JP2020019897A - 連続繊維強化樹脂成形体の製造方法、製造装置、及び中間基材 - Google Patents

連続繊維強化樹脂成形体の製造方法、製造装置、及び中間基材 Download PDF

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悠介 荒谷
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Abstract

【課題】製造時にバリが少なく、連続強化繊維と熱可塑性樹脂との間の極界面における接着力、親和性が高く、該極界面に存在する空隙が少なく、十分な強度を発現することができる連続繊維強化樹脂成形体の製造方法の提供。【解決手段】連続強化繊維に、溶融熱可塑性樹脂を含浸させて連続繊維強化樹脂成形体を製造する方法であって、主含浸期における該溶融熱可塑性樹脂の流動指数を15以下にすることを特徴とする連続繊維強化樹脂成形体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂成形体の製造方法、製造装置、及びその中間基材に関する。より詳しくは、本発明は、バリが少なく、連続強化繊維と合成樹脂との間の極界面における接着力、親和性が高く、該極界面に存在する空隙が少なく、十分な強度を発現することができる連続繊維強化樹脂成形体の製法、製造装置、中間基材に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に強度の観点から強化繊維が連続繊維である連続繊維強化樹脂成形体が望まれている。この連続繊維強化樹脂成形体としては、強化繊維に添加する収束剤を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献1参照)、融点と結晶化温度の差を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献2参照)、樹脂材料に有機塩を加えているもの(例えば、以下の特許文献3参照)、成形前駆体の布帛を熱可塑性の樹脂で積層しているもの(例えば、以下の特許文献4参照)が提案されている。
特開2003−238213号公報 特許第5987335号公報 特開2017−222859号公報 特開2009−19202号公報
しかしながら、本願発明者らが鋭意検討した結果、従来技術の連続繊維強化樹脂成形体の製造方法では、樹脂の流動に伴いバリが大量に発生するため材料の無駄が生じるだけでなく、バリをとるための工程が必要であることが判明した。また、いずれも連続強化繊維、例えば、ガラス繊維とマトリックス樹脂の間の界面の接着力、親和性が低いため、繊維と樹脂の極界面の領域に空隙が多く、十分な強度が発現せず、高い強度が要求される箇所への利用に応えられる性能を備えていないことも判明した。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、製造時にバリが少なく、連続強化繊維と合成樹脂との間の極界面における接着力、親和性が高く、該極界面に存在する空隙が少なく、十分な強度を発現することができる連続繊維強化樹脂成形体の製法を提供することである。
本願発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、連続強化繊維成形体の製造工程においては、熱可塑性樹脂が溶融し連続強化繊維の間を埋める樹脂流動期、溶融した熱可塑性樹脂が連続強化繊維束の内部に含浸していく含浸期、外形を決定する形状決定期が存在し、かかる含浸期における溶融熱可塑性樹脂の流動を抑制することで、バリが出にくくかつ、連続強化繊維と樹脂との良好な界面を形成できることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]連続強化繊維に、溶融熱可塑性樹脂を含浸させて連続繊維強化樹脂成形体を製造する方法であって、主含浸期における該溶融熱可塑性樹脂の流動指数を15以下にすることを特徴とする連続繊維強化樹脂成形体の製造方法。
[2]前記主含浸期に又はその前に、温度及び/又は圧力を変化させる、前記[1]に記載の方法。
[3]前記溶融熱可塑性樹脂の流動を抑制する機構を備えた装置を用い、連続的又は断続的に、加熱、冷却を行う、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記溶融熱可塑性樹脂の流動を抑制する機構がインロー型である、前記[3]に記載の方法。
[5]前記加熱、及び冷却を型内で行う、前記[3]又は[4]に記載の方法。
[6]前記連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂を充填した型を、加熱機構を備えた圧縮工程にかけた後、冷却機構を備えた圧縮工程にかける、前記[3]又は[4]に記載の方法。
[7]型内で加熱を行った後、型から取り出して冷却を行う、前記[3]又は[4]に記載の方法。
[8]冷却時に圧縮を行う、前記[7]に記載の方法。
[9]ベルトを備えた装置を用いる、前記[3]に記載の方法。
[10]ベルトの進行方向と平行な樹脂流出防止用のガイドを備えたダブルベルトプレス装置。
[11]互に融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂と連続強化繊維から構成され、融点の最も低い熱可塑性樹脂が該連続強化繊維の近傍に配置されていることを特徴とする連続繊維強化樹脂成形体用の中間基材。
[12]互に融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂により連続強化繊維を被覆した構造を有し、かつ、該連続強化繊維の近傍では、融点の最も低い熱可塑性樹脂の割合が高い複合糸によって構成される、前記[11]に記載の中間基材。
本発明に係る連続繊維強化樹脂成形体の製造方法はバリが少なく、また、本製造方法により得られた連続繊維強化樹脂成形体は連続強化繊維と熱可塑性樹脂との間の極界面における接着力、親和性が高く、該極界面に存在する空隙が少なく、十分な強度を発現することができる。
連続強化繊維の長さ方向に直交する断面における連続強化繊維1本と合成樹脂との間の極界面において、連続強化繊維の周縁部から、連続強化繊維1本の半径の10分の1離れた周縁外側領域(極界面領域)内に存在する「空隙」、「空隙率」を説明するための図面に代わる写真である。 連続繊維強化樹脂成形体の合成樹脂「含浸率」を説明するための図面に代わる写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[連続繊維強化樹脂成形体の製造方法]
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体の製造方法は、連続強化繊維に、溶融熱可塑性樹脂を含浸させて連続繊維強化樹脂成形体を製造する方法であって、主含浸期における該溶融熱可塑性樹脂の流動指数を15以下にすることを特徴とする。
