材シートとして単独で用いることができる。また、紙基材を、上述した樹脂フィルム等と積層して基材シートとすることができる。
基材シートには、例えば、太陽光等の光を遮光する性質、又は、水蒸気、水、酸素等のガス等を透過しない性質等を有する材料等を使用できる。このような性質が付与された基材シートは、単体の基材でもよいし、複数種の基材を組み合わせてなる複合基材等でもよい。
例えば、ガスバリア性を有する酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルム、水蒸気、水等に対するバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等からなる樹脂フィルム、ガスバリア性を有するポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロンMXD6等からなる樹脂フィルム、遮光性を付与するための添加剤を樹脂中に分散してなる樹脂フィルム等を使用することができる。遮光性を付与するための添加剤は格別限定されず、顔料等の着色剤等が挙げられる。
これらの材料は、一種又は複数種を組み合わせて使用することができる。
上述したフィルムの厚さは格別限定されず、例えば5μm〜300μm、好ましくは10μm〜100μmとすることができる。
上述した無機酸化物の蒸着膜の厚さは格別限定されないが、十分なガスバリア性を得る観点では、例えば100Å〜2000Å、好ましくは200Å〜1500Åとすることができる。薄膜層の厚さが2000Å以下、好ましくは1500Å以下であることによって、蒸着膜にクラック等が入ることが防止され、ガスバリア性を安定して発揮でき、材料コストを抑えることもできる。また、薄膜層の厚さが200Å以上、好ましくは100Å以上であることによって、ガスバリア性を好適に発揮できる。
蒸着膜を支持する樹脂フィルムを構成する樹脂は格別限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等が挙げられる。
蒸着膜を構成する無機酸化物は格別限定されず、例えば、ケイ素酸化物(SiOx)、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム等が挙げられる。また、無機酸化物は、一酸化ケイ素と二酸化ケイ素との混合物、あるいはケイ素酸化物と酸化アルミニウムとの混合物等のような2種以上の混合物であってもよい。
蒸着膜は、例えば、イオンビーム法、電子ビーム法等の真空蒸着法、スパッタリング法等によって形成することができる。
また、基材シートは、充填包装される物品に含まれる香料成分等の吸着が少なく保香性に富み、更に、変味、異臭等を生じない性質を有する樹脂フィルムであることが好ましい。
このような樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメタクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂若しくはそのエチレン成分及び/又はテレフタレート成分の一部を他の2価又は3価以上の多価アルコール成分又はジカルボン酸成分で共重合又は変性した樹脂あるいはポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、又は、ポリエステル系樹脂等を好ましく用いることができる。これにより、保香性を有すると共に、酸素ガス又は水蒸気等に対するバリア性を良好に付与できる。
包装用容器、蓋材等が、物理的あるいは化学的に過酷な条件に晒されることを想定すると、包装材料には高い包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性等の種々の条件が要求される。従って、上記のような諸条件を充足する材料を選択して使用することが好ましい。
このような観点から、材料は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等から選択されることが好ましい。選択された1種又は2種以上の材料によって、樹脂フィルムを構成することができる。
また、基材シートには、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用できる。
樹脂フィルム等のフィルムは、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等の何れであってもよい。
上述した積層材を構成する何れかの層の表面、裏面又は両面には、任意の印刷層を設けることができる。
印刷層は、例えば、基材フィルムの上に設けられる。この場合、基材フィルムの上に、例えば、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる印刷模様を印刷して、印刷層を形成することができる。
印刷層は、インク組成物によって形成することができる。インク組成物は、例えば、樹
脂等の1種又は2種以上からなるインク用ビヒクルを主成分とすることができる。インク組成物には、染料・顔料等の着色剤を配合することができる。また、必要に応じて、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種又は2種以上を配合することができる。また、インク組成物は、溶媒、希釈剤等を配合することによって、充分に混練して調製することができる。印刷方法は格別限定されず、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等が挙げられる。
インク用ビヒクルは格別限定されず、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル又はメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム等から選択される1種又は2種以上を使用できる。
上述した積層材に設けることができるラミネート用接着剤層は、ラミネート用接着剤によって形成することができる。ラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマートの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられる。
