JP5387090B2 - 積層フィルム、及びそれを用いた包装袋 - Google Patents
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そして、これらの包装用材料は、通常、その最内層にシーラント層を設け、当該シーラント層を対向させて重ね合わせ、その周辺端部をヒートシールして、種々の形態の包装用袋を製造し、そして、当該包装用袋の開口部から、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、洗剤、化学品、雑貨品、その他等の種々の内容物を充填包装して、各種の包装袋を製造しているものである。
また、特許文献2では、乾燥剤の微粉末が漏れ出すことのない包装袋として、外面から順に2軸延伸プラスチック層と印刷層と熱可塑性樹脂層とが積層され細孔が形成された外装材の内面に、ポリオレフィン系樹脂からなる格子網状補強材層と酢酸ビニル含有率が6〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体層とが積層された細孔が形成されていない内装材を重ね合わせ、前記内装材を内側にして前記熱可塑性樹脂層と格子網状補強材層とを周縁の熱接着部で接着一体化し熱接着部以外の領域では外装材と内装材とが分離して空隙を形成した構成からなる乾燥剤用包装袋が提案されている。
特許文献1、2のような包装材料では、乾燥剤の微粉末が漏れ出すことのない包装材である。しかし、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂層等が、無孔性フィルムであるため、包装材料の透湿度が低透湿性となり、包装袋内の乾燥剤の吸湿速度を低下させてしまうという問題がある。
また、紙等の通気性を有する基材と、ワリフ、クロスなどの網目状補強材層を積層させた包装材では、高湿度性は向上するものの、平滑性に劣り、接着させていない部分から網目状補強材層に入り込んだ乾燥剤の微粉末等が袋の外に漏れ出してしまうという恐れがある。
そこで、乾燥剤の微粉末等の内容物が漏れ出すことなく、高透湿性を有する包装材料の開発が望まれている。
また、本発明では、上記の積層フィルムを構成する直線状の熱可塑性樹脂を形成する間隔、形成する樹脂の厚みを変えることにより、積層フィルム全体の透湿度を調整できるので、用途により必要な透湿度を確保することができる包装材料および包装袋である。
また、本発明では、上記の積層フィルムを構成する透湿性基材フィルムにアンカーコート層を形成することにより、熱可塑性樹脂との密着性が向上する。更に、前記の透湿性基材フィルムの片面にアンカーコート層を形成することにより、前記の透湿性基材フィルムと前記のヒートシール性不織布とを熱可塑性樹脂を介して積層する際、直線状の熱可塑性樹脂が形成されていない部分でも、透湿性基材フィルムとヒートシール性不織布との密着性が向上する。このため、乾燥剤が包装袋から漏れ出すことなく、衛生性にも優れた包装材料および包装袋である。
図1に本発明の積層フィルム10である一つの実施形態の断面図を示す。
図1に示す本発明の積層フィルム10は、透湿性基材フィルム1と、ヒートシール性不織布3との間に多数平行な直線状の非透湿性の熱可塑性樹脂2を介して積層している構成である。
図2に示す本発明の積層フィルム10は、透湿性基材フィルム1の一方の面にアンカーコート層4が形成され、ヒートシール性不織布3との間に多数平行な直線状の非透湿性の熱可塑性樹脂2を介して積層している構成である。
図3に示す本発明の積層フィルム10の製造工程は、まず、第1給紙100に透湿性基材フィルム1の巻取をセットし、透湿性基材フィルム1が第1給紙100より供給される。そして、透湿性基材フィルム1の片面側に、巻取りの供給方向と交差する方向に一列にTダイの多数のノズルから熱可塑性樹脂2が溶融押出され、多数平行な直線状の熱可塑性樹脂2が形成される。そして、第2給紙101よりヒートシール性不織布3が供給される。そして、冷却ロール12とニップロール13との間に透湿性基材フィルム1とヒートシール性不織布3が、熱可塑性樹脂2を介して溶融押出しラミネートされ、冷却ロールとニップロールとにより押圧・冷却されて積層フィルム10が製造される。
図4に示す本発明の包装袋20は、ヒートシール性不織布層3を内側にして2つ折りし折目以外の周縁部を熱接着部5により接着して密封されている構成である。第1実施形態の形状は3方シール袋となっているが、袋の形状は任意であり4方シール袋、ピロータイプ袋とすることもできる。
