WO2022168321A1 - バックドアアウターパネル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

軽量化を図った場合であっても所望の剛性を実現するととともに、良好な外観を実現し得るバックドアアウターパネル、及びそのようなバックドアアウターパネルを安価に製造することのできる方法を提供する。第1樹脂部材(1)が補強リブ及び/又はブラケットであり、第2樹脂部材(4)がバックドアアウターパネル本体であり、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが溶着されており、プライマー層の少なくとも1層が、現場重合型組成物を前記熱可塑性樹脂材の上で重合させて形成された現場重合型組成物層である。

Description

バックドアアウターパネル及びその製造方法
 本開示は、自動車の車体後部に設けられるバックドアアウターパネル及びその製造方法に関する。
 近年、製品の軽量化及び低コスト化等の観点より、自動車部品を樹脂化して樹脂成形品とすることが頻繁に行われている。車体の後部に取り付けられるバックドアについても例外ではなく、樹脂化による軽量化が行われている。
 特許文献1(特開2015-105059号公報)は、インナーパネルとアウターパネルが双方の接合部で接着剤にて接合されてなるパネル接合体を開示している。このパネル接合体は自動車用バックドアに適用されるものであって、インナーパネルとアウターパネルの少なくとも一方が樹脂製のパネルであることが開示されている。
特開2015-105059号公報
 特許文献1のパネル接合体のように、例えばアウターパネルを樹脂化して軽量化を図った場合には、その板厚の程度によっては、本来バックドアに要求される剛性を実現できないおそれがある。また、近年ではバックドアについて軽量化のみならず良好な外観を実現することも要請されている。しかし、極端に板厚の小さい部分が存在する場合には、剛性を高める目的でバックドアの内側に補強リブなどを射出成形などにより一体成形すると、射出成形された樹脂が冷却時に収縮することにより生じる内部応力により、バックドアの外装面にヒケと呼ばれる外観不良を生ずるおそれもある。
 さらに、別体で成形した補強リブをバックドアの内側に接着剤を用いて接着する方法では、樹脂面のフレーム処理、プラズマ処理などの下地処理、プライマー塗工、接着剤塗布、接着剤硬化などの複数の工程を複雑な形状を有する接着面に対して実施する必要があり、コストの点で不利であった。
 本開示は、軽量化を図った場合であっても所望の剛性を実現するととともに、良好な外観を実現し得るバックドアアウターパネル、及びそのようなバックドアアウターパネルを安価に製造することのできる方法を提供することを課題とする。
 本開示は以下の態様を包含する。
〔1〕 熱可塑性樹脂材を有する第1樹脂部材と、
 熱可塑性樹脂材を有する第2樹脂部材と、
 前記第1樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材及び前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材の少なくとも1つに積層された1層又は複数層のプライマー層と
を備えるバックドアアウターパネルであって、
 前記第1樹脂部材が補強リブ及び/又はブラケットであり、
 前記第2樹脂部材がバックドアアウターパネル本体であり、
 前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とが前記プライマー層を介して溶着されており、
 前記プライマー層の少なくとも1層が、下記(A)又は(B)の重合物組成物から形成された重合物組成物層である、バックドアアウターパネル。
 (A)下記(1)~(7)の少なくとも一種を含有する重合型組成物の重合物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、を含む重合物組成物
 (B)下記(1)~(7)の少なくとも一種を含有する重合型組成物の重合物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と、を含む重合物組成物
 (1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
 (2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
 (3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
 (4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
 (5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
 (6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
 (7)単官能ラジカル重合性モノマー
〔2〕 前記重合物組成物層が、前記熱可塑性樹脂材に直接に接する層である、〔1〕に記載のバックドアアウターパネル。
〔3〕 前記重合物組成物が、前記(4)を含有する重合型組成物の重合物を含有し、かつ、前記(4)のジオールが2官能フェノール化合物である、〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔4〕 前記プライマー層が、前記重合物組成物層と前記熱可塑性樹脂材との間に硬化性樹脂を含む組成物から形成された硬化性樹脂層を有する、〔1〕又は〔3〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔5〕 前記硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔4〕に記載のバックドアアウターパネル。
〔6〕 前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、変性ポリフェニレンエーテル、及びポリブチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔7〕 前記第1樹脂部材及び前記第2樹脂部材の両方が前記プライマー層を有し、前記第1樹脂部材の前記プライマー層と前記第2樹脂部材の前記プライマー層とが溶着されている、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔8〕 前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体と、前記第1樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体とが同一であり、該単量体の含有量がいずれも70質量%以上である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔9〕 前記第1樹脂部材の高さと厚さのアスペクト比(高さ/厚さ)が5以上であり、前記第2樹脂部材の厚さに対する前記第1樹脂部材の高さの比が5以上である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔10〕 前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材が、ポリプロピレンと、タルク、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の補強材とを含み、前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材が引張強度40MPa以上及びヤング率3GPa以上の特性を有する、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔11〕 前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材が、ポリエーテルイミドと、タルク、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の補強材とを含み、前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材が引張強度90MPa以上及びヤング率3GPa以上の特性を有する、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
〔12〕 〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のバックドアアウターパネルの製造方法であって、前記プライマー層を加熱し、加熱された前記プライマー層が前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材の間に介在するように前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材を圧着することにより、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材を溶着することを含む、バックドアアウターパネルの製造方法。
