JP2021014558A - 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、加熱時の昇温効果が高く、加熱時の劣化が少ない連続繊維強化樹脂複合材料、及びその製法を提供することにある。【解決手段】本発明の連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、表面分光ピークを242nm〜285nmの範囲に有することを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に強度の観点から強化繊維が連続繊維である連続繊維強化樹脂複合材料が望まれている。
連続繊維強化樹脂複合材料としては、連続強化繊維に樹脂を均一に被覆しているもの(例えば、特許文献1)、特定波長の光を吸収する添加剤を加えているもの(例えば、特許文献2)が提案されている。
特開2017−110322号公報 特許第4759245号公報
しかしながら、従来の連続繊維強化樹脂複合材料は、加熱時の昇温に時間がかかる、加熱時の劣化が大きい、の問題があり、更なる改良が求められていた。
従って、本発明の目的は、加熱時の昇温効果が高く、加熱時の劣化が少ない連続繊維強化樹脂複合材料、及びその製法を提供することにある。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、
242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有することを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
[2]
200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有さない、[1]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[3]
286nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に内部の分光ピークを有する、[1]又は[2]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[4]
200nm〜240nmの範囲に内部の分光ピークを有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[5]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化して成形用材料を作製する複合化工程、
前記成形用材料を成形して242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料を得る成形工程、
を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[6]
前記熱可塑性樹脂が200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有する熱可塑性樹脂を含み、
前記成形工程が、200nm〜240nmの範囲の表面分光ピークが消失するように成形する工程である、
[5]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[7]
前記熱可塑性樹脂が242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有さない熱可塑性樹脂を含み、
前記成形工程が、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを生じさせる工程である、[5]又は[6]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[8]
前記複合化工程が、少なくとも一部の表面に、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有し、200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有しない熱可塑性樹脂が存在するように、熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを複合化する工程である、[5]〜[7]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[9]
前記複合化工程が、表面分光ピークを286nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に有する熱可塑性樹脂が内部に存在するように、熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを複合化する工程である、[5]〜[8]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[10]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを加熱成形して連続繊維強化樹脂複合材料中間体を製造するプレ成形工程、
前記連続繊維強化樹脂複合材料中間体を成形して242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料を得る成形工程、
を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
本発明によれば、加熱時の昇温効果が高く、加熱による劣化が小さい連続繊維強化樹脂複合材料、及びその製法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とのみからなることが好ましい。
[連続繊維強化樹脂複合材料]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、表面分光ピークを242nm〜285nmの範囲に有する。
連続繊維強化樹脂複合材料を特定の波長の光を吸収するように成形することで、加熱時の昇温効果が高く、加熱時の劣化が少ない連続繊維強化樹脂複合材料を予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料によれば、加熱時の昇温効果が高く、加熱による劣化が小さい。特に、熱可塑性樹脂が吸収する光の波長や、連続繊維強化樹脂複合材料の表面層と内層の吸収する光の波長を工夫することにより、加熱時の昇温効果を一層高くし、加熱による劣化を一層小さくすることができる。
なお、本明細書において、連続繊維強化樹脂複合材料を、単に「複合材料」と称する場合がある。
<特性>
以下、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の特性について記載する。
(表面分光ピーク)
上記242nm〜285nmの範囲の表面分光ピークは、245nm〜280nmの範囲にあることがより好ましく、260nm〜275nmの範囲にあることがさらに好ましい。上記範囲に表面分光ピークを有することにより、加熱時の昇温効果が高くなり、加熱時の劣化を抑えることができる。
上記242nm〜285nmの範囲の表面分光ピークは、一つであってもよいし複数であってもよいが、加熱時の昇温効果が一層高く、加熱による劣化が一層小さくなる観点から、一つであることが好ましい。
上記複合材料は、加熱による劣化が一層小さくなる観点から、表面分光ピークが200nm〜240nmの範囲にないことが好ましく、210nm〜230nmの範囲にないことがより好ましい。
特に、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有し、200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有しないことが好ましい。
