JP2021187880A - 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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悠介 荒谷
Yusuke Araya
和人 田中
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Abstract

【課題】複合材料の界面特性を向上し、室温時に比べた高温時の物性低下率が少ない連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを含む連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であり、25℃における界面定数が70以上であり、80℃における界面定数が25℃における界面定数の55%以上である、連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法;(界面定数)=((界面引抜強度(MPa))×(引抜速度(μm/s))×(カルボキシル末端基濃度(μmol/g))×(測定温度(K))×(連続強化繊維径(μm))×((ポリアミド系樹脂の融点(K))−(測定温度)(K)))×(ポリアミド系樹脂の密度(g/cm3))/100000000・・・(1)、及びポリアミド系樹脂と連続強化繊維とを含み、該製造方法で得られる、連続繊維強化樹脂複合材料。【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に強度の観点から強化繊維が連続繊維である連続繊維強化樹脂複合材料が望まれている。この連続繊維強化樹脂複合材料としては、強化繊維に添加する収束剤を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献1参照)、融点と結晶化温度の差を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献2参照)、樹脂材料に有機塩を加えているもの(例えば、以下の特許文献3参照)、成形前駆体の布帛を熱可塑性の樹脂で積層しているもの(例えば、以下の特許文献4参照)が提案されている。
特開2003−238213号公報 特許第5987335号公報 特開2017−222859号公報 特開2009−19202号公報
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、従来技術の連続繊維強化樹脂複合材料では、いずれもマトリックス樹脂と強化繊維との界面特性が十分でなく、室温時に比べた高温時の物性低下率に関して改善の余地があることを見出した。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、複合材料の界面特性を向上し、室温時に比べた高温時の物性低下率が少ない連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法を提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれるポリアミド系樹脂の末端基を工夫することで、室温時に比べた高温時の物性低下率が少ない連続繊維強化樹脂複合材料を製造することができることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]
熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを含む連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であり、
25℃における界面定数が70以上であり、
80℃における界面定数が25℃における界面定数の55%以上である、
連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
(界面定数)=((界面引抜強度(MPa))×(引抜速度(μm/s))×(カルボキシル末端基濃度(μmol/g))×(測定温度(K))×(連続強化繊維径(μm))×((ポリアミド系樹脂の融点(K))−(測定温度)(K)))×(ポリアミド系樹脂の密度(g/cm))/100000000・・・(1)
[2]
前記ポリアミド系樹脂について、カルボキシル末端基濃度が50μmol/g以上であり、かつ、アミノ末端基濃度が40μmol/g以下である、[1]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[3]
下記式(2)から求められる、前記ポリアミド系樹脂のアミノ末端基量が900000以上1500000以下である、[1]又は[2]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
(アミノ末端基量)=(重量平均分子量)×(アミノ末端基濃度(μmol/g))・・・(2)
[4]
前記連続強化繊維がガラス繊維を含み、
前記ガラス繊維は少なくともアミノシランにより表面処理されている、
[1]〜[3]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[5]
潤滑剤を含有しないポリアミドを用いる、[1]〜[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[6]
前記ポリアミド系樹脂がポリアミド66である、[1]〜[5]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
[7]
ポリアミド系樹脂と連続強化繊維とを含み、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法で得られる、連続繊維強化樹脂複合材料。
本発明に係る連続繊維強化樹脂複合材料は、高温での状態においても、十分な強度や剛性等の物性を発現することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[連続繊維強化樹脂複合材料]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む連続繊維強化樹脂複合材料である。
本明細書において、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、単に「複合材料」と称する場合がある。
(連続繊維強化樹脂複合材料の形態)
連続繊維強化樹脂複合材料の形態は、特に制限されず、以下の種々の形態が挙げられる。例えば、連続強化繊維の織物や編み物、組紐、パイプ状のものと熱可塑性樹脂とを複合化した形態、一方向に引き揃えた連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸を一方向に引き揃えて成形した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸を織物や編み物、組紐、パイプ状にして成形した形態、が挙げられる。本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、平板であってよく、連続強化繊維の層と熱可塑性樹脂との層を含む積層体であってよい。例えば、連続強化繊維の長さ方向が平板の表面に略平行に配置されていてもよい。なお、連続強化繊維の層とは、連続強化繊維(例えば、連続強化繊維基材)を含む層であり、連続強化繊維の内部に熱可塑性樹脂が含浸している層であってよい。
