JP2017186696A - 複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法 - Google Patents

複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017186696A
JP2017186696A JP2016075674A JP2016075674A JP2017186696A JP 2017186696 A JP2017186696 A JP 2017186696A JP 2016075674 A JP2016075674 A JP 2016075674A JP 2016075674 A JP2016075674 A JP 2016075674A JP 2017186696 A JP2017186696 A JP 2017186696A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
fiber
resin
fibers
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016075674A
Other languages
English (en)
Inventor
努 秋山
Tsutomu Akiyama
努 秋山
大賀 齋藤
Taiga Saito
大賀 齋藤
登起男 奥野
Tokio Okuno
登起男 奥野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2016075674A priority Critical patent/JP2017186696A/ja
Publication of JP2017186696A publication Critical patent/JP2017186696A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】生産性を高めた際にも、力学特性の低下が起こらない複合糸、布帛を得る。また、力学特性の高い成形体を得る。【解決手段】複合糸を撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成されるものとする。また、複合糸をヤーン形態の強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを流体交絡法で混繊して製造する。さらに、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む成形体を、成形体に強化繊維が連続した状態で含まれ、この強化繊維が撚りを有するものとする。【選択図】なし

Description

本発明は、複合糸、その複合糸から構成される布帛、及び成形体、並びに複合糸及び成形体の製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に強度の観点から強化繊維が連続繊維であり、成形サイクルの観点、リサイクル性の観点から、樹脂が熱可塑性樹脂である繊維強化複合材料成形体が望まれている。この複合材料成形体を構成する材料としては、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混じり合った複合糸、及びこの複合糸からなる布帛が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2015−67926号公報 特開平4−183729号公報
しかしながら、従来の繊維強化複合材料は理論値と比較すると、低い強度の成形体しか得られていなかった。特に、複合糸等の中間材の生産性を高めた場合には、著しく強度が低下するという問題があった。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するべく鋭意検討した結果、驚くべきことに従来の知見とは異なり、撚りを有する強化繊維を使用することで、成形体の強度が高く、中間材の生産性を高めた場合にも強度低下が起こらないことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の複合糸は、撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成されるものである。
複合糸は、撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂の繊維とが混繊されたものであることが好ましい。
本発明の複合糸の製造方法は、ヤーン形態の強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを流体交絡法で混繊する。
本発明の布帛は、本発明の複合糸から構成されるものである。
布帛は、経糸と緯糸とから構成される織物であることが好ましい。
本発明の成形体は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む成形体であって、成形体に強化繊維が連続した状態で含まれ、この強化繊維が撚りを有するものである。
本発明の成形体の製造方法は、本発明の布帛をプレス成形する工程を含むものである。
本発明の複合糸及び布帛によれば、引張強度等の力学特性の高い成形体を得ることができる。また、生産性を高めた際にも、力学特性の低下が起こらない複合糸等の中間材を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<繊維強化熱可塑性樹脂複合材料>
繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(以下、単に複合材料ともいう)は、少なくとも撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂から構成されるものである。複合材料は、熱可塑性樹脂のマトリックス中に、撚りを有する強化繊維が配置され、強化繊維の間に樹脂が含浸していることが好ましい。また、強化繊維は成形体の連続面において実質的に連続していることが好ましい。成形体の連続面とは、角部をもたない曲面、平面、またはその組みあわせであり、滑らかに連続する面を意味し、実質的に連続しているとは、例えば複合材料が布帛の場合、成形体の中で布帛が折りたたまれた状態となっていて、強化繊維が成形体の中で連続している場合の他、切断された布帛が成形体に収容されている場合、すなわち、成形体の側面や成形体の段差(不連続面)においては不連続になっている場合も含まれる。
強化繊維と熱可塑性樹脂との体積比率は、成形体の強度の観点から、10:90〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、30:70〜60:40であることが更に好ましく、35:65〜50:50であることが最も好ましい。
