JP2022091563A - 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Yuki Tokimaru
努 秋山
Tsutomu Akiyama
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Abstract

【課題】本発明は、含浸性に優れ、十分な強度を有する連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩と熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを含むことを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化剤が添加された複合材料成形体が多く使用されている。
複合材料の作製において、樹脂の含浸時間を短くするためには、低粘度樹脂の使用が効果的である。分子量の低い樹脂を用いることにより樹脂を低粘度化できるが、一方で、分子量の低下に伴い、複合材料の熱的・機械的物性が低下してしまうという問題がある。
その点、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩などの金属塩をポリアミドに添加することで、分子量を変化させることなく結晶化度を低下させ、樹脂粘度を低下させることが知られている(例えば、非特許文献1)。また、特許文献1には、シランカップリング剤を含むサイジング剤に高濃度のアルカリ金属塩化物(塩化リチウム)を添加し、当該サイジング剤で集束したガラス繊維にポリウレタン樹脂を含浸させることで、含浸時の樹脂の粘度を低下させることが開示されている。
特許第4032880号公報
繊維学会誌 vol.51,No.9(1995)
しかしながら、シランカップリング剤を含むサイジング剤に高濃度のアルカリ金属塩化物を添加する特許文献1の技術では、当該サイジング剤で集束したガラス繊維が製織性に劣るため、サイジング剤塗布後に製織を行い、アルカリ金属塩化物を塗布した連続強化繊維を作製するというのは困難である。また、繊維の製織後に、特許文献1に記載されるような高濃度のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を含有するサイジング剤を塗布することにより、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を塗布した連続強化繊維を作製することは可能だが、この方法では、サイジング剤中のシランカップリング剤がガラス表面と結合するのに十分な温度条件を満たすことができないため、ガラス表面のシランカップリング剤による修飾が不十分となり、樹脂を含浸させた際に強度低下につながる。
そこで、本発明は、かかる従来技術の水準に鑑み、含浸性に優れ、十分な強度を有する連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を含む連続繊維強化樹脂複合材料とすることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩と熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを含むことを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
[2]
前記金属塩がアルカリ金属塩である、[1]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[3]
前記金属塩がLiClを含む、[1]又は[2]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[4]
前記連続強化繊維がガラス繊維である、[1]~[3]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[5]
前記熱可塑性樹脂がポリアミドである、[1]~[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[6]
前記連続強化繊維の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して200~400質量部である、[1]~[5]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
連続強化繊維に対して、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を含む溶液を塗布することを含むことを特徴とする、製造方法。
[8]
連続強化繊維に対して、サイジング剤を塗布した後、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を含む溶液を塗布することを含む、[7]に記載の製造方法。
本発明に係る連続繊維強化樹脂複合材料は、含浸時間が短く、短繊維に比べて高い力学特性を示した。また、予想外の効果として低ソリ性、低バラつき性、良好な表面外観も発現できた。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
・連続繊維強化樹脂複合材料
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料(以下、単に「複合材料」ともいう。)は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩と熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを含むことを特徴とする。
・アルカリ金属塩
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料に含まれるアルカリ金属塩としては、以下に限定されるものではないが、塩を構成する成分であるアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられ、塩を構成する成分である対アニオンとしては、例えば、OH、OR、NO 、NO 、F、Cl、Br、I、SO 2-、HSO 、S 2-、PO 3-、HPO 2-、HPO 、CO 2-、HCO 、RCOO、SiO 2-、B 2-、ClO 、ClO 、ClCO 、ClO、S2-、SH、AsO 2-、CN、SCN、O2-等が挙げられる。なお、上記対アニオン中のRはアルキル基やアリール基からなる置換基を指す。
樹脂粘度低下の観点から、Liと、F、Cl、Br、又はIとの組み合わせからなるアルカリ金属塩が好ましく、LiClが最も好ましい。
上記アルカリ金属塩は、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ金属塩の含有量は、熱可塑性樹脂を100質量部として、0.01~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.015~1質量部、更に好ましくは0.02~0.1質量部である。アルカリ金属塩の含有量が10質量部超であると、未溶融のアルカリ金属塩が析出し、樹脂中の欠陥となり、樹脂の強度が低くなる傾向にあり、0.01質量部未満であるとアルカリ金属塩添加による粘度低下効果が十分に発揮されない傾向にある。