 本開示によれば、軽量化を図った場合であっても所望の剛性を実現するととともに、良好な外観を実現し得るバックドアアウターパネルを提供することができ、そのようなバックドアアウターパネルを安価に製造することができる。
図1は、車両におけるバックドアアウターパネル(点線部分)の位置を示す車両正面図である。 図2は、バックドアアウターパネルの各構成要素を示す概略図である。 図3は、バックドアアウターパネル本体に他の構成要素を接合した状態を示すバックドアアウターパネルの概略図である。 図4は、一実施形態の第1樹脂部材において、熱可塑性樹脂材に1層のプライマー層が積層された状態を示す概略断面図である。 図5は、他の実施形態の第1樹脂部材において、熱可塑性樹脂材に複数層のプライマー層が積層された状態を示す概略断面図である。 図6は、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが溶着された状態の概略断面図である。
 次に、本開示の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
 本開示において、接合とは、物と物を繋ぎ合わせることを意味し、接着及び溶着はその下位概念である。接着とは、テープ、接着剤などの有機材料(硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等)を介して、2つの被着材(接着しようとするもの)を接合状態とすることを意味する。溶着とは、被着材である熱可塑性樹脂等の表面を熱によって溶融し、接触加圧と冷却により分子拡散による絡み合いと結晶化で接合状態とすることを意味する。
 本開示において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
[バックドアアウターパネル]
 図1は、車両におけるバックドアアウターパネル10(点線部分)の位置を示す車両正面図である。バックドアアウターパネルとは、バックドアを構成する部品のうち、車体の最も外側に位置する部品であって、車両外観として視認できる部品である。
 図2は、バックドアアウターパネル10の各構成要素を示す概略図であり、図3は、バックドアアウターパネル本体12に他の構成要素を接合した状態を示すバックドアアウターパネルの概略図である。これらのいずれの図においても、バックドアアウターパネル本体12は車体内側の面を示している。ここれらの図に示すように、バックドアアウターパネル10は、バックドアアウターパネル本体12と、バックドアアウターパネル本体12の薄肉中央部分を補強するための補強リブ14と、バックドアアウターパネル本体12の両外側部分に接合され、車両後方にある障害物を検知するためのセンサー等を収容するブラケット16と、を含む。
 補強リブ14については、その重量が過度に大きくなければよく、例えば図2、3に示すようにバックドアアウターパネル本体12の長手方向に沿って互いに等間隔で延びる複数の長手方向部14aと、長手方向部14aに垂直に延びて互いに等間隔で存在する複数の短手方向部14bとを含む。補強リブ14の存在により、バックドアアウターパネル本体12の中央部分が樹脂化されてさらに薄肉化されていても、バックドアアウターパネル10としての所望の剛性を実現することができる。
 以下では、補強リブ14及び/又はブラケット16を「第1樹脂部材1」とも記載し、バックドアアウターパネル本体12を「第2樹脂部材4」とも記載する。
[第1樹脂部材1]
 一実施形態の第1樹脂部材1は、図4に示すように、熱可塑性樹脂材2と、前記熱可塑性樹脂材に積層された1層又は複数層のプライマー層3とを有する積層体である。図4において、前記プライマー層3の少なくとも1層は、特定の重合型組成物から形成された重合物組成物層3aである。
 本開示において、重合型組成物とは、特定の2官能の化合物の組み合わせを、触媒存在下で重付加反応することにより、あるいは、特定の単官能のモノマーのラジカル重合反応により、熱可塑構造、すなわち、リニアポリマー構造を形成する組成物を意味する。重合型組成物は、重合すると架橋構造による3次元ネットワークを構成する硬化性樹脂とは異なり、架橋構造による3次元ネットワークを構成せず、熱可塑性を有する。
 本開示において、重合物組成物とは、熱可塑構造を有する重合物(リニアポリマー)を主成分(合計90質量%以上)とする組成物を意味する。前記重合物には、前記特定の2官能の化合物の組み合わせ及び/又は特定の単官能のモノマーを含む重合型組成物から得られた重合物、前記重合物に無水マレイン酸変性ポリプロピレンが付加したもの、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、変性ポリフェニレンエーテル等が含まれる。
 前記重合物組成物層3aは、前記重合型組成物の重合物、前記重合物に無水マレイン酸変性ポリプロピレンが付加したもの、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、変性ポリフェニレンエーテル等を含む重合物組成物から形成される層である。前記重合型組成物は、前記特定の2官能の化合物の組み合わせが触媒存在下で重付加反応することにより、あるいは、前記特定の単官能のモノマーがラジカル重合反応することにより、熱可塑構造、すなわち、リニアポリマー構造を形成する。
 本開示において、プライマー層3とは、後述する図6に示すように、第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2と、もう一方の接合対象物である、熱可塑性樹脂材を有する第2樹脂部材4とを接合一体化してバックドアアウターパネル10(樹脂-樹脂接合体)を得る際に、第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2と第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材との間に介在し、第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2と第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材との接合強度を向上させる層を意味する。
 本開示によれば、第2樹脂部材4が、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂材を有する場合に、第1樹脂部材1と第2樹脂部材4とを強固に溶着することができる。第2樹脂部材4が、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂材を有する場合、一般に、第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2と第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材のSP値は離れていることが多いが、本開示によれば、そのような異種の熱可塑性樹脂材を強固に溶着することもできる。
 本開示において、「同種の熱可塑性樹脂」とは、熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体が同一であり、該単量体の含有量がいずれも70質量%以上である熱可塑性樹脂を意味する。「異種の熱可塑性樹脂」とは、「同種の熱可塑性樹脂」以外の熱可塑性樹脂を意味し、具体的には、共通する単量体が存在しない熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体が異なる熱可塑性樹脂、又は最大含有量を占める単量体が同一であり、かつ少なくとも一方の最大含有量を占める単量体の含有量が70質量%未満である熱可塑性樹脂を意味する。
<熱可塑性樹脂材2>
 熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂は特に限定されるものではない。
 熱可塑性樹脂として、例えば、ポリプロピレン(PP、SP値:8.0(J/cm1/2)、ポリアミド6(PA6、SP値:12.7~13.6(J/cm1/2)、ポリアミド66(PA66、SP値:13.6(J/cm1/2)、ポリイミド(PI)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリフェニレンスルファイド(PPS、SP値:19.8(J/cm1/2)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカーボネート(PC、SP値:9.7(J/cm1/2)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、SP値:20.5(J/cm1/2)等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、本発明の効果を得る観点から、ポリプロピレン、変性ポリフェニレンエーテル、及びポリブチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
 本開示において、溶解パラメータ(SP値)とは、ヒルデブランドによって導入された正則溶液論により定義された、材料間の相互作用の程度の数値予測を提供する値(δ)である。
 SP値の算出法は種々提案されているが、例えば、Fedors(Polym.Eng.Sci.1974年、14巻、p.147)によって提案された手法に従い、下記式(1)を用いて求めることができる。