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体の製造方法では、主含浸期における樹脂流動指数を15以下であり、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、最も好ましくは4以下である。
本明細書中、用語「主含浸期」とは、未含浸率が10%から1%以下まで低下していく時期をいう。また、本明細書中、未含浸率が10%超の時期を、「樹脂流動期」、含浸率1%未満の時期を、「形状決定期」とする。
未含浸率は、プロセス中に急冷などの方法により含浸、樹脂流動を終了させ、断面観察を行うことによって求められる。時間を複数変えて未含浸率をプロットすることにより樹脂流動期、主含浸期、形状決定期を決定することができる。少なくとも未含浸率15〜20%、1%以下の領域で1点ずつ以上、10〜15%、5〜10%、1〜5%の間で各2点ずつ以上の測定が必要であり、各条件においては実験数を10以上とする。樹脂流動期においては溶融した樹脂が強化繊維の糸束の間を樹脂が埋めていく領域であり樹脂の移動が生じるが、樹脂が逃げられる空間が存在するためバリは出にくいし、樹脂と強化繊維表面との接触は少ないため界面形成には影響しない。主含浸期においては糸束の内部に樹脂が浸透していくが、この時には糸束の周囲には空隙はないため樹脂流動が起こるとバリの発生につながるし、強化繊維の移動が起こり繊維乱れによる物性低下、強化繊維表面と樹脂との密な界面形成の形成が困難となる。また、形状決定期においては意図的な操作を行わない限り、樹脂流動は起こりにくいため意図しないバリは防げ、物性に対する影響もほとんどない。
本明細書中、用語「樹脂流動指数」とは、成形体の表面において樹脂が移動する量(移動量)を、成形体の厚みによって除したものである。尚、樹脂移動量とは、金型の外まで流れ出てしまう量であり、移動量とは金型内での移動である。
主含浸期における樹脂流出量の割合は、界面形成を良好にして強度を高める観点から、8%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.3%以下であることが最も好ましい。樹脂流出量の割合とは、流出した樹脂量を仕込みの樹脂量で除した値の百分率である。
主含浸期における樹脂流動指数、樹脂流出量、樹脂流出量の割合を低減する方法としては、例えば、金型を使う場合インロー型や抜き勾配を小さくする、冷却機構のついたスペーサーやプレス方向に伸縮可能なスペーサーを入れるなど樹脂の流出を抑制する機構(溶融熱可塑性樹脂の流動を抑制する機構)を設ける、主含浸期における金型内の体積と圧力を熱膨張も含めて考慮して調整する、金型内部にプレス圧とは違う方向から空気や射出樹脂などをつかって圧力をかけて流動をコントロールする、金型の昇温プロフィールを均一にして樹脂流動の偏りを低減する、立壁等の流動しやすい構造部分は流動しやすい方向の粘度を低減する等の方法が挙げられる。また、ベルトプレスを使用する場合にはベルト方向に垂直な方向への樹脂流動を抑制するためにベルトの進行方向と平行な樹脂流出防止用のガイドを設けること、ベルト方向でのバックフローを抑制するためにクリアランスと温度条件の調整を行うことやベルト進行方向に垂直な樹脂流出防止用のガイドを組み込むこと、下(上)ベルトに任意の間隔で凹部の成形用の穴をあけておき、上(下)ベルトに凸部を設けることで流動を抑制する、連続強化繊維と熱可塑性樹脂を金型に入れてベルトプレス装置で成形する等の方法が挙げられる。金型、ベルトプレスに共通して、成形前の材料を複数層構造にしておくことは有効である。強化繊維近傍の樹脂よりも軟化点の高い樹脂層を外側に設け、内側の樹脂の軟化点以上かつ外側の樹脂の軟化点以下の温度で保持すると、強化繊維近傍の樹脂は含浸するが、マクロな樹脂流動は抑制することができる。その後、外側の樹脂の軟化点以上の温度に昇温して形状を決定させる際には樹脂移動は起きにくく、短時間で終わらせることができる。また、引き抜き成形においては壁との抵抗によるバックフローを抑制するためにフィルム等で包み込んで引き抜きを行う等も有効である。この際使用するフィルムは、成形温度において溶融せず、樹脂との接着性の低いものであることが好ましい。
本実施形態の他の形態は、ベルトの進行方向と平行な樹脂流出防止用のガイドを備えたダブルベルトプレス装置であることができる。
主含浸期における樹脂流動をコントロールするためには、主含浸期の前、又は主含浸期の間に、温度、及び/又は、圧力条件を変化させることが有効である。温度を調整することによって樹脂粘度を変化することができるため、樹脂の流動しやすい方向の粘度を低下させることによって樹脂の流動を抑制することができる。金型やベルトではなく実際に樹脂にかかっている圧力に応じて高圧側から低圧側へ樹脂が流れる傾向があるため、樹脂の流動の方向に応じて圧力をコントロールするのは有効な方法である。例えば、インロー金型を用いる場合、樹脂が溶融する前は低圧とし、樹脂流動期には圧力を上げ、主含浸期には熱膨張を加味して圧力とクリアランスを微調整することが好ましい。ベルト式の成形では、樹脂が溶融する前は素早く熱を与えて溶融させるために高温に設定することが好ましいが、溶融後のベルト温度設定は低温として粘度を低下させておき、徐々に昇温することで進行方向と反対向きのバックフローを抑制しやすくなる。また、クリアランスは熱膨張と含浸を加味して設定することが好ましい。主含浸期には圧力をかけるほど含浸しやすくなるが樹脂流動しやすくなってしまうため、圧力がかかる部分の前後は低温にして樹脂を流動しにくくすると樹脂流動を抑制できる傾向にある。また、横方向への樹脂流出を抑制するために端部付近の温度を下げておくことは好ましい。引き抜き成形においては、繊維の引き抜き成形に対して反対方向のバックフローが起こりやすいため、材料加熱後の入口側に粘度が高くなる部分を設けることが好ましく、特に樹脂の流動温度付近の温度の樹脂だまりを設けることは好ましい。
形状決定期以降については圧力変動の樹脂流出への影響は小さいが、繊維乱れが起こる可能性があるため大きく変動させないことが好ましい。
形状決定期の後は樹脂の流動がなくなる硬化温度以下まで冷却することが好ましい。そりなどを抑制し形状精度を高めるためには、圧力をかけた状態で冷却を行うことが好ましい。金型を用いて加熱、溶融、含浸を行った場合は、そのまま型内で冷却を行うことが特に好ましい。ベルトプレスの場合についても、ベルトによって圧力をかけながら冷却を行うことが好ましい。引き抜き成形を行う場合、型の中に冷却ゾーンを設けることが好ましい。
