JP6652016B2 - 共押出多層フィルム、積層フィルムおよび医療用包装体 - Google Patents

共押出多層フィルム、積層フィルムおよび医療用包装体 Download PDF

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Description

本発明は、不織布および/または滅菌紙と複合して好適に使用され得る共押出多層フィルム、該不織布および/または滅菌紙と該共押出多層フィルムとの積層フィルム、ならびに、該積層フィルムを用いた医療用包装体に関する。
ガーゼ、注射器、手術用手袋等の医療用器具には、しばしば深絞り包装などの包装形態が採用されている。深絞り包装は図1に示すように、プラスチック製フィルムを熱成形して凹状の収納部(13)を形成させた底材(11)に、蓋材(12)を接着することで内容物(14)を包装している。通常、底材と蓋材とは、底材のシール層の融点以上でヒートシールすることで接着される。このような包装体には、包装体毎での滅菌保証および使用時に開封が容易であること、すなわち滅菌適性およびイージーピール性(易開封性)が要求されることが多い。
滅菌保証の観点では、蓋材にポリエチレン製不織布等の通気性を有する材料を用いることがしばしばある。蓋材が通気性を有するため、包装後に内容物のエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行うことができ、包装体毎の滅菌処理が可能となる。滅菌工程の手段としては他に放射線や高温高圧蒸気を用いた滅菌方法もあるが、滅菌装置導入コストが高い場合、もしくは包装材料であるプラスチック製フィルムの劣化懸念がある場合、ひいては内容物そのものが劣化懸念のあるプラスチック製である場合などにおいて、ガス滅菌ならではのメリットを活かすため、不織布および/または滅菌紙(以下、単に「不織布等」ということがある。)が用いられた包装体が市場に多く流通している。
しかしながら、一般的に不織布等は、その特異的な性質も相まって、プラスチック製フィルムと比較するとコストが高い場合も多いため、ガス滅菌工程において十分な通気性が確保できる面積分だけを、その包装体の一部に使用されることがある。そのような場合は、不織布等は深絞り包装体の蓋材の一部に使用される。その際、不織布等は蓋材フィルムと強固にヒートシールが為され、その一体となった蓋材(不織布等+蓋材フィルム)は、一般の深絞り包装機内で底材と合わせられ周縁部のヒートシールが行われる。
このような深絞り包装体に使用される蓋材フィルムには、不織布等に対する強固なシール性が要求され、蓋材のうち不織布等部分が底材フィルムとヒートシールされる場合には、底材フィルムに対するイージーピール性が要求される。また、底材フィルムには不織布等に対するイージーピール性が要求される。
一方、上述の要求事項の通り、医療用包装体は、その使用環境や使用状況から、イージーピール性を要求される場合がある。良好なイージーピール性が発現できない場合は、開封時に蓋材が破れて内容物が取り出しにくくなってしまったり、紙粉の発生により衛生度が低下してしまったりするという問題がある。
不織布等を使用した包装体にイージーピール性を付与するための従来の手法としては、不織布等へのコート処理が挙げられるが、不織布等へコート処理することによって製造コストがさらに高くなるといった問題があり、底材フィルム側へイージーピール性を付与するといった技術も開発されている。例えば、特許文献1には、深絞り包装体の底材として用いるフィルムのシール層に、マトリクスとなるポリマーと、当該ポリマーと非相溶のポリマーとを含有させ、シール層の凝集力を下げることでイージーピール性を付与することが記載されている。また、特許文献2には、界面剥離性を有するポリマー処方で不織布に対してイージーピール性を付与することが記載されている。
特開2014−019006号公報 特開2014−162162号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、不織布等を蓋材フィルムと組み合わせて蓋材の一部として使用する場合については検討されておらず、特許文献1に記載のフィルムを蓋材フィルムとして用いても、不織布等との強固なシール性は十分には得られなかった。
また、特許文献2に記載の技術は、不織布等に対し特化したイージーピール性を付与する技術であり、蓋材のうち不織布等の部分に対しては良好なイージーピール性を発現するものの、蓋材フィルムの部分に対してはイージーピール性能を発現しにくいといった問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その問題を解決するにあたって、蓋材の一部に不織布および/または滅菌紙を使用する場合の医療用包装体に着目し、開発を行った。すなわち、本発明の解決課題は、不織布および/または滅菌紙との強固なシール性と、底材フィルムとの所望のイージーピール性とを両立可能な共押出多層フィルム、ならびに、これを用いた積層フィルムおよび医療用包装体を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を採用すれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、50質量%を超え80質量%以下の主成分であるエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸無水物3元共重合体と、20質量%以上50質量%未満の副成分であるポリブテン−1系樹脂との2種類のみから構成される、厚み1μm以上20μm以下のシール層を有し、不織布および/または滅菌紙に積層して用いられる、共押出多層フィルムである。