上記複合材料は、加熱時の昇温効果が一層高く、加熱による劣化が一層小さくなる観点から、表面分光ピークが286nm〜310nm及び330nm〜335nmの範囲にないことが好ましい。また、加熱時の昇温効果が一層高く、加熱による劣化が一層小さくなる観点から、311nm〜329nmの範囲又は336nm〜345nmの範囲に表面分光ピークを有することが好ましい。
複合材料は、加熱時の昇温効果が一層高く、加熱による劣化が一層小さくなる観点から、表面分光ピークと内部の分光ピークとが異なる波長のピークを含み、242nm〜285nmの範囲に一つの表面分光ピークを有することがより好ましい。
連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは、例えば、紫外可視近赤分光光度計を用いて連続繊維強化樹脂複合材料の表面の反射スペクトルを測定し、1次微分した際に0となる波長から求めることができる。
連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維及び熱可塑性樹脂を含む複合体(例えば、中間体)を空気中で赤外線ヒーター等を用いて表面と内部との温度差をつけた後に冷却(例えば、冷却プレス)すること、原料熱可塑性樹脂を空気中で赤外線ヒーター等を用いて加熱してから使用すること、原料熱可塑性樹脂からフィルムを成形し該フィルムを加熱してから使用すること等により、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを出すことができる。例えば、ポリアミド樹脂の場合はポリアミド樹脂を、ホットプレートや赤外線ヒーター等により加熱すること等により、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを出すことができる。
また、プレス成形中に連続強化繊維及び熱可塑性樹脂を含む複合体(例えば、中間体)に十分な空気を送り込むこと、該複合体を空気中で赤外線ヒーター等を用いて表面と内部との温度差をつけた後に冷却(例えば、冷却プレス)すること、原料熱可塑性樹脂からフィルムを成形し該フィルムを加熱してから使用すること、例えば、ポリアミド樹脂を用いる場合はポリアミド樹脂をホットプレートや赤外線ヒーター等により加熱すること等により、200nm〜240nmの範囲の表面分光ピークをなくすことができる。
また、連続強化繊維及び熱可塑性樹脂を含む複合体(例えば、中間体)を空気中で赤外線ヒーター等を用いて表面と内部との温度差をつけた後に冷却すること、原料熱可塑性樹脂からフィルムを成形し該フィルムを加熱してから使用すること等により、286nm〜310nm及び330nm〜335nmの範囲の表面分光ピークをなくすことができる。
なお、ホットプレートや赤外線ヒーター等により加熱の方法は、特に指定はないが、例えば、樹脂ペレットを加熱する方法や、樹脂フィルムを加熱する方法等があげられる。
(内部の分光ピーク)
上記複合材料は、材料の強度、剛性の観点から、286nm〜310nm及び/又は330nm〜335nmの範囲に内部の分光ピークを有することが好ましく、286nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に内部の分光ピークを有することがより好ましい。上記内部の分光ピークは、290nm〜300nm又は330nm〜335nmの範囲にあることがより好ましい。
上記複合材料は、材料の強度、剛性の観点から、200nm〜240nmの範囲に内部の分光ピークを有することが好ましい。上記200nm〜240nmの範囲の内部の分光ピークは、210nm〜230nmにあることがより好ましい。
上記複合材料は、242nm〜285nmの範囲に内部の分光ピークを有しないことが好ましく、245nm〜280nmの範囲に内部の分光ピークを有しないことがより好ましい。
上記複合材料は、加熱時の昇温効果が一層高く、加熱による劣化が一層小さくなる観点から、200nm〜240nmの範囲に一つの内部の分光ピークと、286nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に一つの内部の分光ピークとを有することが好ましい。
連続繊維強化樹脂複合材料の内部の分光ピークは、例えば、研磨機により厚み方向に、連続繊維強化樹脂複合材料の厚みの1/2研磨して現れた面を、紫外可視近赤分光光度計を用いて、反射スペクトルを測定し、1次微分した際に0となる波長から求めることができる。また、「内部」とは、複合材料の全厚さ100%に対して、表面から20〜80%の距離の部分としてよい。
連続繊維強化樹脂複合材料は、連続繊維強化樹脂複合材料の製造過程で内部に286nm〜310nm、330nm〜335nmの範囲に内部の分光ピークを有する樹脂を用いること等により、286nm〜310nm及び330nm〜335nmの範囲に内部の分光ピークを出すことができる。また、連続繊維強化樹脂複合材料の製造過程で内部に200nm〜240nmの範囲に内部の分光ピークを有する樹脂を用いること等により、200nm〜240nmの範囲に内部の分光ピークを出すことができる。また、連続繊維強化樹脂複合材料の製造過程で内部に242nm〜285nmの範囲に内部の分光ピークを有する樹脂を用いないこと等により、242nm〜285nmの範囲の内部の分光ピークをなくすことができる。
(成形前後の重量平均分子量の割合)
成形前後の重量平均分子量の割合により樹脂の劣化を測定することができる。
下記条件で成形する前の複合材料中に含まれる熱可塑性樹脂の重量平均分子量に対する、成形後の複合材料中に含まれる熱可塑性樹脂の重量平均分子量の割合(成形後の重量平均分子量/成形前の重量平均分子量×100)は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
上記成形条件は、複合材料を、5cm×5cmに切り出し、赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS−71298NGK、日本ガイシ、波長3〜7μm)を用いて350℃まで加熱し、その後、プレス成形機(東芝ハイブリッド1500t)に搬送し、金型温度200℃、プレス圧力38MPaで180秒プレスを行い、成形する条件である。
重量平均分子量の上記割合は、例えば、表面分光ピークを242nm〜285nmの範囲に有する複合材料を用いる、内部の分光ピークを200nm〜240nmの範囲、及び/又は286nm〜310nm若しくは330nm〜335nmの範囲に有する複合材料を用いる、等により上記範囲に調整することができる。
重量平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)等により測定できる。GPC測定は、連続繊維強化樹脂複合材料をマトリックス樹脂の良溶媒に溶解させ、シリンジフィルタで強化繊維をろ過した後、測定できる。
<連続強化繊維>
上記複合材料に含まれる連続強化繊維は、通常の連続繊維強化樹脂複合材料に使用されるものを用いることができる。
上記連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。中でも、機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
上記連続強化繊維は、一種を単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
(集束剤)
上記連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、集束剤を用いてもよく、集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤を含むことが好ましい。また、連続強化繊維の周りを被膜する樹脂と強い結合を作る集束剤を用いることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂複合材料を得ることができる観点から、集束剤は熱可塑性樹脂用の集束剤であることが好ましい。熱可塑性樹脂用の集束剤とは、例えば、ポリアミド樹脂を熱可塑性樹脂として選択する場合、シランカップリング剤として、ポリアミド樹脂の末端基であるカルボキシル基とアミノ基と結合しやすいものを選択することが好ましい。具体的には、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやエポキシシランが挙げられる。結束剤としてはポリアミド樹脂と濡れ性のよい又は表面張力の近い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。潤滑剤としてはシランカップリング剤と結束剤を阻害しないものを用いることが好ましく、例えば、カルナウバワックスが挙げられる。