生産性を高める観点から、連続繊維強化樹脂成形体の製造プロセスは、連続的、又は、断続的であることが好ましい。金型を用いる場合、同一の金型の内部で加熱、冷却を行う方法と、異なる金型で加熱、冷却を行う方法がある。同一の金型で加熱、冷却を行う場合、一つの金型を用いて、基材投入、加熱、冷却を繰り返してもよいが、複数の金型を用いると生産性が高まるため好ましい。この際、熱容量、質量の小さな金型を用い、金型ごと加熱ゾーンと冷却ゾーンを連続的に通過させることは好ましい。異なる金型を用いる場合、基材を第一の金型中で樹脂の軟化点以上に加熱した後、搬送を行い第二の冷却の金型にて冷却する。金型間の移動に時間がかかると形状精度がでにくいためなるべく素早く行うことが好ましい。冷却時には圧力をかけることで、形状精度を更に高めることができる。連続的な生産装置としてダブルベルトプレス機が知られており、好ましく使用することができる。この際、ベルト進行方向に対して横方向への樹脂を流出するためのベルトの進行方向と平行な樹脂流出防止用のガイドを備えた装置、更にはベルト進行方向への樹脂流動を抑制するためにベルト進行方向に垂直な樹脂流出防止用のガイドを組み込んだ装置を用いることが樹脂流動を抑制する観点から好ましい。
連続繊維強化樹脂成形体する前に、連続繊維強化樹脂成形体を構成する基材を、所望の成形体に合わせて裁断し、目的とする製品の厚みを考慮して必要枚数積層させて使用することは好ましい。基材の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等が挙げられる。断面形状にすぐれ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調製できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
連続繊維強化樹脂成形体を製造する際の圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために圧縮後に圧力を解除してもよい。圧縮成形の時間は、強度発現の観点からは、使用される熱可塑性樹脂が熱劣化しない範囲で長いほうが好ましいが、生産性の観点からは、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内が適している。
連続繊維強化樹脂成形体の製造工程において金型を用いる際には、金型内に基材をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、熱可塑性樹脂と、所定の熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド成形体を製造してもよい。
[連続繊維強化樹脂成形体]
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体は、少なくとも連続した強化繊維と樹脂から構成される。連続繊維強化樹脂成形体はそのもの自体を製品として使用することもできるし、再加熱することによって最終製品を形成するための中間材量としても用いることができる。そのもの自体を製品として使用する場合は用途に合わせた任意の形状とすることができる。中間材量として用いる場合は最終製品の形態に類似の形状でもよいが、加熱処理など後加工に必要な処理をするのに使いやすい形状であることが好ましく、均一に加熱可能な板状であることがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体は、略丸断面の連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる連続繊維強化樹脂成形体であって、該連続強化繊維の長さ方向に直交する断面における該連続強化繊維1本と該熱可塑性樹脂との間の極界面において、該連続強化繊維の周縁部から、該連続強化繊維1本の半径の10分の1離れた周縁外側領域内の空隙率が10%以下であるところの連続強化繊維の本数が、連続強化繊維の総数の10%以上であることが好ましい。
すなわち、図1に示すように、本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体は、略丸断面の連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる連続繊維強化樹脂成形体であり、該連続強化繊維の長さ方向に直交する断面における該連続強化繊維1本と該熱可塑性樹脂との間の極界面に観察される、該連続強化繊維の周縁部から、半径方向に、該連続強化繊維1本の半径rの10分の1(すなわち、r/10)離れた周縁外側領域内の空隙率が10%以下であるところの連続強化繊維が存在し、その本数は、連続強化繊維の総数の10%以上である。尚、連続強化繊維の断面は略丸断面であることが好ましいが、図1に示すように楕円形状であってもよい。その場合、「半径」とは、繊維断面の中心からの周縁部に向かう最短距離とする。
「連続強化繊維の長さ方向に直交する断面における該連続強化繊維1本と該熱可塑性樹脂との間の極界面に観察される、該連続強化繊維の周縁部から、該連続強化繊維1本の半径の10分の1離れた周縁外側領域」における空隙率は、例えば、バンドソー等により1cm角に切削した連続繊維強化樹脂成形体の連続強化繊維の長さ方向に直交する断面を、研磨面に125g/cmの力がかかるように、研磨台を100rpmで回転させて、耐水ペーパー番手#220で10分間、耐水ペーパー番手#1200で10分間耐水ペーパー番手#2000で5分間、炭化ケイ素フィルム粒度9μmで10分間、アルミナフィルム粒度5μmで10分間、アルミナフィルム粒度3μmで5分間、アルミナフィルム粒度1μmで5分間、バフ研磨紙発泡ポリウレタンを用いた粒度0.1μmのコロイダルシリカ(バイカロックス0.1CR)で5分間の順番で、各研磨で約7mL/minで水を加えながら研磨し、研磨したサンプルを、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ImageJ等のソフトにより画像解析することで、下記式:
空隙率(%)=(連続強化繊維の周縁部から該連続強化繊維の半径の10分の1離れた周縁外側領域内の空隙の面積)/(連続強化繊維の周縁部から該連続強化繊維の半径の10分の1離れた周縁外側領域の面積)×100
により求めることができる。
まず、任意の略丸断面の連続強化繊維1本の連続強化繊維の周縁部から、半径の10分の1の距離、該該連続強化繊維の周縁部から離れた周縁外側領域(単に、「連続強化繊維の直径の10分の1の領域」、「極界面領域」ともいう。)における空隙率を求め、これを任意の100本について観察する。本実施形態の成形体においては、成形体の剛性や強度を高めるという観点から、連続強化繊維の直径の10分の1の領域の空隙率が10%以下であるものが、20本の内2本以上、すなわち、10%以上であり、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、さらにより好ましくは70%以上、最も好ましくは90%以上である。
