JP2023095279A - 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、アコースティックエミッション信号が良好で、高い強度、弾性率、及び吸水特性を有する連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、下記式で求められるアコースティックエミッション(AE)カウントAが0.30以下であることを特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。(AEカウントA)=(振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂複合材料及びの製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に、強度の観点から、強化繊維が連続繊維である連続繊維強化樹脂複合材料が望まれている。この連続繊維強化樹脂複合材料としては、強化繊維に添加する収束剤を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献1参照)、融点と結晶化温度の差を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献2参照)、樹脂材料に有機塩を加えているもの(例えば、以下の特許文献3参照)、成形前駆体の布帛を熱可塑性の樹脂で積層しているもの(例えば、以下の特許文献4参照)、連続強化繊維と樹脂の界面における接着力、親和性等が良好なもの(例えば、以下の特許文献5参照)が提案されている。
特開2003-238213号公報 特許第5987335号公報 特開2017-222859号公報 特開2009-19202号公報 国際公開第2019/208586号
しかしながら、従来技術の連続繊維強化樹脂複合材料では、いずれも、物性試験時に発せられるアコースティックエミッション(AE)信号が良好ではなく、強度、弾性率等の物性や吸水特性が十分でない点で改善の余地がある。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、アコースティックエミッション信号が良好で、高い強度、弾性率、及び吸水特性を有する連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねた結果、連続繊維強化樹脂複合材料の界面量、昇温速度、冷却速度、連続強化繊維と熱可塑性樹脂の相性を調整して製造し、連続繊維強化樹脂複合材料の有するアコースティックエミッション信号を工夫することで、上記課題を解決できることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、
下記式で求められるアコースティックエミッション(AE)カウントAが0.30以下であること
を特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
(AEカウントA)=(振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
[2]
前記振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数が600以下である、[1]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[3]
振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数が200以上である、[1]又は[2]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[4]
下記式で求められるAEカウントBが0.12以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
(AEカウントB)=(振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
[5]
前記総AE信号数が2000以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
結束剤を含む表面処理剤で連続強化繊維を処理することにより、表面処理剤を含む連続強化繊維を作製することを含み、
前記連続繊維強化樹脂複合材料の界面量が100,000m-1以上であり、昇温速度が200~330℃/分であり、冷却速度が10~120℃/分であり、前記結束剤と前記熱可塑性樹脂とのSP値の差が0.01~5であることを特徴とする、製造方法。
本発明に係る連続繊維強化樹脂複合材料は、アコースティックエミッション信号が良好で、高い強度、弾性率、及び吸水特性を発現することができる。さらに、疲労特性、物性安定性、反り特性及び形状追随性も備えることが好ましい。
連続強化繊維の単繊維と連続強化繊維の単繊維に付着させた熱可塑性樹脂の樹脂玉(μドロップ)とを示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[連続繊維強化樹脂複合材料]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料(以下、単に「複合材料」ともいう。)は、連続強化繊維と樹脂とを含み、曲げ試験中のアコースティックエミッション信号において、下記式で求められるAEカウントAが0.30以下である。上記連続強化繊維は表面処理剤を含むことが好ましい。
(AEカウントA)=(振幅40dB以上かつ持続時間3,500μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
上記AEカウントAは、0.25以下であることが好ましく、0.21以下であることがより好ましい。前記AEカウントAがこの範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維の表面処理剤の内、結束剤が熱可塑性樹脂に拡散し、熱可塑性樹脂とアミノシランの結合が促進されること、及び表面処理剤の活性点の濃度が多くなることで連続強化繊維と熱可塑性樹脂との密着性が良好となり、両者の破壊が生じにくく、優れた強度や弾性率、吸水特性、高温特性、疲労特性、衝撃特性、反り特性、物性安定性、形状追随性を発現することができる。
前記信号数を前記範囲に調整する方法としては、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、連続繊維強化樹脂複合材料の界面量を100,000m-1以上、昇温速度を200~330℃/分、冷却速度を10~120℃/分、かつ、連続強化繊維に含まれる結束剤と熱可塑性樹脂との後述するSP値の差を0.01~5にする方法等が挙げられる。 なお、本開示で、連続繊維強化樹脂複合材料のアコースティックエミッション信号は、アコースティックエミッションセンサを曲げ試験の治具に取りつけ、曲げ試験中に連続繊維強化樹脂複合材料から発せられる音を上記センサで感知することで取得できる。振幅40dB以上かつ持続時間3,500μ秒以下の範囲で生じたアコースティックエミッション信号の数と総AE信号数とを測定することにより、上記AEカウントAが得られ、詳細には、後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、曲げ試験中のアコースティックエミッション信号において、振幅40dB以上かつ持続時間3,500μ秒以下のアコースティックエミッション信号数が、600以下であることが好ましく、550以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましい。
前記信号数がこの範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維と樹脂との密着性が良好で両者の破壊が生じにくく、優れた強度や弾性率、吸水特性、高温特性、疲労特性、衝撃特性、反り特性を発現することができる。
前記信号数を前記範囲に調整する方法としては、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の界面量を100,000m-1以上、連続強化繊維の基材の目付を637g/m以上、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合を45%以上、昇温速度を200~330℃/分、冷却速度を10~120℃/分、熱可塑性樹脂の末端基濃度を70μmol/g以上、かつ、前記表面処理剤を含む連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂との界面せん断強度が、前記表面処理剤の代わりにカップリング剤のみで処理したカップリング剤処理連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂との界面せん断強度の0.8~1.2倍にする方法が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、曲げ試験中のアコースティックエミッション信号において、振幅25~30dBかつ持続時間1,000μ秒以下のアコースティックエミッション信号数が、200以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、350以上であることが更に好ましい。
前記信号数がこの範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維と樹脂との密着性が良好で両者の破壊が生じにくく、優れた強度や弾性率、吸水特性、高温特性、疲労特性、衝撃特性、反り特性を発現することができる。