・アルカリ土類金属塩
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料に含まれるアルカリ土類金属塩としては、以下に限定されるものではないが、塩を構成する成分であるアルカリ金属としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等が挙げられ、塩を構成する成分である対アニオンとしては、例えば、OH、OR、NO 、NO 、F、Cl、Br、I、SO 2-、HSO 、S 2-、PO 3-、HPO 2-、HPO 、CO 2-、HCO 、RCOO、SiO 2-、B 2-、ClO 、ClO 、ClCO 、ClO、S2-、SH、AsO 2-、CN、SCN、O2-等が挙げられる。なお、上記対アニオン中のRはアルキル基やアリール基からなる置換基を指す。
樹脂粘度低下の観点から、Mg又はCaと、F、Cl、Br、又はIとの組み合わせからなるアルカリ土類金属塩が好ましく、MgCl、CaClがより好ましい。
上記アルカリ土類金属塩は、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ土類金属塩の含有量は、熱可塑性樹脂を100質量部として、0.01~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.015~1質量部、更に好ましくは0.02~0.1質量部である。アルカリ土類金属塩の含有量が10質量部超であると、未溶融のアルカリ土類金属塩が析出し、樹脂中の欠陥となり、樹脂の強度が低くなる傾向にあり、0.01質量部未満であると、アルカリ土類金属塩添加による粘度低下効果が十分に発揮されない傾向にある。
上記アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩は、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料中の樹脂全体に均一に存在する、又は連続強化繊維の表面近傍に高い濃度で存在する(偏在する)等、複合材料中のいずれに存在してもよいが、特に連続強化繊維近傍の樹脂の流動性を向上させ、含浸を早める観点から、各連続強化繊維の表面近傍に高い濃度で存在する形態が望ましい。
・連続強化繊維
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維としては、通常の連続繊維強化樹脂複合材料に使用されるものを用いてよい。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
上記連続強化繊維は、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、集束剤を用いてもよく、サイジング剤(集束剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましく、連続強化繊維の周りを被膜する樹脂と強い結合を作る集束剤であることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂複合材料を得ることができ、合成樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、集束剤は熱可塑性樹脂用の集束剤であることが好ましい。熱可塑性樹脂用の集束剤とは、例えば、ポリアミド樹脂を合成樹脂として選択する場合、シランカップリング剤として、ポリアミド樹脂の末端基であるカルボキシル基とアミノ基と結合しやすいものを選択する必要がある。具体的には例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシランやエポキシシランが挙げられる。結束剤としてはポリアミド樹脂と濡れ性のよい、又は表面張力の近い樹脂を用いる必要がある。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。潤滑剤としてはシランカップリング剤と結束剤を阻害しないものを用いる必要があり、例えば、カルナウバワックスが挙げられる。
-シランカップリング剤-
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。合成樹脂としてポリアミドを用いる際には、アミノシラン類やマレイン酸類が好ましく、合成樹脂としてエポキシ樹脂を用いる際にはエポキシシラン類が好ましい。
-潤滑剤-
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
-結束剤-
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m-キシリレンジイソシアナート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20~90%とすることが好ましく、40~60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000~50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、連続強化繊維の周囲を被覆する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、複合材料となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
更に、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと、当該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60~95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5~40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70~85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15~30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000~200,000が好ましく、50,000~150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α-ジメチルアミノε-カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5-スルホイソフタル酸塩、5-スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40~99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1~10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40~60質量%、ポリオール40~60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45~55質量%、ポリオール45~55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000~100,000が好ましく、10,000~30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上、60質量%以上用いることがより好ましい。
