JP6734643B2 - 複合糸、織物、及び連続強化繊維樹脂成形体 - Google Patents

複合糸、織物、及び連続強化繊維樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂から構成される複合糸、当該複合糸を用いた織物、及び当該織物を用いた連続強化繊維樹脂成形体に関する。
従来から、各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等の材料には、樹脂にガラス繊維等の強化材が添加された複合成形体が使用されている。
かかる複合成形体は、軽量化及び実用上十分な強度を両立するために、任意の形状に追従できる特性を有することが求められている。
当該複合成形体を構成する材料としては、従来から、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混じり合った複合糸、及び当該複合糸からなる織物が提案されている。
さらには、前記織物を280℃程度に加熱して熱可塑性樹脂の部分を溶融させた後に、50℃程度に冷却して固化させた成形体についても提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、製造工程を減らすために、複合糸として強化繊維の周囲を熱可塑性樹脂で覆った形態のものも提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特開2015−101794号公報 特開平11−20059号公報 特開平8−336879号公報
しかしながら、上述した従来知られている複合糸は、巻き取り、製織等において、取り扱い性が悪く、硬く脆い強化繊維が毛羽立ったり、強化繊維がダメージを受けたりすることにより、所望の強度が出せなかったり、十分な収率が得られない、といった問題を有している。
そこで本発明においては、取り扱い性に優れ、かつ強度と収率を両立できる複合糸、当該複合糸を用いた織物、及び連続繊維強化樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するべく鋭意検討した結果、連続強化繊維の周囲を熱可塑性樹脂によって均一に被覆した複合糸を得ることで、連続強化繊維の露出を効果的に低減でき、複合糸の取り扱い時の糸のぶれ、振幅を小さくすることができ、強化繊維に対するダメージを低下できることを見出した。当該複合糸を用いることで、強度と収率を両立できる織物、及び複合成形体を得られることも見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
連続強化繊維と、当該連続強化繊維を被覆する熱可塑性樹脂と、を有する複合糸であっ
て、
下記式(1)により定義される、断面の樹脂厚み均一性指標が2以下であり、
前記連続強化繊維と、当該連続強化繊維を被覆する前記熱可塑性樹脂との体積比率が、
連続強化繊維:熱可塑性樹脂=10:90〜80:20である、複合糸。
樹脂厚み均一性指標=最大樹脂厚み / 最小樹脂厚み・・・(1)
〔2〕
複数の連続強化繊維を有する、前記〔1〕に記載の複合糸。
〔3〕
前記連続強化繊維がマルチフィラメントである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の複合糸

〔4〕
前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記
載の複合糸。
〔5〕
前記連続強化繊維が、ヤーン、ケーキ、及びダイレクトワインドロービングからなる群
より選ばれるいずれかである、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の複合糸。
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の複合糸を具備する織物。
〔7〕
前記〔6〕に記載の織物を、金型にセットし、加圧すると共に、前記熱可塑性樹脂の融
点以上の温度で保持し、熱可塑性樹脂を溶融させる工程と、
冷却する工程と、
を有する、連続強化繊維樹脂成形体の製造方法。
〔8〕
前記〔6〕に記載の織物を金型内で加圧後、熱可塑性樹脂組成物の射出充填を行い、成
形する工程を有し、ハイブリッド成形体を得る、前記〔7〕に記載の連続強化繊維樹脂成
形体の製造方法。
本発明によれば、取り扱い性に優れ、かつ強度と収率を両立できる複合糸、当該複合糸を用いた織物、及び連続強化繊維樹脂成形体が得られる。
以下、本発明の実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔複合糸〕
本実施形態の複合糸とは、連続強化繊維と、当該連続強化繊維を被覆する熱可塑性樹脂とを有する。
連続強化繊維の周囲を熱可塑性樹脂によって均一に被覆していることが好ましく、断面の樹脂厚み均一性指標が2以下であり、1.9以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.7以下であることがさらに好ましく、1.6以下であることがさらにより好ましい。
複合糸の断面の樹脂厚み均一性指標は、樹脂の被覆度合の均一性を示す指標である。
測定方法については後述する実施例に示すが、以下の式(1)により定義される。
樹脂厚み均一性指標=最大樹脂厚み / 最小樹脂厚み・・・(1)
なお、最大樹脂厚みとは、連続強化繊維の中心から複合糸の外周へ引いた線上で、熱可塑性樹脂のみが占める部分の長さのうち、最大の値を表す。