接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等の何れの組成物形態でもよい。また、接着剤の性状は、フィルム状、シート状、粉末状、固形状等の何れの形態でもよい。更に、接着剤の接着機構は、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等の何れでもよい。
接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法、又は、印刷法等によって付与できる。接着剤のコーティング量は、乾燥状態で例えば0.1〜10g/mとすることができる。
上述した積層材に設けることができるアンカーコート剤層は、アンカーコート剤によって形成することができる。アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等が挙げられる。アンカーコート剤は水性、油性の何れでもよい。
アンカーコート剤は、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等のコーティング法を用いて付与できる。アンカーコート剤のコーティング量は、乾燥状態で、例えば0.1〜5g/mとすることができる。
上述した押出ラミネート積層法における溶融押出樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酸変性ポリエチレン系樹脂、酸変性ポ
リプロピレン系樹脂、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体、サーリン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂から選択される1種又は2種以上を使用することができる。
押出ラミネート積層法において、より強固な接着強度を得る観点で、例えば、上述したアンカーコート剤等のアンカーコート剤層を介して、積層することができる。
上述したプライマー剤層は、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体又は変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物(プライマーコート剤)によって形成することができる。
プライマーコート剤は、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等のコーティング法を用いて付与できる。プライマーコート剤のコーティング量は、乾燥状態で例えば0.1〜10g/mとすることができる。
以上に説明した積層を行う際には、必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができる。
次に、積層材を使用して包装用袋を製袋する方法について説明する。製袋に際しては、積層材の内層を形成するイージーピールシーラントの面を対向させるように折り重ね、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成することによって、包装用袋を製袋することができる。あるいは、積層材の内層を形成するイージーピールシーラントの面を対向させるように二枚の積層材を重ね合わせ、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成することによって、包装用袋を製袋することができる。
周辺端部のヒートシールには、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型等の形態を用いることができる。
また、積層材を使用して例えば自立性包装袋(スタンディングパウチ)等を製造することもできる。更に、積層材を使用してチューブ容器等を製造することもできる。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等を用いることができる。
包装用袋には、必要に応じて、例えば、ワンピースタイプ、ツーピースタイプ等の注出口、あるいは開閉用ジッパー等を設けることができる。
包装用容器が、紙基材を含む液体充填用紙容器である場合には、まず、積層材として、紙基材を積層した積層材を製造する。次いで、該積層材によって紙容器を製造するためのブランク板を製造する。次いで、該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、液体充填用紙容器を製造することができる。液体用紙容器は、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプ、ゲーベルトップタイプ等であり得る。
積層材は、例えばプラスチック成形容器の開口部を密封する蓋材としても使用することができる。
プラスチック成形容器を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリアクリル系あるいはポリメチルメタクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等が挙げられる。このような樹脂を、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、発泡成形、真空・圧空等の熱成形、注型成形、圧縮成形等の成形加工法によって成形して、プラスチック成形容器を製造することができる。
蓋材とプラスチック製成形容器とのヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等を用いることができる。
プラスチック製成形容器内に充填包装される物品としては、例えば、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、洗剤、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品等が挙げられる。
以上のようにして製造した包装用袋には、例えば、飲食品、果汁、ジュース、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、液体スープ、調味料、その他等の各種の飲食料品、接着剤、粘着剤、液体洗剤等の化成品又は化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、感光性材料等の物品を充填包装することができる。