前記信号数を前記範囲に調整する方法としては、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の製造時の冷却速度を10~120℃/分、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる樹脂の結晶化度を20~40%、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合を45%以上、かつ冷却圧縮時間を1~10分にする方法が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、曲げ試験中のアコースティックエミッション信号において、総AE信号数は、2000以上であることが好ましく、2500以上であることがより好ましく、3000以上であることが更に好ましい。前記総AE信号数は、25000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましく、10000以下であることがさらに好ましく、5000以下であることがよりさらに好ましい。
前記信号数がこの範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維と樹脂との密着性が良好で両者の破壊が生じにくく、優れた強度や弾性率、吸水特性、高温特性、疲労特性、衝撃特性、反り特性を発現することができる。
前記信号数を前記範囲に調整する方法としては、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の界面量を100,000m-1以上、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる樹脂の結晶化度を20~40%、冷却圧縮時間を1~10分、μドロップレット法により測定される前記表面処理剤を含む連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂とのμドロップレット接触角が、前記表面処理剤を含まない表面処理剤非含有連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂とのμドロップレット接触角の0.4~0.7倍かつ、熱可塑性樹脂の末端基濃度を70μmol/g以上にする方法が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、曲げ試験中のアコースティックエミッション信号において、下記式で求められるAEカウントBが0.12以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましく、0.20以上であることがさらに好ましい。
(AEカウントB)=(振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
前記信号数がこの範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維と樹脂との密着性が良好で両者の破壊が生じにくく、優れた強度や弾性率、吸水特性、高温特性、疲労特性、衝撃特性、反り特性を発現することができる。
前記信号数を前記範囲に調整する方法としては、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の界面量を100,000m-1以上、昇温速度を200~330℃/分、冷却速度を10~120℃/分、かつ、熱可塑性樹脂の末端基濃度を70μmol/g以上にする方法が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の大気平衡吸水率は0.75質量%以下であることが好ましく、0.70質量%以下であることがより好ましい。
なお、大気平衡吸水率とは、23℃、湿度50%環境下での吸水率のことをいう。
大気平衡吸水率がこの範囲であると、優れた強度や弾性率、吸水特性、高温特性、疲労特性、衝撃特性、反り特性を発現することができる。
[連続繊維強化樹脂複合材料の形態]
連続繊維強化樹脂複合材料の形態は、特に制限されず、以下の種々の形態が挙げられる。例えば、連続強化繊維の織物や編み物、ノンクリンプファブリック、組紐、パイプ状のものと熱可塑性樹脂とを複合化した形態、一方向に引き揃えた連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸を一方向に引き揃えて賦形した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる糸とを織物や編み物、組紐、パイプ状にして賦形した形態等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、平板であってよく、連続強化繊維の層と熱可塑性樹脂の層とを含む積層体であってよい。例えば、連続強化繊維の長さ方向が平板の表面に略平行に配置されていてもよい。なお、連続強化繊維の層とは、連続強化繊維(例えば、連続強化繊維基材)を含む層であり、連続強化繊維の内部に熱可塑性樹脂が含浸している層であってよい。
連続繊維強化樹脂複合材料の賦形前の中間材料の形態としては、特に制限されず、連続強化繊維と樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を樹脂で被覆したコーティング糸、連続強化繊維に予め樹脂を含浸させテープ状にしたもの、連続強化繊維を樹脂のフィルムで挟んだもの、連続強化繊維に樹脂パウダーを付着させたもの、連続強化繊維の束を芯材としてその周囲を樹脂繊維で組紐としたもの、強化繊維の間に予め樹脂を含浸させたもの、連続強化繊維と溶融した樹脂とを接触させた形態等が挙げられる。
[連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、特に制限されず、以下の種々の方法が挙げられる。
一方法では、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材(例えば、連続強化繊維からなる基材、熱可塑性樹脂からなる基材)を、所望の複合材料に合わせて裁断又は賦形し、目的とする製品の厚みを考慮して必要個数積み重ね又は必要枚数積層させ、金型に金型形状に合わせてセットする。
なお、本明細書において、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材を重ね合わせた、金型にセットする積層体(金型内に設置された、加熱成形直前の積層体)を、原料積層体と称する場合がある。
基材の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は、任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等が挙げられる。中でも、断面形状に優れ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調整できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
基材の賦形は、任意の方法で行ってよく、例えば、シート状の形状に賦形してよい。
基材(例えば、原料積層体)を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ、賦形する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一旦型締めをし、圧縮成形した後に一旦金型の型締め圧力を解除してもよい。圧縮成形の時間は、強度発現の観点からは、使用される熱可塑性樹脂が熱劣化しない範囲で長い方が好ましいが、生産性の観点からは、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内が適している。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法では、結束剤を含む表面処理剤で連続強化繊維を処理することにより、表面処理剤を含む連続強化繊維を作製することを含むことが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、連続繊維強化複合材料の界面量が100,000m-1以上であり、昇温速度が200~330℃/分であり、冷却速度が10~120℃/分であることが好ましい。
また、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維の結束剤と熱可塑性樹脂とのSP値の差が0.01~5であることが好ましい。
更に、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる樹脂の結晶化度が20~40%であり、連続強化繊維の基材の目付が637g/m以上であり、熱可塑性樹脂の体積割合が原料全体の45%以上であり、冷却圧縮時間が1~10分であり、前記熱可塑性樹脂の末端基濃度が70μmol/g以上であることがより好ましい。
連続繊維強化複合材料の界面量とは、連続強化繊維とマトリックス樹脂との接する界面の量であり、下記式により求められる。
(界面量(m-1))=(連続繊維強化樹脂複合材料中の強化繊維の体積(m))×(強化繊維の密度(g/m))×(強化繊維の単糸数)×(強化繊維の直径(m))×π/(強化繊維の繊度(g/m))/(連続繊維強化樹脂複合材料の体積(m))
界面量は、100,000m-1以上であることが好ましく、120,000m-1以上であることがより好ましく、130,000m-1以上であることが更に好ましい。また、上限は特に設定されないが、1,000,000m-1以下であることが好ましく、500,000m-1以下であることがより好ましい。
連続繊維強化複合材料の界面量が大きいほど、連続繊維強化複合材料の振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数は小さくなる傾向にあり、振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数は大きくなる傾向にあり、総AEカウント数は大きくなる傾向にある。