本発明において、「不織布および/または滅菌紙に積層して用いられる」とは、共押出多層フィルムと不織布および/または滅菌紙とをヒートシールにより積層し、共押出多層フィルムと不織布および/または滅菌紙とを一体化させて用いることを意味する。
本発明の第1の態様において、上記主成分がエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元共重合体であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、上記シール層面に高密度ポリエチレン製不織布をヒートシールして行われる剥離試験において、上記高密度ポリエチレン製不織布が破断するか、または、シール強度が6.0N/15mm幅以上であり、上記シール層面に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをヒートシールして行われる剥離試験において、イージーピール強度が0.8N/15mm幅以上5.0N/15mm幅以下であることが好ましい。
本発明において、「シール強度」とは、高密度ポリエチレン製不織布(デュポン製「タイベック2FS」)の荒い側の面と本発明の第1の態様に係る共押出多層フィルム(以下、単に「本発明のフィルム」ということがある。)とをシール温度140℃、シール時間2秒、シール圧490kPa、シール幅10mmの設定条件でヒートシールし、そのシール部分を15mm幅の短冊状に切断し、23℃雰囲気下、引張試験機を用いて200mm/minの速度で高密度ポリエチレン製不織布と本発明のフィルムとを180度剥離させた時に測定される最大荷重を意味する。
また、「イージーピール強度」とは、C6タイプ直鎖状低密度ポリエチレンフィルム50μm厚と本発明のフィルムとをシール温度130℃、シール時間2秒、シール圧490kPa、シール幅10mmの設定条件でヒートシールし、そのシール部分を15mm幅の短冊状に切断し、23℃雰囲気下、引張試験機を用いて200mm/minの速度で直鎖状低密度ポリエチレンフィルムと本発明のフィルムとを180度剥離させた時に測定される最大荷重を意味する。
本発明の第1の態様に係る共押出多層フィルムは、上記シール層とポリアミド樹脂から構成される基層とを有することが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様に係る共押出多層フィルムの上記シール層側の面と、不織布および/または滅菌紙とが、部分的に重なりヒートシールされている積層フィルムである。
本発明の第3の態様は、上記本発明の第2の態様に係る積層フィルムを用いてなる医療用包装体である。
本発明の第3の態様に係る医療用包装体は、上記本発明の第2の態様に係る積層フィルムと、ポリエチレン系樹脂をシール層の主成分とするプラスチックフィルムとが、両フィルムの周縁部においてヒートシールされており、上記両フィルムの間に収容部が形成されていることが好ましい。
本発明の第3の態様において、上記プラスチックフィルムが、該プラスチックフィルムの上記シール層面に高密度ポリエチレン製不織布をヒートシールして行われる剥離試験において、イージーピール強度が0.8N/15mm幅以上5.0N/15mm幅以下であることが好ましい。
本発明によれば、不織布および/または滅菌紙との強固なシール性が確保でき、さらに底材フィルムとの良好なイージーピール性が発現するため、比較的高価な不織布および/または滅菌紙を特別なコート処理を必要とせず、包装体の一部にのみ使用することが容易となり、滅菌ガス等の通気性も良い易開封性包装体をより安価に提供することが可能となる。よって、本発明は特に、医療包装分野等において工業的価値が高い。
一般的な深絞り包装体を示す概略説明図である。 本発明の第2の態様の一実施形態に係る積層フィルム2を厚み方向に沿って切断したときの断面図である。 本発明の一実施形態に係る医療用包装体10の斜視図である。 図3のIV−IV線に沿った医療用包装体10の概略的断面図である。 図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ本発明の他の実施形態に係る医療用包装体20、30、40の斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る医療用包装体50の斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る医療用包装体60の斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る医療用包装体70の斜視図である。
以下、本発明の実施形態の一例としての共押出多層フィルム、積層フィルムおよび医療用包装体について説明する。但し、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
1.共押出多層フィルム
本発明の第1の態様に係る共押出多層フィルムは、50質量%を超え80質量%以下の主成分であるエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸無水物3元共重合体と、20質量%以上50質量%未満の副成分であるポリブテン−1系樹脂との2種類のみから構成される、厚み1μm以上20μm以下のシール層を有し、不織布および/または滅菌紙に積層して用いられる。
本発明において、シール層は凝集破壊性イージーピール層である。ここで、「凝集破壊性イージーピール」とは、深絞り包装体を開封する際に、シール層であるイージーピール層内で凝集破壊が起こり、蓋材と底材とが所望の強度で剥離し、シール層が蓋材側と底材側の両方に残ることをいう。