  δ=(ΣEcoh/ΣV)1/2   ・・・(1)
 ここで、δは溶解パラメータ(J0.5/cm1.5)、Ecohは凝集エネルギー密度(J/mol)、Vはモル分子容(cm/mol)を表し、Σは原子団ごとに与えられているこれらの数値を、モノマーを構成する原子団すべてについて和を取る意味である。原子団ごとのEcoh及びVの数値は、例えば“Properties of Polymers, Third completely revised edition”のTable7.3等に挙げられている。
 熱可塑性樹脂材2は、フィラー及び繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含んでもよい。例えば、熱可塑性樹脂材2は、上記熱可塑性樹脂と、タルク、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の補強材とを含む高剛性タイプであってもよい。熱可塑性樹脂がポリプロピレンである実施形態において、タルク含有ポリプロピレンとしては、例えば、サンアロマー株式会社製商品名TRC104Nが挙げられ、ガラス繊維含有ポリプロピレンとしては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製商品名PP-GF40-01 F02が挙げられ、炭素繊維含有ポリプロピレンとしては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製商品名PP-CF40-11 F008が挙げられる。
 ガラス繊維含有熱可塑性樹脂材は、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)の一種であり、炭素繊維含有熱可塑性樹脂材は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)の一種である。ガラス繊維、炭素繊維などの補強繊維を含む熱可塑性樹脂材は、シートモールディングコンパウンド(SMC)、バルクモールディングコンパウンド(BMC)などの成形体の形態であってもよい。SMCとは、熱可塑性樹脂、低収縮剤、充填剤などを混合した樹脂組成物を、ガラス繊維、炭素繊維などの補強繊維に含浸させることによって得られるシート状成形体である。
<プライマー層3>
 プライマー層3は、熱可塑性樹脂材2の上に積層される。
〔重合物組成物層3a〕
 プライマー層3の少なくとも1層は、特定の重合物組成物から形成される重合物組成物層3aである。
 重合物組成物層3aは、前記特定の重合物組成物又は該特定の重合物組成物を含む溶液を熱可塑性樹脂材2の上に塗布して得ることができる。熱可塑性樹脂材2の上に前記特定の重合物組成物を含む溶液を塗布する場合には、塗布後に溶剤を揮発させることにより重合性組成物層3aを形成することができる。
 重合物組成物層3aは前記特定の重合型組成物の重合物を90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましい。
 前記特定の重合物組成物は、下記(A)又は(B)の重合物組成物である。
 (A)下記(1)~(7)の少なくとも一種を含有する重合型組成物の重合物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、を含む重合物組成物
 (B)下記(1)~(7)の少なくとも一種を含有する重合型組成物の重合物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と、を含む重合物組成物
 (1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
 (2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
 (3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
 (4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
 (5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
 (6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
 (7)単官能ラジカル重合性モノマー
 前記(A)及び(B)の重合物組成物は、前記(4)を含有する重合型組成物の重合物を含有することが好ましく、前記(4)としては2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物との組み合わせがより好ましい。
 (1)における2官能イソシアネート化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
 (2)における2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物との配合量比は、アミノ基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
 (3)における2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
 (4)における2官能エポキシ化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
 (5)における2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物との配合量比は、カルボキシ基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
 (6)における2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
(2官能イソシアネート化合物)
 前記2官能イソシアネート化合物は、イソシアナト基を2個有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4-若しくは2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート化合物が挙げられる。前記2官能イソシアネート化合物は、プライマーの強度の観点から、TDI及びMDIが好ましい。
(ジオール)
 前記ジオールは、ヒドロキシ基を2個有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、及びビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類が挙げられる。前記ジオールは、プライマーの強靭性の観点から、プロピレングリコール、及びジエチレングリコールが好ましい。
(2官能アミノ化合物)
 前記2官能アミノ化合物は、アミノ基を2個有する化合物であり、例えば、2官能の脂肪族ジアミン、及び芳香族ジアミンが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、N-アミノエチルピペラジン等が挙げられる。芳香族ジアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルプロパン等が挙げられる。前記2官能アミノ化合物は、プライマーの強靭性の観点から、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、及び1,6-ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
(2官能チオール化合物)
 前記2官能チオール化合物は、分子内にメルカプト基を2つ有する化合物であり、例えば、2官能2級チオール化合物の1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標)BD1」)が挙げられる。
(2官能エポキシ化合物)
 前記2官能エポキシ化合物は、1分子中に2個のエポキシ基を有する化合物である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂、及び1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。
 前記2官能エポキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)834」、同「jER(登録商標)1001」、同「jER(登録商標)1004」、同「jER(登録商標)YX-4000」等が挙げられる。その他2官能であれば特殊な構造のエポキシ化合物も使用可能である。
(2官能カルボキシ化合物)
 前記2官能カルボキシ化合物は、カルボキシ基を2つ有する化合物であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。前記2官能カルボキシ化合物は、プライマーの強度又は強靭性の観点から、イソフタル酸、テレフタル酸、及びアジピン酸が好ましい。
(単官能ラジカル重合性モノマー)
