JP2022083664A - 接合体の製造方法 - Google Patents

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信行 高橋
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Abstract

【課題】同種の樹脂及び異種の樹脂を、超音波溶着により十分な接合強度で接合させることができる、接合体の製造方法及びその接合体を提供する。また、樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を、超音波溶着により十分な接合強度で接合させることができる、接合体の製造方法及びその接合体を提供する。【解決手段】第1の樹脂と、第2の樹脂を接合してなる接合体の製造方法であって、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、前記第2の樹脂に、前記プライマー層(A)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法。第1の樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を接合してなる接合体の製造方法であって、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、前記材料上で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いてプライマー層(C)を形成する工程と、前記プライマー層(A)と前記プライマー層(C)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、同種の樹脂及び異種の樹脂を超音波溶着により接合してなる接合体の製造方法、並びに樹脂と金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を超音波溶着により接合してなる接合体の製造方法に関する。また、樹脂と樹脂を超音波溶着により接合してなる接合体、並びに樹脂と金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を超音波溶着により接合してなる接合体に関する。
近年、製品の軽量化及び低コスト化等の観点から、自動車部品、医療機器、家電製品等、各種分野の部品を樹脂化して樹脂成形品とすることが頻繁に行われている。また、樹脂成形品の生産性向上等の観点から、樹脂成形品を予め複数に分割して成形し、これらの分割成形品を互いに接合する手段が採られることがある。
このような樹脂からなる分割成形品を互いに接合する手段として、機械的接合、接着剤接合、溶着等が用いられている。このなかでも溶着は生産性が高い接合方法であり、接合材を加熱する方法によって様々な方法がある。具体的には、超音波溶着や振動溶着、熱溶着、熱風溶着、誘導溶着、射出溶着等がある。これらの溶着のなかでも、特に超音波溶着は再現性及び生産性に優れることから、幅広く用いられている。
超音波による接合に関し、例えば、特許文献1及び2には、熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体と、前記成形体の熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂の間に、官能基を有する熱可塑性シート材と強化繊維束を介在させて超音波溶着する技術が開示されている。また、特許文献3には、被溶着部材の間に中間層を挿入して、この中間層を超音波共振体ホーンに固定して振動させることによって両被溶着部材を超音波溶着する技術が開示されている。
特開2017-202667号公報 特開2017-206014号公報 特開2008-284862号公報
超音波溶着では、超音波の振動で加熱された接合界面の分子拡散による絡み合いや結晶化によって溶着が発現される。しかしながら、特許文献1~3に記載の超音波溶着等では分子拡散による分子の絡み合いと結晶化が不十分となり、十分な接合強度が得られ難いという問題点があった。
また、超音波溶着は、一般的に、樹脂と樹脂との接合に用いられる接合方法である。しかしながら、超音波溶着は、他の溶着に比べ、消費電力が小さくコストが低い、自動化し易く制御がし易い等、生産性及び再現性に特に優れ、溶着時に異臭が発生せず環境にやさしい等の利点があることから、樹脂と金属、ガラス、セラミックス等の異種材との接合においても、超音波溶着により十分な接合強度で接合させることができる製造方法が求められていた。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、同種の樹脂及び異種の樹脂を、超音波溶着により十分な接合強度で接合させることができる、接合体の製造方法及びその接合体を提供することを目的とする。また、樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を、超音波溶着により十分な接合強度で接合させることができる、接合体の製造方法及びその接合体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供するものである。
[1]第1の樹脂と、第2の樹脂を接合してなる接合体の製造方法であって、
前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、
前記第2の樹脂に、前記プライマー層(A)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法。
[2]前記第2の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(B)を形成する工程を含み、
前記溶着する工程が、前記プライマー層(A)と、前記プライマー層(B)を、超音波溶着により溶着する、上記[1]に記載の接合体の製造方法。
[3]第1の樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を接合してなる接合体の製造方法であって、
前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、
前記材料上で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いてプライマー層(C)を形成する工程と、
前記プライマー層(A)と前記プライマー層(C)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法。
[4]前記プライマー層(A)を形成する工程が、前記第1の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合することにより、熱可塑性樹脂を含むプライマー層(A)を形成する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の接合体の製造方法。
[5]前記プライマー層(B)を形成する工程が、前記第2の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合することによりプライマー層(B)を形成する、上記[2]に記載の接合体の製造方法。
[6]前記プライマー層(C)を形成する工程が、前記材料上で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することによりプライマー層(C)を形成する、上記[3]に記載の接合体の製造方法。
[7]前記第1の樹脂のプライマー層(A)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、上記[1]~[6]のいずれかに記載の接合体の製造方法。
[8]前記第2の樹脂のプライマー層(A)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、上記[1]に記載の接合体の製造方法。
[9]前記第2の樹脂のプライマー層(B)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、上記[2]または[5]に記載の接合体の製造方法。
[10]前記材料のプライマー層(C)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理及び官能基付与処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、上記[3]または[6]に記載の接合体の製造方法。
[11]前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物が、下記(a)~(g)から選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[4]~[6]のいずれかに記載の接合体の製造方法。
(a)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
(b)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
(c)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(d)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
(e)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
(f)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(g)ラジカル重合性単官能モノマーの組み合わせ
[12]前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物が、更に無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含む、上記[11]に記載の接合体の製造方法。
[13]前記材料に、下記(c1)~(c7)から選ばれる少なくともいずれかを含む溶液を塗布して官能基付与処理面を形成した後、官能基付与処理面に、プライマー層(C)を形成する、上記[3]、[6]及び[10]のいずれかに記載の接合体の製造方法。
(c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
(c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
(c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c6)イソシアネート化合物
(c7)チオール化合物
[14]前記プライマー層(A)を形成する工程が、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より15℃高い温度以下または融点より5℃高い温度以下に加熱してプライマー層(A)を形成する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の接合体の製造方法。
[15]前記プライマー層(B)を形成する工程が、前記第2の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂の軟化点より15℃高い温度以下または融点より5℃高い温度以下に加熱してプライマー層(B)を形成する、上記[2]又は[5]に記載の接合体の製造方法。
[16]上記[1]~[15]のいずれかに記載の接合体の製造方法によって得られた接合体。
本発明の接合体の製造方法によれば、同種の樹脂及び異種の樹脂を超音波溶着により十分な接合強度で接合させることができる。また、樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を超音波溶着により十分な接合強度で接合させることができる。
したがって、本発明によれば、超音波溶着により、十分な接合強度で同種の樹脂及び異種の樹脂が接合された接合体、並びに樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料が接合された接合体を提供することができる。
以下、本発明の接合体の製造方法、及び接合体の実施形態を説明する。
なお、本明細書における各用語の定義は、以下のとおりである。
「接合」とは、物と物を繋ぎ合わせることを意味し、溶着及び接着は、その下位概念である。「溶着」とは、樹脂、金属、ガラス及びセラミックス等の接合材の接合面同士を、少なくとも一方の接合面に存在する成分の軟化点を超えるまたは融点を超える温度まで加熱し、接触加圧及び冷却での分子拡散による絡み合いや結晶化によって接合状態とすることを意味する。「接着」とは、テープや接着剤等の有機材料(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等)を介して、被着材を接合状態とすることを意味する。
「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。同様に、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味し、また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。
「常温」とは、5~30℃の範囲内の一般的な室温を意味する。
[接合体の製造方法]
本実施形態の一態様に係る接合体の製造方法は、第1の樹脂と、第2の樹脂を接合してなる接合体の製造方法であって、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、前記第2の樹脂に、前記プライマー層(A)を超音波溶着により溶着する工程を含む。
本実施形態において、超音波溶着とは、樹脂、金属、ガラス及びセラミックス等の接合材の接合面同士を、超音波の振動により、少なくとも一方の接合面に存在する成分の軟化点または融点を超える温度まで加熱し、接触加圧及び冷却での分子拡散による絡み合いや結晶化によって接合状態とすることを意味する。