−シランカップリング剤−
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。
−潤滑剤−
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
−結束剤−
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合材料の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、連続強化繊維の周囲を被覆する熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
更に、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。変性ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと、当該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60〜95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5〜40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70〜85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15〜30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類;等が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から、200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂としては、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂等が挙げられ、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。
ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40〜99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1〜10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40〜60質量%、ポリオール40〜60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45〜55質量%、ポリオール45〜55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000〜100,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上、60質量%以上用いることがより好ましい。
−ガラス繊維用の集束剤の組成−
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%、更に好ましくは0.2〜0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、更に好ましくは3〜10質量%である。
−ガラス繊維用の集束剤の使用態様−
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
ガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得てもよい。
集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%付与する。
ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合には、集束剤は、カップリング剤、潤滑剤、結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した熱可塑性樹脂と濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
−連続強化繊維の形状−
連続強化繊維は複数本の強化繊維からなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から、30〜15,000本であることが好ましい。連続強化繊維の平均単糸径は、強度及び取り扱い性の観点から2〜30μmであることが好ましく、4〜25μmであることがより好ましく、6〜23μmであることが更に好ましく、8〜20μmであることが最も好ましい。
連続強化繊維の平均単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)の積RDは、複合糸の取り扱い性と成形体の強度の観点から、好ましくは5〜100μm・g/cm3、より好ましくは10〜50μm・g/cm3、更に好ましくは15〜45μm・g/cm3、より更に好ましくは20〜45μm・g/cm3である。
密度Dは比重計により測定することができる。他方、平均単糸径は、密度(g/cm3)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
Figure 2021014558
により算出することができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。
例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cm3であるから、平均単糸径が2〜40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の平均単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは23となる。また、ガラス繊維の平均単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。
連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cm3であるから、平均単糸径が2.8〜55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の平均単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは13となる。
連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cm3であるから、平均単糸径が3.4〜68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の平均単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
<熱可塑性樹脂>
上記複合材料に含まれる上記熱可塑性樹脂は、1種類のみを用いてもよいし、複数種を併用しても構わない。