連続繊維強化複合材料の昇温速度とは、連続繊維強化複合材料を構成する基材を成形機にセットした後、基材を昇温する速度である。
昇温速度は、200~330℃/分であることが好ましく、230~300℃/分であることがより好ましく、250~280℃/分であることが更に好ましい。
昇温速度が小さいほど、AEカウントAが小さくなる傾向にあり、振幅40dB以上かつ持続時間3,500μ秒以下のアコースティックエミッション信号数が小さくなる傾向にあり、AEカウントBが大きくなる傾向にある。
連続繊維強化複合材料の冷却速度とは、連続繊維強化複合材料を構成する基材を成形機にセットし、溶融させて圧縮した後、水冷等により冷却する速度である。
冷却速度は、10~120℃/分であることが好ましく、20~100℃/分であることがより好ましく、30~90℃/分であることが更に好ましい。
冷却速度が小さいほど、AEカウントAが小さくなる傾向にあり、振幅40dB以上かつ持続時間3,500μ秒以下のアコースティックエミッション信号数が小さくなる傾向にあり、振幅25~30dBかつ持続時間1,000μ秒以下のアコースティックエミッション信号数が大きくなる傾向にあり、AEカウントBが大きくなる傾向にある。
連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる連続強化繊維の結束剤や熱可塑性樹脂のSP値とは、各物質の溶解性に関する値である。連続強化繊維の結束剤と熱可塑性樹脂とのSP値の差は0.01~5であることが好ましく、0.01~4であることがより好ましく、0.01~3であることがさらに好ましく、0.01~2であることがよりさらに好ましい。
連続強化繊維の結束剤と熱可塑性樹脂とのSP値の差が小さいほど、AEカウントAが小さくなる傾向にある。
なお、SP値の差とは、連続強化繊維の結束剤のSP値と熱可塑性樹脂のSP値との差の絶対値としてよい。SP値は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる樹脂の結晶化度とは、連続繊維強化複合材料の状態としたときの結晶化度であり、樹脂全体における結晶領域の割合である。
結晶化度は、20~40%であることが好ましく、25~35%であることがより好ましく、28~33%であることが更に好ましい。
結晶化度が低いほど、振幅25~30dBかつ持続時間1,000μ秒以下のアコースティックエミッション信号数が大きくなる傾向にあり、総AE信号数が大きくなる傾向にある。
連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる樹脂の結晶化度は、示差走査型熱量計を用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
連続強化繊維基材の目付とは、連続繊維強化樹脂複合材料の製造に使用する連続強化繊維の基材(繊維クロス等)の1m当たりの質量である。
連続強化繊維基材の目付は、637g/m以上であることが好ましく、640~700g/mであることがより好ましく、650~690g/mであることが更に好ましい。
連続強化繊維基材の目付が大きいほど、連続繊維強化複合材料の振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数は小さくなる傾向にあり、振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数は大きくなる傾向にあり、総AEカウント数は大きくなる傾向にある。
熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合とは、連続繊維強化樹脂複合材料を製造する際に仕込む原料の全体積に対して、原料の熱可塑性樹脂が占める体積の割合である。
熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は、45%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。また、上限は特に設定されないが、75%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合が大きいほど、連続繊維強化複合材料の振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数は小さくなる傾向にあり、振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数は大きくなる傾向にあり、総AEカウント数は大きくなる傾向にある。
冷却圧縮時間とは、連続繊維強化複合材料を構成する基材を成形機にセットし、溶融させて圧縮した後、水冷等により冷却して圧縮する時間である。
冷却圧縮時間は、1~10分であることが好ましく、2~9分であることがより好ましく、3~8分であることが更に好ましい。
冷却圧縮時間が短いほど、連続繊維強化複合材料の振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数は小さくなる傾向にあり、振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数は大きくなる傾向にあり、総AEカウント数は大きくなる傾向にある。
熱可塑性樹脂の末端基濃度とは、樹脂1g中に存在する末端基の物質量である。
熱可塑性樹脂の末端基濃度は、70μmol/g以上であることが好ましく、100~300μmol/gであることが好ましく、120~270μmol/gであることがより好ましい。
熱可塑性樹脂の末端基濃度が高いほど、振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数は大きくなる傾向にあり、総AEカウント数は大きくなる傾向にある。
熱可塑性樹脂の末端基濃度は、H-NMRを用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
連続繊維強化樹脂複合材料は、さらにハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填してハイブリッド複合材料としてもよい。ハイブリッド複合材料の製造工程においては、金型内に上記基材をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、基材の熱可塑性樹脂と、所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド複合材料を製造してもよい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、熱可塑性樹脂の基材間の界面強度に大きく影響する。所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、基材を金型内にセットしてから、30秒以内が好ましく、20秒以内がより好ましく、15秒以内が更に好ましい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の結晶化温度以下又はガラス転移温度以下であることが好ましい。より好ましくは、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の結晶化温度-20℃以下又はガラス転移温度-20℃以下であり、更に好ましくは、結晶化温度-50℃以下又はガラス転移温度-50℃以下、更により好ましくは結晶化温度-70℃以下又はガラス転移温度-70℃以下である。
ハイブリッド複合材料において、基材を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成されたハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物との接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出するハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは、界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、上記保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
また、保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
(ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物)
ハイブリッド複合材料を製造するために用いる射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば、特に限定されない。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂の一種又は二種以上を混合した混合物などが挙げられる。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物は、着色剤を含む、黒色の樹脂組成物としてよい。
各種充填材としては、上記連続強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する上記連続強化繊維に塗布される集束剤と同様のもの用いてもよい。集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、上記連続強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いるハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、接合する熱可塑性樹脂との界面強度の観点から、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する接合面の熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、接合面の熱可塑性樹脂にポリアミド66を用いた場合には、射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