自立性袋は、例えば、液体飲食物あるいは水分等を含む飲食物等を充填包装する用途に用いることができる。具体例として、例えば、醤油、ソース、スープ等を充填包装する自立性袋、生菓子等を充填包装する自立性袋、冷凍食品を充填包装する包装用袋、あるいは、ボイルされた食品あるいはレトルト食品等を充填包装する自立性袋等が挙げられる。
例えば、製造された自立性袋の開口部から、例えば、飲食品等の物品を充填し、次いで、開口部をヒートシールしてシール部を形成し、更に、必要に応じて、例えば、ボイル処理、レトルト処理等を施して、包装製品を製造することができる。
自立性袋は、例えば、産業材料を充填包装する用途にも用いることができる。産業材料としては、例えば、フィルム、感光剤等のような感光性材料等の物品が挙げられる。
本発明のフィルムは、ヒートシール材として、ヒートシール性に優れ、その密封性を十分に満足し得る。また、充填される物品の品質の保護、保存期間の延長等の要求を好適に満たすことができる。更に、易開封性に優れ、消費時に蓋材あるいは包装用袋を容易に開封できる易開封性を有する。更に、剥離界面における糸引等を防止でき、美麗な剥離界面を形成することができる。本発明によれば、これらの効果を、高温領域側の幅広いヒートシール温度範囲にわたって発揮することができる。
m−PP、z−PP、及び、低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物は、幅広いヒートシール温度範囲に対応できるため、ヒートシール用樹脂組成物として、ヒートシールを形成する種々の用途に汎用性高く用いられる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
1.樹脂組成物の調製
まず、イージーピール性シーラントフィルムを構成するための基材層用及びシール層用の樹脂組成物を下記のようにして調製した。
〔基材層用の樹脂組成物〕
低密度のポリエチレン−α・オレフィン共重合体(密度=0.923g/cm、MFR=1.5g/10分)を用いた。
〔シール層用の樹脂組成物〕
メタロセン触媒を用いて製造したポリプロピレン(m−PP、密度=0.900g/cm、MFR=7.0g/10分)55質量%と、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造したポリプロピレン(z−PP、密度=0.900g/cm、MFR=20g/10分)20質量%と、低密度ポリエチレン(LDPE、密度=0.924g/cm、メルトフローレート、MFR=0.7g/10分)25質量%とを充分に混練してシール層用の樹脂組成物を得た。
ここで、シール層を構成するPPとLDPEの組成比(質量%)は75:25である。
また、ポリプロピレン(PP)は、m−PPとz−PPの組成比(質量%)73:27である。
2.イージーピール性シーラントフィルムの作製
上記で調製した各樹脂組成物を、2種2層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、基材層を25μm、シール層を5μmにそれぞれ共押出して製膜して、総厚30μmの共押出インフレーションフィルムからなるイージーピール性シーラントフィルムを得た。総厚および層厚は、Mitsutoyo社製「シックネスゲージ」により測定された値である。
3.蓋材の作製
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族イソシアネート)を、グラビアロールコート法を用いてコーティングし、厚さ3.0g/m(乾燥状態)のラミネート用接着剤層を形成した。次いで、該ラミネート用接着剤層の面に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせて、その両者をドライラミネートした。次いで、上記によりドライラミネートされた2枚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの他方のコロナ処理面に、上記と同様にして2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤をコーティングし厚さ3.0g/m(乾燥状態)のラミネート用接着剤層を形成した。次いで、該ラミネート用接着剤層の面に、上記により得られたイージーピールシーラントの基材層の表面(コロナ処理済み)を対向させて重ね合わせ、ドライラミネートして、蓋材を得た。
4.包装体の作製
ポリプロピレンからなるカップ状成形容器に水を充填し、次いで、その開口部のフランジ部の表面に、上記により得られた蓋材のシール層の表面を対向させて重ね合わせてシール幅5mmでヒートシールし、包装体を得た。このとき、ヒートシール温度は、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、180℃及び200℃の各温度に設定した。ヒートシール時の圧力は0.2MPa、時間は1秒に設定した。
作製された包装体は、内容物の漏れ、蓋材の破れ等は認められなかった。
(実施例2)
実施例1において、シール層用の樹脂組成物を下記に代えたこと以外は、実施例1と同様にした。
作製された包装体は、内容物の漏れ、蓋材の破れ等は認められなかった。
〔シール層用の樹脂組成物〕
m−PP(密度=0.900g/cm、MFR=7.0g/10分)37.5質量%と、z−PP(密度=0.900g/cm、MFR=20g/10分)37.5質量%と、LDPE(密度=0.924g/cm、MFR=0.7g/10分)25質量%とを充分に混練してシール層用の樹脂組成物を得た。
ここで、シール層を構成するPPとLDPEの組成比(質量%)は75:25である。
また、PPは、m−PPとz−PPの組成比(質量%)50:50である。
(実施例3)
実施例1において、シール層用の樹脂組成物を下記に代えたこと以外は、実施例1と同様にした。
作製された包装体は、内容物の漏れ、蓋材の破れ等は認められなかった。
〔シール層用の樹脂組成物〕
