JP6991766B2 - 連続繊維不織布、複合材用強化繊維基材およびそれらの成形体ならびに製造方法 - Google Patents
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Description
経糸と経糸に直交する緯糸、
経糸と経糸と斜めに交わる斜交糸、または、
経糸、経糸に直交する緯糸および経糸と斜めに交わる斜交糸、
のいずれかを有する連続繊維不織布であって、
連続繊維不織布を構成する経糸、緯糸および斜交糸の少なくともいずれか1つが連続強化繊維を含み、経糸、緯糸または斜交糸により形成される交点が接着剤により固定されており、接着剤が熱可塑性樹脂であって、この熱可塑性樹脂が連続強化繊維の糸束の隙間に含浸しているものである。
熱可塑性樹脂は、連続繊維不織布全体積に対して45~65体積%であることが好ましい。
連続強化繊維は熱可塑性樹脂でコーティングされてなることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維は斜交糸に含まれることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維はポリアミド樹脂繊維であることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維と連続強化繊維は混繊されてなることが好ましい。
連続強化繊維はガラス繊維または炭素繊維であることが好ましい。
複合材用強化繊維基材のマトリックス樹脂は、接着剤の熱可塑性樹脂と同種類の樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂シートはポリアミド樹脂であることが好ましい。
連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材を金型に設置し、金型を閉じた後、設置した連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材を、連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材のマトリックス樹脂の融点以上に加熱し、その後、加熱した連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材を冷却するものである。
連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材を、連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材のマトリックス樹脂の融点以上に加熱し、加熱した連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材を金型に設置し、金型を閉じて連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材を賦形するものである。
本発明の連続繊維不織布は少なくとも連続強化繊維と熱可塑性樹脂から構成されるものである。
本発明の連続繊維不織布の構成を図面を用いて説明する。図1~3は本発明の連続繊維不織布を示す拡大模式図である。なお、図は視認しやすくするために糸間を広くする等して示してある。
本発明の連続繊維不織布の一態様としては、図1に示すように経糸1と経糸1に直交する緯糸2により構成される二軸の連続繊維不織布である。経糸1および緯糸2はそれぞれ平行に配列された糸群である。
本発明の連続繊維不織布のさらに別の態様としては、図3に示すように、経糸1と経糸1に直交する緯糸2および経糸1と斜めに交わる斜交糸3より構成される四軸の連続繊維不織布である。なお、図3では斜交糸3が経糸1と斜めに交わる互いに交差する2方向の態様を示しているが、斜交糸3はいずれか1方向であってもよい。この場合には三軸の連続繊維不織布となる。
連続繊維不織布を構成する糸は連続強化繊維のみからなってもよいし、連続強化繊維以外の繊維、繊維への付着物等を含んでもよい。連続強化繊維以外の繊維としては、例えば熱可塑性樹脂の繊維があげられ、両者が引き揃えられてなるものでもよいし、連続強化繊維と熱可塑性樹脂の繊維が混繊されたものであってもよいし、経糸に連続強化繊維、緯糸に熱可塑性樹脂繊維というふうに、糸の方向によって種類を変えてもよい。経方向と緯方向の異方性を少なくするために、経糸と緯糸に連続強化繊維、斜交糸に熱可塑性繊維が含まれている形態がより好ましい。繊維への付着物としては、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
連続強化繊維は、通常の連続繊維強化樹脂成形体に使用されるものを用いることができる。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類等が挙げられる。