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂;等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が更に好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がより更に好ましい。
(ポリエステル系樹脂)
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
(ポリアミド系樹脂)
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられるが、強化繊維との親和性の観点が高く強化繊維による補強効果が得られやすいという観点から脂肪族系ポリアミドが好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。ω−アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
<複合材料の製造方法>
複合材料の製造方法としては、例えば、(1)連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化して成形用材料を作製する複合化工程、前記成形用材料を成形して242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料を得る成形工程、を含む方法、(2)連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを加熱成形して連続繊維強化樹脂複合材料中間体を製造するプレ成形工程、前記連続繊維強化樹脂複合材料中間体を成形して242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料を得る成形工程、を含む方法、等が挙げられる。
なお、本明細書において、原料として用いる熱可塑性樹脂を、「原料熱可塑性樹脂」と称する場合がある。また、連続繊維強化樹脂複合材料中間体を、「中間体」と称する場合がある。
(1)原料熱可塑性樹脂と連続強化繊維とから成形用材料を作製し、成形用材料を成形して複合材料を製造する方法について説明する。
原料熱可塑性樹脂と連続強化繊維との複合化は、例えば、原料熱可塑性樹脂からなるフィルムと、連続強化繊維からなる織物、ノンクリンプファブリック等とを積層する方法等が挙げられる。積層する枚数は、複合材料の厚みに合わせて、適宜選択してよい。
得られる複合材料の表面分光ピーク及び内部の分光ピークが調整できる観点から、複合化の際、表面の少なくとも一部が原料熱可塑性樹脂となるように積層することが好ましく全表面が原料熱可塑性樹脂となるように積層することがより好ましい。
原料熱可塑性樹脂としては、押出成形機等により成形した原料熱可塑性樹脂のフィルムを用いてもよい。
特定の範囲の表面分光ピークを消失又は発生させる観点から、フィルムに成形する前に原料熱可塑性樹脂を特定の波長の赤外線を当てて加熱してからフィルムに成形してもよいし、フィルムに成形した後に加熱してもよい。例えば、波長3〜8μmの赤外線を照射し、50℃/分以上の速度で、300℃まで加熱すること等により、242nm〜285nm、311nm〜329nm、及び/又は336nm〜345nmの範囲の表面分光ピークを生じさせることができる。特に、フィルムに上記条件で加熱すること等により、200nm〜240nm、286nm〜310nm、及び/又は330nm〜335nmの範囲の表面分光ピークを消失させることができる。
上記成形用材料は、成形前に裁断をしてもよい。
例えば、上記成形用材料を、所望の成形体に合わせて裁断し、目的とする製品の厚みを考慮して必要数積層して、金型形状に合わせてセットしてよい。
成形用材料の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等があげられる。断面形状にすぐれ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調整できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
なお、成形後の複合材料を裁断してもよい。
複合化の後、上記成形用材料を成形することで複合材料を得ることができる。
上記成形は、例えば、成形用材料を、赤外線ヒーターを用いて加熱し、その後、プレス成形機に搬送し、プレスしてもよい。
成形用材料を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、原料熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ賦型する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一旦型締めをし、圧縮成形した後に一旦金型の型締め圧力を解除してもよい。圧縮成形の時間は、強度発現の観点からは、使用される熱可塑性樹脂が熱劣化しない範囲で長いほうが好ましいが、生産性の観点からは、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内が適している。
その他として、成形用材料を金型に設置してダブルベルトプレス機により圧縮する成形方法や、設置した成形用材料の四方を囲むように型枠を設置し、ダブルベルトプレス機により加圧し成形する方法や、一つ又は複数の温度に設定した加熱用の圧縮成形機と、一つ又は複数の温度に設定した冷却用の圧縮成形機を用意し、成形用材料を設置した金型を順番に、圧縮成形機に投入して成形する成形方法等が挙げられる。
成形の際に成形用材料に空気を送り込む、成形する前に表面と内部とに昇温速度差をつけて加熱する、等により特定波長の表面分光ピークを消すことができる。
上記複合化工程において、上記原料熱可塑性樹脂は、200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有する熱可塑性樹脂のみからなることがより好ましい。
上記複合化工程において、表面分光ピークを200nm〜240nm、好ましくは210nm〜230nmの範囲に有する原料熱可塑性樹脂(例えば、原料熱可塑性樹脂のフィルム)と、連続強化繊維(例えば、ガラスクロス)とを複合化することが好ましい。また、上記成形工程において、200nm〜240nm、好ましくは210nm〜230nmの範囲の表面分光ピークが消失するように成形することが好ましい。
上記複合化工程において、上記原料熱可塑性樹脂は、242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に表面分光ピークを有さない熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に表面分光ピークを有さない熱可塑性樹脂のみからなることがより好ましい。
上記複合化工程において、表面分光ピークを242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に有さない原料熱可塑性樹脂(例えば、原料熱可塑性樹脂のフィルム)と、連続強化繊維(例えば、ガラスクロス)とを複合化することが好ましい。また、上記成形工程において、242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に表面分光ピークを生じさせることが好ましい。
200nm〜240nmの範囲の表面分光ピークが消失し、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを生じさせる方法としては、例えば、プレス成形中に、成形用材料に十分な空気を送り込む等の方法があげられる。
なお、原料熱可塑性樹脂の表面分光ピークは、厚さ100μm以上の原料熱可塑性樹脂のフィルムを用いて、紫外可視近赤分光光度計を用いてフィルム表面の反射スペクトルを測定し、1次微分した際に0となる波長から求めることができる。
上記複合化工程において、成形用材料の表面と内部とで、異なる原料熱可塑性樹脂を用いてもよい。