一方、最小樹脂厚みとは、同様に最小の部分の長さを表す。
熱可塑性樹脂が均一に被覆していることで、連続強化繊維の露出部分が少なくなり、取り扱い時の連続強化繊維の損傷を低減することができる。また、被覆熱可塑性樹脂に比べて質量の大きな連続強化繊維が均等に配置されることで、本実施形態の複合糸の取り扱い時の連続強化繊維の振幅を抑制することができる。
前記複合糸の断面の樹脂厚み均一性指標は、樹脂を被覆する装置の前後における連続強化繊維の揺れを低減すること、連続強化繊維と樹脂がダイの内部で均一な圧力のかかった状態で接触すること、樹脂を被覆する装置のダイの形状を最適化することにより、2以下に制御することができる。
本実施形態の複合糸は、他の素材を強化するための強化繊維として用いることができ、複合糸を加工した布状とし、他の素材を強化するための強化布として用いることもでき、加熱加工を行うことで連続強化繊維樹脂成形体とすることもできる。
連続強化繊維樹脂成形体の構成としては、本実施形態の複合糸を強化繊維として、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のマトリックス樹脂と組み合わせ、ハイブリッド成形体を形成してもよいし、複合糸を構成する熱可塑性樹脂を溶融させることでマトリックス樹脂としてもよい。
本実施形態の複合糸において、連続強化繊維は、1本のみであってもよく、複数の連続強化繊維を用いてもよい。
複数の連続強化繊維を用いることで、成形時に連続強化繊維の間に樹脂が含浸しやすくなるため、成形時間の短縮、強度の向上の観点から好ましい。
連続強化繊維の本数が多いほど、成形時間、強度の観点から好ましいが、多すぎると生産性が悪くなる傾向があるため、1〜50本であることが好ましく、2〜20本であることがより好ましく、2〜10本であることがさらに好ましく、2〜5本であることがさらにより好ましい。
本実施形態の複合糸は、取り扱い性の観点から、直径0.1〜5mmであることが好ましく、0.15〜2mmであることがより好ましく、0.2〜1.5mmであることがさらに好ましい。
連続強化繊維と、それを被覆する熱可塑性樹脂との体積比率は、連続強化繊維:熱可塑性樹脂=10:90〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、30:70〜60:40であることがさらに好ましい。
連続強化繊維の体積比率が10%以上であることにより、実用上十分な強度が得られ、80%以下であることにより複合糸の張力が過度に高くなることを防止でき、良好な取り扱い性が得られる。
(連続強化繊維)
本実施形態の複合糸は、連続強化繊維を具備する。
連続強化繊維は、通常の繊維強化複合成形体に使用されるものを用いることができる。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択した場合、集束剤を用いてもよく、集束剤は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類等が挙げられる。
<潤滑剤>
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
<結束剤>
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーとしては、重量平均分子量1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、強化繊維の周囲を被覆する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、複合成形体となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
さらに、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと、当該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60〜95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5〜40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70〜85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15〜30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40〜99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1〜10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40〜60質量%、ポリオール40〜60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45〜55質量%、ポリオール45〜55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000〜100,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、前記ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上、60質量%以上用いることがより好ましい。
<ガラス繊維用の集束剤の組成>