本発明の共押出多層フィルムのシール層は、主成分として、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸無水物との3元共重合ポリエチレン樹脂を50質量%を超え80質量%以下、好ましくは60質量%を超え80質量%以下、より好ましくは65質量%以上75質量%以下含み、副成分としてポリブテン−1系樹脂を20質量%以上50質量%未満、好ましくは20質量%以上40質量%未満、より好ましくは25質量%以上35質量%以下含むことにより構成される。
主成分と副成分とが上記範囲の比率(質量%)であることにより、イージーピール強度に関係するシール層内の凝集力を好適な強度とし易くなり、適度なイージーピール性を得易い。
ここで主成分を構成する不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミドなどを用いることができ;不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などの無水物を用いることができる。
上記種々の成分により構成される3元共重合ポリエチレン樹脂のうち、入手が容易なものとしては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル−無水マレイン酸3元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル−無水マレイン酸3元共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元共重合体が挙げられる。
3元共重合ポリエチレン樹脂のモノマー組成比は、特に限定されないが、不飽和カルボン酸エステルは10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%、不飽和カルボン酸無水物は1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%の共重合体が好適に用いられる。
また、シール層に用いるエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸無水物3元共重合体は、単成分でもよいし、2成分以上を混合させたものでもよい。
本発明において上記シール層の主成分の融点の上限が110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。一方、融点の下限は70℃以上でもあることが好ましい。主成分の融点が110℃以下であることにより、上記不織布等との良好なシール性を得易く、70℃以上であることにより、フィルム製膜時の巻取り工程や輸送保管時においてブロッキング等の発生が抑制される。またJIS K 7210に準ずる190℃、21.16N荷重の条件で測定したメルトフローレイト(MFR)は5g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは8g/10分以上である。5g/10分以上であることにより、ヒートシール工程における樹脂の流動性が不織布等に対して十分なアンカー効果をもたらし、所望のシール強度を発現し易い。
副成分を構成するポリブテン−1系樹脂は、ブテン−1の単独重合体であってもよく、他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。本発明において、ブテン−1と共重合させることができるα−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン等が挙げられ、これらは1種類のみを共重合させてもよいし、2種類以上を組み合わせて共重合させてもよい。中でもプロピレンとの共重合が、シール層の主成分に対する分散性、延いてはフィルムの凝集破壊性イージーピールが良好となり易い。
また、シール層に用いるポリブテン−1系樹脂は、単成分でもよいし、2成分以上を混合させたものでもよい。
本発明において、上記シール層の副成分の融点は、シール性の点から130℃以下が好ましい。また、JIS K 7210に準ずる190℃、21.16N荷重の条件で測定したメルトフローレイト(MFR)は、フィルム製膜安定性の点から1g/10分以上10g/10分以下が好ましい。
本発明のフィルムのシール層は、樹脂成分として、エチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸無水物3元共重合体とポリブテン−1系樹脂の2種類のみから構成されるが、イージーピール性を損なわない範囲で、無機フィラー、有機フィラー、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、または顔料等、各種添加剤が配合されていても良い。
シール層の厚みは、1μm以上20μm以下であり、下限は3μm以上が好ましく、上限は15μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。シール層の厚みが1μm以上であることによりフィルム製膜時の安定した厚み管理を行い易く、またヒートシールによる十分なシール強度を得易い。一方、シール層の厚みが20μm以下であることにより、良好な凝集破壊性イージーピールを発現し易い。更に15μm以下により、シール層の凝集破壊される樹脂量が多くなり過ぎないので、イージーピール剥離面の毛羽立ちや糸引き現象が起こり難くなり、外観や衛生上より好ましい。
高密度ポリエチレン製不織布と本発明のフィルムとは、包装体の滅菌保証、強度面の観点から強固に密着していることが好ましく、両者をヒートシールして行われる剥離試験において、剥離できず高密度ポリエチレン製不織布が破断するか、または、シール強度が6.0N/15mm幅以上であることが好ましく、8.0N/15mm幅以上であることがより好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンフィルムと本発明のフィルムとは、上記同様包装体の滅菌保証、強度面の観点から、必要十分に密着し且つ容易に剥離できることが望まれ、両者をヒートシールして行われる剥離試験において、イージーピール強度は、好ましくは0.8N/15mm幅以上、より好ましくは1.0N/15mm幅以上であり、好ましくは5.0N/15mm幅以下、より好ましくは3.0N/15mm幅以下である。