本実施形態の一態様に係る接合体の製造方法においては、前記第2の樹脂にプライマー層を形成することなく、前記第1の樹脂のプライマー層(A)と前記第2の樹脂を超音波溶着により溶着してもよい。また、前記超音波溶着を行う前に、前記第2の樹脂表面にプライマー層(B)を形成し、前記プライマー層(A)と、前記プライマー層(B)を超音波溶着により溶着してもよい。すなわち、本実施形態の一態様に係る接合体の製造方法は、前記第2の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂材の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(B)を形成する工程を含み、前記溶着する工程が、前記プライマー層(A)と、前記プライマー層(B)を、超音波溶着により溶着する工程であってもよい。
本実施形態の他の態様に係る接合体の製造方法は、第1の樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を接合してなる接合体の製造方法であって、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度または融点以上より5℃低い温度に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、前記材料上で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いてプライマー層(C)を形成する工程と、前記プライマー層(A)と前記プライマー層(C)を超音波溶着により溶着する工程を含む。
<第1の樹脂及び第2の樹脂>
第1の樹脂及び第2の樹脂は、同種の樹脂であっても異種の樹脂であってもよい。
第1の樹脂及び第2の樹脂としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、一般的な合成樹脂でよく、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の汎用樹脂;ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)等のポリアミド樹脂、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)等の汎用エンジニアリングプラスチック;ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリスルホン(PSU)、液晶ポリマー(LCP)等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、十分な接合強度を得る観点から、PP、PC、PBT、PA6、PA66、PEI、及びPPSが好ましい。
第1の樹脂及び第2の樹脂は、樹脂のみで構成されているものであっても、ガラス繊維や炭素繊維で強化された繊維強化プラスチック(FRP)等であってもよい。
第1の樹脂及び第2の樹脂は、予め成形された成形体であることが好ましく、また、塗膜として形成されたものであってもよい。前記樹脂の形態としては、例えば、バルク、フィルム、シート、FRP成形体等が挙げられる。これらのうちから選ばれる1種であっても、2種以上の複合体であってもよい。
第1の樹脂及び第2の樹脂の製造方法や成形方法は、特に限定されるものではなく、本実施形態では、公知の方法で得られる樹脂を適用することができる。第1の樹脂及び第2の樹脂は、例えば、顔料等の着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態においては、第1の樹脂及び第2の樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記第1の樹脂が、前記第2の樹脂を構成する熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂材である場合に、第1の樹脂と第2の樹脂を強固に溶着する用途に好適である。また、前記第1の樹脂が、前記第2の樹脂を構成する熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂材である場合、一般に、第1の樹脂と第2の樹脂とのSP値は離れていることが多いが、そのような異種の熱可塑性樹脂材を強固に溶着する用途にも好適である。
ここで、本明細書において、「同種の熱可塑性樹脂」とは、熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体が同一であり、該単量体の含有量がいずれも70質量%以上である熱可塑性樹脂を意味する。また、「異種の熱可塑性樹脂」とは、「同種の熱可塑性樹脂」以外の熱可塑性樹脂を意味し、具体的には、共通する単量体が存在しない熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂を構成する単量体において、最大含有量を占める単量体が異なる熱可塑性樹脂、または最大含有量を占める単量体が同一であり、かつ少なくとも一方の最大含有量を占める単量体の含有量が70質量%未満である熱可塑性樹脂を意味する。
<金属>
金属としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、チタン等が挙げられる。
なお、本実施形態において、「鉄」の語は、鉄及びその合金を含む意味で用いられる。鉄の合金としては、例えば、鋼、ステンレス等が挙げられる。同様に、銅、アルミニウム、マグネシウム、チタンも、これらの単体及びその合金を含む意味で用いるものとする。
これらのうち、得られる接合体の軽量化の観点から、アルミニウムが好ましい。
<ガラス>
前記ガラスとしては、特に限定されるものではなく、一般的なガラスの他、耐熱ガラス、防火ガラス、耐火ガラス、スマートフォンの保護等に用いられる化学強化ガラス等であってもよい。具体的には、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。
<セラミックス>
前記セラミックスとしては、特に限定されるものではく、例えば、半導体、自動車、産業用機器等に用いられるファインセラミックス等が挙げられる。具体的には、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム等の酸化物系セラミックス;ハイドロキシアパタイト等の水酸化物系セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物系セラミックス;窒化ケイ素等の窒化物系セラミックス等が挙げられる。
〔表面処理〕
第1の樹脂、第2の樹脂、金属、ガラス、及びセラミックスにおけるプライマー層(A)~(C)を形成する側の接合面には、清浄化やアンカー効果による接合強度向上の観点から、プライマー層(A)~(C)を形成する前に、表面処理を施しておいてもよい。特に、金属、ガラス及びセラミックス等の材料は、プライマー層(C)を表面に形成する場合、前記材料とプライマー層(C)との接合が良好になりやすく、第1の樹脂と材料との接合強度向上に間接的に寄与し得る。
前記表面処理としては、例えば、溶剤等による洗浄、脱脂処理、ブラスト処理、サンディング等の研磨処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理、レーザー処理、エッチング処理、ベーマイト処理、官能基付与処理等が挙げられ、接合材の材料に応じて、適宜選択される。
第1の樹脂においては、プライマー層(A)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施すことが好ましい。
第2の樹脂においては、プライマー層(A)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施すことが好ましい。
また、第2の樹脂においては、プライマー層(B)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施すことも好ましい。
金属、ガラス及びセラミックス等の材料においては、プライマー層(C)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施すことが好ましい。
前記表面処理は、1種のみであってもよく、2種以上組み合わせて行ってもよい。前記表面処理の具体的な方法は、公知の方法を適用することができる。
(官能基付与処理)
前記官能基付与処理とは、金属、ガラス及びセラミックスの表面に官能基を付与する処理である。金属、ガラス及びセラミックスのプライマー層(C)側接合面は、十分な接合強度を得る観点から、官能基付与処理を行うことが好ましい。なお、官能基付与処理と上述した官能基付与処理以外の表面処理を併用して行う場合、官能基付与処理以外の表面処理を行った後、官能基付与処理を行うことが好ましい。
金属、ガラス及びセラミックスのプライマー層(C)側接合面は、十分な接合強度を得る観点から、官能基付与処理により下記(C1)~(C7)から選ばれる少なくとも1つの官能基を付与された面(官能基付与処理面)であることが好ましい。
(C1)シランカップリング剤由来の、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基
(C2)シランカップリング剤由来のアミノ基と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C3)シランカップリング剤由来のメルカプト基と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C4)シランカップリング剤由来の(メタ)アクリロイル基と、チオール化合物とが反応して生じた官能基
(C5)シランカップリング剤由来のエポキシ基と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C6)イソシアネート化合物由来のイソシアナト基
(C7)チオール化合物由来のメルカプト基
官能基を付与された面である官能基付与処理面は、上記の(C1)~(C7)の官能基のうち、プライマー層(C)を形成する熱可塑性樹脂組成物または熱可塑性樹脂に含まれる官能基と反応性を有する官能基を含んでいることが好ましい。これらの官能基は、1種単独でも、2種以上を含んでいてもよい。
官能基付与処理面が有する官能基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアナト基、カルボキシ基、水酸基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
(C1)及び(C5)におけるエポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C2)におけるアミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C4)における(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C3)におけるメルカプト基を有するシランカップリング剤としては3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(C2)及び(C3)におけるエポキシ化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、後述の現場重合型熱可塑性樹脂組成物における2官能エポキシ化合物等が挙げられる。
(C2)、(C4)、(C5)及び(C7)におけるチオール化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、後述の現場重合型熱可塑性樹脂組成物におけるジチオール化合物等が挙げられる。
(C3)及び(C5)におけるアミノ化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、後述の現場重合型熱可塑性樹脂組成物ジアミノ化合物等が挙げられる。
官能基(C3)及び(C6)におけるイソシアネート化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、後述の現場重合型熱可塑性樹脂組成物におけるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
(C3)におけるエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C3)及び(C5)におけるアミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
金属、ガラス及びセラミックスは、十分な接合強度を得る観点から、下記(c1)~(c7)から選ばれる少なくともいずれかを含む溶液を塗布して、官能基付与処理面を形成した後、官能基付与処理面に、プライマー層(C)を形成することが好ましい。
(c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
(c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
(c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c6)イソシアネート化合物
(c7)チオール化合物
(c1)~(c7)の化合物は、上記の(C1)~(C7)の官能基にそれぞれ対応し、これらの官能基を生成させるものである。すなわち、(c1)を含む溶液を用いた官能基付与処理により、(C1)の官能基を含む官能基付与処理面を形成することができる。(c2)~(c7)についても同様である。
例えば、(c2)による処理で、アミノ基にジチオール化合物を反応させた場合、該ジチオール化合物が有する官能基であるメルカプト基が末端に導入される。同様に、(c3)による処理で、メルカプト基に多官能イソシアネート化合物を反応させた場合、該多官能イソシアネート化合物が有する官能基であるイソシアナト基が末端に導入される。
なお、金属、ガラス及びセラミックスの官能基付与処理面にプライマー層(C)が形成されると、官能基付与処理面の(C1)~(C7)の官能基は、プライマー層(C)を構成する化合物の官能基と反応するため、存在を確認することは不可能である。また、(c1)~(c7)の各化合物を用いて生じさせた官能基は、1種に限られず、多岐にわたる場合もある。このような事情に鑑みて、本発明では、所定の官能基同士の反応により所定の官能基が生じるとの周知技術及びそれに基づく推測から、所定の官能基を有する化合物による官能基付与処理を行うことにより、所定の官能基を有する官能基付与処面が形成されるものとみなして、(C1)~(C7)及び(c1)~(c7)のように表記している。