連続強化繊維としてガラス繊維を用いた場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点、及びエアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
<ガラス繊維用の集束剤の使用態様>
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調製してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の複合糸及び連続強化繊維樹脂成形体を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%、さらに好ましくは0.2〜1質量%付与する。
ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、エアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から3質量%以下であることが好ましい。
なお、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合には、集束剤は、潤滑剤、結束剤からなることが好ましい。集束剤、潤滑剤、結束剤の種類については、特に制限はなく公知の物が使用できる。具体的材料としては、前記特許文献1(特開2015−101794号公報)に記載されている材料を使用できる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
<連続強化繊維の形状>
連続強化繊維はマルチフィラメントであることが好ましく、単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。
連続強化繊維の単糸径は、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2〜30μmであることが好ましく、4〜25μmであることがより好ましく、6〜20μmであることがさらに好ましく、8〜15μmであることがさらにより好ましい。
連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWR(ダイレクトワインドロービング)に巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが、生産安定性の観点からはヤーンが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の複合糸は、上述した連続強化繊維と、当該連続強化繊維を被覆する熱可塑性樹脂を具備する。
熱可塑性樹脂は、従来公知の複合成形体に用いるものを使用することができる。
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維であることが好ましい。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂がさらに好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がよりさらに好ましく、ポリアミド66を好適に用いることができる。
<ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
熱可塑性樹脂として用いられるポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
<ポリアミド系樹脂>
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。
熱可塑性樹脂として用いられるポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。ω−アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合物、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合物、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合物が挙げられる。
〔複合糸の製造方法〕
本実施形態の複合糸の製造方法は、連続強化繊維に熱可塑性樹脂を被覆する工程を有する。
連続強化繊維に熱可塑性樹脂を被覆する方法としては、例えば前記特許文献3(特開平8−336879号公報)のような方法が挙げられる。
本実施形態の複合糸は、断面の樹脂厚み均一性指標が2以下であり、連続強化繊維の周囲に均一に熱可塑性樹脂が被覆されている。
連続強化繊維の周囲に熱可塑性樹脂を均一に被覆するためには、熱可塑性樹脂の粘度、連続強化繊維の比重、密度、熱可塑性樹脂と連続強化繊維の親和性が重要であり、連続強化繊維を、熱可塑性樹脂を溶融させたものと圧力がかかった状態で接触すること、連続強化繊維と溶融した熱可塑性樹脂が接触し排出されるダイ部分の形状、連続強化繊維の張力、熱可塑性樹脂の溶融温度、ライン速度の調整が重要であり、特にダイの形状が重要となる。
最適なダイの形状は、用いる連続強化繊維の種類、形状、表面処理剤、被覆する樹脂の種類によっても異なるが、溶融状態の樹脂と連続強化繊維が接触する部分の樹脂の圧力が、均一になるような設計が好ましい。圧力を均一にコントロールするために、溶融した樹脂をダイへ導入する入り口の径よりも、連続強化繊維と接触した状態で排出される吐出口の径を小さくし、連続強化繊維と溶融樹脂が接触する部分の圧力を高めておくことが好ましい。溶融した樹脂をダイへ送り出す圧力と、樹脂の粘度、連続強化繊維を引き抜くライン速度を調整することで、連続強化繊維と溶融樹脂が接触する部分の圧力を一定に保つことが好ましい。