また、本発明のフィルムは、上記の条件を満たせば、直鎖状低密度ポリエチレンとは異なる他のポリエチレン系樹脂からなるフィルムや、他のポリエチレン系樹脂をシール層の主成分とするプラスチックフィルムと、ヒートシールした場合においても、イージーピール性を発現し易い。そのため、後述のとおり、本発明のフィルムと、ポリエチレン系樹脂をシール層の主成分とするプラスチックフィルムとが、両フィルムの周縁部においてヒートシールされており、両フィルムの間に収容部が形成されている医療用包装体を構成した場合に、良好なイージーピール性を示し、包装体の開封に役立つ。
本発明のフィルムは、シール層(イージーピール層)の他に、他の樹脂層を適宜設けることができる。
例えば、フィルムの基層としてポリアミド樹脂(PA)層を有すると、耐ピンホール性等のフィルム強度向上の点で好ましい。
また、柔軟性付与を目的として、ポリエチレン系樹脂層(PE層)および/またはエチレン−酢酸ビニル共重合体層(EVA層)をポリアミド樹脂層とシール層の間に設けたり、弾性率の向上を目的として、ポリプロピレン系樹脂層(PP層)をフィルムの表層に設けたりすることができる。更に、これら各層の層間密着性を十分にするために、接着樹脂層(AD層)を設けることができる。
ポリアミド樹脂(PA)は、特に限定されないが、例えば、6ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、6−66ナイロン、12ナイロン、11ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、6I−6Tナイロン、MXD6ナイロン、等の縮合単位の重合体又はこれら2種以上との共重合体、さらにはこれらの混合物が挙げられる。中でも耐ピンホール性向上効果の高い、6ナイロン、6−66ナイロン、12ナイロンを用いることが好ましい。また、異なる種のPA層を複数配設してもよい。
PA層の厚みは、耐ピンホール性とカット性との兼備の点から、下限は10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。また上限は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。PA層を複数層配設する場合は、合計厚みがこの範囲であることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂(PE)は、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)又はそれらの混合物が挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)は、特に限定されないが、フィルム製膜安定性の点から、エチレン含有率の下限は1.5モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましい。上限は20モル%以下が好ましく、15モル%以下がより好ましい。
PE層、EVA層の厚みは、両層配設する場合は合計厚みとして、柔軟性の点から、下限は10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。上限は100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。PE層、EVA層を両層配設する場合は、合計厚みがこの範囲であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(PP)は、特に限定されないが、プロピレンのホモポリマー、プロピレンと炭素数1〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体やブロック共重合体が挙げられる。
PP層の厚みは、フィルム剛性の点から、下限は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。上限は50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。
接着樹脂(AD)としては、各層間を十分接着できれば特に限定されないが、好ましくは、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂である。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
AD層の厚みは、下限は3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。上限は25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
また、各層には各々の特性を損なわない範囲で、無機フィラー、有機フィラー、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、または顔料等、各種添加剤が配合されていても良い。
以下に層構成の一例を示す。
(a)PA/AD/PE/イージーピール
(b)PP/AD/PA/AD/PE/イージーピール
(c)PA/AD/PA/AD/PE/イージーピール
(d)PA/AD/PA/AD/EVA/イージーピール
本発明に関する包装体の医療用途等においては、開封後のフィルムが内側に巻き込まれ、包装体の外面が包装体の内部に接触すると衛生上好ましくない。しかしながら、一般的な多層フィルムにおいては、層構成が非対称構成であると、各層の製膜時の残留応力の影響で、包装体を開封した際に少なからずカール現象が発生する。