前記(c1)~(c7)から選ばれる少なくともいずれかを含む溶液の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。
浸漬法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の20~100℃の前記溶液中に、金属、ガラス及びセラミックスを1分~5日間浸漬し、引き上げた後、常温~100℃で1分~5時間乾燥させることにより、官能基付与処理面を形成することができる。
スプレー法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の前記溶液を、金属、ガラス及びセラミックスに吹き付けた後、常温~100℃で1分~5時間乾燥させることにより、官能基付与処理面を形成することができる。
<プライマー層(A)を形成する工程>
本実施形態におけるプライマー層(A)を形成する工程とは、第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程である。また、本実施形態の一態様におけるプライマー層(A)とは、第1の樹脂と接し、かつ第1の樹脂と接合させる第2の樹脂の間に介在し、超音波溶着によって前記第1の樹脂と前記第2の樹脂を接合させることができる熱可塑性樹脂を含む層を指す。また、本実施形態の他の態様におけるプライマー層(A)とは、第1の樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料の間に介在し、超音波溶着によって前記第1の樹脂と前記材料を接合させることができる熱可塑性樹脂を含む層を指す。
第1の樹脂とプライマー層(A)との接合強度向上の観点、第1の樹脂と第2の樹脂を十分な接合強度で接合する観点、及び第1の樹脂と材料を十分な接合強度で接合する観点から、上述した表面処理を施された第1の樹脂の面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成することが好ましい。
本実施形態において、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成することで、プライマー層(A)と第1の樹脂の間で分子拡散が生じ、第1の樹脂に強固に接合したプライマー層(A)を形成することが可能となる。その結果、第1の樹脂と第2の樹脂、及び第1の樹脂と材料を十分な接合強度で接合させることが可能となる。
前記熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上で加熱する際の温度は、第1の樹脂が非結晶性の樹脂である場合、十分な接合強度を得る観点から、好ましくは第1の樹脂の軟化点より4℃低い温度以上、より好ましくは軟化点より3℃低い温度以上、更に好ましくは軟化点より2℃低い温度以上であり、第1の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは軟化点より15℃高い温度以下、より好ましくは軟化点より10℃高い温度以下、更に好ましくは軟化点より8℃高い温度以下であり、第1の樹脂が結晶性の樹脂である場合、十分な接合強度を得る観点から、好ましくは第1の樹脂の融点より4℃低い温度以上、より好ましくは融点より3℃低い温度以上、更に好ましくは融点より2℃低い温度以上であり、第1の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは融点より5℃高い温度以下、より好ましくは融点より3℃高い温度以下、更に好ましくは融点より1℃高い温度以下である。
前記熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を第1の樹脂の軟化点以上または融点以上の温度で加熱する際の加熱時間は、第1の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは1秒~30分、より好ましくは30秒~20分、更に好ましくは1~15分である。
プライマー層(A)は、熱可塑性樹脂組成物を加熱することによって得られる層であってもよく、熱可塑性樹脂からなる層であってもよい。
プライマー層(A)が熱可塑性樹脂組成物を加熱することによって得られる層である場合、プライマー層(A)は、例えば、熱可塑性樹脂組成物と溶剤を含む溶液を、第1の樹脂の表面に塗布し、前記溶剤を揮発させた後、前記第1の樹脂の軟化点以上または融点以上の温度に加熱し、単量体を重合させることにより形成することができる。
プライマー層(A)が熱可塑性樹脂からなる層である場合、例えば、フィルム状の熱可塑性樹脂を第1の樹脂に当接するように配置した後、第1の樹脂の表面で、前記第1の樹脂の軟化点以上または融点以上の温度に加熱することにより形成することができる。
本実施形態において、十分な接合強度を得る観点から、プライマー層(A)は熱可塑性樹脂組成物を加熱することによって得られる層であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂組成物は、後述の現場重合型熱可塑性樹脂組成物であることがより好ましい。
また、プライマー層(A)を形成する工程は、十分な接合強度を得る観点から、前記第1の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合することによりプライマー層(A)を形成する工程であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物が現場重合型熱可塑性樹脂組成物であり、かつ第1の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合することで、第1の樹脂とプライマー層(A)の第1の樹脂側全面との接合強度が向上する。また、超音波溶着時に第1の樹脂とプライマー層(A)の接合面に超音波の振動が伝わらなくても、既に第1の樹脂とプライマー層(A)が強固に接合されているため、接合強度が劣る部分のない、接合強度に優れる接合体を得ることが可能となる。
本実施形態において、第1の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合する前に、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を第1の樹脂の表面で、第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満または融点より5℃低い温度未満の温度で予め加熱して重合してもよい。
第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満または融点より5℃低い温度未満の温度で加熱して重合する際の温度は、第1の樹脂が非結晶性の樹脂である場合、重合に必要とされる温度であれば第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満の温度であればよく、また、第1の樹脂が結晶性の樹脂である場合、重合に必要とされる温度であれば第1の樹脂の融点より5℃低い温度未満の温度であればよい。
第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満または融点より5℃低い温度未満の温度で加熱して重合する際の加熱時間は、第1の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは1~60分、より好ましくは10~50分、更に好ましくは15~45分である。
具体的には、例えば、第1の樹脂が融点225℃のPA6である場合、現場重合型熱可塑性樹脂組成物をPA6の表面で40~180℃で1~30分間重合させた後、220~230℃で1秒~30分更に重合させてもよい。
また、軟化点または融点が、例えば150℃以下と比較的低い樹脂の場合、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満または融点より5℃低い温度未満の温度で加熱して重合させず、第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度でのみ加熱して重合を行ってもよい。
本実施形態においては、下記表1に示す樹脂の軟化点及び融点の温度を目安に現場重合型熱可塑性樹脂組成物の重合を行うことが好ましい。なお、前記軟化点は、ISO306(2013年)に準拠して測定して得られる値(ビカット軟化温度)であり、前記融点は、ISO 11357-3(2011年)に準拠して測定して得られる値である。
Figure 2022083664000001
前記熱可塑性樹脂組成物が、現場重合型熱可塑性樹脂組成物である場合、プライマー層(A)は、現場重合型熱可塑性樹脂組成物と溶剤を含む溶液を第1の樹脂の表面に塗布し、前記溶剤を揮発させた後、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第1の樹脂の軟化点以上または融点以上の温度で加熱して重合することにより得ることができる。
プライマー層(A)を形成するための塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、浸漬法、スプレー塗布法等を用いることができる。
浸漬法の場合は、例えば、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の濃度が0.5~50質量%程度であり、常温~100℃の溶液中に、第1の樹脂を1分~5日間浸漬した後、常温~100℃の範囲内の温度で1分~5時間乾燥させ、その後、上述した第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度、及び加熱時間で現場重合型熱可塑性樹脂組成物を加熱して重合することにより、プライマー層(A)を形成することができる。
スプレー法の場合は、例えば、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の濃度が0.5~50質量%程度の溶液を、第1の樹脂に吹き付けて、常温~100℃の範囲内の温度で1分~5時間乾燥させた後、上述した第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度、及び加熱時間で現場重合型熱可塑性樹脂組成物を加熱して重合することにより、プライマー層(A)を形成することができる。
また、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、離型フィルム上に塗布し、常温~40℃の環境下で溶剤を揮発させて一部重合させたフィルムを形成し、該フィルムを第1の樹脂に当接するように配置した後、前記離型フィルムを剥離して、第1の樹脂の表面で、上述した第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度、及び加熱時間で前記フィルムにおける現場重合型熱可塑性樹脂組成物の重合を更に進行させてプライマー層(A)を形成してもよい。
あるいはまた、プライマー層(A)は、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を含む粉体またはエマルジョンの形態で、第1の樹脂の表面に塗布し、上述した第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度、及び加熱時間で加熱して重合させることにより形成することもできる。前記粉体としては、例えば、前記フィルムを粉砕したものを粉体塗料等の態様で用いることができ、また、この粉砕したものを、乳化剤を用いて水等に乳化させて前記エマルジョンとすることができる。
プライマー層(A)の厚さは、第1の樹脂の種類や接合部分の接触面積等にもよるが、十分な接合強度を得るため、また、第1の樹脂と第2の樹脂の熱膨張係数の差、及び第1の樹脂と材料の熱膨張係数の差に起因して、得られる接合体が熱変形を生じることを抑制する観点から、1μm~1mmであることが好ましく、より好ましくは5μm~100μm、更に好ましくは10μm~60μmである。
<プライマー層(B)を形成する工程>
本実施形態におけるプライマー層(B)を形成する工程とは、第2の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(B)を形成する工程である。また、本実施形態におけるプライマー層(B)とは、第2の樹脂と接し、かつ第2の樹脂と接合させる第1の樹脂の間に、プライマー層(A)とともに介在し、超音波溶着によって前記第2の樹脂と前記第1の樹脂を接合させることができる層を指す。第2の樹脂とプライマー層(B)の接合強度向上の観点及び第1の樹脂と第2の樹脂を十分な接合強度で接合する観点から、上述した表面処理を施された第2の樹脂の面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(B)を形成することが好ましい。
本実施形態において、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱することで、プライマー層(B)と第2の樹脂の間で分子拡散が生じ、第2の樹脂に強固に接合したプライマー層(B)を形成することが可能となる。このように、第2の樹脂の表面にプライマー層(B)を形成し、プライマー層(A)とプライマー層(B)を溶着することにより、より接合強度が向上した接合体を得ることができる。
前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱する際の温度は、第2の樹脂が非結晶性の樹脂である場合、十分な接合強度を得る観点から、好ましくは第2の樹脂の軟化点より4℃低い温度以上、より好ましくは軟化点より3℃低い温度以上、更に好ましくは軟化点より2℃低い温度以上であり、第2の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは軟化点より15℃高い温度以下、より好ましくは軟化点より10℃高い温度以下、更に好ましくは軟化点より8℃高い温度以下であり、第2の樹脂が結晶性の樹脂である場合、十分な接合強度を得る観点から、好ましくは第2の樹脂の融点より4℃低い温度以上、より好ましくは融点より3℃低い温度以上、更に好ましくは融点より2℃低い温度以上であり、第2の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは融点より5℃高い温度以下、より好ましくは融点より3℃高い温度以下、更に好ましくは融点より1℃高い温度以下である。