その他の方法として、基材を金型に設置してダブルベルトプレス機により圧縮する成形方法や、設置した基材の四方を囲むように型枠を設置し、ダブルベルトプレス機により加圧し成形する方法や、一つ又は複数の温度に設定した加熱用の圧縮成形機と、一つ又は複数の温度に設定した冷却用の圧縮成形機を用意し、基材を設置した金型を順番に、圧縮成形機に投入して成形する成形方法や連続圧縮成形機により加圧して成形する方法等が挙げられる。
ダブルベルトプレス機や連続圧縮成型機により加圧して成形する方法では、ベルトや型の材質は成形する連続繊維強化樹脂複合材料とは異なる材質であり、耐久性の面から金属またはセラミクスであることが好ましい。投入する連続強化繊維基材と熱可塑性樹脂は積層されていてもよい。
(連続強化繊維)
連続強化繊維としては、通常の連続繊維強化樹脂複合材料に使用されるものを用いてよい。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
上記連続強化繊維は、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記連続強化繊維は表面処理剤(好ましくは、後述の集束剤)により処理されていてもよい。
-集束剤-
連続強化繊維は、集束剤を付着させていることが好ましい。
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、表面処理剤として集束剤を用いてもよい。
集束剤(サイジング剤)は、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤)、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される1種以上を含むものであってよく、少なくとも結束剤又はシランカップリング剤を含むことが好ましい。
但し、シランカップリング剤のみからなるものは除く。
また、集束剤は、シランカップリング剤及び結束剤からなるものとしてよく、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなるものとしてもよい。
連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)とその周りを被膜する樹脂との強い結合を作る集束剤であることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂複合材料を得ることができる。
集束剤は、使用される材料に対して外的に加えられてもよく、使用される材料に内的に含まれていてもよい。例えば、潤滑剤は、用いられる熱可塑性樹脂の市販品に含まれている場合がある。
カップリング剤は、性質の異なる材料、主には無機材料と有機材料を結合させる化合物である。カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、シランカップリング剤、ポリマーカップリング剤、重合性カップリング剤等が挙げられ、熱可塑性樹脂と連続強化繊維の相性の観点から、シランカップリング剤であることが好ましい。
--シランカップリング剤--
シランカップリング剤は、通常、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維や炭素繊維)の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、ポリアミド系樹脂の末端基であるカルボキシル基またはアミノ基と結合しやすいものを選択することが好ましく、アミノシラン類が好ましい。
ポリマーカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジアミン類、ポリカルボン酸類、エポキシ類等が挙げられ、熱可塑性樹脂との相性の観点から、ジアミン類、ポリカルボン酸類が好ましい。
重合性カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、例えば、エポキシ類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類等が挙げられ、熱可塑性樹脂との相性の観点から、フェノール類、ラクトン類が好ましい。
--潤滑剤--
潤滑剤は、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、シランカップリング剤及び結束剤を阻害しない限り、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
--結束剤--
結束剤は、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、連続繊維強化樹脂複合材料の主たる材料としての熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m-キシリレンジイソシアナート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20~90%とすることが好ましく、40~60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000~50,000の範囲が好ましい。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、結束剤としてはポリアミド樹脂と濡れ性のよい、又は表面張力の近い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、連続強化繊維の周囲を被覆する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、複合材料となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
更に、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体として連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又はそのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体、又は、不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーの単独重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸、及びこれら不飽和カルボン酸のエステル化体(メチルエステル、エチルエステル等)等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
変性ポリオレフィン系樹脂がオレフィン系モノマーと該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合である場合、モノマー比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60~95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5~40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70~85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15~30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000~200,000が好ましく、50,000~150,000がより好ましい。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂は、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α-ジメチルアミノε-カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5-スルホイソフタル酸塩、5-スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40~99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1~10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40~60質量%、ポリオール40~60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45~55質量%、ポリオール45~55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000~100,000が好ましく、10,000~30,000がより好ましい。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上用いることが好ましく、60質量%以上用いることがより好ましい。
集束剤が、シランカップリング剤及び結束剤からなる場合、集束剤は、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計付着質量として、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%付与して付着させる。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