ところが、本発明のフィルムにおいては、外層側にポリアミド12(PA12)を配した構成、例えば、PA12/AD/PA/AD/PE/イージーピールの層構成では、当該フィルムを蓋材フィルムとして用い包装体を作製すると、開封した際に蓋材のカール現象は全く起こらず、良好な特性を示す。
本発明のフィルムは、Tダイ法、チューブラー法などの公知の方法により、ダイを備えた押出機を用いて共押出することにより、前述の各層を同時に作製することも出来る。また、無延伸フィルムでも、一軸または二軸延伸フィルムでも良い。
更に、他のフィルムを、本発明のフィルムのシール層と反対側の面に、公知のプレス法、ロールニップ法、ドライラミネート法などを用いて積層しても良い。
2.積層フィルム
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様に係る共押出多層フィルムの上記シール層側の面と、不織布および/または滅菌紙とが、部分的に重なりヒートシールされている積層フィルムである。
「部分的に重なり」とは、共押出多層フィルムと不織布等とを全面的に重ねることはせずに、両者の一部分ずつを重ねることを意味する。また、複数箇所の部分を重ねても良い。
「部分的に重なり」の一例として図2を示す。図2は、本発明の第2の態様の一実施形態に係る積層フィルム2を厚み方向に沿って切断したときの断面図である。積層フィルム2においては、共押出多層フィルム2bのシール層側の面(図2において、紙面下側の面)と、不織布および/または滅菌紙2aとが、積層用ヒートシール部2cにおいて、部分的に重なりヒートシールされている。
本発明のフィルムのシール層とヒートシールされる不織布および/または滅菌紙は、通気性と容器への菌類の侵入を防止する特性(防菌性)とを発揮できるものであれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレン製不織布が好ましく用いられ、高密度ポリエチレン製不織布が特に好ましく用いられる。不織布および/または滅菌紙は、通気性と防菌性とを発揮しうる程度の小孔を有することが好ましく、例えば繊維太さは0.00001dtex以上20dtex未満で構成され、目付が10g/m以上500g/m未満であることが望ましい。
3.医療用包装体
本発明の第3の態様は、上記本発明の第2の態様に係る積層フィルムを用いてなる医療用包装体である。
本発明の第1の態様に係るフィルムは、事前の工程、もしくは深絞り包装機内で不織布および/または滅菌紙とヒートシールされて本発明の第2の態様に係る積層フィルムとなり、さらにガーゼ等の医療用具が収容された深絞り成型後の底材と、周縁部同士をヒートシールすることにより、深絞り形状を有する医療用包装体として用いることができる。特に、本発明の積層フィルムを深絞り包装体の蓋材として用い、不織布および/または滅菌紙をその一部に用いる場合、包装体ごとEOGガス滅菌工程を通すことで内容物を滅菌することができ、かつ高コストな不織布および/または滅菌紙を蓋材の一部にのみ使用することができるため、より安価に、ガス滅菌可能な医療用包装体を製造することが可能となる。
図3に、本発明の第3の態様の一実施形態に係る医療用包装体10を示した。また、図4には、図3のIV−IV線に沿った医療用包装体10の概略的断面図を示した。なお、図4では、積層フィルム2を構成する不織布および/または滅菌紙(不織布等)2aと共押出多層フィルム(蓋材フィルム)2bとを省略し、積層フィルム2を一つの部材として示している。図3、4に示すように、医療用包装体10は、開口部1aを有して略直方体状であるプラスチックフィルム(底材)1、および、不織布等2aと共押出多層フィルム(蓋材フィルム)2bとが積層用ヒートシール部2cにおいてヒートシールされてなる積層フィルム(蓋材)2を有する。プラスチックフィルム(底材)1と積層フィルム(蓋材)2とは、開口部1aを取り囲む密閉用ヒートシール部3においてヒートシールされており、両フィルムの間には収容部4が形成されている。
不織布等2aは通気性を有するため、不織布等2aのうち開口部1aにあたる通気部5を介して、医療用包装体10の容器内外へガスが流通することが可能になっている。よって、通気部5を通して、EOGガス等が容器内へ流入することにより、容器内部を容易に滅菌することができる。
本発明の医療用包装体に用いる底材の材料は、通常、プラスチックフィルムであり、蓋材との密封シール性の観点より、該プラスチックフィルムは、ポリエチレン系樹脂を主成分とすることが好ましい。プラスチックフィルムの構成は、単層でも多層でもよく、多層の場合はポリエチレン系樹脂を主成分とするシール層を有することが好ましい。
多層の場合は、生産性の点から共押出多層フィルムが用い易く、シール層の他に、基層としてポリアミド樹脂(PA)層やポリプロピレン系樹脂(PP)層を配するとフィルム強度が向上し、各層間に接着樹脂層を配すると層間密着性が向上し、好ましい。更に、ポリエチレン系樹脂(PE)層を適宜配することも可能である。
上記プラスチックフィルムのシール層の主成分であるポリエチレン系樹脂の種類は、特には限定されないが、本発明の積層フィルムに対して、積層フィルムのうち共押出多層フィルムとのシール箇所においても、不織布等とのシール箇所においても、所望のイージーピール性を得る点から、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)のアイオノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる樹脂から構成されていることが好ましい。中でも、EVA、EAA、EMAから構成されていることがより好ましい。