現場重合型熱可塑性樹脂組成物を第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱する際の加熱時間は、十分な接合強度を得る観点及び第2の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは1秒~30分、より好ましくは30秒~20分、更に好ましくは1~15分である。
プライマー層(B)は、熱可塑性樹脂組成物を加熱することによって得られる層であってもよく、熱可塑性樹脂からなる層であってもよい。
プライマー層(B)が熱可塑性樹脂組成物を加熱することによって得られる層である場合、プライマー層(B)は、例えば、熱可塑性樹脂組成物と溶剤を含む溶液を、第2の樹脂の表面に塗布し、前記溶剤を揮発させた後、前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度に加熱することにより形成することができる。
プライマー層(B)が熱可塑性樹脂からなる層である場合、例えば、フィルム状の熱可塑性樹脂を第2の樹脂に当接するように配置した後、第2の樹脂の表面で、前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱することにより形成することができる。
本実施形態において、十分な接合強度を得る観点から、プライマー層(B)は熱可塑性樹脂組成物を加熱することによって得られる層であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂組成物は、後述の現場重合型熱可塑性樹脂組成物であることがより好ましい。
また、プライマー層(B)を形成する工程は、十分な接合強度を得る観点から、前記第2の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度に加熱して重合することによりプライマー層(B)を形成する工程であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物が現場重合型熱可塑性樹脂組成物であり、かつ第2の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合することで、第2の樹脂とプライマー層(B)の第2の樹脂側全面との接合強度が向上する。また、超音波溶着時に第2の樹脂とプライマー層(B)の接合面に超音波の振動が伝わらなくても、既に第2の樹脂とプライマー層(B)が強固に接合されているため、接合強度が劣る部分のない、接合強度に優れる接合体を得ることが可能となる。
本実施形態においては、第2の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、第1の樹脂と同様に現場重合型熱可塑性樹脂組成物を第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上で加熱して重合する前に、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を第2の樹脂の表面で、第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満または融点より5℃低い温度未満の温度で予め加熱して重合してもよい。
第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満または融点より5℃低い温度未満の温度で加熱して重合する際の温度は、第2の樹脂が非結晶性の樹脂である場合、重合に必要とされる温度であれば第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満の温度であればよく、また、第2の樹脂が結晶性の樹脂である場合、重合に必要とされる温度であれば第2の樹脂の融点より5℃低い温度未満の温度であればよい。
第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度未満または融点より5℃低い温度未満の温度で加熱して重合する際の加熱時間は、第2の樹脂の熱による変形を抑制する観点から、好ましくは1~60分、より好ましくは10~50分、更に好ましくは15~45分である。
本実施形態においては、第1の樹脂と同様第2の樹脂においても、上記表1に示す樹脂の軟化点及び融点の温度を目安に現場重合型熱可塑性樹脂組成物の重合を行うことが好ましい。
前記熱可塑性樹脂組成物が、現場重合型熱可塑性樹脂組成物である場合、プライマー層(B)は、現場重合型熱可塑性樹脂組成物と溶剤を含む溶液を第2の樹脂の表面に塗布し、前記溶剤を揮発させ、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度で重合することにより得ることができる。
プライマー層(B)を形成するための塗布方法は、特に限定されるものではなく、前記プライマー層(A)を形成するための塗布方法と同様の方法を用いることができる。
また、上述した前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の一部重合させたフィルムを第2の樹脂に当接するように配置した後、前記離型フィルムを剥離して、前記第2の樹脂の表面で、上述した第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度、及び加熱時間で現場重合型熱可塑性樹脂組成物の重合を更に進行させて、プライマー層(B)を形成してもよい。
あるいはまた、プライマー層(B)は、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を含む粉体またはエマルジョンの形態で、第2の樹脂の表面に塗布し、上述した第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度、及び加熱時間で重合させて形成することもできる。前記粉体としては、例えば、前記フィルムを粉砕したものを粉体塗料等の態様で用いることができ、また、この粉砕したものを、乳化剤を用いて水等に乳化させて前記エマルジョンとすることができる。
前記プライマー層(B)の厚さは、第2の樹脂の種類や接合部分の接触面積等にもよるが、十分な接合強度を得るため、また、第2の樹脂と第1の樹脂の熱膨張係数の差に起因して、得られる接合体が熱変形を生じることを抑制する観点から、1μm~1mmであることが好ましく、より好ましくは5μm~100μm、更に好ましくは10μm~60μmである。
<プライマー層(C)を形成する工程>
本実施形態におけるプライマー層(C)を形成する工程とは、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料上で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いてプライマー層(C)を形成する工程である。また、本実施形態におけるプライマー層(C)とは、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料と接合させる第1の樹脂の間に、プライマー層(A)とともに介在させ、超音波溶着によりプライマー層(A)とプライマー層(C)が溶着することで、前記材料と前記第1の樹脂を接合させることができる層を指す。前記材料とプライマー層(C)との接合強度向上の観点、及び第1の樹脂と材料を十分な接合強度で接合する観点から、上述した表面処理を施された前記材料の面に、プライマー層(C)を形成することが好ましく、前記材料の官能基付与処理面にプライマー層(C)を形成することがより好ましい。
なお、プライマー層(C)は、1層であっても2層以上形成してもよい。
プライマー層(C)は、熱可塑性樹脂組成物を用いることによって得られる層であってもよく、熱可塑性樹脂からなる層であってもよい。
プライマー層(C)が熱可塑性樹脂組成物を用いることによって得られる層である場合、プライマー層(C)は、例えば、熱可塑性樹脂組成物と溶剤を含む溶液を、材料上に塗布し、前記溶剤を揮発させた後、加熱または光照射することにより形成することができる。
プライマー層(C)が熱可塑性樹脂からなる層である場合、例えば、フィルム状の熱可塑性樹脂を材料に当接するように配置した後、フィルム状の熱可塑性樹脂を加熱することにより形成することができる。
本実施形態において、十分な接合強度を得る観点から、プライマー層(C)は熱可塑性樹脂組成物を用いることによって得られる層であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂組成物は、後述の現場重合型熱可塑性樹脂組成物であることがより好ましい。
また、プライマー層(C)を形成する工程は、十分な接合強度を得る観点から、前記材料上で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することによりプライマー層(C)を形成する工程であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物が現場重合型熱可塑性樹脂組成物であり、かつ材料上で現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することで、接合体の接合強度が向上する。
熱可塑性樹脂組成物が現場重合型熱可塑性樹脂組成物である場合、プライマー層(C)は、現場重合型熱可塑性樹脂組成物と溶剤を含む溶液を前記材料の表面に塗布し、前記溶剤を揮発させ、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することにより得ることができる。
プライマー層(C)を形成するための塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、浸漬法、スプレー塗布法等を用いることができる。
浸漬法の場合は、例えば、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の濃度が0.5~50質量%程度であり、常温~100℃の溶液中に、前記材料を1分~5日間浸漬した後、常温~100℃の範囲内の温度で1分~5時間乾燥させ、その後、常温~200℃の範囲内の温度に加熱して5~120分間放置して前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することにより、プライマー層(C)を形成することができる。光硬化によりプライマー層(C)を形成する場合は、前記溶液に1分~5日間浸漬した前記材料を、常温~100℃の範囲内の温度で10秒~60分、紫外線または可視光を照射し前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することにより、プライマー層(C)を形成することができる。
スプレー法の場合は、例えば、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の濃度が0.5~50質量%程度の溶液を、前記材料に吹き付けて、常温~100℃の範囲内の温度で1分~5時間乾燥させた後、常温~200℃の範囲内の温度で5~120分間放置して前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することにより、プライマー層(C)を形成することができる。光硬化によりプライマー層(C)を形成する場合は、常温~100℃の範囲内の温度で10秒~60分間、紫外線または可視光を照射し前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することにより、プライマー層(C)を形成することができる。
また、上述した前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の一部重合させたフィルムを前記材料に当接するように配置した後、前記離型フィルムを剥離し、40~150℃の範囲内の温度に加熱して1~30分間放置して前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の重合を更に進行させることにより、プライマー層(C)を形成してもよい。
あるいはまた、プライマー層(C)は、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を含む粉体またはエマルジョンの形態で、重合後の厚さが1~100μmとなるように前記材料の表面に塗布し、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合させることにより形成することもできる。前記粉体としては、例えば、前記フィルムを粉砕したものを粉体塗料等の態様で用いることができ、また、この粉砕したものを、乳化剤を用いて水等に乳化させて前記エマルジョンとすることができる。
前記プライマー層(C)の厚さは、第1の樹脂及び材料の種類や接合部分の接触面積等にもよるが、十分な接合強度を得るため、また、第1の樹脂と材料の熱膨張係数の差に起因して、得られる接合体が熱変形を生じることを抑制する観点から、1μm~1mmであることが好ましく、より好ましくは5μm~100μm、更に好ましくは10μm~50μmである。
<熱可塑性樹脂組成物>
熱可塑性樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、現場重合型熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。
〔現場重合型熱可塑性樹脂組成物〕
本実施形態における現場重合型熱可塑性樹脂組成物とは、現場、すなわち各種の材料上で、反応性のある2官能の化合物を所定の組み合わせで含む組成物を反応させることにより、熱可塑構造、すなわち、リニアポリマー構造を形成する組成物である。前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物は、架橋構造による3次元ネットワークを構成する熱硬化性樹脂とは異なり、架橋構造による3次元ネットワークを構成せず、熱可塑性を有する重合性組成物である。
前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物は、下記(a)~(g)の少なくとも一種を含有することが好ましく、下記(d)を含有することがより好ましく、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物の組み合わせを含有することが更に好ましい。