また、本実施形態の成形体においては、成形体の剛性や強度を高めるという観点から、連続強化繊維の直径の10分の1の領域の空隙率は5%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
連続強化繊維の直径の10分の1の領域の空隙率が10%以下であるものが、20本の内10%以上とするためには、例えば、連続強化繊維がガラス繊維の場合、ガラス繊維の製造において塗布されるサイジング剤(集束剤)束剤と合成樹脂との間の相性が良いものを選択し、インロー型等成形中に型内を密閉できる成形方法を選択することにより、樹脂の漏れ出しを防ぎ、連続繊維強化樹脂成形体のガラス繊維の占有体積(Vf、体積含有率ともいう)の成形前後の変化を小さくし、集束剤に適した温度条件で成形することが好ましい。
連続強化繊維と熱可塑性樹脂との体積比率は、Vfが高い程、成形体の強度は高くなるため、本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体は、連続繊維強化樹脂成形体中の連続強化繊維の体積含有率Vfが50%以上のものが好ましく、55%以上のものがより好ましく、58%以上のものが更に好ましく、60%以上のものがより更に好ましく、65%以上であるものが最も好ましい。従来技術の繊維強化樹脂成形体では、Vfを高くしても、前記した空隙率が高く、成形品の引張応力(引張強度)や曲げ弾性率(曲げ剛性)を高くすることができなかったが、本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体では、空隙率を少なくすることにより、Vf50%以上で、連続繊維強化樹脂複合体中の合成樹脂含浸率99%以上、引張応力525Mpa以上、曲げ弾性率27Gpa以上、Vf65%以上で合成樹脂含浸率99%以上、引張応力600MPa以上、曲げ弾性率35GPa以上を同時に達成している。
連続強化繊維がガラス繊維である場合には、連続繊維強化樹脂成形体の引張応力は480MPa以上が好ましく、525MPa以上がより好ましく、600MPa以上が更に好ましく、620MPa以上が最も好ましい。また連続繊維強化樹脂成形体の曲げ弾性率は22GPa以上が好ましく、27GPa以上がより好ましく、30GPa以上が更に好ましく、35GPa以上が最も好ましい。この時、引張応力と曲げ弾性率は、連続繊維強化樹脂成形体に含まれる連続強化繊維が実質的に二方向に配向している場合の値であり、連続強化繊維に平行な二方向について試験した値の平均値である。三方向材の場合には、2/3倍の応力又は剛性であることが好ましく、n方向材の場合は2/n倍の応力又は剛性であることが好ましい。
[連続繊維強化樹脂成形体の形態]
連続繊維強化樹脂成形体の形態は、特に制限されず、以下の種々の形態が挙げられる。例えば、強化繊維の織物や編み物、組紐、パイプ状のものと樹脂を複合化した形態や、一方向に引き揃えた強化繊維と樹脂を複合化した形態、強化繊維と樹脂からなる糸を一方向に引き揃えて成形した形態、強化繊維と樹脂からなる糸を織物や編み物、組紐、パイプ状にして成形した形態が挙げられる。
[連続繊維強化樹脂成形基材]
連続繊維強化樹脂成形体の成形前の中間材料の形態としては、連続強化繊維と樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を樹脂で被覆したコーティング糸、連続強化繊維を樹脂のフィルムや不織布等で挟んだ積層体、連続強化繊維に樹脂パウダーを付着させたもの、連続強化繊維の束を芯材としてその周囲を樹脂繊維で組紐としたもの等が挙げられる。取り扱い性と形状自由度に優れるという観点から、連続強化繊維と樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を樹脂で被覆したコーティング糸が好ましい。
本実施形態の他の形態は、互に融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂と連続強化繊維から構成され、融点の最も低い熱可塑性樹脂が該連続強化繊維の近傍に配置されていることを特徴とする連続繊維強化樹脂成形体用の中間基材、好ましくは、互に融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂により連続強化繊維を被覆した構造を有し、かつ、該連続強化繊維の近傍では、融点の最も低い熱可塑性樹脂の割合が高い複合糸によって構成される、前記中間基材であることができる。
複数の樹脂を使用し層構造とし、強化繊維近傍の樹脂よりも軟化点の高い樹脂層を外側に設け、内側の樹脂の軟化点以上かつ外側の樹脂の軟化点以下の温度で保持することで樹脂流動なく含浸させるプロセスに使用する場合、閉じた構造を作れるという観点から積層構造体、又はコーティング糸が好ましい。積層構造体の場合、軟化点の低い樹脂と連続強化繊維との積層体を軟化点の高い樹脂フィルムによって覆い端部を溶接することで、軟化点の低い樹脂は外部に流出することができなくなる。コーティング糸の場合、内側に軟化点の低い樹脂を存在させ、外側に均一に軟化点の高い樹脂をコーティングすることで、軟化点の低い樹脂は軟化点の高い樹脂の外側に移動することはできず、また、強化繊維束の存在により繊維方向への移動もしにくくなる。軟化点の低い樹脂は強化繊維の周囲をコーティングした状態でもよいし、樹脂繊維として強化繊維と混繊したり、強化繊維をカバーリングしたりしてもよいし、パウダーで付着させてもよい。糸の取り扱い性の観点からは、強化繊維の周囲に軟化点の低い樹脂をコーティングし、更にその外側を軟化点の高い樹脂をコーティングした構造であることが好ましい。
[連続繊維強化樹脂成形体の樹脂含浸率]
図2に示すように、連続繊維強化樹脂成形体における熱可塑性樹脂の含浸率は、連続繊維強化樹脂成形体の断面における、空隙の割合により求める。具体的には連続繊維強化樹脂成形体を任意の位置で切断し、エポキシ樹脂等に包埋、研磨した後に光学顕微鏡観察を行うことで得られた画像を、解析ソフトにより画像解析することによって計算する。
含浸率(%)とは、所定面積を100%としたとき、以下の式:
含浸率(%)={1−(空隙面積/連続強化繊維束面積)}×100
で計算される。本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体の含浸率は、強度、外観の観点から、98%以上が好ましく、99%以上がより好ましく、99.5%以上が更に好ましく、99.9%以上が最も好ましい。
[連続強化繊維]