上記プラスチックフィルムのシール層の主成分であるポリエチレン系樹脂について、融点は、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。メルトフローレート(MFR)(JIS K 7210、温度190℃、荷重21.18N)は、下限が0.1g/10分以上であることが好ましく、1g/10分以上であることがより好ましく、2g/10分以上であることが更に好ましい。一方、メルトフローレートの上限は10g/10分以下であることが好ましく、5g/10分以下であることがより好ましい。融点及びメルトフローレートがこのような範囲であると、ヒートシールによる、共押出多層フィルムとの密着性の他、不織布等に対して溶着や含浸が適度に為され安定したイージーピール性が発現され易い。
更に、上記プラスチックフィルムは、高密度ポリエチレン製不織布とヒートシールして行われる剥離試験において、イージーピール強度が好ましくは0.8N/15mm幅以上、より好ましくは1.0N/15mm幅以上であり、好ましくは5.0N/15mm幅以下、より好ましくは3.0N/15mm幅以下である。
また、上述の通り、本発明の共押出多層フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをヒートシールして行われる剥離試験において、イージーピール強度が好ましくは0.8N/15mm幅以上、より好ましくは1.0N/15mm幅以上であり、好ましくは5.0N/15mm幅以下、より好ましくは3.0N/15mm幅以下である。
本発明の共押出多層フィルムがこのような条件を満たせば、底材フィルムとして、直鎖状低密度ポリエチレンとは異なる他のポリエチレン系樹脂からなるフィルムや、他のポリエチレン系樹脂をシール層の主成分とするプラスチックフィルムを用い、ヒートシールした場合においても、イージーピール性を発現し易い。
例えば、上記プラスチックフィルムが、PA/AD/LLDPE/EMAや、PE/AD/PA/AD/LLDPE/EVA、等の共押出多層フィルムの場合には、不織布等とヒートシールされた箇所の剥離において、プラスチックフィルムのシール層が界面剥離性イージーピールを発現し易く、好ましい。
従って、上記プラスチックフィルムと本発明の共押出多層フィルムとがこのような条件を満たすことにより、医療用包装体において、プラスチックフィルム(底材)と積層フィルム(蓋材)とのヒートシール部(医療用包装体10においては、密閉用ヒートシール部3)の開封が容易になる。具体的には、蓋材の積層フィルムのうち本発明の共押出多層フィルムと底材の上記プラスチックフィルムとがヒートシールされた箇所の剥離は、共押出多層フィルムのシール層のイージーピール機能により易剥離が起き易く、また、蓋材の積層フィルムのうち不織布等と底材の上記プラスチックフィルムとがヒートシールされた箇所の剥離は、上記プラスチックフィルムのイージーピール機能により易剥離が起き易く、包装体の開封が容易になる。
そして、本発明の医療用包装体によれば、図2符号2cの箇所においては、蓋材を構成する不織布および/または滅菌紙と共押出多層フィルム(蓋材フィルム)とは強固にシールされており、且つ、図2符号3の箇所においては、蓋材と底材とが容易に剥離し易いため、開封時に蓋材が破れて内容物が取り出しにくくなってしまったり、紙粉の発生により衛生度が低下してしまったりする虞がない。
本発明の医療用包装体は、図3に示す形態に限定されず、例えば、以下に説明する図5〜8に示す様な形態とすることも可能である。なお、図5〜8において、図3と同一若しくは同等の構成要素には同一符号を付す。
図5(a)、(b)、(c)に示す医療用包装体20、30、40は、上述の医療用包装体10と、蓋材2における不織布等2aの配置位置において相違する。すなわち、図5(a)に示す医療用包装体20においては、蓋材2の略中央部において開口部1aを横断するように、図5(b)に示す医療用包装体30においては、蓋材2の四隅のうちの一つの隅部を構成するように、図5(c)に示す医療用包装体40においては、蓋材2の略中心に円形の通気部5が形成されるように、不織布等2aが配置されている。
このように、本発明の医療用包装体において、不織布等2aを配置する位置および数は、ガスが流通する通気部5を形成すること可能な位置および数であれば特に限定されず、包装体の形状、内容物の形状、包装体内における内容物の位置、滅菌条件等に応じて、適宜設定することが可能である。例えば、図5(a)に示す例においては、不織布等2aが配置される位置を図5(a)の紙面左右方向にスライドさせてもよく、図5(b)に示す例においては、不織布等2aが複数の隅部を構成していてもよい。また、本発明の医療用包装体は、図5(c)に示す例のように、不織布等2aと底材1とがヒートシールされない形態であってもよい。また、図5(a)〜(c)に例示した不織布等2aの配置を複数組み合わせてもよい。
図6には、本発明のさらに他の実施形態に係る医療用包装体50を示す。医療用包装体50は、絞り度の浅いトレー型の底材1を有する。本形態に例示されるように、本発明の医療用包装体には、絞り度の浅い底材を採用してもよい。
図7には、本発明のさらに他の実施形態に係る医療用包装体60を示す。医療用包装体60は、本発明の積層フィルム2と他のフィルム6とを重ね合わせ、外周端部をヒートシールしてなる袋状の包装体である。本形態に例示されるように、本発明の医療用包装体は袋状(又は封筒型)であってもよい。また、2枚のフィルムとも、本発明の積層フィルムを用いてもよい。他のフィルムとして本発明の積層フィルム以外のフィルムを用いる場合の材料としては、上述の底材に用いる材料と同様の材料を用いることができる。
