JP2017186696A - 複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の複合糸は、撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成されるものである。
複合糸は、撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂の繊維とが混繊されたものであることが好ましい。
本発明の複合糸の製造方法は、ヤーン形態の強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを流体交絡法で混繊する。
布帛は、経糸と緯糸とから構成される織物であることが好ましい。
本発明の成形体の製造方法は、本発明の布帛をプレス成形する工程を含むものである。
繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(以下、単に複合材料ともいう)は、少なくとも撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂から構成されるものである。複合材料は、熱可塑性樹脂のマトリックス中に、撚りを有する強化繊維が配置され、強化繊維の間に樹脂が含浸していることが好ましい。また、強化繊維は成形体の連続面において実質的に連続していることが好ましい。成形体の連続面とは、角部をもたない曲面、平面、またはその組みあわせであり、滑らかに連続する面を意味し、実質的に連続しているとは、例えば複合材料が布帛の場合、成形体の中で布帛が折りたたまれた状態となっていて、強化繊維が成形体の中で連続している場合の他、切断された布帛が成形体に収容されている場合、すなわち、成形体の側面や成形体の段差(不連続面)においては不連続になっている場合も含まれる。
本発明における強化繊維は、撚りを有することが必須である。従来、力学特性を高めるために、無撚りの強化繊維が使用されてきた。しかしながら、撚りを有する強化繊維を使用すると、予想に反して含浸速度、及び、力学特性が向上することが判明した。この理由は定かではないが、撚りの部分が起点となって含浸が進展することと、複合糸等の中間材の製造中、及び、複合材料の成形中における強化繊維の損傷を抑制できることが原因であると考えている。中間材の製造工程での強化繊維の損傷が少ないため、従来よりも生産性を高めた条件で中間材を製造することができる。
撚り指数=撚り長さ(mm)/複合糸の擬似径(mm)
撚り長さ=1000/1mあたりの撚り回数
複合糸の擬似径(mm)=√(複合糸の擬似断面積(mm2)/3.14)
複合糸の擬似断面積(mm2)=強化繊維の合計断面積(mm2)+熱可塑性樹脂の合計断面積(mm2)
強化繊維の合計断面積(mm2)=強化繊維の繊度(dtex)/強化繊維の密度(g/cm3)/10000
熱可塑性樹脂の合計断面積(mm2)=熱可塑性樹脂の繊度(dtex)/熱可塑性樹脂の密度(g/cm3)/10000
本発明における複合糸とは、少なくとも撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂から構成される糸のことを指す。熱可塑性樹脂は繊維形態でもよく、例えば、特許文献1に記載されているような混繊糸、熱可塑性繊維と強化繊維を引き揃えた糸、強化繊維の外周面を熱可塑性繊維でカバーリングした糸等があげられる。熱可塑性樹脂の形態は、強化繊維の外周面を熱可塑性樹脂で被覆した形態や、強化繊維に熱可塑性樹脂粉末が付着している形態があげられる。
成形体の構成としては、本発明の複合糸を強化繊維として、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のマトリックス樹脂と組み合わせてハイブリッド成形体を形成してもよいし、複合糸を構成する熱可塑性樹脂を溶融させることでマトリックス樹脂として成形体を形成してもよい。
強化繊維は、通常の複合材料として使用されるものを用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。機械的特性、熱的物性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
集束剤の種類、量を選定する方法としては、例えば特許文献1に記載されているようなマイクロドロップレット試験によるマトリックス樹脂との界面強度の利用があげられる。ただし、集束剤が熱によって揮発したり、変質したりする場合があるため、成形時の熱履歴をかけた上で、同試験を行うことが好ましい。
以下、強化繊維としてガラス繊維を選択した場合の集束剤の例について述べる。集束剤としてはシランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類等が挙げられる。ガラス繊維表面とシランカップリング剤との反応を促進するために、水や、触媒となる酸、塩基、金属化合物の存在下で処理することは好ましい。
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じて熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低分子化合物が使用可能である。
結束剤としての熱硬化性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂が挙げられる。また、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂と硬化剤(アミン系、酸無水物)や、アクリレート系樹脂も好適に使用される。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