(a)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
(b)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
(c)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(d)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
(e)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
(f)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(g)単官能ラジカル重合性モノマー
(a)における2官能イソシアネート化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
(b)における2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物との配合量比は、アミノ基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
(c)における2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。

(d)における2官能エポキシ化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
(e)における2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物との配合量比は、カルボキシ基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
(f)における2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3とする。
前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物が、上記(a)~(g)から選ばれる少なくともいずれかを含有する場合、重合のための触媒として、例えば、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン-トリフェニルホスフィン等のリン系化合物等が好適に用いられる。
ラジカル重合のための重合開始剤としては、例えば、公知の有機過酸化物や光開始剤等が好適に用いられる。有機過酸化物にコバルト金属塩やアミン類を組み合わせた常温ラジカル重合開始剤を使用してもよい。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。光重合開始剤は、紫外線~可視光の波長領域の光照射によりラジカル重合を開始可能なものであることが好ましい。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、有機過酸化物が好ましい。
(2官能イソシアネート化合物)
前記2官能イソシアネート化合物は、イソシアナト基を2個有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)またはその混合物、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート化合物が挙げられる。これらのうち、プライマー層の強度の観点から、TDIやMDI等が好ましい。
(ジオール)
前記ジオールは、ヒドロキシ基を2個有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類が挙げられる。これらのうち、プライマー層の強靭性の観点から、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等が好ましい。
(2官能アミノ化合物)
前記2官能アミノ化合物は、アミノ基を2個有する化合物であり、例えば、2官能の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、N-アミノエチルピペラジンなどが挙げられ、芳香族ジアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルプロパン等が挙げられる。これらのうち、プライマー層の強靭性の観点から、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン等が好ましい。
(2官能チオール化合物)
前記2官能チオール化合物は、分子内にメルカプト基を2つ有する化合物であり、例えば、2官能2級チオール化合物の1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、「カレンズMT(登録商標) BD1」(昭和電工株式会社製))等が挙げられる。
(2官能エポキシ化合物)
前記2官能エポキシ化合物は、1分子中に2個のエポキシ基を有する化合物である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂や1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
具体的には、「jER(登録商標) 828、834、1001、1004、1007、YX-4000」(いずれも三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。その他2官能であれば特殊な構造を有するエポキシ化合物であっても使用可能である。
(2官能カルボキシ化合物)
前記2官能カルボキシ化合物としては、カルボキシ基を2つ有する化合物であればよく、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらのうち、プライマー層の強度や強靭性の観点から、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸等が好ましい。
(単官能ラジカル重合性モノマー)
前記単官能ラジカル重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合を1個有するモノマーである。例えば、スチレンモノマー、スチレンのα-,o-,m-,p-アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸-i-プロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。前記化合物のうち、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらのうち、プライマー層の強度や強靭性の観点から、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのうちの一種、または2種以上の組み合わせが好ましい。
ラジカル重合反応を十分に進行させ、所望のプライマー層(A)~(C)を形成させるため、溶剤や、必要に応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物の溶剤以外の含有成分中、前記単官能ラジカル重合性モノマーが主成分であることが好ましい。前記主成分とは、前記単官能ラジカル重合性モノマーの含有率が50~100質量%であることを意味する。前記含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物として、例えば、下記現場重合型熱可塑性樹脂組成物(A)~(D)を例示することができる。
現場重合型熱可塑性樹脂組成物(A):前記(a)~(g)の少なくとも一種を含有する組成物。
現場重合型熱可塑性樹脂組成物(B):前記(a)~(g)の少なくとも一種を含有する組成物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたは変性ポリフェニレンエーテルと、を含む組成物。
現場重合型熱可塑性樹脂組成物(C):前記(a)~(g)の少なくとも一種を含有する組成物と、第1の樹脂を構成する樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と、を含む組成物。
現場重合型熱可塑性樹脂組成物(D):前記(a)~(g)の少なくとも一種を含有する組成物と、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたは変性ポリフェニレンエーテルと、第1の樹脂を構成する樹脂とは異種の熱可塑性樹脂と、を含む組成物。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、無水マレイン酸でグラフト変性されたポリプロピレンである。具体的な商品としては、「カヤブリッド 002PP、002PP-NW、003PP、003PP-NW」(いずれも化薬アクゾ株式会社製)、「Modic(登録商標)」(三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
また、無水マレイン酸で機能化させたポリプロピレン添加剤として、「SCONA TPPP2112GA、TPPP8112GA、TPPP9212GA」(いずれもBYK社製)を併用してもよい。
特に、前記樹脂としてポリプロピレン(PP)を使用する場合、前記現場重合型組成物は、無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。
前記変性ポリフェニレンエーテルとしては公知のものが使用できる。
前記変性ポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテルにポリスチレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン等をブレンドしたものである。具体的な商品としては、「NORYLシリーズ (PPS/PS) 731、7310、731F、7310F」(いずれもSABICジャパン合同会社製)、「ザイロンシリーズ (PPE/PS、PP/PPE、PA/PPE、PPS/PPE、PPA/PPE)」(いずれも旭化成ケミカルズ株式会社製)、「エピエースシリーズ (PPE/PS、PPE/PA)」(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)、「レマロイシリーズ (PPE/PS、PPE/PA)」(いずれも三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)がある。
前記現場重合型組成物(B)中の前記(a)~(g)の合計量は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたは変性ポリフェニレンエーテルを100質量部とした場合、5~100質量部であることが好ましく、5~60質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることが更に好ましい。
前記現場重合型組成物(D)中の前記(a)~(g)の合計量は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたは変性ポリフェニレンエーテルを100質量部とした場合、5~100質量部であることが好ましく、5~60質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることが更に好ましい。
前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物は、前記(a)~(g)以外に、カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム等のゴム成分や、芳香族ポリエーテルケトン、シリコンエラストマー、アクリル系樹脂等の靭性を付与できるポリマーを含んでいてもよい。
芳香族ポリエーテルケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
シリコンエラストマーとしては、例えば、「DOWSIL EP-2600」(The Dow Chemical Company社製)、「DOWSIL EP-2601」(The Dow Chemical Company社製)等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、例えば、「BTA-730」(The Dow Chemical Company社製)等のメタクリル酸メチル―ブタジエンスチレンースチレン共重合体(MBS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。
現場重合型組成物にゴム成分や靭性を付与できるポリマーが含まれることにより、接合体の耐衝撃性が向上する。
前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物としては、樹脂の種類にもよるが、第1の樹脂を構成する樹脂と類似の樹脂を含む組成物を選択することが好ましい。例えば、第1の樹脂がポリオレフィンの場合、無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含む現場重合型熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、より強固な溶着が可能となる。また、前記第1の樹脂が変性ポリフェニレンエーテルの場合、変性ポリフェニレンエーテルを含む現場重合型熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、より強固な溶着が可能となる。
また、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物は、第2の樹脂を構成する樹脂と類似の樹脂を含む組成物を選択することが好ましい。ここで、類似の樹脂とは、SP値(溶解パラメータ)が近い樹脂を指す。ただし、プライマー層(A)を構成する現場重合型熱可塑性樹脂組成物とプライマー層(B)を構成する現場重合型熱可塑性樹脂組成物は、類似の成分であることが好ましく、同じ成分であることがより好ましい。
現場重合型熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、溶剤や、着色剤、酸化防止剤等の任意の添加剤を含んでいてもよい。なお、現場重合型熱可塑性樹脂組成物が液状であれば、溶剤を用いなくともよい。