 前記単官能ラジカル重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合を1個有するモノマーである。例えば、スチレンモノマー、スチレンのα-、o-、m-又はp-アルキル、ニトロ、シアノ、アミド又はエステル誘導体、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;及び(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。前記単官能ラジカル重合性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記単官能ラジカル重合性モノマーは、プライマーの強度又は強靭性の観点から、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、又はフェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びこれらの2種以上の組み合わせが好ましい。
 単官能ラジカル重合性モノマーのラジカル重合物を得る際には、ラジカル重合反応を十分に進行させ、所望の重合物を得るため、溶剤、及び必要に応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、前記ラジカル重合性組成物の溶剤以外の含有成分中、前記単官能ラジカル重合性モノマーが主成分であることが好ましい。前記主成分とは、前記単官能ラジカル重合性モノマーの含有率が50~100質量%であることを意味する。前記含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
 ラジカル重合反応のための重合開始剤としては、例えば、公知の有機過酸化物、光開始剤等が好適に用いられる。有機過酸化物にコバルト金属塩又はアミンを組み合わせた常温ラジカル重合開始剤を使用してもよい。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、又はパーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。光開始剤としては、紫外線から可視線の波長範囲内で重合が開始できるものを使用することが望ましい。
 ラジカル重合反応は、反応化合物等の種類にもよるが、常温~200℃で、5~90分間加熱して行うことが好ましい。光硬化の場合は紫外線又は可視光を照射して重合反応を行う。
 熱可塑性樹脂材2上に、プライマー層3として重合物組成物層3aが積層されていることにより、熱可塑性樹脂材2と、同種の熱可塑性樹脂材又は異種の熱可塑性樹脂材とを強固に溶着することができる。特に、重合物組成物層3aは、熱可塑性樹脂材2に直接に接する層であることが好ましい。
 前記重合物組成物としては、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂と同種又は類似の熱可塑性樹脂を含む組成物を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂材2がポリプロピレンの場合、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含む重合物組成物を用いることにより、より強固な溶着が可能となる。熱可塑性樹脂材2が変性ポリフェニレンエーテルの場合、変性ポリフェニレンエーテルを含む重合物組成物を用いることにより、より強固な溶着が可能となる。
 プライマー層3を、重合物組成物層3aを含む複数層で構成することもできる。プライマー層3が複数層からなる場合、必須となる重合物組成物層3aが、熱可塑性樹脂材2と反対側の最表面となるように積層することが好ましい。
(重合物組成物層A)
 重合物組成物層3aの実施形態の一つである重合物組成物層Aは、前記(A)重合物組成物から形成される。
 重合物組成物層Aを構成する重合物は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルの溶液中で、前記(1)~(6)の少なくとも一種を触媒存在下で重付加反応させて得ることができる。重付加反応のための触媒としては、例えば、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン、及びトリフェニルホスフィン等のリン系化合物が好適に用いられる。前記重付加反応は、組成物の組成にもよるが、常温~200℃で、5~120分間加熱して行うことが好ましい。
 具体的には、重合物組成物層Aは、前記(1)~(6)の少なくとも一種を含有する重合型組成物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルとの混合物を、熱可塑性樹脂材2に塗布する前に予め重付加反応させ、その反応物を含む混合物を、熱可塑性樹脂材2の上に塗布して形成することができる。
 重合物組成物層Aを構成する重合物は、前記(7)の単官能ラジカル重合性モノマーを含有する組成物を、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルの溶液中でラジカル重合反応させて得ることもできる。前記ラジカル重合反応は、組成物の組成にもよるが、常温~200℃で、5~90分間加熱して行うことが好ましい。光硬化の場合は紫外線又は可視光を照射して重合反応を行う。
 具体的には、重合物組成物層Aは、前記(7)の単官能ラジカル重合性モノマーを含有する重合型組成物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルとを混合し、加熱して得たラジカル重合反応物を含む混合物を、熱可塑性樹脂材2の上に塗布して形成することができる。
(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)
 前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、無水マレイン酸でグラフト変性されたポリプロピレンである。例えば、化薬アクゾ社製カヤブリッド002PP、002PP-NW、003PP、003PP-NW、三菱ケミカル株式会社製Modicシリーズ等が挙げられる。無水マレイン酸で機能化させたポリプロピレン添加剤としてBYK社製SCONA TPPP2112GA、TPPP8112GA、又はTPPP9212GAを併用してもよい。
(変性ポリフェニレンエーテル)
 前記変性ポリフェニレンエーテルとしては公知のものが使用できる。変性ポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテルにポリスチレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン等をブレンドしたものであり、例えば、SABIC社製NORYLシリーズ(PPS/PS):731、7310、731F、7310F、旭化成ケミカルズ株式会社製ザイロンシリーズ(PPE/PS、PP/PPE、PA/PPE、PPS/PPE、PPA/PPE)、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製エピエースシリーズ、レマロイシリーズ(PPE/PS、PPE/PA)等が挙げられる。
 前記重合物組成物層Aを得る際に使用する前記(1)~(7)の合計量は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルを100質量部としたとき、5~100質量部であることが好ましく、10~60質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることが更に好ましい。
(重合物組成物層B)
 重合物組成物層3aの実施形態の一つである重合物組成物層Bは、前記(B)重合物組成物から形成される。
 重合物組成物層Bは、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルの溶液中で、前記(1)~(6)の少なくとも一種を触媒存在下で重付加反応させた後、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と混合して得ることができる。熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂を含む溶液中で、前記(1)~(6)の少なくとも一種を触媒存在下で重付加反応させた後、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと混合して得ることもできる。無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と、前記(1)~(6)の少なくとも一種を触媒存在下で重付加反応させて得ることもできる。重付加反応のための触媒としては、例えば、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン、及びトリフェニルホスフィン等のリン系化合物が好適に用いられる。前記重付加反応は、組成物の組成にもよるが、常温~200℃で、5~120分間加熱して行うことが好ましい。
 具体的には、重合物組成物層Bは、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と、前記(1)~(6)の少なくとも一種を含有する重合型組成物との混合物を加熱して得た反応物を含む混合物を、熱可塑性樹脂材2の上に塗布して形成することができる。