複合糸の製造装置は、糸の送り出し装置、樹脂を溶融させる装置、ダイ、冷却装置、検知器、巻き取り機等から構成され、押出式コーティング装置、ディッピング式コーティング装置等が使用できる。樹脂の厚みをコントロールしやすい押出式コーティング装置が好ましい。
樹脂の溶融温度は、熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度であればよいが、熱劣化を抑制する観点から、熱可塑性樹脂の融点+10〜100℃であることが好ましく、融点+20〜80℃であることがより好ましく、融点+30〜70℃であることがさらに好ましい。樹脂を溶融させる装置は、例えば、押し出し機を使用すればよい。樹脂の粘度にあわせてスクリューの形状を調整し、適切な圧力でダイに溶融樹脂を送り込むことが好ましい。必要に応じて、窒素パージやベントを行うことは好ましい。
冷却は空冷でもよいし、水バスに浸漬することによって行ってもよいし、冷却ローラーに巻きつけることによって行ってもよい。冷却ローラーに巻きつけると同時に水を噴霧してもよい。冷却に水を用いた場合は、必要に応じて乾燥機構を設けることが好ましい。乾燥は、空気等の流体を用いて行ってもよいし、温度をかけてもよいし、布等で物理的に水を除去してもよい。検知器は、例えば光学的手法によって直径の安定性や、糸の振れ幅の検知による重心の偏りを検出することができる。巻き取り機は自動制御で行ってもよいし、マニュアル制御をしてもよい。
糸の速度は生産性と生産安定性の観点から、10〜2000m/分であることが好ましく、50〜1800m/分であることがより好ましく、100〜1500m/分であることが好ましい。
糸の送り出し装置、連続強化繊維と溶融した樹脂が接触するダイ、冷却装置は直線に配置することが好ましい。それぞれの装置の前後には、必要において糸の直径よりも少しだけ大きなガイドを通し、ダイの前後での糸の位置をコントロールすることが好ましい。
〔織物等の中間材料〕
本実施形態の複合糸を用いて連続強化繊維樹脂成形体を製造する方法は特に限定されないが、目的とする連続強化繊維樹脂成形体の形状に合わせて中間材料を作製し、当該中間材料を用いて目的とする連続強化繊維樹脂成形体を製造することが好ましい。
中間材料は特に限定されないが、複合糸を特定の方向に引き揃えた一方向強化材、複合糸を用いた織物、編物、レース、フェルト、不織布、フィルムや板状体等が挙げられる。
中間材料としては、連続強化繊維樹脂成形性を製造する際の、金型内での形状追従性の観点から、柔軟性のある一方向強化材、織物、編物、レース、フェルト、不織布が好ましく、連続強化繊維の屈曲が少なく強度が出やすいことから、一方向強化材、織物形状がより好ましく、形態安定性の観点から織物形状がさらに好ましい。
織物の織り方は特に限定されず、平織、綾織、朱子織、綟り織、紗等が挙げられる。
本実施形態の連続強化繊維樹脂成形体の強度の観点から、連続強化繊維のクリンプ率が低くなる綾織がより好ましい。
これらの中間材料を得る方法は特に限定されず、用途、目的に応じて選定することができる。
例えば、織物は、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機等の製織機を用い、少なくとも一部に複合糸条を含んでいればよい。例えば、複合糸条を含む繊維を配列させた経糸に、緯糸を打ち込むことによって得る方法が好ましい方法として挙げられる。
編物は、丸編み機、横編み機、トリコット編み機、ラッシェル編み機等の編み機を用い、少なくとも一部に複合糸条を含む繊維を編成することによって得られる。
不織布は、少なくとも一部に複合糸条を含む繊維をウェブと呼ばれるシート状の繊維集合体とした後、ニードルパンチ機、ステッチボンド機、柱状流機等の物理作用やエンボスロール等による熱作用や接着剤によって繊維同士を結合させることによって得られる。
その他の中間材料の形態等については、適宜前記特許文献1(特開2015−101794号公報)に記載の方法を用いることができる。
〔連続強化繊維樹脂成形体、及びその製造方法〕
本実施形態の連続強化繊維樹脂成形体は、上述した複合糸や、中間材料を構成材料として含有する。
なお、本実施形態の連続強化繊維樹脂成形体の製造方法は、以下に限定されるものではなく、種々の方法を適用することができる。
例えば、連続強化繊維樹脂成形体を構成する基材、好ましくは織物形状の基材を、所望の成形体に合わせて裁断し、目的とする製品の厚みを考慮して必要枚数積層させ、金型形状にあわせてセットする。この時、上述の中間材料を用いることにより、一般的な強化繊維に樹脂が含浸された従来の複合板に比して、金型に対して自由度を高くすることができ、成形体において高低差がある場合でも、形状自由度を高く成形することができる。基材を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、連続強化繊維樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ賦型する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一端型締めをし、圧縮成形した後に一端金型の型締め圧力を解除してもよい。
