JP2018075746A - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 表面層となるように設けられたシーラント層を、少なくとも備え、
前記シーラント層が、80〜110℃の融点を有する樹脂を含む、多層フィルム。
[2] 前記樹脂が、ポリエチレン系樹脂のうち、いずれか1以上を含む、[1]に記載の多層フィルム。
[3] 前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンの単独重合体、及びエチレン系コポリマーを含む、[2]に記載の多層フィルム。
[4] 前記エチレン系コポリマーが、アイオノマー樹脂を含む、[3]に記載の多層フィルム。
[5] 前記シーラント層を構成する全樹脂中、前記ポリエチレン系樹脂の含有量が30〜100質量%である、[2]乃至[4]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[6] 前記シーラント層と隣接するように設けられ、ポリエチレン系樹脂を含む基材層を備える、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[7] 前記基材層が、低密度ポリエチレン樹脂である、[6]に記載の多層フィルム。
[8] 前記シーラント層と前記基材層との厚みの比が、1:2〜1:25の範囲である、[6]又は[7]に記載の多層フィルム。
[9] 105〜135℃の範囲で、ポリエチレン製の不織布とヒートシールが可能である、[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[10] [1]乃至[9]のいずれか一項に記載の多層フィルムと、ポリエチレン製の不織布と、を備え、
前記多層フィルムのシーラント層の少なくとも一部が前記不織布の表面にヒートシールされた、包装体。
[11] 前記多層フィルムと前記不織布とのシール強度が、150〜600(g/25mm)である、[10]に記載の包装体。
先ず、本発明を適用した一実施形態である多層フィルムの構成について説明する。図1は、本発明を適用した一実施形態である多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム1は、表面層に設けられたシーラント層2と、シーラント層2と隣接するように設けられた基材層3と、基材層3上に積層された他の樹脂層とを備えて、概略構成されている。本実施形態の多層フィルム1は、包装体、特に医療用包装体の底材用のフィルムとして用いることができる。
シーラント層2は、接合の対象となる不織布等とヒートシールによって接合するとともに、易開封性を付与するために設けられた樹脂層である。シーラント層2は、80〜110℃、好ましくは、95〜110℃の融点を有する樹脂を含む。樹脂の融点が上記範囲の下限値以上であると、夏場等、高温環境においてもべとつくことがなく、且つ、105〜135℃の範囲で、ポリエチレン製の不織布とヒートシールが可能となる。一方、上記範囲の上限値以下であると、例えばポリエチレン製不織布と接合した後、剥離する際に該ポリエチレン製不織布の繊維が裂けることを抑制することができる。
基材層(コア層ともいう)3は、多層フィルム1に柔軟性を付与することを目的として、上述したシーラント層2と隣接するように設けられた樹脂層である。基材層3に用いることが可能な樹脂としては、上記機能を付与することが可能な樹脂であれば特に制限されないが、ポリエチレン系樹脂が挙げられる。
接着性樹脂層4は、上述したシーラント層2と基材層3との層間以外の、多層フィルム1を構成する各樹脂層の層間強度を高めるために設けられた樹脂層である。
耐ピンホール層5は、多層フィルム1に耐ピンホール性を付与するために設けられた樹脂層である。耐ピンホール層5は、耐ピンホール性を向上させる観点から、ポリアミド樹脂を含むものが好ましい。耐ピンホール層5に含まれるポリアミド樹脂としては、例えば、4−ナイロン、6−ナイロン、7−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、66−ナイロン、69−ナイロン、610−ナイロン、611−ナイロン、612−ナイロン、6T−ナイロン、6Iナイロン、6−ナイロンと66−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66)、6−ナイロンと610−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと611−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと12−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/12)、6−ナイロンと612ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと6T−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと610−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと12−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6−ナイロンと66−ナイロンと612−ナイロンのコポリマー、66−ナイロンと6T−ナイロンのコポリマー、66−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、6T−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、及び66−ナイロンと6T−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー等が挙げられる。中でも、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易性の点から、6−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12、及びナイロン6/66/12等が好ましい。
本実施形態の多層フィルム1は、上述したシーラント層2及び基材層3中に、必要に応じて滑り性やブロッキングを防止、防曇性を付与する目的で適宜、公知の滑剤や添加剤を付与してもよい。滑り性やブロッキング防止の目的では、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の有機系滑剤、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機系滑剤を挙げることができる。また、防曇性を付与する為には、既に公知の界面活性剤等を適宜使用することができる。
次に、上述した多層フィルム1の製造方法の一例について説明する。
上述した多層フィルム1の製造方法は、特に限定されるものではないが、数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法やマルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法、及びラミネート法が挙げられる、この中でも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
次に、上述した多層フィルム1を用いた、包装体の一例について説明する。
本実施形態の包装体は、上述した多層フィルム1と、ポリエチレン製の不織布とを備え、多層フィルム1のシーラント層2の少なくとも一部が不織布の表面にヒートシールされている。
(実施例1)
図1に示す構成の多層フィルムを、以下の手順で作製した。
先ず、耐ピンホール層に含まれる樹脂として、ナイロン(宇部興産株式会社製、品番:1022B)を用意した。