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体または固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系または鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上および界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級および第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m-キシリレンジイソシアナート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)およびイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000~50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部または全部をジアミンまたはジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α-ジメチルアミノε-カプロラクタム等を共重合して製造される。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸またはその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5-スルホイソフタル酸塩、5-スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級および第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上、60質量%以上用いることがより好ましい。
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1~2質量%、潤滑剤を0.01~1質量%、結束剤を1~25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上および界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、0.1~2質量%が好ましく、より好ましくは0.1~1質量%、さらに好ましくは0.2~0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御および界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1~25質量%、より好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは3~10質量%である。
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
ガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、エアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強度向上と混繊工程における開繊性向上の観点から3質量%以下であることが好ましい。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
連続強化繊維は複数本の強化繊維からなるマルチフィラメントであり、単糸数は、混繊工程における開繊性、および取扱い性の観点から30~15,000本であることが好ましい。連続強化繊維の単糸径は、強度の観点、および、取り扱い性の観点から2~30μmであることが好ましく、4~25μmであることがより好ましく、6~20μmであることがさらに好ましく、8~15μmであることが最も好ましい。
本発明の連続繊維不織布を構成する接着剤は熱可塑性樹脂である。
接着剤として用いる熱可塑性樹脂の量は特に制限はないが、連続繊維不織布の質量の内、2~20質量%であることが好ましく、4~15質量%であることがより好ましく、5~8質量%であることがさらに好ましい。
接着剤として用いる熱可塑性樹脂は連続繊維複合材料成形体においてマトリックス樹脂(対象(ここでは連続繊維複合材料成形体)中において占める体積の割合が一番大きい樹脂)であってもよい。この場合、熱可塑性樹脂は連続繊維不織布全体積に対して、45~65体積%であることが好ましい。他の樹脂をマトリックス樹脂として用いる際には、そのマトリックス樹脂と同系統の樹脂であることが、成形体の強度向上の観点から好ましい。
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン樹脂;アクリル樹脂およびこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられる。
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に-CO-O-(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
ポリアミド樹脂とは、主鎖に-CO-NH-(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられるが、強化繊維との親和性の観点が高く強化繊維による補強効果が得られやすいという観点から脂肪族系ポリアミドが好ましい。
ポリアミド樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明で用いられる連続強化繊維は、熱可塑性樹脂によりコーティング(被覆)されたコーティング糸が好ましい。