複合材料を得るには、強化繊維と溶融した状態の熱可塑性樹脂が接触すればよいが、強化繊維に熱可塑性樹脂を射出する方法、強化繊維と熱可塑性樹脂から形成される中間材を用意し、プレス成形する方法が考えられる。強化繊維の撚りの状態をコントロールするためには後者のプレス成形する方法が好ましい。中間材には、例えば、強化繊維と溶融状態の熱可塑性樹脂を接触させた後に冷却した板状のもの、強化繊維とフィルム状の熱可塑性樹脂の組み合わせ、強化繊維と粉末状の熱可塑性樹脂の組み合わせ、強化繊維と熱可塑性樹脂を糸のスケールで組み合わせた複合糸等があげられる。中間材の柔らかさに起因した形状の自由性、プレス成形の生産性の観点から、複合糸を用いることが好ましい。複合糸の形態としては、例えば、強化繊維と熱可塑性繊維を組み合わせた混繊糸、強化繊維の外周面、及び/又は、強化繊維の糸束間を熱可塑性樹脂で被覆した糸等があげられる。複合糸は、例えば、一方向に引き揃えた状態、織物、編物等の取り扱い性に優れた形状とし、プレス成形機に供することができる。
<強化繊維の撚りについて>
本発明における強化繊維は、撚りを有することが必須である。従来、力学特性を高めるために、無撚りの強化繊維が使用されてきた。しかしながら、撚りを有する強化繊維を使用すると、予想に反して含浸速度、及び、力学特性が向上することが判明した。この理由は定かではないが、撚りの部分が起点となって含浸が進展することと、複合糸等の中間材の製造中、及び、複合材料の成形中における強化繊維の損傷を抑制できることが原因であると考えている。中間材の製造工程での強化繊維の損傷が少ないため、従来よりも生産性を高めた条件で中間材を製造することができる。
強化繊維は撚りがかかっていればよく、撚りの方向は右撚でも、左撚でも構わない。撚りの回数は、11〜1000回/mであることが好ましく、15〜500回/mがより好ましく、20〜100回/mが更に好ましく、30〜50回/mが最も好ましい。適度な回数の撚りがかかることによって成形体の強度が高く、生産性を高めた場合の強度低下が低い傾向にある。複合材料中の撚りの回数や、強化繊維が直接観察しがたい状態の中間材における撚りの回数は、例えば、マトリックス樹脂を熱、及び/又は溶媒等で除去して光学顕微鏡等によって解析する他、X線CT(Computed Tomography)等の非破壊解析手法によって求めることができる。撚り姿は、片撚糸、諸撚糸、駒撚糸、壁撚糸、飾撚糸のいずれでもよい。撚りの方向は右撚り(S撚り)でも左撚り(Z撚り)でもかまわない。
成形体の強度を高めるという観点から、複合糸中の強化繊維は以下の式であらわされる撚り指数が、50〜1000であることが好ましく、90〜730であることがより好ましく、105〜500であることが更に好ましく、150〜300であることが最も好ましい。
撚り指数=撚り長さ(mm)/複合糸の擬似径(mm)
撚り長さ=1000/1mあたりの撚り回数
複合糸の擬似径(mm)=√(複合糸の擬似断面積(mm2)/3.14)
複合糸の擬似断面積(mm2)=強化繊維の合計断面積(mm2)+熱可塑性樹脂の合計断面積(mm2
強化繊維の合計断面積(mm2)=強化繊維の繊度(dtex)/強化繊維の密度(g/cm3)/10000
熱可塑性樹脂の合計断面積(mm2)=熱可塑性樹脂の繊度(dtex)/熱可塑性樹脂の密度(g/cm3)/10000
なお、熱可塑性樹脂が繊維状でない場合や、繊維状であっても分離が困難な場合については、熱可塑性樹脂の繊度は以下のように求めることができる。複合糸の繊度を求めた後、強化繊維と熱可塑性樹脂を完全に分離し、残存した強化繊維の繊度を求め、複合糸の繊度の強化繊維の繊度の差から熱可塑性樹脂の繊度を算出する。強化繊維と熱可塑性樹脂の分離は、熱可塑性樹脂のみが溶解する溶媒を使用する方法、強化繊維がガラス繊維等の熱的に安定である場合には熱可塑性樹脂を焼切る方法等が挙げられる。
<複合糸>
本発明における複合糸とは、少なくとも撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂から構成される糸のことを指す。熱可塑性樹脂は繊維形態でもよく、例えば、特許文献1に記載されているような混繊糸、熱可塑性繊維と強化繊維を引き揃えた糸、強化繊維の外周面を熱可塑性繊維でカバーリングした糸等があげられる。熱可塑性樹脂の形態は、強化繊維の外周面を熱可塑性樹脂で被覆した形態や、強化繊維に熱可塑性樹脂粉末が付着している形態があげられる。
本発明の複合糸は、他の素材を強化するための強化繊維として用いることができ、複合糸を加工した布状とし、他の素材を強化するための強化布として用いることもでき、加熱加工を行うことで成形体とすることもできる。
成形体の構成としては、本発明の複合糸を強化繊維として、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のマトリックス樹脂と組み合わせてハイブリッド成形体を形成してもよいし、複合糸を構成する熱可塑性樹脂を溶融させることでマトリックス樹脂として成形体を形成してもよい。
<強化繊維>
強化繊維は、通常の複合材料として使用されるものを用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。機械的特性、熱的物性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
強化繊維には集束剤を用いることが好ましく、強化繊維と熱可塑性樹脂の界面を形成するためのカップリング剤、強化繊維の取り扱い性を向上すると共に熱可塑性樹脂とカップリング剤の界面形成を補助するための結束剤、強化繊維の取り扱い性を向上させるための潤滑剤等が好ましく使用される。集束剤は、強化繊維に均一に塗布する観点から、液状、又は、気体状として適用することが好ましい。融点、沸点が高い化合物を使用する場合は、加熱を行いながら塗布してもよいし、溶剤に溶解させて塗布してもよいし、エマルジョン化して水系で使用することもできる。
集束剤の種類、量を選定する方法としては、例えば特許文献1に記載されているようなマイクロドロップレット試験によるマトリックス樹脂との界面強度の利用があげられる。ただし、集束剤が熱によって揮発したり、変質したりする場合があるため、成形時の熱履歴をかけた上で、同試験を行うことが好ましい。
以下、強化繊維としてガラス繊維を選択した場合の集束剤の例について述べる。集束剤としてはシランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類等が挙げられる。ガラス繊維表面とシランカップリング剤との反応を促進するために、水や、触媒となる酸、塩基、金属化合物の存在下で処理することは好ましい。
(潤滑剤)