連続強化繊維は、通常の連続繊維強化樹脂成形体に使用されるものであることができる。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、集束剤を用いてもよく、サイジング剤(集束剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましく、連続強化繊維の周りを被膜する樹脂と強い結合を作る集束剤であることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂成形体を得ることができ、合成樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、集束剤は熱可塑性樹脂用の集束剤であることが好ましい。熱可塑性樹脂用の集束剤とは、例えば、ポリアミド樹脂を合成樹脂として選択する場合、シランカップリング剤として、ポリアミド樹脂の末端基であるカルボキシル基とアミノ基と結合しやすいものを選択する必要がある。具体的には例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやエポキシシランが挙げられる。結束剤としてはポリアミド樹脂と濡れ性のよい、又は表面張力の近い樹脂を用いる必要がある。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。潤滑剤としてはシランカップリング剤と結束剤を阻害しないものを用いる必要があり、例えば、カルナウバワックスが挙げられる。
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。合成樹脂としてポリアミドを用いる際には、アミノシラン類やマレイン酸類が好ましく、合成樹脂としてエポキシ樹脂を用いる際にはエポキシシラン類が好ましい。
[潤滑剤]
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
[結束剤]
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から、50,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、連続強化繊維の周囲を被覆する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、複合成形体となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
更に、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと、当該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60〜95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5〜40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70〜85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15〜30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えば、アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40〜99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1〜10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40〜60質量%、ポリオール40〜60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45〜55質量%、ポリオール45〜55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000〜100,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から、100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上、60質量%以上用いることがより好ましい。
[ガラス繊維用の集束剤の組成]
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%、更に好ましくは0.2〜0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、更に好ましくは3〜10質量%である。
[ガラス繊維用の集束剤の使用態様]
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調製してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%付与する。
ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
尚、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合には、集束剤は、カップリング剤、潤滑剤、結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した合成樹脂と、濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
[連続強化繊維の形状]
連続強化繊維は複数本の強化繊維からなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。連続強化繊維の単糸径は、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2〜30μmであることが好ましく、4〜25μmであることがより好ましく、6〜20μmであることが更に好ましく、8〜18μmであることが最も好ましい。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)の積RDは、基材の取り扱い性と成形体の強度の観点から、好ましくは5〜100μm・g/cm3、より好ましくは10〜50μm・g/cm3、更に好ましくは15〜45μm・g/cm3、より更に好ましくは20〜45μm・g/cm3である。
密度Dは比重計により測定することができる。他方、単糸径(μm)は、密度(g/cm3)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
により算出することができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cm3であるから、単糸径が2〜40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cm3であるから、単糸径が2.8〜55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cm3であるから、単糸径が3.4〜68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