上記複合化工程において、少なくとも一部の表面に、表面分光ピークを242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に有し、200nm〜240nm、好ましくは210nm〜230nmの範囲に表面分光ピークを有しない原料熱可塑性樹脂が存在するように、原料熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを複合化することが好ましく、全表面に表面分光ピークを242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に有し、200nm〜240nm、好ましくは210nm〜230nmの範囲に表面分光ピークを有しない原料熱可塑性樹脂が存在するように、原料熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを複合化することがより好ましい。
上記複合化工程において、表面分光ピークを286nm〜310nm又は330nm〜335nm、好ましくは300nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に有する原料熱可塑性樹脂が内部に存在するように、原料熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを複合化することがより好ましい。
表面分光ピークを286nm〜310nm及び/又は330nm〜335nmの範囲に有する原料熱可塑性樹脂としては、例えば、未着色のポリアミド樹脂等があげられる。
内部の原料熱可塑性樹脂は、表面分光ピークを200nm〜240nm、好ましくは210nm〜230nmの範囲に有することが好ましい。内部の原料熱可塑性樹脂は表面分光ピークを242nm〜285nmの範囲に有することが好ましい。
次に、(2)連続繊維強化樹脂複合材料中間体を介して複合材料を製造する方法について説明する。
上記中間体は、連続強化繊維と原料熱可塑性樹脂とを複合化し、プレ成形することで得ることができる。上記プレ成形としては、積層体が形成できれば特に限定されず、例えば、上述の(1)における成形工程と同様の方法等が挙げられる。
上記プレ成形は複数回行ってもよく、複数回の各プレ成形は、同じ条件の成形であってもよいし、異なる条件の成形であってもよい。
上記中間体を、更に成形することにより複合材料を得ることができる。
上記中間体の成形工程は、加熱しながらプレスする加熱成形であってもよいし、外で加熱した後に冷却した成形機で冷却プレスしてもよい。中でも、特定の範囲の表面分光ピーク及び内部の分光ピークを有する複合材料を得る観点から、冷却プレスが好ましい。
上記冷却プレスでは、プレ成形した積層体である中間体を加熱することにより、表面と内部とに温度差をつけて加熱することができるため、表面分光ピークと内部の分光ピークとを制御しやすくなる。例えば、上記中間体に、波長3〜8μmの赤外線を照射し、50℃/分以上の速度で、300℃まで加熱すること等により、内部の分光ピークを維持しつつ、特定波長の表面分光ピークを発生させたり消失させることができる。上記加熱時の表面と内部の昇温速度の差の最大値は、50℃/分が好ましい。
上記中間体は、200nm〜240nm、好ましくは210nm〜230nmの範囲に表面分光ピークを有することが好ましい。
上記成形工程において、200nm〜240nm(好ましくは210nm〜230nm)の範囲に表面分光ピークを消失させ、242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に表面分光ピークを生じさせることが好ましい。上記成形工程としては、例えば、中間体を、空気中で赤外線ヒーター等を用いて表面と内部の温度差をつけるようにした後に冷却プレスする方法等があげられる。
上記成形工程で得られる複合材料としては、200nm〜240nm、好ましくは210nm〜230nmの範囲に表面分光ピークを有さず、242nm〜285nm、好ましくは245nm〜280nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料であることが好ましい。
上記中間体は、286nm〜310nm又は330nm〜335nm、好ましくは300nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に表面分光ピークを有さないことが好ましい。
上記成形工程において、286nm〜310nm及び330nm〜335nm(好ましくは300nm〜310nm及び330nm〜335nm)の範囲の表面分光ピークを消失させることが好ましい。また、上記成形工程において、311nm〜329nm又は336nm〜345nmの範囲に表面分光ピークを生じさせることが好ましい。上記成形工程としては、例えば、中間体を、空気中で赤外線ヒーター等を用いて表面と内部の温度差をつけるようにした後に冷却プレスする方法等があげられる。
上記成形工程で得られる複合材料としては、286nm〜310nm及び330nm〜335nm、好ましくは300nm〜310nm及び330nm〜335nmの範囲に表面分光ピークを有さず、311nm〜329nm又は336nm〜345nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料であることが好ましい。
(連続繊維強化樹脂複合材料の形態)
連続繊維強化樹脂複合材料の形態は、特に制限されず、以下の種々の形態が挙げられる。例えば、連続強化繊維の織物、編み物、組紐、パイプ状のものと原料熱可塑性樹脂とを複合化して成形した形態や、一方向に引き揃えた連続強化繊維と原料熱可塑性樹脂とを複合化して成形した形態、連続強化繊維と原料熱可塑性樹脂とからなる糸を一方向に引き揃えて成形した形態、連続強化繊維と原料熱可塑性樹脂からなる糸を織物、編み物、組紐、パイプ状にして成形した形態、等が挙げられる。
連続繊維強化樹脂複合材料の成形前の中間体の形態としては、連続強化繊維と原料熱可塑性樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を原料熱可塑性樹脂で被覆したコーティング糸、連続強化繊維に予め原料熱可塑性樹脂を含浸させフィルム状にしたもの、連続強化繊維を原料熱可塑性樹脂のフィルムで挟んだもの、連続強化繊維に原料熱可塑性樹脂パウダーを付着させたもの、連続強化繊維の束を芯材としてその周囲を原料熱可塑性樹脂繊維で組紐としたもの、強化繊維束の間に予め原料熱可塑性樹脂を含浸させたもの、等が挙げられる。
(ハイブリッド成形)
得られた連続繊維強化樹脂複合材料を、金型内にセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、熱可塑性樹脂と、所定の熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド成形体を製造してもよい。
所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂と射出充填する熱可塑性樹脂間の界面強度に大きく影響する。所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、複合材料を金型内にセットして金型を閉じた後に金型温度が連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の融点、又はガラス転移温度以上に昇温してから、30秒以内が好ましい。
所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上であることが好ましい。より好ましくは、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点+10℃以上又はガラス転移温度+10℃以上であり、更に好ましくは、融点+20℃以上又はガラス転移温度+20℃以上、更により好ましくは融点+30℃以上又はガラス転移温度+30℃以上である。