また、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、集束剤は、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量(合計付着質量割合)として、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%付与して付着させる。また、上記合計付着質量割合は、好ましくは0.01~0.3質量%、より好ましくは0.02~0.2質量%、更に好ましくは0.03~0.15質量%である。
連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
また、連続強化繊維100質量%に対する、カップリング剤の付着質量としては、0.05~1質量%が好ましく、より好ましくは0.1~0.9質量%である。
--ガラス繊維用の集束剤の組成--
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、集束剤100質量%に対して、0.1~2質量%が好ましく、より好ましくは0.1~1質量%、更に好ましくは0.2~0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1~25質量%、より好ましくは3~15質量%、更に好ましくは3~10質量%である。
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合であって、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1~2質量%、潤滑剤を0.01~1.5質量%、結束剤を1~25質量%を含有することが好ましく、シランカップリング剤を0.1~2質量%、潤滑剤を0.01~1質量%、結束剤を1~25質量%を含有することがより好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
--ガラス繊維用の集束剤の使用態様--
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
またガラス繊維用の集束剤は、使用態様としては、ガラス繊維を集束剤を含む液に浸漬する方法や、ガラス繊維基材を集束剤に含む液に浸漬する方法も挙げられる。
また、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合も同様に、集束剤を用いてもよく、集束剤は、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤)、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した熱可塑性樹脂と濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。炭素繊維に好適に用いられるカップリング剤としては、1,6-ヘキサジアミン等のジアミン類やポリカルボン酸類が挙げられる。
潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
炭素繊維に用いる集束剤の種類については、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、特開2015-101794号公報に記載のものを用いることができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いることが可能な集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
(連続強化繊維の形状)
連続強化繊維は複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から30~15,000本であることが好ましい。
連続強化繊維の単糸径Rは、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2~30μmであることが好ましく、4~25μmであることがより好ましく、6~20μmであることが更に好ましく、8~18μmであることが最も好ましい。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RDは、連続強化繊維の取り扱い性と複合材料の強度の観点から、好ましくは5~100μm・g/cm、より好ましくは10~50μm・g/cm、更に好ましくは15~45μm・g/cm、より更に好ましくは20~45μm・g/cmである。
密度Dは、比重計により測定することができる。
他方、単糸径R(μm)は、密度D(g/cm)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
Figure 2023095279000001
により算出することができる。また、単糸径R(μm)は例えば、連続強化繊維単糸のSEM観察によって求めることができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cmであるから、単糸径が2~40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cmであるから、単糸径が2.8~55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cmであるから、単糸径が3.4~68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。
連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
連続強化繊維の形態は、特に制限されず、織物や編み物、組紐、パイプ状のもの、ノンクリンプファブリック、一方向材等、種々の形態が挙げられ、好ましくは、織物、ノンクリンプファブリック、一方向材の形態である。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂は、損失正接tanδのピーク温度が80℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることがより更に好ましい。熱可塑性樹脂のtanδのピーク温度が上記範囲であると、連続繊維強化複合材料の振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数は小さくなる傾向にあり、振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数は大きくなる傾向にあり、総AEカウント数は大きくなる傾向にある。
熱可塑性樹脂の損失正接tanδのピーク温度とは、温度を変化させながらそれぞれの温度でtanδを測定したときに、tanδの値が最大となるときの温度を意味する。tanδのピーク温度は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムに含まれる連続強化繊維の長さ方向に直行する断面における連続強化繊維の単糸1本に対して、ナノインデンターを用いて特定の周波数の振動を与えてナノインデンテーション(nanoDMA)することによって求めることができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
熱可塑性樹脂のtanδを上記範囲に調整する方法としては、例えば、樹脂中の芳香族環濃度を調整する方法が挙げられ、樹脂中の芳香族環濃度を上げるとtanδのピーク温度が上昇する傾向にある。
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド612、ポリアミド6I等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が更に好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がより更に好ましい。
-ポリエステル系樹脂-
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に-CO-O-(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
-ポリアミド系樹脂-
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に-CO-NH-(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられる。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。
ω-アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω-アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω-アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2-メチルペンタンジアミンや2-エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p-フェニレンジアミンやm-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010等の脂肪族ポリアミド、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリアミドMXD6、ポリアミド6I/6T等の半芳香族ポリアミド、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2-メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