[熱可塑性樹脂]
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂は1種類のみを用いてもよいし、複数種を併用しても構わない。連続繊維強化樹脂との接着性の観点から2種類以上の熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。2種類以上の熱可塑性樹脂を含んでいる場合は、連続強化繊維の長さ方向に直交する断面における連続強化繊維1本と合成樹脂との間の極界面において、該連続強化繊維の周縁部から、該連続強化繊維1本の半径の10分の1離れた周縁外側領域において、2種類以上の熱可塑性樹脂の内、樹脂領域の全体として占有割合が最も高い樹脂以外の樹脂の占有割合が、該樹脂領域の全体として占有割合が最も高い樹脂の占有割合よりも高いことが、生産性と強化繊維と樹脂の界面強度の観点から好ましい。
[熱可塑性樹脂の種類]
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点から、より好ましく、熱的物性の観点を加味すると、ポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂が更に好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がより更に好ましい。
[ポリエステル系樹脂]
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
[ポリアミド系樹脂]
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等が挙げられるが、強化繊維との親和性が高く、強化繊維による補強効果が得られやすいという観点から、脂肪族系ポリアミドが好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、これらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。ω−アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、これらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
[本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体の用途]
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体は、航空機、車、建設材料等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル、)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア等の部品として好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
まず、実施例、比較例で用いた測定方法等について説明する。
[連続強化繊維1本の端から、連続強化繊維1本の半径の10分の1の領域の平均の空隙率]
連続繊維強化樹脂成形体をバンドソーにより切削し、切削した試験片を研磨機(小型精密試料作成システム IS-POLISHER ISPP-1000(株式会社池上精機))により、研磨面に125g/cmの力がかかるように研磨した。研磨は耐水ペーパー番手#220で10分間、耐水ペーパー番手#1200で10分間耐水ペーパー番手#2000で5分間、炭化ケイ素フィルム粒度9μmで10分間、アルミナフィルム粒度5μmで10分間、アルミナフィルム粒度3μmで5分間、アルミナフィルム粒度1μmで5分間、バフ研磨紙発泡ポリウレタンを用いた粒度0.1μmのコロイダルシリカ(バイカロックス0.1CR)で5分間の順番で行い、各研磨で約7mL/minで水を加えながら研磨した。研磨したサンプルをSEM(S−4700、株式会社日立ハイテクノロジーズ)により観察し、得られた画像から、連続強化繊維1本の半径の10分の1の領域の空隙率を算出した。任意に選択した連続強化繊維100本について観察を行い、連続強化繊維1本の半径の10分の1の領域の平均空隙率(%)と、空隙率が10%以下であるもの割合(%)を求めた。
[含浸率(%)]
成形体の断面を切り出し、エポキシ樹脂に包埋し、連続強化繊維が破損しないように注意しながら研磨を行った。マイクロスコープにより観察し、得られた画像から、連続強化繊維束、連続強化繊維束の間の合成樹脂、連続強化繊維束の間の空隙のそれぞれの占有面積を求め、連続強化繊維束(全体)面積に対する空隙面積の割合を求め、以下の式:
含浸率(%)={1−(空隙面積/連続強化繊維束面積)}×100
により算出した。
[樹脂流動期、主含浸期、形状決定期]
成形プロセス中において、任意の方法で10秒以内に急冷によって樹脂軟化点以下にした。その後、断面観察を行うことによって未含浸率を測定した。未含浸率は100から含浸率を引いた値である。時間を複数変えて、時間に対して未含浸率をプロットすることにより樹脂流動期、主含浸期、形状決定期を決定した。少なくとも未含浸率15〜20%、1%以下の領域で1点ずつ以上、10〜15%、5〜10%、1〜5%の間で各2点ずつ以上の測定が必要であり、各条件においては実験数を10以上とした。
[樹脂流動指数、樹脂流出量、樹脂流出量の割合(%)]
成形基材の表面に見やすい色のマジックで任意の点をマーキングした。この時点で重量を測定した。この基材を成形プロセスにかけ、上記で決定した流動期から主含浸期に遷移するタイミングで急冷して成形体を取り出し、この時点でのマーキングの位置を確認すると共にバリを除去した後に重量を測定した。尚、強化繊維が存在するエリア外の樹脂をバリと判断した。また、同様に急冷、取り出しのタイミングを主含浸期から形状決定期に遷移するタイミングとし、この時点でのマーキングの位置を確認すると共に、バリを除去した後に重量を測定した。両者のマーキングの場所の距離を、(金型内での)成形体の表面における樹脂が移動する量(移動量)とした。後者の成形体の厚みを測定し、移動量を成形体の厚みで除すことによって樹脂流動指数を算出した。急冷後の重量の差を、主含浸期における樹脂流出量(金型の外に流れ出る量)とし、仕込み基材中の樹脂の重量に対する割合を算出した。マーキングの位置を変更し、任意の10か所で同様の測定を行った。また、同一マーキングの位置での実験数は10とした。合計100点の中央値を算出した。