連続繊維強化樹脂複合材料の成形前の中間材料の形態としては、連続強化繊維と樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を樹脂で被覆したコーティング糸、連続強化繊維に予め樹脂を含浸させテープ状にしたもの、連続強化繊維を樹脂のフィルムで挟んだもの、連続強化繊維に樹脂パウダーを付着させたもの、連続強化繊維の束を芯材としてその周囲を樹脂繊維で組紐としたもの、強化繊維の間に予め樹脂を含浸させたもの等が挙げられる。
[連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法]
連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、特に制限されず、以下の種々の方法が挙げられる。
一方法では、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材(例えば、連続強化繊維からなる基材、熱可塑性樹脂からなる基材)を、所望の複合材料に合わせて裁断又は成形し、目的とする製品の厚みを考慮して必要個数積み重ね又は必要枚数積層させ、金型形状に合わせてセットする。
基材の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等があげられる。断面形状にすぐれ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調整できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
基材の成形は、任意の方法で行ってよく、シート状の形状に成形してよい。
基材を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ賦型する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一旦型締めをし、圧縮成形した後に一旦金型の型締め圧力を解除してもよい。圧縮成形の時間は、強度発現の観点からは、使用される熱可塑性樹脂が熱劣化しない範囲で長い方が好ましいが、生産性の観点からは、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内が適している。
さらなる方法では、連続繊維強化樹脂複合材料は、さらにハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填してハイブリッド成形体としてもよい。ハイブリッド成形体の製造工程においては、金型内に基材をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、熱可塑性樹脂と、所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド成形体を製造してもよい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、両熱可塑性樹脂間の界面強度に大きく影響する。所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、基材を金型内にセットして金型を閉じた後に金型温度が熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移温度以上に昇温してから、30秒以内が好ましい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上であることが好ましい。より好ましくは、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点+10℃以上又はガラス転移温度+10℃以上であり、更に好ましくは、融点+20℃以上又はガラス転移温度+20℃以上、更により好ましくは融点+30℃以上又はガラス転移温度+30℃以上である。
ハイブリッド成形体において、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成されたハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出するハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
ハイブリッド成形体を製造するために用いる射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば特に限定されない。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂の一種又は二種以上を混合した樹脂組成物が挙げられる。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物は、着色剤を含む、黒色の樹脂組成物としてよい。
各種充填材としては、上記連続強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する上記連続強化繊維に塗布される集束剤と同様のもの用いてもよい。集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、上記連続強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いるハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、接合する熱可塑性樹脂との界面強度の観点から、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する接合面の熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、接合面の熱可塑性樹脂にポリアミド66を用いた場合には、射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
その他の方法として、基材を金型に設置してダブルベルトプレス機により圧縮する成形方法や、設置した基材の四方を囲むように型枠を設置し、ダブルベルトプレス機により加圧し成形する方法や、一つ又は複数の温度に設定した加熱用の圧縮成形機と、一つ又は複数の温度に設定した冷却用の圧縮成形機を用意し、基材を設置した金型を順番に、圧縮成形機に投入して成形する成形方法等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造においては、好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量を90〜525質量%、これら以外の成分の添加量を0〜2質量%としてよく、より好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量を150〜340質量%、これら以外の成分の添加量を0〜1質量%としてよい。