前記溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、水等が挙げられる。
<熱可塑性樹脂>
本実施形態において、プライマー層(A)、プライマー層(B)、及びプライマー層(C)を形成するために用いられる熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではなく、上述した第1の樹脂及び第2の樹脂として用いられる熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられる。プライマー層(A)、プライマー層(B)、及びプライマー層(C)を形成するために用いられる熱可塑性樹脂は、第1の樹脂及び第2の樹脂と同種の熱可塑性樹脂であっても、異種の熱可塑性樹脂であってもよい。
本実施形態における接合体の製造方法において、プライマー層(C)とは異なる他のプライマー層を金属、ガラス及びセラミックス等の材料に形成してもよい。前記他のプライマー層は、前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合した重合物層であってもよく、前記熱可塑性樹脂からなるプライマー層であってもよく、異なる成分からなるプライマー層であってもよい。
なお、プライマー層(C)は、超音波溶着により、プライマー層(A)と溶着することから、金属、ガラス及びセラミックス等の材料の少なくとも最表面はプライマー層(C)である。また、十分な接合強度を得る観点から、プライマー層(C)は前記材料と接することが好ましく、すなわち、前記材料が前記他のプライマー層を形成する場合、少なくとも前記材料と接する接合面と最表面の2層がプライマー層(C)であることが好ましい。
前記材料には、プライマー層の強度向上及び耐熱性向上の観点から、前記他のプライマー層として、熱硬化性樹脂を含む組成物から形成されてなる熱硬化性樹脂層を形成してもよい。
なお、前記熱硬化性樹脂を含む組成物は、前記熱硬化性樹脂の硬化反応を十分に進行させ、所望の熱硬化性樹脂層を形成させるため、溶剤や、必要に応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、前記組成物の溶剤以外の含有成分中、前記熱硬化性樹脂が主成分であることが好ましい。前記主成分とは、前記熱硬化性樹脂の含有率が40~100質量%であることを意味する。前記含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂層は、これらの樹脂のうちの1種単独で形成されていてもよく、2種以上が混合されて形成されていてもよい。あるいはまた、熱硬化性樹脂層を複数層で構成し、各層を異なる種類の熱硬化性樹脂を含む組成物で形成することもできる。
前記熱硬化性樹脂のモノマーを含む組成物により、熱硬化性樹脂層を形成する塗布方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
なお、本実施態様で言う熱硬化性樹脂は、広く、架橋硬化する樹脂を意味し、加熱硬化タイプに限られず、常温硬化タイプや光硬化タイプも包含するものとする。前記光硬化タイプは、可視光や紫外線の照射によって短時間での硬化も可能である。前記光硬化タイプを、加熱硬化タイプ及び/または常温硬化タイプと併用してもよい。前記光硬化タイプとしては、例えば、「リポキシ(登録商標) LC-720、LC-760」(いずれも昭和電工株式会社製)等のビニルエステル樹脂が挙げられる。
(ウレタン樹脂)
前記ウレタン樹脂は、通常、イソシアネート化合物のイソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応によって得られる樹脂であり、ASTM D16において、「ビヒクル不揮発成分10wt%以上のポリイソシアネートを含む塗料」と定義されるものに該当するウレタン樹脂が好ましい。前記ウレタン樹脂は、一液型であっても、二液型であってもよい。
一液型ウレタン樹脂としては、例えば、油変性型(不飽和脂肪酸基の酸化重合により硬化するもの)、湿気硬化型(イソシアナト基と空気中の水との反応により硬化するもの)、ブロック型(ブロック剤が加熱により解離し再生したイソシアナト基と水酸基が反応して硬化するもの)、ラッカー型(溶剤が揮発して乾燥することにより硬化するもの)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点から、湿気硬化型一液ウレタン樹脂が好適に用いられる。具体的には、「UM-50P」(昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
二液型ウレタン樹脂としては、例えば、触媒硬化型(イソシアナト基と空気中の水等とが触媒存在下で反応して硬化するもの)、ポリオール硬化型(イソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応により硬化するもの)等が挙げられる。
前記ポリオール硬化型におけるポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、前記ポリオール硬化型におけるイソシアナト基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;2,4-もしくは2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)またはその混合物、p-フェニレンジシソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やその多核体混合物であるポリメリックMDI等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族イソシアネート等が挙げられる。
前記ポリオール硬化型の二液型ウレタン樹脂における前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物の配合比は、水酸基/イソシアナト基のモル当量比が0.7~1.5の範囲であることが好ましい。
前記二液型ウレタン樹脂において使用されるウレタン化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ジメチルエーテルアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレン-トリアミン、N-メチルモルフォリン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエタノール-トリエチルアミン等のアミン系触媒;ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレエート等の有機錫系触媒等が挙げられる。
前記ポリオール硬化型においては、一般に、前記ポリオール化合物100質量部に対して、前記ウレタン化触媒が0.01~10質量部配合されることが好ましい。
(エポキシ樹脂)
前記エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂である。
前記エポキシ樹脂の硬化前のプレポリマーとしては、例えば、エーテル系ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル系エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらのうち、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的には、「jER(登録商標)828、1001」(いずれも三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、「D.E.N.(登録商標)438(登録商標)」(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社製)等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂に使用される硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物、フェノール樹脂、チオール類、イミダゾール類、カチオン触媒等の公知の硬化剤が挙げられる。前記硬化剤は、長鎖脂肪族アミンまたは/及びチオール類との併用により、伸び率が大きく、耐衝撃性に優れるという効果が得られる。
前記チオール類の具体例としては、後述する官能基含有層を形成するためのチオール化合物として例示したものと同じ化合物が挙げられる。これらの中でも、伸び率及び耐衝撃性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(例えば、「カレンズMT(登録商標) PE1」(昭和電工株式会社製))が好ましい。
(ビニルエステル樹脂)
前記ビニルエステル樹脂は、ビニルエステル化合物を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とも呼ばれるが、前記ビニルエステル樹脂には、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂も包含するものとする。
前記ビニルエステル樹脂としては、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、「リポキシ(登録商標) R-802、R-804、R-806」(いずれも昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、イソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリルモノマー(及び、必要に応じて水酸基含有アリルエーテルモノマー)を反応させて得られるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。具体的には、「リポキシ(登録商標) R-6545」(昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
前記ビニルエステル樹脂は、有機過酸化物等の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
前記有機過酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアリルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等が挙げられる。これらをコバルト金属塩等と組み合わせることにより、常温での硬化も可能となる。
前記コバルト金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられる。これらの中でも、ナフテン酸コバルトまたは/及びオクチル酸コバルトが好ましい。
(不飽和ポリエステル樹脂)
前記不飽和ポリエステル樹脂は、ポリオール化合物と不飽和多塩基酸(及び、必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、「リゴラック(登録商標)」(昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
前記不飽和ポリエステル樹脂は、前記ビニルエステル樹脂についてと同様の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
プライマー層(A)~(C)の厚さ(現場重合型熱可塑性樹脂組成物の重合後の厚さであり、超音波溶着前の厚さ)と、プライマー層(A)~(C)とは異なる他のプライマー層の厚さ(現場重合型熱可塑性樹脂組成物の重合後の厚さであり、超音波溶着前の厚さ)の合計の厚さは、第1の樹脂、第2の樹脂、金属、ガラス及びセラミックスの材質や接合部分の接触面積にもよるが、十分な接合強度を得る観点から、1μm~500μmであることが好ましく、より好ましくは3μm~100μm、更に好ましくは5μm~70μmである。
<超音波溶着>
超音波溶着とは、前述のとおり、接合材である同種材または異種材の接合面同士を、超音波の振動により、少なくとも一方の接合面に存在する成分の軟化点以上または融点以上の温度まで加熱し、接触加圧及び冷却での分子拡散による絡み合いや結晶化によって、同種材または異種材を接合することを意味する。
本実施形態の一態様に係る超音波溶着は、第1の樹脂と第2の樹脂が、プライマー層(A)を介して接合されるよう配置されて行われる。
本実施形態の他の態様に係る超音波溶着は、第1の樹脂と第2の樹脂が、プライマー層(A)及び(B)を介して接合されるよう配置されて行われる。
本実施形態の更に他の態様に係る超音波溶着は、第1の樹脂と金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料が、プライマー層(A)及び(C)を介して接合されるよう配置されて行われる。
超音波溶着時における、第1の樹脂、第2の樹脂、金属、ガラス及びセラミックスに加わる圧力(保圧)は、十分な接合強度を得る観点、並びに第1の樹脂及び第2の樹脂の変形を抑制する観点から、好ましくは0.15~0.6MPa/sec、より好ましくは0.2~0.5MPa/sec、更に好ましくは0.25~0.5MPa/secである。
[接合体]
本実施形態の一態様における接合体とは、第1の樹脂と、第2の樹脂を接合してなるものであって、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、前記第2の樹脂に、前記プライマー層(A)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法によって得られる接合体である。
本実施形態の一態様における接合体は、前記プライマー層(A)を形成する工程と、前記第2の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂材の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度に加熱してプライマー層(B)を形成する工程を含み、前記溶着する工程が、前記プライマー層(A)と、前記プライマー層(B)を、超音波溶着により溶着する、接合体の製造方法によって得られる接合体であってもよい。