同様に、形状決定期を終え最終的な成形体を得た後に、バリを除去し重量を測定した。バリの重量を仕込みの成形基材全体の重量で除したものの百分率をバリ生成率(%)とした。
[引張応力]
成形体から長さ70mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、インストロン万能試験機にて、試験片を、長手方向に30mmの間隔でチャッキングし、速度5mm/min、23℃50%RH環境下で引張応力(MPa)を測定した。
[曲げ応力(MPa)、曲げ弾性率(GPa)]
成形体から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、インストロン万能試験機にて、3点曲げ用の治具を用い、スパン間を32mmに設定して速度1mm/min、23℃、50%RH環境下で曲げ応力(MPa)、曲げ弾性率(GPa)を測定した。
[連続繊維強化樹脂中の強化繊維の体積比率(Vf(%)))の測定と成形中に漏れ出した樹脂量比率]
連続繊維強化樹脂成形体2gを切り出し、電気炉に入れ、温度650℃で3時間加熱して、樹脂を焼き飛ばした。その後、室温まで自然冷却し、残されたガラス繊維の質量を測定することで、連続繊維強化樹脂成形体に含まれるガラス繊維と樹脂の比率を求めた。また、求めた比率から、密度で割りかえすことにより、連続繊維強化樹脂成形体に対する強化繊維の体積比率(Vf(%))を求めた。
[繊維強化樹脂成形体における極界面領域以外の樹脂領域内での熱可塑性樹脂の分布]
連続繊維強化樹脂成形体を研磨機(小型精密試料作成システム IS-POLISHER ISPP-1000(株式会社池上精機))により、研磨面に125g/cmの力がかかるように研磨した。研磨は耐水ペーパー番手#220で10分間、耐水ペーパー番手#1200で10分間耐水ペーパー番手#2000で5分間、炭化ケイ素フィルム粒度9μmで10分間、アルミナフィルム粒度5μmで10分間、アルミナフィルム粒度3μmで5分間、アルミナフィルム粒度1μmで5分間、バフ研磨紙発泡ポリウレタンを用いた粒度0.1μmのコロイダルシリカ(バイカロックス0.1CR)で5分間の順番で行い、各研磨で約7mL/minで水を加えながら研磨した。研磨したサンプルを研磨面が潰れないように注意しながら、12タングスト(VI)リン酸n水和物5wt%水溶液に18時間浸漬して電子染色した。乾燥後、SEM(S−4700、株式会社日立ハイテクノロジーズ)により、任意の5か所の50μm×50μmの部分の熱可塑性樹脂の分布を観察し、それぞれの面積をimageJによる画像処理によって算出した。得られた分布により、極界面領域以外の樹脂領域内で特定樹脂が均一に分散しているか又は混合しているかを判定した。
[連続強化繊維]
[ガラス繊維A]
集束剤を0.45質量%付着させた、繊度11500dtexで単糸数2000本のガラス繊維を製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は17μmとした。
ガラス繊維集束剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、アミノシラン)KBE−903(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、カルナウバワックスを1質量%、ポリウレタン樹脂Y65−55(株式会社ADEKA製)2質量%、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物が3質量%、共重合化合物水溶液が3質量%となるように脱イオン水で調製することで作製した。
[ガラス繊維B]
繊度を2900dtexとした以外はガラス繊維Aと同様のガラス繊維を作製した。
[熱可塑性樹脂]
[熱可塑性樹脂A]:ポリアミド66(レオナ1300S(旭化成(株)))
[熱可塑性樹脂B]:ポリアミド6/12(グリロンC CF6S(エムスケミージャパン(株)))
[ポリアミドフィルム]
前記熱可塑性樹脂A及び/又はBを、Tダイ押し出し成形機(株式会社創研製)を用いて成形することでフィルムを得た。フィルムの厚さは100μmであった。
[ガラスクロス]
レピア織機(織幅2m)を用い、前記ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロスを製造した。得られたガラスクロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は600g/mであった。
[コーティング糸Aの作製]
伊藤忠システック社製ヤーンコーティング装置を使用した。糸の繰り出しは、ロービングを床置きし上方向に解舒した。ダイの直前には連続強化繊維誘導装置としてベアリングローラー、張力制御装置として板バネ方式の張力制御装置を設置した。尚、連続強化繊維と連続強化繊維誘導装置及び張力制御装置の接触部の材質には湯浅糸道社製のYM-85Cを使用し、以下の条件で複合糸を製造した。また、運転前にデジタルフォースゲージを用いてテンサーの張力を調整した。具体的には、ダイの直前のテンサーの直後に強化繊維をデジタルフォースゲージに結びつけ、デジタルフォースゲージをゆっくり動して、値を読み取り、テンサーの強度を微調整した。
[連続強化繊維]
連続強化繊維B
[熱可塑性樹脂(被覆樹脂)]
熱可塑性樹脂A
[被覆条件]
ガラス繊維束の本数:1本
内側ノズルの径:0.55mm
外側ノズルの径:0.60mm
内側と外側のノズル間の距離:2.0mm
樹脂押出速度:40rpm
巻取速度:400m/分
ダイの温度(シリンダー出口とノズル温度):290℃
押出機のシリンダー部の設定温度:280℃
糸張力:2.7N
[コーティング糸Bの作製]
熱可塑性樹脂Bを用い、外側ノズルの径を0.55mm、樹脂押出速度を30rpmとし、ダイの温度、シリンダー部の設定温度を150℃とした以外はコーティング糸Aと同様の条件でコーティング糸を得た。
得られたコーティング糸とポリアミド樹脂Aを用い、内側のノズルの径を0.60mm、外側のノズルの径を0.60mmとし、樹脂押出速度を25rpmとし、ダイの温度、シリンダー部の設定温度を280℃として同様に運転し、コーティング糸Bを得た。
[コーティング糸織物]
レピア織機(織幅0.5m)を用い、前記ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織した。得られた織物の織形態は、2/2綾織、織密度は15本/25mmとした。
[実施例1]
ガラスクロス6枚と熱可塑性樹脂Aのフィルム7枚を重ねて成形基材とした。
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機を2台並べ片方は330℃設定、片方は冷却水にて10℃設定とした。平板型の連続繊維強化樹脂成形体(縦200mm、横100mm、肉厚2mm)を得るためのインロー構造の金型を準備し成形基材を投入した。金型の材質は熱伝導性のよいアルミとした。