-ガラス繊維用の集束剤の組成-
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1~2質量%、潤滑剤を0.01~1質量%、結束剤を1~25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、0.1~2質量%が好ましく、より好ましくは0.1~1質量%、更に好ましくは0.2~0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1~25質量%、より、好ましくは3~15質量%、更に好ましくは3~10質量%である。
-ガラス繊維用の集束剤の使用態様-
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%付与する。
ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
尚、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合には、集束剤は、カップリング剤、潤滑剤、結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した合成樹脂と、濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
-連続強化繊維の形状-
連続強化繊維は複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から30~15,000本であることが好ましい。連続強化繊維の単糸径は、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2~30μmであることが好ましく、4~25μmであることがより好ましく、6~20μmであることが更に好ましく、8~18μmであることが最も好ましい。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RDは、連続強化繊維の取り扱い性と複合材料の強度の観点から、好ましくは5~100μm・g/cm、より好ましくは10~50μm・g/cm、更に好ましくは15~45μm・g/cm、より更に好ましくは20~45μm・g/cmである。
密度Dは比重計により測定することができる。他方、単糸径(μm)は、密度(g/cm)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
Figure 2022091563000001
により算出することができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cmであるから、単糸径が2~40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cmであるから、単糸径が2.8~55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cmであるから、単糸径が3.4~68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
連続強化繊維の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して200~400質量部であることが好ましく、より好ましくは210~300質量部であり、更に好ましくは230~270質量部である。200質量部未満では、繊維の補強効果が十分でなく、低い物性となってしまう傾向にある。また、400質量部超では、成形不良・繊維への含浸性低下が問題となり、物性の低下、ソリ量の増加、表面外観の劣化につながる。
・熱可塑性樹脂
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が更に好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がより更に好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
-ポリエステル系樹脂-
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に-CO-O-(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
-ポリアミド系樹脂-
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に-CO-NH-(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられるが、連続強化繊維との親和性が高く連続強化繊維による補強効果が得られやすいという観点から脂肪族系ポリアミドが好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。ω-アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω-アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω-アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2-メチルペンタンジアミンや2-エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p-フェニレンジアミンやm-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2-メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
・添加剤
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、必要に応じて添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、着色剤、老化防止剤、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、防菌・防黴剤、防臭剤、導電性付与剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、制振剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤等が挙げられる。