連続強化繊維の周囲を熱可塑性樹脂によって均一に被覆していることが好ましく、断面の樹脂厚み均一性指標が2以下であり、1.9以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.7以下であることがさらに好ましく、1.6以下であることがさらにより好ましい。
樹脂厚み均一性指標=最大樹脂厚み / 最小樹脂厚み・・・(1)
なお、最大樹脂厚みとは、連続強化繊維の中心から複合糸の外周へ引いた線上で、熱可塑性樹脂のみが占める部分の長さのうち、最大の値を表す。一方、最小樹脂厚みとは、同様に最小の部分の長さを表す。
コーティング糸の製造方法には特に制限はないが、例えば下記の方法があげられる。
熱可塑性樹脂ペレットをスクリュー式押出機のホッパーに投入し、シリンダ部で加熱溶融させ、スクリューによりクロスヘッドダイに導入させる。クロスヘッドダイに導入された溶融樹脂は円筒状通路を通り、下端の環状の吐出口から筒状に吐出される。一方、連続強化繊維は給糸装置から引き出され、クロスヘッドダイの中央の繊維用穴内を下方に走行しており、従って、吐出口から吐出された樹脂は走行中の連続強化繊維を取り囲んだ状態となっている。吐出口から吐出された樹脂は、表面張力や冷却による収縮、さらには下方に引っ張られることによって縮径し、連続強化繊維束の外周に接触すると共にその部分の連続強化繊維に接着する。かくして、連続強化繊維束の周りに樹脂が被覆コーティングされる。このコーティングによって形成された樹脂被覆連続強化繊維は、その後、熱可塑性樹脂冷却槽を通ることで冷却され、巻取装置で巻き取られる。
経糸、緯糸および斜交糸の少なくともいずれか1つは熱可塑性樹脂繊維を含むものであってもよい。熱可塑性樹脂繊維は上記熱可塑性樹脂を繊維状としたものであり、実質的に無撚りであり、かつ、実質的に無交絡であることが、仮撚工程、混繊工程における開繊性向上の観点から好ましい。実質的に無撚りとは、解舒等に伴う意図しない撚り以外の撚りが入っていない状態を意味し、撚り数が10回/m以下のことである。実質的に無交絡とは、流体交絡等通常の交絡手段による意図的な交絡が取扱い性を維持する最低限の回数である状態を意味し、交絡数が5回/m以下のことである。
熱可塑性樹脂繊維は連続強化繊維と同一方向に引き揃えられていてもよいし、混繊されていてもよいし、熱可塑性樹脂繊維のみを同一方向に引き揃えてもよい。熱可塑性樹脂繊維は経糸、緯糸、斜交糸のいずれに含まれていてもよいが、連続繊維不織布の強度のばらつきが小さくなることから、斜交糸を構成することが好ましい。
連続強化繊維と熱可塑性樹脂繊維は混繊されてなる混繊糸であってもよい。連続強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混繊する方法は公知の方法を利用できる。例えば、静電気力や流体噴霧による圧力、ローラー等に押し付ける圧力等による外力によって開繊した後、連続強化繊維と熱可塑性樹脂繊維を開繊したままの状態で合糸および引き揃える開繊合糸法、流体交絡(インターレース)法が挙げられる。連続強化繊維の損傷が抑制でき、開繊性に優れ、均一に混合可能な流体交絡法が好ましく使用される。流体交絡法としては、例えば、特許文献1に記載されている方法が好ましく使用される。原料となる強化繊維束の太さ、本数を適宜調整し、あわせて製造条件も調整すればよい。
連続繊維不織布の製造方法としては、経糸の上に緯糸および/または斜交糸を重ねてなる積層繊維束を接着剤である熱可塑性樹脂のエマルジョンに浸漬し、熱可塑性樹脂エマルジョンを連続強化繊維に含浸させ、含浸させた連続強化繊維を熱可塑性樹脂エマルジョンから引き揚げ、交点を熱可塑性樹脂で固定する方法が好ましい。より詳細には、例えば、経糸、緯糸および/または斜交糸をそれぞれ重ねて並べ(積層繊維束)、この積層繊維束をエマルジョン状態の熱可塑性樹脂に浸漬し、乾燥後、熱ローラーおよび加圧ローラーを通して接着し、製造する方法や、積層繊維束をエマルジョン状態の熱可塑性樹脂に浸漬し、乾燥させて接着する方法が挙げられる。また、連続強化繊維(例えば緯糸)をエマルジョン状態の熱可塑性樹脂に浸漬し乾燥後、経糸や斜交糸を重ねて並べ、熱ローラーおよび加圧ローラーを通して接着し、製造する方法によってもよい。
本発明の複合材用強化繊維基材は、本発明の連続繊維不織布が熱可塑性樹脂シートと積層されてなるものである。連続繊維不織布と熱可塑性樹脂シートの積層方法は以下に限定されるものではないが、例えば、上記の記載した方法で製造した連続繊維不織布を熱ローラーおよび加圧ローラーで接着剤の融点以上まで加熱し、熱可塑性樹脂シートと接着して積層する方法や、連続強化繊維を接着し、連続繊維不織布を製造する際に熱可塑性樹脂シートで上下を挟み、接着して積層する方法や、引き揃えた経糸、緯糸、斜交糸の間に熱可塑性樹脂シートを挟み、熱ローラー及び加圧ローラーで接着し、積層する方法や、連続繊維不織布と熱可塑性樹脂シートを縫い合わせる方法等があげられる。また、本発明の複合材用強化繊維基材は、引き揃えた経糸、緯糸あるいは斜交糸を熱可塑性樹脂シートの上に重ね、これを熱可塑性エマルジョンに浸漬し、その後、熱ローラー及び加圧ローラーで接着する方法によっても製造することができる。なお、連続強化繊維が熱可塑性樹脂でコーティングされてなる連続繊維不織布を熱ローラー及び加圧ローラーにかけると、コーティングされている熱可塑性樹脂が溶融して熱可塑性樹脂層となり、複合材用強化繊維基材のような形態となる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂シートには特に制限はなく、例えば織物、編み物、レース、フィルム、不織布等の中から適宜、選択することができる。