結束剤として使用される低分子化合物は、反応性の官能基を有していることが好ましい。例えば、ポリアミド等のマトリックス樹脂を使用する場合は、ポリアミドのカルボニル末端及び/又はアミド末端と反応する化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば、エポキシ基を有するもの、酸無水物基を有するものがあげられる。酸無水物基を有する化合物は、例えば、無水コハク酸、無類フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸等が挙げられ、変性により適宜取り扱いやすい分子量に調整して使用することができる。
強化繊維としてガラス繊維を用いた場合、ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
強化繊維はマルチフィラメントであることが好ましく、単糸数は、プレス成形の生産性、及び取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。強化繊維の単糸径は、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2〜30μmであることが好ましく、4〜25μmであることがより好ましく、6〜20μmであることが更に好ましく、8〜15μmであることが最も好ましい。
本発明の複合糸を構成する熱可塑性樹脂は、熱可塑性繊維の形態でもよいし、熱可塑性樹脂として強化繊維を被覆、又は、強化繊維に付着している形態でもよい。
熱可塑性樹脂は、従来公知の複合糸に用いるものを使用することができる。
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明に用いられる熱可塑性繊維は実質的に無撚りであり、かつ、実質的に無交絡であることが、仮撚工程、混繊工程における開繊性向上の観点から好ましい。実質的に無撚りとは、解舒等に伴う意図しない撚り以外の撚りが入っていない状態を意味し、撚り数が10回/m以下のことである。実質的に無交絡とは、流体交絡等通常の交絡手段による意図的な交絡が取扱い性を維持する最低限の回数である状態を意味し、交絡数が5回/m以下のことである。
熱可塑性樹脂繊維の単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜20,000本であることが好ましい。
本発明においては、予め撚りの入った強化繊維を複合糸の原料に使用する。強化繊維は、紡糸後に巻き取った状態でセットし糸を繰り出して使用してもよいし、強化繊維の紡糸工程から直接繰り出して使用してもよい。後者の場合、工程数が少なくなることは好ましいが、紡糸をしながら撚りをかける必要があるため、安定生産の難易度は高くなる。通常、紡糸を行った際はロービング形態やケーキ形態に巻き取られ、撚りは入っていない。これをヤーン形態に巻き返して複合糸の原料に供すると、繊維に撚りが入ると共に、繰り出しの効率が高まるため好ましい。
強化繊維に熱可塑性樹脂を被覆する方法としては、例えば特開平8−336879号公報に記載されているような方法が挙げられる。
上記のように含浸性を高めるために熱可塑性樹脂に低粘度及び/又は低融点の樹脂を用いる場合には、強化繊維の間に入っていきやすいように、低粘度及び/又は低融点の熱可塑性樹脂を強化繊維近傍に配置することが好ましい。強化繊維近傍に配置する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を押し出すノズルの構造を複層化し、内側に低粘度及び/又は低融点の樹脂を流すことで強化繊維の近傍に配置することができる。
強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混繊する方法は公知の方法を利用できる。例えば、静電気力や流体噴霧による圧力、ローラー等に押し付ける圧力等による外力によって開繊した後、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維を開繊したままの状態で合糸・引き揃える開繊合糸法、流体交絡(インターレース)法が挙げられる。強化繊維の損傷が抑制でき、開繊性に優れ、均一に混合可能な流体交絡法が好ましく使用される。流体交絡法としては、例えば、特許文献1に記載されている方法が好ましく使用される。原料となる強化繊維の太さ、本数を適宜調整し、あわせて製造条件も調整すればよい。
本発明の複合糸を用いて成形体を製造する方法は特に限定されないが、目的とする成形体の形状に合わせて中間材料を作製し、この中間材料を用いて目的とする成形体を製造することが好ましい。
織物の織り方は特に限定されず、平織、綾織、朱子織、綟り織、紗等が挙げられる。
本発明の成形体の強度の観点から、強化繊維のクリンプ率が低くなる綾織がより好ましい。
例えば、織物は、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機等の製織機を用い、少なくとも一部に複合糸を含んでいればよい。例えば、複合糸を含む繊維を配列させた経糸に、緯糸を打ち込むことによって得る方法が好ましい方法として挙げられる。中でも強化繊維の損傷を抑え、安定的に織物を得るという観点からレピア織機が好ましい。織物のテンションを安定化させ、均一な品質の織物が得られやすいことから、織機の幅は60cm以上であることが好ましく、80cm以上であることがより好ましく、100cm以上であることが更に好ましい。幅が一定以上の大きさであれば品質は安定するが、使用する糸に合わせて使いやすい幅に設定することが好ましい。強化繊維にガラス繊維や炭素繊維を用いた場合には、幅6m以下であることが好ましく、5m以下であることがより好ましく、4m以下であることが更に好ましく、3m以下であることが最も好ましい。