連続強化繊維、熱可塑性樹脂以外の成分としては、特に限定されず、後述される集束剤、その他の添加剤が挙げられる。
(連続強化繊維)
連続強化繊維としては、通常の連続繊維強化樹脂複合材料に使用されるものを用いてよい。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
−集束剤−
本実施形態では、各種の連続強化繊維とともに、各種の集束剤を用いてもよい。この場合、連続繊維強化樹脂複合材料が、熱可塑性樹脂及び連続強化繊維以外に集束剤も含む。
集束剤としては、シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
集束剤は、使用される材料に対して外的に加えられてもよく、使用される材料に内的に含まれていてもよい。例えば、潤滑剤は、用いられる熱可塑性樹脂の市販品に含まれている場合がある。
具体的には、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやエポキシシランが挙げられ、アミノシランが、好ましい。結束剤としてはポリアミド系樹脂と濡れ性のよい、又は表面張力の近い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド系樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。潤滑剤としてはシランカップリング剤と結束剤を阻害しないものを用いる必要があり、例えば、カルナウバワックスが挙げられる。
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、集束剤を用いてもよい。
集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される1種以上を含むものであってよく、少なくとも結束剤を含むことが好ましく、少なくともシランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、集束剤は、シランカップリング剤及び結束剤からなるものとしてよく、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなるものとしてもよい。
連続強化繊維の周りを被膜する樹脂と強い結合を作る集束剤であることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂複合材料を得ることができる。
−−シランカップリング剤−−
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、ポリアミド系樹脂の末端基であるカルボキシル基またはアミノ基と結合しやすいものを選択することが好ましく、アミノシラン類が好ましい。
−−潤滑剤−−
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
−−結束剤−−
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、連続繊維強化樹脂複合材料の主たる材料としての熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、連続繊維強化樹脂複合材料の主たる材料としてのポリアミド系樹脂以外のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、連続強化繊維の周囲を被覆する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、複合材料となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
更に、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又はそのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体、又は、不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーの単独重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸、及びこれら不飽和カルボン酸のエステル化体(メチルエステル、エチルエステル等)等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
変性ポリオレフィン系樹脂がオレフィン系モノマーと該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合である場合、モノマー比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60〜95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5〜40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70〜85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15〜30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂は、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40〜99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1〜10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40〜60質量%、ポリオール40〜60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45〜55質量%、ポリオール45〜55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000〜100,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上、60質量%以上用いることがより好ましい。
集束剤が、シランカップリング剤及び結束剤からなる場合、集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%付与して付着させる。ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
また、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%付与して付着させる。ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
−−ガラス繊維用の集束剤の組成−−