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
(結束剤)
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じて熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低分子化合物が使用可能である。
[熱硬化性樹脂]
結束剤としての熱硬化性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂が挙げられる。また、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂と硬化剤(アミン系、酸無水物)や、アクリレート系樹脂も好適に使用される。
[熱可塑性樹脂]
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、成形体のマトリックス樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、成形体となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。また、成形後にガラス繊維束間に空隙を残さないという観点から、マトリックス樹脂よりも低粘度及び/又は低融点(低ガラス転移温度)の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂を使用することは好ましい。例えば、マトリックス樹脂よりも分子量の低い樹脂を使用したり、結晶性樹脂であれば結晶化を乱す構造を取り入れたり、側鎖の長さを長くしたりすることで、低粘度及び/又は低融点(低ガラス転移温度)とすることができる。
結束剤としてのアクリル系樹脂とは、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーとしては、重量平均分子量1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
さらに、一層、強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。変性ポリオレフィン系樹脂はオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと、このオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60〜95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5〜40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70〜85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15〜30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40〜99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1〜10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40〜60質量%、ポリオール40〜60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45〜55質量%、ポリオール45〜55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000〜100,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
[低分子化合物]
結束剤として使用される低分子化合物は、反応性の官能基を有していることが好ましい。例えば、ポリアミド等のマトリックス樹脂を使用する場合は、ポリアミドのカルボニル末端及び/又はアミド末端と反応する化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば、エポキシ基を有するもの、酸無水物基を有するものがあげられる。酸無水物基を有する化合物は、例えば、無水コハク酸、無類フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸等が挙げられ、変性により適宜取り扱いやすい分子量に調整して使用することができる。
結束剤として用いる、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低分子化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上用いることが好ましく、60質量%以上用いることがより好ましい。
(ガラス繊維用の集束剤の組成)
強化繊維としてガラス繊維を用いた場合、ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と成形体の機械的強度向上との観点から、0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点、及びエアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
(ガラス繊維用の集束剤の使用態様)
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本発明の複合糸及び布帛を構成するガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%、さらに好ましくは0.2〜1質量%付与する。
ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、エアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から3質量%以下であることが好ましい。
なお、強化繊維として、炭素繊維を選択した場合には、集束剤は、潤滑剤、結束剤からなることが好ましい。集束剤、潤滑剤、結束剤の種類については、特に制限はなく公知の物が使用できる。具体的材料としては、例えば、特許文献(特開2015−101794号公報)に記載されている材料を使用できる。
その他の強化繊維を用いる場合、強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
<強化繊維の形状>
強化繊維はマルチフィラメントであることが好ましく、単糸数は、プレス成形の生産性、及び取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。強化繊維の単糸径は、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2〜30μmであることが好ましく、4〜25μmであることがより好ましく、6〜20μmであることが更に好ましく、8〜15μmであることが最も好ましい。