図8には、本発明のさらに他の実施形態に係る医療用包装体70を示す。医療用包装体70は、マチ部7を有するパウチ状の包装体であり、本発明の積層フィルム2と他のフィルム6とが一部においてマチ部7を介してヒートシールされている。本形態に例示されるように、本発明の医療用包装体はパウチ状であってもよい。また、2枚のフィルムとも、本発明の積層フィルムを用いてもよい。他のフィルムとして本発明の積層フィルム以外のフィルムを用いる場合の材料、および、マチ部の材料としては、上述の底材に用いる材料と同様の材料を用いることができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
各実施例、比較例に示す層構成の無延伸フィルムを共押出Tダイ法にて作製した。
実施例1:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール1(5μm)
PA: ナイロン6樹脂
AD: ポリオレフィン系接着樹脂
PE: 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE) 融点123℃
イージーピール1: エチレン3元共重合体(60質量%)+PB(40質量%)
エチレン3元共重合体: エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸3元共重合体 融点99℃ MFR8.5g/10分
PB: ポリブテン−1 融点124℃ MFR2g/10分
実施例2:
PA12(15μm)/AD(15μm)/PA(20μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール1(5μm)
PA12: ナイロン12
実施例3:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール2(5μm)
イージーピール2: エチレン3元共重合体(65質量%)+PB(35質量%)
実施例4:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール3(5μm)
イージーピール3: エチレン3元共重合体(70質量%)+PB(30質量%)
実施例5:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール1(15μm)
比較例1:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール4(5μm)
イージーピール4: エチレン3元共重合体(90質量%)+PB(10質量%)
比較例2:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール1(0.5μm)
比較例3:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE2(60μm)
PE2: LLDPE 融点85℃
比較例4:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール5(5μm)
イージーピール5: PE(55質量%)+PB(45質量%)
比較例5:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール6(5μm)
イージーピール6: EMA(60質量%)+PB(40質量%)
EMA: エチレン−アクリル酸メチル共重合体 融点77℃、MFR2.6g/10分
比較例6:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール7(5μm)
イージーピール7: EMA(40質量%)+PB(60質量%)
比較例7:
PA(40μm)/AD(15μm)/PE(60μm)/イージーピール8(5μm)
イージーピール8: エチレン3元共重合体(50質量%)+PB(10質量%)+PE(40質量%)
実施例および比較例に係るフィルムの作製方法、評価方法は、以下に示すとおりである。評価結果を以下に示す。
[不織布とのシール強度]
高密度ポリエチレン製不織布(デュポン製「タイベック2FS」)の荒い側の面と実施例および比較例に係るフィルムとをシール温度140℃、シール時間2秒、シール圧490kPa、シール幅10mmの設定条件でヒートシールし、そのシール部分を15mm幅の短冊状に切断し、23℃雰囲気下、引張試験機を用いて200mm/minの速度で高密度ポリエチレン製不織布と実施例および比較例に係るフィルムとを180度剥離させた時に測定される最大荷重をシール強度とした。
シール強度が6.0N/15mm幅以上の場合または剥離せず不織布が切れた場合を「○」、6.0N/15mm幅未満の場合または不織布とのシールが不完全で測定が行えない場合を「×」とした。結果を表1に示す。
[LLDPEフィルムとのイージーピール強度]
底材フィルムとの剥離性評価の指標として、50μm厚のC6タイプ直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムを用い、実施例および比較例に係るフィルムとシール温度130℃、シール時間2秒、シール圧490kPa、シール幅10mmの設定条件でヒートシールし、そのシール部分を15mm幅の短冊状に切断し、23℃雰囲気下、引張試験機を用いて200mm/minの速度で双方のフィルムを180度剥離させた時に測定される最大荷重をイージーピール強度とした。
手で容易に剥離できる尺度として、イージーピール強度が0.8N/15mm幅以上5.0N/15mm幅以下の場合を「○」、5.0N/15mm幅より高い場合もしくは剥離せずに何れかのフィルムが切れた場合、または、0.8N/15mm幅未満の場合もしくはLLDPEフィルムとのシールが不完全で測定が行えない場合を「×」とした。結果を表1に示す。
[蓋材の作製]
蓋材フィルムとして実施例、比較例のフィルムを用い、フィルムのイージーピール面と高密度ポリエチレン製不織布(デュポン製「タイベック2FS」)の荒い側の面とを対向させて、両者の端部を15mm幅ずつ重ね合せ、シール温度140℃でシール時間2秒、シール圧490kPa、シール幅10mmの設定条件でヒートシールし、蓋材を作製した。