m−PP(密度=0.900g/cm、MFR=7.0g/10分)25質量%と、z−PP(密度=0.900g/cm、MFR=20g/10分)50質量%と、LDPE(密度=0.924g/cm、MFR=0.7g/10分)25質量%とを充分に混練してシール層用の樹脂組成物を得た。
ここで、シール層を構成するPPとLDPEの組成比(質量%)は75:25である。また、PPは、m−PPとz−PPの組成比(質量%)33:67である。
(実施例4)
実施例1において、シール層用の樹脂組成物を下記に代えたこと以外は、実施例1と同様にした。
作製された包装体は、内容物の漏れ、蓋材の破れ等は認められなかった。
〔シール層用の樹脂組成物〕
m−PP(密度=0.900g/cm、MFR=7.0g/10分)37.5質量%と、z−PP(密度=0.900g/cm、MFR=26g/10分)37.5質量%と、LDPE(密度=0.924g/cm、MFR=0.7g/10分)25質量%とを充分に混練してシール層用の樹脂組成物を得た。
ここで、シール層を構成するPPとLDPEの組成比(質量%)は75:25である。また、PPは、m−PPとz−PPの組成比(質量%)50:50である。
(比較例1)
実施例1において、シール層用の樹脂組成物を下記に代えたこと以外は、実施例1と同様にした。
作製された包装体は、内容物の漏れ、蓋材の破れ等は認められなかった。
〔シール層用の樹脂組成物〕
m−PP(密度=0.900g/cm、MFR=7.0g/10分)75質量%と、LDPE(密度=0.924g/cm、MFR=0.7g/10分)25質量%とを充分に混練してシール層用の樹脂組成物を得た。
(比較例2)
実施例1において、シール層用の樹脂組成物を下記に代えたこと以外は、実施例1と同様にした。
作製された包装体は、内容物の漏れ、蓋材の破れ等は認められなかった。
〔シール層用の樹脂組成物〕
m−PP(密度=0.900g/cm、MFR=7.0g/10分)75質量%と、LDPE(密度=0.920g/cm、MFR=0.3g/10分)25質量%とを充分に混練してシール層用の樹脂組成物を得た。
<測定及び評価方法>
実施例1〜4及び比較例1〜2で製造したフィルム、それらフィルムを用いて作製した蓋材及び包装体について、下記物性を測定乃至評価した。
(1)シール層の層厚の測定
実施例1〜4及び比較例1〜2のシール層の層厚は、何れも5μmであった。
(2)剥離強度の測定
シール幅5mmでヒートシールした包装体について、フランジ部から蓋材を剥離して開封する際の剥離強度(開封強度、シール強度、単位:N)を引張試験機で300mm/minの条件で測定し、その結果を表1に示した。
(3)剥離外観の評価
包装体から蓋材を剥離した後の剥離面の外観について、下記評価基準に基づいて3段階で評価し、その結果を表1に示す。
〔評価基準〕
○:きれいな剥離痕が残る
△:剥離痕が残るが不十分
×:剥離痕が残らない又は膜引き(糸引き)等を起こし外観が悪い
Figure 0006757771
<評価>
表1より、実施例1〜4は、広いヒートシール温度範囲において優れた易開封性等を持ち、特にヒートシール温度で180℃以上の温度範囲においても剥離外観が良く、安定した剥離強度(開封強度、シール強度)を達成することがわかる。他方、比較例1〜2は高温でヒートシールした試験ではイージーピール性が不十分であり、具体的には、180℃以上のヒートシールの場合は剥離外観が美麗でなく、また200℃のヒートシールでは剥離強度が過大となった。
本発明に係るイージーピール性シーラントフィルムは、ヒートシール材として、ヒートシール性に優れ、その密封性を十分に満足し得るものであって、充填される物品の品質保護、保存期間延長等を図ることができる。また、易開封性に優れ、消費時に包装用袋を容易に開封することができ、更に、剥離面において糸引き等の発生が防止され、美麗な剥離面を形成することができるため、種々のプラスチック成形容器用蓋材等として適用できる。
特に、ヒートシールの対象物がポリプロピレン製容器である場合に、良好なヒートシール性及びイージーピール性が得られるヒートシール設定温度範囲が広いので、ヒートシール製造条件に振れや変動があっても、安定して包装体を製造できる点で利用性が高い。また、ボイル、レトルト処理にも対応が出来る点から、種々の内容物包装に利用できる。
1:イージーピールシーラント
11:基材層
12:シール層
2:基材シート
21:印刷層
3:蓋材
4:プラスチック成形容器
41:フランジ部
5:包装製品
22:ガスバリア性基材層

Claims (6)

  1. 少なくとも基材層とシール層とを有する共押出積層フィルムであり、
    前記基材層は、低密度ポリエチレンからなり
    前記シール層は、60〜90質量%のポリプロピレンと、メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分である40〜10質量%の低密度ポリエチレンとからなる樹脂組成物で構成され、
    前記プロピレンは、20〜80質量%のメタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン(m−PP)と、80〜20質量%のチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたポリプロピレン(z−PP)とからなる
    ことを特徴とするイージーピール性シーラントフィルム。
  2. 前記基材層と前記シール層の2層からなる請求項1に記載のイージーピール性シーラントフィルム。
  3. 前記m−PPのメルトフローレート(MFR)が2.0〜10g/10分であり、前記z−PPのメルトフローレート(MFR)が5.0〜30g/10分である請求項1または2に記載のイージーピール性シーラントフィルム。
  4. 前記シール層の層厚が、3μm〜30μmである請求項1〜3の何れかに記載のイージーピール性シーラントフィルム。
  5. 請求項1〜の何れかに記載のイージーピール性シーラントフィルムを用いて構成する包装体。
  6. 請求項1〜の何れかに記載のイージーピール性シーラントフィルムと、容器のポリプロピレン樹脂層とを対応して密封してなる包装体。
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