330℃の成形機に金型を投入し、型締め力2MPaで型締めし、主含浸期の直前で5MPaに加圧した。金型温度がポリアミド66の融点である265℃に達してから1分後に圧力を開放し、冷却用の成形機に金型を搬送して急冷した。圧力の解放から冷却までは10秒であった。冷却後、金型を開放し、成形体を取り出した。金型を複数用意することで生産性良く成形体を得ることができた。
[実施例2]
ガラスクロス6枚と熱可塑性樹脂Aのフィルム7枚を重ねて成形基材とした。
成形機は、最大型締め力300トンの東芝機械製(S100V−8A)を使用した。平板型の連続強化繊維樹脂成形体(縦200mm、横200mm、肉厚2mm)を得るためのインロー構造の金型を準備した。
予め300℃に加熱した金型を開き織物を金型の所定の位置にセットし微加圧状態になるようにクリアランスを調整し余熱を行った。樹脂溶融開始後、圧力を2MPaとし、主含浸期になる直前に圧力を5MPaまであげ、形状決定期に入った直後に型をあけて取り出し、別途用意したインロー構造の冷却型(縦200mm、横200mm、肉厚2mm)に搬送し、冷却プレスを実施した。冷却金型を複数用意しておくことで生産性良く成形体を得ることができた。
[実施例3]
ガラスクロス6枚と熱可塑性樹脂Aのフィルム7枚を重ね、幅300mm、長さ200mmの成形基材とした。幅400mmのダブルベルトプレス機を使用し、端から50mmの部分にシリコンゴムを用いて樹脂流れ防止用のガイドを形成し、その間に成形基材を流した。成形基材はシリコーン製の離型フィルムに挟んでベルトに流した。クリアランス4.1mmの無加圧状態で基材を250℃に余熱した。余熱後、クリアランスを2mmまで徐々に小さくしながら加圧を行った。クリアランステーパー部の圧力は2MPa、クリアランス4mm部分の圧力は5MPaとした。温度は加圧の入り口側から出口側に向かって昇温する傾斜条件とし、最終的に280℃となるようにした。その後、加圧状態を保ったままチラー水による冷却ゾーンへ移送した。加圧部への滞留時間は2分であった。
[実施例4]
コーティング糸Bの布帛を7枚重ねて熱刃プレスにて裁断を行った。切断面が溶融して一体となり折り曲げても安定的な構造を保っていた。これを成形基材とし、実施例3と同様に成形体を得た。
250℃の時点で低融点の熱可塑性樹脂Bが含浸していたため、加圧部への滞留時間は30秒とした。
[実施例5]
コーティング糸Aの布帛を使用し、加圧部への滞留を2分とした以外は、実施例4と同様に成形体を得た。
[比較例1]
インロー構造ではない金型を用い、金型からの大量の樹脂の漏れ出しを抑制するため、成形基材の大きさを縦160mm、横90mmとし、成形圧力を10MPa一定とし、265℃以上の時間を10分とした以外は、実施例1と同様に成形体を得た。
[比較例2]
ガラスクロス6枚と熱可塑性樹脂Aのフィルム7枚を重ね、幅300mm、長さ200mmの成形基材とした。幅400mmのダブルベルトプレス機を使用した。成形基材は離型剤を塗った1mm厚のアルミ板に挟んでベルトに流した。余熱ゾーンは設けず全体を300℃設定とし、クリアランス4mm、5MPaで10分間プレスを行った。その後、冷却を行い成形体を得た。
[比較例3]
コーティング糸Aの布帛を7枚重ねて熱刃プレスにて裁断を行ったものを成形基材とし、比較例2と同様に成形体を得た。
上記表から、実施例1〜5の成形においては、主含浸期の樹脂移動を抑制しているために非常に高い引張応力、曲げ応力、曲げ弾性率を示した。実施例4、5は成形基材の取り扱い性に優れていた。実施例5では実施例3と比較して主含浸期における樹脂流動が大きくなり、物性がやや低下したが、実施例4では連続強化繊維近傍に低融点の樹脂が配置され、その外側に高融点の樹脂が配置されているため、実施例3と比較して主含浸期における樹脂流動を抑制できより高い物性を示した。
比較例1〜3においては主含浸期の樹脂移動が大きいため、引張応力、曲げ応力、曲げ弾性率が低下した。特に成形基材としては取り扱い性のよい比較例3の主含浸期における樹脂流動が大きく物性低下が顕著であった。
本実施形態の連続繊維強化樹脂成形体は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、また、熱可塑性樹脂組成物との複合成形体材料として、産業上の利用可能である。
r 略丸断面の連続強化繊維の半径
1 熱可塑性樹脂
2 連続強化繊維
3 空隙
4 連続強化繊維束

Claims (12)

  1. 連続強化繊維に、溶融熱可塑性樹脂を含浸させて連続繊維強化樹脂成形体を製造する方法であって、主含浸期における該溶融熱可塑性樹脂の流動指数を15以下にすることを特徴とする連続繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記主含浸期に又はその前に、温度及び/又は圧力を変化させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶融熱可塑性樹脂の流動を抑制する機構を備えた装置を用い、連続的又は断続的に、加熱、冷却を行う、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記溶融熱可塑性樹脂の流動を抑制する機構がインロー型である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記加熱、及び冷却を型内で行う、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂を充填した型を、加熱機構を備えた圧縮工程にかけた後、冷却機構を備えた圧縮工程にかける、請求項3又は4に記載の方法。
  7. 型内で加熱を行った後、型から取り出して冷却を行う、請求項3又は4に記載の方法。
  8. 冷却時に圧縮を行う、請求項7に記載の方法。
  9. ベルトを備えた装置を用いる、請求項3に記載の方法。
  10. ベルトの進行方向と平行な樹脂流出防止用のガイドを備えたダブルベルトプレス装置。
  11. 互に融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂と連続強化繊維から構成され、融点の最も低い熱可塑性樹脂が該連続強化繊維の近傍に配置されていることを特徴とする連続繊維強化樹脂成形体用の中間基材。
  12. 互に融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂により連続強化繊維を被覆した構造を有し、かつ、該連続強化繊維の近傍では、融点の最も低い熱可塑性樹脂の割合が高い複合糸によって構成される、請求項11に記載の中間基材。
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