[添加剤]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料には、必要に応じて添加剤を含有させてもよい。本実施形態の複合材料は、例えば、着色剤、老化防止剤、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、防菌・防黴剤、防臭剤、導電性付与剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、制振剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤等の添加剤を含有してもよい。なお、上記添加剤とは、上述の成分(例えば、上記熱可塑性樹脂、上記連続強化繊維、上記ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物中の含有成分、集束剤中の含有成分)を除くものをいう。
添加剤の含有量は、複合材料100質量%に対して、3質量%以下としてよい。
(着色剤)
着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アルミ顔料、二酸化チタン、群青、シアニンブルー、シアニングリーン、キナクリドン、珪藻土、モノアゾ塩、ペリレン、ジスアゾ、縮合アゾ、イソインドリン、弁柄、ニッケルチタンイエロー、ジケトンピロロピロール、金属塩、ペリレンレッド、金属酸化物、バナジン酸ビスマス、コバルトグリーン、コバルトブルー、アンスラキノン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等が挙げられる。中でも、黒色の着色剤が好ましく、カーボンブラック、ニグロシンがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量が90~525質量部、これら以外の成分の含有量が0~2質量部であり、より好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量が150~340質量部、これら以外の成分の含有量が0~1質量部である。
[連続繊維強化樹脂複合材料の用途]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、航空機、車、建設材料、ロボット等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア、アクセルペダル、アクセルペダルベース等の部品として好適に使用することができる。
[複合材料の成形]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、さらに成形したものでもよい。上記の方法としては、例えば、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、所定の大きさに切りだし、赤外線ヒーターで加熱し、プレス成形機で加熱圧縮プレスする方法や赤外線ヒーターで加熱し、プレス成形機で加熱圧縮プレスした後に樹脂を射出成形する射出ハイブリッド成形等が挙げられる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
[界面量]
下記式により、連続繊維強化樹脂複合材料の界面量(m-1)を求めた。
(界面量(m-1))=(連続繊維強化樹脂複合材料中の強化繊維の体積(m))×(強化繊維の密度(g/m))×(強化繊維の単糸数)×(強化繊維の直径(m))×π/(強化繊維の繊度(g/m))/(連続繊維強化樹脂複合材料の体積(m))
[引張強度、引張強度保持率]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ70mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、80℃の真空乾燥機で18時間以上乾燥した。その後、インストロン万能試験機にて、試験片を、長手方向に30mmの間隔でチャッキングし、速度5mm/minで、23℃、50%RHの環境下、及び80℃、50%RHの環境下で、それぞれ引張強度(MPa)を測定し5サンプルの平均値を求めた。
下記式により、80℃での引張強度保持率(%)を求めた。
80℃での引張強度保持率=(80℃、50%RHでの引張強度/23℃、50%RHでの引張強度)×100
[曲げ強度、曲げ弾性率、曲げ強度保持率、曲げ弾性率保持率]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、80℃の真空乾燥機で18時間以上乾燥した。その後、インストロン万能試験機にて、3点曲げ用の治具を用い、スパン間を厚み×16(mm)に設定して速度1mm/minで、23℃、50%RHの環境下、及び80℃、50%RHの環境下で、それぞれ曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(GPa)を測定し5サンプルの平均値を求めた。
下記式により、80℃での曲げ強度保持率(%)及び曲げ弾性率保持率(%)を求めた。
80℃での曲げ強度保持率=(80℃、50%RHでの曲げ強度/23℃、50%RHでの曲げ強度)×100
80℃での曲げ弾性率保持率=(80℃、50%RHでの曲げ弾性率/23℃、50%RHでの曲げ弾性率)×100
[吸水特性]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、80℃の恒温水槽に18時間浸漬したのち、80℃、57%RHの恒温恒湿槽中に150時間以上放置し、質量が一定になるまで調湿したものを吸水時の試験片とした。上記記載の方法により、乾燥時及び吸水時の試験片の23℃、50%RHの環境下で引張強度(MPa)、曲げ強度(MPa)、及び曲げ弾性率(GPa)を測定した。
下記式により、吸水時の引張強度保持率(%)、曲げ強度保持率(%)、及び曲げ弾性率保持率(%)を求めた。
吸水時の引張強度保持率=(吸水時の引張強度/乾燥時の引張強度)×100
吸水時の曲げ強度保持率=(吸水時の曲げ強度/乾燥時の曲げ強度)×100
吸水時の曲げ弾性率保持率=(吸水時の曲げ弾性率/乾燥時の曲げ弾性率)×100
[衝撃強度]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ60mm、幅60mm、肉厚2mmの試験片を切り出し、高速衝撃試験機(島津 HYDRO SHOT HITS-P10、株式会社島津製作所)にて、JIS K7211-2;2006に準拠して、ストライカー径20mmφ、受け径40mmφ、試験速度4.4m/sec、試験温度23℃、試験数n=5で試験を行った。変位に対する試験力のグラフを書き、当該グラフから求めた最大の衝撃強度(kN)を試験片の厚みで割り、5サンプルの平均値(kN/mm)で求めた。
[アコースティックエミッション測定]
アコースティックエミッション測定システム(USB AE NODE AE計測システム 1ch、PAC社製)を用い、前記曲げ強度試験の3点曲げ用の治具の上の中央にシリコングリース(信越シリコーン HIVAC-G、信越化学株式会社)を介してアコースティックエミッションセンサ(R6a)を取り付け、ビニールテープで固定し、23℃、50%RHの環境下での曲げ試験開始と同時にアコースティックエミッション信号を取得した。試験は、試験片の破壊後、最大荷重の80%となった時に停止した。
振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のアコースティックエミッション信号数をカウント1、振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のアコースティックエミッション信号数をカウント2として、カウント1、カウント2、及び総信号数を測定し、下記式により、AEカウントA及びAEカウントBを算出した。
(AEカウントA)=(振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
(AEカウントB)=(振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
N5で測定し、その平均値を各値とした。
[振動疲労試験]
連続繊維強化樹脂複合材料からASTM-D1822引張衝撃ダンベルTypeSの試験片を用意し、EHF-EB50kN-40L(RV)(株式会社島津製作所)により、試験温度23℃、周波数20Hz、波形を正弦波、チャック間35mmとして、振動疲労試験を実施した。250MPaにおける振動疲労試験の破断回数が、20,000回以上のものを「〇(良好)」、20,000回未満のものを「×(不良)」とした。
[結晶化度]
示差走査型熱量計(島津製作所製DSC-60)を用い、試料量は連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる樹脂分で約5mgとし、雰囲気ガスの流速30mL/分、昇温温度10℃/分の条件で、室温(25℃)から予想される融点以上の温度まで試料を加熱し溶融させた際に測定される融解熱量を、完全融解熱量で除した値から、結晶化度(%)を求めた。完全融解熱量は188J/gとした。
[μドロップレット接触角、界面せん断強度]
複合材界面特性評価装置(HM410、東栄産業株式会社)の加熱炉部分に熱可塑性樹脂をセットし、炉内温度を熱可塑性樹脂の融点+15℃に設定して連続強化繊維の単糸1本に樹脂付けし、μドロップレットを作製した。作製したμドロップレットは、強化繊維を中心として、強化繊維の長さ方向に長い楕円球形状であった。室温に冷却後、連続強化繊維と熱可塑性樹脂のμドロップレットとがなす接触角(図1のαを参照)を測定し、μドロップレットの、連続強化繊維の繊維軸方向の長さLが95~105μmであるμドロップ100点から得られた接触角の中央値から、μドロップレット接触角(°)を求めた。
また、連続強化繊維の直径d(μm)、μドロップレットの、連続強化繊維の繊維軸方向の長さL(μm)を測定した後、95~105μmであるμドロップのせん断試験を行い、ブレードにより樹脂玉をこそぎ落とす際のせん断荷重F(N)を測定し、下記式(1)から界面せん断強度τ(MPa)を求めた。測定点数は100点として、その100点の中央値を求めた