添加剤の含有量は、連続繊維強化樹脂複合材料100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましい。
-着色剤-
着色剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、ニグロシン、アルミ顔料、二酸化チタン、群青、シアニンブルー、シアニングリーン、キナクリドン、珪藻土、モノアゾ塩、ペリレン、ジスアゾ、縮合アゾ、イソインドリン、弁柄、ニッケルチタンイエロー、ジケトンピロロピロール、金属塩、ペリレンレッド、金属酸化物、バナジン酸ビスマス、コバルトグリーン、コバルトブルー、アンスラキノン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等が挙げられる。中でも、黒色の着色剤が好ましく、カーボンブラック、ニグロシンがより好ましい。
・連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料としては、フィルム状の熱可塑性樹脂とシート状(織物、編物、一方向配列シート、多軸織物等)の強化繊維との積層体を加熱・加圧処理する方法が挙げられる。
上記の加熱・加圧処理としては、例えば、材料を金型に設置し、金型を加熱して金型温度を樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上としたのち、型締め力1~100MPaで型締めして圧縮成形を行う。成形時間は、樹脂の融点又はガラス転移温度に達してから1~30分とし、金型を樹脂の融点又はガラス転移温度マイナス200℃~樹脂の融点又はガラス転移温度マイナス10℃まで冷却したのち開放して、連続繊維強化樹脂複合材料を得る。
連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を添加する方法としては、当該金属塩を含む溶液を連続強化繊維に対して塗布してもよく、また、当該金属塩を熱可塑性樹脂に混合してもよい。上記金属塩が各連続強化繊維の表面近傍に高い濃度で存在する形態であると、連続強化繊維近傍の樹脂の流動性が向上し、含浸がより早まることから、金属塩を含む溶液を連続強化繊維に対して塗布することが好ましい。
上記金属塩を含む溶液を連続強化繊維に塗布する場合、連続強化繊維にサイジング剤を塗布した後、上記金属塩を含む溶液を塗布することが好ましい。サイジング剤を塗布した後に金属塩を含む溶液を塗布することにより、連続強化繊維近傍の樹脂を効率よく低粘度化することができる。
金属塩を含む溶液の濃度は、1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは5~20質量%、更に好ましくは10~15質量%である。金属塩を含む溶液の濃度が上記範囲であると、金属塩を均一に連続強化繊維に塗布することができる。溶液の量は、熱可塑性樹脂100質量部に対するアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の含有量が上述の範囲となるように適宜調整できる。
金属塩を含む溶液の塗布後、連続強化繊維は、風乾等により乾燥させる。
上記金属塩を熱可塑性樹脂に混合する場合、混合方法は特に限定されず、例えば、金属塩を熱可塑性樹脂にドライブレンドした後、押出機を用いて溶融混錬してもよい。
・連続繊維強化樹脂複合材料の用途
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、航空機、車、建設材料、ロボット等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア、アクセルペダル、アクセルペダルベース等の部品として好適に使用することができる。
・連続繊維強化樹脂複合材料の成形
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、さらに成形することができる。成形方法としては、例えば、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、所定の大きさに切りだし、赤外線ヒーターで加熱した後、プレス成形機で加熱圧縮プレスする方法等が挙げられる。
以下、本発明の内容を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できることは言うまでもない。
まず、実施例・比較例で用いた測定方法等について説明する。
・曲げ強度、曲げ弾性率
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、インストロン万能試験機にて、3点曲げ用の治具を用い、スパン間を32mmに設定して速度1mm/min、23℃、50%RH環境下で曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(GPa)を測定した。10本の試験結果の中央値をそれぞれの曲げ強度、曲げ弾性率とした。
・曲げ強度変動係数、曲げ弾性率変動係数
上記曲げ強度、曲げ弾性率に関する10本の測定結果から、下記式により曲げ強度変動係数、曲げ弾性率変動係数を計算した。
Figure 2022091563000002
・外観
連続繊維強化樹脂複合材料の表面を観察し、表面の凹凸、表面近傍のガラスの未含浸部位に由来する白化が面積%で30%以上観察された場合は「×(不良)」、表面の凹凸、表面近傍のガラスの未含浸部位に由来する白化が面積%で5%以上30%未満観察された場合は「△(良好)」、それらが面積%で5%未満観察される場合は「〇(優れる)」として評価した。
・ソリ量
連続繊維強化樹脂複合材料のソリ量について、以下の評価基準で評価した。
100mm×200mm×2mmの連続繊維強化樹脂複合材料の四隅の一端を床に接地させた際の、接地させた一端の対角線上の端から床までの垂直距離が、0~2mmである場合を「〇(優れる)」、2mm超4mm以下である場合を「△(良好)」、4mm超である場合を「×(不良)」とした。
実施例、比較例で用いた材料は以下のとおりである。
[連続強化繊維]
ガラス繊維:ER1200T-423(日本電気硝子株式会社)
-ガラスクロスの作製-
レピア織機(織幅2m)を用い、上記ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は600g/mであった。
[熱可塑性樹脂]
ポリアミド66:レオナ1300S(旭化成(株))
ポリアミド6:1011FB(宇部興産(株))
[アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩]
LiCl、LiBr、NaCl、MgCl、CaCl
[アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の添加]
-ガラスクロスへの塗布-