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%、更に好ましくは0.2〜0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、更に好ましくは3〜10質量%である。
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合であって、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
−−ガラス繊維用の集束剤の使用態様−−
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
なお、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合には、集束剤は、カップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した合成樹脂と、濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
−−連続強化繊維の形状−−
連続強化繊維は複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。
連続強化繊維の単糸径Rは、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2〜30μmであることが好ましく、4〜25μmであることがより好ましく、6〜20μmであることが更に好ましく、8〜18μmであることが最も好ましい。なお、本願明細書では、連続強化繊維の単糸径Rは、単糸の延在方向に直交する方向の面による断面形状が、当該断面の面積と同じ面積を有する円に相当するものと仮定した場合における、当該円の直径を単糸全長に亘って平均したものいう。そして、本願明細書では、この連続強化繊維の単糸径Rを連続強化繊維径とする。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RDは、連続強化繊維の取り扱い性と複合材料の強度の観点から、好ましくは5〜100μm・g/cm、より好ましくは10〜50μm・g/cm、更に好ましくは15〜45μm・g/cm、より更に好ましくは20〜45μm・g/cmである。
単糸径R(μm)は、密度D(g/cm)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
Figure 2021187880
により算出することができる。また、単糸径R(μm)は例えば、連続強化繊維単糸のSEM観察によって求めることができる。
他方、密度Dは比重計により測定することができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cmであるから、単糸径が2〜40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cmであるから、単糸径が2.8〜55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cmであるから、単糸径が3.4〜68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。
連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
連続強化繊維は、好ましくは、織物、ノンクリンプファブリック、一方向材の形態で用いられる。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂である。
ポリアミド系樹脂は、カルボキシル末端基濃度が50μmol/g以上であり、かつアミノ末端基濃度が40μmol/g以下であることが、界面強度向上の観点から好ましい。
カルボキシル末端基濃度は55μmol/g以上であることがより好ましく、60μmol/g以上であることが更に好ましく、65μmol/g以上であることがより更に好ましい。
アミノ末端基濃度は35μmol/g以下であることがより好ましく、30μmol/g以下であることが更に好ましい。
なお、カルボキシル末端基濃度及びアミノ末端基濃度は、NMRを用いて測定することができ、詳細には実施例に記載の方法で求めることができる。
前記ポリアミド系樹脂の下記式(2)から求められる末端基量が90000以上150000以下であることが界面強度向上の観点から好ましく、100000以上150000以下であることがより好ましく、120000以上150000以下であることが更に好ましく、130000以上150000以下であることがより更に好ましい。
(アミノ末端基量)=(重量平均分子量)×(アミノ末端基濃度(μmol/g))・・・(2)
−ポリアミド系樹脂−
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。ω−アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。耐熱性と成形性のバランスの観点からポリアミド66が好ましい。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂の融点は、110〜300℃であることが好ましく、200〜280℃であることがより好ましく、250℃〜270℃であることが更に好ましい。
なお、融点は、例えば、DSC測定から求めることができ、詳細には実施例に記載の方法で求めることができる。
ポリアミド系樹脂の重量平均分子量は、30000〜110000であることが好ましく、40000〜80000であることがより好ましく、42000〜60000であることが更に好ましい。
なお、重量平均分子量は、例えば、GPC測定から求めることができ、詳細には実施例に記載の方法で求めることができる。
本実施形態では、ポリアミド系樹脂中に潤滑剤等の添加剤を含めたポリアミド(市販品等)を用いてもよく、潤滑剤を含まないポリアミドを用いてもよいが、潤滑剤を含まないポリアミドを用いることが好ましい。潤滑剤としては、例えば、ポリエチレングリコールや、ステアリン酸塩等が挙げられ、詳細は後述のとおりとしてよい。
なお、ここで、潤滑剤を含まないとは、ポリアミド系樹脂を100質量%として潤滑剤を0.05質量%未満で含むことをいい、かかる含有量は、好適には0.03質量%未満であり、より好適には0.01質量%未満である。
本実施形態では、連続繊維強化樹脂複合材料の原材料たる熱可塑性樹脂及び連続強化繊維として両者の間の界面の強度が高い組み合わせを用いることで、製造される連続繊維強化樹脂複合材料の物性を高めることができる。
(界面引抜強度)
本実施形態において熱可塑性樹脂及び連続強化繊維について定められる25℃における界面引抜強度は、55MPa以上であり、60MPa以上であることが好ましく、70MPa以上であることがより好ましく、75MPa以上であることが更に好ましく、80MPa以上であることがより更に好ましい。
25℃での界面引抜強度を上記範囲とすることで、25℃での強度や剛性等の物性が向上するという効果が得られる。