 重合物組成物層Bは、前記(7)の単官能ラジカル重合性モノマーを含有する組成物を、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂を含む溶液中でラジカル重合反応させて得ることもできる。前記ラジカル重合反応は、組成物の組成にもよるが、常温~200℃で、5~90分間加熱して行うことが好ましい。光硬化の場合は紫外線又は可視光を照射して重合反応を行う。
 具体的には、重合物組成物層Bは、前記(7)の単官能ラジカル重合性モノマーを含有する重合型組成物の重合物に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂とを混合し、加熱して得た反応物を含む混合物を、熱可塑性樹脂材2の上に塗布して形成することができる。
 なお、前記重合物組成物層を形成する重合物組成物を得る際に生じる反応の仕方は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと2官能エポキシ樹脂の反応、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと2官能フェノール化合物との反応など、多岐にわたり、かつ、その組み合わせに基づく具体的態様を包括的に表現することもできない。よって、前記重合物組成物を構造又は特性により直接特定することは不可能又は非実際的といえる。
〔硬化性樹脂層3b〕
 プライマー層3を、重合物組成物層3aを含む複数層で構成する場合、図5に示すように、プライマー層3は、重合物組成物層3aと熱可塑性樹脂材2との間に、硬化性樹脂を含む組成物から形成された硬化性樹脂層3bを含むこともできる。
 前記硬化性樹脂を含む組成物は、前記硬化性樹脂の硬化反応を十分に進行させ、所望の硬化性樹脂層を形成させるため、溶剤、及び必要に応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、前記組成物の溶剤以外の含有成分中、前記硬化性樹脂が主成分であることが好ましい。前記主成分とは、前記硬化性樹脂の含有率が40~100質量%であることを意味する。前記含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。
 前記硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。
 硬化性樹脂層3bは、これらの樹脂のうちの1種で形成されていてもよく、2種以上が混合されて形成されていてもよい。硬化性樹脂層3bを複数層で構成し、各層を異なる種類の硬化性樹脂を含む組成物で形成することもできる。
 前記硬化性樹脂のモノマーを含む組成物により、硬化性樹脂層3bを形成するコーティング方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
 本開示において、硬化性樹脂は、広く、架橋硬化する樹脂を意味し、加熱硬化タイプに限られず、常温硬化タイプ及び光硬化タイプも包含する。前記光硬化タイプは、可視光又は紫外線の照射によって短時間での硬化も可能である。前記光硬化タイプを、加熱硬化タイプ及び/又は常温硬化タイプと併用してもよい。前記光硬化タイプとしては、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC-760」、同「リポキシ(登録商標)LC-720」等のビニルエステル樹脂が挙げられる。
(ウレタン樹脂)
 前記ウレタン樹脂は、通常、イソシアネート化合物のイソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応によって得られる樹脂であり、ASTM D16において、「ビヒクル不揮発成分10重量%以上のポリイソシアネートを含む塗料」と定義されるものに該当するウレタン樹脂が好ましい。前記ウレタン樹脂は、一液型であっても、二液型であってもよい。
 一液型ウレタン樹脂としては、例えば、油変性型(不飽和脂肪酸基の酸化重合により硬化するもの)、湿気硬化型(イソシアナト基と空気中の水との反応により硬化するもの)、ブロック型(ブロック剤が加熱により解離し再生したイソシアナト基と水酸基が反応して硬化するもの)、ラッカー型(溶剤が揮発して乾燥することにより硬化するもの)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点から、湿気硬化型一液ウレタン樹脂が好適に用いられる。具体的には、昭和電工株式会社製「UM-50P」等が挙げられる。
 二液型ウレタン樹脂としては、例えば、触媒硬化型(イソシアナト基と空気中の水等とが触媒存在下で反応して硬化するもの)、ポリオール硬化型(イソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応により硬化するもの)等が挙げられる。
 前記ポリオール硬化型におけるポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フェノール樹脂等が挙げられる。
 前記ポリオール硬化型におけるイソシアナト基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;2,4-若しくは2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はその多核体混合物であるポリメリックMDI等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族イソシアネート等が挙げられる。
 前記ポリオール硬化型の二液型ウレタン樹脂における前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物の配合比は、水酸基/イソシアナト基のモル当量比が0.7~1.5の範囲であることが好ましい。
 前記二液型ウレタン樹脂において使用されるウレタン化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ジメチルエーテルアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレン-トリアミン、N-メチルモルフォリン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン等のアミン系触媒;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート等の有機スズ系触媒等が挙げられる。
 前記ポリオール硬化型においては、一般に、前記ポリオール化合物100質量部に対して、前記ウレタン化触媒が0.01~10質量部配合されることが好ましい。
(エポキシ樹脂)
 前記エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂である。前記エポキシ樹脂の硬化前のプレポリマーとしては、例えば、エーテル系ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適に用いられる。エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)1001」等が挙げられる。
 ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製「D.E.N.(登録商標)438(登録商標)」等が挙げられる。
 前記エポキシ樹脂に使用される硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物、フェノール樹脂、チオール類、イミダゾール類、カチオン触媒等の公知の硬化剤が挙げられる。前記硬化剤を、長鎖脂肪族アミン又は/及びチオール類と併用することにより、伸び率が大きく、耐衝撃性に優れる硬化性樹脂層を形成することができる。
 前記チオール類の具体例としては、後述する官能基含有層を形成するためのチオール化合物として例示したものと同じ化合物が挙げられる。これらの中でも、硬化性樹脂層の伸び率及び耐衝撃性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標)PE1」)が好ましい。
(ビニルエステル樹脂)
 前記ビニルエステル樹脂は、ビニルエステル化合物を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とも呼ばれるが、本開示において、前記ビニルエステル樹脂には、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂も包含される。
 前記ビニルエステル樹脂としては、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができる。具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R-802」、同「リポキシ(登録商標)R-804」、同「リポキシ(登録商標)R-806」等が挙げられる。
 前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリルモノマー(及び必要に応じて水酸基含有アリルエーテルモノマー)を反応させて得られるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R-6545」等が挙げられる。