τ=F/πdL ・・・(1)
各実施例で用いている表面処理剤を有する連続強化繊維と、各実施例で用いているガラス繊維を電気炉により650℃3時間処理した表面処理剤非含有ガラス繊維と、表面処理剤非含有ガラス繊維にγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903、信越化学工業株式会社製)0.5質量%となるように脱イオン水で調製することで作製した表面処理剤を処理したカップリング剤処理連続強化繊維を用いて測定し、界面強度比及び接触角比を求めた。
(界面強度比)=(表面処理剤を有する連続強化繊維を用いて測定した界面強度)/(カップリング剤処理強化繊維を用いて測定した界面強度)
(接触角比)=(表面処理剤を有する連続強化繊維を用いて測定した接触角)/(表面処理剤非含有ガラス繊維を用いて測定した接触角)
[物性安定性]
曲げ強度の試験を試験片50本に対して実施して曲げ強度を測定し、曲げ強度の平均値をA、i個目(i=1~50)の測定での曲げ強度をAiとし、下記式に従って変動係数を求め、バラつきとした。
Figure 2023095279000002
[反り特性]
アームにダイヤルゲージを固定して、各例で得られた連続繊維強化樹脂複合材料の板をなぞり最大値と最小値の差を読み取った。
[形状追随性]
各例で得られた連続繊維強化樹脂複合材料からバンドソーにより150mm×150mmの試験片を切り出し、赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS-71298NGK、日本ガイシ、波長3~7μm)を用いて各例で使用した樹脂の溶融温度+25℃まで加熱し、平面部100mm×100mm、壁部25mm×100、壁部のRが10°の180℃に加熱した金型に設置し、10MPaの圧力でプレスした。得られた箱型形状の成形体の壁部と金型の隙間の最大値が、0mm以上1mm未満の場合に「〇」(優れる)、1mm以上3mm未満の場合に「△」(良好)、3mm以上の場合に「×」(不良)、として評価した。
[SP値の測定]
各例で用いている樹脂及び連続強化繊維の結束剤成分の構造から下記式により求めた。蒸発エネルギー及び、モル体積はFedors法による値を参照した。複数種類の成分を有している場合は成分の含有質量比率とSP値を掛け合わせた数値の和により求めた。
(SP値)={(各成分に含まれる原子または原子団の蒸発エネルギーの総和)/(各成分に含まれる原子または原子団のモル体積)}^(1/2)
実施例、比較例で用いた材料は以下のとおりである。
[連続強化繊維]
(ガラス繊維)
ガラス繊維1:繊度1.15g/mで単糸数1500本のガラス繊維100質量%に対し、集束剤を0.45質量%付着させたものを製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約17μmとした。上記集束剤は、カップリング剤としてγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903、信越化学工業株式会社製)0.5質量%、潤滑剤としてカルナウバワックス1質量%、結束剤としてポリウレタン樹脂(Y65-55、株式会社ADEKA製)2質量%、及び、共重合化合物(無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させた、重量平均分子量が20000である共重合化合物)3質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。結束剤のSP値は14.0であった。
ガラス繊維2:繊度1.15g/mで単糸数1500本のガラス繊維100質量%に対し、集束剤を0.45質量%付着させたものを製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約17μmとした。上記集束剤は、カップリング剤としてγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903、信越化学工業株式会社製)0.5質量%、潤滑剤としてカルナウバワックス0.5質量%、結束剤としてポリウレタン樹脂(Y65-55、株式会社ADEKA製)1.8質量%、及び、共重合化合物(無水マレイン酸51質量%、アクリル酸メチル39質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させた、重量平均分子量が20000である共重合化合物)5.7質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。結束剤のSP値は15.5であった。
ガラス繊維3:繊度1.15g/mで単糸数1500本のガラス繊維100質量%に対し、集束剤を0.45質量%付着させたものを製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約17μmとした。上記集束剤は、カップリング剤としてγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903、信越化学工業株式会社製)0.5質量%、潤滑剤としてカルナウバワックス0.5質量%、結束剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂4質量%、及び、共重合化合物(アクリル酸メチル71質量%、及びメタクリル酸メチル29質量%を共重合させた、重量平均分子量が20000である共重合化合物)1.4質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。結束剤のSP値は11.1であった。
(炭素繊維)
単糸数12000本、直径9μm、繊度2.58g/mの炭素繊維100質量%に対し、集束剤を0.45質量%付着させたものを製造した。上記集束剤は、潤滑剤としてカルナウバワックス1質量%、結束剤としてポリウレタン樹脂(Y65-55、株式会社ADEKA製)2質量%、及び、共重合化合物(無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させた、重量平均分子量が20000である共重合化合物)3質量%、となるように脱イオン水で調製することで作製した。結束剤のSP値は14.0であった。
[連続強化繊維基材の作製]
ガラスクロス1、ガラスクロス2:レピア織機(織幅1m)を用い、上記ガラス繊維1を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、ガラスクロス1(平織、織密度は6.5本/25mm、目付は640g/m)、ガラスクロス2(平織、織密度は6.5本/25mm、目付は660g/m)であった。
ガラスクロス3:レピア織機(織幅1m)を用い、上記ガラス繊維2を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、ガラスクロス3(平織、織密度は6.5本/25mm、目付は640g/m)であった。
ガラスクロス4:上記ガラス繊維3を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、ガラスクロス4(平織、織密度は6.5本/25mm、目付は640g/m)であった。
炭素繊維クロス:レピア織機(織幅1m)を用い、上記炭素繊維を経糸、緯糸として用いて製織することで炭素繊維クロスを製造した。得られた炭素繊維クロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は425g/mであった。
[熱可塑性樹脂]
樹脂1:PA66(カルボキシル末端基量70μmol/g、アミノ末端基濃度30μmol/g、tanδのピーク温度:50℃、SP値:12.4、融点:265℃、結晶化温度:209℃)
樹脂2:樹脂1とPA6Iとのドライブレンド品(PA66:PA6I=2:1)(カルボキシル末端基濃度120μmol/g、アミノ末端基濃度40μmol/g、tanδのピーク温度:110℃、SP値:12.6、融点:260℃、結晶化温度:168℃)
樹脂3:ポリプロピレン(末端基濃度0μmol/g、tanδのピーク温度:0℃、SP値:8.4、融点:180℃、結晶化温度:133℃)
樹脂4:マレイン酸変性ポリプロピレン(末端基濃度21μmol/g、tanδのピーク温度:0℃、SP値:10.1、融点:180℃、結晶化温度:132℃)
樹脂5:PA6(カルボキシル末端基濃度60μmol/g、アミノ末端基濃度30μmol/g、tanδのピーク温度:50℃、SP値:12.3、融点:225℃、結晶化温度:175℃)
樹脂6:PA6I(カルボキシル末端基濃度200μmol/g、アミノ末端基濃度60μmol/g、tanδのピーク温度:130℃、SP値:12.9、ガラス転移温度:135℃)
樹脂7:PPS(東レ(株))(tanδのピーク温度:90℃、SP値:11.7、融点:280℃、結晶化温度:231℃)
樹脂8:PA610(カルボキシル末端基量70μmol/g、アミノ末端基濃度30μmol/g、tanδのピーク温度:50℃、SP値:11.5、融点:222℃、結晶化温度:170℃)
樹脂9:樹脂3と樹脂4とのドライブレンド品(樹脂3:樹脂4=90:10)(末端基濃度2μmol/g、tanδのピーク温度:0℃、SP値:8.6、融点:180℃、結晶化温度:132℃)
樹脂10:PA12(カルボキシル末端基量60μmol/g、アミノ末端基濃度60μmol/g、tanδのピーク温度:50℃、SP値:10.5、融点:179℃、結晶化温度:130℃)
(熱可塑性樹脂の末端基濃度)
各熱可塑性樹脂の末端基濃度は、H-NMRを用い、以下の測定条件にて測定した。
H-NMRの測定条件
装置 :JEOL-ECA500(日本電子(株)社)
観測核 :
観測周波数 :500MHz
測定法 :Single-Plus
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :256回
溶媒 :DSO