ハイブリッド成形体において、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成された熱可塑性樹脂組成物の接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出する熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
−射出成形用の樹脂−
ハイブリッド成形体を製造するために用いる射出成形用の熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば特に限定されない。
熱可塑性樹脂組成物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の一種又は二種以上を混合した樹脂組成物が挙げられる。
また、これらの熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。
各種充填材としては、強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維に塗布される集束剤と同様のもの用いてもよい。
サイジング剤(集束剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、上述の連続強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いる熱可塑性樹脂組成物は、連続繊維強化樹脂複合材料と射出成形した熱可塑性樹脂組成物部分との界面強度の観点から、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂にポリアミド66を用いた場合には、射出成形用の熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
<用途>
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、航空機、車、建設材料等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル、)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア、アクセルペダル、アクセルペダルベース等の部品として好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
まず、実施例、比較例で用いた測定方法等について説明する。
[分光測定]
紫外可視近赤分光光度計(V−670、JASCO)を用いて、UV−visバンド幅5nm、NIRバンド幅20nm、レスポンスfast、測定範囲1400nm〜200nm、データ取り込み間隔1.0nm、走査速度400nm/min、光源切替波長34nm、回折格子切替波長850nm、150mmφ積分球ユニット(ILN−725)付属の条件で測定を行った。
[内部分光測定]
連続繊維強化樹脂複合材料をバンドソーにより切削し、切削した試験片を、厚み方向の研磨ができるように、研磨機(小型精密試料作成システム IS−POLISHER ISPP−1000(株式会社池上精機))により、研磨面に125g/cm2の力がかかるように研磨した。研磨は耐水ペーパー番手#220で10分間、連続繊維強化樹脂複合材料の厚みの1/2研削するように設定した。その後、耐水ペーパー番手#1200で10分間研磨し、出てきた面を上記の方法で分光測定を行った。
[連続繊維強化樹脂複合材料の成形前後の重量平均分子量の測定]
実施例、比較例で得た連続繊維強化樹脂複合材料を用いて成形前後の重量平均分子量の変化を測定した。
成形前の連続繊維強化樹脂複合材料、及び成形後の連続繊維強化樹脂複合材料の成形体を用いて、後述のGPC測定により、連続繊維強化樹脂複合材料又は連続繊維強化樹脂複合材料の成形体中に含まれる樹脂成分の重量平均分子量を測定した。そして重量平均分子量の低下により、加熱時の劣化を評価した。なお、重量平均分子量の減少が少ない程、劣化しにくいと評価した。
連続繊維強化樹脂複合材料を用いた成形方法は以下の通りとした。
得られた連続繊維強化樹脂材料を、5cm×5cmに切り出し、赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS−71298NGK、日本ガイシ、波長3〜7μm)を用いて350℃まで加熱した。その後、プレス成形機(東芝ハイブリッド1500t)に搬送し、金型温度200℃、プレス圧力38MPaで180秒プレスを行い、成形体を得た。
また、成形中の連続繊維強化樹脂複合材料の温度は、以下の方法で測定した。
成形中の連続繊維強化樹脂複合材料の温度測定は熱電対と、データロガー(midi LOGGER GL240、グラフテック株式会社)を用いて測定した。
[GPC測定]
連続繊維強化樹脂複合材料10mgをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解させ、シリンジフィルタでGFをろ過した後、GPC(HLC−8320GPC、東ソー株式会社)測定を行い、重量平均分子量(Mw)を求めた。
[連続強化繊維]
(ガラス繊維)
集束剤を0.45質量%付着させた、繊度11500dtexで単糸数2000本のガラス繊維を製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は17μmとした。
ガラス繊維集束剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、アミノシラン)KBE−903(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、カルナウバワックスを1質量%、ポリウレタン樹脂Y65−55(株式会社ADEKA製)2質量%、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物が3質量%、共重合化合物水溶液が3質量%となるように脱イオン水で調製することで作製した。
[熱可塑性樹脂]
ポリアミド樹脂A:ポリアミド66(レオナ1300S、旭化成株式会社)
ポリアミド樹脂B:ポリアミド66(レオナ1300S)とカーボンブラックマスターバッチ(LC020M−3300−M、旭化成株式会社)を4:1の比率でドライブレンドした。
[ポリアミドフィルム]
熱可塑性樹脂を、Tダイ押し出し成形機(株式会社創研製)を用いて成形することでフィルムを得た。フィルムの厚さは200μmであった。
[ガラスクロス]
レピア織機(織幅2m)を用い、上記ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は600g/m2であった。
[実施例1]
ポリアミド樹脂Aを赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS−71298NGK、日本ガイシ、波長3〜7μm)を用いて70℃/minで300℃まで加熱し、3分間放置した。その後スポットクーラーにより冷却し、上記方法でポリアミドフィルムA−1を得た。ポリアミドフィルムA−1の表面分光ピークは、212nm、270nm、293nm、327nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。
ポリアミドフィルムA−1 6枚とガラスクロス 5枚とを交互に合計11枚を積層した後、プレス成形を行った。
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用した。平板型の連続繊維強化樹脂複合材料(縦200mm、横100mm、肉厚2mm)を得るためのインロー構造の金型を準備した。上記ガラスクロスと上記ポリアミドフィルムを金型形状に合わせて切断し、所定枚数重ね、金型内に設置した。成形機内温度を330℃に加熱し、次いで型締め力5MPaで型締めし、プレス成形を行った。成形時間はポリアミド66の融点である265℃に達してから1分とし、金型を急冷したのちに金型を開放し、連続繊維強化樹脂複合材料を取り出した。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは212nm、270nm、293nm、327nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。また、内部の分光ピークは212nm、270nm、293nm、327nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料は上記の方法で赤外線ヒーターとプレス成形機を用いて成形を行った。