強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)の積RDは、複合糸の取り扱い性と成形体の強度の観点から、好ましくは5〜100μm・g/cm3、より好ましくは10〜50μm・g/cm3、さらに好ましくは15〜45μm・g/cm3、よりさらに好ましくは20〜45μm・g/cm3である。積RDが所定の範囲であると、特に、強化繊維と熱可塑性繊維を混繊する場合には、強化繊維の損傷を抑え、強化繊維が開繊し易くなり、両繊維が連続して均一に混じり合いやすいため好ましい。
密度Dは比重計等の任意の方法で測定することができる。一方、単糸径(μm)は、密度(g/cm3)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式で算出することができる。
強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な強化繊維について、強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cm3であるから、単糸径が2〜40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cm3であるから、単糸径が2.8〜55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cm3であるから、単糸径が3.4〜68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWR(ダイレクトワインドロービング)に巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。巻き取り工程で撚りを加えることができるヤーンが最も好ましい。
<熱可塑性樹脂>
本発明の複合糸を構成する熱可塑性樹脂は、熱可塑性繊維の形態でもよいし、熱可塑性樹脂として強化繊維を被覆、又は、強化繊維に付着している形態でもよい。
(種類)
熱可塑性樹脂は、従来公知の複合糸に用いるものを使用することができる。
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維であることが好ましい。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂がさらに好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がよりさらに好ましく、ポリアミド66を好適に用いることができる。
熱可塑性樹脂は1種類のみを用いてもよいし、複数種を併用しても構わない。また、同一種の樹脂を使用する場合においても、粘度や融点が異なる樹脂を組み合わせて使用することは好ましい。特に、含浸性を高めるという観点から、低粘度及び/又は低融点の樹脂を併用することは好ましい。低粘度及び/又は低融点の樹脂は、分子量を低下させたり、一部を変性したり、結晶化阻害剤を添加することで得ることができる。
[ポリエステル系樹脂]
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
[ポリアミド系樹脂]
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。ω−アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
(熱可塑性繊維の形態)
本発明に用いられる熱可塑性繊維は実質的に無撚りであり、かつ、実質的に無交絡であることが、仮撚工程、混繊工程における開繊性向上の観点から好ましい。実質的に無撚りとは、解舒等に伴う意図しない撚り以外の撚りが入っていない状態を意味し、撚り数が10回/m以下のことである。実質的に無交絡とは、流体交絡等通常の交絡手段による意図的な交絡が取扱い性を維持する最低限の回数である状態を意味し、交絡数が5回/m以下のことである。
熱可塑性樹脂繊維の単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜20,000本であることが好ましい。
<複合糸の製造方法>
本発明においては、予め撚りの入った強化繊維を複合糸の原料に使用する。強化繊維は、紡糸後に巻き取った状態でセットし糸を繰り出して使用してもよいし、強化繊維の紡糸工程から直接繰り出して使用してもよい。後者の場合、工程数が少なくなることは好ましいが、紡糸をしながら撚りをかける必要があるため、安定生産の難易度は高くなる。通常、紡糸を行った際はロービング形態やケーキ形態に巻き取られ、撚りは入っていない。これをヤーン形態に巻き返して複合糸の原料に供すると、繊維に撚りが入ると共に、繰り出しの効率が高まるため好ましい。
(強化繊維に熱可塑性樹脂を被覆する方法)
強化繊維に熱可塑性樹脂を被覆する方法としては、例えば特開平8−336879号公報に記載されているような方法が挙げられる。
上記のように含浸性を高めるために熱可塑性樹脂に低粘度及び/又は低融点の樹脂を用いる場合には、強化繊維の間に入っていきやすいように、低粘度及び/又は低融点の熱可塑性樹脂を強化繊維近傍に配置することが好ましい。強化繊維近傍に配置する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を押し出すノズルの構造を複層化し、内側に低粘度及び/又は低融点の樹脂を流すことで強化繊維の近傍に配置することができる。
強化繊維の外周面に熱可塑性樹脂を均一に被覆することが好ましく、熱可塑性樹脂の粘度、強化繊維の比重、密度、熱可塑性樹脂と強化繊維の親和性を調整することが好ましい。調整の際には、溶融した熱可塑性樹脂と強化繊維を圧力がかかった状態で接触させること、強化繊維と溶融した熱可塑性樹脂が接触し排出されるダイ部分の形状、強化繊維の張力、熱可塑性樹脂の溶融温度、ライン速度の調整が重要であり、特にダイの形状が重要となる。
最適なダイの形状は、用いる強化繊維の種類、形状、表面処理剤、被覆する樹脂の種類によっても異なるが、溶融状態の樹脂と強化繊維が接触する部分の樹脂の圧力が、均一になるような設計が好ましい。圧力を均一にコントロールするために、溶融した樹脂をダイへ導入する入り口の径よりも、強化繊維と接触した状態で排出される吐出口の径を小さくし、強化繊維と溶融樹脂が接触する部分の圧力を高めておくことが好ましい。溶融した樹脂をダイへ送り出す圧力と、樹脂の粘度、強化繊維を引き抜くライン速度を調整することで、強化繊維と溶融樹脂が接触する部分の圧力を一定に保つことが好ましい。