 前記ビニルエステル樹脂は、有機過酸化物等の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
 前記有機過酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアリルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等が挙げられる。これらをコバルト金属塩等と組み合わせることにより、常温での硬化も可能となる。
 前記コバルト金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられる。これらの中でも、ナフテン酸コバルト及びオクチル酸コバルトが好ましい。
(不飽和ポリエステル樹脂)
 前記不飽和ポリエステル樹脂は、ポリオール化合物と不飽和多塩基酸(及び、必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。
 前記不飽和ポリエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができる。具体的には、昭和電工株式会社製「リゴラック(登録商標)」等が挙げられる。
 前記不飽和ポリエステル樹脂は、前記ビニルエステル樹脂と同様の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
〔プライマー層3の作用〕
 プライマー層3は、熱可塑性樹脂材2の表面に形成される。
 プライマー層3によって、接合対象である第2樹脂部材4との優れた接合性が付与され得る。数ヶ月間の長期にわたって、前記の接合性を維持し得る第1樹脂部材1を得ることもできる。また、プライマー層3により熱可塑性樹脂材2の表面が保護され、汚れの付着、酸化等の変質を抑制することができる。
[第2樹脂部材4]
 第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂は、第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂と同種であってもよく、異種であってもよい。強固に溶着する観点から、これらの熱可塑性樹脂は同種であることが好ましい。
 2つの熱可塑性樹脂材を接合しようとする場合、一方の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂と、他方の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂とが同種であっても、一方又は双方の熱可塑性樹脂にフィラー又は繊維が含有されていたり、該熱可塑性樹脂が他の熱可塑性樹脂とのブレンドであったりすると、従来技術によれば、2つの熱可塑性樹脂材間の接合強度が不十分となる場合がある。本開示によれば、これらの場合であっても、第1樹脂部材1と第2樹脂部材4とを(第1樹脂部材1に含まれる)プライマー層3を介して強固に溶着することができる。
 第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂と第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂とが同種である場合、熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体の割合は、いずれも70質量%以上であり、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは85~100質量%である。
 第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2及び/又は第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材がフィラー及び繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する場合、その含有量は、好ましくは5~50質量%、より好ましくは5~40質量%、更に好ましくは5~30質量%である。前記含有量が前記範囲内であると第1樹脂部材1と第2樹脂部材4との接合強度を高めることができる。
 第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂及び/又は第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂が、主たる熱可塑性樹脂と従たる熱可塑性樹脂のブレンドである場合、従たる熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは5~40質量%、より好ましくは5~30質量%、更に好ましくは5~20質量%である。前記含有率が前記範囲内であると第1樹脂部材1と第2樹脂部材4との接合強度を高めることができる。
 前記含有率は下記式により求めることができる。
  含有率(質量%)=[B/(A+B)]×100
(式中、Aは第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂及び/又は第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂のうち主たる熱可塑性樹脂の質量(g)であり、Bは第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂及び/又は第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂のうち従たる熱可塑性樹脂の質量(g)である。)
 本開示によれば、第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂と第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂とが異種である場合でも、第2樹脂部材4と第1樹脂部材1とを強固に溶着することができる。更に、第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂のSP値と、第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂のSP値とが離れている場合でも、第2樹脂部材4と第1樹脂部材1とを強固に溶着することができる。
[バックドアアウターパネル10(樹脂-樹脂接合体)]
 図6は、第1樹脂部材1と第2樹脂部材4とが溶着された状態の概略断面図であり、例えば、図3の丸囲み部分Aを示す図である。バックドアアウターパネル10(樹脂-樹脂接合体)は、第1樹脂部材1と第2樹脂部材4とを(第1樹脂部材1に含まれる)プライマー層3を介して溶着させることにより形成される。
 図6に示すように、バックドアアウターパネル10では、バックドアアウターパネル本体4(12)の熱可塑性樹脂材と、補強リブ1(14)の熱可塑性樹脂材2及びブラケット1(16)の熱可塑性樹脂材2とが、(補強リブ1及びブラケット1に含まれる)プライマー層3を介して溶着されている。
 上述したように、補強リブ14(1)の存在により、バックドアアウターパネル本体12(4)の中央部分が薄肉化されていても、バックドアアウターパネル10としての所望の剛性を実現することができる。また、本実施形態のバックドアアウターパネル10は、バックドアアウターパネル本体4(12)に補強リブ14(1)等を射出成形せずに、上述の方法(即ちプライマー層(3)を介する接合)によって製造されるものであるため、得られたバックドアアウターパネル10の外装面にヒケと呼ばれる外観不良は存在しない。さらに、本実施形態のバックドアアウターパネル10は、別体で成形した補強リブをバックドアアウターパネルの内側に接着剤を用いて接着する場合とは異なり、複数の工程(樹脂面のフレーム処理、プラズマ処理などの下地処理、プライマー塗工、接着剤塗布、接着剤硬化など)を経ずに上述の方法によって製造されるものであるため、安価に製造することができる。
 以上により、本実施形態では、軽量化を図った場合であっても所望の剛性を実現するととともに、良好な外観を実現し得るバックドアアウターパネルを提供することができるとともに、そのようなバックドアアウターパネルを安価で製造することができる。
 一実施形態では、第1樹脂部材1の高さと厚さのアスペクト比(高さ/厚さ)が5以上であり、第2樹脂部材4の厚さに対する第1樹脂部材1の高さの比が5以上である。
 第1樹脂部材1又は第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材が、ポリプロピレンと、タルク、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の補強材とを含み、第1樹脂部材1又は第2樹脂部材4が引張強度40MPa以上及びヤング率3GPa以上の特性を有することが好ましい。
 第1樹脂部材1又は第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材が、ポリエーテルイミドと、タルク、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の補強材とを含み、第1樹脂部材1又は第2樹脂部材4が引張強度90MPa以上及びヤング率3GPa以上の特性を有することが好ましい。