(透湿性基材フィルム)
積層フィルム10を構成する透湿性基材フィルム1は、透湿度が高い無孔フィルムであることが好ましい。
このような透湿性基材フィルム1の材料は、特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン− ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸塩、N−メトキシ−6−ナイロン、ポオリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セロハン等の樹脂をフィルム化したシートを使用できる。また、必要に応じて、上記基材フィルムの任意の組み合わせによる積層フィルムも使用できる。また、上記の透湿性基材フィルム1は、その表面に形成する層との密着力が乏しい場合には、その表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
本発明において、中でも、ポリアミドフィルムを使用することが、透湿性、透明性、印刷適性、アンカーコート層の塗布適性、機械適性、加工適性、衛生面に優れるのでより好ましい。
本発明において、透湿性基材フィルム1に求められる透湿度は、50g/m2・日以上であることが好ましく、80g/m2・日以上あることが望ましい。
50g/m2・日未満であると、内部に収納される乾燥剤等が、吸湿しにくくなるので好ましくない。
本発明において、上記の基材フィルムの厚みは、12μm〜50μm程度のものを使用することができる。12μm未満であると、フィルム強度が不足し、機械適性、加工適性が低下するので好ましくない。50μmを超えると、ヒートシール時の熱が伝わり難くなり、ヒートシール強度が低下するので好ましくない。
積層フィルム10を構成する熱可塑性樹脂2は、透湿性基材フィルム1とヒートシール性不織布3の層間に形成することで、熱密着性を付与するためのものであり、押出機等により溶融押出し形成可能な樹脂であればよい。
このような熱可塑性樹脂2としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・α オレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン・マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、透湿性基材フィルム1とヒートシール性不織布3との層間に熱可塑性樹脂2を形成していない領域の面積は、フィルム面積の10%〜80%の範囲内にあることが、熱密着性と透湿性が得られるので好ましい。
熱可塑性樹脂2を形成されていない領域の面積が10%未満であると、充分な透湿度が得られなくなるので好ましくない。また、熱可塑性樹脂2を形成していない領域の面積が80%を超えると、必要な熱密着性が得られなくなるので好ましくない。
本発明において、多数平行に形成される熱可塑性樹脂2の厚さは10μm〜200μm程度が好ましく、直線状の可塑性樹脂2を形成する巾は0.5mm〜5mm程度であり、可塑性樹脂2の直線と直線の間隔は0.5mm〜10mm程度であることが好ましい。
本発明に係る透湿性基材フィルム1の熱可塑性樹脂2の形成させる面側に予めアンカーコート層4を形成することができる。このことによって、透湿性基材フィルム1に対する熱可塑性樹脂2の密着性を向上させることができる。また、このことによって、透湿性基材フィルム1とヒートシール性不織布3を積層した積層フィルムを製袋工程において周縁部をヒートシールする際、透湿性基材フィルム1の熱可塑性樹脂2を形成していない部分においても、熱接着性を向上させることができるので好ましい。
アンカーコート層4の材料としては、透湿性基材フィルム1と熱可塑性樹脂2とに層間密着性があれば特に限定されないが、具体的には、例えば、有機チタン系アンカーコーティング剤、イソシアネート系アンカーコーティング剤、ポリエチレンイミン系アンカーコーティング剤、酸変性ポリエチレン系アンカーコート剤、ポリブタジェン系アンカーコーティング剤等を使用することができる。
中でも、ポリエチレンイミン系アンカーコーティング剤、酸変性ポリエチレン系アンカーコート剤を使用することが、ポリエチレン系樹脂2と密着性がよく、アンカーコート形成後のシートを巻取後にシート同士のブロッキングが発生することがないので好ましい。
アンカーコート層4の厚みは、0.1μm〜5μm程度が好ましい。