複合糸の製造装置は、糸の送り出し装置、樹脂を溶融させる装置、ダイ、冷却装置、検知器、巻き取り機等から構成され、押出式コーティング装置、ディッピング式コーティング装置等が使用できる。樹脂の厚みをコントロールしやすい押出式コーティング装置が好ましい。
樹脂の溶融温度は、熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度であればよいが、熱劣化を抑制する観点から、熱可塑性樹脂の融点+10〜100℃であることが好ましく、融点+20〜80℃であることがより好ましく、融点+30〜70℃であることがさらに好ましい。樹脂を溶融させる装置は、例えば、押し出し機を使用すればよい。樹脂の粘度にあわせてスクリューの形状を調整し、適切な圧力でダイに溶融樹脂を送り込むことが好ましい。必要に応じて、窒素パージやベントを行うことが好ましい。
冷却は空冷でもよいし、水バスに浸漬することによって行ってもよいし、冷却ローラーに巻きつけることによって行ってもよい。また、冷却ローラーに巻きつけると同時に水を噴霧してもよい。冷却に水を用いた場合は、必要に応じて乾燥機構を設けることが好ましい。乾燥は、空気等の流体を用いて行ってもよいし、温度をかけてもよいし、布等で物理的に水を除去してもよい。検知器は、例えば光学的手法によって直径の安定性や、糸の振れ幅の検知による重心の偏りを検出することができる。巻き取り機は自動制御で行ってもよいし、マニュアル制御をしてもよい。
糸の速度は生産性と生産安定性の観点から、10〜2000m/分であることが好ましく、50〜1800m/分であることがより好ましく、100〜1500m/分であることが好ましい。
糸の送り出し装置、強化繊維と溶融した樹脂が接触するダイ、冷却装置は直線に配置することが好ましい。それぞれの装置の前後には、必要に応じて糸の直径よりも少しだけ大きなガイドを通し、ダイの前後での糸の位置をコントロールすることが好ましい。
(混繊糸の製造方法)
強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混繊する方法は公知の方法を利用できる。例えば、静電気力や流体噴霧による圧力、ローラー等に押し付ける圧力等による外力によって開繊した後、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維を開繊したままの状態で合糸・引き揃える開繊合糸法、流体交絡(インターレース)法が挙げられる。強化繊維の損傷が抑制でき、開繊性に優れ、均一に混合可能な流体交絡法が好ましく使用される。流体交絡法としては、例えば、特許文献1に記載されている方法が好ましく使用される。原料となる強化繊維の太さ、本数を適宜調整し、あわせて製造条件も調整すればよい。
上記のように含浸性を高めるために熱可塑性繊維に低粘度及び/又は低融点の繊維を用いることは好ましく、長期特性とのバランスを取るためには高粘度及び/又は高融点の熱可塑性繊維と併用することは好ましい。低粘度及び/又は低融点の熱可塑性繊維が強化繊維の周辺に配置された方が含浸性を高める効果が高いため、併用を行う場合には、複数本の熱可塑性繊維を使用し、混繊を行う際に低粘度及び/又は低融点の熱可塑性繊維を強化繊維側に引き揃え、混繊を行う方法があげられる。
<布帛等の中間材料>
本発明の複合糸を用いて成形体を製造する方法は特に限定されないが、目的とする成形体の形状に合わせて中間材料を作製し、この中間材料を用いて目的とする成形体を製造することが好ましい。
中間材料は特に限定されないが、複合糸を特定の方向に引き揃えた一方向強化材、複合糸を用いた布帛、例えば織物や編物、レース、フェルト、不織布、フィルムや板状体等が挙げられる。
中間材料としては、成形体を製造する際の、金型内での形状追従性の観点から、柔軟性のある一方向強化材、織物、編物、レース、フェルト、不織布が好ましく、強化繊維の屈曲が少なく強度が出やすいことから、一方向強化材、織物形状がより好ましく、形態安定性の観点から織物形状がさらに好ましい。
織物の織り方は特に限定されず、平織、綾織、朱子織、綟り織、紗等が挙げられる。
本発明の成形体の強度の観点から、強化繊維のクリンプ率が低くなる綾織がより好ましい。
これらの中間材料を得る方法は特に限定されず、用途、目的に応じて選定することができる。
例えば、織物は、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機等の製織機を用い、少なくとも一部に複合糸を含んでいればよい。例えば、複合糸を含む繊維を配列させた経糸に、緯糸を打ち込むことによって得る方法が好ましい方法として挙げられる。中でも強化繊維の損傷を抑え、安定的に織物を得るという観点からレピア織機が好ましい。織物のテンションを安定化させ、均一な品質の織物が得られやすいことから、織機の幅は60cm以上であることが好ましく、80cm以上であることがより好ましく、100cm以上であることが更に好ましい。幅が一定以上の大きさであれば品質は安定するが、使用する糸に合わせて使いやすい幅に設定することが好ましい。強化繊維にガラス繊維や炭素繊維を用いた場合には、幅6m以下であることが好ましく、5m以下であることがより好ましく、4m以下であることが更に好ましく、3m以下であることが最も好ましい。
編物は、丸編み機、横編み機、トリコット編み機、ラッシェル編み機等の編み機を用い、少なくとも一部に複合糸を含む繊維を編成することによって得られる。
不織布は、少なくとも一部に複合糸を含む繊維をウェブと呼ばれるシート状の繊維集合体とした後、ニードルパンチ機、ステッチボンド機、柱状流機等の物理作用やエンボスロール等による熱作用や接着剤によって繊維同士を結合させることによって得られる。
その他の中間材料の形態等については、適宜特開2015−101794号公報に記載の方法を用いることができる。
<成形体、及びその製造方法>
本発明の成形体は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む成形体であって、成形体に上記の強化繊維が実質的に連続した状態で含まれ、強化繊維が撚りを有する成形体である。成形体における撚りやその回数は、例えば、成形体の熱可塑性樹脂を熱、及び/又は溶媒等で除去して光学的に解析する他、X線CT等の非破壊解析手法によって求めることができる。
なお、成形体の製造方法は、以下に限定されるものではなく、種々の方法を適用することができる。
例えば、成形体を構成する基材、好ましくは織物形状の基材を、所望の成形体に合わせて裁断し、目的とする製品の厚みを考慮して必要枚数積層させ、金型形状にあわせてセットする。この時、上述の中間材料を用いることにより、一般的な強化繊維に樹脂が含浸された従来の複合板に比して、金型に対して自由度を高くすることができ、成形体において高低差がある場合でも、形状自由度を高く成形することができる。