[実施例2]
ポリアミド樹脂Aを用いて上記方法でフィルムを作製し、ポリアミド樹脂フィルムA−2を得た。ポリアミドフィルムA−2の表面分光ピークは、212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。ポリアミド樹脂フィルムA−2を赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS−71298NGK、日本ガイシ、波長3〜7μm)を用いて70℃/minで300℃まで加熱し、3分間放置した。その後、金型に搬送し、成形機内を水冷した油圧成形機(株式会社ショージ)を用いて冷却プレスを行い、ポリアミドフィルムA−3を得た。ポリアミドフィルムA−3の表面分光ピークは270nmと327nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。
ポリアミドフィルムA−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは270nmと327nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。また、内部の分光ピークは270nmと327nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例3]
ポリアミドフィルムA−3を両表面の最外層に1枚ずつ用い、ポリアミドフィルムA−2を内層4枚に用いたこと以外は、実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは270nmと327nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは、212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例4]
ポリアミド樹脂Bを用いてポリアミドフィルムB−1を作製した。ポリアミドフィルムB−1の表面分光ピークは219nm、331nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。
ポリアミドフィルムB−1を両表面の最外層に1枚ずつ用い、ポリアミドフィルムA−2を内層4枚に用いて実施例1と同様にプレス成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料中間体を得た。連続繊維強化樹脂複合材料中間体の表面分光ピークは219nmと331nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。
上記連続繊維強化樹脂複合材料中間体を赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS−71298NGK、日本ガイシ、波長3〜7μm)を用いて300℃まで加熱し、3分間放置した。このとき加熱時の表面と内部の昇温速度の差は最大で、33℃/minであった。その後、金型に搬送し、成形機内を水冷した油圧成形機(株式会社ショージ)を用いて冷却プレスを行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは271nmと338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは212nm、293nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例5]
ポリアミド樹脂Aの代わりにポリアミド樹脂Bを用いて、実施例1と同様の方法で、ポリアミドフィルムB−2を作製した。ポリアミドフィルムB−2の表面分光ピークは、219nm、271nm、331nm、338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。
ポリアミドフィルムA−1の代わりにポリアミドフィルムB−2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは219nm、271nm、331nm、338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは219nm、271nm、331nm、338nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例6]
ポリアミドフィルムA−2の代わりにポリアミドフィルムB−1を用いて、実施例2と同様の方法でポリアミドフィルムを処理し、ポリアミドフィルムB−3を得た。ポリアミドフィルムB−3の表面分光ピークは、271nmと338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。ポリアミドフィルムA−3の代わりにポリアミドフィルムB−3を用いたこと以外は、実施例2と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは271nmと338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは271nmと338nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例7]
ポリアミドフィルムA−3の代わりにポリアミドフィルムB−3を用いたこと以外は実施例3と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは271nmと338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは、212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例8]
ポリアミドフィルムA−3の代わりにポリアミドフィルムB−2を用いたこと以外は実施例3と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは219nm、271nm、331nm、338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは、212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例9]
プレス成形機として、ダブルベルトプレス装置(プロセスシステム株式会社)を使用し、装置加熱部温度を340℃、冷却を水冷、圧力30kNで加圧し、0.2m/minで搬送したこと以外は、実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは212nm、270nm、293nm、327nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは212nm、270nm、293nm、327nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[実施例10]
プレス成形機として、ダブルベルトプレス装置(プロセスシステム株式会社)を使用し、装置加熱部温度を340℃、冷却を水冷、圧力30kNで加圧し、0.2m/minで搬送したこと以外は、実施例4と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