連続強化繊維樹脂成形体の製造工程においては、金型内に中間材料をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、熱可塑性樹脂と、前記所定の熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド成形体である連続強化繊維樹脂成形体を製造してもよい。
前記所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、両熱可塑性樹脂間の界面強度に大きく影響する。
前記所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、連続強化繊維樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上であることが好ましい。より好ましくは、連続強化繊維樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂の融点+10℃以上又はガラス転移温度+10℃以上であり、さらに好ましくは、融点+20℃以上又はガラス転移温度+20℃以上、さらにより好ましくは融点+30℃以上又はガラス転移温度+30℃以上である。
また、前記所定の熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、中間材料を金型内にセットして金型を閉じた後に金型温度が熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移点以上に昇温してから、30秒以内が好ましい。
前記ハイブリッド成形体において、連続強化繊維樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成された熱可塑性樹脂組成物の接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出する熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
(射出成形用の樹脂)
前記ハイブリット成形体を製造するために用いる射出成形用の熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば特に限定されない。
当該熱可塑性樹脂組成物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の一種又は二種以上を混合した樹脂組成物が挙げられる。
また、これらの熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。
各種充填材としては、連続強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合には、本実施形態の複合糸が具備する連続強化繊維と同様に集束剤を用いてもよい。
集束剤は、シランカップリング剤、潤滑剤。及び結束剤からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、前述の連続強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いる熱可塑性樹脂組成物は、連続強化繊維樹脂成形体部分と射出成形した熱可塑性樹脂組成物部分との界面強度の観点から、連続強化繊維樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、連続強化繊維樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂にポリアミド66繊維を用いた場合には、射出成形用の熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
〔連続強化繊維樹脂成形体の用途〕
本実施形態の連続強化繊維樹脂成形体は、航空機、車、建設材料等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギヤ、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS、小型モーター、ヒートシンク、ECUボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EVモーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGRバルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドASSY、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル、)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、NICSバルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドSUB−ASSY、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア等の部品として好適に使用することができる。
以下、本実施形態について、実施例と比較例を挙げて説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
後述する実施例及び比較例により製造した複合糸、及び連続強化繊維樹脂成形体の特性の評価方法を示す。