不織布は、少なくとも一部に複合糸を含む繊維をウェブと呼ばれるシート状の繊維集合体とした後、ニードルパンチ機、ステッチボンド機、柱状流機等の物理作用やエンボスロール等による熱作用や接着剤によって繊維同士を結合させることによって得られる。
その他の中間材料の形態等については、適宜特開2015−101794号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明の成形体は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む成形体であって、成形体に上記の強化繊維が実質的に連続した状態で含まれ、強化繊維が撚りを有する成形体である。成形体における撚りやその回数は、例えば、成形体の熱可塑性樹脂を熱、及び/又は溶媒等で除去して光学的に解析する他、X線CT等の非破壊解析手法によって求めることができる。
なお、成形体の製造方法は、以下に限定されるものではなく、種々の方法を適用することができる。
ハイブリッド成形体を製造するために用いる射出成形用の熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば特に限定されない。
熱可塑性樹脂組成物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の一種又は二種以上を混合した樹脂組成物が挙げられる。
各種充填材としては、強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合には、本発明の複合糸が具備する強化繊維と同様に集束剤を用いてもよい。
集束剤は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、前述の強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
本発明の成形体は、航空機、車、建設材料等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
長さ30cm、幅10cmの金枠を準備した。長さ方向に一方向に揃えて、ハンドにより2cm幅で巻き付けた。巻回数は、複合糸の質量と密度から厚み1mmとなるように計算する。長さ25cm、幅6cm、厚み3cmの上型と下型の組み合わせから構成される金型で、上型は凸型、下型は凹型であり、凸凹部分は幅2cm、クリアランス0.5mmになったものを用意し、用意した糸を金枠に巻きつけたままの状態で、巻きつけた糸が金型の凸凹部分にはまるようにセットする。金型には穴をあけておき、熱電対を挿入することで内部の温度をモニタリングできる。
300℃に設定したプレス成形機に金型をセットし、3MPaで加圧する。金型の温度を観察し、融点に達した時点から7分間プレスを行った後、金型を取り出し、冷却プレスを行った。
成形品のバリ取りを行った後、インストロン万能試験機にて、JIS K7054に準拠して引張強度を測定した。なお、必要に応じてつかみ部分にやすりを設置し、滑りを防止した。
インストロン万能試験機にて、長さ70mm、幅10mm、肉厚3mmの短冊状の試験片を、長手方向に30mmの間隔でチャッキングし、速度5mm/min、23℃50%RH環境下で引張強度を測定した。
商品名:レオナ(登録商標)470/144BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数144本を使用した。
下記集束剤をエマルジョンとして1.0質量%付着させた、Eガラス(無アルカリガラス)を使用した。巻き取り形態は、実施例で使用している撚りの入ったものはヤーンであり、比較例の無撚りのものはケーキを使用した。ヤーンの撚りの回数については表1に示した。
・シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%〔商品名:KBE−903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ワックス0.1質量%〔商品名:カルナウバワックス((株)加藤洋行製)〕
・結束剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体塩5質量%〔商品名:アクアリックTL(日本触媒(株)製)〕
フォルモサ社製のTAIRYFIL、TC−35、12kを使用した。集束剤は熱可塑性樹脂用に調整したものである。ヤーン形態に巻き返して使用した。巻き返し工程にて所定回数の撚りがかかっている。
レピア織機を用い、複合糸を経糸、緯糸として用いて綾織に製織を行った。目付470g/m2になるように織密度を調整した。
(織物の圧縮成形工程)
成形機は、最大型締め力300トンの東芝機械製(S100V−8A)を使用した。
箱型の成形体(縦200mm、横200mm、高さ120mm、肉厚3mm)を得るための金型を準備した。金型の四隅には織物を固定するためのピンを設置した。
織物を所定枚数重ねて、熱刃式裁断機によって金型に合わせた形状に裁断した。この際、熱によって切断部が溶着され、一体形状となる。
予め300℃に加熱した金型を開き、織物を金型の所定の位置にセットしてピンで固定した。次いで型締め力240MPaで型締めし、圧縮成形を行った。
金型を開放し、成形体を取り出した。
一方向成形品をエポキシ樹脂にて包埋し、強化繊維が破損しないように強化繊維の繊維軸に対して垂直にカットし、研磨を行う。光学顕微鏡にて、反射モードで、強化繊維が観察できる程度の倍率で断面の写真を撮影する。視野全体に強化繊維が存在する大きさに画像を切り出し、画像全体のエリアに対する、黒く見える空隙部分のエリアの比率を算出した。観察は50視野以上行い、平均値を算出し未含浸率とした。未含浸率が低いほど、引張強度の他、長期特性やその他の物性を向上させ、成形品の外観もよい。
表1に示したガラス繊維1束、ポリアミド繊維1束を合糸・引き揃えた後、流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸を得た。