本実施形態において熱可塑性樹脂及び連続強化繊維について定められる80℃における界面引抜強度は、35MPa以上であることが好ましく、40MPa以上であることがより好ましく、50MPa以上であることが更に好ましく、55MPa以上であることが特に好ましい。
80℃での界面引抜強度を上記範囲とすることで、80℃での強度や剛性等の物性が向上するという効果が得られる。
なお、界面引抜強度は、例えば、移動可能なマニピュレーターの先端に取り付けたタブに、強化繊維一本を接着し、ホットプレート上に設置したアルミニウム円盤上で溶融させた樹脂に強化繊維を所定の長さ挿入することで、試験片を作成し、所定の温度で電磁力式微小試験機等を使用して引抜試験をすることで求めることができ、詳細には実施例に記載の方法で求めることができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂と連続強化繊維との80℃における界面定数は25℃における界面定数の55%以上であり、界面強度向上の観点から、60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。
界面引抜強度の25℃での値と80℃での値との関係を上記とすることで、25℃から80℃に温度を上げた際に、熱可塑性樹脂と連続強化繊維の線膨張差により生じる熱可塑性樹脂と連続強化繊維との間の空隙を抑制できるというメカニズムにより、80℃での物性を25℃での物性で割った、物性の保持率が高くなるという効果が得られる。
(界面定数)
本実施形態の熱可塑性樹脂と連続強化繊維との25℃における界面定数は、70以上であり、90以上であることが界面強度向上の観点から好ましく、100以上であることがより好ましく、110以上であることが更に好ましい。
また、80℃における界面定数は、45以上であることが界面強度向上の観点から好ましく、55以上であることがより好ましく、60以上であることがさらに好ましく、70以上であることが特に好ましい。
なお、界面定数は下記の式(1)から求められる。
(界面定数)=((界面引抜強度(MPa))×(引抜速度(μm/s))×(カルボキシル末端基濃度(μmol/g))×(測定温度(K))×(連続強化繊維径(μm))×((ポリアミド系樹脂の融点(K))−(測定温度)(K)))×(ポリアミド系樹脂の密度(g/cm))/100000000・・・(1)
本実施形態では、80℃における界面定数が25℃における界面定数の55%以上であり、界面強度向上の観点から、60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
[連続繊維強化樹脂複合材料の用途]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、航空機、車、建設材料、ロボット等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア、アクセルペダル、アクセルペダルベース等の部品として好適に使用することができる。
[複合材料の成形]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、さらに成形することができる。上記の方法としては、例えば、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、所定の大きさに切りだし、赤外線ヒーターで加熱し、プレス成形機で加熱圧縮プレスする方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
[重量平均分子量測定]
ポリアミド系樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(HLC−8020;東ソー株式会社)により、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒、ポリメチルメタクリルレート標準サンプル(ポリマーラボ社)を用いて測定した。なお、GPCカラムはTSK−GEL GMHHR−MとG1000HHRを使用した。
[DSC測定]
ポリアミド系樹脂の融点はDSC(示差走査熱量測定)装置(DSC−60;株式会社島津製作所株式会社)により、試料量は約5mgとし、雰囲気ガスとしては30mL/分で流し、昇温温度は10℃/分の条件で室温(25℃)から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させ次いで、溶融したポリアミド系樹脂を10℃/分で冷却させた際に観測される発熱ピークのピークトップの温度を結晶化温度とした。その後、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再昇温した際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度を融点とした。
[末端基濃度測定]
ポリアミド系樹脂の試料15mgをDSO1.5mgに溶解させて、室温でH−NMR(JEOL−ECZ500)測定を行い、カルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度とを求めた。
[末端基量]
ポリアミド系樹脂のアミノ末端基濃度と重量平均分子量とから下記式により求めた。
(アミノ末端基量)=(重量平均分子量)×(アミノ末端基濃度)・・・(2)
[曲げ応力保持率、曲げ弾性率保持率]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、インストロン万能試験機にて、3点曲げ用の治具を用い、スパン間を32mmに設定して速度1mm/min、25℃、50%RH、もしくは80℃、50%RH環境下で曲げ応力(MPa)、曲げ弾性率(GPa)を測定し、25℃における曲げ応力及び曲げ弾性率に対しての80℃における曲げ応力及び曲げ弾性率の保持率をそれぞれ求めた。
[界面引抜強度試験]
移動可能なマニピュレーターの先端に取り付けたタブに、使用する連続強化繊維一本を接着し、また、300℃に加熱したホットプレート上に設置したアルミニウム円盤上で、ポリアミド系樹脂を溶融させた。連続強化繊維を、繊維を直線状に伸ばした状態で、連続強化繊維の一端が溶融させた樹脂中に50μm以上の樹脂厚さをもって埋入されるように、長さ約50μm挿入し、冷却することで、試験片を作成した。25℃、80℃の温度環境下で、電磁力式微小試験機(マイクロサーボMMT−11N;島津製作所)を使用して引張変位速度1.67×10−6m/sの変位制御下で連続強化繊維を引き抜いて、引抜試験を実施した。引抜試験後、SEMにより、連続強化繊維径(単糸径R)と、連続強化繊維のうち樹脂が付着していた部分の長さとを求め、下記式により界面引抜強度を求めた。
(界面引抜強度(MPa))=(最大荷重(N))/{(連続強化繊維径(m))×(連続強化繊維のうち樹脂が付着していた部分の長さ(m))×π}
実施例、比較例で用いた材料は以下のとおりである。
[連続強化繊維・ガラスクロス]
(ガラス繊維)
GF1:集束剤を0.45質量%付着させた、繊度11500dtexで単糸数2000本のガラス繊維を製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約17μm(表1参照)とした。