本実施形態の他の態様における接合体とは、第1の樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を接合してなる接合体であって、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上の温度に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、前記材料上で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いてプライマー層(C)を形成する工程と、前記プライマー層(A)と前記プライマー層(C)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法によって得られる接合体である。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
[第1の樹脂及び第2の樹脂試験片]
下記実施例及び比較例において、第1の樹脂及び第2の樹脂として各樹脂試験片の製造に用いた各樹脂の詳細を下記に示す。樹脂試験片は、各樹脂を、射出成形機「SE100V」(住友重機械工業株式会社製)で、下記表2に示す各条件で射出成形し、サイズ10mm×45mm×3mmとした。
・PA6:ポリアミド6、ガラス繊維30質量%含有、融点225℃、「ノバミド(登録商標)」(DSM社製)
・PA66:ポリアミド66、ガラス繊維30質量%含有、融点265℃、「ノバミド(登録商標)」(DSM社製)
・PPS:ポリフェニレンサルファイド、ガラス繊維40質量%含有、融点278℃、「FZ-2140」(DIC株式会社製)
・PEI:ポリエーテルイミド、軟化点211℃、「ウルテム(登録商標) 1040」(SABIC社製)
・PC:ポリカーボネート、軟化点144℃、「マクロロン(登録商標) 2405」(SABIC社製)
・PBT:ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維30質量%含有、融点224℃、「バロックス 507」(SABIC社製)
・PP:ポリプロピレン、タルク30質量%含有、融点160℃、「TRC104N」(サンアロマー社製)
Figure 2022083664000002
[金属、ガラス及びセラミックス試験片]
下記実施例及び比較例において、各試験片の製造に用いた金属(アルミニウム、鋼及び銅)、ガラス及びセラミックスの詳細を下記に示す。
・アルミニウム:A6063、18mm×45mm、厚さ1.5mm
・鋼:鋼板、SPHC(JIS G 3131:2018)、厚さ1.6mm
・銅:C1100P(JIS H 3100:2018)、厚さ1.5mm
・ガラス:化学強化専用ガラス、「Dinorex(登録商標)(ダイノレックス) T2X-1」、日本電気硝子株式会社製、18mm×45mm、厚さ1.5mm
・セラミックス:アルミナ、厚膜用基板、京セラ株式会社製、18mm×45mm、厚さ1mm
[表面処理]
<第1の樹脂及び第2の樹脂>
第1の樹脂及び第2の樹脂の試験片の製造に用いた樹脂の表面処理として、紫外線洗浄改質装置「PL16-110」(センエンジニアリング株式会社製 使用ランプ:SUV110GS-36)を用いて、照射距離50mm、照射時間1分の条件で、UVオゾン処理を行った。
<アルミニウム>
試験片の製造に用いたアルミニウムは、以下のようにして表面処理を行った。
濃度5質量%の常温下の水酸化ナトリウム水溶液中にアルミニウム試験片を1.5分間浸漬した後、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和し、水洗、乾燥を行うことにより、エッチング処理を行った。
続いて、前記エッチング処理を行ったアルミニウム試験片を、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤「KBM-903」(信越シリコーン株式会社製))2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に20分間浸漬した後、金属試験片を取り出し、乾燥させることにより官能基付与処理を行い、官能基が付与されたアルミニウム試験片を得た。
<鋼、銅及びセラミックス>
試験片の製造に用いた鋼、銅及びセラミックスは、以下のようにして表面処理を行った。
大気圧プラズマ処理装置「Openair-Plasma(登録商標)ジェネレーター FG5001」(プラズマトリート社製)を用いて、照射距離15mm、送り速度5m/minの条件で、鋼、銅及びセラミックスのそれぞれの試験片の表面にプラズマ処理を行った。
続いて、前記プラズマ処理を行った鋼、銅及びセラミックスのそれぞれの試験片を、上記アルミニウム試験片と同様の方法にて官能基付与処理を行い、官能基が付与された鋼、銅及びセラミックス試験片を得た。
[現場重合型熱可塑性樹脂組成物の調製]
<現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)>
二官能エポキシ樹脂「jER(登録商標)1007」(三菱ケミカル株式会社製)90.1g、ビスフェノールS5.2g、末端カルボキシ基ブタジエンニトリルゴム「ハイカー(登録商標) CTBN 1300×13」(ルーブリゾール社製)4.6g、及びトリフェニルホスフィン0.4gをメチルエチルケトン186gに溶解し現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を作製した。
<現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2)>
無水マレイン酸変性ポリプロピレン「Modic(登録商標)ER321P」(三菱ケミカル株式会社製 )5gとキシレン95gを混合し、撹拌しながら125℃に昇温し、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンを溶解した。続いて、2官能エポキシ樹脂「jER(登録商標)1001」(三菱ケミカル株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 分子量約900)1.01g、ビスフェノールA 0.24g、トリフェニルホスフィン0.006gを添加溶解後、室温まで冷却して現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2)を得た。
〔実施例1-1〕
(プライマー層の形成)
樹脂の材質がPA6である表面処理を行った樹脂試験片の表面処理面に、乾燥後のプライマー層厚さが32μmとなるように現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)をスプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を加熱し、その後PA6の融点(225℃)より5℃低い温度以上である温度224℃の炉内で10分間加熱した後、常温まで放冷して、片面の表面にプライマー層有するプライマー付き試験片P1-1を得た。
また、樹脂の材質がPBTである表面処理を行った樹脂試験片の表面処理面に、乾燥後のプライマー層厚さが31μmとなるように現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)をスプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を加熱し、その後PBTの融点(224℃)より5℃低い温度以上の温度である温度223℃の炉内で10分間加熱した後、常温まで放冷して、片面の表面にプライマー層有する、プライマー付き試験片P1-11を得た。
(溶着)
プライマー付き試験片P1-1と、プライマー付き試験片P1-11を、両プライマー層の表面同士の接合面が5mm×10mmとなるように重ね合わせ、超音波溶着機「SONOPET-JII2410」(精電舎電子工業株式会社製)を使用し、加圧した状態(設定圧:0.24MPa)で、下記の条件にて超音波溶着し、樹脂-樹脂接合体を得た。ここで接合面とは、樹脂試験片を重ね合わせた箇所を意味する。
・振幅:24μm
・発信周波数:19.15kHz
・発信時間:0.264秒
・保持時間:1.0秒
・ピークパワー:387W
(引張りせん断強度)
樹脂-樹脂接合体について、常温で1日間放置後、ISO19095 1-4に準拠して、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-IS」(株式会社島津製作所製);ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて、引張りせん断強度試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表3に示す。
〔実施例1-2〕
(プライマー層の形成)
樹脂の材質がPA6である表面処理を行った樹脂試験片の表面処理面に、乾燥後のプライマー層厚さが54μmとなるように現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)をスプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を加熱し、その後PA6の融点(225℃)より5℃低い温度以上の温度である温度224℃の炉内で10分間加熱した後、常温まで放冷して、片面の表面にプライマー層有するプライマー付き試験片P1-2を得た。
(溶着)
プライマー付き試験片P1-2と、樹脂の材質がPPSである、表面処理のみを行った試験片p1-1(プライマー層なし)を、試験片P1-2のプライマー層の表面と、試験片p1-1の表面処理面の接合面が5mm×10mmとなるように重ね合わせ、実施例1-1と同様の条件にて、加圧した状態で超音波溶着し、樹脂-樹脂接合体を得た。
(引張りせん断強度)
実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表3に示す。
〔実施例1-3、1-5、1-7、1-9、1-11、1-13〕
実施例1-1において、表3に示す材質の樹脂を用い、表3に示すプライマー層の形成に用いられた現場重合型熱可塑性樹脂組成物(現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)または現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2))、プライマー層を形成するための加熱条件(加熱温度及び加熱時間)、及びプライマー層の厚さとしたこと以外は同様の方法により樹脂-樹脂接合体を得た。また、その接合体について、実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表3に示す。
〔実施例1-4、1-6、1-8、1-10、1-12、1-14〕
実施例1-2において、表3に示す材質の樹脂を用い、表3に示すプライマー層の形成に用いられた現場重合型熱可塑性樹脂組成物(現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)または現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2))、プライマー層を加熱するための加熱条件(加熱温度及び加熱時間)、及びプライマー層の厚さとしたこと以外は同様の方法により樹脂-樹脂接合体を得た。また、その接合体について、実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表3に示す。
Figure 2022083664000003
〔比較例1-1〕
(プライマー層の形成)
樹脂の材質がPA6である表面処理を行った樹脂試験片の表面処理面に、乾燥後のプライマー層厚さが32μmとなるように現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)をスプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を加熱し、その後PA6の融点(225℃)より5℃低い温度以上の温度で加熱することなく、常温まで放冷し、片面の表面にプライマー層有するプライマー付き試験片Q1-1を得た。
また、樹脂の材質がPBTである表面処理を行った樹脂試験片の表面処理面に、乾燥後のプライマー層厚さが31μmとなるように現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)をスプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を加熱し、その後PBTの融点(224℃)より5℃低い温度以上の温度で加熱することなく、常温まで放冷し、片面の表面にプライマー層有する、プライマー付き試験片Q1-9を得た。
(溶着)
実施例1-1において、試験片P1-1とP1-11の代わりに試験片Q1-1とQ1-9を用いたこと以外は同様の条件にて、加圧した状態で超音波溶着し、樹脂-樹脂接合体を得た。
(引張りせん断強度)
実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表4に示す。
〔比較例1-2〕
(プライマー層の形成)
樹脂の材質がPA6である表面処理を行った樹脂試験片の表面処理面に、乾燥後のプライマー層厚さが54μmとなるように現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)をスプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を加熱し、その後PA6の融点(225℃)より5℃低い温度以上の温度で加熱することなく、常温まで放冷し、片面の表面にプライマー層有するプライマー付き試験片Q1-2を得た。
(溶着)
プライマー付き試験片Q1-2と、樹脂の材質がPPSである、表面処理のみを行った試験片p1-1(プライマー層なし)を、試験片Q1-2のプライマー層の表面と、試験片p1-1の表面処理面の接合面が5mm×10mmとなるように重ね合わせ、実施例1-1と同様の条件にて、加圧した状態で超音波溶着し、樹脂-樹脂接合体を得た。
(引張りせん断強度)
実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表4に示す。
〔比較例1-3、1-5、1-7、1-9、1-11〕