・ヒートセット:引き揃える直前に、加熱部1m、240℃のヒーターにより、ポリアミド繊維のヒートセットを行った。
・ポリアミド繊維はヒートセットにより縮むため、オーバーフィード量を調整した。
・強化繊維は伸縮率が小さく糸揺れが起こりやすいため、糸揺れを低減させるように糸道を調整した。
・流体交絡ノズル:京セラ KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧:2kg/cm2
・加工速度:100m/分
・室内の雰囲気は25℃、湿度50%に調整した
・巻き取り部分は乾燥空気を流して、ポリアミドが吸湿するのを防止した。
20mm二軸押し出し機(L/D=33)、テンター、巻き取り機を備えたAIKI社製コーティング機を使用した。ガラス繊維の繰り出しは、ヤーンのロールを固定してそのまま繰り出した。ガラス繊維の繰り出しから、ダイ、冷却、巻き取りまで、ガラス繊維が直線になるように配置し、ダイの直前、冷却水に触れた直後、冷却器を出た直後、巻き取り機の直前に糸のガイドを設置した。押し出し機はガラス繊維に対して90度の角度に設置した。冷却はウォーターバスを用い、冷却後、空気により水分を吹き飛ばした。ガラス繊維の速度は200m/分とし、巻き取り機によってコントロールした。押し出しは280〜295℃で行った。ダイの内部で溶融したポリアミド樹脂(商品名:レオナ(登録商標)1402S(旭化成ケミカルズ株式会社製))と、ガラス繊維が微加圧の状態で接触するように、樹脂の導入部分よりもガラス繊維との接触部分が小さくなるように絞りを入れたダイを使用し、押し出し機の押出速度を微調整して、複合糸を製造した。
炭素繊維1束、ポリアミド繊維18束をそれぞれ静電気力で開繊した後、合糸・引き揃えその後、再度静電気力によって開繊を施す開繊合糸法で混繊した(流体交絡は施さない)。
撚りのないケーキ形態のガラス繊維を使用する以外は実施例1と同様にして複合糸を得た。
ポリアミド繊維に(株)石川製作所製IVF338を用いて、下記条件でヒートセット及び仮撚加工を施した。
仮撚数 1050回/m
ヒーター温度 240℃
糸速度 30m/min
撚りのないケーキ形態のガラス繊維とポリアミド繊維を合糸・引き揃えた後、流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸を得た。
・流体交絡ノズル 京セラ(株)製KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧 2kg/cm2
・加工速度 30m/min
尚、本比較例2のみ成形の加熱温度は280℃とした。
比較例1の複合糸に50回/mの撚り加工を行った。ポリアミド繊維と一緒に撚りをかけており、ガラス繊維は大きくうねっているだけで撚りはかかっていないが、成形体中のうねりを撚りに見立て、撚り指数を計算したものを表1に示す。
巻き返し工程を行わず撚りのない炭素繊維1本と、ポリアミド繊維1本とを、実施例3と同様に混繊した。その後、複合糸に50回/mの撚り加工を行った。ポリアミド繊維と一緒に撚りをかけており、ガラス繊維は大きくうねっているだけで撚りはかかっていないが、成形体中のうねりを撚りに見立て、撚り指数を計算したものを表1に示す。強化繊維の比率が極度に高いため、含浸性も低く、表面状態も悪い成形体となった。未含浸率は高すぎたため、数値化は困難であった。
撚りのないケーキ形態のガラス繊維34本を引き揃えたものと、ポリアミド繊維1本とを、実施例1と同様に混繊した。その後、複合糸に50回/mの撚り加工を行った。ポリアミド繊維と一緒に撚りをかけており、ガラス繊維は大きくうねっているだけで撚りはかかっていないが、成形体中のうねりを撚りに見立て、撚り指数を計算したものを表1に示す。強化繊維の比率が極度に高いため、含浸性も低く、表面状態も悪い成形体となった。未含浸率は高すぎたため、数値化は困難であった。
Claims (7)
- 撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合糸。
- 前記強化繊維と前記熱可塑性樹脂の繊維とが混繊された請求項1記載の複合糸。
- ヤーン形態の強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを流体交絡法で混繊する複合糸の製造方法。
- 請求項1または2記載の複合糸から構成される布帛。
- 前記布帛が経糸と緯糸とから構成される織物である請求項4記載の布帛。
- 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む成形体であって、該成形体に前記強化繊維が連続した状態で含まれ、該強化繊維が撚りを有する成形体。
- 請求項4または5記載の布帛をプレス成形する工程を含む成形体の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019130691A (ja) * | 2018-01-29 | 2019-08-08 | 旭化成株式会社 | 中空成形体及びその製造方法 |
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2016
- 2016-04-05 JP JP2016075674A patent/JP2017186696A/ja active Pending
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JP2019130691A (ja) * | 2018-01-29 | 2019-08-08 | 旭化成株式会社 | 中空成形体及びその製造方法 |
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