また、接着性樹脂層(以下、単に「接着層」という)に含まれる樹脂として、接着性ポリエチレン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:NF536)を用意した。
また、基材層に含まれる樹脂として、ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:F522)を用意した。
また、シーラント層に含まれる樹脂として、融点98℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂(東ソー株式会社製、品番:ウルトラセン537)を用意した。
シーラント層に含まれる樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂(東ソー社製、品番:ウルトラセン540)と、メタロセン触媒直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:ユメリット1520F)とを用意し、これらを(75:25の割合)となるように混合(混練)した。混合後の樹脂の融点は、94℃と99℃であった。
次に、上記実施例1と同様にして、8総構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。また、得られたフィルムの各層の厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚みは100μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、融点が98℃のエチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂(三井・デュポン社製、品番:ニュクレルNO908C)を用意した。
次に、上記実施例1と同様にして、8層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。また、得られたフィルムの各層の厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚みは120μmであった。
実施例1から基材層を抜いた以外は、上記実施例1と同様にして、7層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。また、得られたフィルムの各層の厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚みは105μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、非晶性(融点なし)のPET樹脂(イーストマンケミカル社製、品番:GN071)を用意した。
次に、下記表1に示すように、Ny/接着層/Ny/接着層/Ny/接着層/シーラント層の順の7層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。また、得られたフィルムの各層の厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚みは120μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、融点183℃のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂(クラレ社製、品番:J171B)を用意した。
次に、下記表1に示すように、Ny/接着層/Ny/接着層/Ny/接着層/シーラント層の順の7層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。また、得られたフィルムの各層の厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚みは120μmであった。
先ず、実施例及び比較例で得られた多層フィルムについて、MULTIVAC社深絞包装機(R535)を用い、成形温度95℃、絞り深さ1cmで成形して底材とした。次に、蓋材として医療用包装材(デュポン社製、「タイベック(登録商標)1073B」)を用意し、底材と蓋材とを下記のヒートシール条件でそれぞれシールして包装体の評価サンプルを作製した。
・シール圧力:4.5kgf/cm2(0.45MPa)
・シール時間:2秒
・シール温度:100,105,110,115,120,125,130,135,140℃(5℃間隔にて、9条件)
実施例及び比較例で得られた包装体の全ての評価サンプルについて、ヒートシール性(シール強度)、及び剥離性の評価を行った。
ヒートシール性の評価は、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、TENSILON RTG−1310)を用いて、シール幅25mmでのシール強度を測定することにより行った。表1に、実施例及び比較例について、各シール温度で作製した評価サンプルのシール強度を示す。
剥離性の評価は、評価サンプルとなる包装体の蓋材と底材とを引き剥がすことにより行った。評価は、引き剥がした後の蓋材と底材との剥離面をそれぞれ観察し、下記の基準によって判定した。表1に、実施例及び比較例について、各シール温度で作製した評価サンプルの剥離性の評価結果を示す。
○判定:蓋材が破れない、かつ底材に繊維の付着がない
△判定:蓋材が破れないが、底材に一部繊維の付着がある
×判定:蓋材が破れる、あるいは底材に繊維の付着がある
また、比較例2では、底材として用いた多層フィルムのシーラント層が183℃の融点を有する樹脂を含む構成であるため、全てのシール温度の評価サンプルにおいて、ヒートシール性及び剥離性に問題が生じることが確認された。
2…シーラント層
3…基材層
4…接着性樹脂層
5…耐ピンホール層
Claims (11)
- 表面層となるように設けられたシーラント層を、少なくとも備え、
前記シーラント層が、80〜110℃の融点を有する樹脂を含む、多層フィルム。 - 前記樹脂が、ポリエチレン系樹脂のうち、いずれか1以上を含む、請求項1に記載の多層フィルム。
- 前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンの単独重合体、及びエチレン系コポリマーを含む、請求項2に記載の多層フィルム。
- 前記エチレン系コポリマーが、アイオノマー樹脂を含む、請求項3に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層を構成する全樹脂中、前記ポリエチレン系樹脂の含有量が30〜100質量%である、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層と隣接するように設けられ、ポリエチレン系樹脂を含む基材層を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記基材層が、低密度ポリエチレン樹脂である、請求項6に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層と前記基材層との厚みの比が、1:2〜1:25の範囲である、請求項6又は7に記載の多層フィルム。
- 105〜135℃の範囲で、ポリエチレン製の不織布とヒートシールが可能である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の多層フィルムと、ポリエチレン製の不織布と、を備え、
前記多層フィルムのシーラント層の少なくとも一部が前記不織布の表面にヒートシールされた、包装体。 - 前記多層フィルムと前記不織布とのシール強度が、150〜600(g/25mm)である、請求項10に記載の包装体。
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