〔複合糸の引張試験方法〕
JIS L1013に準拠してオリエンテック社製テンシロンにより、つかみ間隔20cm、引張り速度20cm/分で測定した。
なお、複合糸の引張試験を行う場合、連続強化繊維の破断点と、樹脂の破断点の2種類が観測される。特に重要となるのが、最初に観測される連続強化繊維の破断強度であり、この強度は連続強化繊維の太さにも依存する。このため、引張試験で観測された強度を、連続強化繊維の断面積で除した応力値に変換した値を引張強度として用いた。
連続強化繊維の断面積は、複合糸を包埋、割断、研磨した後に、画像解析によって求めた。
〔連続強化繊維樹脂成形体の引張試験方法〕
インストロン100kN万能試験機にて、長さ70mm、幅10mm、肉厚3mmの短冊状の試験片を、長手方向に30mmの間隔でチャッキングし、速度5mm/min、23℃50%RH環境下で引張強度を測定した。
〔複合糸の断面の樹脂厚み均一性指標の測定方法〕
複合糸の任意の点を30か所、糸方向に垂直な断面で切り出し、顕微鏡で観察を行い、画像処理によって樹脂厚み均一性指標を測定した。
糸束がほぐれてしまう場合や、観察しにくい場合は、シュリンクチューブで糸束を包み込んで観測した。
または、エポキシ等の包埋材で包埋処理を行って断面観察を行った。
顕微鏡は、光学顕微鏡の反射モードで観測した。
コントラストが付きにくい試料については、SEMを使用した。
複合糸の樹脂厚み均一性指標は、下記式により算出した。
樹脂厚み均一性指標=最大樹脂厚み/最小樹脂厚み
なお、最大樹脂厚みとは、連続強化繊維の中心から複合糸の外周へ引いた線上で、熱可塑性樹脂のみが占める部分の長さのうち、最大の値を表す。
一方、最小樹脂厚みとは、同様に最小の部分の長さを表す。
〔複合糸の加工性、及び耐久性の評価〕
複合糸の加工性、及び耐久性の評価方法として、流体交絡ノズルに通した時の加工性、強度維持性を測定した。
下記に示す流体交絡ノズルを使用し、ノズルに対して実質的に垂直に複合糸を供給し、下記条件で流体を流し、複合糸を巻き取ることを10回繰り返した。
・流体交絡ノズル:京セラ KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧:4kg/cm2
・加工速度:30m/分
目視で複合糸の振れる状況を確認し、加工性の目安とした。
また、加工の前後で複合糸の引張試験を行い、加工前の複合糸の強度の90%以上を維持している場合を○、加工前の複合糸の強度の90%未満の強度となった場合を×で表した。
後述する実施例及び比較例で製造した複合糸の原料を下記に示す。
〔被覆用樹脂〕
連続強化繊維を被覆するための熱可塑性樹脂として、以下の樹脂を用意した。
・PA66(旭化成ケミカルズ製 1402S-011)
なお、前記PA66は、相対粘度45、水分0.09%であり、PA66を99.29質量部に対して、酢酸銅(一水和物)を0.03質量部、ヨウ化カリウムを0.50質量部、乳酸マンガン(II)を0.01質量部、AlStを0.12質量部、PEG400を0.06質量部加えた。
〔連続強化繊維〕
下記集束剤aを1.0質量%付着させた、繊度685dtexで単糸数400本のガラス繊維を連続強化繊維(A)として用いた。巻き取り形態はヤーンであり、平均単糸径は9μmとした。
下記集束剤aを1.0質量%付着させた、繊度1350dtexで単糸数800本のガラス繊維を連続強化繊維(B)として用いた。巻き取り形態はケーキであり、平均単糸径は9μmとした。
(集束剤aの組成(固形分換算)):
・シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%〔商品名:KBE−903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ワックス0.1質量%〔商品名:カルナウバワックス((株)加藤洋行製)〕
・結束剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体塩5質量%〔商品名:アクアリックTL(日本触媒(株)製)〕
〔複合糸製造装置、及び複合糸の製造方法〕
AIKI社製コーティング機を使用した。糸の繰り出しは、ヤーンを使用する場合はロールを固定してそのまま繰り出し、ケーキを使用する場合は転がし取りを行った。糸の繰り出しから、ダイ、冷却、巻き取りまで、糸が直線になるように配置し、ダイの直前、冷却水に触れた直後、冷却器を出た直後、巻き取り機の直前に糸のガイドを設置した。押し出し機は糸に対して90度の角度に設置した。冷却はウォーターバスを用い、冷却後、空気により水分を吹き飛ばした。糸の速度は200m/分とし、巻き取り機によってコントロールした。押し出しは280〜295℃で行った。ダイの内部で溶融した樹脂と、連続強化繊維が微加圧の状態で接触するように、樹脂の導入部分よりも連続強化繊維との接触部分が小さくなるように絞りを入れたダイを使用し、押し出し機の押出速度を微調整した。
なお、上述した複合糸製造装置、及び複合糸の製造方法は、下記〔実施例1、2〕に適用した。
〔織物の製造方法〕
レピア織機(DORNIER社製、DORNIER RAPIER WEAVING MACHINE P1)を用い、複合糸条を経糸、緯糸として用い、経糸密度が6本/5mm、緯糸密度が6本/5mm、綾織の織物を製織した。
なお、上述した織物の製造方法は、下記〔実施例1、2、比較例1、2〕に適用した。
〔連続強化繊維樹脂成形体の製造方法〕
(織物の圧縮成形工程)