例えば、織物は、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機等の製織機を用いることで得られる。例えば、熱可塑性樹脂繊維を配列させた経糸に、緯糸を打ち込むことによって得る方法が好ましい方法として挙げられる。
編物は、丸編み機、横編み機、トリコット編み機、ラッシェル編み機等の編み機を用い、少なくとも一部に熱可塑性樹脂繊維を含む繊維を編成することによって得られる。
フィルムは、シート押し出し機や多層フィルム押し出し機等を用いて、製造することができる。
これらの中でも、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂が機械的物性、汎用性、熱的物性の観点から好ましい。
連続繊維強化樹脂成形体は、上述した連続繊維不織布または複合材用強化繊維基材(以下、まとめて連続繊維不織布等ともいう)を構成材料として製造することができる。上述した連続繊維不織布は連続強化繊維の糸束の隙間に熱可塑性樹脂が予め含浸しているため、上述した連続繊維不織布を構成材料として連続繊維強化樹脂成形体を製造することで、含浸性に優れ、強度に優れる連続繊維強化樹脂成形体が得られる。なお、連続繊維強化樹脂成形体の製造方法は以下に限定されるものではなく、種々の方法を適用することができる。
また、本発明の連続繊維強化樹脂成形体は、裁断された連続繊維不織布等を連続繊維不織布等のマトリックス樹脂の融点以上に予め加熱し、加熱した連続繊維不織布等を金型に設置し、金型を閉じて連続繊維不織布等を賦形することでも製造することができる。
連続繊維強化樹脂成形体の製造工程においては、金型内に連続繊維不織布等をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、さらに所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、連続繊維不織布等の熱可塑性樹脂と、所定の熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド成形体を製造してもよい。
保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
ハイブリッド成形体を製造するために用いる射出成形用の熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば特に限定されない。
各種充填材としては、強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合には、本発明の連続繊維不織布等が具備する連続強化繊維と同様に集束剤を用いてもよい。
集束剤は、シランカップリング剤、潤滑剤、および結束剤からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、前述の強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
本発明の連続繊維不織布を用いることにより、熱可塑性樹脂の未含浸率の低い連続繊維強化樹脂成形体を得ることができる。連続繊維強化樹脂成形体における熱可塑性樹脂の未含浸率は2.0%未満であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、さらには1.0%以下がより好ましく、0.5%未満であることが最も好ましい。成形体の未含浸率は実施例に示す方法により測定することができる。
連続繊維強化樹脂成形体は、航空機、車、建設材料等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
ー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル、)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア等の部品として好適に使用することができる。
〔接着剤〕
(ポリアミドエマルジョン)
商品名:セポルジョンPA200(住友精化株式会社)ポリアミド固形分40質量%
(アクリル樹脂エマルジョン)
商品名:TOCRYL BCX-8140(トーヨーケム株式会社)
ポリアミド樹脂繊維:レオナ(登録商標)470/144BAU(旭化成(株)製)、繊度470dtex、単糸数144本レオナを使用した。
ポリエチレン繊維:ポリアミド樹脂繊維と同様のプロセスで繊度470dtex、単糸数144本のものを用意した。
(ガラス繊維A)
下記集束剤aを1.0質量%付着させた、繊度8000dtexで単糸数1400本のガラス繊維を製造した。ロービング形態であり、平均単糸径は17μmとした。
(集束剤aの組成(固形分換算)):