基材の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等があげられる。断面形状にすぐれ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調整できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
基材を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、成形体を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ賦型する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一旦型締めをし、圧縮成形した後に一旦金型の型締め圧力を解除してもよい。
成形体の製造工程においては、金型内に中間材料をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、熱可塑性樹脂と、所定の熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド成形体を製造してもよい。
所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、両熱可塑性樹脂間の界面強度に大きく影響する。また、所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、中間材料を金型内にセットして金型を閉じた後に金型温度が熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移温度以上に昇温してから、30秒以内が好ましい。
所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、成形体を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上であることが好ましい。より好ましくは、成形体を構成する熱可塑性樹脂の融点+10℃以上又はガラス転移温度+10℃以上であり、さらに好ましくは、融点+20℃以上又はガラス転移温度+20℃以上、さらにより好ましくは融点+30℃以上又はガラス転移温度+30℃以上である。
ハイブリッド成形体において、成形体を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成された熱可塑性樹脂組成物の接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出する熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
(射出成形用の樹脂)
ハイブリッド成形体を製造するために用いる射出成形用の熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば特に限定されない。
熱可塑性樹脂組成物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の一種又は二種以上を混合した樹脂組成物が挙げられる。
また、これらの熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。
各種充填材としては、強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合には、本発明の複合糸が具備する強化繊維と同様に集束剤を用いてもよい。
集束剤は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、前述の強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いる熱可塑性樹脂組成物は、成形体部分と射出成形した熱可塑性樹脂組成物部分との界面強度の観点から、成形体を構成する熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、成形体を構成する熱可塑性樹脂にポリアミド66繊維を用いた場合には、射出成形用の熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
<成形品の用途>
本発明の成形体は、航空機、車、建設材料等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル、)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア等の部品として好適に使用することができる。
以下に本発明の具体的な実施例及び比較例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔一方向成形体の引張試験方法〕
長さ30cm、幅10cmの金枠を準備した。長さ方向に一方向に揃えて、ハンドにより2cm幅で巻き付けた。巻回数は、複合糸の質量と密度から厚み1mmとなるように計算する。長さ25cm、幅6cm、厚み3cmの上型と下型の組み合わせから構成される金型で、上型は凸型、下型は凹型であり、凸凹部分は幅2cm、クリアランス0.5mmになったものを用意し、用意した糸を金枠に巻きつけたままの状態で、巻きつけた糸が金型の凸凹部分にはまるようにセットする。金型には穴をあけておき、熱電対を挿入することで内部の温度をモニタリングできる。
300℃に設定したプレス成形機に金型をセットし、3MPaで加圧する。金型の温度を観察し、融点に達した時点から7分間プレスを行った後、金型を取り出し、冷却プレスを行った。
成形品のバリ取りを行った後、インストロン万能試験機にて、JIS K7054に準拠して引張強度を測定した。なお、必要に応じてつかみ部分にやすりを設置し、滑りを防止した。
〔織物の引張試験方法〕
インストロン万能試験機にて、長さ70mm、幅10mm、肉厚3mmの短冊状の試験片を、長手方向に30mmの間隔でチャッキングし、速度5mm/min、23℃50%RH環境下で引張強度を測定した。
〔ポリアミド繊維〕
商品名:レオナ(登録商標)470/144BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数144本を使用した。
〔ガラス繊維〕
下記集束剤をエマルジョンとして1.0質量%付着させた、Eガラス(無アルカリガラス)を使用した。巻き取り形態は、実施例で使用している撚りの入ったものはヤーンであり、比較例の無撚りのものはケーキを使用した。ヤーンの撚りの回数については表1に示した。
(集束剤aの組成(固形分換算)):
・シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%〔商品名:KBE−903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ワックス0.1質量%〔商品名:カルナウバワックス((株)加藤洋行製)〕
・結束剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体塩5質量%〔商品名:アクアリックTL(日本触媒(株)製)〕
〔炭素繊維〕
フォルモサ社製のTAIRYFIL、TC−35、12kを使用した。集束剤は熱可塑性樹脂用に調整したものである。ヤーン形態に巻き返して使用した。巻き返し工程にて所定回数の撚りがかかっている。
〔織物の製造方法〕
レピア織機を用い、複合糸を経糸、緯糸として用いて綾織に製織を行った。目付470g/m2になるように織密度を調整した。
〔織物の成形方法〕
(織物の圧縮成形工程)
成形機は、最大型締め力300トンの東芝機械製(S100V−8A)を使用した。
箱型の成形体(縦200mm、横200mm、高さ120mm、肉厚3mm)を得るための金型を準備した。金型の四隅には織物を固定するためのピンを設置した。
織物を所定枚数重ねて、熱刃式裁断機によって金型に合わせた形状に裁断した。この際、熱によって切断部が溶着され、一体形状となる。
予め300℃に加熱した金型を開き、織物を金型の所定の位置にセットしてピンで固定した。次いで型締め力240MPaで型締めし、圧縮成形を行った。
金型を開放し、成形体を取り出した。
〔成形体の未含浸率の測定〕
一方向成形品をエポキシ樹脂にて包埋し、強化繊維が破損しないように強化繊維の繊維軸に対して垂直にカットし、研磨を行う。光学顕微鏡にて、反射モードで、強化繊維が観察できる程度の倍率で断面の写真を撮影する。視野全体に強化繊維が存在する大きさに画像を切り出し、画像全体のエリアに対する、黒く見える空隙部分のエリアの比率を算出した。観察は50視野以上行い、平均値を算出し未含浸率とした。未含浸率が低いほど、引張強度の他、長期特性やその他の物性を向上させ、成形品の外観もよい。
(実施例1)
表1に示したガラス繊維1束、ポリアミド繊維1束を合糸・引き揃えた後、流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸を得た。
・ヒートセット:引き揃える直前に、加熱部1m、240℃のヒーターにより、ポリアミド繊維のヒートセットを行った。
・ポリアミド繊維はヒートセットにより縮むため、オーバーフィード量を調整した。
・強化繊維は伸縮率が小さく糸揺れが起こりやすいため、糸揺れを低減させるように糸道を調整した。
・流体交絡ノズル:京セラ KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧:2kg/cm2
・加工速度:100m/分
・室内の雰囲気は25℃、湿度50%に調整した
・巻き取り部分は乾燥空気を流して、ポリアミドが吸湿するのを防止した。
(実施例2)
20mm二軸押し出し機(L/D=33)、テンター、巻き取り機を備えたAIKI社製コーティング機を使用した。ガラス繊維の繰り出しは、ヤーンのロールを固定してそのまま繰り出した。ガラス繊維の繰り出しから、ダイ、冷却、巻き取りまで、ガラス繊維が直線になるように配置し、ダイの直前、冷却水に触れた直後、冷却器を出た直後、巻き取り機の直前に糸のガイドを設置した。押し出し機はガラス繊維に対して90度の角度に設置した。冷却はウォーターバスを用い、冷却後、空気により水分を吹き飛ばした。ガラス繊維の速度は200m/分とし、巻き取り機によってコントロールした。押し出しは280〜295℃で行った。ダイの内部で溶融したポリアミド樹脂(商品名:レオナ(登録商標)1402S(旭化成ケミカルズ株式会社製))と、ガラス繊維が微加圧の状態で接触するように、樹脂の導入部分よりもガラス繊維との接触部分が小さくなるように絞りを入れたダイを使用し、押し出し機の押出速度を微調整して、複合糸を製造した。
(実施例3)
炭素繊維1束、ポリアミド繊維18束をそれぞれ静電気力で開繊した後、合糸・引き揃えその後、再度静電気力によって開繊を施す開繊合糸法で混繊した(流体交絡は施さない)。
(比較例1)
撚りのないケーキ形態のガラス繊維を使用する以外は実施例1と同様にして複合糸を得た。
(比較例2)
ポリアミド繊維に(株)石川製作所製IVF338を用いて、下記条件でヒートセット及び仮撚加工を施した。
仮撚数 1050回/m
ヒーター温度 240℃
糸速度 30m/min
撚りのないケーキ形態のガラス繊維とポリアミド繊維を合糸・引き揃えた後、流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸を得た。
・流体交絡ノズル 京セラ(株)製KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧 2kg/cm
・加工速度 30m/min
尚、本比較例2のみ成形の加熱温度は280℃とした。
(比較例3)
比較例1の複合糸に50回/mの撚り加工を行った。ポリアミド繊維と一緒に撚りをかけており、ガラス繊維は大きくうねっているだけで撚りはかかっていないが、成形体中のうねりを撚りに見立て、撚り指数を計算したものを表1に示す。
(比較例4)
巻き返し工程を行わず撚りのない炭素繊維1本と、ポリアミド繊維1本とを、実施例3と同様に混繊した。その後、複合糸に50回/mの撚り加工を行った。ポリアミド繊維と一緒に撚りをかけており、ガラス繊維は大きくうねっているだけで撚りはかかっていないが、成形体中のうねりを撚りに見立て、撚り指数を計算したものを表1に示す。強化繊維の比率が極度に高いため、含浸性も低く、表面状態も悪い成形体となった。未含浸率は高すぎたため、数値化は困難であった。
(比較例5)
撚りのないケーキ形態のガラス繊維34本を引き揃えたものと、ポリアミド繊維1本とを、実施例1と同様に混繊した。その後、複合糸に50回/mの撚り加工を行った。ポリアミド繊維と一緒に撚りをかけており、ガラス繊維は大きくうねっているだけで撚りはかかっていないが、成形体中のうねりを撚りに見立て、撚り指数を計算したものを表1に示す。強化繊維の比率が極度に高いため、含浸性も低く、表面状態も悪い成形体となった。未含浸率は高すぎたため、数値化は困難であった。
表1に示すように、本発明の複合糸を用いた実施例1〜3は引張強度や長期特性等の力学特性が高く、含浸性がよいため外観のよい成形体が得られた。一方、ガラス繊維に撚りを有していない比較例1、2では力学特性が低下した。このことから、強化繊維に撚りを有することが重要であることがわかる。また、比較例3〜5は製造した複合糸に撚り加工を行った場合であるが、この場合にも力学特性は低かった。このことから、撚りを有する強化繊維を用いることが力学特性向上の観点から重要であることがわかる。