比較例1-1において、表4に示す材質の樹脂を用い、表4に示すプライマー層の形成に用いられた現場重合型熱可塑性樹脂組成物(現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)または現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2))、プライマー層を形成するための加熱条件(加熱温度及び加熱時間)、及びプライマー層の厚さとしたこと以外は同様の方法により樹脂-樹脂接合体を得た。また、その接合体について、実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表4に示す。
〔比較例1-4、1-6、1-8、1-10、1-12〕
比較例1-2において、表4に示す材質の樹脂を用い、表4に示すプライマー層の形成に用いられた現場重合型熱可塑性樹脂組成物(現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)または現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2))、プライマー層を加熱するための加熱条件(加熱温度及び加熱時間)、及びプライマー層の厚さとしたこと以外は同様の方法により樹脂-樹脂接合体を得た。また、その接合体について、実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表4に示す。
Figure 2022083664000004
〔実施例2-1〕
(プライマー層の形成)
実施例1-1と同様の方法にて、樹脂の材質がPA6であり、プライマー層を有するプライマー付き試験片P1-1を得た。
また、材質がアルミニウムである表面処理を行った試験片の表面処理面に、乾燥後のプライマー層厚さが31μmとなるように現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)をスプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で60分間現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)を重合させた後、常温まで放冷して、片面の表面にプライマー層有する、プライマー付き試験片P2-1を得た。
(溶着)
プライマー付き試験片P1-1と、プライマー付き試験片P2-1を、両プライマー層の表面同士の接合面が5mm×10mmとなるように重ね合わせ、超音波溶着機「SONOPET-JG1530S」(精電舎電子工業株式会社製)を使用し、加圧した状態(設定圧:0.24MPa)で、実施例1-1と同様の条件で超音波溶着し、樹脂-金属接合体を得た。ここで接合面とは、樹脂試験片と金属試験片を重ね合わせた箇所を意味する。
(引張りせん断強度)
実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表5に示す。
〔実施例2-2~2-10〕
実施例2-1において、表4に示す材質の樹脂及び材料を用い、表4に示すプライマー層の形成に用いられた現場重合型熱可塑性樹脂組成物(現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)または現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2))、プライマー層を形成するための加熱条件(加熱温度及び加熱時間)、及びプライマー層の厚さとしたこと以外は同様の方法により、樹脂-金属接合体、樹脂-ガラス接合体、及び樹脂-セラミックス接合体を得た。また、その接合体について、実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表5に示す。
Figure 2022083664000005
〔比較例2-1~2-10〕
実施例2-1において、表6に示す材質の樹脂及び材料を用い、表6に示すプライマー層の形成に用いられた現場重合型熱可塑性樹脂組成物(現場重合型熱可塑性樹脂組成物(1)または現場重合型熱可塑性樹脂組成物(2))、プライマー層を形成するための加熱条件(加熱温度及び加熱時間)、及びプライマー層の厚さとし、樹脂試験片の表面で現場重合型熱可塑性樹脂組成物を加熱する際、前記樹脂の軟化点及び融点以上の温度で加熱しなかったこと以外は同様の方法により、樹脂-金属接合体、樹脂-ガラス接合体、樹脂-セラミックス接合体を得た。また、その接合体について、実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表6に示す。
Figure 2022083664000006
〔実施例3-1〕
(プライマー層の形成)
樹脂の材質がPPSである表面処理を行った樹脂試験片の表面処理面の端部に、大きさが10mm×5mmであるナイロン6フィルム「サントニールSNR」(三菱ケミカル社製、厚さ15μm)を配置し、温度278℃の炉内で5分間加熱してナイロン6フィルムを接合させた後、常温まで放冷して、片面の表面にプライマー層有する、プライマー付き試験片P3-1を得た。
(溶着)
プライマー付き試験片P3-1と、樹脂の材質がPA6である、表面処理のみを行った試験片p3-1(プライマー層なし)を、試験片P3-1のプライマー層の表面と、試験片p1-1の表面処理面の接合面が5mm×10mmとなるように重ね合わせ、超音波溶着機「SONOPET-JG1530S」(精電舎電子工業株式会社製)を使用し、実施例1-1と同様の条件にて加圧した状態で超音波溶着し、樹脂-樹脂接合体を得た。ここで接合面とは、樹脂試験片と樹脂試験片を重ね合わせた箇所を意味する。
(引張りせん断強度)
樹脂-樹脂接合体について、60℃温水に24時間浸漬した後、実施例1-1と同様の方法により、引張りせん断試験を行い、引張りせん断強度を測定した。その測定結果を表7に示す。
〔比較例3-1〕
樹脂の材質がPPSである表面処理を行った樹脂試験片Q2-1の表面処理面の端部と、前記樹脂試験片Q2-1とは異なる樹脂試験片Q2-1の表面処理面の端部で、大きさが10mm×5mmであるナイロン6フィルム「サントニールSNR」(三菱ケミカル社製、厚さ15μm)を挟み、それぞれの接合面が5mm×10mmとなるように重ね合わせ、実施例3-1と同様の条件にて超音波溶着し、PPSの融点以上に加熱してプライマー層を形成せず超音波溶着を行った樹脂-樹脂接合体を得た。ここで接合面とは、樹脂試験片と樹脂試験片を重ね合わせた箇所を意味する。
樹脂-樹脂接合体について、60℃温水に24時間浸漬したところ接合部が剥がれ、引張りせん断試験は行わなかった。
Figure 2022083664000007
上記表3~7から分かるように、本発明の接合体の製造方法によれば、樹脂と樹脂、並びに樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を十分な接合強度で接合させることができ、また、接合強度を向上させることができる。
本発明に係る製造方法を用いた接合体の用途は特に限定されるものではないが、例えば、ドアサイドパネル、ボンネットルーフ、テールゲート、ステアリングハンガー、Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラー、クラッシュボックス、パワーコントロールユニット(PCU)ハウジング、電動コンプレッサー部材(内壁部、吸入ポート部、エキゾーストコントロールバルブ(ECV)挿入部、マウントボス部等)、リチウムイオン電池(LIB)スペーサー、電池ケース、LEDヘッドランプ等の自動車用部品や、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットパソコン、スマートウオッチ、大型液晶テレビ(LCD-TV)、屋外LED照明の構造体等に適用することができる。

Claims (16)

  1. 第1の樹脂と、第2の樹脂を接合してなる接合体の製造方法であって、
    前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、
    前記第2の樹脂に、前記プライマー層(A)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法。
  2. 前記第2の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(B)を形成する工程を含み、
    前記溶着する工程が、前記プライマー層(A)と、前記プライマー層(B)を、超音波溶着により溶着する、請求項1に記載の接合体の製造方法。
  3. 第1の樹脂と、金属、ガラス及びセラミックスから選ばれる少なくとも1種の材料を接合してなる接合体の製造方法であって、
    前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱してプライマー層(A)を形成する工程と、
    前記材料上で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いてプライマー層(C)を形成する工程と、
    前記プライマー層(A)と前記プライマー層(C)を超音波溶着により溶着する工程を含む、接合体の製造方法。
  4. 前記プライマー層(A)を形成する工程が、前記第1の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第1の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合することによりプライマー層(A)を形成する工程である、請求項1~3のいずれかに記載の接合体の製造方法。
  5. 前記プライマー層(B)を形成する工程が、前記第2の樹脂の表面で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を前記第2の樹脂の軟化点より5℃低い温度以上または融点より5℃低い温度以上に加熱して重合することによりプライマー層(B)を形成する工程である、請求項2に記載の接合体の製造方法。
  6. 前記プライマー層(C)を形成する工程が、前記材料上で、現場重合型熱可塑性樹脂組成物を重合することによりプライマー層(C)を形成する工程である、請求項3に記載の接合体の製造方法。
  7. 前記第1の樹脂のプライマー層(A)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、請求項1~6のいずれかに記載の接合体の製造方法。
  8. 前記第2の樹脂のプライマー層(A)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、請求項1に記載の接合体の製造方法。
  9. 前記第2の樹脂のプライマー層(B)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理及びUVオゾン処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、請求項2又は5に記載の接合体の製造方法。
  10. 前記材料のプライマー層(C)側接合面に、脱脂処理、サンディング処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理及び官能基付与処理から選ばれる1種以上の表面処理を施してなる、請求項3又は6に記載の接合体の製造方法。
  11. 前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物が、下記(a)~(g)から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項4~6のいずれかに記載の接合体の製造方法。
    (a)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
    (b)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
    (c)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (d)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
    (e)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
    (f)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (g)ラジカル重合性単官能モノマーの組み合わせ
  12. 前記現場重合型熱可塑性樹脂組成物が、更に無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含む、請求項11に記載の接合体の製造方法。
  13. 前記材料に、下記(c1)~(c7)から選ばれる少なくともいずれかを含む溶液を塗布して官能基付与処理面を形成した後、官能基付与処理面に、プライマー層(C)を形成する、請求項3、6及び10のいずれかに記載の接合体の製造方法。
    (c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
    (c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
    (c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c6)イソシアネート化合物
    (c7)チオール化合物
  14. 前記プライマー層(A)を形成する工程が、前記第1の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第1の樹脂の軟化点より15℃高い温度以下または融点より5℃高い温度以下に加熱してプライマー層(A)を形成する、請求項1~6のいずれかに記載の接合体の製造方法。
  15. 前記プライマー層(B)を形成する工程が、前記第2の樹脂の表面で、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種を前記第2の樹脂の軟化点より15℃高い温度以下または融点より5℃高い温度以下に加熱してプライマー層(B)を形成する、請求項2又は5に記載の接合体の製造方法。
  16. 請求項1~15のいずれかに記載の接合体の製造方法によって得られた接合体。
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