・シランカップリング剤:γ-アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%〔商品名:KBE-903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ワックス0.1質量%〔商品名:カルナウバワックス((株)加藤洋行製)〕
・結束剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体塩5質量%〔商品名:アクアリックTL(日本触媒(株)製)〕
下記集束剤bを1.5質量%付着、乾燥させた、繊度8000dtex で単糸数1400本 のガラス繊維を製造した。ロービング形態であり、平均単糸径は17μmとした。
(集束剤bの組成(固形分換算)):
・シランカップリング剤:γ-アミノプロピルトリエトキシシラン0.3質量%〔商品名:KBE-903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ブチルステアレート0.5質量%、テトラエチレンペンタミンジステアレート0.05%
・結束剤:エポキシ樹脂〔商品名:jER828(登録商標、三菱化学製)〕
・pH調整剤:酢酸微量(水溶液のpH5に調整)
実施例に記載の熱可塑性樹脂のペレットから、シート押し出し成形機を用いて、厚さ0.2mm、幅50cmのシートを作製した。
(被覆用樹脂)
連続強化繊維を被覆するための熱可塑性樹脂として、以下の樹脂を用意した。
・PA66(旭化成製 レオナ(登録商標)1402S-011)
なお、PA66は、相対粘度45、水分0.09%であり、PA66を99.29質量部に対して、酢酸銅(一水和物)を0.03質量部、ヨウ化カリウムを0.50質量部、乳酸マンガン(II)を0.01質量部、AlSt(ステアリン酸アルミニウム)を0.12質量部、PEG(ポリエチレングリコール)400を0.06質量部加えた。
AIKI社製コーティング機を使用した。糸の繰り出しは転がし取りを行った。糸の繰り出しから、ダイ、冷却、巻き取りまで、糸が直線になるように配置し、ダイの直前、冷却水に触れた直後、冷却器を出た直後、巻き取り機の直前に糸のガイドを設置した。押し出し機は糸に対して90度の角度に設置した。冷却はウォーターバスを用い、冷却後、空気により水分を吹き飛ばした。糸の速度は200m/分とし、巻き取り機によってコントロールした。押し出しは280~295℃で行った。ダイの内部で溶融した樹脂と、連続強化繊維が微加圧の状態で接触するように、樹脂の導入部分よりも連続強化繊維との接触部分が小さくなるように絞りを入れたダイを使用し、押し出し機の押出速度を微調整した。
経糸を幅1mに10本/インチで整経して送り出し、10本/インチに引き揃えられた緯糸を重ねた後、表1に示す接着剤(濃度を精製水で希釈することにより10質量%に調製)が入った漕に浸漬した。その後、乾燥固化させることで連続繊維不織布(以下、基材、あるいは単に布ともいう)を製造した。なお、経糸、緯糸および斜交糸がある場合には、経糸を幅1mに10本/インチで整経して送り出し、10本/インチに引き揃えられた緯糸を重ね、その後10本/インチに引き揃えられた斜交糸を互いに交差するように2方向で重ねて同様の手法により製造した。
(基材の圧縮成形工程)
成形機は、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用した。
平板型の連続繊維強化樹脂成形体(縦200mm、横100mm、肉厚2mm)を得るための金型を準備した。基材を金型形状に合わせて切断し、金型内に設置した。
成形機内温度を330℃に加熱し、基材を設置した金型を投入し、次いで型締め力5MPaで型締めし、圧縮成形を行った。成形時間はポリアミド66の融点である265℃に達してから1分とし、金型を急冷したのちに金型を開放し、成形体を取り出した。成形中の最大温度は274℃であった。
連続繊維不織布の任意の位置から5断面を切り出し、1断面につき任意の位置4箇所、合計20箇所において、マイクロスコープにより連続強化繊維の糸束の隙間に熱可塑性樹脂が含浸しているかを観察し、連続強化繊維の糸束の隙間のうち、熱可塑性樹脂が占有している割合の中央値が60%未満のものをD、60%以上70%未満のものをC、70%以上80%未満のものをB、80%以上85%以下のものをAとして含浸率の評価を行った。
成形体の断面を切り出し、エポキシ樹脂に包埋し、連続強化繊維が破損しないように注意しながら研磨を行った。マイクロスコープにより観察し、得られた画像から、繊維束、熱可塑性樹脂、空隙のそれぞれの占有面積を求め、全体の面積に対する空隙の面積の割合により算出した。
布を10cm×10cmに切断した際に、布から脱離した繊維の本数が4本以下のものをA、5本以上8本以下のものをB、9本以上のものをCとした。
レピア織機(織幅2m)を用い、ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織することで製造した。この時、経糸と緯糸の間隔を10本/インチにした。
基材を製造する際に、緯糸を挿入する速度が300本/分未満の場合をC、300本/分以上1000本/分未満の場合をB、1000本/分以上をAとして評価した。