本発明の複合糸及び布帛は、力学特性の高い成形体の中間材、中間材料として産業上の利用可能性を有する。また、本発明の成形品は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、また、繊維強化熱可塑性複合材料と熱可塑性樹脂組成物との複合成形体として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 撚りを有する強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合糸。
  2. 前記強化繊維と前記熱可塑性樹脂の繊維とが混繊された請求項1記載の複合糸。
  3. ヤーン形態の強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを流体交絡法で混繊する複合糸の製造方法。
  4. 請求項1または2記載の複合糸から構成される布帛。
  5. 前記布帛が経糸と緯糸とから構成される織物である請求項4記載の布帛。
  6. 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む成形体であって、該成形体に前記強化繊維が連続した状態で含まれ、該強化繊維が撚りを有する成形体。
  7. 請求項4または5記載の布帛をプレス成形する工程を含む成形体の製造方法。
JP2016075674A 2016-04-05 2016-04-05 複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法 Pending JP2017186696A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016075674A JP2017186696A (ja) 2016-04-05 2016-04-05 複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016075674A JP2017186696A (ja) 2016-04-05 2016-04-05 複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017186696A true JP2017186696A (ja) 2017-10-12

Family

ID=60044689

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016075674A Pending JP2017186696A (ja) 2016-04-05 2016-04-05 複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017186696A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019130691A (ja) * 2018-01-29 2019-08-08 旭化成株式会社 中空成形体及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019130691A (ja) * 2018-01-29 2019-08-08 旭化成株式会社 中空成形体及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2017186723A (ja) 複合糸及び布帛並びにそれらの製造方法
JP7054750B2 (ja) 連続繊維強化樹脂成形体、及びその製造方法
WO2019172208A1 (ja) 熱可塑性樹脂コーティング強化繊維複合糸、該複合糸の製造方法、連続繊維強化樹脂成形体、複合材料成形体の製造方法
JP6734643B2 (ja) 複合糸、織物、及び連続強化繊維樹脂成形体
JP7286264B2 (ja) 布及びその製造方法並びに連続繊維強化樹脂複合材料
JP7017917B2 (ja) 射出インサート成形方法
JP7293015B2 (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2017186696A (ja) 複合糸、布帛及び成形体並びに複合糸及び成形体の製造方法
JP6991766B2 (ja) 連続繊維不織布、複合材用強化繊維基材およびそれらの成形体ならびに製造方法
JP2020019897A (ja) 連続繊維強化樹脂成形体の製造方法、製造装置、及び中間基材
JP7370200B2 (ja) 繊維強化樹脂複合体及び繊維強化樹脂複合体の製造方法
JP2019104137A (ja) 射出成形品
JP7253112B2 (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法、並びに連続繊維強化樹脂成形体
JP7335144B2 (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2018145238A (ja) 中間基材、及び、繊維強化複合材料成形体、並びにその製造方法
JP2022091563A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2022121230A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
WO2022102676A1 (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2021187880A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2022167223A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2022158298A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2023095279A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
JP2022076861A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法
DE102017205615A1 (de) Verbundgarn, Textil und Verfahren zur Herstellung desselben
JP2023079109A (ja) 連続繊維強化樹脂複合材料、その成形体及びその成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200115

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200708