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩30mgを水100mLに溶解させた水溶液を調製し、水溶液中のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の総質量が、ガラスの総質量の1/10000となるようにガラス繊維上に塗布し、風乾させることでガラス繊維への塗布を実施した。
-熱可塑性樹脂への混錬-
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を熱可塑性樹脂中へ混錬する場合は、熱可塑性樹脂の総質量の1/5000量のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を熱可塑性樹脂中にドライブレンドし、押出機によるコンパウンドを実施した。
[熱可塑性樹脂フィルムの作製]
上記熱可塑性樹脂のみ、又はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の混錬された熱可塑性樹脂を、Tダイ押出成形機(株式会社創研製)を用いて成形することで、フィルムを得た。得られたフィルムの厚さは200μmであった。
[比較例1]
ガラスクロスとポリアミド66フィルムとを用いて以下のように成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用した。平板型の連続繊維強化樹脂複合材料(縦200mm、横100mm、肉厚2mm)を得るためのインロー構造の金型を準備した。
上記ガラスクロス5枚と上記ポリアミド66フィルム6枚とを準備し、それぞれ金型形状に合わせて切断した後、ポリアミド66フィルムが表面となるように交互に重ね、金型内に設置した。なお、樹脂100質量部に対して強化繊維が230質量部となるよう、樹脂の質量と強化繊維の質量を調整した。
成形機内温度を330℃に加熱し、次いで型締め力5MPaで型締めし、圧縮成形を行った。成形時間はポリアミド66の融点である265℃に達してから1分とし、金型を25℃まで急冷したのちに開放し、連続繊維強化樹脂複合材料を取り出した。
得られた複合材料の曲げ強度は700MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.1であった。また、複合材料の曲げ弾性率は23.3GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.09であった。外観は×、ソリ量も×であった。
[比較例2]
ガラスクロスとポリアミド6フィルムとを用いて以下のように成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用した。平板型の連続繊維強化樹脂複合材料(縦200mm、横100mm、肉厚2mm)を得るためのインロー構造の金型を準備した。
上記ガラスクロス5枚と上記ポリアミド6フィルム6枚とを準備し、それぞれ金型形状に合わせて切断した後、ポリアミド6フィルムが表面となるように交互に重ね、金型内に設置した。なお、樹脂100質量部に対して強化繊維が230質量部となるよう、樹脂の質量と強化繊維の質量を調整した。
成形機内温度を280℃に加熱し、次いで型締め力5MPaで型締めし、圧縮成形を行った。成形時間はポリアミド6の融点である220℃に達してから1分とし、金型を25℃まで急冷したのちに開放し、連続繊維強化樹脂複合材料を取り出した。
得られた複合材料の曲げ強度は680MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.11であった。また、複合材料の曲げ弾性率は22.6GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.08であった。外観は×、ソリ量も×であった。
[実施例1]
LiCl溶液を塗布して乾燥させたガラスクロスとポリアミド66フィルムとを用いて以下のように成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用した。平板型の連続繊維強化樹脂複合材料(縦200mm、横100mm、肉厚2mm)を得るためのインロー構造の金型を準備した。
上記ガラスクロス5枚と上記ポリアミド66フィルム6枚とを準備し、それぞれ金型形状に合わせて切断した後、ポリアミド66フィルムが表面となるように交互に重ね、金型内に設置した。なお、樹脂100質量部に対して強化繊維が230質量部となるよう、樹脂の質量と強化繊維の質量を調整した。
成形機内温度を330℃に加熱し、次いで型締め力5MPaで型締めし、圧縮成形を行った。成形時間はポリアミド66の融点である265℃に達してから1分とし、金型を25℃まで急冷したのちに開放し、連続繊維強化樹脂複合材料を取り出した。
得られた複合材料の曲げ強度は880MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.03であった。また、複合材料の曲げ弾性率は26.9GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.03であった。外観は〇、ソリ量も〇であった。
[実施例2]
塗布した金属塩をLiBrに変更した以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は840MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.05であった。また、複合材料の曲げ弾性率は26.5GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.03であった。外観は〇、ソリ量も〇であった。
[実施例3]
塗布した金属塩をNaClに変更した以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は810MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.06であった。また、複合材料の曲げ弾性率は26.2GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.04であった。外観は△、ソリ量は〇であった。
[実施例4]
塗布した金属塩をMgClに変更した以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は780MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.06であった。また、複合材料の曲げ弾性率は25.7GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.04であった。外観は△、ソリ量は△であった。
[実施例5]
塗布した金属塩をCaClに変更した以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は780MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.07であった。また、複合材料の曲げ弾性率は25.3GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.05であった。外観は△、ソリ量は△であった。