インストロン万能試験機にて、長さ70mm、幅10mm、肉厚3mmの短冊状の試験片を、長手方向に30mmの間隔でチャッキングし、速度5mm/min、23℃50%RH環境下で引張強度を測定した。
製造した連続繊維不織布2gを切り出し、電気炉に入れ、温度650℃で3時間加熱して、樹脂を焼き飛ばした。その後、室温まで自然冷却し、残されたガラス繊維の質量を測定することで、連続繊維不織布に含まれるガラス繊維と樹脂の比率を求めた。また、求めた比率から、連続繊維不織布全体積に対する熱可塑性樹脂の体積を求めた。
アクリル樹脂エマルジョンを接着剤として用い、経糸、緯糸にガラス繊維Aを用いて上述の通り連続繊維不織布を製造した。この時、接着剤の付着量はガラス繊維Aに対して8質量%であった。その後、連続繊維不織布に含まれるガラス繊維Aに対して、28質量%のポリアミド66のシートと積層して金型に投入し、上記〔連続繊維強化樹脂成形体の製造方法〕の通りに連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
ポリアミドエマルジョンを接着剤として用いた以外は実施例1と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。この時、接着剤の付着量はガラス繊維Aに対して8質量%であった。
実施例2においてポリアミドエマルジョンの付着量を変更し、熱可塑性樹脂シートを用いなかった以外は、実施例2と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。この時、ポリアミドエマルジョンの付着量はガラス繊維Aに対して55体積%であった。
ポリアミド66のシートの代わりにポリエチレンのシートを用い、ポリアミドエマルジョンを接着剤として用いた以外は実施例1と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
経糸、緯糸にガラス繊維Aがポリアミド66で被膜されたコーティング糸を用い、ポリアミドエマルジョンを接着剤として用いた以外は実施例1と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。この時、ポリアミド66はガラス繊維Aに対して36質量%被膜していた。
ガラス繊維Aとポリエチレン繊維を質量比64:36で引き揃えて、経糸、緯糸に用い、ポリアミドエマルジョンを接着剤として用い、シートを用いなかった以外は実施例1と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
ポリエチレン繊維の代わりにポリアミド樹脂繊維を用いた以外は、実施例6と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
連続繊維不織布製造の際に、経糸、緯糸にガラス繊維Aを用いて、さらに、ポリアミド樹脂繊維を10本/インチに引き揃えて斜交糸として重ねて連続繊維不織布を製造した。その後実施例6と同様にして連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
ガラス繊維A1束、ポリアミド樹脂繊維10束を合糸および引き揃えた後、流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸を得た。
・ガラス繊維AはDWR形態から転がし取りを行った。
・ヒートセット:引き揃える直前に、加熱部1m、240℃のヒーターにより、ポリアミド樹脂繊維のヒートセットを行った。
・ポリアミド樹脂繊維はヒートセットにより縮むため、オーバーフィード量を調整した。
・強化繊維は伸縮率が小さく糸揺れが起こりやすいため、糸揺れを低減させるように糸道を調整した。
・流体交絡ノズル:京セラ KC-AJI-L(1.5mm径、推進型)
・空気圧:2kg/cm2
・加工速度:100m/分
・室内の雰囲気は25℃、湿度50%に調整した。
・巻き取り部分は乾燥空気を流して、ポリアミドが吸湿するのを防止した。
得られた複合糸を用い、ポリアミドエマルジョンを接着剤として用い、シートを用いなかった以外は実施例1と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
使用する連続強化繊維をステンレス繊維(商品名:ナスロン、日本精線株式会社製)にする以外は実施例2と同様に連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
実施例2の連続繊維不織布製造時の熱可塑性樹脂漕浸漬後にポリエチレンシートで連続繊維不織布を挟み、200℃の熱ローラーと加圧ローラーの間を通すことで、連続繊維不織布とポリエチレンシートを圧着し、複合材用強化繊維基材を得た。その後、実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
ポリエチレンシートをポリアミド66シートにした以外は実施例11と同様にして複合材用強化繊維基材と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
実施例12と同様に複合材用強化繊維基材を得た。得られた複合材用強化繊維基材を金型形状に合わせて切削し、IRヒーターにより280℃に加熱後、150℃に加熱された金型に移し、型締め力5MPaで型締めし、賦形した。型締め後1分で金型を開放し、連続繊維強化樹脂成形体を取り出した。