なお、熱可塑性樹脂2の形成方法が、押し出しラミネーション法の場合、通常はインラインでアンカーコート層4を塗布する。また、熱可塑性樹脂2が、ホットメルトラミネーション法の場合は、通常、オフラインで予め、透湿性基材フィルム1上にアンカーコート層4を塗布しておくことが好ましい。
本発明における積層フィルム10を構成するヒートシール性不織布3は、引き裂きにくく、透湿性、ヒートシール性があれば、長繊維、短繊維といった繊維長や、湿式、乾式といった製造方法は問わない。
格子の間隔は1〜5mmが適当である。1mm以下のものでは包装材面積の大半を格子状繊維が占めるために水蒸気の透過しやすい面積が狭くなるために、包装材の単位面積当たりの透湿度が低下して実用性に欠けると共に格子状繊維の価格が高くなるので好ましくない。一方、格子の間隔が6mm以上のときは粉末状の内容物がその間から出てきたり、引き裂き強度が低下して実用性に欠けるので好ましくない。最も好ましい間隔は2〜4mmの範囲である。
ヒートシール性不織布3の坪量が10g/m2〜50g/m2のものが好ましい。
ヒートシール性不織布3の坪量が、10g/m2未満であると、熱接着強度が低下するため好ましくない。一方、50g/m2を超えると、機能上の問題はないが、価格が高くなるため好ましくない。
本発明において、ヒートシール性不織布3を構成する樹脂、あるいは芯鞘構造からなる複合繊維で表面である鞘部の繊維を構成する樹脂としては、ポリエチレン樹脂とすることにより、ポリエチレン系の熱可塑性樹脂2との熱接着性、透湿性基材フィルム1に形成したポリエチレン系のアンカーコート層4との熱密着性に優れるので好ましい。
ポリエチレン単繊維からなる不織布としては、製品名「タイベック」(旭・デュポンフラッシュプロダクツ株式会社製)等が、また、芯鞘構造で表面がポリエチレンからなる繊維のヒートシール性不織布としては、鞘部がポリエチレンテレフタレートからなる、製品名「エルベス」(ユニチカ株式会社製)等が使用できる。
本発明の積層フィルム10においては、印刷層は必要に応じて設ければよく、透湿性基材フィルム1の内面に設けることにより、表面に露出することがないので好ましい。
印刷層を形成するためのインキとしては、一般的に包装材料の印刷に使用されているインキを使用して印刷することができる。
前もって透湿性基材フィルム1の片面にアンカーコート層4をインラインでコーティング後、透湿性基材フィルム1の片面に熱可塑性樹脂2を溶融押出しラミネートしてからヒートシール性不織布3と重ね合わせて周縁を熱接着することにより乾燥剤等の内容物を自動充填包装することもできる。
熱可塑性樹脂2の形成方法としては、Tダイの先端に多数設けたノズルから溶融押し出しする押し出しラミネーション法以外に、ホットメルトを多数並べたノズルから熱可塑性樹脂2を溶融押し出すホットメルトラミネーション法を用いることができる。中でも、押し出しラミネーション法の方が、効率良く製造できる点で好ましい。
(実施例1)
<積層フィルムの作製>
本発明に係る透湿性基材フィルム1として、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(製品名「N4142」、東洋紡績株式会社製)の一方の面にコロナ放電処理後、白色インキ(製品名「CLIOS」、ザ・インクテック株式会社製)をグラビア印刷法によりベタ印刷を行った。
次に、ポリアミドフィルムの印刷面に、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤を乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、加熱乾燥して、アンカーコート層4を形成した。そして、上記のアンカーコート層4の上に、熱可塑性樹脂2としてポリエチレン樹脂(製品名「LC604」、日本ポリエチレン株式会社製)を用いて、Tダイの先端に設けた多数のノズルから、直線状に厚さ60μm、幅1mmのポリエチレン樹脂を、2mm間隔で溶融押し出し、押出しラミネート法により、坪量20g/m2のポリエチレン系ヒートシール性不織布3(製品名「エルベスS0203WDO」、ユニチカ株式会社製)を貼り合わせて、積層フィルム10を作製した。上記で得られた積層フィルム10を幅100mmに裁断してロール状とした。
<包装袋の作製>