[実施例6]
LiCl溶液を塗布して乾燥させたガラスクロスとポリアミド6フィルムとを用いて以下のように成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用した。平板型の連続繊維強化樹脂複合材料(縦200mm、横100mm、肉厚2mm)を得るためのインロー構造の金型を準備した。
上記ガラスクロス5枚と上記ポリアミド6フィルム6枚とを準備し、それぞれ金型形状に合わせて切断した後、ポリアミド6フィルムが表面となるように交互に重ね、金型内に設置した。なお、樹脂100質量部に対して強化繊維が230質量部となるよう、樹脂の質量と強化繊維の質量を調整した。
成形機内温度を280℃に加熱し、次いで型締め力5MPaで型締めし、圧縮成形を行った。成形時間はポリアミド6の融点である220℃に達してから1分とし、金型を25℃まで急冷したのちに開放し、連続繊維強化樹脂複合材料を取り出した。
得られた複合材料の曲げ強度は850MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.04であった。また、複合材料の曲げ弾性率は25.8GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.04であった。外観は〇、ソリ量も〇であった。
[実施例7]
塗布した金属塩をLiBrに変更した以外は実施例6と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は820MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.05であった。また、複合材料の曲げ弾性率は25.2GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.05であった。外観は〇、ソリ量も〇であった。
[実施例8]
塗布した金属塩をNaClに変更した以外は実施例6と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は780MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.06であった。また、複合材料の曲げ弾性率は24.3GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.04であった。外観は△、ソリ量は〇であった。
[実施例9]
塗布した金属塩をMgClに変更した以外は実施例6と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は750MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.06であった。また、複合材料の曲げ弾性率は23.9GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.05であった。外観は△、ソリ量は△であった。
[実施例10]
塗布した金属塩をCaClに変更した以外は実施例6と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は730MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.07であった。また、複合材料の曲げ弾性率は23.8GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.05であった。外観は△、ソリ量は△であった。
[実施例11]
ポリアミド66フィルムを、LiClを混錬したポリアミド66フィルムに変更した以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は820MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.07であった。また、複合材料の曲げ弾性率は24.6GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.05であった。外観は〇、ソリ量は〇であった。
[実施例12]
ポリアミド6フィルムを、LiClを混錬したポリアミド6フィルムに変更した以外は実施例6と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた複合材料の曲げ強度は780MPaであり、曲げ強度の変動係数は0.07であった。また、複合材料の曲げ弾性率は24.1GPaであり、曲げ弾性率の変動係数は0.04であった。外観は〇、ソリ量は〇であった。
Figure 2022091563000003
本発明の連続繊維強化樹脂複合材料は、含浸性に優れ、十分な強度を有するため、各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等への適用に好適である。

Claims (8)

  1. アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩と熱可塑性樹脂と連続強化繊維とを含むことを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
  2. 前記金属塩がアルカリ金属塩である、請求項1に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  3. 前記金属塩がLiClを含む、請求項1又は2に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  4. 前記連続強化繊維がガラス繊維である、請求項1~3のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  5. 前記熱可塑性樹脂がポリアミドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  6. 前記連続強化繊維の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して200~400質量部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
    連続強化繊維に対して、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を含む溶液を塗布することを含むことを特徴とする、製造方法。
  8. 連続強化繊維に対して、サイジング剤を塗布した後、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩を含む溶液を塗布することを含む、請求項7に記載の製造方法。
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