ガラス繊維A(経糸)を幅1mに10本/インチで整経して送り出し、ポリアミド66のシートを重ね、その上に10本/インチに引き揃えられたガラス繊維A(緯糸)を重ねた後、濃度を精製水で希釈することにより10質量%に調製したポリアミドエマルジョンが入った漕に浸漬した。その後、200℃の熱ローラーと加圧ローラーの間を通すことで複合材用強化繊維基材を得た。その後、実施例12と同様に連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
ガラス繊維Aを、10質量%に調整したポリアミドエマルジョン2Lに連続的に供給し、80℃の熱風循環乾燥機で1時間乾燥することで、ガラス繊維Aに熱可塑性樹脂を含浸させた。この時ポリアミド樹脂はガラス繊維Aに対して8質量%の割合で含浸した。この糸を経糸、緯糸に用いて、経糸を幅1mに10本/インチで整経して送り出し、その上に10本/インチに引き揃えられた緯糸を重ねた後、200℃の熱ローラーと加圧ローラーの間を通すことで連続繊維不織布を得た。その後、実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
ポリアミド66シートを製造する際にポリアミド66ペレットと一緒にポリアミドエマルジョンを加え、シートを製造した。ガラス繊維Aを経糸、緯糸に用いて、経糸を幅1mに10本/インチで整経して送り出し、その上に10本/インチに引き揃えられた緯糸を重ねた後、先述のシートで挟み、200℃の熱ローラーと加圧ローラーの間を通すことで連続繊維不織布を得た。その後、実施例12と同様にして連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
接着剤にエポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)を用いた以外は実施例1と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
上記に記載したガラスクロスを連続的に送り出し、10質量%に調整したポリアミドエマルジョン漕に浸漬、ローラーにより絞った後、乾燥し、巻き取った。この時ポリアミド樹脂はガラスクロスに対して8質量%の割合で付着した。その後実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
ガラス繊維A(経糸)を幅1mに10本/インチで整経して送り出し、10本/インチに引き揃えられたガラス繊維A(緯糸)を重ねた後、ポリアミド樹脂繊維により各交点をスティッチングして固定し、連続繊維不織布を得た。その後実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
(比較例4)
ガラス繊維Bを用いる以外は実施例2と同様にして連続繊維不織布と連続繊維強化樹脂成形体を製造した。
Claims (10)
- 経糸と該経糸に直交する緯糸、
前記経糸と該経糸と斜めに交わる斜交糸、または、
前記経糸、該経糸に直交する緯糸および前記経糸と斜めに交わる斜交糸、
のいずれかを有する連続繊維不織布であって、
該連続繊維不織布を構成する前記経糸、前記緯糸および前記斜交糸の少なくともいずれか1つが連続強化繊維を含み、
前記経糸、前記緯糸または前記斜交糸により形成される交点が接着剤により固定されており、
該接着剤がポリアミド樹脂であって、該ポリアミド樹脂の形態が、エマルジョン状態のポリアミド樹脂であり、前記接着剤が、ノニオン系、カチオン系、アニオン系またはこれらの混合物である界面活性剤を含有し、
前記連続強化繊維の糸束の隙間に含浸している前記形態の接着剤が乾燥固化してなる連続繊維不織布。 - 前記ポリアミド樹脂が、連続繊維不織布全体積に対して45~65体積%である請求項1記載の連続繊維不織布。
- 前記経糸、前記緯糸および前記斜交糸の少なくともいずれか1つに熱可塑性樹脂繊維を含む請求項1または2記載の連続繊維不織布。
- 前記熱可塑性樹脂繊維が前記斜交糸に含まれる請求項3に記載の連続繊維不織布。
- 前記熱可塑性樹脂繊維がポリアミド樹脂繊維である請求項3または4に記載の連続繊維不織布。
- 前記熱可塑性樹脂繊維と前記連続強化繊維が混繊されてなる請求項3~5いずれか1項に記載の連続繊維不織布。
- 前記連続強化繊維がガラス繊維または炭素繊維である請求項1~6いずれか1項に記載の連続繊維不織布。
- 請求項1~7に記載の連続繊維不織布がポリアミド樹脂シートと積層されてなる複合材用強化繊維基材。
- 前記複合材用強化繊維基材のマトリックス樹脂が、前記接着剤のポリアミド樹脂と同種類の樹脂である請求項8記載の複合材用強化繊維基材。
- 前記経糸の上に前記緯糸および/または前記斜交糸を重ねてなる積層繊維束を接着固定する請求項1~7に記載の連続繊維不織布の製造方法であって、前記積層繊維束を前記接着剤であるポリアミド樹脂のエマルジョンに浸漬し、該ポリアミド樹脂エマルジョンを前記連続強化繊維の糸束の隙間に含浸させ、該含浸させた連続強化繊維を前記ポリアミド樹脂エマルジョンから引き揚げ、前記交点を前記ポリアミド樹脂で固定する連続繊維不織布の製造方法。
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