連続繊維強化樹脂複合材料中間体の表面分光ピークは219nmと331nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークはなかった。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは271nmと338nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[比較例1]
ガラスクロス5枚とポリアミドフィルムA−2を6枚交互に積層して、実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[比較例2]
ガラスクロス5枚とポリアミドフィルムB−1を6枚交互に積層して、実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは219nmと331nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは219nmと331nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
[比較例3]
プレス成形機として、ダブルベルトプレス装置(プロセスシステム株式会社)を使用し、装置加熱部温度を340℃、冷却を水冷、圧力30kNで加圧し、0.2m/minで搬送したこと以外は、比較例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の表面分光ピークは212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の表面分光ピークは見られなかった。また、内部の分光ピークは212nmと293nmであり、200nm〜345nmに他の内部の分光ピークはなかった。
Figure 2021014558
上記表1から、実施例1〜10の連続繊維強化樹脂複合材料は、表面分光ピークが、242nm〜285nmにあるため、成形前後の樹脂劣化が少なく、加熱時に速い昇温速度を示した。
比較例1〜3のように、表面分光ピークが、242nm〜285nmになく、200nm〜240nmの範囲にある連続繊維強化樹脂複合材料は、成形前後の樹脂劣化が大きく、加熱時の昇温速度が遅くなった。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、また、熱可塑性樹脂組成物との複合成形体材料として、産業上の利用可能である。

Claims (12)

  1. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、
    242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有することを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
  2. 200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有さない、請求項1に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  3. 286nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に内部の分光ピークを有する、請求項1又は2に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  4. 200nm〜240nmの範囲に内部の分光ピークを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  5. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化して成形用材料を作製する複合化工程、
    前記成形用材料を成形して242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料を得る成形工程、
    を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂が200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有する熱可塑性樹脂を含み、
    前記成形工程が、200nm〜240nmの範囲の表面分光ピークが消失するように成形する工程である、
    請求項5に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂が242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有さない熱可塑性樹脂を含み、
    前記成形工程が、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを生じさせる工程である、請求項5又は6に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  8. 前記複合化工程が、少なくとも一部の表面に、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有し、200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有しない熱可塑性樹脂が存在するように、熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを複合化する工程である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  9. 前記複合化工程が、表面分光ピークを286nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に有する熱可塑性樹脂が内部に存在するように、熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを複合化する工程である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  10. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを加熱成形して連続繊維強化樹脂複合材料中間体を製造するプレ成形工程、
    前記連続繊維強化樹脂複合材料中間体を成形して242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料を得る成形工程、
    を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  11. 前記連続繊維強化樹脂複合材料中間体が、200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有し、
    前記成形工程が、200nm〜240nmの範囲に表面分光ピークを有さず、242nm〜285nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料に成形する工程である、請求項10に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  12. 前記連続繊維強化樹脂複合材料中間体が、286nm〜310nm又は330nm〜335nmの範囲に表面分光ピークを有し、
    前記成形工程が、286nm〜310nm及び330nm〜335nmの範囲に表面分光ピークを有さず、311nm〜329nm又は336nm〜345nmの範囲に表面分光ピークを有する連続繊維強化樹脂複合材料に成形する工程である、請求項10又は11に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
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