ガラス繊維集束剤は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、アミノシラン)KBE−903(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、カルナウバワックスを1質量%、ポリウレタン樹脂Y65−55(株式会社ADEKA製)2質量%、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物が3質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。
GF2:集束剤を0.45質量%付着させた、繊度11500dtexで単糸数2000本のガラス繊維を製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約17μm(表1参照)とした。
ガラス繊維集束剤は、カルナウバワックスを1質量%、ポリウレタン樹脂Y65−55(株式会社ADEKA製)2質量%、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物が3質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。
レピア織機(織幅1m)を用い、上記ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は600g/mであった。
[熱可塑性樹脂(ポリアミド系樹脂)]
PA1:ポリアミド66(1300 301;旭化成株式会社)
PA2:ポリアミド66(1500 X11;旭化成株式会社)
PA3:ポリアミド66(1700 X11;旭化成株式会社)
PA4:ポリアミド66(1300S 321;旭化成株式会社)(PA4を100質量%として潤滑剤(ポリエチレングリコール)を0.1質量%含む。)
PA5:ポリアミド66(1300S 3J1;旭化成株式会社)(PA5を100質量%として潤滑剤(ポリエチレングリコール)を0.1質量%含む。)
PA6:ポリアミド6(1011FB;宇部興産株式会社)
PA7:ポリアミド6(1013FB;宇部興産株式会社)
PP:ポリプロピレン(プライムポリマー社製)
[熱可塑性樹脂フィルムの作製]
Tダイ押し出し成形機(株式会社創研製)を用いて成形することでフィルムを得た。フィルムの厚さは200μmであった。
[連続繊維強化樹脂複合材料の成形]
ガラスクロス5枚とポリアミド系樹脂フィルム6枚を、ガラスクロスとポリアミド系樹脂フィルム1とを交互に重ねて成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
成形機として、ダブルベルトプレス機を使用した。上記ガラスクロスと上記ポリアミド系樹脂フィルムを所定枚数重ね、材料温度が330℃になるように加熱し、圧力3MPa、成形時間1分で圧縮成形を行った。連続繊維強化樹脂複合材料の厚みは2mmであった。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
表1の通りポリアミド系樹脂とガラス繊維とを使用して、界面引抜強度、末端基濃度、重量平均分子量、末端基量を求め、上記方法で連続繊維複合材料を成形して、曲げ応力保持率と曲げ弾性率保持率を求めた。
詳細な条件及び試験の結果を表1に示す。
Figure 2021187880
上記表1から、実施例1〜6の連続繊維強化樹脂複合材料は、25℃における界面定数が70MPa以上であり、引抜強度80℃における界面定数が25℃における界面定数の55%以上であることにより、80℃においても高い曲げ応力保持率と曲げ弾性率保持率とを示した。
実施例4のように潤滑剤が樹脂に混ざっていると、80℃における曲げ応力保持率と曲げ弾性率保持率とが低下することが分かった。
実施例5のようにポリアミド系樹脂がアミノ末端基量が相対的に少ないポリアミド6であると、80℃における曲げ応力保持率と曲げ弾性率保持率とが低下することが分かった。
実施例6のようにGFにアミノシランが処理されていないと、80℃における曲げ応力保持率と曲げ弾性率保持率とが低下することが分かった。
実施例7のように連続強化繊維の径が相対的に大きい場合でも、80℃においても高い曲げ応力保持率と曲げ弾性率保持率とを示した。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、また、熱可塑性樹脂組成物との複合成形体材料として、産業上の利用可能である。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを含む連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であり、
    25℃における界面定数が70以上であり、
    80℃における界面定数が25℃における界面定数の55%以上である、
    連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
    (界面定数)=((界面引抜強度(MPa))×(引抜速度(μm/s))×(カルボキシル末端基濃度(μmol/g))×(測定温度(K))×(連続強化繊維径(μm))×((ポリアミド系樹脂の融点(K))−(測定温度)(K)))×(ポリアミド系樹脂の密度(g/cm))/100000000・・・(1)
  2. 前記ポリアミド系樹脂について、カルボキシル末端基濃度が50μmol/g以上であり、かつ、アミノ末端基濃度が40μmol/g以下である、請求項1に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  3. 下記式(2)から求められる、前記ポリアミド系樹脂のアミノ末端基量が900000以上1500000以下である、請求項1又は2に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
    (アミノ末端基量)=(重量平均分子量)×(アミノ末端基濃度(μmol/g))・・・(2)
  4. 前記連続強化繊維がガラス繊維を含み、
    前記ガラス繊維は少なくともアミノシランにより表面処理されている、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  5. 潤滑剤を含有しないポリアミドを用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  6. 前記ポリアミド系樹脂がポリアミド66である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  7. ポリアミド系樹脂と連続強化繊維とを含み、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で得られる、連続繊維強化樹脂複合材料。
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