積層フィルム10のヒートシール性不織布3面側を重ね合わせた状態で、自動充填包装機に装着し、横方向に12mm幅のヒートシールを45mm間隔で施し、内容物として生石灰3gを封入し、開口部に7mmのヒートシールをしてから、横方向のシール部の中央でカットして、外寸縦45mm×横45mm、シール幅7mmの包装袋を得た。得られた包装袋20は、透湿度、突き刺し強度、引張強度等に優れ、乾燥剤が包装袋から漏れ出すことなく、衛生性にも優れるものであった。
<積層フィルムの作製>
実施例1で作製した積層フィルム10の場合と同様に、透湿性基材フィルムとして、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(製品名「N4142」、東洋紡績株式会社製)の一方の面にコロナ放電処理後、白色インキ(製品名「CLIOS」、ザ・インクテック株式会社製)をグラビア印刷法によりベタ印刷を行った。
次に、ポリアミドフィルムの印刷面に、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤を乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、加熱乾燥して、アンカーコート層を形成した。そして、上記のアンカーコート層の上に、熱可塑性樹脂として酢酸ビニル含有率20%のエチレン・酢酸ビニル共重合体を厚み20μmで通常のスリット状Tダイを用いて、押出しラミネート法により積層し、その上に、坪量20g/m2のポリエチレン系ヒートシール性不織布3(製品名「エルベスS0203WDO」、ユニチカ株式会社製)を貼り合わせて、積層フィルムを作製した。そして、上記で得られた積層フィルムを幅100mmに裁断してロール状とし、比較例の積層フィルムを作製した。
<包装袋の作製>
実施例1で作製した積層フィルムの場合と同様に、積層フィルムのヒートシール性不織布側を重ね合わせた状態で、自動充填包装機に装着し、周縁部を熱接着して内容物として生石灰3gを自動充填包装した。
<吸湿速度の測定条件>
吸湿速度の測定方法は、実施例、比較例で作製した包装袋を10袋ずつそれぞれ温度25℃、湿度65%の恒温槽中に放置し、30分、1時間、2時間、4時間後の吸水速度を測定した。
吸湿速度は、試験前の試料自重に対する試験後の試料重量の増加量(10袋合計)を示したものである。結果を表1に示す。
これに対して、比較例の包装袋で乾燥剤を包装した場合、放置4時間後でも、吸湿速度が遅く、好ましくなかった。
引き裂き性の評価は、実施例及び比較例で作製した包装袋において、ノッチを入れない状態でMD方向に手で引き裂いた。
その結果、実施例及び比較例の包装袋を手で引き裂くことができなかった。このことにより、本発明の包装袋は、引き裂きにくい包装袋であるため、乾燥剤等の内容物を包装して、食品等と共に収納して包装しても安全に使用できるものであった。
実施例で作製した積層フィルムを二つ折にして、その周縁部をヒートシールを行った後、エージレスチェッカー(商品名:三菱ガス化学株式会社製)を用いて、シールの密閉性を下で評価した。
その結果、実施例の積層フィルムについてヒートシール部にピンホールは発生していなかった。このことにより、本発明の包装袋は、ヒートシール性に優れるものであった。
2 熱可塑性樹脂層
3 ヒートシール性不織布
4 アンカーコート層
5 周縁ヒートシール部
10 積層フィルム
11 押出機
12 冷却ロール
13 ニップロール
20 包装袋
100 第1給紙
101 第2給紙
102 巻取
Claims (3)
- 片面にアンカーコート層を形成した透湿性基材フィルムと、ヒートシール性不織布を備え、前記透湿性基材フィルムの前記アンカーコート層を形成した面と前記ヒートシール性不織布との間に多数平行な直線状の熱可塑性樹脂を形成した積層フィルムであって、
前記透湿性基材フィルムと前記ヒートシール性不織布との層間に前記熱可塑性樹脂を形成していない領域の面積がフィルム面積の10%〜80%の範囲内にあり、かつ、前記アンカーコート層が、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、又は酸変性ポリエチレン系アンカーコート剤であり、前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする積層フィルム。 - 請求項1記載の積層フィルムを用い、前記ヒートシール性不織布面が内側になるように開口部を残して三方が閉じられた袋状に形成されることを特徴とする包装用袋。
- 請求項2に記載の包装用袋が、乾燥剤用であることを特徴とする包装用袋。
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