成形機は、最大型締め力300トンの東芝機械製(S100V−8A)を使用した。
箱型の連続強化繊維樹脂成形体(縦200mm、横200mm、高さ120mm、肉厚3mm)を得るための金型を準備した。
金型に合わせた形状に裁断した織物を8枚準備した。
予め300℃に加熱した金型を開き、織物を金型の所定の位置にセットし、次いで型締め力240MPaで型締めし、圧縮成型を行った。
(射出成形工程)
前記型締め後、10秒後に、金型の温度を、熱可塑性樹脂の融点以上の温度に保持した状態で、短繊維GF33%含有のポリアミド66樹脂[商品名:レオナ(登録商標)14G33]の樹脂組成物を、射出圧力50MPa、射出速度30mm/secで射出充填し、保持圧力10MPaをかけて金型温度を150℃に冷却し、冷却固化を行い、織物部分と樹脂組成物との接合を行った。
射出成形機のシリンダー設定温度は、280℃であった。
(離型工程)
前記金型を開放し、箱型のハイブリッド成形体である連続強化繊維樹脂成形体を取り出した。
なお、上述した連続強化繊維樹脂成形体の製造方法は、下記〔実施例1、2、比較例1、2〕に適用した。
〔実施例1〕
連続強化繊維(B)を用いて、複合糸を作製した。
樹脂の押出速度を手動で変更し、連続強化繊維と樹脂の体積比率が40:60となるように運転を行った。
当該複合糸を使用し、上述した方法により織物及び連続強化繊維樹脂成形体を作製した。
〔実施例2〕
連続強化繊維(A)を2本使用する以外は、実施例1と同様に複合糸を作製した。
当該複合糸を使用し、上述した方法により織物及び連続強化繊維樹脂成形体を作製した。
〔比較例1〕
交絡処理を施していないポリアミド66繊維〔商品名:レオナ(登録商標)470/144BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数144本〕を2本、連続強化繊維(A)を2本用い、両者を合糸・引き揃えた後、流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸条を得た。
・流体交絡ノズル:京セラ KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧:2kg/cm2
・加工速度:30m/分
当該複合糸を使用し、上述した方法により織物及び連続強化繊維樹脂成形体を作製した。
〔比較例2〕
特開平8−336879号公報の実施例1を参考にし、連続強化繊維(A)を2本、ダイ温度290℃、シリンダー温度を250℃として複合糸を作製した。連続強化繊維と樹脂の体積比率が40:60となるように吐出量を調整した。
当該複合糸を使用し、上述した方法により織物及び連続強化繊維樹脂成形体を作製した。
実施例1、2、比較例1、2の評価結果を下記〔表1〕に示す。
なお、下記表1中、「−」は、連続強化繊維の樹脂による被覆量(分母)が0であるため、計算不可能であることを意味する。
Figure 0006734643
実施例1、2では連続強化繊維が樹脂によって完全に被覆されており、複合糸の製造工程での連続強化繊維の傷みもなく、加工性にも優れている。このため、織物を加圧成型した成形体も高い強度を示した。
二本の連続強化繊維を使用した実施例2の方が含浸性が高く、成形体の強度が高いことが分かった。
比較例1は不均一に被覆されているため、複合糸製造時、及び、織物加工時の連続強化繊維の損傷があり、加圧成型した成形体の強度も低下したことが分かった。
比較例2においては、連続強化繊維が露出しているため複合糸の強度が低いことが分かった。
本発明の複合糸、織物及び連続強化繊維樹脂成形体は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. 連続強化繊維と、当該連続強化繊維を被覆する熱可塑性樹脂と、を有する複合糸であっ
    て、
    下記式(1)により定義される、断面の樹脂厚み均一性指標が2以下であり、
    前記連続強化繊維と、当該連続強化繊維を被覆する前記熱可塑性樹脂との体積比率が、
    連続強化繊維:熱可塑性樹脂=10:90〜80:20である、複合糸。
    樹脂厚み均一性指標=最大樹脂厚み / 最小樹脂厚み・・・(1)
  2. 複数の連続強化繊維を有する、請求項1に記載の複合糸。
  3. 前記連続強化繊維がマルチフィラメントである、請求項1又は2に記載の複合糸。
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    複合糸。
  5. 前記連続強化繊維が、ヤーン、ケーキ、及びダイレクトワインドロービングからなる群
    より選ばれるいずれかである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合糸。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合糸を具備する織物。
  7. 請求項6に記載の織物を、金型にセットし、加圧すると共に、前記熱可塑性樹脂の融点
    以上の温度で保持し、熱可塑性樹脂を溶融させる工程と、
    冷却する工程と、
    を有する、連続強化繊維樹脂成形体の製造方法。
  8. 請求項6に記載の織物を金型内で加圧後、熱可塑性樹脂組成物の射出充填を行い、成形
    する工程を有し、ハイブリッド成形体を得る、請求項7に記載の連続強化繊維樹脂成形体
    の製造方法。
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