[底材フィルムの作製]
下記に示す層構成の無延伸フィルムを共押出Tダイ法にて作製した。
PA(20μm)/AD(10μm)/PE(50μm)/EMA(3μm)
[包装体の作製]
深絞り包装機(ムルチバック社製R530)を用い、上記底材フィルムを縦160mm、横120mm、絞り深さ50mmの略直方体形状に深絞り成型して底材を作製し、次に、深絞り収容部にガーゼ50gを入れ、次に上記蓋材と底材とを図3のように重ね合せ、その周縁部をシール温度130℃、シール時間2秒、シール圧490kPa、シール幅10mmの設定条件でヒートシールを行い、包装体を作製した。
包装体の上面から見た蓋材は、縦180mm(内、蓋材フィルム145mm、高密度ポリエチレン製不織布50mm、重ね合せ15mm)、横140mmの略長方形状である。
[カール]
図3に例示される上記包装体について、ヒートシールした周縁部を四隅箇所から蓋材を引き開け、そのまま全面を開封し、剥がした蓋材を蓋材フィルムのシール層側を水平台側に向けて置き、蓋材フィルム部分のカールの状態を観察した。
医療用包装体では、衛生性の観点で、開けた蓋材が収容物側(シール層側)に内巻きにカールして、蓋材外気側表面が収容物側に向いたり、触れたりしてはならない。そのことから、剥がした蓋材の蓋材フィルム部分が、カールしていない、又は外気側にカールしている場合を「◎」、シール層側へややカールしている場合を「○」、振動などの外乱で、内巻きになって蓋材外気側表面がシール層面に触れる恐れのある場合を「△」、蓋材フィルムが内巻きになって蓋材外気側表面がシール層面に触れる場合を「×」として、カールを評価した。結果を表1に示す。
表1に示したように、実施例1〜5に係るフィルムはいずれも、不織布に対する強固なシール強度と、底材フィルムに対する適度なイージーピール強度とを兼ね備えており、また、底材フィルムから剥離した後の蓋材は、カールしていないか、または蓋材外気側に反っており、衛生性にも優れていた。なお、実施例5に係るフィルムは、剥離面に毛羽立ちが生じていた。
一方、シール層の組成が本発明の条件を満たさない比較例1、4〜7に係るフィルムは、不織布に対する強固なシール強度、および、底材フィルムに対する適度なイージーピール強度のうち、少なくとも一方を欠いており、これらの強度を両立できていなかった。
また、シール層の厚みが本発明の条件よりも薄い比較例2に係るフィルムは、不織布とのシールが不完全で、シール強度の測定が行えなかった。
また、LLDPEからなる厚いシール層を有する比較例3に係るフィルムは、LLDPEフィルムに対し密着が強過ぎ、剥離できず破断した。同様に包装体の底材に対しても剥離できず、カール評価はできなかった。
1 プラスチックフィルム(底材)
1a 開口部
2 積層フィルム(蓋材)
2a 不織布および/または滅菌紙(不織布等)
2b 共押出多層フィルム(蓋材フィルム)
2c 積層用ヒートシール部
3 密閉用ヒートシール部
4 収容部
5 通気部
6 他のフィルム
7 マチ部
10 医療用包装体
11 底材
12 蓋材
13 収容部
14 内容物
20 医療用包装体
30 医療用包装体
40 医療用包装体
50 医療用包装体
60 医療用包装体
70 医療用包装体

Claims (8)

  1. 50質量%を超え80質量%以下の主成分であるエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸無水物3元共重合体と、20質量%以上50質量%未満の副成分であるポリブテン−1系樹脂との2種類のみから構成される、厚み1μm以上20μm以下のシール層を有し、不織布および/または滅菌紙に積層して用いられる、共押出多層フィルム。
  2. 前記主成分がエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元共重合体である、請求項1に記載の共押出多層フィルム。
  3. 前記シール層面に高密度ポリエチレン製不織布をヒートシールして行われる剥離試験において、前記高密度ポリエチレン製不織布が破断するか、または、シール強度が6.0N/15mm幅以上であり、
    前記シール層面に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをヒートシールして行われる剥離試験において、イージーピール強度が0.8N/15mm幅以上5.0N/15mm幅以下である、
    請求項1または2に記載の共押出多層フィルム。
  4. 前記シール層とポリアミド樹脂から構成される基層とを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の共押出多層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の共押出多層フィルムの前記シール層側の面と、不織布および/または滅菌紙とが、部分的に重なりヒートシールされている積層フィルム。
  6. 請求項5に記載の積層フィルムを用いてなる医療用包装体。
  7. 請求項5に記載の積層フィルムと、ポリエチレン系樹脂をシール層の主成分とするプラスチックフィルムとが、両フィルムの周縁部においてヒートシールされており、前記両フィルムの間に収容部が形成されている、医療用包装体。
  8. 前記プラスチックフィルムが、前記プラスチックフィルムの前記シール層面に高密度ポリエチレン製不織布をヒートシールして行われる剥離試験において、イージーピール強度が0.8N/15mm幅以上5.0N/15mm幅以下である、請求項7に記載の医療用包装体。
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