 プライマー層3の厚さ(乾燥後の厚さ)は、第1樹脂部材1及び第2樹脂部材4の材質及び接合部分の接触面積にもよるが、優れた接合強度を得る観点から、1μm~500μmであることが好ましく、より好ましくは3μm~100μm、更に好ましくは5μm~70μmである。重合物組成物層3aの厚さ(乾燥後の厚さ)は、好ましくは1~60μmである。プライマー層3が複数層の場合、プライマー層3の厚さ(乾燥後の厚さ)は、各層合計の厚さとする。
 バックドアアウターパネル10(樹脂-樹脂接合体)を製造する方法としては、第1樹脂部材1のプライマー層3に、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱板溶着法、及び熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、第2樹脂部材4を溶着する方法、及び第1樹脂部材1のプライマー層3の上に、射出成形によって第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を成形する方法が挙げられる。
 製造装置への要求の軽減、製造工程の簡略化、及び樹脂部材の設計自由度の観点から、バックドアアウターパネル10(樹脂-樹脂接合体)は、熱プレス法により製造されることが有利である。具体的には、プライマー層3を加熱し、加熱されたプライマー層3が第1樹脂部材1と第2樹脂部材4の間に介在するように第1樹脂部材1と第2樹脂部材4を圧着することにより、バックドアアウターパネル10(樹脂-樹脂接合体)を製造することができる。プライマー層の加熱温度は、接合させる樹脂の融点、軟化点に依存し、100℃~350℃であることが好ましい。例えば樹脂がナイロン6である場合、加熱温度は230℃であることが好ましい。また、融点を持つプライマー層は、加熱温度を融点±5℃とすることが好ましく、軟化点を持つプライマー層は、加熱温度を軟化点±15℃にすることが好ましい。圧着時の圧力は、0.01MPa~10MPaであることが好ましい。
 別の実施形態では、第1樹脂部材1ではなく、第2樹脂部材4が、熱可塑性樹脂材に積層された1層又は複数層のプライマー層を有してもよい。第2樹脂部材4のプライマー層3’として、上述したプライマー層3と同様のものを使用することができる。この実施形態において、第1樹脂部材1と第2樹脂部材4の溶着は、上述の「第1樹脂部材1」をこの実施形態における「第2樹脂部材4」に、上述の「第2樹脂部材4」をこの実施形態における「第1樹脂部材1」と読み替えることより、実施することができる。
 更に別の実施形態では、第1樹脂部材1及び第2樹脂部材4の両方が上述のプライマー層3、3’を有し、第1樹脂部材1のプライマー層3と第2樹脂部材4のプライマー層3’とが溶着されている。この実施形態において、第1樹脂部材1の熱可塑性樹脂材2を構成する熱可塑性樹脂と、第2樹脂部材4の熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂とは、同種であってもよく、異種であってもよい。この実施形態において、バックドアアウターパネル10(樹脂-樹脂接合体)は、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、及び熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法、好ましくは熱プレス法を用いて、第1樹脂部材1のプライマー層3と第2樹脂部材4のプライマー層3’とを溶着することによって製造することができる。
 本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
 本発明に関連した実施試験例及び比較試験例を以下に示すが、本発明は下記実施試験例に限定されるものではない。
<試験片用熱可塑性樹脂材>
 以下に示す表1の条件で、射出成形機(住友重機械工業株式会社製 SE100V)を使用して、引張試験のための試験片用熱可塑性樹脂材(幅10mm、長さ45mm、厚さ3mm):タルク入りPP樹脂、m-PPE樹脂、PC樹脂、及びガラス繊維入りPBT樹脂を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
<試験片の作製:実施試験例1~3、及び比較試験例1~2>
(プライマー層形成用の組成物-1の作製)
 フラスコに無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三菱ケミカル株式会社製Modic(登録商標)ER321P):5g、キシレン:95gを仕込み、撹拌しながら125℃に昇温して溶解した。次に、2官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製jER(登録商標)1001)(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子量約900):1.01g、ビスフェノールA:0.24g、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール:0.006gをフラスコ中に投入し、125℃で30分間撹拌し、前記2官能エポキシ樹脂とビスフェノールAの重付加反応を行った。このようにして、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、及び前記2官能エポキシ樹脂とビスフェノールAとの重合物(熱可塑性エポキシ樹脂)を含む組成物-1(以下、単に組成物-1ともいう)を得た。
(プライマー層形成用の組成物-2の作製)
 フラスコに変性ポリフェニレンエーテル(SABIC社製NOLYL731):3.77g、キシレン:95gを仕込み、撹拌しながら125℃に昇温して溶解した。次に、2官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製jER(登録商標)1001):1.0g、ビスフェノールA:0.22g、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール:0.005gをフラスコ中に投入し、125℃で30分間撹拌し、前記2官能エポキシ樹脂とビスフェノールAの重付加反応を行った。このようにして、前記変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して32質量部の前記2官能エポキシ樹脂とビスフェノールAとの重合物(熱可塑性エポキシ樹脂)を含む組成物-2(以下、単に組成物-2ともいう)を得た。
(プライマー層の形成)
 次に、前記試験片用熱可塑性樹脂材のPP(タルク30質量%)、又はPBT(ガラス繊維30質量%)の片側の表面に乾燥後の厚さが80μmになるように組成物-1をスプレー法にて塗布した。空気中に常温で30分間放置することによって溶剤(キシレン)を揮発させた後、150℃の炉中に30分間加熱し、常温まで放冷して、組成物-1をプライマー層として有する試験片PP-1、及びPBT-1を得た。
 前記試験片用熱可塑性樹脂材のm-PPEの片側の表面に乾燥後の厚さが80μmになるように組成物-2をスプレー法にて塗布した。空気中に常温で30分間放置することによって溶剤(キシレン)を揮発させた後、150℃の炉中に30分間加熱し、常温まで放冷して、組成物-2をプライマー層とする試験片m-PPE-1を得た。
 以下、試験片においてプライマー層を形成した面をプライマー面、プライマー層を形成していない面をプライマー無し面という。また、下記表2において、プライマー層を有する面を(有)、プライマー層を有さない面を(無)と表記する。
<実施試験例1>
(溶着)
 PP-1のプライマー面とm-PPE-1のプライマー面とを接合部が重なり長さ5mm、幅10mmとなるように重ね合わせた状態で、精電舎電子工業株式会社製超音波溶着機SONOPET-JII430T-M(28.5KHz)を使用して超音波溶着し、試験片1(樹脂-樹脂接合体)を得た。ここで接合部とは、試験片用熱可塑性樹脂材を重ね合わせた箇所を意味する。
(引張りせん断強度)
 試験片1について、常温で1日間放置後、ISO19095 1-4に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製万能試験機オートグラフ「AG-IS」、ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて、引張りせん断強度試験を行い、接合強度を測定した。測定結果を下記表2に示す。
<実施試験例2>
(溶着)
 PP-1のプライマー面とPBT-1のプライマー面とを接合部が重なり長さ5mm、幅10mmとなるように重ね合わせた状態で、精電舎電子工業株式会社製超音波溶着機SONOPET-JII430T-M(28.5KHz)を使用して超音波溶着し、試験片2(樹脂-樹脂接合体)を得た。
(引張りせん断強度)
 試験片2について、実施試験例1と同じ手法で引張りせん断強度試験を行った。測定結果を下記表2に示す。
<実施試験例3>
(溶着)