試料濃度 :1.25質量%
[熱可塑性樹脂フィルムの作製]
Tダイ押し出し成形機(株式会社創研製)を用いて成形することで熱可塑性樹脂フィルムを得た。熱可塑性樹脂フィルムの厚さは200μmであった。
[ハイブリッド成形体の作製]
各実施例で得た連続繊維強化樹脂複合材料を200×300mmの長方形に切り出し、各実施例で用いた樹脂をプレス射出ハイブリッド成形することで、短辺192mm、長辺292mmで、各辺にポリプロピレンAによる高さ4mmの立壁及び、長辺と並行方向に、各短辺及び長辺の半分の位置を結んだ十字状のリブがある箱型形状の連続繊維強化樹脂複合材料成形体を得た。
ハイブリッド成形体の成形は,赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS-71298NGK、日本ガイシ、波長3~7μm)で各実施例の樹脂の融点(融点を有しない樹脂はガラス転移温度)+35℃に加熱し、60秒予備加熱した連続繊維強化樹脂複合材料を150℃に保った金型内に挿入し、プレス圧10MPaでプレスした後に、射出圧120MPa、射出温度を各実施例の樹脂の融点(融点を有しない樹脂はガラス転移温度)+35℃として、連続繊維強化樹脂複合材料を金型内にセットしてから10秒以内に各実施例で用いた樹脂を射出成形することで行った。
[実施例1]
樹脂1を用いて、前記方法で熱可塑性樹脂フィルム1を得た。
ガラスクロス1を5枚と熱可塑性樹脂フィルム1を6枚準備し、熱可塑性樹脂フィルム1が表面となるようにガラスクロス1と熱可塑性樹脂フィルム1とを交互に重ねて成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。この時、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
成形機として、ダブルベルトプレス機を使用した。上記ガラスクロスと上記熱可塑性樹脂フィルム1とを上記のように重ねて成形機に設置し、昇温速度280℃/分、圧力3MPa、ベルト速度0.5m/minで圧縮し、その後、冷却速度を80℃/分とし、3MPaで3分間、冷却圧縮し、成形を行った。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料から上記方法でハイブリッド成形体を作製し、長さ100mm、幅10mmを切り出し、研磨紙により連続繊維強化樹脂複合材料部を傷つけないようにリブを取り除き、上記方法でアコースティックエミッション測定を実施した。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例2]
熱可塑性樹脂として樹脂2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例3]
熱可塑性樹脂として樹脂9、ガラスクロスとしてガラスクロス4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例4]
連続強化繊維基材として炭素繊維クロスを用いたこと以外は実施例2と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。なお、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例5]
連続強化繊維基材としてガラスクロス2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。なお、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例6]
熱可塑性樹脂として樹脂4、ガラスクロスとしてガラスクロス4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例7]
熱可塑性樹脂として樹脂5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例8]
熱可塑性樹脂として樹脂6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例9]
上記ガラス繊維1(100質量%)に対し、集束剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-402、信越化学工業株式会社)0.3質量%、エポキシ樹脂エマルジョン1.5質量%、カルナウバワックス0.2質量%の混合物を付着させたガラス繊維を用いて、平織、織密度は6.5本/25mm、目付640g/mのガラスクロスを製造した。このガラスクロスを5枚積層させて金型に設置し、そこにビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))16gとビスフェノールA(4、4′-(プロパンー2,2-ジイル)ジフェノール1.6gとの混合樹脂を投入し、成形機内の温度を40℃に設定し、型締め力5MPaで3日間圧縮成形を行い、冷却速度80℃/分、型締め力5MPaで、8分間冷却して、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。なお、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例10]
熱可塑性樹脂として樹脂7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例11]
熱可塑性樹脂として樹脂2を用い、連続強化繊維基材としてガラス繊維1を目付640g/mとなるように引き揃えたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。なお、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例12]
ガラスクロスとしてガラスクロス3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例13]
熱可塑性樹脂として樹脂8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例14]
熱可塑性樹脂として樹脂10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[比較例1]
上記ガラス繊維1(100質量%)に対し、集束剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-402、信越化学工業株式会社)0.3質量%、エポキシ樹脂エマルジョン1.5質量%、カルナウバワックス0.2質量%の混合物を付着させたガラス繊維を用いて、平織、織密度は6.5本/25mm、目付600g/mのガラスクロスを製造して用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。なお、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[比較例2]
ポリアミド66をガラスクロスに含浸したBond Laminate製「Tepex dynalite 101」を用いて、実施例1と同様の評価を行った。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[比較例3]
熱可塑性樹脂として樹脂3、ガラスクロスとしてガラスクロス3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
Figure 2023095279000003
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、また、熱可塑性樹脂組成物との複合成形体材料として、産業上の利用可能である。
1:連続強化繊維の単繊維
2:熱可塑性樹脂の樹脂玉(μドロップ)
α:μドロップレット接触角
d:連続強化繊維の単繊維の径
L:樹脂玉(μドロップ)の、連続強化繊維の繊維軸方向の長さ

Claims (6)

  1. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、
    下記式で求められるアコースティックエミッション(AE)カウントAが0.30以下であること
    を特徴とする、連続繊維強化樹脂複合材料。
    (AEカウントA)=(振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
  2. 前記振幅40dB以上かつ持続時間3500μ秒以下のAE信号数が600以下である、請求項1に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  3. 振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数が200以上である、請求項1又は2に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  4. 下記式で求められるAEカウントBが0.12以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
    (AEカウントB)=(振幅25~30dBかつ持続時間1000μ秒以下のAE信号数)/(総AE信号数)
  5. 前記総AE信号数が2000以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
    結束剤を含む表面処理剤で連続強化繊維を処理することにより、表面処理剤を含む連続強化繊維を作製することを含み、
    前記連続繊維強化樹脂複合材料の界面量が100,000m-1以上であり、昇温速度が200~330℃/分であり、冷却速度が10~120℃/分であり、前記結束剤と前記熱可塑性樹脂とのSP値の差が0.01~5であることを特徴とする、製造方法。
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