 m-PPE-1のプライマー面と前記試験片用熱可塑性樹脂材のPCの片面(プライマー無し面)とを接合部が重なり長さ5mm、幅10mmとなるように重ね合わせた状態で、精電舎電子工業株式会社製超音波溶着機SONOPET-JII430T-M(28.5KHz)を使用して超音波溶着し、試験片3(樹脂-樹脂接合体)を得た。
(引張りせん断強度)
 試験片3について、実施試験例1と同じ手法で引張りせん断強度試験を行った。測定結果を下記表2に示す。
<比較試験例1>
 PP-1のプライマー無し面とPBT-1のプライマー無し面とを接合部が重なり長さ5mm、幅10mmとなるように重ね合わせた状態で、精電舎電子工業株式会社製超音波溶着機SONOPET-JII430T-M(28.5KHz)を使用して超音波溶着を試みたが溶着できなかった。
<比較試験例2>
 m-PPE-1のプライマー無し面と前記試験片用熱可塑性樹脂材のPCの片面(プライマー無し面)とを接合部が重なり長さ5mm、幅10mmとなるように重ね合わせた状態で、精電舎電子工業株式会社製超音波溶着機SONOPET-JII430T-M(28.5KHz)を使用して超音波溶着を試みたが溶着できなかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
<実施試験例4:試験片4-1及び4-2>
 プライマー付き熱可塑性樹脂材m-PPE-1又はPP-1を金型にインサートして、そのプライマー面にPBTを表1と同一条件で射出成形して、前記プライマー面とPBT(幅10mm、長さ45mm、厚さ3mm)との接合部が重なり長さ5mm、幅10mmとなる試験片(2種)を得た。
(引張りせん断強度)
 各試験片について、実施試験例1と同じ手法で引張りせん断強度試験を行った。測定結果を下記表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 本発明は、バックドアアウターパネル及びその製造方法に利用可能である。
  1  第1樹脂部材
  2  熱可塑性樹脂材
  3  プライマー層
  3a 重合物組成物層
  3b 硬化性樹脂層
  4  第2樹脂部材
  10 バックドアアウターパネル(樹脂-樹脂接合体)
  12 バックドアアウターパネル本体
  14 補強リブ
  14a 長手方向部
  14b 短手方向部
  16 ブラケット
  A 丸囲み部分

Claims (12)

  1.  熱可塑性樹脂材を有する第1樹脂部材と、
     熱可塑性樹脂材を有する第2樹脂部材と、
     前記第1樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材及び前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材の少なくとも1つに積層された1層又は複数層のプライマー層と
    を備えるバックドアアウターパネルであって、
     前記第1樹脂部材が補強リブ及び/又はブラケットであり、
     前記第2樹脂部材がバックドアアウターパネル本体であり、
     前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とが前記プライマー層を介して溶着されており、
     前記プライマー層の少なくとも1層が、下記(A)又は(B)の重合物組成物から形成された重合物組成物層である、バックドアアウターパネル。
     (A)下記(1)~(7)の少なくとも一種を含有する重合型組成物の重合物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、を含む重合物組成物
     (B)下記(1)~(7)の少なくとも一種を含有する重合型組成物の重合物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン又は変性ポリフェニレンエーテルと、前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と、を含む重合物組成物
     (1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
     (2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
     (3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
     (4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
     (5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
     (6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
     (7)単官能ラジカル重合性モノマー
  2.  前記重合物組成物層が、前記熱可塑性樹脂材に直接に接する層である、請求項1に記載のバックドアアウターパネル。
  3.  前記重合物組成物が、前記(4)を含有する重合型組成物の重合物を含有し、かつ、前記(4)のジオールが2官能フェノール化合物である、請求項1又は2のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
  4.  前記プライマー層が、前記重合物組成物層と前記熱可塑性樹脂材との間に硬化性樹脂を含む組成物から形成された硬化性樹脂層を有する、請求項1又は3のいずれかに記載のバックドアアウターパネル。
  5.  前記硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載のバックドアアウターパネル。
  6.  前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、変性ポリフェニレンエーテル、及びポリブチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載のバックドアアウターパネル。
  7.  前記第1樹脂部材及び前記第2樹脂部材の両方が前記プライマー層を有し、前記第1樹脂部材の前記プライマー層と前記第2樹脂部材の前記プライマー層とが溶着されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のバックドアアウターパネル。
  8.  前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体と、前記第1樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材を構成する熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体とが同一であり、該単量体の含有量がいずれも70質量%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のバックドアアウターパネル。
  9.  前記第1樹脂部材の高さと厚さのアスペクト比(高さ/厚さ)が5以上であり、前記第2樹脂部材の厚さに対する前記第1樹脂部材の高さの比が5以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載のバックドアアウターパネル。
  10.  前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材が、ポリプロピレンと、タルク、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の補強材とを含み、前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材が引張強度40MPa以上及びヤング率3GPa以上の特性を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のバックドアアウターパネル。
  11.  前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材の前記熱可塑性樹脂材が、ポリエーテルイミドと、タルク、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の補強材とを含み、前記第1樹脂部材又は前記第2樹脂部材が引張強度90MPa以上及びヤング率3GPa以上の特性を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のバックドアアウターパネル。
  12.  請求項1~11のいずれか1項に記載のバックドアアウターパネルの製造方法であって、前記プライマー層を加熱し、加熱された前記プライマー層が前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材の間に介在するように前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材を圧着することにより、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材を溶着することを含む、バックドアアウターパネルの製造方法。
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